ここでは、Catalyst 2960 スイッチ上の Flex Link を設定する方法について説明します。これは、相互にバックアップするのに使用するケーブル インターフェイス ペアです。MAC(メディア アクセス制御) アドレス テーブル移行更新機能(Flex Link 双方向高速コンバージェンス機能ともいう)についても説明します。
- ・ Flex Link および MAC アドレス テーブル移行更新の概要
- ・ Flex Link および MAC アドレス テーブル移行更新の設定
- ・ Flex Link および MAC アドレス テーブル移行更新のモニタ
Flex Link および MAC アドレス テーブル移行更新の概要
Flex Link
Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、一方のインターフェイスが他方のインターフェイスのバックアップとして動作するように設定されています。この機能は、Spanning-Tree Protocol(STP; スパニングツリー プロトコル)の代替ソリューションとなります。STP をディセーブルにしても、基本的なリンクの冗長を維持できます。Flex Link は一般的に、カスタマーがスイッチで STP を稼働したくない場合に、サービス プロバイダーまたは企業ネットワークで設定されます。スイッチで STP が稼働している場合、すでに STP がリンクレベル冗長またはバックアップを提供しているので、Flex Link を設定する必要はありません。
一方のレイヤ 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、他方のレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に Flex Link を設定できます。一方のリンクがアップ状態でトラフィックを転送する場合、他方のリンクはスタンバイ モードになって、シャット ダウンした場合にトラフィックを転送する準備をします。指定された時間に、インターフェイス 1 つだけが linkup ステートになってトラフィックを転送します。プライマリ リンクがシャット ダウンした場合、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始します。アクティブ リンクがバックアップ状態になった場合、リンクはスタンバイ モードになって、トラフィックは転送されません。Flex Link インターフェイスでは、STP はディセーブルです。
図18-1 では、スイッチ A のポート 1 および 2 はアップリンク スイッチ B および C と接続されています。ポートは Flex Link として設定されているので、インターフェイスのうち 1 つだけがトラフィックを転送し、残りのインターフェイスがスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクの場合、ポート 1 とスイッチ B の間でトラフィックの転送を開始します。ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C の間のリンクは、トラフィックを転送しません。ポート 1 がダウンした場合、ポート 2 がアップ状態になってスイッチ C へのトラフィックの転送を開始します。ポート 1 が再びバックアップ状態になった場合、ポート 1 はスタンバイ モードになってトラフィックは転送しません。ポート 2 はトラフィックを転送し続けます。
図18-1 Flex Link の設定例
プライマリ(転送)リンクがダウンした場合、トラップはネットワーク管理ステーションに通知します。スタンバイ リンクがダウンした場合、トラップはユーザに通知します。
Flex Link をサポートするのは、レイヤ 2 ポートとポート チャネルだけです。VLAN ではサポートされません。
MAC アドレス テーブル移行更新
MAC アドレス テーブル移行更新機能を使用すると、プライマリ(転送)リンクがダウンしてスタンバイ リンクがトラフィック転送を開始した場合に、スイッチで双方向コンバージェンスを高速で行うことができます。
図18-2 では、スイッチ A はアクセス スイッチで、スイッチ A のポート 1 および 2 は Flex Link ペアを経由してアップリンク スイッチ B および D に接続されます。ポート 1 はトラフィックの転送を行い、ポート 2 はバックアップ ステートとなります。PC からサーバへのトラフィックは、ポート 1 から ポート 3 へ転送されます。PC の MAC アドレスは、スイッチ C のポート 3 で学習されています。サーバから PC へのトラフィックは、ポート 3 からポート 1 へ転送されます。
MAC アドレス テーブル移行更新機能が設定されていない状態でポート 1 がダウンすると、ポート 2 がトラフィックの転送を開始します。ただし、一時的にスイッチ C がポート 3 経由でサーバから PC へのトラフィック転送を続行しますが、ポート 1 がダウンしているため、PC はトラフィックを受信しません。スイッチ C がポート 3 で PC の MAC アドレスを削除し、ポート 4 で再び学習すると、ポート 2 経由でのサーバから PC へのトラフィック転送が可能になります。
MAC アドレス テーブル移行更新機能が設定されていて 図18-2 に示すスイッチでイネーブル化されると、ポート 2 が PC からサーバへのトラフィックの転送を開始します。スイッチは、ポート 2 から MAC アドレス テーブル移行更新パケットを送信します。スイッチ C はこのパケットをポート 4 で受信し、ただちにポート 4 で PC の MAC アドレスを学習します。これにより、再コンバージェンスに要する時間が短縮されます。
アクセス スイッチ(スイッチ A)を、MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを 送信する ように設定できます。アップリンク スイッチ B、C、および D を、MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを 受信し 、処理するように設定することもできます。スイッチ C は、スイッチ A から MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを受信すると、ポート 4 で PC の MAC アドレスを学習します。さらに、スイッチ C は、PC に対する転送テーブル エントリを含む MAC アドレス テーブルを更新し、ポート 4 経由でのサーバから PC へのトラフィック転送を開始します。これにより、サーバから PC へのトラフィックの損失が低減します。
図18-2 MAC アドレス テーブル移行更新の例
Flex Link および MAC アドレス テーブル移行更新の設定
設定時の注意事項
Flex Link を設定するときには、次の注意事項に従ってください。
- ・ アクティブ リンクに対し、Flex Link バックアップ リンクを 1 つのみ設定できます。このリンクはアクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスである必要があります。
- ・ インターフェイスは Flex Link ペアの 1 つにのみ、所属できます。インターフェイスは 1 つのアクティブ リンクに対してのみ、バックアップ リンクになれます。アクティブ リンクは別の Flex Link ペアに所属できません。
- ・ どちらのリンクも EtherChannel のポートにはなれません。ただし、ポート チャネルまたは物理インターフェイスのいずれかがアクティブ リンクである場合、ポート チャネル 2 つ(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として、またポート チャネルと物理インターフェイスを Flex Link として設定できます。
- ・ バックアップ リンクは、アクティブ リンクと同じタイプ(ファスト イーサネット、ギガビット イーサネット、またはポート チャネル)である必要はありません。ただし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始した場合に、ループや動作変更が起きないように、両方の Flex Link を類似の特性で設定する必要があります。
- ・ Flex Link ポートでは、STP はディセーブルです。Flex Link ポートは、ポートの VLAN が STP 用に設定されている場合でも、STP に参加しません。STP がイネーブルになっていない場合、設定したトポロジーでループの発生がないようにしてください。
MAC アドレス テーブル移行更新機能を設定する場合には、次の注意事項に従ってください。
- ・ アクセス スイッチでは、この機能を設定してイネーブル化することにより、MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを 送信する ようにできます。
- ・ アップリンク スイッチでは、この機能を設定してイネーブル化することにより、MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを 受信する ようにできます。
デフォルト設定
Flex Link は設定されていません。また、バックアップ インターフェイスも定義されていません。
スイッチで MAC アドレス テーブル移行更新機能は設定されていません。
Flex Link および MAC アドレス テーブル移行更新の設定
Flex Link の設定
ペアの Flex Link を設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
次に、バックアップ インターフェイスを装備し、設定を確認するようにインターフェイスを設定する例を示します。
Switch(conf)# interface fastethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface fastethernet0/2
Switch# show interface switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------------------------
FastEthernet0/1 FastEthernet0/2 Active Up/Backup Standby
FastEthernet0/3 FastEthernet0/4 Active Up/Backup Standby
Port-channel1 GigabitEthernet0/1 Active Up/Backup Standby
MAC アドレス テーブル移行更新機能の設定
MAC アドレス テーブル移行更新を送信するようにアクセス スイッチを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
アクセス スイッチで MAC アドレス テーブル移行更新機能をディセーブル化するには、 no mac address-table move update transmit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移行更新情報を表示するには、 show mac address-table move update イネーブル EXEC コマンドを使用します。
次に、アクセス スイッチを、MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを送信するように設定する例を示します。
Switch(conf)# interface fastethernet0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface fastethernet0/2mmu primary vlan 2
Switch(conf)# mac address-table move update transmit
Switch# show mac-address-table move update
Dst mac-address : 0180.c200.0010
Vlans/Macs supported : 1023/8320
Default/Current settings: Rcv Off/Off, Xmt Off/Off
Max packets per min : Rcv 40, Xmt 60
Rcv conforming packet count : 0
Rcv threshold exceed count : 0
Rcv last sequence# this min : 0
Rcv last src-mac-address : 0000.0000.0000
Rcv last switch-ID : 0000.0000.0000
Xmt threshold exceed count : 0
MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを受信して処理するようにスイッチを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
アクセス スイッチで MAC アドレス テーブル移行更新機能をディセーブル化するには、 no mac address-table move update receive コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移行更新情報を表示するには、 show mac address-table move update イネーブル EXEC コマンドを使用します。
次に、スイッチを、MAC アドレス テーブル移行更新メッセージを受信して処理するように設定する例を示します。
Switch(conf)# mac address-table move update receive
Flex Link および MAC アドレス テーブル移行更新のモニタ
表18-1 に、Flex Link 設定と MAC アドレス テーブル移行更新情報をモニタするためのイネーブル EXEC コマンドを示します。
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1 つのインターフェイス用に設定された Flex Link バックアップ インターフェイス、または設定された Flex Link すべてと、各アクティブおよびバックアップ インターフェイスのステート(アップまたはスタンバイ モード)を表示します。 |
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