Cisco Unified Communications システム リリース 8.x SRND
はじめに
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発行日;2012/12/18 | 英語版ドキュメント(2012/07/30 版) | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 39MB) | フィードバック

目次

はじめに

Cisco Unified Communications システムのアーキテクチャ

この設計マニュアルの使用方法

はじめに

Cisco Unified Communications システムは、標準ベースのインターネット プロトコル(IP)を使用して、単一のネットワーク インフラストラクチャ上でデータ、音声、およびビデオを伝送できるようにすることで、完全なユニファイド コミュニケーションを実現します。Cisco Unified Communications システムは、Cisco IP ハードウェアおよびソフトウェア製品によって提供されるフレームワークを利用して、企業環境における現在および今後の通信ニーズに対応する、比類のないパフォーマンスと高機能をお届けします。またこの製品ファミリは、機能を最適化し、必要な設定と保守を減らし、他のさまざまなアプリケーションとの相互運用性を提供するように設計されています。さらにこのシステムは、このような機能を提供すると同時に、ネットワークで高レベルの可用性、Quality of Service(QoS)、およびセキュリティをも適正に維持します。

Cisco Unified Communications システムには、次の主要な通信技術が内蔵および統合されています。

IP テレフォニー

IP テレフォニーとは、IP 標準を使用して、ネットワーク上で音声通信を伝送するためのテクノロジーです。Cisco Unified Communications には、呼処理エージェント、IP Phone(有線と無線の両方)、ボイス メッセージング システム、ビデオ デバイス、および多数の特殊アプリケーションなど、多彩なハードウェアおよびソフトウェア製品が含まれています。

カスタマー コンタクト センター

Cisco IP Contact Center は、グローバルに展開されたネットワークにおいて、効率的かつ効果的なカスタマー コミュニケーションを促進するための方法とアーキテクチャを組み合わせた製品です。このソリューションを利用することにより、より広範なリソースを駆使したカスタマー サービスが可能になります。たとえば、大規模なエージェント プールへのアクセス、複数のコミュニケーション手段、およびカスタマー セルフヘルプ ツールなどが用意されています。

ビデオ テレフォニー

Cisco Unified Video Advantage 製品を使用すると、Cisco Unified Communications と同じ IP ネットワークおよび呼処理エージェントを使用して、リアルタイムのビデオ通信およびコラボレーションを行うことができます。Cisco Unified Video Advantage では、電話番号をダイヤルするのと同じくらい簡単にビデオ コールを発信できます。

リッチメディア会議

Cisco Unified MeetingPlace、Cisco Unified Videoconferencing、および Cisco WebEx Software-as-a-Service は、音声、ビデオ、および Web 会議に対応した IP ベースの統合ツール セットにより、仮想的な会議環境を拡張します。

モビリティ

シスコのワイヤレスおよびモビリティ ソリューションは、ロケーションやクライアント デバイスに関係なくネットワーク リソースやアプリケーションへの安全なアクセスを可能にすることで、ユーザの生産性と応答性を高めます。

テレプレゼンス

Cisco TelePresence は、高度なビジュアル、オーディオ、そしてコラボレーション テクノロジーにより、仕事や私生活において、人と人、場所と場所をつなぎ、リアルタイムな対面式の対話を可能にします。これらのテクノロジーは、実物大の高解像度画像と空間ディスクリート オーディオによって、たとえお互いが世界の反対側にいようとも、まるで同じ部屋で会話をしているような臨場感を可能にします。

アプリケーション

シスコでは、数多くの組み込みアプリケーションを提供する以外に、最先端の企業と協力して、メッセージング、カスタマー ケア、およびワークフォース オプティマイゼーションなど、重要なビジネス ニーズに焦点を当てた革新的なサードパーティ製ユニファイド コミュニケーション アプリケーションおよび製品を種類豊富に提供しています。

このマニュアルでは、これらのテクノロジーおよびアプリケーションを Cisco Unified Communications システムに展開するための、設計上の考慮事項を中心に説明します。

Cisco Unified Communications システムのその他の要素については、次の Web サイトで入手可能なマニュアルを参照してください。

http://www.cisco.com/go/ucsrnd

http://www.cisco.com/go/unified-techinfo

Cisco Unified Communications 製品ファミリのその他のマニュアルは、次の Web サイトにもあります。

http://www.cisco.com


) このマニュアルに記載された設計指針は、エンタープライズ向けの Unified Communications ソリューションの展開を考えているお客様またはパートナーに適用されます。ホスト型または管理型の Unified Communications ソリューションに興味がある方は、http://www.cisco.com/go/hostedcollab にアクセスして詳細を確認してください。


Cisco Unified Communications システムのアーキテクチャ

図 1-1 は、Cisco Unified Communications システムのアーキテクチャ レイヤを示しています。

図 1-1 Cisco Unified Communications システムのアーキテクチャ

 

Cisco Unified Communications システムのさまざまなレイヤで、次の主要なタスクおよび役割が実行されます。

ネットワーキング

このレイヤでは、Unified Communications ネットワークの基盤が形成されます。このレイヤには、次の機能および能力を提供するコンポーネントが含まれます。

ネットワーク インフラストラクチャでは、Quality of Service(QoS)を Unified Communications アプリケーションで使用可能にすることで、冗長性と復元性を備えたネットワーク基盤が保証されます。

音声セキュリティでは、一般的なセキュリティ ポリシー、および強固でセキュアなネットワーキング基盤が Unified Communications アプリケーションに保証されます。

Unified Communications の配置モデルでは、テスト済みのモデル以外に、Unified Communications システムを配置するためのベスト プラクティスと設計ガイドラインを提供します。

IP テレフォニーの移行オプションでは、音声、ビデオ、およびコラボレーションのスタンドアロン システムから統合 Cisco Unified Communications システムへの移行を計画および着手する方法に関するガイドラインを提供します。

ネットワーキング レイヤの詳細については、「Cisco Unified Communications ネットワーキングの概要」を参照してください。

コール ルーティング

このレイヤでは、システム全体のコールの処理およびルーティングを行います。このレイヤには、次の機能および能力を提供するコンポーネントが含まれます。

呼処理エージェントでは、テレフォニー サービスとコール ルーティングの機能を提供します。

ダイヤル プランでは、ユーザが行うことができるコールのタイプを制限するために、エンドポイントの番号、ダイヤルされる番号の分析、および制限クラスを提供します。

コール アドミッション制御では、呼処理コンポーネントおよびネットワーク帯域幅の全体的なコール キャパシティに基づいて、所定の時間にネットワーク上で許可するコール数を制限することにより、ネットワーク帯域幅のオーバーサブスクリプションを回避するメカニズムを提供します。

ビデオ テレフォニー サービスでは、ビデオ エンドポイントをプロビジョニングおよび登録する機能以外に、ネットワーク上でビデオ コールを設定、ルーティング、および維持する機能を提供します。

PSTN ゲートウェイおよびプロバイダーの音声とデータ サービスでは、PSTN、インターネット、サービス プロバイダー IP ベースのトランクなど、企業外部の音声およびデータ ネットワークへのアクセスを提供します。

リモート サイトのサバイバビリティでは、ネットワーク接続の障害またはフラッピングが原因で中央サイトのテレフォニー サービスが使用できなくなった場合に、基本的なテレフォニー サービスをリモート サイトで継続して使用できるようにします。

コール ルーティング レイヤの詳細については、「Cisco Unified Communications コール ルーティングの概要」を参照してください。

呼制御

このレイヤによって、ユーザはコールを開始および管理できます。このレイヤには、次の機能および能力を提供するコンポーネントが含まれます。

中央の Lightweight Directory Access Protocol(LDAP)ディレクトリとの統合により、企業は、Unified Communications アプリケーションが利用できる単一リポジトリにすべてのユーザ情報を集中化させることができます。追加、移動、および変更が簡単であるため、保守コストも大幅に削減されます。

メディア リソースにアクセスして、会議、メディア ターミネーション、トランスコーディング、エコー キャンセレーション、シグナリング、ストリームのパケット化、オーディオのストリーミング(Annunciator)などのメディア処理機能を実行できます。

保留音では、発信者の通話が保留、転送、一時保留(コール パーク)、または ad-hoc 会議に追加されるときに、発信者に音楽(または通知)を流します。

Unified Communications のエンドポイントおよびフィーチャ セットは、IP 環境内の通常のアナログ電話をサポートするゲートウェイから、さまざまな機能をエンド ユーザに提供するネイティブ IP Phone の拡張的なセットに至るまで、多岐にわたります。

デバイス モビリティ機能により、モバイル ユーザは、エンドポイント デバイスを使用して 1 つのサイトから別のサイトにローミングし、動的に割り当てられたローミング サイトの設定を取得して、コール ルーティング、コーデックの選択、メディア リソースの選択などを実行できます。

呼制御ソフトウェアに組み込まれたアプリケーションでは、クリックツーコール ダイヤル、マネージャ アシスタント アプリケーション、ユーザによる任意の電話へのログイン機能などの機能を提供するほか、ユーザのデスクトップ電話機上で直接実行できる Web ベースのアプリケーションをサポートしています。

呼制御レイヤの詳細については、「Cisco Unified Communications の呼制御の概要」を参照してください。

アプリケーションとサービス

このレイヤには、既存の Cisco Unified Communications インフラストラクチャの最上位に配置して、システムに拡張ユーザ機能を追加できる多数のアプリケーションとサービスが含まれています。このレイヤには、次の機能および能力を提供するコンポーネントが含まれます。

ボイス メッセージングでは、ボイスメール サービスおよびメッセージ待機インジケータを提供します。

リッチ メディア会議では、音声会議とビデオ会議、および Web ベースのアプリケーションとドキュメント共有を提供します。

プレゼンス サービスでは、ユーザ デバイスおよびクライアントでのユーザの応答可能性を確認します。

モビリティ サービスでは、企業レベルの Unified Communications 機能を企業外部のユーザに提供します。

コンタクト センター アプリケーションでは、大規模コールの呼処理、キューイング、およびモニタリングを提供します。

コラボレーション クライアント サービスでは、Unified Communications サービスとの統合を提供し、さまざまなアプリケーションを活用できるようにします。

アプリケーションとサービスのレイヤの詳細については、「Cisco Unified Communications アプリケーションおよびサービスの概要」を参照してください。

運用とサービスアビリティ

このレイヤには、Unified Communications のネットワークとアプリケーションをモニタおよび管理するためのシステムレベルのサービスが含まれています。このレイヤには、次の機能および能力を提供するコンポーネントが含まれます。

ユーザとデバイスのプロビジョニング サービスは、ユーザとデバイスの集中型プロビジョニングおよび設定を Unified Communications アプリケーションおよびサービスで可能にします。

音声品質のモニタリングおよびアラートは、システム内のさまざまなコール フローをモニタして、音声品質が許容できるかどうかを判別し、音声品質が許容できない場合は、管理者に警告します。

運用と障害のモニタリングは、アプリケーションとサービスのすべての処理をモニタし、ネットワークおよびアプリケーションの障害に関して管理者に警告します。

ネットワークとアプリケーションのプローブは、配置全体のさまざまなロケーションでネットワークとアプリケーションのトラフィック情報をプローブおよび収集し、管理者がこの情報を中央ロケーションから取得できるようにします。

運用とサービスアビリティのレイヤの詳細については、「Cisco Unified Communications の運用とサービスアビリティの概要」を参照してください。


) このマニュアルでの設計上の推奨をレビューし、Cisco Borderless Network Smart Business Architecture(SBA)との一貫性が取れていることを確認しました。SBA の詳細については、シスコ担当者にお問い合わせください。


この設計マニュアルの使用方法

このマニュアルでは、Cisco Unified Communications システムを配置するための、設計上の考慮事項、ガイドライン、およびベスト プラクティスについて説明します。前の項で説明したように、Cisco Unified Communications システムのアーキテクチャは、5 つのレイヤで構成されています。このマニュアルは、これら 5 つのアーキテクチャ レイヤに対応する 5 つのパートに分かれています。このマニュアルの各パートには、対応するアーキテクチャ レイヤに関するコンポーネントおよび設計上のガイドラインを説明する章が含まれています。

適切な Unified Communications システムの構築プロセスは、家の建築に似ています。最初に安定したインフラストラクチャと基盤を確立し、その上に他のすべてのレイヤを構築する必要があります。また、他のレイヤを追加する場合は、特定の順序で行う必要があります。通常は、下から上に追加します (たとえば、家の壁を作った後、その上に屋根を作ります)。Unified Communications システムの場合は、ネットワーキング レイヤがインフラストラクチャを提供し、他のレイヤは、図 1-1 に示す順序で下から上に追加する必要があります。このマニュアルのパートおよび章は、これと同じ順序で編成されているため、Unified Communications システムを設計するための論理プロセスの確立に役立ちます。

このマニュアルの各パートの最初の章では、そのパートに含まれている情報の概要を示しています。概要には、Cisco Unified Communications システムの 5 つのアーキテクチャ レイヤの図が含まれており、このマニュアルのそのパートで説明されるレイヤが強調されています。たとえば、図 1-2 は、このマニュアルの呼制御パートの図です。呼制御レイヤは、このマニュアルのそのパートで説明するレイヤであることを示すために、異なる色で強調されています。その下のレイヤ(ネットワーキングとコール ルーティング)は、呼制御レイヤを実装する前にすでに配置されている必要があるため、強調されています。その上のレイヤ(アプリケーションとサービス、および運用とサービスアビリティ)は、現在のレイヤ(ここでは呼制御レイヤ)が配置されるまで実装できないことを示すために淡色となっています。

図 1-2 Cisco Unified Communications の呼制御アーキテクチャ

 

新しい Unified Communications システムを設計する場合は、このマニュアルに示す順序およびガイドラインに従って設計を進めることを推奨します。システムの一部のレイヤがすでに配置されており、そこに他のレイヤを追加する場合は、少なくとも、このマニュアルで既存のレイヤに関係する項を確認して、ご使用のシステムですべてのガイドラインが確実に準拠されるようにしてください。