この章では、Catalyst 2960 スイッチ上で音声 VLAN(仮想 LAN)機能を設定する方法について説明します。Catalyst 6500 ファミリー スイッチの一部のマニュアルでは、音声 VLAN を 補助 VLAN と表しています。
音声 VLAN の概要
音声 VLAN 機能を使用すると、アクセス ポートで IP Phone からの IP 音声トラフィックを伝送できます。スイッチを Cisco 7960 IP Phone に接続すると、IP Phone はレイヤ 3 IP precedence およびレイヤ 2 Class of Service(CoS; サービス クラス)値を使用して、音声トラフィックを送信します。どちらの値もデフォルトでは 5 に設定されます。データ送信が均質性に欠ける場合、IP Phone の音質が低下することがあります。そのため、このスイッチでは、IEEE 802.1p CoS に基づく Quality of Service(QoS; サービス品質)をサポートしています。QoS は、分類およびスケジューリングを使用して、スイッチからのネットワーク トラフィックを予測可能な方法で送信します。QoS の詳細については、 第29章 「QoS の設定」 を参照してください。
Cisco 7960 IP Phone は設定可能な装置であり、IEEE 802.1p プライオリティに基づいてトラフィックを転送するように設定できます。Cisco IP Phone によって割り当てられたトラフィック プライオリティを信頼するように、または上書きするようにスイッチを設定できます。
Cisco IP Phone には、3 ポートの 10/100 スイッチが統合されています。 図14-1 を参照してください。これらのポートは、次のデバイスへの接続専用です。
- ・ ポート 1 は、スイッチまたは他の Voice over IP(VoIP)デバイスに接続します。
- ・ ポート2は、IP Phone のトラフィックを伝送する内部 10/100 インターフェイスです。
- ・ ポート 3(アクセス ポート)は、PC または他のデバイスに接続します。
図14-1 に、Cisco 7960 IP Phone の接続方法の例を示します。
図14-1 スイッチに接続された Cisco 7960 IP Phone
Cisco IP Phone の音声トラフィック
Cisco IP Phone と接続するアクセス ポートを、1 つの VLAN は音声トラフィック用に、もう 1 つの VLAN は Cisco IP Phone に接続しているデバイスからのデータ トラフィック用に使用するように設定できます。スイッチ上のアクセス ポートを設定して、Cisco Discovery Protocol(CDP)パケットを送信させることができます。CDP には、接続する Cisco IP Phone に対して、次のいずれかの方法でスイッチに音声トラフィックを送信するように指定します。
- ・ レイヤ 2 CoS プライオリティ値のタグ付き音声 VLAN による送信
- ・ レイヤ 2 CoS プライオリティ値のタグ付きアクセス VLAN による送信
- ・ タグなし(レイヤ 2 CoS プライオリティ値なし)のアクセス VLAN による送信
Cisco IP Phone のデータ トラフィック
スイッチは、Cisco IP Phone のアクセス ポートに接続された装置( 図14-1 を参照)から送られた、タグ付きデータ トラフィック(IEEE 802.1Q または IEEE 802.1p フレーム タイプのトラフィック)を処理することもできます。スイッチ上のレイヤ 2 アクセス ポートが、CDP パケットを送信するように設定できます。CDP は、接続する Cisco IP Phone に、次のいずれかのモードで IP Phone 上のアクセス ポートを設定するように指定します。
- ・ trusted(信頼性がある)モードでは、Cisco IP Phone のアクセス ポート経由で受信したすべてのトラフィックがそのまま IP Phone を通過します。
- ・ untrusted(信頼性がない)モードでは、Cisco IP Phone のアクセス ポート経由で受信した IEEE 802.1Q および IEEE 802.1p フレームのすべてのトラフィックに、設定されたレイヤ 2 CoS 値を与えます。デフォルトのレイヤ 2 CoS 値は 0 です。untrusted モードがデフォルトの設定です。
音声 VLAN の設定
音声 VLAN のデフォルト設定
音声 VLAN 機能は、デフォルトではディセーブルに設定されています。
音声 VLAN 機能がイネーブルの場合、すべてのタグなしトラフィックはポートのデフォルトの CoS プライオリティに従って送信されます。
IEEE 802.1p または IEEE 802.1Q のタグ付きトラフィックでは、CoS 値が信頼されません。
音声 VLAN 設定時の注意事項
- ・ 音声 VLAN で適切に通信できるように、IP Phone のスイッチ上に音声 VLAN が存在し、アクティブになっている必要があります。VLAN が存在しているかどうかを確認するには、 show vlan イネーブル EXEC コマンドを使用します(リストで表示されます)。VLAN がリストになかった場合、音声 VLAN の作成方法について、 VLAN の設定 を参照してください。
- ・ 音声 VLAN をイネーブルにする前に、mls qos グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力してスイッチ上で QoS をイネーブルに設定し、さらに mls qos trust cos インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力してポートの信頼状態を trust に設定しておくことを推奨します。Auto-QoS 機能を使用すると、これらは自動的に設定されます。詳細については、 第29章 「QoS の設定」 を参照してください。
- ・ Cisco IP Phone にコンフィギュレーションを送信するために、Cisco IP Phone に接続するスイッチ ポート上で CDP をイネーブルにする必要があります(デフォルト設定では、CDP がすべてのスイッチ インターフェイスでグローバルにイネーブルです)。
- ・ 音声 VLAN を設定すると、PortFast 機能が自動的にイネーブルになります。音声 VLAN をディセーブルにしても、PortFast 機能は自動的にディセーブルになりません。
- ・ Cisco IP Phone と Cisco IP Phone に接続された装置が同じ VLAN 上にある場合、両方とも同じ IP サブネットに属していなければなりません。次の条件が満たされている場合は、同じ VLAN 上にあります。
- − 両方とも IEEE 802.1p またはタグなしフレームを使用する。
- − Cisco IP Phone が IEEE 802.1p フレームを使用し、接続装置がタグなしフレームを使用する。
- − Cisco IP Phone がタグなしフレームを使用し、接続装置が IEEE 802.1p フレームを使用する。
- − Cisco IP Phone が IEEE 802.1Q フレームを使用し、音声 VLAN がアクセス VLAN と同じである。
- ・ Cisco IP Phone と接続装置は、同一 VLAN、同一サブネット上にあっても、使用するフレーム タイプが異なる場合は通信できません。トラフィックは同一サブネット上でルーティングされないからです(ルーティングによってフレーム タイプの相違が排除されます)。
- ・ 音声 VLAN では、スタティック セキュア MAC(メディア アクセス制御)アドレスを設定できません。
- ・ 音声 VLAN ポートには次のポート タイプがあります。
- − ダイナミック アクセス ポート。詳細については、 VMPS クライアント上のダイナミックアクセス ポートの設定 を参照してください。
- − IEEE 802.1x 認証ポート。詳細については、 IEEE 802.1x 認証の設定 を参照してください。
- − 保護ポート。詳細については、 保護ポートの設定 を参照してください。
- − Switched Port Analyzer(SPAN; スイッチド ポート アナライザ)または Remote SPAN(RSPAN)セッションの送信元ポートまたは宛先ポート
- − セキュア ポート。詳細については、 ポート セキュリティの設定 を参照してください。
Cisco 7960 IP Phone に接続するポートの設定
Cisco 7960 IP Phone は、PC または他の装置との接続もサポートしているので、スイッチを Cisco IP Phone に接続するポートは、さまざまなタイプのトラフィックを伝送できます。ポートを設定することによって、Cisco IP Phone による音声トラフィックおよびデータ トラフィックの伝送方法を決定できます。
Cisco IP Phone の音声トラフィックの設定
Cisco IP Phone に CDP パケットを送信して IP Phone による音声トラフィックの送信方法を設定するように、IP Phone に接続するポートを設定できます。IP Phone は指定された音声 VLAN に、レイヤ 2 CoS 値を使用して、IEEE 802.1Q フレームの音声トラフィックを伝送できます。IEEE 802.1p のプライオリティ タグを使用すると、音声トラフィックにさらに高いプライオリティを与え、すべての音声トラフィックをネイティブ(アクセス)VLAN 経由で転送できます。Cisco IP Phone はタグなしの音声トラフィックを送信する、または独自の設定を使用してアクセス VLAN で音声トラフィックを送信することもできます。いずれの設定でも、音声トラフィックはレイヤ 3 IP precedence 値(デフォルトは 5)を伝送します。
ポート上で音声トラフィックを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
次に、Cisco IP Phone に接続しているポートを設定する例を示します。ポートは、CoS 値を使用して着信トラフィックを分類し、音声トラフィック用に IEEE 802.1p プライオリティ タギングを使用し、デフォルトのネイティブ VLAN(VLAN 0)を使用してすべてのトラフィックを伝送するように設定します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# mls qos trust cos
Switch(config-if)# switchport voice vlan dot1p
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport voice vlan インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
着信データ フレームのプライオリティ設定
PC またはその他のデータ装置を Cisco IP Phone ポートに接続できます。タグ付きデータ トラフィック(IEEE 802.1Q または IEEE 802.1p フレーム)を処理するために、スイッチが CDP パケットを送信するように設定できます。CDP は、Cisco IP Phone に、IP Phone 上のアクセス ポートに接続された装置からのデータ パケットをどのように送信するかを指定します。PC は、CoS 値が割り当てられたパケットを生成できます。接続装置から IP Phone ポートに届いたフレームのプライオリティを変更しない(信頼する)または変更する(信頼しない)ように、IP Phone を設定できます。
Cisco IP Phone の非音声ポートから受信したデータ トラフィックのプライオリティを設定するには、イネーブル EXEC モードで次の手順を実行します。
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Cisco IP Phone に接続するインターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。 |
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次に、Cisco IP Phone に接続しているポートを設定して、PC または接続している装置から受信するフレームのプライオリティを変更しないようにする例を示します。
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet0/1
Switch(config-if)# switchport priority extend trust
ポートをデフォルト設定に戻すには、 no switchport priority extend インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
音声 VLAN の表示
インターフェイスの音声 VLAN 設定を表示するには、 show interfaces interface-id switchport イネーブル EXEC コマンドを使用します。
