この章では、Catalyst 3560 スイッチで Hot Standby Router Protocol(HSRP)を使用する方法について説明します。HSRP は、IP トラフィック ルーティングに冗長性を提供し、1 台のルータのアベイラビリティに依存しないルーティングを実現します。Cisco IOS Release 12.2(35)SE で導入された、HSRP 追跡メカニズムを拡張する拡張オブジェクト追跡の設定に関する詳細も説明します。
レイヤ 2 モードの HSRP のバージョンを使用すると、クラスタ コマンド スイッチが故障した場合、クラスタ管理を引き継ぐ冗長コマンド スイッチを設定することもできます。クラスタリングの詳細については、 第5章 「スイッチのクラスタ化」 、および Cisco.com で利用できる『 Getting Started with Cisco Network Assistant 』を参照してください。
HSRP の概要
HSRP は、デフォルト ゲートウェイ IP アドレスが設定された IEEE 802 LAN 上の IP ホスト ファースト ホップに冗長性を確保しネットワークのアベイラビリティを高めるシスコの標準方式です。HSRP を使用すると、特定のルータのアベイラビリティに依存せず IP トラフィックをルーティングできます。また、一連のルータ インターフェイスを組み合わせることで、1 台の仮想ルータ、または LAN 上のホストへのデフォルト ゲートウェイのように機能させることができます。ネットワークまたはセグメント上に HSRP を設定すると、仮想 MAC(メディア アクセス制御)アドレス、および設定されたルータ グループ間で共有される IP アドレスを使用できるようになりHSRP が設定された複数のルータは、仮想ルータの MAC アドレスおよび IP ネットワーク アドレスを使用できるようになります。仮想ルータは、実際には存在しません。相互にバックアップ機能を提供するように設定されている複数のルータに、共通のターゲットを表すルータです。1 台のルータがアクティブなルータとして、もう 1 台のルータがスタンバイ ルータとして選択されます。スタンバイ ルータは、指定されたアクティブ ルータが故障した場合に、グループの MAC アドレスおよび IP アドレスを制御するルータです。
HSRP は、ネットワーク上のホストからの IP トラフィックに冗長性を提供することで、ネットワークのアベイラビリティを高めます。アクティブ ルータは、ルータ インターフェイスのグループ内でパケットのルーティングを実行するために選択されたルータです。スタンバイ ルータは、アクティブ ルータが故障した場合、または設定条件が満たされた場合に、ルーティング作業を引き継ぐルータです。
HSRP は、ホストがルータ ディスカバリ プロトコルをサポートしておらず、選択されたルータのリロードや電源故障時に新しいルータに切り替えることができない場合に有効です。HSRP をネットワーク セグメントに設定すると、HSRP は仮想 MAC アドレスと IP アドレスを 1 つずつ提供します。このアドレスは、HSRP が動作するルータ インターフェイス グループ内のルータ インターフェイス間で共有できます。プロトコルによってアクティブ ルータとして選択されたルータは、グループの MAC アドレス宛のパケットを受信し、ルーティングします。 n 台のルータで HSRP が稼働している場合、 n +1 個の IP アドレスおよび MAC アドレスが割り当てられます。
指定されたアクティブ ルータの故障を HSRP が検出すると、選択されているスタンバイ ルータがホット スタンバイ グループの MAC アドレスおよび IP アドレスの制御を引き継ぎます。この時点で新しいスタンバイ ルータも選択されます。HSRP が稼働しているデバイスは、マルチキャスト UDP ベースの hello パケットを送受信することにより、ルータ障害の検出、アクティブ ルータおよびスタンバイ ルータの指定を行います。インターフェイスに HSRP が設定されている場合、そのインターフェイスでは Internet Control Message Protocol(ICMP)のリダイレクト メッセージがデフォルトでディセーブルとなっています。
レイヤ 3 で動作する Catalyst 3560 スイッチ間で複数のホット スタンバイ グループを設定すると、冗長ルータをさらに活用できます。そのためには、インターフェイスに設定するホット スタンバイ コマンド グループごとにグループ番号を指定します。たとえば、スイッチ 1 のインターフェイスをアクティブ ルータ、スイッチ 2 のインターフェイスをスタンバイ ルータとして設定できます。また、スイッチ 2 の別のインターフェイスをアクティブ ルータ、スイッチ 1 の別のインターフェイスをスタンバイ ルータとして設定することもできます。
図38-1 に、HSRP 用に設定されたネットワークのセグメントを示します。各ルータには、仮想ルータの MAC アドレスおよび IP ネットワーク アドレスが設定されています。ルータ A の IP アドレスをネットワーク上のホストに設定する代わりに、デフォルト ルータである仮想ルータの IP アドレスを設定します。ホスト C からホスト B にパケットが送信される場合、ホスト C は仮想ルータの MAC アドレスにパケットを送信します。何らかの理由により、ルータ A がパケットの伝送を停止すると、ルータ B が仮想 IP アドレスおよび仮想 MAC アドレスに応答してアクティブ ルータとなり、アクティブ ルータの作業を行います。ホスト C は引き続き仮想ルータの IP アドレスを使用し、ホスト B 宛のパケットをアドレッシングします。ルータ B はそのパケットを受信し、ホスト B に送信します。ルータ B は HSRP の機能を使用し、ルータ A が動作を再開するまで、ホスト B のセグメント上のユーザと通信する必要があるホスト C のセグメント上のユーザに連続的にサービスを提供します。また、ホスト A セグメントとホスト B の間で、引き続き通常のパケット処理機能を実行します。
図38-1 HSRP の一般的な構成
Multiple HSRP
Cisco IOS Release 12.2(18)SE 以降では、Multiple HSRP(MHSRP)をサポートします。これは HSRP の拡張版で、複数の HSRP グループ間でロード シェアリングが可能です。ホスト ネットワークからサーバ ネットワークまで、ロード バランシングを実現して複数のスタンバイ グループ(およびパス)を使用するために、MHSRP を設定できます。 図38-2 では、半分のクライアントがルータ A に設定されており、もう半分はルータ B に設定されています。ルータ A およびルータ B の設定により、合計 2 つの HSRP グループが確立しています。グループ 1 では、ルータ A に最高のプライオリティが割り当てられているので、ルータ A がデフォルトのアクティブ ルータになり、ルータ B がスタンバイ ルータとなります。グループ 2 では、ルータ B に最高のプライオリティが割り当てられているので、ルータ B がデフォルトのアクティブ ルータになり、ルータ A がスタンバイ ルータとなります。通常の運用では、2 つのルータが IP トラフィック負荷を共有します。いずれかのルータが使用できなくなると、もう一方のルータがアクティブになり、使用できないルータのパケット転送機能を引き継ぎます。
設定手順の例については、 MHSRP の設定 を参照してください。
図38-2 MHSRP ロード シェアリング
HSRP の設定
- ・ HSRP のデフォルト設定
- ・ HSRP 設定時の注意事項
- ・ HSRP のイネーブル化
- ・ HSRP のプライオリティの設定
- ・ MHSRP の設定
- ・ HSRP 認証およびタイマーの設定
- ・ ICMP リダイレクト メッセージの HSRP サポートのイネーブル化
- ・ HSRP グループおよびクラスタリングの設定
HSRP のデフォルト設定
表38-1 に、HSRP のデフォルト設定を示します。
HSRP 設定時の注意事項
- ・ HSRP は最大 32 の VLAN またはルーティング インターフェイスに設定できます。
- ・ 以下の手順では、次に示すレイヤ 3 インターフェイスの 1 つを指定する必要があります。
- − ルーテッド ポート: no switchport インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力して、レイヤ 3 ポートとして設定された物理ポートです。
- − SVI: interface vlan vlan_id グローバル コンフィギュレーション コマンドによって作成された VLAN インターフェイスです。デフォルトではレイヤ 3 インターフェイスです。
- − レイヤ 3 モードの EtherChannel ポート チャネル: interface port-channel port- channel-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用し、イーサネット インターフェイスをチャネル グループにバインドして作成されたポートチャネル論理インターフェイスです。詳細については、 レイヤ 3 EtherChannel の設定 を参照してください。
- ・ すべてのレイヤ3インターフェイスに IP アドレスを割り当てる必要があります。 レイヤ 3 インターフェイスの設定 を参照してください。
HSRP のイネーブル化
standby ip インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを実行すると、設定されたインターフェイスで HSRP がアクティブになります。IP アドレスを指定した場合は、IP アドレスがホット スタンバイ グループの指定アドレスとして使用されます。IP アドレスを指定しなかった場合は、スタンバイ機能によって学習されます。指定アドレスを使用し、ケーブル上に少なくとも 1 つのルーティング ポートを設定する必要があります。IP アドレスを設定すると、常に、現在使用されている別の指定アドレスが、設定した IP アドレスに変更されます。
standby ip コマンドがインターフェイス上でイネーブルに設定され、プロキシ Address Resolution Protocol(ARP; アドレス解決プロトコル)がイネーブルの場合、インターフェイスのホット スタンバイ ステートがアクティブになると、プロキシ ARP 要求に対する応答は、ホット スタンバイ グループの MAC アドレスを使用して実行されます。インターフェイスが別のステートの場合、プロキシ ARP の応答は抑制されます。
レイヤ 3 インターフェイス上で HSRP を作成する場合、またはイネーブルにする場合は、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
HSRP をディセーブルにするには、 no standby [ group-number ] ip [ ip-address ] インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、ポートのグループ 1 で HSRP をアクティブにする例を示します。ホット スタンバイ グループで使用される IP アドレスは、HSRP を使用して学習されます。
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# standby 1 ip
HSRP のプライオリティの設定
standby priority 、 standby preempt 、および standby track インターフェイス コンフィギュレーション コマンドはいずれも、アクティブ ルータとスタンバイ ルータの特性、および新しいアクティブ ルータが処理を引き継いだ場合の動作を検索するために使用できます。
HSRP プライオリティを設定する場合の注意事項は、次のとおりです。
- ・ プライオリティを割り当てておくと、アクティブおよびスタンバイ ルータを選択するときに役立ちます。プリエンプトがイネーブルの場合は、プライオリティが最高のルータが指定アクティブ ルータになります。プライオリティが等しい場合は、プライマリ IP アドレスが比較されます。IP アドレスが大きいルータが優先されます。
- ・ 最大の値(1 〜 255)が、最高のプライオリティ(アクティブ ルータになる確率が最も高い)を表します。
- ・ プライオリティ、プリエンプト、またはその両方を設定するときは、少なくとも 1 つのキーワード( priority 、 preempt 、または両方)を指定する必要があります。
- ・ インターフェイスが standby track コマンドによって設定されている場合、ルータ上の別のインターフェイスがダウンすると、デバイスのプライオリティが動的に変更されることもあります。
- ・ standby track インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを実行すると、ルータのホット スタンバイ プライオリティとインターフェイスのアベイラビリティが関連付けられます。この機能は、HSRP 用に設定されていないインターフェイスを追跡する場合に有効です。追跡対象のインターフェイスが故障すると、追跡が設定されていたデバイスのホット スタンバイ プライオリティが 10 減少します。追跡対象でないインターフェイスの場合は、そのステートが変わっても、設定済みデバイスのホット スタンバイ プライオリティは変わりません。ホット スタンバイ用に設定されたインターフェイスごとに、追跡するインターフェイスのリストを個別に設定できます。
- ・ standby track interface-priority インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを実行すると、追跡対象のインターフェイスがダウンした場合のホット スタンバイ プライオリティの減少幅を指定できます。インターフェイスが稼働状態に戻ると、プライオリティは同じ分だけ増加します。
- ・ interface-priority 値が設定されている場合に、複数の追跡対象インターフェイスがダウンすると、設定済みプライオリティの減少幅が累積されます。プライオリティ値が設定されていない追跡対象インターフェイスが故障した場合、デフォルトの減少幅は 10 です。この値は累積されません。
- ・ インターフェイスに対してルーティングを最初にイネーブルにした時点で、完全なルーティング テーブルは存在しません。このインターフェイスがプリエンプトに設定されている場合はアクティブ ルータになりますが、十分なルーティング処理はできません。この問題を解決するには、ルータがルーティング テーブルを更新できるように遅延時間を設定します。
インターフェイスに HSRP プライオリティ特性を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
デフォルトのプライオリティ、プリエンプト、遅延値に戻すには、 no standby [ group-number ] priority priority [ preempt [ delay delay ]] および no standby [ group-number ] [ priority priority ] preempt [ delay delay ] インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
追跡を解除するには、 no standby [ group-number ] track type number [ interface-priority ] インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次の例では、ポートがアクティブになり、IP アドレスおよびプライオリティ 120(デフォルト値よりも高いプライオリティ)が設定されます。アクティブ ルータになるまでの待機時間は 300 秒(5 分間)です。
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# standby ip 172.20.128.3
Switch(config-if)# standby priority 120 preempt delay 300
MHSRP の設定
MHSRP およびロード バランシングをイネーブルにするには、グループのアクティブ ルータとして 2 つのルータを設定し、仮想ルータをスタンバイ ルータとして設定します。以下は、 図38-2 の MHSRP 設定をイネーブルにする例です。ルータに障害が発生して正常に戻った場合、プリエンプトを発生させてロード バランシングを復元するために、 standby preempt インターフェイス コンフィギュレーション コマンドをそれぞれの HSRP インターフェイスで入力する必要があります。
ルータ A はグループ 1 のアクティブ ルータとして、ルータBはグループ 2 のアクティブ ルータとして設定されています。ルータ A の HSRP インターフェイスの IP アドレスは 10.0.0.1、グループ 1 スタンバイ プライオリティは 110(デフォルトは 100)です。ルータ B の HSRP インターフェイスの IP アドレスは 10.0.0.2、グループ 2 スタンバイ プライオリティは 110 です。
グループ 1 は仮想 IP アドレス 10.0.0.3 を使用し、グループ 2 は仮想 IP アドレス 10.0.0.4 を使用します。
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# ip address 10.0.0.1 255.255.255.0
Switch(config-if)# standby 1 ip 10.0.0.3
Switch(config-if)# standby 1 priority 110
Switch(config-if)# standby 1 preempt
Switch(config-if)# standby 2 ip 10.0.0.4
Switch(config-if)# standby 2 preempt
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# ip address 10.0.0.2 255.255.255.0
Switch(config-if)# standby 1 ip 10.0.0.3
Switch(config-if)# standby 1 preempt
Switch(config-if)# standby 2 ip 10.0.0.4
Switch(config-if)# standby 2 priority 110
Switch(config-if)# standby 2 preempt
HSRP 認証およびタイマーの設定
HSRP 認証ストリングを設定したり、hello 時間インターバルやホールドタイムを変更することもできます。
これらのアトリビュートを設定する場合の注意事項は次のとおりです。
- ・ 認証ストリングはすべての HSRP メッセージに暗号化されずに送信されます。相互運用できるように、接続されたすべてのルータおよびアクセス サーバに同じ認証ストリングを設定する必要があります。認証ストリングが一致しないと、HSRP によって設定された他のルータから、指定されたホット スタンバイ IP アドレスおよびタイマー値を取得することができません。
- ・ スタンバイ タイマー値が設定されていないルータまたはアクセス サーバは、アクティブ ルータまたはスタンバイ ルータからタイマー値を取得できます。アクティブ ルータに設定されたタイマーは、常に他のタイマー設定よりも優先されます。
- ・ ホット スタンバイ グループのすべてのルータで、同じタイマー値を使用する必要があります。通常の場合、 holdtime は hellotime の 3 倍以上です。
インターフェイスに HSRP の認証とタイマーを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
(任意) authentication string ― すべての HSRP メッセージで伝達されるストリングを入力します。認証ストリングには 8 文字までを指定できます。デフォルト ストリングは cisco です。 |
||
認証ストリングを削除するには、 no standby [ group-number ] authentication string インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。タイマーをデフォルト値に戻すには、 no sta ndby [ group-number ] timers hellotime holdtime インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、グループ 1 のホット スタンバイ ルータを相互運用させるために必要な認証ストリングとして、 word を設定する例を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# standby 1 authentication word
次に、hello パケット間隔が 5 秒、ルータがダウンしたとみなされるまでの時間が 15 秒となるように、スタンバイ グループ 1 のタイマーを設定する例を示します。
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# no switchport
Switch(config-if)# standby 1 ip
Switch(config-if)# standby 1 timers 5 15
ICMP リダイレクト メッセージの HSRP サポートのイネーブル化
Cisco Release 12.2(18)SE より以前のリリースでは、HSRP が設定されたインターフェイスで ICMP リダイレクト メッセージは自動的にディセーブルでした。ICMP は、エラーをレポートするためのメッセージ パケットや IP 処理に関連する他の情報を提供する、ネットワーク レイヤ インターネット プロトコルです。ICMP には、ホストヘのエラー パケットの方向付けや送信などの診断機能があります。
スイッチで HSRP が動作している場合、ホストが HSRP グループ内のルータのインターフェイス(または実際の)MAC アドレスを検出できないことに注意してください。ICMP によってホストがルータの実際の MAC アドレスへリダイレクトされて、そのルータに障害が発生した場合、ホストからのパケットは消失します。
Cisco IOS Release 12.2(18)SE 以降では、ICMP リダイレクト メッセージは HSRP を設定したインターフェイスで自動的にイネーブルになります。この機能は、HSRP を介した発信 ICMP リダイレクト メッセージをフィルタリングします。ここでは、ネクスト ホップ IP アドレスが HSRP 仮想 IP アドレスに変更されます。詳細については、『 Cisco IOS IP Configuration Guide 』Release 12.2 を参照してください。
HSRP グループおよびクラスタリングの設定
デバイスが HSRP スタンバイ ルーティングに参加し、クラスタリングがイネーブルの場合は、同じスタンバイ グループを使用して、コマンド スイッチの冗長性および HSRP の冗長性を確保できます。同じ HSRP スタンバイ グループをイネーブルにし、コマンド スイッチおよびルーティングの冗長性を確保するには、 cluster standby-group HSRP-group-name [ routing-redundancy ] グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。 routing-redundancy キーワードを指定せずに同じ HSRP スタンバイ グループ名でクラスタを作成すると、そのグループに対する HSRP スタンバイ ルーティングはディセーブルになります。
次に、スタンバイ グループ my_hsrp をクラスタにバインドし、同じ HSRP グループをイネーブルにしてコマンド スイッチおよびルータの冗長性を確保する例を示します。このコマンドを実行できるのは、コマンド スイッチに対してのみです。スタンバイ グループの名前または番号が存在しない場合、またはスイッチがクラスタ メンバーである場合は、エラー メッセージが表示されます。
Switch(config)# cluster standby-group my_hsrp routing-redundancy
HSRP 設定の表示
HSRP 設定を表示するには、次の特権 EXEC コマンドを使用します。
show standby [ interface-id [ group ]] [ brief ] [ detail ]
スイッチ全体、特定のインターフェイス、HSRP グループ、またはインターフェイスの HSRP グループに関する HSRP 情報を表示できます。HSRP 情報の概要または詳細のいずれを表示するかを指定することもできます。デフォルト表示は detail です。多数の HSRP グループがある場合に、修飾子を指定しないで show standby コマンドを使用すると、正確に表示されないことがあります。
次に、 show standby 特権 EXEC コマンドを実行し、2 つのスタンバイ グループ(グループ 1 およびグループ 100)の HSRP 情報を表示する例を示します。
Local state is Standby, priority 105, may preempt
Next hello sent in 00:00:02.182
Hot standby IP address is 172.20.128.3 configured
Active router is 172.20.128.1 expires in 00:00:09
Standby virtual mac address is 0000.0c07.ac01
Local state is Active, priority 105, may preempt
Next hello sent in 00:00:02.262
Hot standby IP address is 172.20.138.51 configured
Standby router is unknown expired
Standby virtual mac address is 0000.0c07.ac64
HSRP および拡張オブジェクト追跡の設定
HSRP には、インターフェイスのラインプロトコル ステートを追跡するメカニズムがあります。拡張オブジェクト追跡機能は、HSRP から追跡メカニズムを分離したものです。この機能は、HSRP 以外のプロセスで使用可能な個別のスタンドアロン型追跡プロセスを作成します。この機能により、インターフェイスのラインプロトコル ステートに加えて他のオブジェクトの追跡が可能になります。HSRP などのクライアント プロセスでは、追跡オブジェクトの対象を登録して、追跡されたオブジェクトがステートを変更した時に通知を要求することができます。複数のクライアントが同じオブジェクトを追跡することができ、オブジェクトのステート変更時に個別のアクションを実行することができます。この機能により、ルータ システムの可用性と回復スピードが向上し、停止および停止期間が減少します。
拡張オブジェクト追跡およびこれを設定するためのコマンドの詳細については、次の URL にアクセスしてください。
http://www.cisco.com/en/US/products/sw/iosswrel/ps1839/products_feature_guide09186a00801541be.html
拡張オブジェクト追跡の概要
各追跡オブジェクトには、追跡 CLI(コマンド ライン インターフェイス)で指定される一意の番号があります。クライアント プロセスでは、この番号を使用して特定のオブジェクトを追跡します。追跡プロセスでは、値の変更(増加または減少値)について定期的に追跡オブジェクトをポーリングし、即時または指定した時間後に、対象のクライアント プロセスに変更を送信します。
また、リストのステートを測定するためにウェイト スレッシュホールドまたはパーセンテージ スレッシュホールドのいずれかを使用してリスト内のオブジェクトを組み合わせて追跡することも可能です。ブール論理を使用してオブジェクトを組み合わせることが可能です。ブール AND 機能のある追跡リストでは、アップになっている追跡オブジェクトに対して、リスト内の各オブジェクトがアップ ステートになっている必要があります。ブール OR 機能のある追跡リストでは、アップになっている追跡オブジェクトに対して、リスト内の 1 つのオブジェクトのみがアップ ステートになっている必要があります。
拡張オブジェクト追跡機能の設定
ここでは、次のような拡張オブジェクト追跡の設定について説明します。
インターフェイスのラインプロトコルまたは IP ルーティング ステートの追跡
ライン プロトコル ステートまたはインターフェイス IP ルーティング ステートを追跡することができます。アップになっているオブジェクトに対して、IP ルーティング ステートを追跡する場合、IP ルーティングがインターフェイス上でイネーブルでアクティブで、インターフェイスのライン プロトコル ステートは アップで、インターフェイス IP アドレスが既知のものでなければいけません。これら 3 つの条件を満たす必要があり、満たさない場合は IP ルーティング ステートがダウンとなります。
インターフェイスのラインプロトコル ステートまたは IP ルーティング ステートを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
次に、インターフェイスのラインプロトコル ステートを追跡して、その設定を確認する例を示します。
Switch(config)# track 33 interface gigabitethernet 0/1 line-protocol
Interface GigabitEthernet0/1 line-protocol
Line protocol is Down (hw down)
1 change, last change 00:18:28
追跡リストの設定
ブール論理式、ウェイト スレッシュホールド、パーセンテージ スレッシュホールドを使用して、オブジェクトの追跡リストを設定することができます。追跡リストには、1 つまたは複数のオブジェクトが含まれています。追跡リストに追加する前に、オブジェクトが存在していなければなりません。
- ・ ブール論理式を設定して、AND または OR 演算子を使用して計算を指定します。たとえば、AND 演算子を使用して複数のインターフェイスを追跡する場合、 up はすべてのインターフェイスがアップで、 down は少なくとも 1 つのインターフェイスがダウンであることを意味します。
- ・ ウェイト スレッシュホールドで追跡リスト ステートを測定する場合、重み値を追跡リスト内の各オブジェクトに割り当てます。追跡リストのステートは、しきい値に一致するかどうかで決定されます。各オブジェクトのステートは、全オブジェクトの合計重みと各オブジェクトのウェイト スレッシュホールドを比較することで決定されます。
- ・ パーセンテージ スレッシュホールドで追跡リスト ステートを測定する場合、パーセンテージ スレッシュホールドを追跡リスト内の各オブジェクトに割り当てます。各オブジェクトに割り当てられたパーセンテージとリストを比較して、各オブジェクトのステートが決定されます。
ブール論理式
ブール論理式を使用して追跡リストを設定することにより、AND または OR 演算子を使用して計算することができます。たとえば、AND 演算子を使用して 2 つのインターフェイスを追跡する場合、 up は両方のインターフェイスがアップで、 down はいずれかのインターフェイスがダウンであることを意味します。
ブール論理式を使用してオブジェクトの追跡リストを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
追跡リストを削除する場合は、 no track track-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、2 つのオブジェクトが含まれていて、そのうちの 1 つのオブジェクトのステートが偽のものを含む、ブール AND 論理式を使用して追跡リスト 4 を設定する例を示します。リストがアップの場合、リストでオブジェクト 2 がダウンであることが検出されます。
Switch(config)# track 4 list boolean and
Switch(config-track)# object 1
Switch(config-track)# object 2 not
ウェイト スレッシュホールド
ウェイト スレッシュホールドを追跡するには、オブジェクトの追跡リストを設定し、しきい値として使用する重みを指定し、各オブジェクトの重みを設定します。各オブジェクトのステートは、アップ ステートの全オブジェクトの合計重みと各オブジェクトのウェイト スレッシュホールドを比較することで決定されます。
ブール NOT 演算子をウェイト スレッシュホールド リストに使用することができません。
ウェイト スレッシュホールドを使用して追跡リストを設定し、各オブジェクトの重みを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
追跡リストを削除する場合は、no track track-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次の例では、ウェイト スレッシュホールドで追跡するように追跡リスト 4 を設定します。オブジェクト 1 およびオブジェクト 2 がダウンしている場合、オブジェクト 3 はアップのしきい値(最大 30)を満たしているため、トラック リスト 4 がアップになります。ただし、オブジェクト 3 がダウンしている場合、オブジェクト 1 および 2 は、しきい値のウェイトを満たす必要があるためアップでなければなりません。
Switch(config)# track 4 list threshold weight
Switch(config-track)# object 1 weight 15
Switch(config-track)# object 2 weight 20
Switch(config-track)# object 3 weight 30
Switch(config-track)# threshold weight up 30 down 10
この設定は、オブジェクト 1 とオブジェクト 2 が 2 つの小帯域幅の接続を表し、オブジェクト 3 が 1 つの大帯域幅の接続を表している場合に効果的です。設定された down 10 値は、追跡オブジェクトがアップになると、しきい値が 10 以下になるまでダウンにならないことになりますが、この例ではすべての接続がダウンになります。
パーセンテージ スレッシュホールド
パーセンテージ スレッシュホールドを追跡するには、オブジェクトの追跡リストを設定し、しきい値として使用するパーセンテージを指定し、リスト内にある各オブジェクトのパーセンテージを指定します。各オブジェクトに割り当てられたパーセンテージとリストを比較して、各オブジェクトのステートが決定されます。
ブール NOT 演算子をパーセンテージ スレッシュホールド リストに使用することができません。
パーセンテージ スレッシュホールドを使用してオブジェクトの追跡リストを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
追跡リストを削除する場合は、 no track track-number グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
次に、3 つのオブジェクトと、リストのステートを測定するために指定したパーセンテージがある追跡リスト 4 を設定する例を示します。
Switch(config)# track 4 list threshold percentage
Switch(config-track)# object 1
Switch(config-track)# object 2
Switch(config-track)# object 3
Switch(config-track)# threshold percentage up 51 down 10
HSRP オブジェクト追跡の設定
スタンバイ HSRP グループを設定し、オブジェクト ステートに基づいてオブジェクトを追跡して HSRP 優先度を変更するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
|
track object-number { interface interface-id { line-protocol | i p routing} | ip route ip-address/prefix-length { metric threshold | reachability} | list { boolean { and | or }} | { threshold { weight | percentage }}} |
(任意)設定ステートを追跡するために追跡リストを作成し、トラッキング コンフィギュレーション モードを開始します。
|
|
|
HSRP グループの番号および仮想 IP アドレスを使用して、HSRP グループを作成(またはイネーブルに)します。
|
||
|
standby [ group-number ] track object-number [ decrement [ priority-decrement ]] |
HSRP を設定して、オブジェクトを追跡し、オブジェクトのステートに基づいてホット スタンバイ プライオリティを変更します。 |
|
他のインターフェイス特性の設定
拡張オブジェクト追跡を他の特性の追跡にも使用することができます。
- ・ track ip route reachability グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して IP ルートの到達可能性を追跡することができます。
- ・ track ip route metric threshold グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、ルートがしきい値を超えるのか下回るのかを判別することができます。
- ・ track resolution グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、ルーティング プロトコルのメトリック分解能のデフォルト値を変更することができます。
- ・ track timer トラッキング コンフィギュレーション コマンドを使用して、定期的に追跡オブジェクトをポーリングするための追跡プロセスを設定することができます。
拡張オブジェクト追跡設定を確認するには、 show track 特権 EXEC コマンドを使用します。
拡張オブジェクト追跡およびこれを設定するためのコマンドの詳細については、次の URL にアクセスしてください。
http://www.cisco.com/en/US/products/sw/iosswrel/ps1839/products_feature_guide09186a00801541be.html
