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この章では、シスコ実装版のIEEE 802.1w Rapid Spanning Tree Protocol(RSTP)およびIEEE 802.1s Multiple STP(MSTP)をCatalyst 3550スイッチに設定する方法を説明します。また、Per-VLAN Rapid Spanning Tree(PVRST)の設定方法についても説明します。
RSTPはスパニングツリーの高速コンバージェンスを実現します。MSTPは、高速コンバージェンスが可能なRSTPを使用して、複数のVLAN(仮想LAN)を1つのスパニングツリー インスタンスにまとめ、データ トラフィック用に複数の転送パスを提供し、ロードバランシングを可能にします。MSTPを使用すると、1つのインスタンス(転送パス)で障害が発生しても他のインスタンス(転送パス)は影響を受けないので、ネットワークのフォールト トレランスが向上します。MSTPとRSTPを導入する場合、最も一般的なのは、レイヤ2スイッチド ネットワークのバックボーンおよびディストリビューション レイヤへの配備です。この配備方法によって、サービス プロバイダー環境に求められる高可用性ネットワークを実現できます。
RSTPとMSTPは、(オリジナル)802.1Dスパニングツリー準拠デバイス、既存のシスコPer-VLAN Spanning Tree(PVST;VLAN単位スパニングツリー)、および既存のシスコ独自のMultiple Instance STP(MISTP)との下位互換性を保ちながら、スパニングツリーの動作を向上させます。STPについては、 STPの設定 を参照してください。オプションのスパニングツリー機能については、 オプションのスパニングツリー機能の設定方法 を参照してください。
PVRSTはRSTPを使用してスパニングツリー インスタンスの高速コンバージェンスを可能にします。PVRSTは、PVSTおよびMISTPを使用して802.1Dスパニングツリー準拠機器との下位互換性も維持しています。この機能はMSTPが稼働しているスイッチ上で使用できます。PVRSTの詳細については、 RSTPを使用したスパニングツリー インスタンス を参照してください。
RSTPは、ポイントツーポイントの配線を利用して、スパニングツリーの高速コンバージェンスを実現します。RSTPを使用すると、スパニングツリーが1秒未満で再構成されます(802.1Dスパニングツリーのデフォルト設定では50秒かかります)。これは音声やビデオのように遅延の影響が大きいトラフィックを伝送するネットワークには不可欠な機能です。
設定については、 RSTPおよびMSTPの機能の設定 を参照してください。
このスイッチでは、PVRSTと最大128のスパニングツリー インスタンスがサポートされています。PVRSTがイネーブルに設定されている場合、スイッチはSTPの代わりにRSTPを使用してより高速なコンバージェンスを可能にします。PVSTの詳細については、 スパニングツリー インスタンスのサポート を参照してください。スパニングツリーとVLAN Trunk Protocol(VTP;VLANトランキング プロトコル)の相互動作については、 STP設定時の注意事項 を参照してください。
ネットワーク内にPVRSTが稼働しているスイッチとPVSTが稼働しているスイッチが存在する場合、PVRSTスイッチとPVSTスイッチを別のスパニングツリー インスタンスにすることを推奨します。PVRSTスパニングツリー インスタンスでは、ルート スイッチはPVRSTスイッチでなければなりません。PVSTインスタンスでは、ルート スイッチはPVSTスイッチでなければなりません。PVSTスイッチはネットワークのエッジに配置する必要があります。
RSTPは、ポートに役割を割り当てて、アクティブ トポロジーを決定することによって高速コンバージェンスを実現します。 ルート スイッチの選択 で説明したように、RSTPは、IEEE 802.1D STPを構築して、最高のスイッチ プライオリティを持つ(プライオリティが最も小さい)スイッチをルート スイッチに選択します。RSTPはさらに、各ポートに次のいずれか1つの役割を割り当てます。
ルート ポートまたは指定ポートの役割を割り当てられたポートは、アクティブ トポロジーの一部となります。代替ポートまたはバックアップ ポートの役割を割り当てられたポートは、アクティブ トポロジーから除外されます。
ネットワーク全体のポートの役割に矛盾のない安定したトポロジーでは、RSTPは、すべてのルート ポートおよび指定ポートが即座にフォワーディング ステートに移行し、代替ポートとバックアップ ポートが必ず廃棄ステート(802.1Dのブロッキング ステートと同じ)になるように保証します。フォワーディング プロセスおよびラーニング プロセスの動作はポート ステートによって制御されます。 ポート ステートの比較 に、802.1DとRSTPのポート ステートの比較を示します。
RSTPを使用すると、スイッチ、スイッチ ポート、またはLANに障害が発生しても、ただちに接続を回復することができます。RSTPは、エッジ ポート、新しいルート ポート、およびポイントツーポイント リンクで接続されているポートに次のように高速コンバージェンスを提供します。
高速コンバージェンスの提案 合意ハンドシェーク では、スイッチAとスイッチBはポイントツーポイント リンクを通じて接続され、すべてのポートがブロッキング ステートになっています。スイッチAのプライオリティ値がスイッチBのプライオリティ値より小さい数値である場合、スイッチAはスイッチBに提案メッセージ(提案フラグが設定されたコンフィギュレーションBridge Protocol Data Unit[BPDU;ブリッジ プロトコル データ ユニット])を送信し、スイッチA自身が指定スイッチになることを提案します。
スイッチBは、提案メッセージを受信すると、提案メッセージの受信ポートを新しいルート ポートに選択し、すべての非エッジ ポートをブロッキング ステートにします。さらに、新しいルート ポート経由で合意メッセージ(合意フラグが設定されたBPDU)を送信します。
スイッチAは、スイッチBの合意メッセージを受信すると、ただちに自身の指定ポートをフォワーディング ステートにします。スイッチBはその非エッジ ポートをすべてブロックし、またスイッチAとスイッチBはポイントツーポイント リンクで接続されているので、ネットワークにループは形成されません。
スイッチCがスイッチBに接続された場合も、同様のハンドシェーク メッセージが交換されます。スイッチCはスイッチBに接続されたポートをルート ポートとして選択し、両端のポートはただちにフォワーディング ステートに移行します。アクティブ トポロジーにスイッチが追加されるたびに、このハンドシェーク プロセスが実行されます。ネットワークがコンバージすると、この提案合意ハンドシェークがルートからスパニングツリーのリーフへと進みます。
スイッチはポートのデュプレックス モードによってリンク タイプを判断します。全二重ポートはポイントツーポイント接続とみなされ、半二重接続は共有接続とみなされます。 spanning-tree link-type インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用すると、デュプレックス設定で判断されたデフォルトの設定値を上書きすることができます。
スイッチのポートの1つで提案メッセージが受信され、そのポートが新しいルート ポートに選択されると、RSTPは他のすべてのポートを新しいルートの情報に同期させます。
他のすべてのポートが同期化されている場合、スイッチはルート ポートで受信した上位のルート情報に同期化されます。スイッチ上の個々のポートは次の場合に同期化されます。
指定ポートがフォワーディング ステートであり、かつエッジ ポートとして設定されていない場合、RSTPによって新しいルート情報で強制的に同期化されると、その指定ポートはブロッキング ステートになります。一般的に、RSTPがポートを新しいルート情報で強制的に同期化し、そのポートが上記のいずれの条件も満たしていない場合、ポートのステートはブロッキングに設定されます。
スイッチは、すべてのポートが同期化されたことを確認すると、そのルート ポートに対応する指定スイッチに合意メッセージを送信します。ポイントツーポイント リンクで接続されたスイッチがポートの役割について互いに合意すると、RSTPはポート ステートをただちにフォワーディング ステートに移行させます。 高速コンバージェンス中のイベント シーケンス は、この一連のイベントを示します。
RSTP BPDUのフォーマットは、プロトコル バージョンが2に設定されている点を除き、IEEE 802.1D BPDUのフォーマットと同じです。新しい1バイトのバージョン1のLengthフィールドは0に設定されます。これはバージョン1のプロトコルの情報がないことを示しています。 RSTP BPDUフラグ に、RSTPのフラグ フィールドを示します。
送信スイッチは、自身をLAN上の指定スイッチにするために、RSTP BPDUに提案フラグを設定します。提案メッセージでは、ポートの役割は常に指定ポートに設定されます。
送信スイッチは、提案を受け入れる場合、RSTP BPDUに合意フラグを設定します。合意メッセージでは、ポートの役割は常にルート ポートに設定されます。
RSTPには個別のTopology Change Notification(TCN;トポロジー変更通知)BPDUはありません。トポロジーの変更を示すには、トポロジー変更(TC)フラグが使用されます。ただし、802.1Dスイッチとのインターオペラビリティを保つために、RSTPスイッチはTCN BPDUの処理と生成を行います。
現在保存されているルート情報よりも上位のルート情報(小さいブリッジID、低パス コストなど)をポートが受信すると、RSTPは再構成を開始します。そのポートが新しいルート ポートとして提案され、選択されると、RSTPは他のすべてのポートを強制的に同期化します。
受信したBPDUが提案フラグの設定されたRSTP BPDUである場合、スイッチは他のすべてのポートを同期化した後、合意メッセージを送信します。BPDUが802.1D BPDUである場合、スイッチは提案フラグを設定せずに、そのポートの転送遅延タイマーを開始します。新しいルート ポートはフォワーディング ステートに移行するのに2倍の転送遅延時間を必要とします。
ポートで上位の情報が受信されたために、そのポートがバックアップ ポートまたは代替ポートになる場合、RSTPはそのポートをブロッキング ステートに設定し、合意メッセージは送信しません。指定ポートは、転送遅延タイマーが満了するまで提案フラグの設定されたBPDUの送信を続けます。タイマーが満了すると、ポートはフォワーディング ステートに移行します。
ここでは、スパニングツリー トポロジーの変更処理について、RSTPと802.1Dの違いを説明します。
この処理は、802.1Dスイッチをサポートする目的でのみ必要とされます。RSTP BPDUでは、TCAビットは設定されません。
ポートが初期化されると、移行遅延タイマーが開始され(RSTP BPDUを送信する最小時間を指定)、RSTP BPDUが送信されます。このタイマーがアクティブな間、スイッチはそのポートで受信したすべてのBPDUを処理し、プロトコル タイプは無視します。
スイッチはポートの移行遅延タイマーが満了した後に802.1D BPDUを受信した場合、802.1Dスイッチに接続されていると想定し、802.1D BPDUのみの使用を開始します。ただし、RSTPスイッチが1つのポートで802.1D BPDUを使用していて、タイマーが満了した後にRSTP BPDUを受信した場合、タイマーが再起動し、そのポートでRSTP BPDUの使用が開始されます。
MSTPは、高速コンバージェンスが可能なRSTPを使用し、複数のVLANを1つのスパニングツリー インスタンスにまとめます。各インスタンスのスパニングツリー トポロジーは、他のスパニングツリー インスタンスの影響を受けません。このアーキテクチャによって、データ トラフィックに複数のフォワーディング パスが提供され、ロードバランシングが可能になり、また多数のVLANをサポートするのに必要なスパニングツリー インスタンスの数を減らすことができます。
設定の詳細については、 RSTPおよびMSTPの機能の設定 を参照してください。
スイッチをMultiple Spanning-Tree(MST)インスタンスに加入させるには、同じMSTコンフィギュレーション情報を使用して矛盾のないようにスイッチを設定しなければなりません。同じMSTコンフィギュレーションを持ち、相互接続されたスイッチの集合をMSTリージョンといいます( MSTリージョン、ISTマスター、およびCSTルート を参照)。
各スイッチがどのMSTリージョンに属しているかは、MSTコンフィギュレーションによって決まります。MSTコンフィギュレーションには、リージョン名、リビジョン番号、MSTインスタンスとVLANの割り当てマップが保存されています。スイッチにリージョンを設定するには、そのスイッチで spanning-tree mst configuration グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、MSTコンフィギュレーション モードを開始します。このモードでは、 instance MSTコンフィギュレーション コマンドを使用してVLANをMSTインスタンスにマッピングし、 name MSTコンフィギュレーション コマンドでリージョン名を指定し、 revisions MSTコンフィギュレーション コマンドでリージョン番号を設定できます。
リージョンは、同じMSTコンフィギュレーションを持つ1つまたは複数のメンバーで構成されます。リージョンの各メンバーはRSTP BPDUを処理する機能を備えている必要があります。ネットワーク内のMSTリージョンの数には制限はありませんが、各リージョンがサポートできるスパニングツリー インスタンスの数は16までです。1つのVLANを同時に複数のスパニングツリー インスタンスに割り当てることはできません。
すべてのスパニングツリー インスタンスが独立しているPVSTおよびPVRSTとは異なり、MSTPは次の2種類のスパニングツリーを確立し維持します。
各MSTリージョン内のMSTPは複数のスパニングツリー インスタンスを維持しています。インスタンス0は、リージョンの特殊インスタンスで、ISTと呼ばれています。その他のMSTインスタンスはすべて1から15まで番号が付けられます。
ISTは、BPDUを送受信する唯一のスパニングツリー インスタンスです。他のスパニングツリー インスタンス情報はすべてMレコードに保存されます。Mレコードは、MSTP BPDU内にカプセル化されます。MSTP BPDUはすべてのインスタンスの情報を伝送するので、スイッチが複数のスパニングツリー インスタンスをサポートするために処理する必要のあるBPDU数は大幅に減少します。
同一リージョン内のMSTインスタンスはすべて、同じプロトコル タイマーを共有しますが、各MSTインスタンスは独自のトポロジー パラメータ(ルート スイッチID、ルート パス コストなど)を持っています。デフォルトでは、すべてのVLANがISTに割り当てられています。
MSTインスタンスはリージョンに対してローカルです。たとえば、リージョンAとリージョンBが相互接続されていても、リージョンAのMSTインスタンス1は、リージョンBのMSTインスタンス1から独立しています。
1つのリージョン内で計算されたスパニングツリーは、スイッチド ドメイン全体を網羅するCSTのサブツリーとみなされます。CISTは、802.1W、802.1S、および802.1Dのプロトコルをサポートするスイッチ間で実行されるスパニングツリー アルゴリズムの結果として形成されます。MSTリージョン内のCISTは、リージョン外のCSTと同じです。
詳細については、 MSTリージョン内の動作 および MSTリージョン間の動作 を参照してください。
ISTは1つのリージョン内のすべてのMSTPスイッチを接続します。ISTがコンバージすると、そのISTのルートがISTマスターになります( MSTリージョン、ISTマスター、およびCSTルート を参照)。ISTマスターは、リージョン内のスイッチのうち、CSTルートに対するパス コストとブリッジIDが最も小さいスイッチです。ネットワーク内にリージョンが1つしかない場合、ISTマスターはCSTルートになります。CSTルートがリージョンの外部にある場合、リージョンの境界に位置するMSTPスイッチの1つがISTマスターとして選択されます。
MSTPスイッチは、初期化時に、自身がCSTのルートおよびISTマスターであることを主張するため、CSTルートとISTマスターへのパス コストがいずれもゼロに設定されたBPDUを送信します。スイッチはさらにMSTインスタンスをすべて初期化し、自身がこれらすべてのインスタンスのルートであると主張します。スイッチは、ポートに現在保存されているルート情報よりも上位のルート情報(小さいブリッジID、パス コストなど)を受信すると、ISTマスターとしての主張を撤回します。
初期化中、リージョン内に独自のISTマスターを持つ多くのサブリージョンが形成される場合もあります。スイッチは、上位のIST情報を受信すると、古いサブリージョンを脱退して、真のISTマスターが含まれている新しいサブリージョンに加入します。このようにして、真のISTマスターが含まれているサブリージョン以外のサブリージョンはすべて縮小します。
正常な動作のためには、MSTリージョン内のすべてのスイッチが同じISTマスターを承認する必要があります。したがって、そのリージョン内にある任意の2つのスイッチが、1つのMSTインスタンスに対するポートの役割を同期させるのは、共通のISTマスターにコンバージする場合だけです。
ネットワーク内に複数のリージョンまたは802.1D準拠のレガシー スイッチが混在している場合、MSTPは、ネットワーク内のすべてのMSTリージョンとすべてのレガシーSTPスイッチからなるCSTを構築し維持します。MSTインスタンスは、リージョンの境界でISTと結合してCSTになります。
ISTは、リージョン内のすべてのMSTPスイッチを接続し、スイッチドドメイン全体を網羅するCSTのサブツリーとなります。このサブツリーのルートがISTマスターです。MSTリージョンは、隣接するSTPスイッチやMSTリージョンからは仮想スイッチとして認識されます。
MSTリージョン、ISTマスター、およびCSTルート は、3つのMSTリージョンと802.1D準拠のレガシー スイッチ(D)からなるネットワークを示しています。リージョン1(A)のISTマスターは、CSTルートも兼ねています。リージョン2(B)およびリージョン3(C)のISTマスターは、CST内にあるそれぞれのサブツリーのルートです。RSTPはすべてのリージョンで稼働しています。
MSTリージョン、ISTマスター、およびCSTルート には、各リージョンに追加されたMSTインスタンスは示されていません。MSTインスタンスのトポロジーは、同じリージョンのISTのトポロジーとは異なる可能性もあるので注意が必要です。
BPDUを送受信するのは、CSTインスタンスだけです。MSTインスタンスは自身のスパニングツリー情報をBPDUに追加して、近接スイッチと通信し、最終的なスパニングツリー トポロジーを計算します。したがって、BPDU伝送に関連するスパニングツリー パラメータ(helloタイム、転送時間、最大エージング タイム、最大ホップ数など)は、CSTインスタンスでのみ設定されますが、その影響はすべてのMSTインスタンスに及びます。スパニングツリー トポロジーに関連するパラメータ(スイッチ プライオリティ、ポートVLANコスト、ポートVLANプライオリティなど)は、CSTインスタンスとMSTインスタンスの両方で設定できます。
MSTPスイッチは、バージョン3 RSTP BPDUまたは802.1D STP BPDUを使用して、802.1D準拠のレガシー スイッチと通信します。MSTPスイッチ同士の通信には、MSTP BPDUが使用されます。
ISTとMSTのインスタンスは、スパニングツリー トポロジーの計算に、コンフィギュレーションBPDUのメッセージ有効期間と最大エージング タイムの情報を使用しません。その代わり、ルートへのパス コスト、およびIP Time to Live(TTL)メカニズムに似たホップ カウント メカニズムを使用します。
spanning-tree mst max-hops グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用することにより、リージョン内の最大ホップを設定し、その値をリージョン内のISTインスタンスとすべてのMSTインスタンスに適用することができます。ホップ カウントを設定すると、メッセージ エージ情報を設定するのと同様の結果が得られます(再構成の開始時期を決定する)。インスタンスのルート スイッチは、常にコスト値が0、ホップ カウント値が最大値に設定されたBPDU(またはMレコード)を送信します。このBPDUを受信したスイッチは、受信BPDUの残存ホップ カウントから1だけ差し引いた値を残存ホップ カウントとするBPDUを生成し、これを伝播します。このホップ カウントが0になると、スイッチはそのBPDUを廃棄し、ポート用に維持されていた情報を期限切れにします。
BPDUのRSTP部分に格納されているメッセージ有効期間と最大エージング タイムの情報は、リージョン全体で同じままであり、そのリージョンの境界に位置する指定ポートによって同じ値が伝播されます。
境界ポートとは、RSTPまたは802.1Dが稼働するシングル スパニングツリー リージョン、または異なるMSTコンフィギュレーションを持つ別のMSTリージョンおよびLANにMSTリージョンを接続するポートです。LANの指定スイッチは、単一のスパニングツリー スイッチまたは異なるMSTコンフィギュレーションを持つスイッチのいずれかです。
境界では、MSTポートの役割は重要ではなく、MSTポートのステートは強制的にISTポートのステートと同じになります(境界のMSTポートがフォワーディング ステートになるのは、ISTポートがフォワーディングの場合だけです)。境界のISTポートは、バックアップ ポートの役割以外、すべてのポート役割を担うことができます。
共有境界リンク上では、MSTポートはブロッキング ステートで待機し、転送遅延時間が満了してから、ラーニング ステートに移行しさらに1回転送遅延時間の満了を待ってから、フォワーディング ステートに移行します。
境界ポートがポイントツーポイント リンク上にあり、その境界ポートがISTルート ポートである場合、MSTポートはISTポートがフォワーディング ステートに移行するとすぐにフォワーディング ステートに移行します。
ISTポートがポイントツーポイント リンク上の指定ポートであり、そのISTポートがピア ポートから合意メッセージを受信したためにフォワーディング ステートに移行した場合、MSTポートもすぐにフォワーディング ステートに移行します。
あるISTインスタンスで境界ポートがフォワーディング ステートになると、すべてのMSTインスタンスでフォワーディングへの移行が実行され、トポロジーの変更が引き起こされます。ISTルートまたは指定ポートの役割を持つ境界ポートがMSTクラウドの外部からトポロジー変更通知を受信した場合、そのMSTPスイッチはISTインスタンスおよびそのポートでアクティブなすべてのMSTインスタンスでトポロジーの変更を引き起こします。
MSTPが稼働しているスイッチは、802.1D準拠のレガシー スイッチとの相互運用を可能にする内蔵プロトコル移行メカニズムをサポートします。このスイッチは、802.1D準拠のレガシー コンフィギュレーションBPDU(プロトコル バージョンが0に設定されているBPDU)を受信すると、そのポートでは802.1D BPDUだけを送信します。また、MSTPスイッチは、レガシーBPDU、異なるリージョンに関連づけられているMSTP BPDU(バージョン3)、またはRSTP BPDU(バージョン2)を受信することによって、ポートがリージョンの境界に位置していることを検出できます。
ただし、スイッチは、802.1D BPDUを受信しなくなっても、MSTPモードに自動的に戻ることはありません。レガシー スイッチが指定スイッチでない限り、レガシー スイッチがリンクから除去されたかどうかを判断できないからです。さらにスイッチは、接続先スイッチがリージョンに加入した場合に、引き続きポートに境界の役割を指定する可能性があります。プロトコル移行プロセスを再起動する(近接スイッチとの再ネゴシエーションを強制する)には、 clear spanning-tree detected-protocols イネーブルEXECコマンドを使用します。
リンク上のすべてのレガシー スイッチがRSTPスイッチであれば、これらのスイッチは、RSTP BPDU同様にMSTP BPDUを処理できます。したがって、MSTPスイッチは、バージョン0コンフィギュレーションとTCN BPDUまたはバージョン3 MSTP BPDUのいずれかを境界ポートで送信します。境界ポートは、指定スイッチが単一のスパニングツリー スイッチ、または異なるMSTコンフィギュレーションを持つスイッチであるLANに接続されます。
ここでは、基本的なRSTPおよびMSTP機能の設定方法について説明します。
RSTPおよびMSTPのデフォルト設定 に、RSTPおよびMSTPのデフォルト設定を示します。
ここでは、RSTPおよびMSTPの設定時の注意事項を説明します。
2つ以上のスイッチを同じMSTリージョンに設置するには、その2つのスイッチに同じVLAN/インスタンス マッピング、同じコンフィギュレーション リビジョン番号、同じ名前を設定しなければなりません。
リージョンは、同じMSTコンフィギュレーションを持つ1つまたは複数のメンバーで構成されます。リージョンの各メンバーはRSTP BPDUを処理する機能を備えている必要があります。ネットワーク内のMSTリージョンの数には制限はありませんが、各リージョンがサポートできるスパニングツリー インスタンスの数は16までです。1つのVLANを同時に複数のスパニングツリー インスタンスに割り当てることはできません。
MSTリージョンの設定を指定し、MSTPをイネーブルにするには、イネーブルEXECモードから始めて次の手順を行います。この手順は必須です。
デフォルトのMSTリージョン コンフィギュレーションに戻すには、 no spanning-tree mst configuration グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。VLANインスタンス マップをデフォルトの設定に戻すには、 no instance instance-id [ vlan vlan-range ] MSTコンフィギュレーション コマンドを使用します。デフォルトの名前に戻すには、 no name MSTコンフィギュレーション コマンドを使用します。デフォルトのリビジョン番号に戻すには、 no revision MSTコンフィギュレーション コマンドを使用し、 PVSTをイネーブルに戻すには、 no spanning-tree mode または spanning-tree mode pvst のグローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
以下の設定例は、MSTコンフィギュレーション モードを開始し、VLAN 10〜20をMSTインスタンス1にマッピングして、そのリージョンの名前を region1 に設定し、コンフィギュレーション リビジョン番号として1を設定し、入力した設定を表示してから、変更を適用し、グローバル コンフィギュレーション モードに戻る方法を示しています。
Switch(config)# spanning-tree mst configuration
Switch(config-mst)# instance 1 vlan 10-20
Switch(config-mst)# name region1
Switch(config-mst)# revision 1
Switch(config-mst)# show pending
-------- ---------------------
スイッチは、マッピングしたVLANグループのスパニングツリー インスタンスを維持します。各インスタンスには、スイッチ プライオリティとスイッチMACアドレスからなるブリッジIDが対応づけられています。最小のブリッジIDを持つスイッチがそのVLANグループのルート スイッチになります。
あるスイッチがルート スイッチになるように設定するには、 spanning-tree mst instance-id root グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用してスイッチ プライオリティをデフォルト値(32768)からきわめて小さいプライオリティ値に変更します。これにより、そのスイッチが指定されたスパニングツリー インスタンスのルート スイッチになることができます。このコマンドを入力すると、スイッチは、ルート スイッチのスイッチ プライオリティをチェックします。拡張システムIDをサポートするため、スイッチは、指定インスタンスの固有のプライオリティを24576に設定します(この値によって、このスイッチが指定されたスパニングツリー インスタンスのルート スイッチになる場合)。
指定されたインスタンスのいずれかのルート スイッチに24576より小さいスイッチ プライオリティ値が設定されている場合、スイッチは指定されたVLANに対する自身のプライオリティを、最小のスイッチ プライオリティより4096だけ小さい値に設定します( スイッチ プライオリティ値および拡張システムID に示すように、4096は、4ビット スイッチ プライオリティ値の最下位ビットの値です)。
レイヤ2ネットワークの直径(つまり、レイヤ2ネットワーク上の任意の2つのエンド ステーション間の最大スイッチ ホップ数)を指定するには、 diameter キーワードを指定します。ネットワークの直径を指定すると、スイッチはその直径を持つネットワークに最適なhelloタイム、転送遅延時間、および最大エージング タイムを自動的に設定します。その結果、STPのコンバージェンスに要する時間が大幅に短縮されます。 hello キーワードを使用すると、自動的に計算されたhelloタイムを上書きできます。
スイッチをルート スイッチに設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id root グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
拡張システムIDをサポートするCatalyst 3550スイッチをセカンダリルートとして設定すると、スパニングツリー スイッチ プライオリティはデフォルト値(32768)から28672に変更されます。その結果、プライマリ ルート スイッチに障害が発生した場合に、このスイッチが、指定されたインスタンスのルート スイッチになる可能性が高くなります。ネットワーク上の他のスイッチはデフォルトのスイッチ プライオリティである32768を使用していると想定されるので、他のスイッチがルート スイッチになる可能性は低くなります。拡張システムIDをサポートしないCatalyst 3550スイッチ(Release 12.1(8)EA1より前のソフトウェア)の場合、スイッチ プライオリティは16384に変更されます。
このコマンドを複数のスイッチに実行して、複数のバックアップ ルート スイッチを設定できます。 spanning-tree mst instance-id root primary グローバル コンフィギュレーション コマンド を使用して、プライマリ ルート スイッチの設定時と同じネットワーク直径とhelloタイム値を設定してください。
スイッチをセカンダリ ルート スイッチに設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
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spanning-tree mst
instance-id
root |
プライマリ ルート スイッチの設定時と同じネットワーク直径とhelloタイム値を使用します。 ルート スイッチの設定 を参照してください。 |
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スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id root グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
ループが発生した場合、MSTPはポート プライオリティを使用して、フォワーディング ステートにするインターフェイスを選択します。STPに最初に選択させたいインターフェイスには高いプライオリティ値(小さい数値)を、最後に選択させたいインターフェイスには低いプライオリティ値(大きい数値)を割り当てることができます。すべてのインターフェイスが同じプライオリティ値を使用している場合、MSTPはインターフェイス番号が最も小さいインターフェイスをフォワーディング ステートにして、残りのインターフェイスをブロックします。
インターフェイスのMSTPポート プライオリティを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
インターフェイスをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id port-priority インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
MSTPパス コストのデフォルト値は、インターフェイスのメディア速度から派生します。ループが発生すると、MSTPはコストを使用して、フォワーディング ステートにするインターフェイスを選択します。STPに最初に選択させたいインターフェイスには小さいコスト値を、最後に選択させたいインターフェイスには大きいコスト値を割り当てることができます。すべてのインターフェイスが同じコスト値を使用している場合、MSTPはインターフェイス番号が最も小さいインターフェイスをフォワーディング ステートにして、残りのインターフェイスをブロックします。
インターフェイスのMSTPコストを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を実行します。
インターフェイスをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id cost インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。
スイッチ プライオリティを設定して、スイッチがルート スイッチとして選択される可能性を高めることができます。
スイッチ プライオリティを設定するには、イネーブルEXECモードで次の手順を行います。
スイッチをデフォルト設定に戻すには、 no spanning-tree mst instance-id priority グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。
helloタイムを変更することによって、ルート スイッチによるコンフィギュレーション メッセージが生成される間隔を設定できます。
2つのポートをポイントツーポイント リンクで接続し、ローカル ポートが指定ポートになると、RSTPは提案/合意ハンドシェークを使用して、相手側ポートと高速移行をネゴシエーションし、ループのないトポロジーを保証します( 高速コンバージェンス を参照)。
デフォルトでは、リンク タイプは、インターフェイスのデュプレックス モードによって決定されます。全二重ポートはポイントツーポイント接続とみなされ、半二重接続は共有接続とみなされます。PVRSTまたはMSTPが稼働しているリモート スイッチ上の1つのポートと物理的にポイントツーポイントで接続されている半二重リンクが存在する場合は、リンク タイプのデフォルト設定値を変更して、フォワーディング ステートへの高速移行をイネーブルにすることができます。
MSTPが稼働しているスイッチは、802.1D準拠のレガシー スイッチとの相互運用を可能にする内蔵プロトコル移行メカニズムをサポートします。このスイッチは、802.1D準拠のレガシー コンフィギュレーションBPDU(プロトコル バージョンが0に設定されているBPDU)を受信すると、そのポートでは802.1D BPDUだけを送信します。また、MSTPスイッチは、レガシーBPDU、異なるリージョンに関連づけられているMST BPDU(バージョン3)、またはRST BPDU(バージョン2)を受信することによって、ポートがリージョンの境界に位置していることを検出できます。
ただし、スイッチは、802.1D BPDUを受信しなくなっても、MSTPモードに自動的に戻ることはありません。レガシー スイッチが指定スイッチでない限り、レガシー スイッチがリンクから除去されたかどうかを判断できないからです。さらにスイッチは、接続先スイッチがリージョンに加入した場合に、引き続きポートに境界の役割を指定する可能性があります。
スイッチ全体でプロトコル移行プロセスを再起動する(近接スイッチとの再ネゴシエーションを強制する)には、 clear spanning-tree detected-protocols イネーブルEXECコマンドを使用します。特定のインターフェイスに対してプロトコル移行プロセスを再起動するには、 clear spanning-tree detected-protocols interface interface-id イネーブルEXECコマンドを使用します。
スパニングツリー ステータスを表示するには、 MSTステータスの表示に使用するコマンド に示すイネーブルEXECコマンドの1つまたは複数を使用します。
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