Cisco Aironet 1300 シリーズ ワイヤレス ブリッジ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド Cisco IOS Release 12.2(15)JA
QoS の設定
QoS の設定
発行日;2012/01/14 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 3MB) | フィードバック

目次

QoS の設定

無線 LAN の QoS の概要

無線 LAN の QoS と有線 LAN の QoS

無線 LAN への QoS の影響

QoS 設定の優先順位

QoS の設定

設定のガイドライン

Web ブラウザ インターフェイスを使用した QoS の設定

無線アクセス カテゴリ定義の調整

ポイントツーポイント リンクおよびポイントツーマルチポイント リンクに対する CW 最小と CW 最大の設定

QoS の設定の例

音声トラフィックの優先指定

ビデオ トラフィックの優先指定

QoS の設定

この章では、ブリッジに Quality of Service(QoS; サービス品質)を設定する方法について説明します。この機能を使用すると、特定のトラフィックを優先的に処理できます。QoS を使用しない場合、パケットの内容やサイズに関係なく、ブリッジは各パケットにベストエフォートでサービスを提供します。アクセス ポイントは信頼性、遅延限度、またはスループットの保証なしにパケットを送信します。


) この章で使用されるコマンドの構文と使用方法の詳細は、このリリース用の『Cisco Aironet アクセス ポイント/ブリッジ Cisco IOS コマンド リファレンス』を参照してください。


この章の内容は、次のとおりです。

「無線 LAN の QoS の概要」

「QoS の設定」

「QoS の設定の例」

無線 LAN の QoS の概要

一般にネットワークは、ベストエフォート配信に基づいて動作します。これは、すべてのトラフィックの優先順位が同等であり、適切なタイミングで送信されるように同等の機会が与えられていることを意味します。輻輳が発生した場合、すべてのトラフィックは等しくドロップする可能性があります。

ブリッジに QoS を設定すると、特定のネットワーク トラフィックを選択して優先順位を付け、輻輳管理と輻輳回避技術を使用して優先的に処理できます。無線 LAN にQoS を実装すると、ネットワークのパフォーマンスを予測可能にして、帯域幅を効果的に使用できます。

QoS を設定する場合、QoS ポリシーを作成して、ブリッジに設定した VLAN に適用します。ネットワークで VLAN を使用しない場合、ブリッジのイーサネット ポートと無線ポートに QoS ポリシーを適用できます。

無線 LAN の QoS と有線 LAN の QoS

無線 LAN の QoS 実装は、シスコの他のデバイスに対する QoS 実装とは異なります。ブリッジで QoS を有効にすると、次の処理が実行されます。

アクセス ポイントはパケットを分類しません。DSCP 値、クライアント タイプ(無線電話など)、または 802.1q か 802.1p タグの優先順位の値に基づいてパケットに優先順位を設定します。

ブリッジは、ACL を使用してパケットを照合するのではなく、MQC class-map のみを使用して節を照合します。

内部 DSCP 値を構成しません。IP DSCP、優先順位、プロトコル値をレイヤ 2 COS 値に割り当てるマッピングだけをサポートします。

無線出力ポートでだけキューイングに似た EDCF を実行します。

イーサネット出力ポートで FIFO キューイングだけを実行します。

802.1Q/P タグ付きパケットだけをサポートします。ブリッジは ISL をサポートしません。

MQC ポリシーマップの set cos アクションだけをサポートします。

無線 LAN QoS 実装とシスコのほかのネットワーク デバイスの QoS 実装を対比するには、次の URL の『Cisco IOS Quality of Service Solutions Configuration Guide』を参照してください。

http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios122/122cgcr/fqos_c/index.htm

無線 LAN への QoS の影響

無線 LAN QoS 機能は、802.11e ドラフトのサブセットです。無線 LAN の QoS は、トラフィック分類に基づく WLAN より、ブリッジのトラフィックを優先します。

他のメディアと同様、負荷の少ない無線 LAN では、QoS の影響に気付かない場合があります。QoS のメリットは無線 LAN の負荷が増加するにしたがって顕著になり、選択されたトラフィック タイプの待ち時間、ジッタ、損失は許容範囲内に維持されます。

無線 LAN の QoS は、ブリッジのダウンストリームを優先します。ブリッジのトラフィックに対する QoS の影響は、次のとおりです。

無線ダウンストリーム フローは、ブリッジの無線から別のブリッジに送信されるトラフィックです。このトラフィックは、無線 LAN の QoS の主要な対象です。

イーサネットのダウンストリーム フローは、スイッチまたはルータからブリッジ上のイーサネット ポートに送信されるトラフィックです。スイッチまたはルータで QoS が有効の場合、スイッチまたはルータはブリッジへのトラフィックを優先し、レートを制限する場合があります。

イーサネットのアップストリーム フローは、ブリッジのイーサネット ポートから有線 LAN 上のスイッチまたはルータに送信されるトラフィックです。ブリッジは、有線 LAN に送信するトラフィックをトラフィック分類に基づいて優先しません。

QoS 設定の優先順位

QoS を有効にすると、ブリッジは各パケットのレイヤ 2 COS 値に基づいて、パケットをキューに置きます。ブリッジは、次の順序で QoS ポリシーを適用します。

1. 分類済みのパケット:ブリッジが QoS 対応スイッチまたはルータからゼロ以外の 802.1 Q/P user_priority 値で分類されたパケットを受信する場合、ブリッジはその分類を使用し、別の QoS ポリシー規則をパケットに適用しません。既存の分類がブリッジの他のポリシーよりも優先されます。

2. ブリッジで作成するポリシー:QoS のポリシーを作成して VLAN またはブリッジ インターフェイスに適用すると、この QoS ポリシーはすでに分類済みのパケットに次いで 2 番目の優先順位になります。

3. VLAN の全パケットに適用されるデフォルト分類:VLAN の全パケットにデフォルトの分類を設定すると、そのポリシーは優先順位リストで 3 番目になります。


) クライアント デバイスはブリッジにアソシエートできないため、QoS element for wireless phones 設定はブリッジではサポートされていません。


QoS の設定

QoS はデフォルトで無効に設定されています。この項では、ブリッジで QoS を設定する方法について説明します。内容は次のとおりです。

「設定のガイドライン」

「Web ブラウザ インターフェイスを使用した QoS の設定」

「無線アクセス カテゴリ定義の調整」

設定のガイドライン

ブリッジに QoS を設定する前に、次の情報に注意する必要があります。

QoS の導入で最も重要なのは、無線 LAN のトラフィックについて十分に把握することです。無線クライアント デバイスで使用するアプリケーション、アプリケーションが遅延の影響を受ける程度、およびアプリケーションに関連するトラフィックの量を把握すれば、パフォーマンスを向上させるように QoS を設定できます。

QoS によって無線 LAN の帯域幅が増加することはありません。QoS は、帯域幅の割り当て制御を効率化します。無線 LAN に十分な帯域幅があれば、QoS を設定する必要がない可能性があります。

Web ブラウザ インターフェイスを使用した QoS の設定

この項では、Web ブラウザ インターフェイスを使用する QoS の設定について説明します。

CLI を使用して QoS を設定するための IOS コマンドのリストについては、『Cisco IOS Command Reference for Cisco Aironet Access Points and Bridges』を参照してください。コマンド リファレンスを参照する手順は、次のとおりです。

1. 次のリンクをクリックすると、Cisco Aironet Documentation ホーム ページを参照できます。

http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/wireless/index.htm

2. 次のパスに従って製品、ドキュメント、および章にアクセスします。
Aironet 1300 Series Wireless LAN Products > Cisco Aironet 1300 Series Bridges >
Cisco Aironet 1300 Series Bridge Command Reference

QoS を設定する手順は、次のとおりです。


ステップ 1 無線 LAN で VLAN を使用する場合、QoS を設定する前に必要な VLAN がブリッジに設定されていることを確認します。

ステップ 2 Web ブラウザ インターフェイスのページの左側にあるタスク メニューで Services をクリックします。Services のリストが展開されたら、QoS をクリックします。QoS ポリシー ページが表示されます。図 14-1 は、QoS ポリシー ページを示しています。

図 14-1 QoS Policies ページ

 

ステップ 3 Create/Edit Policy フィールドで <NEW> を選択して、Policy Name 入力フィールドに QoS ポリシーの名前を入力します。名前には、最大 25 文字の英数字を使用できます。ポリシー名には空白を入れないでください。

ステップ 4 優先順位を設定する必要のあるパケットの IP header TOS フィールドに IP 優先情報が含まれている場合には、IP Precedence ドロップダウン メニューから IP 優先順位の分類を選択します。メニューの選択項目は次のとおりです。

Routine (0)

Priority (1)

Immediate (2)

Flash (3)

Flash Override (4)

Critic/CCP (5)

Internet Control (6)

Network Control (7)

ステップ 5 Apply Class of Service ドロップダウン メニューを使用して、IP Precedence メニューから選択したタイプのパケットにブリッジが適用するサービス クラスを選択します。ブリッジは、IP Precedence の選択内容を、選択したサービス クラスに一致させます。Apply Class of Service メニューの設定内容は次のとおりです。

Best Effort (0)

Background (1)

Spare (2)

Excellent (3)

Control Lead (4)

Video <100ms Latency (5)

Voice <10ms Latency (6)

Network Control (7)

ステップ 6 IP Precedence の Class of Services メニューの横にある Add ボタンをクリックします。Classifications フィールドに分類項目が表示されます。分類を削除するには、削除する分類を選択して、Classifications フィールドの横の Delete ボタンをクリックします。

ステップ 7 優先順位を設定する必要のあるパケットの IP header TOS フィールドに IP DSCP 優先情報が含まれている場合には、IP DSCP ドロップダウン メニューから IP DSCP 分類を選択します。メニューの選択項目は次のとおりです。

Best Effort

Assured Forwarding -- Class 1 Low

Assured Forwarding -- Class 1 Medium

Assured Forwarding -- Class 1 High

Assured Forwarding -- Class 2 Low

Assured Forwarding -- Class 2 Medium

Assured Forwarding -- Class 2 High

Assured Forwarding -- Class 3 Low

Assured Forwarding -- Class 3 Medium

Assured Forwarding -- Class 3 High

Assured Forwarding -- Class 4 Low

Assured Forwarding -- Class 4 Medium

Assured Forwarding -- Class 4 High

Class Selector 1

Class Selector 2

Class Selector 3

Class Selector 4

Class Selector 5

Class Selector 6

Class Selector 7

Expedited Forwarding

ステップ 8 Apply Class of Service ドロップダウン メニューを使用して、IP DSCP メニューから選択したタイプのパケットにブリッジが適用するサービス クラスを選択します。ブリッジは、IP DSCP の選択内容を、選択したサービス クラスに一致させます。

ステップ 9 IP DSCP の Class of Service メニューの横にある Add ボタンをクリックします。Classifications フィールドに分類項目が表示されます。

ステップ 10 フィルタ処理されたパケットに優先順位を割り当てるには、Filter ドロップダウン メニューを使用してポリシーに追加するフィルタを選択します(ブリッジにフィルタが定義されていない場合には、Filter ドロップダウン メニューではなく Apply Filters ページへのリンクが表示されます)。たとえば、IP フォンの MAC アドレスを含む MAC アドレス フィルタの優先順位を高くすることができます。


) QoS で使用するアクセス リストは、ブリッジのパケット転送フィルタに影響しません。


ステップ 11 Apply Class of Service ドロップダウン メニューを使用して、Filter メニューから選択したフィルタに一致するパケットに、ブリッジが適用するサービス クラスを選択します。ブリッジは、フィルタの選択内容を、選択したサービス クラスに一致させます。

ステップ 12 フィルタの Class of Service メニューの横にある Add ボタンをクリックします。Classifications フィールドに分類項目が表示されます。

ステップ 13 VLAN 上の全パケットにデフォルトの分類を設定する場合、Apply Class of Service ドロップダウン メニューを使用して、ブリッジが VLAN 上の全パケットに適用するサービス クラスを選択します。ブリッジは、全パケットを、選択したサービス クラスに一致させます。

ステップ 14 Default classification for packets on the VLAN の Class of Service メニューの横にある Add ボタンをクリックします。Classifications フィールドに分類項目が表示されます。

ステップ 15 分類をポリシーへ追加したら、Apply Class of Service ドロップダウン メニューの Add ボタンをクリックします。ポリシーをキャンセルして全フィールドをデフォルトにリセットするには、Apply Class of Service ドロップダウン メニューの Cancel ボタンをクリックします。ポリシー全体を削除するには、Apply Class of Service ドロップダウン メニューの Delete ボタンをクリックします。

ステップ 16 Apply Policies to Interface/VLAN ドロップダウン メニューを使用して、ブリッジのイーサネット ポートと無線ポートにポリシーを適用します。ブリッジに VLAN が設定されている場合、各 VLAN の仮想ポートのドロップダウン メニューがこのセクションに表示されます。ブリッジに VLAN が設定されていない場合、各インターフェイスのドロップダウン メニューが表示されます。

ステップ 17 ページ下部にある Apply ボタンをクリックして、ブリッジのポートにポリシーを適用します。


 

無線アクセス カテゴリ定義の調整

ブリッジは、無線アクセス カテゴリの定義を使用して各パケットのバックオフ時間を計算します。通常、優先順位の高いパケットは、バックオフ時間が短くなります。

Min and Max Contention Window フィールドと Slot Time フィールドのデフォルト値は、IEEE ドラフト規格 802.11e で推奨される設定に基づいています。これらの値の詳細は、同規格を参照してください。

Radio Traffic Access Categories ページではデフォルト設定を使用すること、または第 x 項で説明する設定を使用することを強くお勧めします。これらの値を変更すると、無線 LAN に予期しないトラフィック ブロックが発生しやすくなり、ブロックの診断も容易ではありません。これらの値を変更後にデフォルトにリセットする必要があれば、 表 14-1 のデフォルト設定を使用します。

表 14-1 に示された値は 2 の累乗です。ブリッジは、次の式を使用して Contention Window の値を計算します。

CW = 2 ** X - 1

X は 表 14-1 の値です。

 

表 14-1 デフォルトの QoS 無線トラフィック クラス定義

サービス クラス
最小コンテンション
ウィンドウ
最大コンテンション
ウィンドウ
固定スロット時間

Background(CoS 1 ~ 2)

5

10

6

Best Effort(CoS 0)

5

10

2

Video(CoS 3 ~ 5)

5

10

2

Voice(CoS 6 ~ 7)

3

4

1

図 14-2 は Radio 802.11G Access Categories ページを示しています。

図 14-2 Radio 802.11G Access Categories ページ

 

ポイントツーポイント リンクおよびポイントツーマルチポイント リンクに対する CW 最小と CW 最大の設定

ブリッジ リンクで最適なパフォーマンスを得るために、 表 14-2 の値に従って CW 最小および CW 最大コンテンション ウィンドウの設定を調整します。デフォルトの設定である CW 最小 3 と CW 最大 10 は、ポイントツーポイント リンクで最適です。ただし、ポイントツーマルチポイント リンクの場合、ルート ブリッジにアソシエートする非ルート ブリッジの数に応じて設定を調整する必要があります。


) パケットの連結が有効になっている場合、トラフィック クラス 0 の場合だけ CW 最小と CW 最大の設定を調整する必要があります。連結はデフォルトで有効になっています。


 

表 14-2 ポイントツーポイント リンクおよびポイントツーマルチポイント リンクに対する CW 最小と CW 最大の設定

設定
ポイントツー
ポイント リンク
最大 5 個の非ルート ブリッジを含む
ポイントツーマルチポイント リンク
最大 10 個の非ルート ブリッジを含む
ポイントツーマルチポイント リンク
最大 17 個の非ルート ブリッジを含む
ポイントツーマルチポイント リンク

CW 最小

3

4

5

6

CW 最大

10

10

10

10

イネーブル EXEC モードから、次の手順に従って CW 最小と CW 最大の設定を調整します。

 

コマンド
目的

ステップ 1

configure terminal

グローバル設定モードを開始します。

ステップ 2

interface dot11radio 0

無線インターフェイスのインターフェイス設定モードを開始します。

ステップ 3

traffic class { cw-min number }
{ cw-max number }
{ fixed-slot number }

CW 最小、CW 最大、固定スロットの設定をトラフィック クラスに割り当てます。 表 14-2 の値を使用してネットワーク構成のパフォーマンスが最大になる設定を入力します。


) パケットの連結が有効になっている場合、トラフィック クラス 0 の場合だけ CW 最小と CW 最大の設定を調整する必要があります。連結はデフォルトで有効になっています。


ステップ 4

end

イネーブル EXEC モードに戻ります。

ステップ 5

copy running-config startup-config

(オプション)コンフィギュレーション ファイルに入力内容を保存します。

設定をデフォルトにリセットする場合は、コマンドの no フォームを使用します。

QoS の設定の例

次の項では、2 つの QoS の一般的な使用法を説明します。

「音声トラフィックの優先指定」

「ビデオ トラフィックの優先指定」

音声トラフィックの優先指定

この項では、無線ネットワークの音声 VLAN に QoS ポリシーを適用して、無線電話のトラフィックを優先する方法を示します。

この例では、ネットワーク管理者は voice_policy という名前のポリシーを作成して、Spectralink フォンのトラフィックに音声サービス クラスを適用します(プロトコル 119 パケット)。ユーザは VLAN 77 の入出力無線ポートと出力側のイーサネット ポートに voice_policy を適用します。図 14-3 は管理者の QoS Policies ページを示しています。

図 14-3 音声の QoS Policies ページの例

 

ビデオ トラフィックの優先指定

この項では、ビデオ トラフィック専用ネットワークの VLAN に QoS ポリシーを適用する方法を示します。

この例では、ネットワーク管理者は voideo_policy という名前のポリシーを作成して、ビデオ トラフィックにビデオ サービス クラスを適用します。ユーザは VLAN 87 の入出力無線ポートと出力側のイーサネット ポートに video_policy を適用します。図 14-4 は管理者の QoS Policies ページを示しています。

図 14-4 ビデオの QoS Policies ページの例