高密度エクスペリエンス(HDX)展開ガイド、リリース 8.0
リリース 8.0 で追加された高密度エクスペリエンス機能
リリース 8.0 で追加された高密度エクスペリエンス機能

リリース 8.0 で追加された高密度エクスペリエンス機能

ここでは、以下のトピックについて詳しく説明します。

RX-SOP(Receiver Start of Packet Detection Threshold)

RX-SOP(Receiver Start of Packet Detection Threshold)は、AP 無線機がパケットを復調してデコードする dBm 単位の Wi-Fi 信号レベルを決定します。 RX-SOP レベルが高いほど、無線機の感度が低く、レシーバ セル サイズが小さくなります。 セル サイズを小さくすることによって、クライアントは最も近いアクセス ポイントに接続され、できるだけ高いデータ レートを使用することが保証されます。 これは、各 AP に大量のクライアント デバイスが接続されるスタジアムや大ホールなどの高密度環境に最適です。 高密度環境では、セル サイズが小さいほど、パフォーマンスが向上します。

RX-SOP 値が増加するにつれ、より高い RSSI 値のパケットだけが AP の無線機によってデコードされます。 そのため、上の図に示すように、セル サイズは減少しますが、すべてのクライアントが適切な RSSI 値で接続されることが保証されます。

802.11 パケットを受信する AP の例を以下に示します。 設定された RS-SOP よりも弱い RSSI で受信されたフレームはすべて非 WiFi フレームとして分類され、無線機によってデコードされません。受け入れ可能な RSSI 値を持つパケットだけがデコードされます。 デコードされなかったパケットは非 WiFi 干渉として扱われ、AP ではノイズとして検出されます。

この例では、RX-SOP しきい値が低い値に設定されているため、-84 dBm で送信された認証要求はデコードされません。しかし、同じメッセージが -36 dBm で送信された場合はデコードされます。

表 1 RX-SOP テンプレートしきい値
802.11 帯 高しきい値 中しきい値 低しきい値 自動
5 GHz -76 dBm -78 dBm -80 dBm 無線機のデフォルトを使用
2.4 GHz -79 dBm -82 dBm -85 dBm 無線機のデフォルトを使用

RX-SOP デフォルトしきい値は自動で、RX-SOP しきい値が無線機のデフォルト値に設定されることを意味します。


(注)  


RX-SOP は次の AP 上でサポートされます。
  • 1552
  • 1600
  • 2600、2700
  • 3500、3600、3700

WLC GUI 経由の RX-SOP の設定

  1. RX-SOP しきい値をグローバル レベルで設定するには、[Wireless] > [Advanced] > [Rx Sop Threshold] に移動します。

  2. 2.4 GHz 帯と 5 GHz 帯で別々の値を選択できます。 この値がすべての AP に対してグローバルに設定されます。 RF プロファイルのみがこの設定値をオーバーライドできます。

RF プロファイル経由の RX-SOP の設定

  1. WLC GUI から新しい RF プロファイルを作成するには、[Wireless] > [RF Profile] に移動してから、[New] をクリックします。

  2. RF プロファイル名を入力して、バンドを選択します。 2.4 GHz 帯と 5 GHz 帯に別々のプロファイルを適用する必要があります。

  3. [High Density] タブを選択して、必要な RX-SOP しきい値を選択します。


    (注)  


    既存の RF プロファイルを変更して、RX-SOP しきい値を追加することができます。 RX-SOP 専用の新しいプロファイルを作成する必要はありません。


  4. 現在は、RF プロファイルを AP グループに適用する必要があります。 [WLANs] > [Advanced] > [AP Groups] に移動してから、新しいグループを追加するか、既存のグループを変更します。

  5. [RF Profile] タブで、必要な RX-SOP しきい値を持つプレバンド RF プロファイルを選択します。

AP グループ設定を完了するには、WLAN の追加や AP の選択などの追加の手順が必要です。 これらの手順については、このガイドに記載されていません。

WLC CLI 経由の RX-SOP の設定

config 802.11<a/b> rx-sop threshold <level>
               
auto           Revert 802.11a radio receiver SOP to auto
high           Set 802.11a radio receiver SOP to high
low            Set 802.11a radio receiver SOP to low
medium         Set 802.11a radio receiver SOP to medium

最適化ローミング

スティッキ クライアント問題:

信号強度がより強力な近くの AP 接続にローミングせず、移動もしないクライアントは、「スティッキ」と呼ばれます。 上の図に示すように、最適化ローミングがディセーブルの場合、クライアントは -86 dB 未満などの非常に弱い信号強度で AP との接続を維持します。 信号強度が低いと通信時間干渉の増加を引き起こすため、全体的なパフォーマンスが低下します。

ソリューション:シスコ最適化ローミング:

シスコ最適化ローミングは、積極的にクライアントを切断して、クライアントがより強力な接続を提供する近くの AP に移動できるようにすることによって、スティッキ クライアント問題を解決します。 また、データ RSSI パケットのアクティブ モニタリングを行って、RSSI が設定されたしきい値を下回った場合にクライアントのディスアソシエーションを強制することにより、この機能を実現します。 上の図に示すように、最適化ローミングがイネーブルの場合、信号強度が -80 dB 未満のクライアントは、ディスアソシエーションを受信して、次のことを実行します。
  • クライアントは、最適な接続を受信して、エクスペリエンスの質を維持します。
  • 通信時間干渉を削減することによって、各 AP セルの全体的なパフォーマンスを向上させます。


(注)  


クライアントは、クライアント RSSI 値がディスアソシエーションしきい値を 6 dBm 上回ったときに AP に再接続できます。 たとえば、データ RSSI しきい値が -80 dBm の場合、クライアントは RSSI 値が -74 dBm に増加したら再アソシエーションが可能になります。


表 2  最適化ローミング機能の説明
機能 説明 デフォルト
最適化ローミングのイネーブル化 最適化ローミングはデフォルトでディセーブルになっています。 この機能はバンド単位でイネーブルにすることができます。つまり、b/g/n と a/ac/n のどちらかまたはその両方でイネーブルにすることができます。 Disable
最適化ローミングしきい値パラメータの設定 最適化ローミングしきい値は、カバレッジ ホールド検出しきい値と共有されます。

最適化ローミングに使用される 3 つのフィールドの説明を以下に示します。

  1. データ RSSI 値:データ パケット RSSI 値が低すぎるかどうかを判断するためのしきい値です。 この値以下で受信されたパケットは、最適化ローミングしきい値を下回っていると見なされます。

  2. カバレッジ例外レベル割合:データ RSSI 値を下回って受信可能なデータ パケットの割合を示します。 この割合を超えると、クライアントはアソシエート解除されます。

  3. 受信データ パケット数:クライアント ディスアソシエーションをトリガーする最小受信パケット数です。

デフォルトで、データ RSSI 値は -80 dBm、カバレッジ例外レベルは 25%、パケット数は 50 に設定されます。

そのため、最適化ローミングがイネーブルになっていると、デフォルトでは 5 秒間で少なくとも 50 パケットの 25% を超えるパケットが -80 データ RSSI 未満だった場合は、90 秒の報告期間が過ぎた段階で AP がクライアントをアソシエート解除します。

-80 dBm/25%/50 パケット
最適化ローミング間隔

AP がクライアント統計情報を報告する時間間隔。 この値はデフォルトで 90 秒に設定されます。

90
最適化ローミング データ レートしきい値

最適化ローミング機能の目的は、従来のデータ レートで接続されているクライアントにのみ影響を与えることです。 これらは通信時間の大部分を消費しているクライアントです。

このデータ レート以下で接続されているクライアントに最適化ローミング機能が適用されます。 デフォルトで、この機能はディセーブルになっています。これは、最適化ローミングがすべてのクライアントに適用されることを意味します。

ディセーブル

WLC GUI からの最適化ローミングの設定

  1. グローバル レベルで最適化ローミングを設定するには、[Wireless] > [Advanced] > [Optimized Roaming] に移動します。

  2. ページを選択すると、[Optimized Roaming Mode]、[Optimized Roaming Interval]、および [Data Rate Threshold] が表示されます。 802.11a/n/ac 無線と 802.11b/g/n 無線で別々の値を選択できます。

  3. 最適化ローミング RSSI しきい値を変更するには、[Wireless] > [802.11a/n/ac] または [802.11b/g/n] > [RRM] > [Coverage] に移動します。

データ RSSI 値とカバレッジ例外レベル割合は WLC GUI または WLC CLI を使用して設定できます(次のセクションの WLC CLI コマンドを参照)。 受信データ パケット カウントは WLC CLI 経由でしか設定できません。

これらの値は、RF プロファイル経由で設定することもできます。 RF プロファイルが適用されている場合は、RF プロファイル値がグローバルに設定された値をオーバーライドします。

最適化ローミング統計情報を表示するには、[Monitor] > [Statistics] > [Optimized Roaming] に移動します。

WLC CLI からの最適化ローミングの設定

最適化ローミングのイネーブル化:
config advanced 802.11<a/b> optimized-roaming <enable/disable>
               
enable         Enable 802.11a OptimizedRoaming
disable        Disable 802.11a OptimizedRoaming            
データ RSSI しきい値の設定:
config advanced 802.11<a/b> coverage data rssi-threshold <dBm>
-60 to -90
カバレッジ例外レベル割合の設定:
config advanced 802.11<a/b> coverage data fail-percentage <percent>
               
<percent>      1 to 100
受信データ パケット数の設定:
config advanced 802.11<a/b> coverage packet-count <num-packets>
               
<num-packets>      1 to 255
最適化ローミング間隔:
config advanced 802.11<a/b> optimized-roaming interval <seconds>

Configure the reporting interval of 802.11a/b Optimized-Roaming
最適化ローミング データ レートしきい値:
config advanced 802.11<a/b> optimized-roaming datarate <mbps>
Enter a rate of either 6, 9, 12, 18, 24, 36, 48 or 54, or 0 for disable

設定例


(注)  


WLAN 単位のカバレッジ ホールド検出は、最適化ローミングに参加しているすべての WLAN 上でイネーブルにする必要があります。


RF プロファイルでの動的チャネル割り当て

8.0 リリースでは、動的チャネル割り当てを RF プロファイルで設定できるようになりました。 この機能は、次のような理由で非常に強力です。

  • 国単位でサポートされるチャネルが、WLC をサポートしている複数の国の特定の AP グループに割り当てられます。
  • 混合チャネル(802.11n/ac 40/80 MHz)環境を管理できます。
  • 物理エリア別のチャネル割り当て:物理的な位置に応じて別々のチャネルを別々の AP グループに割り当てることができます。

RF プロファイルを使用すれば、ネットワーク管理者は 1 つの AP グループに複数の RF 特性を適用できます。 これにより、同じ物理 WLC に接続されたアクセス ポイント専用にカスタマイズされた RF 環境が実現します。

次の例では、複数のクライアントが存在する大会議室をカバーする AP に高密度 RF プロファイルを割り当てます。 高密度 RF プロファイルでは、チャネルの再利用を最小限に抑え、送信電力を下げてセル サイズを小さくし、低データ レートをディセーブルにして性能の低いクライアントを排除するために 40 MHz のチャネルが使用されます。

RF プロファイル 2 の AP はより低い密度の社内オフィス空間に設置されます。 これらのセル サイズはより大きく、80 MHz のチャネル幅が使用され、送信電力がより高くなります。

以前のリリースでは、次の機能が RF プロファイルでサポートされていました。
  • データ レート
  • 送信電力制御しきい値
  • 最大/最小送信電力
  • 高密度設定
    • スタート オブ パケットしきい値
    • クリア チャネル アセスメントしきい値
    • WLAN/無線機単位のクライアント制限
  • スタジアム ビジョン設定
    • マルチキャスト データ レート
  • 追加設定なしの AP 設定
  • バンド選択設定
  • ロード バランシング設定
  • カバレッジ ホール軽減設定
リリース 8.0 では、次の DCA およびトラップしきい値設定がサポートされます。
  • DCA 設定:
    • 外部 AP 干渉の回避
    • Channel Width
    • DCA チャネル リスト
  • トラップしきい値:
    • クライアント
    • Interference
    • ノイズ
    • Utilization

RF グループへのチャネル割り当て

RF グループにチャネルを割り当てることができるようになりました。 これにより、ネットワーク管理者は、DCA が AP のグループ別に選択可能なチャネルを選択できます。 管理者は、建物の 1 階で UNII-1 チャネルを使用し、2 階で UNII-2 を使用し、3 階 で UNII-3 を使用するように設定できます。

既存の RF プロファイルを編集することも、新しい RF プロファイルを作成することもできます。 [Wireless] > [RF Profile] > [Edit RF Profile Name] > [RRM] タブに移動します。

この RF プロファイルに対して設定するチャネルを選択します。


(注)  


  • 必要なチャネルを含む国番号を WLC でグローバルにイネーブル化する必要があります。 選択した国番号に含まれないチャネルをここで選択することはできません。
  • ブリッジ モード AP を使用した WLC では、複数の国番号を選択できません。
  • チャネルは、プロファイルで使用できるように、コントローラ上のグローバル DCA で選択する必要があります。
  • DCA チャネルまたは帯域幅(20/40/80)を変更するには、802.11a/b ネットワークをディセーブルにする必要があります。
  • RF プロファイルと AP グループは、RF グループ内のすべてのコントローラ上に存在する必要があります。
  • DCA チャネル感度とチャネル割り当て間隔は、グローバル WLC レベルでのみ設定されます。

RF グループへのチャネル幅の割り当て

RF グループごとに別々のチャネル幅を割り当てることができます。 これにより、ネットワーク管理者は、AP グループごとに 20/40/80 MHz のチャネル幅を選択できます。

既存の RF プロファイルを編集することも、新しい RF プロファイルを作成することもできます。 [Wireless] > [RF Profile] > [Edit RF Profile Name] > [RRM] タブに移動します。