Enterprise Mobility 4.1 デザイン ガイド Cisco Validated Design I
WLAN 無線周波の設計に関する 考慮事項
WLAN 無線周波の設計に関する考慮事項
発行日;2012/01/13 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 7MB) | フィードバック

目次

WLAN 無線周波の設計に関する考慮事項

RF の基礎

規制区域

動作周波数

802.11b/g の動作周波数およびデータ レート

802.11a の動作周波数およびデータ レート

IEEE 802.11 規格について

Direct Sequence Spread Spectrum

IEEE 802.11b Direct Sequence チャネル

IEEE 802.11g

IEEE 802.11a OFDM の物理レイヤ

IEEE 802.11a のチャネル

RF 電力の用語

dB

dBi

dBm

Effective Isotropic Radiated Power

RF 展開の計画

オーバーラップする WLAN カバレッジのさまざまな展開の種類

データ専用の展開

音声/展開

Location-Based Service 展開

WLAN のデータ レート要件

カバレッジ領域に対するデータ レート

異なるデータ レートに対する AP の密度

クライアント密度とスループット要件

WLAN のカバレッジ要件

電力レベルとアンテナの選択

全方向性アンテナ

パッチ アンテナ

セキュリティ ポリシー要件

RF 環境

RF 展開とベスト プラクティス

WLAN カバレッジの手動による微調整

チャネルおよびデータ レートの選択

チャネルの選択に関する推奨事項

手動でのチャネル選択

データ レートの選択

Radio Resource Management(Auto-RF)

Auto-RF 動作の概要

Auto-RF の変数および設定

サンプルの show ap auto-rf コマンドの出力

チャネルの動的割り当て

干渉の検出と回避

送信電力の動的制御

カバレッジ ホールの検出と修正

クライアントとネットワークのロード バランシング

WLAN 無線周波の設計に関する考慮事項

この章では、さまざまな無線ローカル エリア ネットワーク(WLAN)環境における Radio Frequency(RF; 無線周波)の考慮事項を理解するために必要な RF の基本情報について説明します。この章は、次の内容で構成されています。

規制区域と周波数

IEEE 802.11 規格について

802.11b/g や 802.11a などの RF スペクトラムの実装

RF 展開の計画

WLAN カバレッジの手動による微調整

Radio Resource Management(RRM)

RF の基礎

アメリカ合衆国では、工業用、科学用、および医療用(ISM)の無認可使用のために 3 つの帯域が割り当てられています。これらの ISM 帯域は、次のように定義されています。

900 MHz(902 ~ 928 MHz)

2.4 GHz(2.4 ~ 2.4835 GHz)(IEEE 802.11b/g はこの周波数範囲で動作)

5 GHz(5.15 ~ 5.35 および 5.725 ~ 5.825 GHz)(IEEE 802.11a はこの周波数範囲で動作)

各範囲には異なる特徴があります。低周波数は、広い範囲を公開しますが、帯域幅は限られているため、データ レートは低くなります。高周波数は、狭い範囲を公開し、サイズの大きいオブジェクトの場合は減衰量が増えることがあります。

以降の項では、802.11 無線での 2.4 GHz および 5 GHz の周波数範囲における通信を向上させるために使用される RF 特性について、具体的にいくつか紹介します。この項では、規制区域とその動作周波数の概要を示します。

規制区域

無認可の帯域で動作するデバイスは、正式な認可を得るプロセスは必要ありませんが、これらの帯域で動作する際、ユーザは政府がその地域に対して定めた規制に従う必要があります。世界中の各規制区域は、それぞれの基準に従ってこれらの帯域を監視しています。これらの区域で使用される WLAN デバイスは関連する行政の規制区域の規格に従う必要があります。規制要件が IEEE 802.11b/g および 802.11a 準拠製品の相互運用性に影響することはありませんが、管理機関は実際に規格で特定の基準を設定しています。たとえば、無線が生成したり、同じプロキシミティの別の無線から受信する干渉の量を最小限に抑えるための、WLAN のエミッション要件があります。関連する規制機関から製品の認証を受けることは、ベンダーの責任です。 表3-1 は Wi-Fi 製品に対する最新の規制区域の要約を示しています。主な規制区域は、FCC、ETSI、および電波法です。

多くのベンダーでは、規制当局の要件に準拠するほか、Wi-Fi 認証プログラム( www.wi-fi.org )を通じて、他のベンダーとの互換性も確認しています。

その他の国の規制送信電力の設定および許可されている周波数利用の一覧は、次の URL を参照してください。

http://www.cisco.com/en/US/products/ps6305/products_configuration_guide_chapter09186a008059c96f.html

 

表3-1 規制区域

規制区域
地理的地域

南・北・中央アメリカまたは United States Federal Communication Commission(FCC)

北、南、中央アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アジアおよびオセアニアのさまざまな地域

ヨーロッパまたは European Telecommunications Standards Institute(ETSI)

ヨーロッパ(EU および非 EU 国の両方)、中東、アフリカ、アジアおよびオセアニアのさまざまな地域

日本(電波法)

日本

中国

中華人民共和国(中国大陸)

イスラエル

イスラエル

シンガポール1

シンガポール

台湾 1

中華民国(台湾)

1.シンガポールおよび台湾における無線 LAN に対する規制は、これらの国に固有のものであり、5 GHz 帯域での動作だけを対象としています。したがって、シンガポールおよび台湾は、5 GHz の操作だけに関する規制区域となります。2.4 GHz の操作の場合は、それぞれ ETSI および FCC が規制区域となります。


) 適合情報については、Cisco の Web サイトを参照してください。また、その国で許可されていることを調べるには、その国の規制当局に問い合わせてください。表3-2 および表3-3 に示されている情報は、一般的な指針として使用してください。地域的な要件を満たすシスコ製品に関する最新情報は、
http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/wireless/ps5679/ps5861/product_data_sheet0900aecd80537b6a_ps430_Products_Data_Sheet.html を参照してください。


動作周波数

2.4 GHz 帯域の各規制は、動作時間の点では、比較的変わりがありません。FCC は 11 チャネル、ETSI は最大 13 チャネル、および日本は最大 14 チャネル許可していますが、チャネル 14 は 11b でしか使えません。

802.11a については、5.250~5.350 GHz(W53)の周波数範囲と、802.11a の追加チャネルとして 5.470~5.780 GHz の周波数範囲を公開する方向で各国が動き始めています。これらのさまざまな周波数については、この章の 802.11 に関する項で詳しく説明します。

802.11b/g の動作周波数およびデータ レート

1999 年 9 月に批准された 802.11b 規格は 2.4 GHz スペクトラムで動作し、1、2、5.5、および 11 Mbps のデータ レートをサポートします。802.11b は、ユーザに幅広く受け入れられ、ベンダーからもサポートされています。802.11b テクノロジーは、数千ものエンタープライズ組織で展開されており、一般に、最新のアプリケーションで受け入れ可能なスピードおよびパフォーマンスが認められています。

2003 年 6 月に批准された 802.11g 規格は、802.11b と同じスペクトラムで動作し、802.11b 規格との下位互換性を備えています。802.11g はさらに、6、9、12、18、24、36、48、および 54 Mbps のデータ レートをサポートします。

表3-2 はさまざまな 802.11b/g チャネル周波数と、各規制区域での使用が規制当局によって許可されているかどうかを示しています。すべての規制区域で、これらの周波数すべてを使用できるわけではない点に注意してください。

 

表3-2 802.11b および 802.11g の動作周波数範囲

チャネル
識別子
中心周波数
FCC(アメリカ)
ESTI(EMEA)
電波法(日本)
MOC(イスラエル屋外) 2

1

2412

X

X

X

2

2417

X

X

X

3

2422

X

X

X

4

2427

X

X

X

5

2432

X

X

X

X

6

2437

X

X

X

X

7

2442

X

X

X

X

8

2447

X

X

X

X

9

2452

X

X

X

X

10

2457

X

X

X

X

11

2462

X

X

X

X

12

2467

X

X

X

13

2472

X

X

X

14 3

2484

X

2.イスラエルでは、チャネル 1 ~ 13 は屋内で許可されています。

3.チャネル 14 は 802.11b のみ利用可能です。

802.11a の動作周波数およびデータ レート

5 GHz 無線帯域の無許可の領域で動作する 802.11a は、2.4 GHz 帯域で動作する電子レンジ、さまざまなコードレス電話、Bluetooth(狭い範囲での低速なポイントツーポイントのパーソナルエリアネットワークの無線規格)などのデバイスからの干渉の影響を受けません。802.11a 規格は別の周波数範囲で動作するため、既存の 802.11b または 802.11g に準拠した無線デバイスとは互換性がありませんが、これは、2.4 GHz および 5 GHz の機器であれば、同じ物理環境で干渉することなく動作できるということです。

これら 2 つのテクノロジー(802.11b/g と 802.11a)を選択するうえで、1 対 1 のトレードオフは必要ありません。これらは補完的なテクノロジーであり、将来の企業環境でも共存し続けます。これらのテクノロジーの実装の責任者は、2.4 GHz だけのネットワーク展開、5 GHz だけのネットワーク展開、またはこれらをくみあわせた展開の中から、経験に基づいて選択できる必要があります。既存の 802.11b ネットワークを使用する組織は、単純に既存の AP に新しい 802.11a ネットワークを展開し、802.11b による 11 Mbps カバレッジと同じ領域で、802.11a による 54 Mbps カバレッジを期待するわけにはいきません。これらの両方の帯域の技術的な特性のため、このようなカバレッジの互換性は実現しません。

802.11a では、通常、所定の電力およびアンテナ ゲインに対して短い範囲で、6、9、12、18、24、36、48 のデータ レート、および最大データ レート 54 Mbps を使用できますが、802.11b/g ではオーバーラップしない周波数チャネルが 3 つであるのに対し、地理的地域に応じてオーバーラップしない周波数チャネルが最大で 23 あります。この結果、ネットワーク キャパシティが増加し、スケーラビリティが向上して、近接するセルから干渉を受けずにマイクロセルラー展開を作成できるようになります。

802.11a が動作する 5 GHz 帯域は、複数の異なる部分に分割されています。 表3-3 に示されている 802.11a の各帯域で、W52、W53、W56 は屋内で、また W56 は屋外でも使用できます。日本では、それぞれ 4 つのチャネルを持つ W52、W53、および 11 のチャンネルを持つ W56 帯域が使用できます。チャネルは、20 MHz 離して設定され、RF スペクトラムが 20 MHz であるため、オーバーラップしないチャネルとなります。

これら 3 つの UNII 帯域には、別々の制限があります。それぞれ、送信電力、アンテナ ゲイン、アンテナ スタイル、および用途の制約が異なります。W52 帯域と W53 帯域は、屋内での動作を目的として使用されます。W56 帯域は、屋内または屋外の 802.11a WLAN にも使用できます。

W52(5.150 ~ 5.250 GHz)のチャネルは、36、40、44、および 48 です。W53(5.250 ~ 5.350 GHz)のチャネルは、52、56、60、64 で、Dynamic Frequency Selection(DFS; 動的周波数選択)および Transmitter Power Control(TPC)が必要です。W56 のチャネルは、100、104、108、112、116、120、124、128、132、136、140 で、DFS および TPC が必要です。所定の範囲のすべてのチャネルをすべての規制区域で使用できるわけではありません。図3-1 は、W52、W53、および W56 帯域のさまざまなチャネルと追加の新しい 11 チャネルを示しています。

総務省は 2007 年 1 月 31 日、5.6 GHz 帯(W56)を無線 LAN に解放する電波法関連の法律を改正しました。この改正では、新しく 11 のチャネルが追加され、使用可能なチャネル キャパシティは合計 19 に増えました(図3-1 を参照)。

図3-1 802.11 のチャネルのキャパシティ

 

新しく追加された 11 のチャネルは、屋内および屋外で使用できます。ただし、新しい 11 のチャネルを使用するには、無線が、802.11h の仕様で規定されている 2 つの機能(TPC および DFS)を備えている必要があります。DFS は、この周波数範囲で動作するレーダーを避けるために必要ですが、これは、動的周波数の計画など他の用途にも使用できます。802.11h は、Cisco Unified Wireless Network Software Release 3.1 以降サポートされています。

DFS は、特定の条件(レーダー信号の存在など)が満たされたときには必ず、トランスミッタに対して別のチャネルへの切り替えを動的に指示します。デバイスの DFS メカニズムは、送信前に、使用可能な動作範囲を監視し、レーダー信号を待ちます。信号が検出されると、レーダー信号にアソシエートされているチャネルが解放されるか、そのチャネルをトランスミッタが使用できないことを示すフラグが立てられます。送信デバイスは、動作前および動作中に、その環境で継続的にレーダーの存在を監視します。5 GHz 帯域の部分は、レーダー システムに割り当てられます。これにより WLAN では、現在のレーダー ユーザが同じ場所にまとめて配置されている場合に、それらのユーザへの干渉を回避できるようになります。

TPC により、AP がアソシエーション プロセスで WLAN クライアントと電力レベルをネゴシエートできるようになります。AP は、その WLAN クライアントに、その AP に対して使用することのできる送信電力の範囲を知らせて、そのレベルを満たすことができないクライアントを拒否できます。WLAN クライアントは、そのクライアントの送信電力レベルを、TPC ネゴシエーションで指定された範囲内に調節できます。これにより、WLAN からの干渉を最小限に抑え、WLAN クライアントのバッテリ寿命を最適化できるようになります。

米国 FCC 規制の最新情報の詳細は、
http://www.cisco.com/en/US/products/hw/wireless/ps469/products_white_paper0900aecd801c4a88.shtml を参照してください。

表3-3 は、802.11a 規格の周波数を示しています。

 

表3-3 802.11a の動作周波数の範囲

チャネル識別子

36

40

44

48

52

56

60

64

100

104

108

112

116

120

124

128

132

138

140

中心周波数MHz

5180

5200

5220

5240

5260

5280

5300

5320

5500

5520

5540

5560

5580

5600

5620

5640

5660

5680

5700

帯域
W52
W53
W56
場所
屋内
屋内
屋内および屋外

IEEE 802.11 規格について

IEEE 802.11 とは、Institute for Electrical and Electronics Engineers(IEEE)内で作業しているグループで、OSI モデルの物理レイヤおよびリンクレイヤ(レイヤ 1 とレイヤ 2)の無線 LAN 標準を担当しています。これに対して、Internet Engineering Task Force(IETF)はネットワーク レイヤ(レイヤ 3)プロトコルを担当しています。802.11 作業グループでは、802.11 WLAN 規格の要素を担当する多数のタスク グループがあります。 表3-4 は、タスク グループ イニシアチブの一部の要約を示しています。

これらの作業グループの詳細は、 http://www.ieee802.org/11/ を参照してください。

 

表3-4 IEEE 802.11 タスク グループの活動

タスク グループ
プロジェクト

MAC

Physical Layer Entity(PHY)タスク グループと共に、WLAN のための 1 つの共通の MAC を開発する

PHY

赤外線、2.4 GHz FHSS、2.4 GHz DSSS という 3 つの WLAN PHY を開発する

a

5 GHz UNII 帯域のための PHY を開発する

b

2.4 GHz 帯域で高レートな PHY を開発する

c

802.11 MAC でのブリッジ動作を扱う(スパニング ツリー)

d

その他の規制区域(国)の 802.11 動作のための物理レイヤ要件を定義する

e

QoS のために 802.11 MAC を強化する

f

マルチベンダー使用のために Inter Access Point Protocol(IAPP)の推奨案を作成する

g

802.11b に対して高速な PHY 拡張を開発する(54 Mbps)

h

802.11 MAC と 802.11a の PHY Dynamic Frequency Selection(DFS)、Transmit Power Control(TPC)を強化する

i

802.11 MAC のセキュリティおよび認証メカニズムを強化する

j

802.11 の規格を強化し、日本における 4.9 GHz および 5 GHz のチャネル選択の追加に向けて修正する

k

無線およびネットワーク測定のための上位レイヤにインターフェイスを提供するため、Radio Resource Measurement 拡張を定義する

m

802.11 系列の仕様の文書に関する、編集上の管理、修正、改訂、明確化、および翻訳を行う

n

2.4 GHz、5 GHz 帯域における高スループット拡張(MAC SAP で >100 MB/s)を重点的に扱う

o

Voice over WLAN での高速なハンドオフ(目標は 50 ms あたり)を提供する

p

料金徴収、車両安全サービス、車でのコマース トランザクションなど、車両を対象とした車両用通信プロトコルを中心に扱う

r

高速な BSS 遷移および高速なローミングを定めた規格を開発する

s

完全に網羅するように向上されたメッシュ ネットワークの MAC および PHY を定義する

t

製造業者、テスト ラボ、サービス プロバイダ、ユーザが 802.11 WLAN デバイスおよびネットワークのパフォーマンスをコンポーネントおよびアプリケーション レベルで測定できるようにするパフォーマンス メトリック、測定方法論、テスト条件を提供する

u

IEEE 802.11 アクセス ネットワーク(ホットスポット)と外部ネットワークの間に機能およびインターフェイスを提供する

v

ステーション(STA)に対してネットワーク管理を提供する 802.11 MAC/PHY への拡張を提供する

w

アクション管理フレーム、認証解除フレーム、アソシエーション解除フレームなどの、選択した IEEE 802.11 管理フレームのデータの整合性、データ発信元の信頼性、応答の保護、データの機密保持を実現するメカニズムを提供する

Direct Sequence Spread Spectrum

Direct Sequence Spread Spectrum(DSSS)は、冗長情報を RF 信号に符号化します。これにより、802.11 無線は、チャネルでバックグラウンド ノイズまたは干渉があったとしても、パケットの受信を理解する確立が高くなります。すべてのデータ ビットは、チッピング シーケンスまたはバーカー シーケンスと呼ばれるビット文字列またはチップに拡張されます。IEEE 802.11 によって指示されているチッピング レートは 1 ビットあたり 11 チップです。1 および 2 Mbps のレートで Binary Phase-Shift Keying(BPSK; 2 位相偏移変調)/Quadrature Phase-Shift Keying(QPSK; 4 位相偏移変調)を使用し、11 および 5.5 Mbps レートで 8 チップ(CCK; Complimentary Code Keying)を使用します。これは、11 Mbps ではデータの 1 ビットに対して 8 ビットが送信されるということです。チッピング シーケンスは、スペクトル拡散周波数範囲で並列に送信されます。

IEEE 802.11b Direct Sequence チャネル

IEEE 802.11b の Direct Sequence(DS)チャネル セットでは、14 チャネルが定義されています。送信される各 DS チャネルは 22 MHz ですが、チャネル用は 5 MHz だけです。結果として、隣接するチャネルからの信号が互いに干渉しあうなど、チャネルのオーバーラップが発生します。14 チャネルの DS システム(US の場合、使用可能なチャネルは 11)では、間隔が 25 MHz のオーバーラップしないチャネルは 3 つだけ(チャネル 1、6、および 11)です。

このチャネルの間隔によって、オフィスやキャンパスなどの複数 AP 環境でのチャネルの仕様および割り当てが決まります。AP は通常、隣接する AP がオーバーラップしないチャネルに割り当てられる、セルラー形式で企業内に展開されます。または、1 つの領域に 33 Mbps の帯域幅を提供するように(ただし、1 つのクライアントには 11 Mbps だけ)、チャネル 1、6、および 11 を使用して、AP を同じ場所にまとめて設置することもできます。同様に 802.11g を使用した場合の集約帯域幅は 162 Mbps で、最大データ レートは 54 Mbps になります。図3-2 は、チャネルの割り当て方法を示しています。

図3-2 IEEE 802.11 DSS のチャネル割り当て

 

IEEE 802.11g

802.11g は、802.11b と同じスペクトラムである 2.4 GHz の帯域でより高いデータ レート(最大 54 Mbps)を提供します。802.11g は 802.11b との下位互換性があり、6、9、12、18、24、36、48、54 Mbps のデータ レートも提供します。802.11g は、802.11a と同様(「IEEE 802.11a OFDM の物理レイヤ」を参照)、高いデータ レートで同じ変調技術 Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM)を使用します。

表3-5 は、さまざまなデータ レートに対する 802.11g の変調と伝送の種類を示しています。

 

表3-5 802.11g の変調および伝送の種類

変調
伝送の種類
サブチャネルあたりのビット数
データ レート(Mbps)

BPSK

DSSS

NA

1

QPSK

DSSS

NA

2

CCK

DSSS

NA

5.5

BPSK

OFDM

125

6

BPSK

OFDM

187.5

9

CCK

DSSS

NA

11

QPSK

OFDM

250

12

QPSK

OFDM

375

18

16-QAM

OFDM

500

24

16-QAM

OFDM

750

36

64-QAM

OFDM

1000

48

64-QAM

OFDM

1125

54

IEEE 802.11a OFDM の物理レイヤ

IEEE 802.11a は、6 ~ 54 Mbps のデータ レートで 5.0 GHz UNII 周波数で動作する、OSI モデルの物理レイヤに対する要件を定義します。IEEE 802.11a は、シングル キャリア システムと比較してマルチキャリア システムである Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM)を使用します。OFDM を使用すると、サブチャネルはオーバーラップが可能になるため、スペクトラム効率が高くなります。OFDM で可能な変調技術は、802.11b で使用されるスペクトル拡散技術よりも効率的です。

IEEE 802.11a のチャネル

802.11a のチャネルは、チャネルの中心周波数を表しています。チャネルの周波数は点線の両側の10 MHz です。図3-3 に示すように、チャネル間には 5 MHz の間隔があります。

図3-3 チャネル セットの例(W52、W53の場合)

 

日本の 802.11a 規格の場合、合計 19 チャネルをサポートしています。帯域は、5.150 ~ 5.250 GHz(W52)、5.250 ~ 5.350 GHz(W53)、および 5.470 ~ 5.725 GHz(W56)の 3 つです。

RF 電力の用語

dB、dBi、dBm の各単位は、それぞれ、システムのポイントで測定したとき、無線で感知したとき、または基準電力レベルと比較したときの電力の変化量を表すために使用されます。次の項では、Effective Isotropic Radiated Power(EIRP)の説明に加えて、これらの用語の違いを説明し、使用に関する指針を示します。

dB

デシベル(dB) という用語は、電力レベルの減衰または増幅に主に使用されます。dB は、別の標準化された値に対する信号の対数比です。たとえば、dBm の場合は 1 ミリワットに対して値が比較され、dBw の場合は 1 ワットに対して値が比較されます。

計算は、次のとおりです。

電力(dB単位) = 10 * log10(信号/基準)

適切な数字を当てはめると(たとえば、信号に 100mW、基準に 1mW)、dB の値として 20(100 = 10 の 2 乗、つまり指数が 2 となり 10 を掛けることで 20 となる)が算出されます。

これは対数(線形ではなく指数としての増減を意味する)であり、ある基準に対する値の比率であることを覚えておいてください。また、これを 10 倍することも忘れないようにしてください。

対数である場合、いくつかの一般的な規則があります。3dB の増減は、それぞれ、信号(電力)が 2 倍または 1/2 になったことを意味します。10dB の増減は、信号が元の値の 10 倍になったか、1/10 になったことを意味します。

屋内の WLAN および屋外の WLAN 展開は両方とも、RF 展開において異なる課題があり、これらは分けて分析する必要があります。ただし、屋内使用に関しては、ある経験則があります。9dB 増加するたびに、屋内のカバレッジ領域が 2 倍になります。9dB 減少するたびに、屋内のカバレッジ領域が 2 分の 1 になります。

dBi

dBi という用語は、アンテナの電力ゲインの格付けを表すために使用されます。実際のアンテナを、同じ電力をすべての方向に送信する等方性アンテナ(理論上または架空のアンテナ)と比較する際に dBi が使用されます。

アンテナはこの理想の測定値と比較され、すべての FCC 計算でこの単位(dBi)が使用されます。たとえば、Cisco の全方向性 AIR-ANT4941 のゲインは 2.2dBi です。これは、アンテナの最大エネルギー密度が等方性アンテナよりも 2.2dB 多いことを意味しています。

dBm

dBm という用語は、dB の項で説明したものと同じ計算を使用しますが、基準値は 1 ミリワットです。

したがって、dB の項で示した例で考えると、無線で電力が 1 mW から 100 mW に変化した場合、電力レベルは 0 dBm から 20 dBm へ変化します。

dBm はトランスミッタ電力を表すだけでなく、レシーバの感度も表します。信号は送信した時点から値が減るため、レシーバの感度は、マイナス dBm(-dBm)で表されます。感度は、信号が理解できないと見なす前にレシーバが受信可能な最小電力を示します。

Effective Isotropic Radiated Power

無線の設定に基づいて送信される電力は、dBm またはミリワットで表されされますが、システム全体のアンテナから受ける最大エネルギー密度は、Effective Isotropic Radiated Power(EIRP)として測定されます。これは、さまざまなコンポーネントの dB 値を合計したものです。EIRP は、総務省や FCC や ETSI などの規制当局が電力制限を決定するために使用する値で、放射しているアンテナの第 1 フレネル内の最大エネルギー密度を表します。EIRP は、トランスミッタ電力(dBm 単位)をアンテナ ゲイン(dBi 単位)に加算し、ケーブル損失(dB 単位)を差し引くことで算出されます。たとえば、Cisco Aironet ブリッジを、約 15m(50 フィート)の長さの同軸ケーブルで、固定された皿型アンテナに接続している場合、数字を当てはめると次のようになります。

ブリッジ:20 dBm

約 15 m(50 フィート)のケーブル:3.3 dBm(ケーブル損失のため、負の値)

皿型アンテナ:21 dBi

EIRP:20-3.3+21=37.7 dBm(FCC の場合)

詳細は、http://www.cisco.com/en/US/tech/tk722/tk809/technologies_tech_note09186a00800e90fe.shtml を参照してください。

RF 展開の計画

RF 設計における考慮事項のほとんどは、相互に依存しているか、または、実装に依存しています。したがって、要件および環境の大部分に対して「万能な」テンプレートはありません。

Cisco Wireless Control System(WCS)の統合された RF 予測ツールを使用すると、LWAPP AP の配置、設定、パフォーマンスやカバレッジの予測などの、詳細な無線 LAN の設計を作成できます。IT 担当者は、Cisco WCS に実際のフロア図面をインポートし、さまざまなビルディング コンポーネントに RF 特性を割り当てて、設計精度を高めることができます。

グラフィカルなヒート マップは、IT 担当者が、予想される無線 LAN の動作を視覚的に表現して、計画をより容易にし、展開をより迅速化するために役立ちます。また、WCS には、組織が不規則な形状のビルでの WLAN 展開の設計およびサポートを容易に行えるようにするための描画ツールが用意されています。図3-4 は、計画ツールの例です。

図3-4 計画ツール

 

オーバーラップする WLAN カバレッジのさまざまな展開の種類

無線ネットワークで設定する WLAN カバレッジのオーバーラップの規模は、使用状況によって異なりますが、一部の例外を除き、すべての設計は再送信とデータ レートの変化を最小限に抑えるように展開する必要があります。無線ネットワークは、ロケーション管理、音声、またはデータ専用のネットワーク、これらの組み合わせに対して展開できます。違いは、配置されている AP のパターンとカバレッジ領域で RF がオーバーラップする量にあります。WLAN 展開を計画するときは、WLAN 展開の今後の用途を考慮に入れる必要があります。

データ専用の展開だけでなく、付加サービスもサポートするように WLAN 展開を変えることは、単に AP を追加するだけでは済みません。詳細なサイトサーベイが必要になるほか、既存の AP を再配置が必要になる可能性もあります。

データ専用の展開

データ専用の展開の場合、大量のオーバーラップは必要ありません。これは、802.11 クライアントが、データ レートを下げ、時間をかけて転送することで、近くの AP からの低レベルの信号に応答するからです。必要なオーバーラップは、「WLAN のデータ レート要件」で説明されているように、WLAN のデータ レート要件によって決まります。データ専用ネットワークでは、AP 間の最適な距離は、通常約 36 ~ 39 m(120 ~130 フィート)ですが、AP の間隔を見積もる際は、RF 環境によって結果が異なるため、壁の密度、機械、エレベータ、スチール製のケージがある広い空間など、RF カバレッジに影響を与えるオブジェクトの要素を念頭に置くようにしてください。RRM はこのような展開向けに開発されたもので、RF カバレッジを制御する上で非常に便利です。

音声/展開

図3-5 は、音声ネットワークのパターンとオーバーラップを示しています。

図3-5 音声用の単一フロア サイトの調査

 

AP は互いに近くにまとめられ、データ専用の展開に比べ、多くのオーバーラップがあります。これは、音声クライアントは、パケットがドロップされないように、より良い AP に移動する必要があるからです。また、通常は、従来よりも小規模のセルで実行し、オーバーラップしているセルが -67 dBm 以上になるようにします。これは、1 つのセル全体における同質性を高め、ハンドヘルドでのプロセッサの負荷を減らすなど、さまざまな効果をもたらし、リンクの安定性を高め、遅延を減らします。定義された領域で必要な AP は 1 つだけですが、遅延およびロード バランシングの対策として、オーバーラップしているチャネルに 2 つの AP を設置し、その展開において Received Signal Strength Indication(RSSI)が常に 35 を超えるようにすることをお勧めします。7920 音声展開の場合は、展開において Received Signal Strength Indication(RSSI)が常に 35 を超えるようにすることをお勧めします。これは VoIP 電話の受信率を高めると同時に、加入超過をある程度許容して電話に対するローミング オプションを強化するためです。

低ノイズ バックグラウンドを配慮した設計は、セル内の比較的高いエネルギー密度と同様に重要であることを、忘れないでください。これは、AP に対して最適なベースライン電力設定が 3.5 ~ 50 mW の範囲内であるということです。これには通常、10 mW でカバレッジ モデルを展開する場合よりも約 15% 多い AP が必要となります。

既存の WLAN、802.11 に準拠していない不正な製品による干渉(たとえば、電子レンジや各種コードレス電話)など、問題のある特定の領域や干渉の原因となる可能性があるものを特定して、その特徴を調べるには、サイトの事前調査が有効です。すべての利害関係者によって確認され認証される必要がある設計に従い、カバレッジ モデルが、利害関係者によって示された機能要件に準拠していることを確認するには、サイトの事後調査を究極の監査メカニズムとして考える必要があります。

間隔を見積もる行う際は、RF 環境によって結果が異なる可能性があるため、壁の密度、機械、エレベータ、スチール製のケージがある広い空間など、RF カバレッジに影響を与えるオブジェクトの要素を忘れないようにしてください。フォークリフト、人々の集団、クレーンや同様の搬送装置によって領域を移動する大きな物体など、一時的な動きも考慮に含めるようにします。WLC は一般に、サイトの予備評価に非常に効果的な方法で、WLAN インフラストラクチャを高速に展開し、領域の RF 測定に使用できます。医療、小売、製造業界などで一般的に見られる複雑な領域には、サイトサーベイをエンドユーザに実施してもらうことも効果的な方法です。

無線音声の展開の詳細は、 第 9 章「VoWLAN の設計に関する推奨事項」 、および 7920 展開ガイド(http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/cuipph/7920/5_0/english/design/guide/7920ddg.html)を参照してください。

Lightweight AP およびコントローラを 7920 の音声動作用に設定する方法については、
http://www.cisco.com/en/US/docs/wireless/technology/7920/design/guide/7920DG.html を参照してください。

Location-Based Service 展開

3 つ目の展開の種類は Location-Based Service(LBS)展開です。これは、究極のセル カバレッジだけでなく、最適な AP の場所に依存するため、現在のアプリケーションの中でも最も複雑です。ロケーション管理の展開は、WLAN インフラストラクチャを使用して、何千ものデバイスを同時に追跡できます。例としては、Wi-Fi タグ タイプの展開または資産追跡展開があります。これは、無線ネットワークで機器やデバイスを探したり、無線ネットワークのどこに無線クライアントがあるのかを図やダイアグラムで単純に示したりするものです。これを使用することで、不正クライアントや AP の場所を示すことで、無線インフラストラクチャのセキュリティを強化し、クライアントのトラブルシューティング能力を大幅に向上させることができます。

ロケーション管理の展開については、AP は交互にずらして配置されます。図3-6 は典型的な配置パターンを示しています。交互にずらすと、デバイスの場所をより正確に見積もることができます。

図3-6 単一フロアのロケーション管理の展開の例

 

ロケーションベースのサービスについては、 第 13 章「Cisco Unified Wireless ロケーションベース サービス」 、および http://www.cisco.com の『WiFi Location Based Services - Design and Deployment Considerations』というタイトルのホワイト ペーパーを参照してください。

Cisco 7921G と Cisco 7920 は、シスコの VoWLAN 端末です。WLAN に QoS を展開する一般的な理由の 1 つとして、これらの端末を使用する、ということがあります。

7920 および 7921G 端末の詳細は、以下の資料を参照してください。

Cisco Unified Wireless IP Phone 7921G Version 1.0(2)

http://www.cisco.com/en/US/products/hw/phones/ps379/products_data_sheet0900aecd805e315d.html

Cisco Unified Wireless IP Phone 7920 Version 3.0

http://www.cisco.com/en/US/products/hw/phones/ps379/products_data_sheet09186a00801739bb.html

VoWLAN インフラストラクチャを展開する場合は、単に WLAN に QoS を提供すればよいというわけではありません。音声 WLAN では、サイトサーベイのカバレッジ要件、ユーザの動作、ローミング要件、およびアドミッション制御について検討する必要があります。これらの要件については、以下のガイドで説明しています。

Design Principles for Voice Over WLAN

http://www.cisco.com/en/US/solutions/collateral/ns340/ns394/ns348/net_implementation_white_paper0900aecd804f1a46.html

Cisco Unified Wireless IP Phone 7921G Deployment Guide

http://www.cisco.com/application/pdf/en/us/guest/products/ps7071/c1676/ccmigration_09186a00807f4b21.pdf

Cisco Wireless IP Phone 7920 Design and Deployment Guide

http://www.cisco.com/en/US/docs/voice_ip_comm/cuipph/7920/5_0/english/design/guide/7920ddg.html

WLAN のデータ レート要件

データ レートは AP のカバレッジ領域に影響を与えます。図3-7に示すように、データ レートが低い場合(1 Mbps など)は、データ レートが高い場合(54 Mbps など)よりも AP からのカバレッジ領域が広域になります(ただし、この図は正確な比率で描かれていません)。つまり、異なるデータ レートの 図3-8 に示すように、データ レート(および電力レベル)はカバレッジとその結果として設置に必要な AP の数に影響します。計画プロセスの一部として、必要なデータ レート、必要な範囲、および必要な信頼性を考慮します。

カバレッジ領域に対するデータ レート

AP では、無線リンク上で異なる符号化技法を使用して異なるデータ レートを実現しており、データがノイズからより簡単に回復されるようになります。これは、さまざまなレシーバ感度でさまざまなデータ レートに対して確認されることです。1 Mbps のデータ レートでパケットに送信される記号またはチップの数は、11 Mbps で同じパケットに使用される記号の数を上回ります。これは、低いデータ レートでデータを送信する方が、高いビット レートで同じデータを送信するよりも時間がかかるということです。また、無線にアソシエートされているクライアントが複数ある場合は、同じ長さのパケットの送信により多くの時間がかかるため、データ レートが低いクライアントが、データ レートの高いクライアントの最大データ スループットに影響を与えます。

図3-7 に示されているとおり、実際のカバレッジ直径は、環境、電力レベル、アンテナ ゲインなどの要因によって異なります。

図3-7 カバレッジと比較したデータ レート

 

たとえば、屋内で NIC カード上の標準アンテナと AP を使用した場合、1 Mbps の円の直径は約 210 m(700 フィート)となり、11 Mbps の円の直径は約 60 m(200 フィート)となります。これは、屋内環境のタイプに左右されます。オープン プラン オフィスのビルディングは、オフィスが壁で仕切られているビルディングとは異なります。アンテナのゲインを上げると、距離が長くなり、放射が均等に行われるのではなく、特定方向に集中するように放射パターンの形状が変化します。

異なるデータ レートに対する AP の密度

最小限必要な信頼性のあるデータ レートは、電力設定、アンテナ ゲイン、および場所と共に、設計上必要となる AP の数に直接影響します。図3-8 は、さまざまなデータ レートに対するカバレッジの比較と AP 密度を示しています。最小データ レートが 11 Mbps の 6 個の AP は、領域に対して適切にサービスを提供できますが、同じカバレッジ領域に対して 24 Mbps の最小データ レートをサポートするには、2 倍の数の AP が必要になり、48 Mbps の最小データ レートをサポートするにはさらに多くの AP が必要になります。

図3-8 カバレッジの比較と異なるデータ レートに対する AP の密度

 

選択するデータ レートは、サポートされるアプリケーションの種類によって異なりますが、カバレッジとのトレードオフを考慮して、一般的な要件を上回らないようにする必要があります。一般的な WLAN 環境では、高いデータ レートは最大のスループットを提供し、パフォーマンスに関するサポートの問題を最小限に抑えます。通常は、物理的な機能や、ネットワークがクライアント集中型かどうかによって、範囲の要件が決まります。一部のクライアントは、高いデータ レート、広い範囲、または AP などのインフラストラクチャ要素の遅延やジッタ レートをサポートしていないことがあります。

AP およびクライアントのデフォルトの設定を選択することで、すべてのデータ レートに対応するのは、一見論理的に見えます。ただし、最大のカバレッジが得られる最高のレートにデータ レートを制限することには、主に 3 つの理由があります。

ブロードキャストおよびマルチキャスト(有効な場合)は、アソシエートされている最も低いデータ レートで送信されます(すべてのクライアントがパケットを受信できるようにするため)。これにより、低いレートでフレームが処理されるまでトラフィックは待機しなければならないため、WLAN のスループットは低下します。

低いビット レートはサービスされていますが、距離が遠いために、低いデータ レートでネットワークにアクセスしているクライアントは、遅延を発生させることで、全体のスループットを低下させます。ネットワークの他の部分にパフォーマンスの影響を与えないように、クライアントを近くの AP に強制的に移動させることをお勧めします。

たとえば、すべてのデータ レートをサポートするために 54 Mbps のサービスが AP で指定および提供されている場合、低レートのクライアントは、計画されているよりもカバレッジ領域の広い AP にアソシエートします。これにより、セキュリティ上の危険が増し(ビルディング外部からのアソシエーションが許可されるため)、他の WLAN への干渉を生じる可能性があります。

クライアント密度とスループット要件

無線 AP には、データ レートよりも実際のクライアント データ スループットを低下させる 2 つの特性があります。

AP の集約スループットは、データ レートより少なくなります。これは、802.11 がすべてのパッケージを ACK する信頼性のある転送メカニズムを提供しており、結果としてチャネル上のスループットを半分にするからです。

AP は共有ハブと類似しています。つまり、チャネルは、そのチャネル上の AP にアソシエートされているすべてのクライアントで共有されるため、衝突が発生してデータのスループットを低下させるのです。

これを考慮して、アクティブなアソシエーション(アクティブ クライアント)の最大数を見積もる必要があります。これは、特定のアプリケーションに応じて若干調整できます。

各セルは、セル内にあり所定の AP にアソシエートされているすべてのクライアント デバイスによって共有される集約スループットを提供します。これは、基本的にセルをコリジョン ドメインとして定義します。最小データ レートを決定したら、無線 LAN の各ユーザに提供する必要がある平均スループットの量を考えます。

簡単なバーコード スキャナ アプリケーションの例を考えましょう。802.11b AP を 11 Mbps のデータ レートで使用すると、集約スループットが 5 ~ 6 Mbps になるため、このようなアプリケーションに対する帯域幅としては、25 Kbps もあれば十分です。簡単な割り算を行うと、理論上サポート可能なユーザの数は 200 となります。この数字は、多数のクライアントに関連する 802.11 の管理オーバーヘッドおよびパケットの衝突のため、実際には達成できません。1 Mbps のシステムでは、20 人のユーザが同じ AP を同様の帯域幅で使用できます。

1 つの AP で提供される集約スループットを利用するユーザの数を抑えることで、ユーザあたりの潜在的なスループットを増やすことができます。これは、カバレッジ領域のサイズを小さくするか、同じカバレッジ領域の重複しないチャネルに別の AP を追加することで実現します。カバレッジ領域を小さくするには、AP の電力またはアンテナ ゲインを減らすと、結果としてカバレッジ領域のクライアントが少なくなります。これは、同じ領域全体に対してより多くの AP が必要になり、展開コストが増加することを意味しています。この例を 図3-9 に示します。

図3-9 クライアント パフォーマンスを高めるために出力電力を変更

 


) AP の電力設定に合わせてクライアントの電力を調整する必要があります。クライアントの設定を高くしても、パフォーマンスの向上にはつながりません。また、近くのセルで干渉を発生させる可能性があります。


WLAN のカバレッジ要件

企業が異なれば、カバレッジ要件も異なります。WLAN に特別な共通領域をカバーする必要がある企業もあれば、WLAN にビルディングの各フロア、吹き抜けやエレベーターを含むビルディング全体、または駐車場や車道を含むキャンパス全体を含める必要がある企業もあります。カバレッジ要件は、必要な AP の数に影響するだけでなく、特殊アンテナ、屋外の筐体、避雷器などの他の要件を生み出すこともあります。

電力レベルとアンテナの選択

電力レベルおよびアンテナの選択は、AP の配置を決めるうえで、密接な関連しています。これらの 2 つの内容によって、環境内の所定の場所での RF の位置および電力の強さが決まります。必要なカバレッジ領域を生成する適切なアンテナを選択することに加え、電力レベルを制御し、最適なチャネルおよび電力計画を提供する RRM を使用することをお勧めします。詳細は、「Radio Resource Management(Auto-RF)」を参照してください。

アンテナは、無線システムに対して、以下の 3 つの基本的な特性を示します。

ゲイン:アンテナが放射する電力の密度を、すべての方向に均等に RF エネルギーを放射する理論上のアンテナと比較して示すための尺度。

方向:アンテナ伝送パターンの形状。アンテナの種類によって、放射パターンも異なり、ゲインの方向や大きさも変わってきます。

偏向:電界の方向を示します。RF 信号は電界と磁界の両方を持ちます。電界が垂直である場合、電波は垂直に偏向されていると言えます。

アンテナによく似た例に、懐中電灯の反射器があります。反射器が光線を特定の方向に集め、強めるのは、無線システムの RF ソースに対して皿型のパラボラ アンテナが行っていることとよく似ています。

ゲインおよび方向によって、範囲、速度、および信頼性が決まります。偏向は信頼性とノイズの分離に影響します。

全方向性アンテナ

全方向性アンテナは、等方性アンテナと比較すると、放射パターンが異なっています。等方性アンテナは理論上のもので、物理的なアンテナはすべて等方性アンテナとは異なります。全方向性アンテナは、水平面では 360 度、垂直面では 75 度のほとんど対称的な放射パターンを持ちます(ダイポール アンテナが垂直に立てられていることを前提としています)。全方向性アンテナの放射パターンは、通常、ドーナツのような形をしています。

アンテナの種類(全方向性または方向性)は、特定の方向、パターン、および密度での RF エネルギーの大部分に集中化することで RF カバレッジに影響を与えるため、アンテナの選択に応じて、アンテナによって生成される RF パターンを考慮する必要があります。

たとえば、図3-10 の全方向性アンテナは、垂直方向および水平方向に RF 放射パターンを示しています。これは、実際の測定結果であり、完全なドーナツ状にはなっていませんが、なぜドーナツ型と呼ばれるようになったかは、この結果からもわかります。先に説明したように、他の RF に影響する要素(部屋にいる人々、施設に格納されているデバイスの量、屋外展開の場合は木に生えている葉、他の RF ソースからの干渉など)が実際の RF カバレッジ パターンに影響を与えることがあります。

図3-10 全方向性の RF パターン

 

図3-10 のパターンを見ると、特に、ビルディングの外部に向けて放射するパターンとなる外壁に取り付ける場合、これは壁面で使用するには不向きなアンテナである可能性があります。このアンテナは、無線ネットワークをビルディングの外部のハッカーに開放し、無線ネットワークを危険にさらすかもしれません。

パッチ アンテナ

パッチ アンテナは指向性アンテナの一種です。パッチ アンテナは、壁面またはアンテナが取り付けられた場所から外に向けて電波を放射するだけでなく、背面および側面に突出部もあり、これによって弱いながらも使用できる可能性のある RF 領域が生成されます。図3-11 は、壁面取り付けダイバーシティ パッチ アンテナの実際の水平方向のパターンを示しています。カバレッジ領域の大部分は、パッチ アンテナの前面ですが、背面および側面の中央領域からの RF パターンに注意してください。アンテナによって放射パターンや無線接続できる場所が決まるため、アンテナの選択は重要です。

図3-11 壁面取り付けパッチ アンテナの水平平面

 

アンテナの選択の詳細は、次の URL にある『Cisco Antenna Selection Guide』を参照してください。

http://www.cisco.com/en/US/prod/collateral/wireless/ps7183/ps469/product_data_sheet09186a008008883b.html

セキュリティ ポリシー要件

良い RF 設計は、カバレッジが必要ない領域の意図しない RF 放射を効果的に最小限に抑えられます。たとえば、WLAN カバレッジがビルディング内部のみで必要であり、外部では不要の場合、電力を正しく設定し、AP を適切に配置し、ビルディングまたは領域の中心に向けて内側向きの指向性アンテナを正しく設置することで、ビルディング外部の RF カバレッジの量を最小化できます。RF 送信レベルを調整し、カバレッジ領域に適切なアンテナを使用することで、ビルディング外部に放射される RF の量を減らし、セキュリティの危険性を減少させることができます。このようにすることで、ビルディングまたはカバレッジ領域外のハッカーに対する無線ネットワークの露出を抑え、無線ネットワークの妥協を避けることができます。

RF 環境

WLAN およびその機器のパフォーマンスは、その RF 環境、機器、選択、カバレッジ設計、監査の質、設定、および展開の質によって異なります。以下は、チャネルに干渉し、なんらかの方法で信号の RF の特性を変え、無線通信を妨害する可能性がある、環境的なマイナス要因の一例です。

2.4 GHz のコードレス電話

金網と化粧しっくいで作られた壁

ファイリング キャビネットおよび金属製の装置ラック

変圧器

高荷重の電動機

防火壁および防火扉

コンクリート

冷蔵庫

硫黄プラズマ照明(Fusion 2.4 GHz 照明システム)

空調配管

その他無線装置

電子レンジ

HVAC 導管

フォークリフトや金属製の組み立てなどの大規模な一時的要素

その他の WLAN 機器

WLC は、チャネルおよび電力設定だけでなく、サイトの事前計画および RF の課題の初期調査に最適なリソースですが、多くの場合、上記の環境的要因をきっかけに、必要な領域すべてで必要なデータ レートがサポートされていることを確認するために、サイトサーベイが必要になります。

RF 展開とベスト プラクティス

いくつかの設計上の考慮事項は、一般的なベスト プラクティスに従うことで対処できます。以下は、ほとんどの状況に適用されます。

ユーザの数と所定の AP のスループット。一般に推奨される AP あたりのユーザ数は、データだけのユーザの場合で 15 ~ 25 です。7920 VoIP(または同様の音声デバイス)無線端末の場合、データが存在するときの音声ユーザ数は 7 ~ 8 です。この数字は、あくまでも指針であり、使用する端末によって異なる可能性があります。端末の要件を確認してください。

AP データ レートは、設計されたもの、およびサイトサーベイが実施されたものに限定する必要があります。低いデータ レートを有効にすると、同一チャネル干渉およびクライアントに対するスループットの変化が増す原因になることがあります。

AP の数は、カバレッジおよびスループット要件に依存し、変化する可能性があります。たとえば、シスコ内部の Information Systems(IS)グループは現在、データ専用動作については、38,000 平方フィートのフロア空間あたり 6 個の AP を使用しています。


) 環境の変動性に基づき、必要な AP の数および最適な配置を決めるために、サイトの調査を実施することをお勧めします。


WLAN カバレッジの手動による微調整

次のように、さまざまな要素が WLAN カバレッジに影響します。

チャネルおよびデータ レートの選択

ロケーション管理、音声、またはデータ専用の重複する WLAN カバレッジ

電力レベル

アンテナの選択(全方向性、または指向性アンテナ)

所定のデータ レートおよび場所に対して、WLAN 設計者がカバレッジ領域またはカバレッジ形状を変えるために、電力レベルを変更したり、別のアンテナの使用を決める可能性があります。電力レベルの変更やチャネルの選択は、次に示すように手動で行うことができます。また、Cisco Wireless Controller では Radio Resource Management(RRM)アルゴリズムにより、これを自動的に行えます。これは、Auto-RF とも呼ばれています。電力レベルおよびチャネルの管理には、Radio Resource Management(RRM)を使用することをお勧めします。チャネル変更アルゴリズムは、干渉源が非常に破壊的(かつ永続的)な場合にだけチャネル形状の変更が行われるように、極めて複雑であることを忘れないでください。変更した場合、クライアントの再アソシエートが必要になり、音声コールはドロップされます。AP 電力の変更はクライアントには影響しません(詳細は、「Radio Resource Management(Auto-RF)」を参照)。

チャネルおよびデータ レートの選択

チャネル選択は、特定の領域で許可されている周波数に依存します。たとえば、北アメリカおよび ETSI 2.4 GHz チャネル セットでは、1、6、および 11 の 3 つのオーバーラップしないチャネルの割り当てが許可されています。5 GHz チャネル セットでは、23 のチャネルが許可されています。

チャネルは、次のようにカバレッジ セルに割り当てる必要があります。

オーバーラップしているセルは、オーバーラップしていないチャネルを使用する必要があります。

複数のセルでチャネルを再利用する必要がある場合、これらのセル間のオーバーラップが最小限になるようにする必要があります。図3-12 はこのパターンを示しています。802.11a の展開では、セルがオーバーラップするので、チャネルの近接を避ける必要があります。

チャネルの選択に関する推奨事項

以下に示すように、チャネルの選択は手動で行うことができます。

図3-12 AP に割り当てられたチャネル

 

実際の展開での使用を考えているものと同じ周波数でサイトサーベイを行う必要があります。サイトによってはノイズ バックグラウンドが高い場合があり、1 つまたは複数のチャネルを使用するうえで妨げとなることがあります。サイトサーベイにより、特定の場所にある特定のチャネルが干渉およびマルチパスに対してどのように反応するかをより正確に把握できます。チャネル選択は、チャネル相互および隣接チャネルの干渉を計画するうえで役立つほか、周波数を再利用できる場所に関する情報を提供します(図3-13 を参照)。

高層ビルディングでは、フロア間のセルのオーバーラップを確認します。特に、窓がある場合は、その規則性に従って確認します。事例の約 10% では、慎重な事前計画と AP の場所の選択が必要になります。オフィス タワー、病院、大学の講堂ビルディングなどの高層構造では、カバレッジ計画を三次元で考えます。802.11b および 802.11g の 2.4 GHz の波形は多くの壁を通過します。802.11a の 5 GHz の波形では、周波数が高いため、所定の電力で適切なエネルギーの量を壁を通して送信する傾向は約半分になります。特に、2.4 GHz の Wi-Fi LAN では、カバレッジ モデルに隣接するフロアの窓をカバーするセルが含まれている場合は、同じフロアだけでなく、隣接するフロアでのセルのオーバーラップも回避する必要があります。チャネルが 3 つだけの場合は、これは、慎重な三次元での計画を行うことで達成できます。

最終ステップとして、WLAN ネットワークのセットアップ後、必ず選択したチャネルを使用してサイトを再テストし、干渉を確認します。RRM アルゴリズムは理論であり、ネットワークの物理トポロジによって異なることを念頭においてください。したがって、AP の配置を三次元的に考慮し、サンプリング間隔に対して最適なチャネル/電力設定を行うようにします。

手動でのチャネル選択

図3-13 は、無線選択で、802.11b/g 無線の 1 つを設定するための Web ページのスクリーンショットです。右上では、チャネル 11 が手動で選択され、送信電力が最高レベルの 1 に設定されています(8 の場合、AP は最も低いレベルに設定)。


) 割り当て方法は、手動でこれらの設定を制御する必要がある場合を除いて、通常はグローバル設定のままにします。これにより、コントローラが RRM で決定されたとおり、動的にチャネル番号を変更できます。詳細は、「Radio Resource Management(Auto-RF)」を参照してください。


図3-13 チャネルの割り当て

 

図3-14 に示すように、デュアルバンド展開方式を実装することもできます。図の左上の部分は 802.11b/g だけの展開を示しています。この場合は、3 つのオーバーラップしないチャネル(チャネル 1、6、11)を使用して、相互チャネルの干渉が最小のパターンをマップしています。同じチャネル上にあり、別のアクセス ポイントのカバレッジ パターンとオーバーラップしながら十分な電力レベルで動作している、近くの AP からの干渉のことです。この図には、8 つのオーバーラップしないチャネルを使用した 802.11a 展開も示されています。図の右側は、デュアルバンド展開でチャネルをマップする方法を示しています。

図3-14 デュアル バンド展開の図

 

データ レートの選択

図3-15 は、802.11b/g のグローバル パラメータの Web ページのスクリーンショットです。データ レートは画面の右側に示されています。

図3-15 データ レートの割り当て

 

Mandatory、Supported、および Disabled のデータ レート

無線デバイスでのデータ伝送に使用するデータ レートを指定するには、データ レート設定を使用します。データ レート、範囲、および信頼性の間には、直接的な相関関係があります。データ レートが低いほど、所定の電力設定に対する信頼性が増し、範囲が増えます。サイトは仕様によって異なりますが、カーペットを敷いた空間についての妥当な経験則では、データ レートが半減すると信頼性のレベルは半比例して増加します。範囲は通常、データ レートが半減にするたびに約 30% 増加するという要素の影響を受けます。-67 dBm のエッジ内のカバレッジ領域の平方フィートの管理は、このテクニックを使用すると効率よく管理できます。クライアント、アプリケーション、またはユーザのニーズに合うようにデータ レートを設定することが、効果的な RF 設計要素となります。これは、AP の展開前に考慮する必要があります。

データ レートは 1 秒あたりのメガビット数で現します。各データ レートは次の 3 つのモードのいずれかに設定できます。

Mandatory:このレートでの伝送を、ユニキャストとマルチキャストの両方を含むすべてのパケットに対して許可します。少なくとも 1 つの AP のデータ レートが Mandatory に設定され、この AP にアソシエートするすべてのクライアントが、ネットワークを使用するための無線でこのデータ レートを物理的にサポートできる必要があります。さらに、AP にアソシエートする無線クライアントについては、最も低い必須データ レートで現在パケットを受信でき、無線が最大の必須データ レートを物理的にサポートしている必要があります。複数のデータ レートが必須に設定されている場合は、マルチキャストおよびブロードキャスト フレームは、アソシエートされているすべてのクライアントで共通の最高の必須伝送レート(すべてのクライアントで最も低い必須受信レート)で送信されます。これにより、すべてのクライアントがブロードキャスト パケットを受信できます。最も低い必須レートは通常、1 Mb/s に設定されます。

Supported:このレートでの伝送をユニキャスト パケットだけに許可します。AP はこのレートではユニキャスト パケットだけを送信します。マルチキャストおよびブロードキャスト パケットは、必須に設定されているデータ レートのいずれかで送信されます。無線クライアントは常に、最も高いデータ レートで送受信しようとします。無線クライアントは、ユニキャスト パケットを送受信するために、Supported または Mandatory に設定された最も高いデータ レートを AP とネゴシエートします。無線クライアント デバイスは、任意の必須レートまたはネゴシエートしたレートより低いレートでブロードキャストまたはマルチキャスト パケットを受信できます。

Disabled:AP はこのレートではデータを送信しません。

最低または最高の必須レートの設定

AP にアソシエートされている複数のクライアントは、干渉、障害物、または AP からの距離に応じて、異なる伝送レートを使用できます。たとえば、802.11b クライアントが AP から離れた場所にあり、それが原因で 1Mb/s の速度でしか送受信できない場合、最低必須レートが(図3-15 を参照)1 Mb/s に設定されているため、クライアントは AP にアソシエートできます。54Mb/s で AP にアソシエートしている別の 802.11g クライアントについては、すべてのクライアントが受信できる最高必須レートが 1 Mb/s であるため、AP はブロードキャストおよびマルチキャストを 1 Mb/s で送信します。最低必須レートが 5.5 Mb/s に設定された場合、802.11 クライアントは、最低必須レートでブロードキャスト パケットを受信できないため、 AP にアソシエートできません。

図3-15 では、最高必須レートが 11 Mb/s に設定されていることに注意してください。最高必須レートは、クライアントの無線が物理的に送信できる必要があるものを AP に示しています。これは、そのレートで実際にパケットを送受信するということではありません。無線が物理的にそのレートをサポートするということです。無線クライアントは、最低必須レートでパケットを受信できるだけで構いません。802.11b デバイスの無線は 11 Mb/s で物理的に送信できるため、802.11b デバイスは 図3-15 に示されている AP にアソシエートできます。より高いデータ レート(18 Mb/s など)が必須に設定されている場合は、802.11g クライアントは AP にアソシエートできます。

OFDM レート(11 Mb/s より高いレート)を必須に設定すると、802.11b 接続は無効になります。これは、たとえば、802.11g データ レートを必須にしたり、802.11 レートを無効にすることで、すべてのクライアントの最小伝送レートを設定することで AP から 802.11b クライアントを排除できるようになります。このようなことが可能になるのは、同じ 1,500 バイトのパケットでも、より低いデータ レートでは送信に時間がかかるためです。したがって、AP にアソシエートされているすべての無線クライアントに有効なデータ レートも低くなります。

Radio Resource Management(Auto-RF)

Cisco WLAN の「スプリット MAC」アーキテクチャ( 第 2 章「Cisco Unified Wireless のテクノロジーおよびアーキテクチャ」 を参照)では、802.11 のデータと管理プロトコルの処理およびアクセス ポイントの機能は、Lightweight アクセス ポイントと集中化された WLAN コントローラの間で分散されています。具体的には、プローブ応答や MAC レイヤの暗号化など、時間依存型のアクティビティはアクセス ポイントで処理されます。システム規模での可視性が必要となるその他すべての機能は、コントローラに送信されます。

WLAN ネットワークのリアルタイム RF 管理には、システム全体の可視性が必要であり、コントローラ レベルに実装されています。コントローラは、RF ネットワーク グループ内の AP から転送される情報により、有効な RF チャネル/電力計画に関する必要な情報を学習します。


) RF ネットワーク グループ(RF グループ)は、モビリティ グループと同じではありません。モビリティ グループは、ローミング イベントでクライアントが IP アドレスを変更する必要がないように、1 ~ 25 のコントローラのモビリティ ドメインを定義します。これは、クライアントにサービスする新しい AP を扱う「外部」コントローラに「アンカー」コントローラからクライアント データを転送するための Ethernet over IP トンネルを構築することで実現されます。


Radio Resource Management(RRM)は、Auto-RF とも呼ばれており、RF カバレッジ領域を管理するために、チャネル(動的なチャネル割り当て)および電力(動的な送信電力の管理)を調整できます。RPM により、AP の電力レベルが、近接する AP とのベースラインの信号強度が -65 dBm(設定可能)に保たれるように調整されます(「Auto-RF 動作の概要」を参照)。現在 AP が配置されているチャネルで、近くに干渉源があることが分かると、AP のチャネルを調整します。無線ネットワークの感度およびスループットが最適になるよう、継続的に RF カバレッジを最適化します。


) RRM により実行される送信電力の制御および動的な周波数管理は、802.11h で定義された UNII-2 帯域での動作で要求される TPC や DFS ではありません。


RRM は RF 環境が静的ではないことを理解します。RF に影響を与えるさまざまな要素(部屋にいる人々、施設に格納されているデバイスの量、屋外展開の場合は木に生えている葉、他の RF ソースからの干渉など)が変化すると、RF カバレッジが、これらの要素および変化に応じて調整されます。これらの要素は常に変化しているため、RF カバレッジを監視し、周期的に調整することが必要になります。

WLC ソフトウェア リリース 4.1.185 では、Radio Resource Management(Auto-RF)の機能が大幅に強化されました。変更点および操作の詳細は、次の URL を参照してください。

http://www.cisco.com/en/US/tech/tk722/tk809/technologies_tech_note09186a008072c759.shtml

Auto-RF 動作の概要

各コントローラは、RF ネットワーク グループ名を使用して設定されます(WLC Controller -> General メニューの RF Network Name)。各 RF グループ(Group Mode が有効の場合)で、コントローラはリーダーを選び、RF ドメインを形成します。リーダーの役割は、コントローラのグループからネットワーク全体のネイバー情報を収集し、システム全体の最適なマップのために、チャネル/電力計算を行うことです。Group Mode が選択されていない場合は、コントローラは、LWAPP 経由で接続されている AP から集められたネイバー データだけに基づいて計算を行い、AP 間の信号を -70 dBm に最適化しようとします。

AP は Radio Resource Management(RRM)ネイバー パケットを定期的に、最大電力で送信します。これらのメッセージには、RF グループ 名、BSSID、およびタイム スタンプのハッシュであるフィールドが含まれています。AP は、この RF ネットワーク名で送信された RRM のネイバー パケットだけを受信します。

隣接 AP がネイバー メッセージを受信すると、AP はコントローラに転送する前にメッセージを検証します。AP がメッセージ ハッシュを検証し、同じ RF グループに属することを確認すると、パッケージはコントローラに送信されます。それ以外の場合は、AP はネイバー パケットをドロップします。AP は、LWAPP パケット ステータス フィールドを受信したネイバー パケットの SNR および RSSI にして、検証したメッセージをコントローラに転送します。

表3-6 は、システム内のデバイスのさまざまな機能の概要を示しています。


) TPC は電力レベルの下方調整だけを実行します。カバレッジ ホールの検出と修正は、AP の電力レベルを上昇させます。


Auto-RF は、自動 RF アルゴリズムとは別に実行される不正の検出(チャネル スキャン)と混同しないようにする必要があります。AP はすべての国に固有のチャネルを周期的に監視することで(チャネル スキャン)、不正の検出を実行します。AP は他のチャネルをリッスンするため、最大で 60 ミリ秒の間「オフチャネル」になります。この間に収集されたパケット ヘッダーはコントローラに送信され、そこで不正なアクセス ポイント、Service Set Identifier(SSID; サービス セット ID)がブロードキャストかどうか、不正なクライアント、アドホック クライアント、および干渉しているアクセス ポイントを検出するための分析が行われます。

デフォルトでは、各アクセス ポイントがオフチャネルになるのはその時間の約 0.2% です。これは、すべてのアクセス ポイントに統計的に分散されるので、隣接する 2 つのアクセス ポイントが同時にスキャンを実行して、WLAN のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことはありません。AP がクライアントから受信したパケットは、LWAPP ステータス フィールドと共にコントローラへ転送され、パケットの受信中に AP が受信したすべてのパケットの RSSI および Signal-to-Noise Ratio(SNR; 信号対雑音比)を含む無線情報がコントローラに提供します。

 

表3-6 デバイスの機能

デバイス
機能

RF グループ リーダー

RF グループの WLC からデータを収集し、システム全体の TX Power Control(TPC)および Dynamic Channel Assignment(DCA)のために分析します。TPC は電力レベルの下方調整だけを行います。

ローカル WLC

データを収集し、カバレッジ ホールの検出と修正アルゴリズムを実行します。クライアントで必要な場合は、電力レベルの上方調整を行います。

Light-weight アクセス ポイント

設定された間隔で、すべてのチャネルに関するネイバー メッセージを最大電力で送信します。

受信したネイバー メッセージのネイバー ハッシュを検証します。

設定したチャネルのノイズ、干渉、および IDS/不正の検出をスキャンし、プロファイルに失敗した場合は警告します。

Auto-RF の変数および設定

Auto-RF は Channel Selection( Wireless > 802.11b/g/n > Configure )Web ページの Channel Selection のグローバル設定を使用して有効化または無効化することができます(図3-13 を参照)。この Web ページでは、AP のチャネルおよび伝送レベルを手動で設定できます。さらに、グローバル Auto-RF Web ページから有効化または無効化できます。Auto-RF は帯域ごとに設定され、RF グループの計算は 802.11b/g の帯域と 802.11a の別の計算セットの両方に対して行われる点に注意してください。2 つの無線で同じ設定を共有する必要はありません。ただし、これらの設定はコントローラにアソシエートされているすべての AP に適用されます。Auto-RF の設定変数は、Auto-RF の設定ページのグローバル パラメータに表示されます(図3-16 を参照)。

Auto-RF の設定 Web ページの最初の変数セットは、RF グループに対応しています。これらは、コントローラが他のコントローラとの動的なグループ化に加わるかどうかを決定します。動的なグループ化は、隣接していて、モビリティ グループの別のコントローラにアソシエートされている可能性がある AP をコントローラが把握する際に役立ちます。これが無効の場合、コントローラは、把握しているアクセス ポイント(つまり、アソシエートされている AP)のパラメータだけを最適化します。グループ リーダーは、選択されたリーダーの MAC アドレスを示します。コントローラの MAC アドレスは、Inventory Web ページ(上部のメニューで Controller、Inventory の順にクリックするとこの Web ページが表示されます)で見つけられます。

Auto-RF の設定 Web ページは、3 ページ(またはセクション)に分かれており、これらの 3 ページの間を移動するためのスクロール バーがあります。最初のページ(図3-16 を参照)は、動的なチャネルの割り当てに関する設定です。AP が配置されているチャネルをコントローラで自動的に変更できるようにします(詳細は、「チャネルの動的割り当て」を参照)。

図3-16 Auto-RF(1 ページ目)

 

RF チャネルの割り当ての次は、送信(TX)電力レベルを割り当てるセクションです(図3-17 を参照)。この Web ページでは、すべての AP の電力レベルを修正したり、自動調整したりできます。また、この Web ページには、AP のネイバーの数と、調整している電力のしきい値も示されます。

図3-17 Auto-RF(2 ページ目)

 

3 つ目の Web ページはプロファイルのしきい値の設定です。

図3-18 Auto-RF(3 ページ目)

 

WLC は、AP から渡された情報を分析し、これらのしきい値それぞれについて、パスまたは失敗のステータスを決定します。これらのパス/失敗のプロファイルは、show ap auto-rf radio ap_name コマンドの出力によく見られます(次の例を参照)。 Monitor > 802.11b/g Radios > Detail Web ページでは、同じ情報をグラフ形式で見ることもできます。

サンプルの show ap auto-rf コマンドの出力

show>ap auto-rf 802.11b <access point name>
Number of Slots . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2
AP Name . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . <AP name>
MAC Address . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 00:0b:85:1b:df:c0
Radio Type . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . RADIO_TYPE_80211b/g
Noise Information
Noise Profile . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . PASSED
Channel 1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -93 dBm
Channel 2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -90 dBm
.
.
.
Channel 11 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -95 dBm
Interference Information
Interference Profile . . . . . . . . . . . . . . . . . FAILED
Channel 1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -69 dBm @ 31 % busy
Channel 2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -58 dBm @ 26 % busy
.
.
.
Channel 11 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . -68 dBm @ 26 % busy
Load Information
Load Profile . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . PASSED
Receive Utilization . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 %
Transmit Utilization . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 %
Channel Utilization . . . . . . . . . . . . . . . . . . 26 %
Attached Clients . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2 clients
Coverage Information
Coverage Profile . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. PASSED
Failed Clients . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 clients
Client Signal Strengths
RSSI -100 dBm. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 clients
RSSI -92 dBm . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 clients
.
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RSSI -52 dBm . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 clients
Client Signal To Noise Ratios
SNR 0 dBm . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 clients
SNR 5 dBm . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 clients
SNR 10 dBm . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0 clients
.
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SNR 45 dBm . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 clients
Nearby APs
Radar Information
Channel Assignment Information
Current Channel Average Energy . . . . . . . . . . . . . -68 dBm
Previous Channel Average Energy . . . . . .. . . . . . . -51 dBm
Channel Change Count . . . . . . . . . . . . . . . . . . 21
Last Channel Change Time . . . . . . . . . . . . . . . . Thu Mar 9 12:18:03 2006
Recommend Best Channel . . . . . . . . . . . . . . . . . 11
RF Parameter Recommendations
Power Level . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . 1
RTS/CTS Threshold . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2347
Fragmentation Threshold . . . . . . . . . . . . . . . . . 2346
Antenna Pattern . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 0
 

次の項では、Auto-RF 変数の一部について説明します。

チャネルの動的割り当て

802.11 MAC レイヤでは、Carrier-Sense Multiple Access/Collision Avoidance(CSMA/CA)が使用されます。CSMA/CA では、同じ圏内の同じチャネル上の 2 つの AP は、無線チャネルを共有するため、異なるチャネルにある 2 つの AP と比較してキャパシティが約半分になります。これは、802.11 MAC では、チャネルがビジー状態であることが検知され、このチャネルが解放されるまで、フレームの送信が延期されることによるものです。802.11 MAC により、そのチャネル自体の AP セルの一部ではないトラフィックの伝送が延期させられた場合は、干渉とみなされます。同一チャネルの別の AP からの干渉は、通常、同一チャネル干渉と呼ばれ、大半の 2.4 GHz 802.11 の展開で発生します。これは、オーバーラップしないチャネルが少ないため、一部のチャネルのオーバーラップが発生するのを避けることができないからです。設計、計画、および動的な無線管理の目標の 1 つに、同一チャネル オーバーラップを最小限に抑えるということがあります。これにより、同一チャネル干渉が最小になり、AP トラフィックの容量が最大にされます。Cisco Unified Wireless Network では、AP のチャネルを動的に割り当てて、競合を避けることで、この問題および他の同一チャネル干渉の問題に対処します。WLC、つまり指定された WLC(RF グループ リーダー)は、システム全体を認識できるため、チャネルの「再利用」方法を制御し、同一チャネル干渉を最小限に抑えることができます。

WLC は、さまざまなリアルタイムの RF 特性を検証して、以下のようにチャネルの割り当てを効率的に処理します。

ノイズ:ノイズにより、クライアントや AP の信号品質が制限されます。また、ノイズの範囲や周期は、さまざまです。干渉の種類、および干渉が及ぼす影響は、さまざまです。ノイズが増加すると、有効なセルのサイズが減少します。WLC は、定期的に、AP の RF 環境を再評価し、チャネルの選択を最適化して、システム全体の容量を維持しつつノイズの原因を回避します。過剰なノイズのためにチャネルが使用できなくなることは避けられます。また、他の無線ネットワークがある場合、WLC は、他のネットワークを補完するために、使用するチャネルを切り替えます。たとえば、チャネル 6 に 1 つのネットワークがある場合、近接する WLAN はチャネル 1 または 11 に割り当てられます。これによって、周波数の共有が制限され、ネットワークのキャパシティが増加します。チャネルが使用中で、使用可能なキャパシティがない場合、WLC はこのチャネルを回避することがあります。

クライアントの負荷:チャネル構造を変更する際には、クライアントの負荷を考慮して、現在 WLAN システムに存在するクライアントへの影響を最小限に抑えるようにします。WLC は、チャネルを最適に割り当てるため、周期的にチャネルの割り当てを監視します。ネットワークのパフォーマンスが大幅に向上する場合や、パフォーマンスが低い AP でパフォーマンスを向上させる場合にだけ、チャネルが変更されます。

WLC は、RF 特性情報を総合して、システム全体のチャネルの割り当てを決定します。最終的には、3 次元空間における最適なチャネル設定が実現します。この場合、全体的な WLAN の設定で、上下のフロアにある AP が考慮されます。

干渉の検出と回避

Cisco Unified Wireless の展開における 干渉 とは、Cisco WLAN システム以外の 802.11 トラフィック(たとえば、不正な AP や近接する WLAN などのトラフィック)のことです。こうした干渉は、特定の電子レンジや各種コードレス電話などの 802.11 に準拠していない製品が原因となることもあります。また、場合によっては、アーク溶接や連邦/軍事レーダー施設などのさまざまな原因によって Electromagnetic Interference(EMI; 電磁干渉)が発生することもあります。AP は、常にすべてのチャネルをスキャンして干渉の主な原因を調べます。

802.11 の干渉の量が、事前に定義されたしきい値に達すると、WLC は、チャネルを再割り当てして干渉が存在するシステムのパフォーマンスを最適化しようと試みます。その場合、近接する AP が同じチャネルに存在する結果となることがありますが、干渉源となる AP があるためにまったく使用できないようなチャネルに存在するよりは、論理的には優れたシナリオです。

たとえば、WLC は、近接する AP をチャネル 1 またはチャネル 6 に切り替えることで、チャネル 11 上の不正な AP に応答できます。

送信電力の動的制御

カバレッジ領域を維持するためには、AP の電力レベルを適切に保つことが不可欠です。これは、領域をカバーする電力量が(最大ではなく)正確であるようにするためだけでなく、電力の過剰使用により放射領域に対する不要な干渉が発生するのを防ぐためでもあります。また、AP の電力設定は、AP の損失が発生した場合に、リアルタイムでフェールオーバーされるように、ネットワークの冗長性を制御するためにも使用されます。WLC は、リアルタイムの WLAN の状態に基づいて AP の送信電力レベルを動的に制御するために使用されます。通常は、電力を必要最小限に抑えることでキャパシティを増やし、AP 間の干渉を減らすことができます。RRM は、近接する AP を -65 dBm で認識できるように AP のバランスを保とうとします。AP の停止が検知されると、その周囲の AP の電力が自動的に増加し、AP が使用不可能になったことで生じたカバレッジのギャップが埋められます。

RRM アルゴリズムは、ユーザ エクスペリエンスが最適になるように設計されています。たとえば、AP の電力がレベル 4(レベル 1 が最大でレベル 8 が最低)まで下がり、あるユーザの Received Signal Strength Indicator(RSSI; 受信信号強度インジケータ)の値が許容しきい値を下回った場合、そのクライアントに対して最適なエクスペリエンスを提供できるように、AP の電力が増やされます。Dynamic Transmit Power Control(DTPC; 送信電力の動的制御)が有効になっている場合、アクセス ポイントによりチャネルが追加され、ビーコンに電力情報が送信されます。DTPC を使用しているクライアント デバイスは、この情報を受信して、自動的に設定を調整します。

カバレッジ ホールの検出と修正

カバレッジ ホールの検出および修正アルゴリズムは、クライアントの信号レベルの品質に基づいて、カバレッジ ホールを特定し、それらのクライアントがアソシエートされている AP の送信電力を増加させることを目的としています。

このアルゴリズムでは、クライアントの SNR レベルが指定された SNR しきい値を下回ったときに、カバレッジ ホールが存在するかどうかを確認します。SNR しきい値は、AP ごとに、主にそれぞれの AP の送信電力に基づいて決定されます。

1 つのクライアントの平均 SNR が、少なくとも 60 秒間しきい値を下回った場合は、WLAN クライアントがローミングできるロケーションがないことを示しているとみなされます。そのようなクライアントに対しては、AP の送信電力が増大され、カバレッジ ホールが修正されます。

クライアントとネットワークのロード バランシング

IEEE 802.11 の規格では、クライアントがどのようなプロセスでどのような場合にローミングするかが定義されていないため、特定の状況におけるクライアントの動作を簡単に予測することはできません。たとえば、会議室のすべてのユーザが、空き容量は大量にあっても離れた場所にある複数の AP ではなく、近接した 1 つのアクセス ポイントにアソシエートされることがあります。

WLC では、すべての AP にクライアントがどのように分散されているかを示す、集中化されたビューが提供されます。これは、複数の「良好な」AP が使用可能な場合に、新しいクライアントをネットワークのどこに接続するかを決定する際に使用されます。設定されている場合、WLC は、AP プローブ応答を活発に使用してクライアントを最適な AP に導き、WLAN のパフォーマンスを向上させることができます。その結果、無線ネットワーク全体にキャパシティが均等に分散されます。このロード バランシングは、クライアントの接続中ではなく、クライアントのアソシエーションで行われることを忘れないようにしてください。