この章では、Flex Link を設定する方法について説明します。Flex Link は、Catalyst 3550 スイッチ上にあるインターフェイスのペアで、相互バックアップに使用します。また、MAC(メディア アクセス制御)アドレステーブル移行更新機能(Flex Link 双方向高速コンバージェンス機能)を設定する方法についても説明します。特に明記していない限り、 スイッチ という用語はスタンドアロン スイッチのことを指します。
- ・ Flex Link および MAC アドレステーブル移行更新の概要
- ・ Flex Link および MAC アドレステーブル移行更新の設定
- ・ Flex Link および MAC アドレステーブル移行更新のモニタ
Flex Link および MAC アドレステーブル移行更新の概要
Flex Link
Flex Link は レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、一方のインターフェイスがもう一方のバックアップとして機能するように設定されています。この機能は、Spanning-Tree Protocol(STP; スパニングツリー プロトコル)の代替ソリューションとして提供されます。ユーザは、STP をディセーブルにしても基本的なリンク冗長性を保つことができます。Flex Link は通常、カスタマーがスイッチで STP を実行しない場合のサービス プロバイダーまたは企業ネットワークに設定されています。スイッチで STP が実行されている場合、STP がすでにリンクレベルの冗長性やバックアップを提供しているため、Flex Link を設定する必要はありません。
別のリンク 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、Flex Link を 1 つのレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に設定します。Flex Link を同一スイッチ上に設定できます。リンクの 1 つがアップでトラフィックを転送しているときは、もう一方のリンクがスタンバイ モードで、もう一方のリンクがシャットダウンした場合にトラフィックの転送を開始できるように準備しています。どの時点でも、1 つのインターフェイスのみがリンクアップ ステートでトラフィックを転送しています。プライマリ リンクがシャット ダウンすると、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始します。アクティブ リンクは、アップに戻るとスタンバイ モードになってトラフィックを転送しなくなります。Flex Link インターフェイスでは、STP はディセーブルです。
図18-1 では、スイッチ A のポート 1 とポート 2 がアップリンク スイッチ B とスイッチ C に接続されています。これらは Flex Link として設定されているので、インターフェイスの中の 1 つのみがトラフィックを転送し、もう一方はスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクの場合、ポート 1 とスイッチ B との間でトラフィックの転送を開始します。ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C との間のリンクでトラフィックは転送されません。ポート 1 がダウンすると、ポート 2 がアップしてトラフィックをスイッチ C に転送し始めます。ポート 1 は、アップに戻るとスタンバイ モードになりトラフィックは転送しません。ポート 2 がトラフィックの転送を継続します。
オプションで、プリエンプション メカニズムを設定して、トラフィックを転送する優先ポートを指定できます。たとえば、上記の Flex Link ペアにプリエンプション モードを設定すると、上記のシナリオでポート 1 がアップに戻ったら、ポート 2 よりも帯域幅が広い場合には、ポート 1 が 60 秒後にトラフィックを転送して、ポート 2 がスタンバイ モードになります。これは、プリエンプション モード帯域幅と遅延コマンドを入力することで実行できます。
図18-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送中)リンクがダウンすると、トラップがネットワーク管理ステーションに通知します。スタンバイ リンクがダウンする場合、トラップはユーザに通知します。
Flex Link は、レイヤ 2 ポートとポート チャネル上のみでサポートされ、VLAN や レイヤ 3 ポート上ではサポートされません。
MAC アドレステーブル移行更新
MAC アドレステーブル移行更新機能により、プライマリ(転送中)リンクがダウンしてスタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始したときに、スイッチは双方向高速コンバージェンスを提供することができます。
図18-2 では、スイッチ A がアクセス スイッチで、スイッチ A 上のポート 1 とポート 2 が、Flex Link ペアを介してアップリンク スイッチ B とスイッチ D に接続されています。ポート 1 がトラフィックを転送中で、ポート 2 がバックアップ ステートです。PC からサーバへのトラフィックが ポート 1 から ポート 3 へ転送されています。PC の MAC アドレスは スイッチ C のポート 3 で学習されています。サーバから PC へのトラフィックは ポート 3 から ポート 1 へ転送されています。
MAC アドレステーブル 移行更新機能が設定されていない場合にポート 1 がダウンすると、ポート 2 はトラフィックの転送を開始します。ただし、スイッチ C は一時的にサーバから PC へのトラフィックをポート 3 から転送し続けるので、ポート 1 がダウンしているために PC はトラフィックを受信できません。スイッチ C がポート 3 にある PC の MAC アドレスを削除してこれをポート 4 上で再学習すると、ポート 2 を介してトラフィックがサーバから PC へ転送できるようになります。
図18-2 のスイッチで、MAC アドレステーブル移行更新機能が設定されていて、イネーブルになっている場合にポート 1 がダウンすると、ポート 2 は PC からサーバへのトラフィックの転送を開始します。スイッチは MAC アドレステーブル移行更新パケットをポート 2 から送信します。スイッチ C はこのパケットをポート 4 で受信し、即座に PC の MAC アドレスをポート 4 上で学習します。これにより、再コンバージェンス時間が削減されます。
MAC アドレステーブル移行更新メッセージを 送信 するように、アクセス スイッチであるスイッチ A を設定できます。また、MAC アドレステーブル移行更新メッセージを 受信 するように、アップリンク スイッチ B、C、D を設定できます。スイッチ C が MAC アドレステーブル移行更新メッセージをスイッチ A から取得すると、スイッチ C はポート 4 で PC の MAC アドレスを学習します。スイッチ C は、PC の転送テーブル エントリを含む MAC アドレス テーブルを更新します。次に、スイッチはポート 4 を介してサーバから PC へのトラフィックの転送を開始します。これにより、サーバから PC へのトラフィックの損失を減らすことになります。
図18-2 MAC アドレステーブル移行更新の例
Flex Link および MAC アドレステーブル移行更新の設定
設定時の注意事項
Flex Link を設定する場合、次の注意事項に従ってください。
- ・ アクティブ リンクごとに設定できる Flex Link バックアップ リンクは 1 つだけで、アクティブ インターフェイスとは別のインターフェイスでなければなりません。
- ・ インターフェイスは 1 つの Flex Link ペアにのみ属することができます。1 つのインターフェイスがバックアップ リンクとなれるアクティブ リンクは 1 つだけです。アクティブ リンクは別の Flex Link ペアに属することはできません。
- ・ どちらのリンクも EtherChannel に属するポートとすることはできません。ただし、2 つのポート チャネル(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として設定でき、ポート チャネルと物理インターフェイスを Flex Link として設定し、ポート チャネルまたは物理インターフェイスをアクティブ リンクとすることができます。
- ・ バックアップ リンクは、アクティブ リンクと同じタイプ(ファスト イーサネット、ギガビット イーサネット、またはポート チャネル)にする必要はありません。ただし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始したときにループや動作の変更が発生しないように、両方の Flex Link を似たような特性を持つように設定する必要があります。
- ・ Flex Link ポートでは、STP はディセーブルです。ポート上にある VLAN が STP に設定されていても、Flex Link ポートは STP に参加しません。STP がイネーブルでない場合、設定したトポロジーにループがないことを確認してください。
MAC アドレステーブル移行更新機能を設定する場合には、次の注意事項に従ってください。
- ・ MAC アドレステーブル移行更新を 送信 するように、アクセス スイッチでこの機能をイネーブルにして設定することができます。
- ・ MAC アドレステーブル移行更新を 取得 するように、アップリンク スイッチでこの機能をイネーブルにして設定することができます。
デフォルト設定
Flex Link は設定されておらず、バックアップ インターフェイスも定義されていません。
MAC アドレステーブル移行更新機能は、スイッチでは設定されていません。
Flex Link および MAC アドレステーブル移行更新の設定
Flex Link の設定
Flex Link のペアを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
次に、インターフェイスとバックアップ インターフェイスを設定し、その設定を確認する例を示します。
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/21
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/22
Switch# show interface switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------------------------
FastEthernet1/0/1 FastEthernet1/0/2 Active Up/Backup Standby
FastEthernet1/0/3 FastEthernet2/0/4 Active Up/Backup Standby
Port-channel1 GigabitEthernet7/0/1 Active Up/Backup Standby
GigabitEthernet0/21 GigabitEthernet0/22 Active Up/Backup Standby
GigabitEthernet0/3 GigabitEthernet0/4 Active Up/Backup Standby
Port-channel1 GigabitEthernet0/5 Active Up/Backup Standby
Flex Link のペアのプリエンプション方式を設定するには、インターフェイス コンフィギュレーション モードで次の手順を実行します。
次に、バックアップ インターフェイス ペアに対してプリエンプション モードを帯域幅に設定し、その設定を確認する例を示します。
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 preemption mode forced
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/2 preemption delay 50
Switch#
show interface switchport backup detail
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet0/21 GigabitEthernet0/2 Active Up/Backup Standby
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi0/1), 100000 Kbit (Gi0/2)
Mac Address Move Update Vlan : auto
MAC アドレステーブル移行更新機能の設定
MAC アドレステーブル移行更新を送信するようにアクセス スイッチを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
アクセス スイッチで MAC アドレステーブル移行更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update transmit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレステーブル移行更新情報を表示するには、 show mac address-table move update イネーブル EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレステーブル移行更新メッセージを送信するようにアクセス スイッチを設定する例を示します。
Switch(conf)# interface gigabitethernet0/21
Switch(conf-if)# switchport backup interface fastethernet1/0/2
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet0/22 mmu primary vlan 2
Switch(conf)# mac address-table move update transmit
Switch# show mac-address-table move update
Dst mac-address : 0180.c200.0010
Vlans/Macs supported : 1023/8320
Default/Current settings: Rcv Off/Off, Xmt Off/Off
Max packets per min : Rcv 40, Xmt 60
Rcv conforming packet count : 0
Rcv threshold exceed count : 0
Rcv last sequence# this min : 0
Rcv last src-mac-address : 0000.0000.0000
Rcv last switch-ID : 0000.0000.0000
Xmt threshold exceed count : 0
MAC アドレステーブル移行更新メッセージを取得するようにスイッチを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
アクセス スイッチで MAC アドレステーブル移行更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update receive コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレステーブル移行更新情報を表示するには、 show mac address-table move update イネーブル EXEC コマンドを使用します。
次に、MAC アドレステーブル移行更新メッセージを取得し処理するようにスイッチを設定する例を示します。
Switch(conf)# mac address-table move update receive
Flex Link および MAC アドレステーブル移行更新のモニタ
表18-1 に、Flex Link 設定および MAC アドレステーブル移行更新情報をモニタするためのイネーブル EXEC コマンドを示します。
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インターフェイスに設定された Flex Link バックアップ インターフェイス、または設定されているすべての Flex Link、およびアクティブ インターフェイスとバックアップ インターフェイスのステート(アップまたはスタンバイ モード)を表示します。 |
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