Cisco ワイヤレス LAN コントローラ構成ガイド リリース 8.1
クライアント ローミングの設定
クライアント ローミングの設定

クライアント ローミングの設定

クライアント ローミングについて

Cisco UWN ソリューションは、同じコントローラで管理されている Lightweight アクセス ポイント間、同一サブネット上の同じモビリティ グループに属しているコントローラ間、および異なるサブネット上の同じモビリティ グループに属しているコントローラ間において、シームレスなクライアント ローミングをサポートします。 また、コントローラ ソフトウェア リリース 4.1 以降のリリースでは、マルチキャスト パケットでのクライアント ローミングがサポートされています。

GUI または CLI を使用してデフォルトの RF 設定(RSSI、ヒステリシス、スキャンのしきい値、および遷移時間)を調整することで、クライアント ローミングの動作を微調整できます。

コントローラ間ローミング

マルチコントローラ展開では、同一モビリティ グループ内および同一サブネット上のコントローラによって管理されるアクセス ポイント間のクライアント ローミングをサポートします。 セッションがアクティブである限り、セッションはそのまま持続され、コントローラ間のトンネルによって、クライアントは同じ DHCP 割り当てまたはクライアント割り当て IP アドレスを引き続き使用できるため、このローミングもクライアントには透過的に行われます。 IP アドレス 0.0.0.0、または自動 IP アドレス 169.254.*.* のクライアントが DHCP Discover を送信するか、オペレータが設定したセッション時間が経過してタイムアウトになると、トンネルが切断され、クライアントの再認証が必要になります。

コントローラ内ローミング

すべてのコントローラは、同じコントローラで管理されているアクセス ポイント間での同一コントローラ クライアント ローミングをサポートします。 セッションはそのまま持続され、クライアントは同じ DHCP 割り当てまたはクライアント割り当て IP アドレスを引き続き使用するため、このローミングはクライアントには透過的に行われます。 コントローラには、リレー機能を備えている DHCP 機能があります。 同一コントローラ ローミングは、シングルコントローラ展開とマルチコントローラ展開でサポートされています。

サブネット間ローミング

同様に、マルチコントローラ展開では、異なるサブネット上の同一モビリティ グループ内のコントローラによって管理されるアクセス ポイント間のクライアント ローミングをサポートします。 セッションがアクティブである限り、セッションはそのまま持続され、コントローラ間のトンネルによって、クライアントは同じ DHCP 割り当てまたはクライアント割り当て IP アドレスを引き続き使用できるため、このローミングはクライアントには透過的に行われます。 IP アドレス 0.0.0.0、または自動 IP アドレス 169.254.*.* のクライアントが DHCP Discover を送信するか、オペレータが設定した時間が経過してタイムアウトになると、トンネルが切断され、クライアントの再認証が必要になります。

VoIP による通話ローミング

802.11 Voice-over-IP(VoIP)通話は、RF 信号が最も強いアソシエーションを見つけ出すことで、最適な Quality of Service(QoS)と最高のスループットを実現します。 VoIP 通話には、ローミング ハンドオーバーの遅延時間が 20 ミリ秒以下という最小要件がありますが、シスコ ワイヤレス ソリューションならばこの要件を容易に満たすことができます。このソリューションでは、オープン認証が使用されていれば、平均ハンドオーバー遅延時間は 5 ミリ秒以下です。 この短い遅延時間は、個々のアクセス ポイントにローミング ハンドオーバーのネゴシエートを許可せずにコントローラによって制御されます。

シスコ ワイヤレス ソリューションでは、コントローラが同一のモビリティ グループに属している場合、異なるサブネット上のコントローラによって管理される lightweight アクセス ポイント間での 802.11 VoIP 通話ローミングをサポートします。 セッションがアクティブである限り、セッションはそのまま持続され、コントローラ間のトンネルによって、VoIP 通話は同じ DHCP 割り当て IP アドレスを引き続き使用できるため、このローミングはクライアントには透過的に行われます。 VoIP クライアントが VoIP 通話 IP アドレス 0.0.0.0 を使用して DHCP Discover を送信するか、VoIP 通話自動 IP アドレス 169.254.*.* を使用するか、またはオペレータが設定した時間が経過してタイムアウトになると、 トンネルが切断され、VoIP クライアントの再認証が必要になります。

CCX レイヤ 2 クライアント ローミング

コントローラでは、次の 5 つの CCX レイヤ 2 クライアント ローミング拡張機能がサポートされています。

  • アクセス ポイント経由ローミング:この機能により、クライアントはスキャン時間を節約できます。 CCXv2 クライアントがアクセス ポイントにアソシエートする際、新しいアクセス ポイントに以前のアクセス ポイントの特徴をリストする情報パケットを送信します。 各クライアントがアソシエートされていた以前のアクセス ポイントと、アソシエーション直後にクライアントに送信(ユニキャスト)されていた以前のアクセス ポイントをすべてまとめて作成したアクセス ポイントのリストがクライアントによって認識および使用されると、ローミング時間が短縮します。 アクセス ポイントのリストには、チャネル、クライアントの現在の SSID をサポートしているネイバー アクセス ポイントの BSSID、およびアソシエーション解除以来の経過時間が含まれています。

  • 拡張ネイバー リスト:特に音声アプリケーションを提供する際に、CCXv4 クライアントのローミング能力とネットワーク エッジのパフォーマンスを向上させるための機能です。 アクセス ポイントは、ネイバー リストのユニキャスト更新メッセージを使用して、アソシエートされたクライアントのネイバーに関する情報を提供します。

  • 拡張ネイバー リスト要求(E2E):End-2-End 仕様は、音声/ローミング能力の全体的向上のために新しいプロトコルとインターフェイスを定義する、Cisco と Intel の共同プログラムです。 これは、CCX 環境の Intel クライアントにのみ適用されます。 これにより、Intel クライアントは自由にネイバー リストを要求できるようになります。 要求すると、アクセス ポイントはコントローラに要求を転送します。 コントローラは要求を受信し、クライアントがアソシエートされているアクセス ポイントに対するネイバーの現在の CCX ローミング サブリストで応答します。


    (注)  


    特定のクライアントが E2E をサポートするかどうかを調べるには、コントローラの GUI で [Wireless] > [Clients] の順に選択し、そのクライアントの [Detail] リンクをクリックして、[Client Properties] 領域の [E2E Version] テキスト ボックスを確認します。


  • ローミング理由レポート:CCXv4 クライアントが新しいアクセス ポイントにローミングした理由を報告するための機能です。 また、ネットワーク管理者はローミング履歴を作成およびモニタできるようになります。

  • ダイレクトされたローミング要求:クライアントがアソシエートしているアクセス ポイントよりもサービス能力が高いアクセス ポイントが他にある場合に、ローミング要求をコントローラからクライアントに送信できるようになります。 この場合、コントローラはクライアントに join できる最適なアクセス ポイントの一覧を送信します。 クライアントはダイレクトされたローミング要求を受け入れることも、無視することもできます。 CCX 以外のクライアントおよび CCXv3 以下を実行するクライアントは、どちらの操作も行う必要がありません。 この機能を使用するために設定する必要はありません。

クライアント ローミングの制約事項

  • コントローラ ソフトウェア リリース 4.2 以降のリリースでは、CCX バージョン 1 ~ 5 がサポートされます。 CCX サポートは、コントローラ上の各 WLAN について自動的に有効となり、無効にできません。 コントローラは、クライアントの CCX バージョンを自身のクライアント データベースに格納します。この情報に基づいて、CCX フレームを生成するとともに、CCX フレームに応答します。 これらのローミング拡張機能を使用するには、クライアントで CCXv4 か CCXv5(または、アクセス ポイント経由ローミングの場合 CCXv2)がサポートされている必要があります。

    上記に説明するローミング拡張機能は、適切な CCX サポートで自動的に有効化されます。

  • スタンドアロン モードでの FlexConnect アクセス ポイントでは、CCX レイヤ 2 ローミングはサポートされません。

  • 600 シリーズ アクセス ポイント間のクライアント ローミングはサポートされません。

  • シームレスな L2 および L3 ローミングは、シスコとサードパーティ無線インフラストラクチャ間ではサポートされません。このインフラストラクチャには Cisco IOS アクセス ポイントも含まれます。

CCX クライアント ローミング パラメータの設定(GUI)


    ステップ 1   [Wireless] > [802.11a/n/ac or 802.11b/g/n] > [Client Roaming] を選択します。 [802.11a(802.11b)> Client Roaming] ページが表示されます。
    ステップ 2   クライアント ローミングに影響を与える RF パラメータを調整する場合は、[Mode] ドロップダウン リストから [Custom] を選択し、ステップ 3 に進みます。 RF パラメータをデフォルト値のままにする場合は、[Default] を選択して、ステップ 8 に進みます。
    ステップ 3   [Minimum RSSI] テキスト ボックスに、クライアントがアクセス ポイントにアソシエートするときに必要な受信信号強度インジケータ(RSSI)の最小値を入力します。 クライアントの平均の受信信号の強度がこのしきい値より低い場合、通常、信頼できる通信はできません。 したがって、最小の RSSI 値に達する前に、クライアントはより強い信号のある別のアクセス ポイントをすでに見つけてローミングしている必要があります。

    範囲は –90 ~ –50 dBm です。

    デフォルトは –85 dBm です。

    ステップ 4   [Hysteresis] テキスト ボックスに、クライアントが近隣のアクセス ポイントにローミングするときに必要なアクセス ポイント信号強度を示す値を入力します。 このパラメータは、クライアントが 2 つのアクセス ポイント間のボーダー近くに物理的に存在している場合に、アクセス ポイント間のローミングの量を減らすことを意図しています。

    範囲は 3 ~ 20 dB です。

    デフォルトは 3 dB です。

    ステップ 5   [Scan Threshold] テキスト ボックスに、クライアントが条件の良い別のアクセス ポイントへまだローミングしなくてもよい最小 RSSI を入力します。 RSSI が指定された値より低い場合、クライアントは指定遷移時間内により強い信号のあるアクセス ポイントへローミングできる必要があります。 このパラメータはまた、クライアントがアクティブまたはパッシブ スキャンで費やす時間を最小限に抑えるための節電方法も提供します。 たとえば、クライアントは RSSI がしきい値よりも高いときにはゆっくりとスキャンし、しきい値よりも低いときにはより速くスキャンすることができます。

    範囲は -90 ~ -50 dBm です。

    デフォルトは –72 dBm です。

    ステップ 6   [Transition Time] テキスト ボックスに、クライアントがアソシエートしているアクセス ポイントからの RSSI がスキャンしきい値を下回ったときに、近隣の適切なアクセス ポイントを見つけてローミングを完了するまでの最大許容時間を入力します。

    [Scan Threshold] パラメータと [Transition Time] パラメータは、クライアントのローミング パフォーマンスの最低レベルを保証します。 これらのパラメータを使用すると、最も高いクライアント速度とローミング ヒステリシスが得られるだけでなく、アクセス ポイント間の一定の最小オーバーラップ距離を確保することにより、ローミングをサポートする無線 LAN ネットワークを設計することが可能となります。

    値の範囲は 1 ~ 5 秒です。

    デフォルトは 5 秒です。

    ステップ 7   [Apply] をクリックします。
    ステップ 8   [Save Configuration] をクリックします。
    ステップ 9   別の無線帯域に対してクライアント ローミングの設定をする場合、この手順を繰り返します。

    CCX クライアント ローミング パラメータの設定(CLI)

    次のコマンドを入力して、CCX レイヤ 2 クライアント ローミング パラメータを設定します。

    config {802.11a | 802.11b} l2roam rf-params {default | custom min_rssi roam_hyst scan_thresh trans_time}

    CCX クライアント ローミング情報の取得(CLI)


      ステップ 1   次のコマンドを入力して、802.11a または 802.11b/g ネットワークのクライアント ローミングに対して設定されている現在の RF パラメータを表示します。

      show {802.11a | 802.11b} l2roam rf-param

      ステップ 2   次のコマンドを入力して、特定のアクセス ポイントに対する CCX レイヤ 2 クライアント ローミング統計を表示します。

      show {802.11a | 802.11b} l2roam statistics ap_mac

      このコマンドは、次の情報を提供します。

      • 受信したローミング理由レポートの数

      • 受信したネイバー リスト要求の数

      • 送信したネイバー リスト レポートの数

      • 送信したブロードキャスト ネイバー更新の数

      ステップ 3   次のコマンドを入力して、特定のクライアントのローミング履歴を表示します。

      show client roam-history client_mac

      このコマンドは、次の情報を提供します。

      • レポートを受信した時刻

      • クライアントが現在アソシエートされているアクセス ポイントの MAC アドレス

      • クライアントが以前アソシエートされていたアクセス ポイントの MAC アドレス

      • クライアントが以前アソシエートされていたアクセス ポイントのチャネル

      • クライアントが以前アソシエートされていたアクセス ポイントの SSID

      • 以前のアクセス ポイントからクライアントがアソシエーション解除した時刻

      • クライアントがローミングした理由


      CCX クライアント ローミング問題のデバッグ(CLI)

      CCX レイヤ 2 クライアント ローミングで問題が発生した場合は、次のコマンドを入力します。

      debug l2roam [detail | error | packet | all] {enable | disable}