ここでは、Catalyst 3560 スイッチ上の Flex Link を設定する方法について説明します。これは、相互にバックアップするのに使用するインターフェイス ペアです。また、MAC(メディア アクセス制御)アドレス テーブル移動更新機能の設定方法についても説明します(Flex Link の双方向高速コンバージェンス機能でも参照できます)。
- ・ Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要
- ・ Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
- ・ Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能のモニタ
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要
Flex Link
Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、一方のインターフェイスが他方のインターフェイスのバックアップとして動作するように設定されています。この機能は、Spanning Tree Protocol(STP; スパニングツリー プロトコル)の代替ソリューションとして役立ちます。Flex Link があれば、STP をディセーブルにしても基本的なリンクの冗長性は失われません。Flex Link は一般的に、カスタマーがスイッチで STP を稼働したくない場合に、サービス プロバイダーまたは企業ネットワークで設定されます。スイッチで STP が稼働している場合、すでに STP がリンクレベルの冗長性またはバックアップ機能を提供しているので、Flex Link を設定する必要はありません。
一方のレイヤ 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、他方のレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に Flex Link を設定できます。一方のリンクがアップ状態でトラフィックを転送する場合、他方のリンクはスタンバイ モードになって、シャット ダウンした場合にトラフィックを転送する準備をします。指定された時間に、インターフェイス 1 つだけが linkup ステートになってトラフィックを転送します。プライマリ リンクがシャット ダウンした場合、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始します。アクティブ リンクがバックアップ状態になった場合、リンクはスタンバイ モードになって、トラフィックは転送されません。Flex Link インターフェイスでは、STP はディセーブルです。
図20-1 では、スイッチ A のポート 1 および 2 はアップリンク スイッチ B および C と接続されています。ポートは Flex Link として設定されているので、インターフェイスのうち 1 つだけがトラフィックを転送し、残りのインターフェイスがスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクの場合、ポート 1 とスイッチ B の間でトラフィックの転送を開始します。ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C の間のリンクは、トラフィックを転送しません。ポート 1 がダウンした場合、ポート 2 がアップ状態になってスイッチ C へのトラフィックの転送を開始します。ポート 1 が再びバックアップ状態になった場合、ポート 1 はスタンバイ モードになってトラフィックは転送しません。ポート 2 はトラフィックを転送し続けます。
また、トラフィックの転送に優先ポートを指定して、プリエンプト メカニズムを設定するように選択できます。たとえば、 図20-1 の例では、Flex Link ペアをプリエンプト モードで設定することができます。以下のシナリオでは、ポート 1 がバックアップとなってポート 2 の帯域幅より広い場合は、ポート 1 が 60 秒後にトラフィックの転送を開始します。ポート 2 がスタンバイ ポートになります。これは、 switchport backup interface preemption mode bandwidth および switchport backup interface preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力することで実行できます。
図20-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送)リンクがダウンした場合、トラップはネットワーク管理ステーションに通知します。スタンバイ リンクがダウンした場合、トラップはユーザに通知します。
Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルでのみサポートされ、VLAN やレイヤ 3 ポートではサポートされません。
MAC アドレス テーブル移動更新
MAC アドレス テーブル移動更新機能を使用すると、プライマリ(フォワーディング)リンクがダウンし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始するときに、スイッチで双方向の高速コンバージェンスを提供できます。
図20-2 のスイッチ A はアクセス スイッチで、ポート 1 およびポート 2 は、Flex Link のペアを介してアップリンク スイッチ B および D に接続されています。ポート 1 はトラフィックを転送し、ポート 2 はバックアップ ステート状態です。PC からサーバへのトラフィック転送は、ポート 1 から ポート 3 へ流れます。PC の MAC アドレスはスイッチ C のポート 3 で学習されます。サーバから PC へのトラフィック転送は、ポート 3 からポート 1 へ流れます。
MAC アドレス テーブル移動更新機能が設定されていない状態でポート 1 がダウンすると、ポート 2 がトラフィック転送を開始します。短時間、スイッチ C はポート 3 を使用してサーバから PC へのトラフィックを転送しますが、PC はポート 1 がダウンしているため、そのトラフィックを受信しません。スイッチ C がポート 3 の PC の MAC アドレスを削除してポート 4 で再度学習すると、サーバから PC へのトラフィックを転送できます(ポート 2 を使用します)。
図20-2 で、MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定してスイッチ上でイネーブルにしている場合、ポート 1 がダウンしても、ポート 2 がPC からサーバへトラフィック転送を開始します。スイッチは MAC アドレス テーブル移動更新パケットをポート 2 から送信します。スイッチ C はこのパケットをポート 4 で受信すると、すぐに PC のポート 4 の MAC アドレスを学習するので、コンバージェンスを繰り返す時間を短縮できます。
アクセス スイッチ(スイッチ A)を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 できます。また、アップリンク スイッチ B、C、D を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 し、処理することもできます。スイッチ C は MAC アドレス テーブル移動更新メッセージをスイッチ A から受信すると、PC のポート 4 の MAC アドレスを学習します。次に、スイッチ C は PC のフォワーディング テーブルのエントリを含む MAC アドレス テーブルを更新します。スイッチ C はすぐにポート 4 を使用してサーバから PC へトラフィックの転送を開始するため、サーバから PC へのトラフィックの損失を軽減できます。
図20-2 MAC アドレス テーブル移動更新の設定例
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
設定時の注意事項
Flex Link を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
- ・ アクティブ リンクに対し、Flex Link のバックアップ リンクを 1 つのみ設定できます。このリンクはアクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスである必要があります。
- ・ インターフェイスは Flex Link ペアの 1 つにのみ、所属できます。インターフェイスは 1 つのアクティブ リンクに対してのみ、バックアップ リンクになれます。アクティブ リンクは別の Flex Link ペアに所属できません。
- ・ どちらのリンクも EtherChannel のポートにはなれません。ただし、ポート チャネルまたは物理インターフェイスのいずれかがアクティブ リンクである場合、ポート チャネル 2 つ(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として、またポート チャネルと物理インターフェイスを Flex Link として設定できます。
- ・ バックアップ リンクはアクティブ リンクと同じタイプ(ファスト イーサネット、ギガビット イーサネット、またはポート チャネル)にする必要はありません。ただし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始した場合に、ループや動作変更が起きないように、両方の Flex Link を類似の特性で設定する必要があります。
- ・ Flex Link ポートでは、STP はディセーブルです。ポートの VLAN に STP が設定されていても、Flex Link ポートは STP に参加しません。STP がイネーブルでない場合、設定したトポロジでループが発生しないようにしてください。
MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
- ・ MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 する場合、この機能をアクセス スイッチに設定してイネーブルにします。
- ・ MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 する場合、この機能をアップリンク スイッチに設定してイネーブルにします。
デフォルト設定
Flex Link は設定されていません。また、バックアップ インターフェイスも定義されていません。
MAC アドレス テーブル移動更新機能はスイッチに設定されていません。
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
Flex Link の設定
Flex Link のペアを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
次に、バックアップ インターフェイスを装備し、設定を確認するようにインターフェイスを設定する例を示します。
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2
Switch# show interface switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/1 GigabitEthernet0/2 Active Up/Backup Standby
Flex Link のペアのプリエンプト方式を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
次に、バックアップ インターフェイス ペアに対して forced としてプリエンプト モードを設定して設定を確認する例を示します。
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 preemption mode forced
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 preemption delay 50
Switch#
show interface switchport backup detail
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/21 GigabitEthernet0/2 Active Up/Backup Standby
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi0/1), 100000 Kbit (Gi0/2)
Mac Address Move Update Vlan : auto
MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するようにアクセス スイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update transmit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するように、アクセス スイッチを設定する例を示します。
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 mmu primary vlan 2
Switch(conf)# mac address-table move update transmit
Switch# show mac-address-table move update
Dst mac-address : 0180.c200.0010
Vlans/Macs supported : 1023/8320
Default/Current settings: Rcv Off/On, Xmt Off/On
Max packets per min : Rcv 40, Xmt 60
Rcv conforming packet count : 5
Rcv threshold exceed count : 0
Rcv last sequence# this min : 0
Rcv last src-mac-address : 000b.462d.c502
Rcv last switch-ID : 0403.fd6a.8700
Xmt threshold exceed count : 0
MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信するようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。
MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update receive コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信して、その処理を実行できるようにスイッチを設定する例を示します。
Switch(conf)# mac address-table move update receive
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能のモニタ
表20-1 に、Flex Link 設定および MAC アドレス テーブル移動更新情報をモニタする特権 EXEC コマンドを示します。
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1 つのインターフェイスに設定された Flex Link バックアップ インターフェイス、または設定した Flex Link すべてと、アクティブおよびバックアップ インターフェイスそれぞれのステート(アップまたはスタンバイ モード)を表示します。 |
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