この章では、アクセス ポイントで複数のサービス セット ID(SSID) を設定および管理する方法について説明します。この章の内容は、次のとおりです。
- ・ 複数の SSID の概要
- ・ 複数の SSID の設定
- ・ 複数の基本 SSID の設定
- ・ SSID に対する IP リダイレクションの割り当て
- ・ SSIDL IE への SSID の追加
- ・ MBSSID の NAC サポート
複数の SSID の概要
SSID は、無線ネットワーキング デバイスが無線接続を確立および維持するために使用する、一意の識別子です。ネットワークまたはサブネットワーク上の複数のアクセス ポイントは、同じ SSID を使用できます。SSID では大文字と小文字が区別され、最大 32 文字の英数字を使用できます。SSID には、スペースを含めないようにしてください。
アクセス ポイントには、最大 16 の SSID を設定でき、各 SSID に異なる設定を割り当てることができます。すべての SSID は同時にアクティブになります。つまり、クライアント デバイスは、どの SSID を使用してもアクセス ポイントにアソシエートできます。各 SSID には、次の設定を割り当てることができます。
- ・ SSID を使用するクライアント アソシエーションの最大数
- ・ SSID を使用するトラフィックの Remote Authentication Dial-In User Service(RADIUS)アカウンティング
- ・ ゲスト モード
- ・ リピータ モード(認証ユーザ名とパスワードを含む)
- ・ クライアント デバイスから受信されたパケットのリダイレクション
アクセス ポイントに対し、設定内に SSID が指定されていないクライアント デバイスからのアソシエーションを許可する場合、ゲスト SSID を設定できます。アクセス ポイントでは、ビーコンにゲスト SSID が追加されます。ゲスト モードが無効になっていると、SSID がビーコン メッセージで同報通信されません。設定済み SSID のないクライアントが無線ネットワークに接続しないようにするには、このゲスト SSID 機能を無効に設定してください。ゲスト モード SSID の設定方法とゲスト モード SSID の無効方法については、SSID のグローバルな作成を参照してください。
アクセス ポイントをリピータとして使用する場合、またはリピータの親として機能するルート アクセス ポイントとする場合は、SSID をリピータ モードで使用するように設定できます。リピータ モードの SSID に認証ユーザ名とパスワードを割り当てると、クライアント デバイス同様、リピータでネットワークへの認証が可能になります。
ネットワークで複数の VLAN を使用する場合は、各 VLAN に 1 つの SSID を割り当てることができます。この割り当てた SSID を使用するクライアント デバイスは、その VLAN にグループ化されます。
ソフトウェア バージョンの SSID に対する影響
Cisco IOS リリース 12.3(2)JA には、複数インターフェイス環境で SSID パラメータを簡単に設定できるよう、グローバル モードの SSID 設定が導入されました。Cisco IOS リリース 12.3(2)JA リリースでは、下位互換性があるようインターフェイス レベルで SSID パラメータを設定できましたが、Cisco IOS リリース 12.3(4)JA 以降のリリースではインターフェイス レベルで SSID パラメータを設定できなくなります。表7-1 は、Cisco IOS リリースでサポートされている SSID 設定方法を示しています。
Cisco IOS リリース 12.3(10b)JA は、Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)を使用してインターフェイス レベルで SSID パラメータを設定できますが、SSID はグローバル モードで保存されます。SSID をすべてグローバル モードで保存すると、Cisco IOS リリース 12.4(10b)JA 以降のリリースにアップグレードしても SSID 設定が維持されます。
Cisco IOS リリース 12.3(2)JA 以前を 12.3(4)JA 以降のリリースにアップグレードする必要がある場合は、まず Cisco IOS リリース 12.3(4)JA にアップグレードして設定ファイルを保存してから、目的のリリースにアップグレードし、保存しておいた設定ファイルをロードします。この手順を行うと、インターフェイス レベルの SSID 設定がグローバル モードに正しく変換されます。12.3(4)JA 以前のリリースから 12.3(4)JA 以降のリリースに直接アップグレードすると、インターフェイス レベルの SSID 設定は削除されます。
Cisco IOS リリース 12.4(10b)JA からソフトウェア バージョンをダウングレードすると、以前に作成した SSID はすべて無効になります。ダウングレード後に SSID を再設定しなくて済むよう、Cisco IOS リリース 12.3(7)JA にアップグレードする前に旧ソフトウェア バージョンの設定ファイルのコピーを保存しておいてください。Cisco IOS リリース 12.3(7)JA からソフトウェア バージョンをダウングレードする場合は、ダウングレード後に、保存しておいたこの設定ファイルをロードしてください。
表7-2 は、Cisco IOS リリース 12.2(15)JA を実行しているアクセス ポイントでの SSID 設定と、Cisco IOS リリース 12.3(7)JA にアップグレードした後の設定の例を示しています。
インターフェイスごとの VLAN 設定が、グローバルの SSID 設定に残っていることに注意してください。
複数の SSID の設定
デフォルトの SSID 設定
Cisco IOS リリース 12.3(7)JA には、デフォルトの SSID は存在しません。
SSID のグローバルな作成
Cisco IOS リリース 12.3(2)JA 以降では、SSID をグローバルに設定できるほか、特定の無線インターフェイスについて設定することもできます。dot11 ssid グローバル設定コマンドを使用して SSID を作成すると、ssid 設定インターフェイス コマンドを使用して、特定のインターフェイスにその SSID を割り当てることができます。
グローバル コンフィギュレーション モードで SSID を作成しておき、ssid 設定インターフェイス コマンドを実行すると、目的のインターフェイスにその SSID が割り当てられますが、SSID 設定モードにはなりません。SSID をグローバル コンフィギュレーション モードで作成していない場合は、ssid コマンドを実行すると、CLI が新しい SSID についての SSID 設定モードとなります。
特権 EXEC モードから、次の手順に従って SSID をグローバルに作成します。SSID を作成した後、それを特定の無線インターフェイスに割り当てることができます。
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SSID を作成し、新しい SSID の SSID 設定モードを入力します。SSID には、最大 32 文字の英数字を使用できます。SSID では、大文字と小文字が区別されます。 SSID には、最大 32 文字の英数字を使用でき、大文字と小文字が区別されます。
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(オプション)アクセス ポイントがリピータ モードのときにネットワークへの認証に使用する、認証ユーザ名とパスワードを設定します。リピータ アクセス ポイントがルート アクセス ポイントまたは別のリピータにアソシエートするために使用するユーザ名およびパスワードを、SSID に設定します。 |
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(オプション)この SSID の RADIUS アカウンティングを有効にします。list-name には、アカウンティング方式のリストを指定します。方式のリストの詳細は、次のリンクをクリックしてください。 |
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(オプション)ネットワーク上の VLAN に SSID を割り当てます。この SSID を使用してアソシエートするクライアント デバイスは、この VLAN にグループ化されます。1 つの VLAN には、1 つの SSID だけを割り当てることができます。 |
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(オプション)SSID をアクセス ポイントのゲスト モード SSID として指定します。アクセス ポイントはビーコンに SSID を追加し、SSID を指定していないクライアント デバイスからのアソシエーションを許可します。 |
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このコマンドは、アクセス ポイントとブリッジが互いにアソシエートする際に使用する SSID を制御します。ルート アクセス ポイントでは、インフラストラクチャ SSID を使用してアソシエートができるのは、リピータ アクセス ポイントだけです。ルート ブリッジでは、インフラストラクチャ SSID を使用してアソシエートができるのは、非ルート ブリッジだけです。リピータ アクセス ポイントと非ルート ブリッジは、この SSID を使用してルート アクセス ポイントとアソシエートします。 アクセス ポイントとブリッジの GUI では、リピータの役割、ワークグループ ブリッジの役割、非ルート ブリッジの役割にインフラストラクチャ SSID の設定が必要です。ただし、デバイスの役割の設定に CLI を使用すれば、複数の SSID が無線に設定されていない限り、インフラストラクチャ SSID の設定は不要になります。複数の SSID が無線に設定されている場合は、infrastructure-ssid コマンドを使用して、非ルート ブリッジがルート ブリッジとの接続に使用する SSID を指定する必要があります。 |
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SSID の割り当て先とする無線インターフェイスに対して、インターフェイス設定モードを開始します。 |
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ステップ 2 で作成したグローバル SSID を無線インターフェイスに割り当てます。 |
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SSID または SSID 機能を無効にする場合は、コマンドの no フォームを使用します。
- ・ SSID の名前の指定
- ・ RADIUS アカウンティングの SSID の設定
- ・ この SSID を使用してアソシエートするクライアント デバイスの最大数を 15 に設定
- ・ SSID の VLAN への割り当て
- ・ SSID の無線インターフェイスへの割り当て
AP(config-ssid)# accounting accounting-method-list
AP(config-ssid)# max-associations 15
AP(config)# interface dot11radio 0
グローバルに設定された SSID の表示
グローバルに設定された SSID の設定詳細を表示するには、次のコマンドを使用します。
AP# show running-config ssid ssid-string
SSID でのスペースの使用
Cisco IOS リリース 12.3(7)JA 以降では、SSID にスペースを含めることができますが、末尾のスペース(SSID の末尾のスペース)は無効になります。ただし、以前のバージョンで作成した SSID に末尾のスペースがある場合は、認識されます。末尾のスペースがあると、同じアクセス ポイント上で、同一の SSID が複数設定されているように表示されます。アクセス ポイント上で同一の複数の SSID があると考えられる場合は、特権 EXEC コマンド show dot11 associations を使用して、以前のリリースで作成した SSID に末尾にスペースがないか確認してください。
たとえば、次の特権 EXEC コマンド show configuration からの出力例では、SSID 中のスペースが表示されません。
ところが、次の特権 EXEC コマンド show dot11 associations からの出力例では、SSID 中のスペースが表示されます。
RADIUS サーバを使用した SSID の制限
クライアント デバイスが、不正な SSID を使用してアクセス ポイントにアソシエートするのを防ぐために、RADIUS 認証サーバでクライアントが使用する必要のある、許可された SSID のリストを作成します。
- 1. クライアント デバイスはアクセス ポイントに設定された任意の SSID を使用して、アクセス ポイントにアソシエートします。
- 2. クライアントは、RADIUS 認証を開始します。
- 3. RADIUS サーバは、クライアントが使用を許可された SSID のリストを返します。アクセス ポイントは、このリスト内に、クライアントが使用する SSID と一致する SSID があるかどうかをチェックします。次の 3 通りの結果が予測されます。
- a. クライアントがアクセス ポイントとのアソシエーションに使用した SSID が、RADIUS サーバが返した許可リスト内のエントリに一致する場合、クライアントはすべての認証要件を満たした後にネットワークへのアクセスを許可されます。
- b. アクセス ポイントが、SSID の許可リストにクライアントと一致するエントリを検出できなかった場合は、このクライアントはアソシエーションを解除されます。
- c. RADIUS サーバがクライアントに SSID をまったく返さない場合(リストなし)は、管理者がリストを設定していないことを意味します。この場合、クライアントはアソシエーションと認証の試行を許可されます。
RADIUS サーバの返す SSID の許可リストは、シスコ Vendor-Specific Attributes(VSA; ベンダー固有の属性)の形式です。Internet Engineering Task Force(IETF)のドラフト規格では、アクセス ポイントと RADIUS サーバ間で、ベンダー固有の属性(属性 26)を使用してベンダー固有の情報をやり取りする方法を指定しています。ベンダーは Vendor-Specific Attributes(VSA; ベンダー固有の属性)を使用して、汎用には適していない各社固有の拡張属性に対応できます。シスコの RADIUS 実装では、仕様で推奨される形式を使用することで、ベンダー固有オプションを 1 つサポートします。シスコのベンダー ID は 9 です。サポートされるオプションのベンダー タイプは 1 で、 cisco-avpair と名前が付けられています。RADIUS サーバには、クライアントあたり 0 以上の SSID VSA を指定できます。
次の例では、次の AV(属性値)ペアにより、ユーザの SSID 許可リストに SSID batman が追加されます。
VSA を認識して使用できるようにアクセス ポイントを設定する方法については、ベンダー専用の RADIUS サーバ通信用アクセス ポイントの設定を参照してください。
複数の基本 SSID の設定
アクセス ポイント 802.11a、802.11g、および 802.11n 無線が、Media Access Control(MAC; メディア アクセス制御)アドレスと同様、最大 8 つまでの Basic Service Set Identifier(BSSID; 基本サービス セット ID)をサポートできるようになりました。複数の BSSID を使用して SSID ごとに固有の Delivery Traffic Indication Message(DTIM)設定を割り当て、複数の SSID をビーコンに同報通信できます。DTIM を大きな値に設定すると、SSID を使用する省電力モードのクライアント デバイスではバッテリの寿命が延びます。また、複数の SSID を同報通信すると、ゲストがワイヤレス LAN にアクセスしやすくなります。
複数 BSSID の設定要件
複数の BSSID を設定するには、アクセス ポイントが少なくとも次の要件を満たしている必要があります。
- ・ VLAN が設定されていること。
- ・ アクセス ポイントが Cisco IOS Release 12.3(4)JA 以降を実行していること。
- ・ アクセス ポイントに、複数の BSSID をサポートする 802.11a または 802.11g 無線が組み込まれていること。無線が複数の基本 SSID をサポートしているかどうかを調べるには、show controllers radio_interface コマンドを入力してください。結果に次の行が含まれていれば、その無線は複数の基本 SSID をサポートしています。
Number of supported simultaneous BSSID on radio_interface: 8
複数の BSSID を使用する際のガイドライン
複数の BSSID を設定する際は、次のガイドラインに留意してください。
- ・ 複数の BSSID を有効に設定すると、RADIUS サーバによる VLAN 割り当て機能がサポートされなくなります。
- ・ BSSID を有効に設定すると、アクセス ポイントが各 SSID に BSSID を自動的にマッピングします。BSSID を特定の SSID に手動でマッピングすることはできません。
- ・ アクセス ポイントで複数の BSSID を有効に設定すると、SSIDL Information Element(SSIDL IE; SSIDL 情報エレメント)に SSID リストが追加されず、拡張機能だけが追加されます。
- ・ Wi-Fi 認定済みクライアント デバイスであれば、どれでも複数 BSSID を使用したアクセス ポイントにアソシエートできます。
- ・ Wireless Domain Services(WDS; 無線ドメイン サービス)を構成するアクセス ポイントでは、複数の BSSID を有効に設定できます。
複数の BSSID の設定
図7-1 Global SSID Manager ページ
ステップ 2 SSID フィールドに SSID 名を入力します。
ステップ 3 VLAN ドロップダウン メニューから、SSID を割り当てる VLAN を選択します。
ステップ 4 SSID を有効に設定している無線インターフェイスを選択します。無線インターフェイスに SSID を有効に設定しない限り、SSID はアクティブになりません。
ステップ 5 Network ID フィールドに、SSID のネットワーク ID を入力します。
ステップ 6 このページの Authentication Settings、Authenticated Key Management、Accounting Settings セクションから、認証、認証済みキー管理、アカウンティング設定を SSID に設定します。BSSID は、SSID でサポートされているすべての認証タイプをサポートします。
ステップ 7 (オプション)SSID をビーコンに追加するには、Multiple BSSID Beacon Settings セクションで Set SSID as Guest Mode チェックボックスをオンにします。
ステップ 8 (オプション)この SSID を使用する省電力モードのクライアントのバッテリの寿命を延ばすには、Set Data Beacon Rate (DTIM) チェックボックスをオンにして SSID のビーコン レートを入力します。ビーコン レートによって、Delivery Traffic Indicator Message(DTIM)を追加したビーコンをアクセス ポイントが送信する頻度が決まります。
DTIM を追加したビーコンをクライアント デバイスが受信すると、通常は、保留中のパケットをチェックするためにクライアント デバイスが再起動します。DTIM の間隔が長くなると、クライアントのスリープ時間が長くなり、電力を節約できます。反対に、DTIM の間隔が短くなるとパケットの受信の遅延を抑えられますが、クライアントが頻繁に起動するためバッテリ残量が消費されます。
デフォルトのビーコン レートは 2 に設定されています。つまり、ビーコン 1 つおきに DTIM が追加されます。ビーコン レートは 1 〜 100 の値で入力します。
ステップ 9 Guest Mode/Infrastructure SSID Settings セクションで、Multiple BSSID を選択します。
CLI の設定例
次の例は、無線インターフェイスで複数の BSSID を有効に設定する CLI コマンド、visitor を呼び出した SSID を作成する CLI コマンド、SSID を BSSID に指定する CLI コマンド、BSSID がビーコンに追加されていることを指定する CLI コマンド、BSSID に DTIM 間隔を設定する CLI コマンド、無線インターフェイスに SSID visitor を設定する CLI コマンドを示しています。
ap(config)# dot11 ssid visitor
ap(config-ssid)# mbssid guest-mode dtim-period 75
また、dot11 mbssid グローバル設定コマンドを使用すると、複数の BSSID をサポートしている無線インターフェイスで、複数の BSSID を同時に有効にすることもできます。
設定済み BSSID の表示
SSID と BSSID の関係、または MAC アドレスを表示するには、show dot11 bssid 特権 EXEC コマンドを使用します。次の例はコマンドの出力を示しています。
Dot11Radio1 0011.2161.b7c0 Yes atlantic
Dot11Radio0 0005.9a3e.7c0f Yes WPA2-TLS-g
SSID に対する IP リダイレクションの割り当て
SSID に IP リダイレクションを設定すると、その SSID にアソシエートされたクライアント デバイスからアクセス ポイントに送信されたパケットはすべて、指定した IP アドレスにリダイレクトされます。IP リダイレクションが主に使用されるのは、特定の IP アドレスと通信するように静的に設定され、中央にあるアプリケーションを使用するハンドヘルド デバイスをクライアントとする無線 LAN です。たとえば、小売店や商品倉庫の無線 LAN 管理者は、バー コード スキャナに IP リダイレクションを設定できます。これらすべてのバー コード スキャナでは、同じスキャナ アプリケーションが使用され、すべてのデータは同じ IP アドレスに送信されます。
SSID を使用してアソシエートされているクライアント デバイスからのパケットをすべてリダイレクトできるほか、アクセス コントロール リストで定義された特定の TCP ポートや User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)ポート宛てのパケットのみをリダイレクトすることもできます。特定のポート宛てのパケットのみがリダイレクトされるようにアクセス ポイントを設定すると、その SSID を使用しているクライアントからの該当のパケットがアクセス ポイントからリダイレクトされます。また、同じ SSID を使用しているクライアントからのその他のパケットは、アクセス ポイントで廃棄されます。
図7-2 は、IP リダイレクトが設定された SSID を使用してアソシエートされているクライアントからのパケットを、アクセス ポイントで受信した場合の処理フローを示しています。
図7-2 IP リダイレクションの処理フロー
IP リダイレクションを使用する際のガイドライン
IP リダイレクションを使用する際は、次のガイドラインに留意してください。
- ・ クライアント デバイスからブロードキャスト、ユニキャスト、またはマルチキャストで送信された BOOTP/DHCP パケットは、アクセス ポイントからリダイレクトされません。
- ・ 受信パケットに対する Access Control List(ACL; アクセス コントロール リスト)フィルタが存在する場合は、IP リダイレクションより優先して適用されます。
IP リダイレクションの設定
特権 EXEC モードから、次の手順に従って SSID に IP リダイレクションを設定します。
次の例は、ACL を適用せずに SSID に IP リダイレクションを設定する方法を示しています。batman という SSID にアソシエートされているクライアント デバイスから受信されたパケットはすべて、アクセス ポイントからリダイレクトされます。
AP(config)# interface dot11radio 0
AP(config-if-ssid)# ip redirection host 10.91.104.91
AP(config-if-ssid-redirect)# end
次の例は、BVI1 インターフェイスに適用済みの ACL で指定された特定の TCP ポートまたは UDP ポート宛てに送信されたパケットのみを対象とする IP リダイレクションを設定する方法を示しています。robin という SSID を使用してアソシエートされているクライアント デバイスから受信されたパケットは、指定の IP アドレス宛にアクセス ポイントからリダイレクトされます。それ以外のパケットはすべて破棄されます。
AP(config-if-ssid)# ip redirection host 10.91.104.91 access-group redirect-acl in
SSIDL IE への SSID の追加
アクセス ポイントのビーコンでアドバタイズできる SSID は、1 つのブロードキャスト SSID のみです。ただし、アクセス ポイントのビーコンに SSIDL IE を使用すれば、そのアクセス ポイントには他にも SSID があることをクライアント デバイスに通知できます。ある SSID を指定して SSIDL IE に追加しておくと、クライアント デバイスではその SSID の存在が検出され、さらにその SSID を使用したアソシエートに必要なセキュリティ設定も検出されます。
特権 EXEC モードから、次の手順に従って SSID を SSIDL IE に追加します。
SSIDL IE を無効にする場合は、コマンドの no フォームを使用します。
MBSSID の NAC サポート
ネットワークは、ウイルス、ワーム、スパイウェアなどのセキュリティ脅威から保護する必要があります。これらのセキュリティ脅威によって業務に支障をきたし、ダウンタイムが生じたり、パッチの適用に追われることになります。ネットワークにアクセスしようとするすべての有線/無線デバイスが、企業のセキュリティ ポリシーに適合するように、エンドポイントを視覚化して管理することが必要です。感染したエンドポイントや脆弱なエンドポイントを自動的に検出して切り離し、クリーンな状態にする必要があります。
NAC は、ネットワーク リソースにアクセスするすべての有線/無線のエンドポイント デバイス(PC、ノート パソコン、サーバ、PDA など)が適切にセキュリティ脅威から保護されるよう厳密に設計されています。NAC を使用することにより、企業は、ネットワークに参加するすべてのデバイスを分析して管理できるようになります。すべてのエンドポイント デバイスが企業のセキュリティ ポリシーに準拠し最新のセキュリティ保護策を確実に実行することにより、企業はウイルス感染やネットワークのセキュリティ侵害の経路となりやすいエンドポイント デバイスを大幅に削減または排除できます。
WLAN は、ウイルス、ワーム、スパイウェアなどのセキュリティ脅威からする必要があります。NAC アプライアンスも NAC フレームワークも、WLAN クライアントがネットワークにアクセスする際にデバイス セキュリティ ポリシーを施行することにより、WLAN をセキュリティ脅威から保護するよう対策を講じています。これらのソリューションは、ポリシーに準拠しない WLAN クライアントを検疫し、ポリシーに準拠するように修復するサービスを提供しています。
クライアントは、ソフトウェアのバージョンやウイルスのバージョンなどの状態に応じて、別々の VLAN に配置されます。必要なソフトウェアをダウンロードするよう VLAN を設定して、クライアントをネットワークのアクセスに必要なソフトウェアのバージョンにアップグレードします。NAC サポートには 4 つの VLAN が設定されます。そのうちの 1 つは通常の VLAN で、ここには、正しいソフトウェア バージョンを搭載したクライアントが配置されます。その他の VLAN は指定された検疫処理用に確保されています。クライアントがアップグレードされるまで、感染したすべてのクライアントはいずれか 1 つの VLAN に配置されます。
各 SSID では、最大 3 つの VLAN を「有害な」VLAN として設定できます。感染したクライアントは、感染状態に応じて、いずれか 1 つの VLAN に配置されます。クライアントがアソシエーション要求を送信すると、クライアントの感染ステータスをその要求に含めて RADIUS サーバへ送信します。クライアントを特定の VLAN に配置するポリシーのプロビジョニングが RADIUS サーバ上で行われます。
感染したクライアントがアクセス ポイントにアソシエートして RADIUS サーバにその状態を送信すると、RADIUS サーバは状態に応じてそのクライアントを検疫 VLAN の 1 つに配置します。この VLAN は、dot1x クライアント認証プロセスの途中で、RADIUS サーバの Access Accept 応答内で送信されます。クライアントが健全な状態で、NAC に準拠している場合、RADIUS サーバは通常の VLAN 割り当てを SSID に返し、クライアントは正しい VLAN と BSSID に配置されます。
各 SSID には、通常の VLAN が割り当てられます。通常の VLAN とは、健全なクライアントが配置される VLAN のことです。また、SSID では、状態に応じてクライアントが配置される検疫 VLAN 対応するバックアップ VLAN を最大 3 つまで設定できます。SSID 用のこれらの VLAN には、SSID の MBSSID によって割り当てた BSSID と同じものを使用します。
設定済み VLAN はそれぞれ異なり、同じ SSID 内で VLAN が重複することはできません。このため、VLAN を設定できるのは 1 つのインターフェイスにつき一度だけで、2 つの異なる SSID で VLAN は使用できません。
検疫 VLAN は、通常の VLAN を設定したインターフェイスで自動的に設定されます。検疫 VLAN は、通常 VLAN と同じ暗号プロパティを継承します。VLAN には、同じキー/認証タイプがあり、検疫 VLAN のキーは自動的に派生します。
dot11 サブインターフェイスが生成され、dot1q カプセル化 VLAN(設定済み VLAN 数と同数)と共に自動的に設定されます。また、有線側のサブインターフェイスも、ファースト イーサネット 0 サブインターフェイスのブリッジ グループ設定に合わせて自動的に設定されます。
クライアントがアソシエートして RADIUS サーバが有害な状態と判断すると、dot1x 認証の RADIUS 認証応答内でサーバが検疫 NAC の VLAN のいずれかを返します。この VLAN は、クライアントの SSID で設定したバックアップ用 VLAN のうちの 1 つでなくてはなりません。この VLAN が、既に設定したバックアップ用 VLAN のうちの 1 つでなければ、クライアントはアソシエートされません。
すべてのバックアップ用 VLAN に対応するデータは、SSID に割り当てられた BSSID を使用して送受信されます。このため、その SSID に対応する BSSID をリスニングしているすべてのクライアント(健全なクライアントおよび有害なクライアント)が再起動します。VLAN が健全か有害かに応じて、使用中のマルチキャスト キーに基づき、クライアントでパケットの復号化が行われます。有線側のトラフィックは、別の VLAN を使用しているため隔離されます。このようにして、感染したクライアントのトラフィックと感染していないクライアントのトラフィックが混ざらないようにしています。
次に示すように、dot11 ssid <ssid> では、これまでの vlan <name> | <id> に、新キーワード backup が追加されます。
vlan <name>|<id> [backup <name>|<id>, <name>|<id>, <name>|<id>
MBSSID への NAC 設定
図7-3 一般的な NAC ネットワーク設定
詳細は、シスコ無線ネットワークに NAC を展開する方法のマニュアルを参照してください。
アクセス ポイントの MBSSID に NAC を設定する手順は、次のとおりです。
ステップ 2 スタンドアロンのアクセス ポイントと、NAC 対応クライアントの EAP 認証を設定します。
ステップ 3 ポスチャを確認するため、ACS にローカル プロファイルを設定します。
ステップ 4 クライアントが EAP-FAST を使用して正常に認証できるよう、クライアントとアクセス ポイントを設定します。
ステップ 5 クライアントのポスチャが有効であることを確認します。
ステップ 6 認証とポスチャ確認が完了したら、クライアントがアクセス ポイントとアソシエートしていること、クライアントが制限のない VLAN に配置されていることを確認します。
dot11 mbssid
dot11 vlan-name engg-normal vlan 100
dot11 vlan-name engg-infected vlan 102
dot11 vlan-name mktg-normal vlan 101
dot11 vlan-name mktg-infected1 vlan 103
dot11 vlan-name mktg-infected2 vlan 104
dot11 vlan-name mktg-infected3 vlan 105
!
dot11 ssid engg
vlan engg-normal backup engg-infected
authentication open
authentication network-eap eap_methods
!
vlan mktg-normal backup mktg-infected1, mktg-infected2, mktg-infected3
authentication open
authentication network-eap eap_methods
encryption vlan engg-normal key 1 size 40bit 7 482CC74122FD transmit-key
encryption vlan engg-normal mode ciphers wep40
!
encryption vlan mktg-normal key 1 size 40bit 7 9C3A6F2CBFBC transmit-key
encryption vlan mktg-normal mode ciphers wep40
!
ssid engg
!
ssid mktg
!
speed basic-1.0 basic-2.0 basic-5.5 6.0 9.0 basic-11.0 12.0 18.0 24.0 36.0 48.0 54.0
station-role root
!
interface Dot11Radio0.100
encapsulation dot1Q 100 native
no ip route-cache
bridge-group 1
bridge-group 1 subscriber-loop-control
bridge-group 1 block-unknown-source
no bridge-group 1 source-learning
no bridge-group 1 unicast-flooding
bridge-group 1 spanning-disabled
interface Dot11Radio0.102
encapsulation dot1Q 102
no ip route-cache
bridge-group 102
bridge-group 102 subscriber-loop-control
bridge-group 102 block-unknown-source
no bridge-group 102 source-learning
no bridge-group 102 unicast-flooding
bridge-group 102 spanning-disabled
interface FastEthernet0
no ip address
no ip route-cache
duplex auto
speed auto
interface FastEthernet0.100
encapsulation dot1Q 100 native
no ip route-cache
no bridge-group 1 source-learning
bridge-group 1 spanning-disabled
no bridge-group 102 source-learning
