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Cisco on Cisco Vol.2

Cisco TelePresence の導入とその効果

Cisco TelePresence の導入とその効果

遠く離れた人が、あたかも目の前にいるかのような臨場感で対話ができるテレプレゼンス。しかし、会議のようすを写真やビデオで見たかぎりでは、「大きな画面のテレビ会議」にしか見えないことでしょう。テレプレゼンスを導入したことでシスコでは何が変わったのでしょうか?Cisco TelePresence を導入した IT 部門からの視点でご紹介します。

 テレプレゼンス(TelePresence)とは、「遠くにあるもの(Tele)が存在する(Presence)」という意味です。まさに遠くにいる人とでも、その人との距離を感じることなく話しができるシステムなのです。シスコでは、それを「空間を共有する」と表現しています。空間を共有するとはどういうことか。これを言葉だけで説明するのは、少し難しいかもしれません。高精細な画像、立体的な音響、タイムラグのない対話、同じしつらえの部屋…。すべてが組み合わされて「テレプレゼンス」を実現しています。

シスコにおけるテレプレゼンスの利用

 2008年9月25日現在、シスコでは、37カ国126拠点に Cisco TelePresence を導入しています。日本では3拠点8ユニットが導入されています。現在、営業時間内の90%が予約でいっぱいと、かなり好評です。お客様へのデモンストレーションだけでなく、実際の業務のなかでもおおいに活用されています。

 では最初に、シスコ社内でどのようにテレプレゼンスが利用されているのか、その具体的な例から紹介しましょう。

顧客向けブリーフィング

シスコでは、お客様の技術的および経営上の課題について、社内ではどのように対応したかを個別にご紹介するブリーフィングを行っています。これまで、米サンノゼのEBC(エグゼクティブ ブリーフィング センター)という施設までお客様をお連れして、最も適切な内容をお話しできる社員が直接説明することもありました。しかし Cisco TelePresence によって、日本にいながら専門家の説明を聞けるようになりました。

海を越えたブレーンストーミング

製品開発の初期段階においては、ブレーンストーミングが必須となります。シスコはグローバル企業ですから、世界各国に技術者が分散しています。1カ所に関係者が集まらなければならないはずの「ブレーンストーミング」にリモートでも参加可能になったことが、テレプレゼンスによる効果の第一に挙げられます。時間の調整も容易になり、意思決定や開発サイクルが迅速化されます。

このようなテレプレゼンスの利用は、海外とだけに限りません。たとえば、ユーザ事例を大阪にいる営業担当が、東京にいる広報部と話をする場合など、会って話さなければ伝わらない細かいニュアンスや表情が伝わり、より親密な会議をすることができます。

採用時あるいは上司/部下とのインタビュー

業務内容を中心に組織が構成されているシスコでは、採用決定者がアメリカ人だったり、上司がシンガポールにいるなどといったことは、珍しくありません。たとえば、これまでエグゼクティブの採用時にはアメリカの本社に行って最終面接を受けなければならなかったため、そのための時間調整に多くの時間を割いていました。テレプレゼンスによって本社に行かなくても面接ができるようになったということは、採用される側にとっても、シスコのテクノロジーによる業務改革を実感できる機会にもなっているようです。

またグループプロジェクトへの採用や、上司と部下との定期的なインタビューも、これまでは電話を使ってきましたが、テレプレゼンスを利用することが多くなりました。テレプレゼンスを利用することで、相手の表情を読み取りながら行えるようになり、不安のない面接ができるようになったのです。

家族への開放

Cisco TelePresence の導入とその効果

せっかくの設備ですから、仕事以外に解放された例もあります。シスコでは毎年クリスマスシーズンに「ファミリーデイ」を開催しており、社員の家族がシスコのオフィスを訪問します。2007年、日本のIT 部門のマネージャに1本の電子メールが届きました。それは、会ったこともないアメリカ東海岸の社員からの「12月30日、ファミリーデイに自分の母親を日本にいる娘に会わせたいのでエスコートして欲しい」というメッセージでした。社内にあるテレプレゼンスを利用するためには、社員のエスコートが必要だからです。しかしアメリカ東海岸の12月30日は、日本時間では12月31日の早朝ということになります。

気が進まないまま休みを返上してその娘さんと家族という方々をオフィスに連れて行き、テレプレゼンスを接続しました。すると、画面の向こうに車いすに乗ったおばあちゃんが現れました。「今日はおばあちゃんの誕生日なんです。何千キロも離れたところに娘夫婦と孫たちが住んでいるけれど、老人施設に入っていてもう何年も会ったことがないし、日本には行くこともできない」と。おばあちゃんはもちろん、社員も娘も孫も、テレプレゼンス越しの再会に感動して涙している姿を見たとき、「本当にいいことをした。テクノロジーは人の心を動かすこともできる」と感じたそうです。

簡単な操作も重要

 テレプレゼンス システムのうち、Cisco TelePresence 1000、3000、3200 は、特別な会議室(テレプレゼンス ルーム)に設置します。テレプレゼンス ルームは、壁の素材や色、照明などが同じになっており、ディスプレイに表示された人があたかも同じ部屋にいるかのように感じられるように調整されています。なお、Cisco TelePresence 500 はエグゼクティブの個人オフィス用となっていますが、どのモデルでも同じ操作で利用でき、同じ体験ができます。

 Cisco TelePresence の大きな特徴の1つが「簡単操作」です。これまでのテレビ会議システムは会議を始めるための設定が煩雑でした。IT部門の担当者にサポートしてもらわなければならないケースも多く、経営陣が自分で設定するなど考えられませんでした。テレプレゼンスは、ワンタッチで会議が開始できるので、誰でも簡単に操作できます。では、Cisco TelePresence を利用するときの流れを見てみましょう。

  1. 利用者は、Microsoft Outlook あるいは Notes など、通常使っている予定表の会議室予約と同様の操作でテレプレゼンスの利用予約をします。
  2. 入力された予約の情報は、テレプレゼンス ルームににある電話機に反映されます。予約した時間にテレプレゼンス ルームに行くと、電話機に表示されている自分の会議にタッチします。このワンタッチだけで、セッションが開始されます。

簡単な操作も重要

 Cisco TelePresenceでは、相手の姿以外にPCその他の機器の画面を共有できる他、部屋の天井に設置したカメラから映したテーブル上にある物を高精細の映像として共有するなどのオプションがあります。このような機能が製品開発におけるブレーンストーミングにも大きく役立っているようです。

今後の予定

 シスコの IT 部門にとって、テレプレゼンスがもたらした業務の変革は大きな実績となりました。海外出張が減っただけでなく、グローバルなコミュニケーションをこれまでよりも密に行うことができるようになったからです。そして誰よりも世界中を飛び回っていたシスコの経営層が、テレプレゼンスによって飛行機に乗らなくても重要な人々にすぐに会えることを喜んでいます。

 Cisco TelePresence は、まず2拠点を結ぶ1対1の接続を実現するものとして完成しましたが、その後改良されて多地点を結ぶことができる製品も発表しています。つまり、ひとつの仮想会議室に、複数の離れた場所から参加するといったことが可能になっています。また、現在はシスコ社内だけでなく、他社との接続も始めています。テレプレゼンスには広帯域でQoSのしっかりした遅延の少ないネットワークが必要ですが、今後NGNの普及とともに、高品質かつ廉価な回線が利用できるようになれば、さらに容易な他社との接続が可能になることでしょう。

シスコ IT のテクノロジー導入に関するケーススタディは Cisco on Cisco をご覧ください。
http://www.cisco.com/jp/go/ciscoit/