この章では、Catalyst 3550スイッチ クラスタを作成し管理するために使用する概念と手順の概要を説明します。
Network Assistantアプリケーション、CLI(コマンドライン インターフェイス)、またはSNMP(簡易ネットワーク管理プロトコル)を使用してスイッチ クラスタの作成と管理が可能です。スイッチ クラスタの設定は、CLIやSNMPよりも、Network Assistantを使用するほうが、より簡単に行うことができます。Network Assistantを使用してスイッチ クラスタを設定する手順については、Cisco.comの『 Getting Started with Cisco Network Assistant 』を参照してください。CLIクラスタ コマンドの詳細については、スイッチ コマンド リファレンスを参照してください。
スイッチ クラスタの概要
クラスタリングの概要
スイッチ クラスタ は、最大で16の相互接続されたクラスタ対応Catalystスイッチで1つのエンティティとして管理されます。クラスタ内のスイッチは、単一のIPアドレスを通じて複数のCatalystデスクトップ スイッチ プラットフォームからなるグループの設定やトラブルシューティングを行えるように、スイッチ クラスタリング テクノロジーを使用しています。
スイッチ クラスタを使用すると、スイッチの物理的な位置やプラットフォーム ファミリーにかかわらず、複数のスイッチの管理が簡略化されます。またクラスタリングでは、スタンバイ クラスタ コマンド スイッチを通じて冗長機能を提供します。
スイッチ クラスタでは、1つのスイッチをクラスタ コマンド スイッチとして指定する必要があり、最大15台のスイッチを クラスタ メンバー スイッチ として指定できます。1つのクラスタでのスイッチの総数は、16台を超えてはなりません。クラスタ コマンド スイッチは、メンバー スイッチを設定、管理、およびモニタするための単一拠点になります。クラスタ メンバーが同時に所属できるクラスタは1つだけです。
クラスタ計画の考慮事項などの、スイッチ クラスタリングの詳細については、Cisco.comの『 Getting Started with Cisco Network Assistant 』を参照してください。クラスタ コマンド スイッチとして機能できる、およびクラスタ メンバー スイッチとしてのみ機能できるなど、スイッチのクラスタリングの条件を満たすCatalystスイッチのリスト、および必要なソフトウェア バージョンについては、Cisco.comの『 Release Notes for Cisco Network Assistant 』を参照してください。
クラスタ コマンド スイッチの特性
Catalyst 3550コマンド スイッチは、次の要件を満たしている必要があります。
- Cisco IOS Release 12.1(4)EA1以降が稼働している。
- IPアドレスが割り当てられている。
- Cisco Discovery Protocol(CDP)バージョン2がイネーブル(デフォルト)に設定されている。
- 他のクラスタのコマンド スイッチまたはメンバー スイッチではない。
- 管理VLANを介してスタンバイ コマンド スイッチに、共通のVLANを介してメンバー スイッチに接続している。
クラスタ内で最上位のコマンド対応スイッチを、コマンド スイッチにすることを強く推奨します。
- Catalyst 3550スイッチがスイッチ クラスタに組み込まれている場合は、そのスイッチをコマンド スイッチにしてください。
- Catalyst 2900 XL、Catalyst 2940、Catalyst 2950、Catalyst 2955、およびCatalyst 3500 XLスイッチがスイッチ クラスタに組み込まれている場合は、Catalyst 2950またはCatalyst 2955スイッチをコマンド スイッチにしてください。
スタンバイ コマンド スイッチの特性
Catalyst 3550スタンバイ コマンド スイッチは、次の要件を満たしている必要があります。
- Cisco IOS Release 12.1(4)EA1以降が稼働している。
- IPアドレスが割り当てられている。
- CDPバージョン2がイネーブルに設定されている。
- 管理VLANを介してほかのスタンバイ スイッチに、共通のVLANを介してすべてのメンバー スイッチに接続している。
- メンバー スイッチとの接続を維持できるようクラスタに冗長接続している。
- 他のクラスタのコマンド スイッチまたはメンバー スイッチではない。
候補スイッチおよびメンバー スイッチの特性
候補スイッチ とは、クラスタ対応ではあるもののクラスタにまだ追加されていないスイッチを意味します。メンバー スイッチは、スイッチ クラスタにすでに追加されているスイッチです。候補スイッチまたはメンバー スイッチは、任意で固有のIPアドレスおよびパスワードを割り当てることもできます。
スイッチをクラスタに追加するには、候補スイッチが次の要件を満たしている必要があります。
- クラスタ対応のソフトウェアが稼働している。
- CDPバージョン2がイネーブルに設定されている。
- 他のクラスタのコマンド スイッチまたはメンバー スイッチではない。
- 1つ以上の共通のVLANを介してコマンド スイッチに接続している。
- クラスタ スタンバイ グループがある場合、1つ以上の共通のVLANですべてのスタンバイ コマンド スイッチに接続している。各スタンバイ コマンド スイッチに対するVLANが異なっていても構いません。
Catalyst 1900スイッチ、Catalyst 2820スイッチ、Catalyst 2900 XLスイッチ、Cisco IOS Release 12.1(9)EA1より前のリリースが稼働している非LRE Catalyst 2950スイッチ、およびCatalyst 3500 XLスイッチ。
Cisco IOS Release 12.1(9)EA1以降で稼働する非LRE Catalyst 2950コマンド スイッチ、Catalyst 2950 LREコマンド スイッチ、Catalyst 2940コマンド スイッチ、Catalyst 2955コマンド スイッチ、またはCatalyst 3550コマンド スイッチを使用する場合は、この要件は適用されません。候補スイッチおよびメンバー スイッチは、共通のVLANを介してコマンド スイッチに接続できます。
CLIによるスイッチ クラスタの管理
コマンド スイッチにログインすることにより、CLIからメンバー スイッチを設定できます。 rcommand ユーザEXECコマンドおよびメンバー スイッチ番号を入力して、(コンソールまたはTelnet接続による)Telnetセッションを開始し、メンバー スイッチのCLIにアクセスします。コマンド モードを変更すると、通常どおりにCLIコマンドを使用できます。メンバー スイッチでexitイネーブルEXECコマンドを入力すると、コマンド スイッチのCLIに戻ります。
次に、コマンド スイッチのCLIからメンバー スイッチ3にログインする例を示します。
メンバー スイッチ番号が不明の場合は、コマンド スイッチに、show cluster membersイネーブルEXECコマンドを入力します。 rcommand コマンドおよびほかのすべてのクラスタ コマンドの詳細については、スイッチのコマンド リファレンスを参照してください。
Telnetセッションは、コマンド スイッチと同じイネーブル レベルでメンバー スイッチCLIにアクセスします。そのあと、CLIコマンドを通常どおりに使用できます。スイッチのTelnetセッションの設定手順については、 パスワード回復のディセーブル化 を参照してください。
Catalyst 1900およびCatalyst 2820のCLI考慮事項
Standard Editionソフトウェアが稼働するCatalyst 1900およびCatalyst 2820スイッチがスイッチ クラスタにある場合、コマンド スイッチのイネーブル レベルが15であれば、Telnetセッションは管理コンソール(メニュー方式インターフェイス)にアクセスします。コマンド スイッチのイネーブル レベルが1〜14であれば、メニュー コンソールにアクセスするためのパスワードの入力を要求するプロンプトが表示されます。
コマンド スイッチのイネーブルレベルと、StandardおよびEnterprise Editionソフトウェアが稼働するCatalyst 1900およびCatalyst 2820メンバー スイッチとの対応関係は、次のとおりです。
- コマンド スイッチのイネーブル レベルが1〜14である場合、メンバー スイッチへのアクセスはイネーブル レベル1で行われます。
- コマンド スイッチのイネーブル レベルが15である場合、メンバー スイッチへのアクセスはイネーブル レベル15で行われます。
Catalyst 1900およびCatalyst 2820スイッチの詳細については、各スイッチのインストレーション コンフィギュレーション ガイドを参照してください。
SNMPによるスイッチ クラスタの管理
スイッチの最初の起動時にセットアップ プログラムを使用してIP情報を入力し、提示されたコンフィギュレーションを採用した場合、SNMPはイネーブルに設定されています。セットアップ プログラムを使用してIP情報を入力していない場合は、SNMPはイネーブルではありません。その場合は、 SNMPの設定 の説明に従って、SNMPをイネーブルに設定できます。Catalyst 1900およびCatalyst 2820スイッチでは、SNMPはデフォルトでイネーブルに設定されています。
クラスタを作成すると、コマンド スイッチが、メンバー スイッチとSNMPアプリケーション間のメッセージ交換を管理します。コマンド スイッチのクラスタ ソフトウェアは、コマンド スイッチで最初に設定されたread-writeおよびread-onlyコミュニティ ストリングに、メンバー スイッチ番号( @esN 、 N はスイッチ番号)を追加し、これらのストリングをメンバー スイッチに伝播します。コマンド スイッチは、このコミュニティ ストリングを使用して、SNMP管理ステーションとメンバー スイッチ間で、get、set、およびget-nextメッセージの転送を制御します。
メンバー スイッチにIPアドレスが割り当てられていない場合、 図5-1 に示すように、コマンド スイッチはメンバー スイッチからのトラップを管理ステーションにリダイレクトします。メンバー スイッチに固有のIPアドレスとコミュニティ ストリングが割り当てられている場合は、メンバー スイッチは、コマンド スイッチを経由しないで直接管理ステーションにトラップを送信できます。
メンバー スイッチに固有のIPアドレスとコミュニティ ストリングが割り当てられている場合は、コマンド スイッチによるアクセスのほかに、そのIPアドレスとコミュニティ ストリングも使用できます。SNMPおよびコミュニティ ストリングの詳細については、 第27章 「SNMPの設定」 を参照してください。
図5-1 SNMPによるクラスタ管理
