Enterprise Mobility 4.1 デザイン ガイド Cisco Validated Design I
Cisco メッシュ型無線ネットワーキン グ
Cisco メッシュ型無線ネットワーキング
発行日;2012/01/13 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 7MB) | フィードバック

目次

Cisco メッシュ型無線ネットワーキング

はじめに

Cisco 1500 シリーズ Mesh AP

Cisco Wireless LAN Controller

Wireless Control System(WCS)

メッシュ型無線の運用

ブリッジの認証

メッシュ型無線の暗号化

AWPP メッシュ型無線ルーティング

簡易メッシュの展開例

メッシュの近隣、親および子

メッシュ ネットワーク内のバックグラウンド スキャン

緩和値の計算

SNR スムージング

ループ防止

最適な親メッシュの選択

Routing Around an Interface

設計の詳細

メッシュ型無線設計の制約

クライアント WLAN

ブリッジング バックホール パケット

バックホール接続上のクライアント アクセス

メッシュの可用性の増加

複数の RAP

複数のコントローラ

複数のメッシュ型無線モビリティ グループ

設計の例

MAP の密度と距離

各ネットワークへの Cisco 1500 Mesh AP の接続

メッシュ AP の物理配置

AP 1500 の代替展開オプション

無線バックホール

ポイントツーマルチポイント無線ブリッジング

ポイントツーポイント無線ブリッジング

Cisco メッシュ型無線ネットワーキング

この章では、屋外環境で Cisco メッシュ型無線ネットワークを展開するための設計の詳細について説明します。主にメッシュ型の展開に関する設計上の考慮事項について説明しますが、ソリューション コンポーネントと相互作用についても説明します。Cisco メッシュ型無線ソリューションの詳細は、『Cisco Aironet 1500 Series Wireless Mesh AP Version 5.0 Design Guide』を参照してください。URL は次のとおりです。
http://www.cisco.com/en/US/docs/wireless/technology/mesh/design/guide/MeshAP.html

はじめに

Cisco メッシュ型無線ソリューションを展開することで、コスト効率の優れた安全な屋外向け Wi-Fi ネットワークを実現できます。屋外無線アクセスにより、普及しつつある費用のかからない Wi-Fi クライアントを活用して、ユーザの生産性と応答性を向上する新しいサービスやアプリケーションを使用できるようになります。

屋外無線アクセスの需要が増大していることから、厳しい予算とリソースの減少という問題に直面したお客様は、既存のツール、知識、およびネットワーク リソースを最大限に活用する無線 LAN(WLAN)ソリューションによって、コスト効率の優れた方法で展開を簡素化し、WLAN セキュリティの問題に対応する必要があります。Cisco メッシュ型無線ソリューションは、メッシュ型無線テクノロジー固有の優れた特性を備え、現在のネットワーク要件を効率的にサポートし、ビジネス アプリケーションの統合の基盤を築く屋外 WLAN ソリューションです。

屋外無線ソリューションは、標準の屋内 WLAN と比較して、特に次のような面でいくつかの課題があります。

環境

カバレッジ

総所有コスト(TCO)

物理的なデバイス セキュリティ

屋外環境は屋内環境よりも厳しく、屋外に展開する屋内装置を収納して保護するには、特殊な装置またはエンクロージャを必要とします。

展開時には、屋内無線ネットワークよりも広い領域をカバーするよう試みます(それで、完璧というわけではありません)。屋外での展開の課題としては、干渉の原因を制御しにくいことがあり、適切な有線接続を探して、メッシュ型無線ネットワークを有線ネットワークに接続し、メッシュ型ネットワーク デバイスで電力を利用できるようにします。

また、屋外展開では、特殊な無線周波(RF)に関するスキルが必要であり、屋内展開よりもユーザ密度が低く、ビルディング内よりも規制が少ない環境に展開される可能性があります。これらの特性は、屋外ソリューションの TCO を圧迫するため、展開や管理が簡単なソリューションが必要となります。

Cisco メッシュ型無線ソリューションには、3 つの主なコンポーネントがあります。

Cisco 1500 シリーズ Mesh AP:メッシュおよびバックホール クライアント接続に WLAN クライアント アクセスを提供する屋外アクセス ポイント

Cisco Wireless LAN Controller(WLC):AP 制御機能に中央ポイントを提供

Cisco Wireless Control System(WCS):大規模な実装においてスケーラビリティ、管理容易性、および可視性を向上する管理プラットフォーム

図8-1 は、メッシュ AP、WLC、および WCS で構成された簡単なメッシュ ネットワーク展開を示しています。この展開例では、有線ネットワークに接続された 3 つのメッシュ AP があります。これらの AP は、ルーフトップ AP(RAP)として指定されています。メッシュ ネットワーク内のその他の AP はすべて単なるメッシュ AP(MAP)です。MAP および RAP のいずれのメッシュ AP もすべて、WLAN クライアント アクセスを提供できますが、多くの場合、RAP は、設置される場所がら、クライアント アクセスの提供に適していません。次の例では、RAP は、各ビルディングのルーフ上に配置され、それぞれの場所でネットワークに接続されています。一部のビルディングでは、メッシュ AP からの LWAPP セッションを終端するための WLC が配置されていますが、すべてのビルディングで WLC が必要なわけではありません。LWAPP セッションは、必要に応じて、WAN 上の WLC が配置されている別の場所にバック ホールできます。

図8-1 メッシュ ソリューション図

 

Cisco 1500 シリーズ Mesh AP

図8-2 に示されている Cisco 1500 シリーズ Mesh AP は、メッシュ型無線ソリューションのコア コンポーネントであり、無線 LAN コントローラと WCS の既存の機能と新規の機能を活用します。

図8-2 Cisco 1510 および 1520 メッシュ型無線 AP

 

Cisco 1500 シリーズ Mesh AP には、3 つのタイプがあります。

AP1520:同時に動作する次の 2 つの無線で構成される屋外アクセス ポイント

クライアント アクセスに使用する 2.4 GHz 無線

別の 1500 シリーズ Mesh AP へのデータ バックホールに使用する 5.8/4.9 GHz 無線

AP1520 は、モジュール設計にもなっており、次のオプションのアップリンク インターフェイスを設定できます。

ケーブル電源付きケーブル モデム DOCSIS 2.0

100BaseBX SFP 付きファイバー インターフェイス

1000BaseT ギガビット イーサネット

AP1510:同時に動作する次の 2 つの無線で構成される屋外アクセス ポイント

クライアント アクセスに使用する 2.4 GHz 無線

別の 1500 シリーズ Mesh AP へのデータ バックホールに使用する 5.8/4.9 GHz 無線

また、AP1510 には、WLC への接続、または接続されているブリッジ用 LAN セグメントに使用できる、イーサネット ポートがあります。

AP1505:次の 1 つの 2.4 GHz 無線で構成される屋外アクセス ポイント

クライアント アクセスとバックホールに使用される 2.4 GHz 無線

AP1510 と同様に、AP1505 にも有線イーサネット ポートがあります。

1500 シリーズ Mesh AP をさまざまな地形に展開するときに、さまざまなアンテナを使用して柔軟性が提供されます。802.11j で規定される 4.9GHz 周波数無線は、802.11a 相当のテクノロジーが使用されており、バックホール無線またはリレー無線としてシステムで使用されます。2.4 GHz 無線経由で AP に到達した無線 LAN クライアントのトラフィックは、AP バックホール無線を通じて渡されるか、WLC イーサネット接続に到達するまで他の 1500 シリーズ Mesh AP を通じてリレーされます。

1500 シリーズ Mesh AP には、ブリッジ機能を提供する 10/100 イーサネット接続も備わっています。このイーサネット接続は、個別の電力供給システムを通じて Power over Ethernet(PoE)をサポートします。


) パワー インジェクタはこの製品に固有のものであり、シスコのその他の電力供給ソリューションは Cisco 1500 シリーズ Mesh AP には適していません。


Cisco 1500 シリーズ Mesh AP は、LWAPP を使用して、無線メッシュ内の無線コントローラや他の 1500 シリーズ Mesh AP と通信します。

1500 シリーズ Mesh AP は、図8-3 に示すように、アンテナを垂直にして下向きに取り付けるように設計されています。

図8-3 1500 シリーズ Mesh AP の設置

 

Cisco Wireless LAN Controller

メッシュ型無線ソリューションは、Cisco 4400 シリーズ Wireless LAN Controller(WLC)(図8-4)、および Cisco Wireless Services Module(WiSM)(図8-5)でサポートされます。いずれのプラットフォームも、多数のアクセス ポイントに対応できるように拡張可能であり、レイヤ 2 およびレイヤ 3 LWAPP 接続の両方をサポートできるため、メッシュ型無線の展開用に推奨されます。

図8-4 Cisco 4400 Wireless LAN Controller

 

図8-5 Cisco Wireless Services Module


 

Cisco Wireless LAN Controller の詳細は、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/products/hw/wireless/products_category_buyers_guide.html?linkpos=3#number_3

Wireless Control System(WCS)

Cisco Wireless Control System(WCS)は、メッシュ型無線の計画、設定、および管理用のプラットフォームです。ネットワーク マネージャがメッシュ型無線ネットワークを中央から設計、制御、および監視できるようにするためのツールを提供します。

Cisco WCS を使用すると、ネットワーク管理者に、RF 予測、ポリシー プロビジョニング、ネットワーク最適化、トラブルシューティング、ユーザ トラッキング、セキュリティ モニタリング、および WLAN システムの管理のためのソリューションが提供されます。グラフィック インターフェイスにより、無線 LAN を簡単かつコスト効率の優れた方法で展開し、運用できるようになります。Cisco WCS は、詳細な傾向レポートや分析レポートの機能を備えており、ネットワークを継続的に運用するためには欠かせません。

メッシュ型無線の運用

メッシュ型無線の展開では、複数の 1500 Mesh AP が同一のネットワークの一部として展開されます。Mesh AP は、メッシュを形成するために親、子、および近隣の関係を相互に形成し、規定のプライマリ WLC まで戻る LWAPP トンネルを確立します。親、子、および近隣の関係の詳細は、「メッシュの近隣、親および子」を参照してください。

MAP では、Adaptive Wireless Path Protocol(AWPP)を使用し、他の 1500 Mesh AP を経由して WLC に到達する最良のパスを決定します。MAP と RAP 間の無線リンクがメッシュ型無線を形成します。これを使用して、トラフィックが WLAN クライアントから(LWAPP トンネル経由で)WLC に伝送され、ブリッジ トラフックが MAP イーサネット ポートに接続されたデバイス間で伝送されます。

メッシュ型無線では、次の 2 つの異なるトラフィック タイプを同時に伝送できます。

LWAPP トンネル経由の WLAN クライアント トラフィック

MAP ブリッジ トラフィック

WLAN クライアント トラフィックは WLC 上で終端し、ブリッジ トラフィックはメッシュ型無線の MAP のイーサネット ポート上で終端します。

メッシュ型無線の MAP のメンバーシップは、次のようなさまざまな方法で制御できます。デフォルトの AP 認証は EAP ですが、事前共有キー(PSK)を使用した認証も設定できます。メッシュ メンバーシップを制御したり、メッシュ型無線をセグメント化したりするために、認証に加えてブリッジ グループ名(BGN)が使用されます。

ブリッジの認証

メッシュ AP は、有効になっていて、有線イーサネット接続経由でネットワークに接続されている場合、次の手順で WLC に接続します。

1. AP がブートすると、静的 IP が事前に設定されていない場合は、必要に応じて DHCP サーバ経由で IP アドレスを取得します。

2. メッシュ AP は、LWAPP ディスカバリ要求を送信します。

3. WLC は、要求を受信すると、ディスカバリ応答で応えます。

4. この時点で、メッシュ AP は LWAPP join リクエストを発行します。

5. WLC は、LWAPP join レスポンスを発行し、EAP 認証を進めます。

6. メッシュ AP は、現在のイメージ バージョンに基づき、新しいイメージをダウンロードしてリブートする場合があります。

7. リブート後、メッシュ AP は再び WLC への接続と再認証を要求します。


) PSK は、WLC 上で設定されている場合、EAP の代わりに使用できます。


メッシュ AP が WLC への接続に使用する有線接続が存在しない場合は、メッシュ AP は次の手順でコントローラに接続します。

1. ブート後、メッシュ AP は 802.11 アソシエーションを形成し、その 802.11a 接続経由で LWAPP ディスカバリ要求を発行します。

2. WLC に接続されたメッシュ AP が検出されると、そのメッシュ AP は、IP アドレスが静的に設定されていなければ DHCP サーバを使用して IP アドレスを取得します。

3. この時点で、メッシュ AP は LWAPP 接続要求を発行します。

4. WLC は、LWAPP 接続応答を発行し、EAP 認証を進めます。

5. メッシュ AP は、現在のイメージ バージョンに基づき、新しいイメージをダウンロードしてリブートする場合があります。

6. リブート後、メッシュ AP はその親を再び検出し、コントローラへの再接続と再認証を再び要求します。

メッシュ型無線の暗号化

前に説明したように、メッシュ型無線は、MAP と RAP の間のトラフィックをブリッジします。このトラフィックは、メッシュ型無線によりブリッジされた有線デバイスからのトラフィック、またはメッシュ AP からの LWAPP トラフィックである可能性があります。このトラフィックは、メッシュ型無線リンクを経由するときに、常に AES で暗号化されます(図8-6 を参照)。

AES 暗号化は、メッシュ AP が他のメッシュ AP との近隣関係を確立する過程で確立されます。メッシュ AP 間で使用される暗号キーは、EAP 認証プロセスで自動的に生成されます。

図8-6 メッシュの暗号化

 

AWPP メッシュ型無線ルーティング

Cisco メッシュ型無線ネットワークの中核を成すのは、Cisco Adaptive Wireless Path Protocol(AWPP)です。

このプロトコルは、特にメッシュ型無線ネットワーキング用に設計されており、そのパスはリンクの品質とメッシュ AP のホップ数に基づいて決定されます。また、AWPP は、容易な展開、高速コンバージェンス、および最低限のリソース消費を実現するように設計されています。

AWPP の詳細は、次の URL を参照してください。
http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/wireless/ps5679/ps6548/prod_press_coverage0900aecd804ab5f6.pdf

簡易メッシュの展開例

図8-7 に示す簡易メッシュ展開の設計における主要なネットワーク コンポーネントは、次のとおりです。

WCS:メッシュ ネットワークの管理、運用、および最適化における主要コンポーネント。

Wireless LAN Controller:Lightweight アクセス ポイントと他の無線 LAN コントローラとの間のリアルタイム通信を可能にし、中央集中型のセキュリティ ポリシー、無線 Intrusion Prevention System(IPS; 侵入防御システム)機能、RF 管理、QoS(Quality of Service)、およびモビリティを実現します。

ネットワークとメッシュの間のルータ:セキュリティやポリシーを適用して施行することのできるレイヤ 3 境界を提供します。このルータは、RAP のレイヤ 2 切り離しも行います。この切り離しが必要なのは、RAP がトラフィックをローカル イーサネット ポートからメッシュにブリッジするので、不要なトラフィック フラッディングによってリソースが消費されないように、このトラフィックを制限してソリューションをサポートする必要があるからです。

RAP:有線ネットワークに接続されたメッシュ AP。メッシュ型無線 AP のパス ホームとなります。

複数の MAP。


) RAP 無線は、MAP メッシュの中心に向かって接続されています。これは、メッシュの平均ホップ数を最小にする最適な構成です。RAP をメッシュの端に向かって接続すると、ホップ数が増加します。


図8-7 簡易メッシュの展開

 

図8-8 は、物理的構成に対して考えられる論理図の 1 つの例を示しています。この例では、MAP5 が他のすべての MAP のパス ホームとして構成されています。

図8-8 論理メッシュ図

 

図8-9 は、別の論理図を示しています。ここでは、MAP5 への間接パス上の Signal-to-Noise Ratio(SNR; 信号対雑音比)が小さいので、他の MAP に対して、SNR がより大きいリンクに沿って MAP5 へ到達するホップを追加することを検討できます。

図8-9 同等でないメッシュ パス

 

上記のどちらの場合も、MAP5 はすべてのトラフィックのパス ホームとなっています。理想的には、RAP からのカバレッジは、他の MAP(たとえば MAP2)が RAP まで戻るパスを持つようにするほか、MAP5 への信号が損失した場合にトラフィックを MAP2 経由にできるようにします。

メッシュの近隣、親および子

メッシュ AP と別のメッシュ AP との間には、次の 3 とおりの関係があります。

メッシュ内の近隣 AP とは、RF 範囲内にあるものの、その「緩和」値が別の近隣 AP より小さいため、親または子として選択されていない AP のことです(「緩和値の計算」 を参照)。

親 AP とは、最適な緩和値に基づいて RAP まで戻る最適ルートとして選択された AP のことです。親は RAP そのもの、または別の MAP のいずれかです。

子 AP とは、親 AP を RAP まで戻る最適ルートとして選択した AP です。図8-10 の例は、小さいメッシュを示しています。この例では、MAP:7a:70 の親は、RAP:d680 です。MAP:7a:70 の子は、MAP:78:90 です。また、Map:7a:70 は、MAP:d8:90 と近隣関係を持っています。


) メッシュ AP は、他のメッシュ AP の親であったり、子であったりしますが、RAP はいずれの AP の子でもない唯一のメッシュ AP です。


図8-10 親、子、および近隣

 

AWPP の目的は、RAP まで戻るメッシュを経由した、MAP の最適なバックホール リンク パスを見つけることです。そのために、メッシュ AP は、近隣 AP に対して活発に要請メッセージを送信します。要請メッセージの送信中に、メッシュ AP は、RAP まで戻る間にある使用可能な近隣メッシュ AP をすべて調べ、どの近隣メッシュ AP を使用した場合に最良のパスとなるかを判断し、その近隣メッシュ AP と同期化します。

図8-11 は、メッシュ AP が接続を確立する際のメッシュ AP の状態図を示しています。

まず、メッシュ AP は、そのメッシュ AP が RAP であるかどうかを判断する必要があります。メッシュ AP は、イーサネット インターフェイス経由で WLC と通信できる場合は、RAP になります。メッシュ AP は、RAP である場合、直ちに管理状態になります。管理状態の場合、メッシュ AP は、コントローラへの LWAPP 接続を確立しているので、他のメッシュ AP を探索する必要はありませんが、要請メッセージには応答する必要があります。メッシュ AP は、RAP でない場合、スキャン プロセスを開始します。このとき、メッシュ AP は使用可能なすべてのチャネルをスキャンし、他のメッシュ AP からの情報を要請します。

図8-11 メッシュ AP の状態図

 

この場合、主に次の 2 つのことが暗黙的に実行されます。

RAP はチャネルを変更しないため、RAP からメッシュを構築するために使用されるチャネルは RAP の設定内で定義されます。デフォルトでは、RAP はチャネル 161 を使用します。

もともと RAP のみが要請メッセージに応答できるため、メッシュは RAP から構築されます。

メッシュ AP は、RAP でない場合、次のモードで上記の状態図に従って動作します。

スキャン:AP は、メッシュ ビーコンを使用してすべてのバックホール チャネルをスキャンします。このメカニズムは、無線アクセス ネットワークで使用する 802.11 ビーコン メカニズムと似ています。ビーコンに使用するフレームは、NEIGHBOR_UPDATE と呼ばれます。基本的には、NEIGHBOR_UPDATE フレームはネットワークによってアドバタイズされるので、新しいノードはスキャンを実行して迅速に近隣 AP を検出できます。ネットワーク(WLAN コントローラ経由で)に接続後、それぞれの RAP と MAP は NEIGHBOR_UPDATE フレームをブロードキャストします。10dB 未満の SNR で更新された近隣 AP は、すべて破棄されます。このプロセスをパッシブ スキャンといいます。

探索:メッシュの他のメンバに要請メッセージを送信します。これらの要請メッセージに対して正しい応答を発行するメッシュ AP が、近隣 AP になります。

同期:メッシュ AP は、その近隣 AP のそれぞれからパス情報を取得し、緩和値がより大きな近隣 AP が、要請メッセージを送信しているメッシュ AP の親になります。近隣 AP が複数の RAP にレポートを送信する場合、緩和値の最も大きな RAP が選択されます。

認証:メッシュ AP は、その親 AP 経由で確立した接続を通じて WLC の認証を受けます。これが、標準の証明書に基づく LWAPP AP 認証です。

管理:メッシュ AP は、他のメッシュ AP の要請メッセージに応答し、定期的に要請メッセージを発行してメッシュ内の変更を確認します。メッシュ AP が WLC や WCS で認識されるのは、管理状態になってから後のことです。探索モードのメッシュ AP は、すべてのチャネル上で要請メッセージを送信可能であり、親 AP によって検出された場合にのみメッセージの送信を停止します。しかし、管理状態では、メッシュ RAP によって定義されたチャネル上でのみ要請メッセージが送信されます。

メッシュ ネットワーク内のバックグラウンド スキャン

Cisco 1500 シリーズ AP では、バックグラウンド スキャンを使用することで、近隣チャネルの最適パスと親を積極的かつ継続的に監視できます。アクセス ポイントは、現在のチャネル上だけではなく近隣チャネル上も探索しているので、潜在的な代替の最適パスと親のリストは大きくなります。

親が損失する前にこの情報を特定し、より高速な切り替えとアクセス ポイントに対する最適なリンクの発見が可能になります。さらに、新しいチャネル上のリンクが、現在のチャネルよりコスト距離が優れている(ホップが少なく、SNR が強力)ことが判明した場合は、アクセス ポイントを新しいチャネルに切り替えることができます。

他のチャネル上でのバックグラウンド スキャン、およびそれらのチャネル上の近隣 AP からのデータ収集は、2 つのアクセス ポイント間のバックホール上で実行されます。

1510 アクセス ポイントでは、バックホール(プライマリ)は 802.11a リンク上で動作します。

1505 アクセス ポイントでは、バックホールは 802.11b/g リンク上で動作します。

バックグラウンド スキャンは、コマンドライン インターフェイスを使用して、コントローラ上でグローバルに有効にできます。

config mesh background-scanning {enable | disable}

バックグラウンド スキャンが有効であることを確認するには、次のコマンドを入力します。

show mesh background-scanning

バックグラウンド スキャンは、デフォルトで有効になります。


) 音声コールが新しいチャネルに切り替わると、遅延が増加することがあります。


Dynamic Frequency Selection(DFS; 動的周波数選択)を必要とするチャネルを使用している場合は、他のチャネルで近隣 AP を検索すると時間がかかることがあります。

バックグラウンド スキャンの動作についてよく理解できるようにするため、以下にいくつかのシナリオを紹介します。図8-12 では、メッシュ アクセス ポイント MAP1 が、最初に起動したときに、ルート アクセス ポイント RAP1 と RAP2 の両方を親の候補として認識します。RAP2 経由のルートの方がコスト距離がより短いため、MAP1 の親として RAP2 が選択されます。

リンクが確立されると、バックグラウンド スキャンでは、より適切なパスと親を探して、すべてのチャネルが継続的に監視されます。RAP2 は、引き続き MAP1 の親として動作し、リンクが切れるか、別のチャネル上でより適切なパスが見つかるまで、チャネル 2 上で通信を行います。

図8-12 メッシュ アクセス ポイント MAP1 による親の選択

 

図8-13 では、MAP1 と RAP2 の間のリンクが失われています。実行中のバックグラウンド スキャンのデータから、RAP1 とチャネル 1 が、MAP1 に対する次に適した親および通信パスとして特定されたため、RAP2 へのリンクが切断された後、追加スキャンを必要せずに、そのリンクが直ちに確立されます。

図8-13 バックグラウンド スキャンによる新しい親の特定

 

コントローラ上でバックグラウンド スキャンを有効または無効にするには、次のコマンドを入力します。

config mesh background-scanning {enable | disable}

バックグラウンド スキャンが有効であることを確認するには、次のコマンドを入力します。

show mesh background-scanning

緩和値の計算

緩和値を算出するには、各近隣 AP の SNR およびホップ値を使用し、さまざまな SNR しきい値に基づいた乗数を適用します。この乗数を使用する目的は、拡散関数をさまざまなリンクの質を反映した SNR に適用することです。

親 AP は、調整された緩和値を使用して選択されます。調整された緩和値とは、各近隣の緩和値を RAP へのホップ数で割った値のことです。

調整された緩和値 = 各ホップの最小緩和値/ホップ数

図8-14 では、MAP2 で MAP1 経由のパスが優先されます。なぜならば、このパスを経由して調整された緩和値(436906)は、MAP2 から RAP への直接パスの緩和値(262144)よりも大きいからです。

図8-14 親パスの選択

 

SNR スムージング

WLAN のルーティングにおける課題の 1 つは、RF に持続性がないということです。適切なパスを判断し、パスの変更が必要になる時期を決定するときには、この点を考慮する必要があります。特定の RF リンク上の SNR は、実質的には時間の経過と共に変化します。これらの変動に基づいてルート パスを変更すると、ネットワークがパフォーマンスの非常に低い不安定な状態になります。時間の経過による変動を排除して基本となる SNR 値を効率的に取得するには、スムージング機能を適用します。これにより、調整された SNR が提供されます。

現在の親に対する近隣候補の評価では、親間のフラッピングを削減するために、親には、その親の算出された緩和値に加えて、20% の「ボーナス緩和値」が与えられます。ボーナス緩和値が割り当てられた親の候補は、RAP への最適なルートを提供し、子がルートを切り替えられるようにする必要があります。親の切り替えは、LWAPP および他の上位レイヤの機能に対して透過的に実行されます。

ループ防止

ルーティング ループが作成されないようにするために、AWP では、ルート自体の MAC アドレスを含むすべてのルートが破棄されます。つまり、ホップ情報は別として、ルーティング情報には、各ホップから RAP への MAC アドレスが含まれています。これにより、1500 シリーズ Mesh AP では、ループするルートを容易に検出して破棄できます。

最適な親メッシュの選択

AWPP 状態マシンの探索状態において、OPS アルゴリズムが実装されます。AWPP(無線バックホールを持つ RAP と MAP の両方)における親選択アルゴリズムの基本的な手順は次のとおりです。

近隣 AP を持つチャネルのリストは、スキャン状態のパッシブ スキャンによって生成されます。このリストは、すべてのバックホール チャネルの一部分です。

近隣 AP が存在するチャネルは探索状態で活発的にスキャンされ、バックホール チャネルは最適な近隣緩和値を持つチャネルに変更されます。

親は最適な近隣 AP に設定され、親子間のハンドシェークは探索状態で完了します。

親の管理と最適化は、管理状態で行われます。

このアルゴリズムは起動時に実行され、親が見つからず、他の親候補が存在しないと、通常は LWAPP ネットワークとコントローラが探索されます。すべての近隣プロトコル フレームは、チャネル情報を持っています。以下で説明するように、親の管理技術と最適化技術は、どちらも変更されません。

親の管理は、子ノードが宛先の指定された NEIGHBOR_REQUEST を親に送信し、親が NEIGHBOR_RESPONSE で応答することによって実行されます。

親の最適化とリフレッシュは、子ノードがその親と同じチャネル上で NEIGHBOR_REQUEST ブロードキャストを送信し、このチャネル上の近隣ノードからの応答をすべて評価することによって実行されます。最も現実的なメッシュ ネットワークでは、チャネル バックホールを 1 つだけ設計します。

親 MAP とは、RAP まで戻る最良のパスを持つ MAP です。AWPP は、緩和値を使用して最良のパスを決定します。緩和値は、コストとは反対のものと見なすことができます。また、優先パスとは、より高い緩和値を持つパスのことです。

Routing Around an Interface

この機能はオプションであり、ユーザはコントローラの CLI を使用してのみこの機能を設定できます。この機能が有効な場合は、プライマリ バックホール(a 無線)上に過渡的干渉が存在すると、セカンダリ バックホール(b/g 無線)上でパケットが転送されます。

Routing Around an Interface(RAI)には、2 種類の動作モードがあります。

Config mesh secondary-backhaul enable:すべての AP 上で RAI がグローバルに有効になります。RAI を適切に機能させるためには、ユーザは、最初のホップの先にあるすべての AP 上の "b/g" チャネルを、最初のホップの "b/g" 無線上で使用されているのと同じチャネルに設定する必要があります。RRM(自動 RF)が有効な場合は、RRM によって AP 上のチャネルが変更され、RAI は機能しません。

Config mesh secondary-backhaul enable force-same-secondary-channel:1 つのホップ MAP をルートとするサブツリー全体で同じセカンダリ チャネルを持つようにします。RRM を無視するか、2 ホップまたはそれよりも深いところにある MAP に手動で割り当てます。

設計の詳細

屋外メッシュ型無線の展開方法は、それぞれのケースで異なり、場所、障害物、使用可能なネットワーク インフストラクチャに関して抱えている問題もさまざまです。これらの問題には、通常、ユーザ、トラフィック、および可用性に基づいた設計要件と併せて対処できます。この項では、設計上の重要な検討事項を説明し、メッシュ型無線設計の例を示します。

メッシュ型無線設計の制約

1500 Mesh AP のメッシュ型無線ネットワークを設計および構築する場合は、さまざまなシステム特性について検討する必要があります。システム特性には、バックホール ネットワークの設計に適用されるものと、WLC の設計に適用されるものがあります。

推奨バックホールは 18 Mbps である:最適なバックホール レートとしては、MAP の最大 WLAN カバレッジ距離にも適した 18 Mbps が選択されています。つまり、MAP 間の距離が、18 Mbps バックホールを使用するような距離である場合は、MAP 間のシームレスな WLAN クライアント カバレッジが可能です。ビット レートがこれより低い場合、1500 Mesh AP 間の距離を大きくできますが、WLAN クライアント カバレッジでギャップが生じ、バックホール ネットワークのキャパシティが小さくなる可能性があります。バックホール ネットワークのビット レートを増加すると、さらに多くの 1500 Mesh AP が必要になるか、メッシュ AP 間の SNR が減少し、メッシュの信頼性と相互接続性が制限されます。メッシュ型無線 バックホールのビット レートは、メッシュ チャネルと同様、RAP で設定されます。

バックホール ホップの数は 3 または 4 に制限する必要がある:ホップの数を 3 または 4 に制限して、まず十分なバックホール スループットを確保することをお勧めします。各メッシュ AP では、バックホール トラフィックの送受信に同一の無線が使用されるからです。これは、スループットがホップごとにほぼ半分になることを意味しています。たとえば、18 Mbps の最大スループットは最初のホップで約 10 Mbps、2 度目のホップで 5 Mbps、3 度目のホップで 2.5 Mbps となります。

RAP ごとの MAP 数:RAP ごとに設定可能な MAP の数については、現在ソフトウェアでの制限はありません。ただし、メッシュでのボトル ネックを回避するためには、1 つの RAP につき 20 の MAP に制限することをお勧めします。

コントローラごとの AP 数:コントローラごとの AP の数は、コントローラのキャパシティによって決まります。

コントローラ数:モビリティ グループごとのコントローラの数は、24 に制限されています。

クライアント WLAN

メッシュ AP クライアント WLAN では、標準的な 802.11bg LWAPP の展開により使用可能になる、セキュリティや無線管理の機能全般にわたるあらゆる WLAN の機能が提供されます。

クライアント WLAN の目標では、次の事項についてメッシュの展開全体で考慮する必要があります。

必要なビット レート。ビット レートを高くするとカバレッジが狭くなります。これは、メッシュ バックホールにより制限されます。

必要なスループット。アプリケーションのスループット要件、および Cisco 1500 Mesh AP で予想される同時クライアント数。

必要なカバレッジ。異なる 1500 Mesh AP 間のカバレッジが連続している必要があるか、またはメッシュ展開は個別のアクティブ ゾーンの集まりであるか。

必要なセキュリティ メカニズム。WLAN は、パブリックまたはプライベートのいずれでの使用を意図したものであるか。クライアント アクセスに必要なセキュリティ。

ブリッジング バックホール パケット

ブリッジ サービスは、通常のコントローラベースのサービスとは多少異なって扱われます。ブリッジ パケットは LWAPP によりカプセル化されないため、ブリッジ パケット内に外部 DSCP 値は存在しません。したがって、AP で受信された IP ヘッダー内の DSCP 値は、AP 間のパス(バックホール)についての説明のとおり、テーブルへの索引付けに使用されます。

MAP に接続された LAN 上のステーションから受信されたブリッジド フレームは、決して変更されません。802.1p 分類に対するオーバーライド値は存在しません。したがって、ブリッジング モードでは、LAN トラフィック分類は適切に保護される必要があります。

フレームは、無線メッシュ ブリッジへの入力時に受信されると、MAP LAN に正確に転送されます。

1500 では、DSCP のタグが変更されません。

入力ポート上で、1510 は、DSCP マーキングを確認し、IP パケットをカプセル化して、対応する 802.1p 優先度を適用します。

出力ポート上で、1510 は、IP パケットのカプセル化を解除して、未変更の DSCP マーキング付きで有線上に IP パケットを配置します。

この優先度を有効にするためには、イーサネット デバイス(IP ビデオ カメラなど)が、パケットの DSCP をマーキングする機能を備えている必要があります。

バックホール接続上のクライアント アクセス

バックホール トラフィックを同時に送信しながら、5.8 GHz および 4.9 GHz バックホール接続上でクライアント アクセスを可能にできます。この機能は、展開時に 2.4 GHz クライアントと 5 GHz クライアントの両方をサポートする必要がある場合に、特に有用です。このオプションの機能は、デフォルトでは無効ですが、CLI コマンド インターフェイスで次のコマンドを使用して有効にできます。

(Cisco Controller) >config mesh client-access enable/disable

図8-15 に示すように、GUI では、メッシュ機能のセクションでこの機能を有効にできます。

図8-15 クライアント アクセス

 

メッシュの可用性の増加

メッシュ型無線セルには、携帯電話のネットワークを作成するのに使用されるセルとよく似たプロパティがあります。このテクノロジーにより、セルの最大サイズを定義し、同じ物理領域をカバーするより小さなセルを作成して可用性やキャパシティをさらに高めることができます。これは、セルへの RAP の追加によるものです。さらに大規模なメッシュの展開時と同様に、同一チャネルで RAP を使用するかどうか(図8-16 を参照)、または異なるチャネルを使用するかどうか(図8-17 を参照)を決定します。領域に RAP を追加すると、その領域に対するキャパシティおよび復元力が追加されます。

図8-16 同一チャネルを持つセルごとの 2 つの RAP

 

図8-17 異なるチャネル上のセルごとの 2 つの RAP

 

複数の RAP

複数の RAP を展開する前に、それらの RAP を展開する目的について検討する必要があります。ハードウェアにダイバーシティ機能を持たせるために RAP を追加することを検討している場合は、追加する RAP をプライマリ RAP と同じチャネル上に展開します。その理由は、メッシュがある RAP から別の RAP に移る場合のコンバージェンスの時間を最小限に抑えるためです。RAP ハードウェアにダイバーシティ機能を持たせることを計画している場合は、RAP ごとに 32 MAP という制限がある点に注意する必要があります。

主にキャパシティを増加させるために追加の RAP を展開する場合は、追加の RAP を近隣する RAP とは異なるチャネルに展開して、バックホール チャネルでの干渉を最小限に抑える必要があります。

2 番目の RAP を異なるチャネルに追加する場合は、チャネル プランニングまたは RAP セル分割を使用して、潜在的なコリジョン ドメインの範囲が小さくなるようにします。チャネル プランニングでは、オーバーラップしない異なるチャネルを同じコリジョン ドメイン内の RAP に割り当てて、コリジョンが発生する確率を最小限に抑えます。RAP セル分割は、コリジョン ドメインを減少させるための簡単で効果的な方法です。メッシュ ネットワークに全方向性のアンテナを持つ 1 つの RAP を展開する代わりに、指向性アンテナを持つ 2 つ以上の RAP を展開できます。これらの RAP を異なる周波数のチャネルで動作するように配置して、大きなコリジョン ドメインを独立して動作する複数の小さなコリジョン ドメインに分割します。

メッシュ型無線のブリッジング機能が複数の RAP で使用されている場合、これらの RAP はすべて同一のサブネット上にあり、ブリッジ クライアントに一貫性のあるサブネットが確実に提供されるようにする必要があります。

異なるサブネット上に複数の RAP を配置してメッシュを構築すると、フェールオーバー時に MAP のコンバージェンスの時間が増加する可能性があります。なぜならば、MAP が異なるサブネット上の別の RAP へフェールオーバーする必要があり、適切な IP アドレスを DHCP サーバから取得する必要があるからです。この現象が発生しないようにする 1 つの方法は、サブネットの境界で切り離されているネットワークのセグメントに対して異なる BGN を使用することです。この方法でセグメント化すると、MAP は異なるサブネット上の RAP にアソシエートしないので、RAP を追加したことによりコンバージェンスが低速化し、高可用性を実現するための費用がかかるのを避けることができます。

複数のコントローラ

WLC の集中化には運用上の利点があり、そうした利点を得るには LWAPP AP へのリンクの速度とキャパシティ、およびこれらの AP を使用した WLAN クライアントのトラフィック プロファイルを犠牲にする必要があります。

WLAN クライアント トラフィックをインターネットやデータ センターなどの特定のサイトに集中化することが見込まれている場合、コントローラをこれらのトラフィックの中心となっているサイトと同じサイトに集中化させると、トラフィックの効率を犠牲にすることなく運用上の利点を得ることができます(図8-18 を参照)。

図8-18 中央集中型コントローラ

 

WLAN のクライアントのトラフィックが主にピアツーピアである場合は、図8-19 に示すように、分散コントローラ モデルが適しています。そのような場合、別のロケーションへのトラフィックは少なくなり、大半の WLAN トラフィックがその領域のクライアントどうしのものになる可能性があります。多くのピアツーピア アプリケーションが遅延とパケット損失に対して感度が高い場合、ピア間のトラフィックが最も効率の高いパスを通ることを確認する必要があります。

図8-19 分散型コントローラ

 

大半の展開でクライアント サーバ トラフィックとピアツーピア トラフィックを組み合わせている場合は、WLC 配置のハイブリッド モデルが使用される可能性があります。この場合、Points of Presence(PoP;アクセス ポイント)がネットワークの戦略的ロケーションに配置されたコントローラのクラスタで作成されます。

どのような場合でも、メッシュ型無線ネットワークで使用される LWAPP モデルは、LWAPP AP(メッシュ型無線の RAP と MAP)と無線 LAN コントローラの間の高速かつ遅延の少ないネットワークを実現するように設計されます。

複数のメッシュ型無線モビリティ グループ

メッシュ型無線の WLAN カバレッジは、モビリティ グループで使用可能なコントローラの最大数によって制限されることはありません。モビリティ グループの一部である WLAN は、別のモビリティ グループで複製可能であり、WLAN クライアントはこれらのモビリティ グループ間でローミングできます。

モビリティ グループ間でのローミングは、メッシュ型無線ネットワークの背後にあるネットワーク トポロジに応じて、レイヤ 2 またはレイヤ 3 で実行される可能性があります。レイヤ 3 ローミングがモビリティ グループ間で実行されるときには、モビリティ トンネリングは実行されません。そのため、クライアントは新しい DHCP アドレスを要求する必要があり、セッションが中断されます。

設計の例

この項では、都会または郊外地域での WLAN カバレッジのサンプル設計について説明します。適切なカバレッジを実現するためには、セル サイズの制限とチャネル間隔について理解しておくことが大切です。次の例では、メッシュ展開におけるこれらの準備方法について説明します。

MAP の密度と距離

セルの計画では、2 つの距離について考慮する必要があります。1 つは一般的なバックホールの半径であり、もう 1 つは一般的な 2.4 クライアント アクセスの半径です。バックホール データにメッシュを単に追加する場合は、半径が 150 m に制限されます。ただし、完全なクライアント カバレッジを実現しようとすると、半径は 90 m に制限されます。

バックホールの周囲でのメッシュ展開を設計しており、シームレスな WLAN カバレッジを実現するつもりではない場合は、一般的なセル サイズの半径である 304 m を使用できます。

図8-20 304 m の距離の例

 

シームレスな WLAN カバレッジを実現する展開では、セルの半径を約 90 m にすることをお勧めします。一部オーバーラップしている 1 平方Km あたりのセルの数は 36 です(図8-21 を参照)。

図8-21 90 m の距離の例

 

RAP の設置場所を探す場合に目標とするのは、その RAP が設置される場所で RF アンテナを組み合わせて使用するように設計して、セルのコア内の MAP への良好な RF リンクが確立されるようにすることです。

これは、RAP の物理的ロケーションをセルの端にすることが可能であり、指向性アンテナを使用してセルの中心へのリンクを確立することを意味します。

図8-22 メッシュ型無線のレイアウトの概略図

 

複数のセルをレイアウトする場合、標準の WLAN プランニングに類似したチャネル プランニングを使用してチャネルのオーバーラップを避けます。図8-23 に示すように、B2 と D3 が同じチャネルを共有していますが、オーバーラップはしていません。この図で同じチャネルを共有しているその他のセルについても、同様のことが言えます。同じチャネルを共有しているセルは、次のとおりです。

B2 と D3

B3 と D2

B4 と C2

C3 と D4

可能なら、メッシュが RAP 接続の損失を補うために拡張した場合には、チャネル プランニングもチャネルのオーバーラップを最小限にします(図8-24 を参照)。

図8-23 28さまざまなセルのレイアウト

 

図8-24 フェールオーバー カバレッジ

 

各ネットワークへの Cisco 1500 Mesh AP の接続

メッシュ型無線では、ブリッジされたトラフィックまたは WLAN クライアント トラフィックが終端するロケーションが有線ネットワーク上に 2 つあります。最初のロケーションは、RAP が有線ネットワークに接続される地点であり、ブリッジングが有効な場合には、すべてのブリッジされたトラフィックが有線ネットワークに接続される地点になります。2 つめのロケーションは、WLC が有線ネットワークに接続される地点です。このロケーションでは、メッシュ ネットワークからの WLAN クライアント トラフィックが有線ネットワークに接続されます。これについては、図8-25 を参照してください。メッシュからの WLAN クライアント トラフィックは、無線 LAN コントローラにトンネルされ、WLAN が割り当てられた VLAN 上で終端します。メッシュ上の各 WLAN に対するセキュリティとネットワーク構成は、コントローラが接続されているネットワークのセキュリティ機能によって変わります。

図8-25 メッシュ ネットワーク トラフィックの終端

 

屋外 AP への接続では、屋内 AP の場合とは異なり、有線ネットワークに対するファイアウォールを設定する必要はありません。MAP をブリッジング アプリケーションに使用でき、その MAP により有線 MAP ポート上でセキュリティが制限されるからです。

メッシュ AP の物理配置

MAP の設置場所を選ぶときには、障害となる高い建物、街灯柱の場所、電力オプションなどの問題に注意してください。大半の環境では街灯柱がありますが、それらのすべてに光センサースイッチが装備されているわけではありません。光電池とは、街灯柱が自動的に夜間に点灯し、昼間に消灯するようにするために、街灯柱でよく使用される機能のことです。街灯の電力タップを街灯柱の回路と光電池の間に挿入すると、街灯からの電力を切り替えることができます。街灯柱に光電池がない場合は、別の方法で AP に電力を供給する必要があります。街灯柱の種類および電力の切り替え方法に注意してください。ルーフトップ MAP を配置する場合は、メッシュへの第一ホップとして指定された特定の MAP または MAP のグループがカバレッジエリアとなるようにするために、指向性アンテナが役立ちます。RAP に全方向性アンテナを使用する計画を立てている場合は、そのアンテナを建物の端に向けて取り付けて、無線カバレッジがブロックされないようにします。図8-26 は、メッシュ内の RAP と MAP 間のカバレッジの関係を示しています。

図8-26 AP の配置

 

AP 1500 の代替展開オプション

Cisco 1500 シリーズ Mesh AP ソリューションでは、次のような代替展開モードをサポートしています。

WLAN バックホール

ポイントツーマルチポイント無線ブリッジング

ポイントツーポイント無線ブリッジング

これらの展開方法は、都市環境で LAN セグメントを接続するために役立ちます。また、LAN セグメントのバックアップ接続を補完するために使用することもできます。ブリッジされたネットワーク構成では、クライアント WLAN をサポートすることもできます。次の代替展開方法のいずれでも、メッシュ WLAN クライアント トラフィックを同時にサポートできます。

無線バックホール

Cisco 1500 Mesh AP は、簡易無線バックホール ソリューションを提供できます。このソリューションでは、1500 Mesh AP を使用して 802.11b/g サービスが WLAN および有線クライアントに提供されます。この場合、基本的には、1 つの MAP を持つメッシュ型無線として構成されます。図8-27 は、このタイプの展開の例を示しています。

図8-27 無線バックホール

 

ポイントツーマルチポイント無線ブリッジング

ポイントツーマルチポイント ブリッジングのシナリオでは、ルート ブリッジの役割を果たす RAP が、非ルート ブリッジである複数の MAP を、それらの MAP がアソシエートされた有線 LAN に接続します。デフォルトでは、この機能はすべての MAP で無効になっています。

イーサネット ブリッジングが使用されている場合は、各 MAP のコントローラ上でそれを有効にする必要があります。図8-28 は、1 つの RAP および 2 つの MAP を持つ簡単な展開を示していますが、これは、基本的に WLAN クライアントを持たないメッシュ型無線として構成されています。クライアントのアクセスに対してイーサネット ブリッジングを有効にすることはできますが、建物間のブリッジングの場合、高い屋上からの MAP カバレッジはクライアントのアクセスに適していないことがあります。

図8-28 ポイントツーマルチポイント無線ブリッジング

 

ポイントツーポイント無線ブリッジング

ポイントツーポイント無線ブリッジングのシナリオでは、1500 Mesh AP を使用してレイヤ 2 ネットワークを拡張できます。そのためには、バックホール無線を使用して、2 つのスイッチド ネットワークのセグメントをブリッジします(図8-29 を参照)。これは、基本的には、1 つの MAP を持ち WLAN クライアントを持たないメッシュ型無線です。ポイントツーマルチポイント ネットワークと同様、クライアントのアクセスに対してイーサネット ブリッジングを有効にすることはできますが、建物間のブリッジングの場合、高い屋上からの MAP カバレッジはクライアントのアクセスに適していないことがあります。

図8-29 ポイントツーポイント無線ブリッジング