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IPテレフォニー移行オプション
IPテレフォニー移行オプション
発行日;2012/02/06 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 10MB) | フィードバック

目次

IPテレフォニー移行オプション

段階的な移行

フラッシュ カットオーバー(ビッグバン移行)

マルチサイト企業における QSIG の必要性

要約

IPテレフォニー移行オプション

この章では、IP テレフォニー システム(または他の電話システム)に移行するための、次の主な方法について説明します。

「段階的な移行」

「フラッシュ カットオーバー(ビッグバン移行)」

どちら方法が正しいというわけではありません。お客様の状況や好みに応じて、どちらのオプションを使用するかを決めてください。

この章では、「マルチサイト企業における QSIG の必要性」についても説明します。

段階的な移行

この方法では、通常、メインの社内 PBX に接続されている小規模な初期 IP テレフォニー配置が実現されます。どのシグナリング プロトコルを選択するかは、必要な機能および実装コストによって決まります。Cisco CallManager は、一般的な公衆網タイプの PRI または QSIG PRI を提供できます。

公衆網タイプの PRI は、基本的なコール接続および Automatic Number Identification(ANI; 自動番号識別)を提供します。場合によっては、図15-1 に示しているように、このプロトコルが発信者名情報をサポートすることもあります。

図15-1 シグナリング プロトコルによってサポートされる機能

 

このレベルの接続は、すべての PBX に使用できます。つまり、Cisco CallManager を接続の「ネットワーク」側として設定できるため、PRI を介してパブリック ネットワークに接続できる PBX は Cisco CallManager に接続できます。

Cisco CallManager Release 3.3 以降では、International Standards Organization(ISO; 国際標準化機構)バリアントの QSIG が組み込まれています。QSIG プロトコルを使用すると、公衆網タイプの PRI から得られる機能に加えて、異なるベンダーの PBX 間の機能透過性を実現できます。したがって、このプロトコルは、すでに複雑なネットワークを稼働している大規模な企業に適しています(「マルチサイト企業における QSIG の必要性」を参照してください)。

公衆網タイプの PRI や QSIG でも、段階的な移行のプロセスはほぼ同じです。移行が完了するまで、加入者を一度に 1 グループずつ、グループ単位で PBX から Cisco CallManager に移動します。

約 60 個のビルディングに約 23,000 人の加入者が収容されているシスコの San Jose キャンパスでは、開始から終了まで 1 年以上かかって、この方法で IP テレフォニーに移行しました。週末ごとに 1 つのビルディングを変換しました。選択したビルディング内のすべての加入者を識別し、金曜日の晩にその内線番号を PBX から削除しました。同時に、その内線番号をダイヤルした人が正しい PRI トランクを介してルーティングされ、Cisco CallManager に転送されるように、PBX ルーティング テーブルに追加の設定を加えました。週末の間、Cisco CallManager に加入者の新しい内線番号を作成し、新しい IP Phone を適切なロケーションに配置して、月曜日の朝までに使用できるよう準備しました。すべての加入者を移行するまで、このプロセスを各ビルディングに対して繰り返しました。

フラッシュ カットオーバー(ビッグバン移行)

この方法は、完全な IP テレフォニー インフラストラクチャの実装から開始されます。完全な IP テレフォニー インフラストラクチャとは、冗長で、アベイラビリティが高く、QoS 対応のインフラストラクチャであり、インライン パワーが供給されるイーサネット ポートを装備しています。インフラストラクチャの完成後、IP テレフォニー アプリケーションを配置できます。加入者が自分のデスクに 2 台の電話機(IP Phone と PBX 電話機)を同時に置くことができるように、すべての IP Phone とゲートウェイを完全に設定および配置できます。この方法を使用すると、システムをテストする機会が得られ、加入者には新しい IP Phone に慣れるための時間が与えられます。発信専用トランクを IP テレフォニー システムに接続することもできます。これにより、加入者は、新しい IP Phone で内部コールだけではなく外部コールも発信できます。

IP テレフォニー システムを完全に配置した後、着信公衆網トランクを PBX から IP テレフォニー ゲートウェイに移動して新しいシステムの完全な運用を開始するための時間枠を選択できます。IP テレフォニー システムが正常に動作することを確信するまで PBX をそのまま残し、確信した時点で PBX を撤去することもできます。

フラッシュ カットオーバーは、段階的な移行に比べて次のような利点があります。

予期せぬ事態が発生した場合のために、フラッシュ カットオーバーでは、着信公衆網トランクを IP テレフォニー ゲートウェイから PBX に戻すだけで PBX システムに戻ることができるバックアウト計画が提供される。段階的な移行が 50% 進んでいる場合は、段階的な移行で同様の処置を試すよう検討することもできます。

フラッシュ カットオーバーでは、システムによって実際の公衆網トラフィックが伝送される前に、IP テレフォニー データベースの設定を確認できる。このシナリオは、着信公衆網トランクを PBX から IP テレフォニー ゲートウェイに移動するカットオーバー前のどれだけの期間でも実行できるため、加入者情報、電話機、ゲートウェイ、ダイヤル プランなどすべての設定が正しいことを確認できます。

着信公衆網トランクのカットオーバー前の都合のよいときに、加入者が IP テレフォニー システムを調べたり使用したりできるようにして、ゆったりとしたペースでトレーニングを実施できる。

システム管理者が「対象となるコミュニティ」に対して特別な準備をする必要がない。段階的な移行方法では、コール ピックアップ グループ、ハント グループ、シェアドラインなどの整合性を保つことを考慮する必要があります。フラッシュ カットオーバーでサイト全体を移行する場合は、これらのアソシエーションを簡単に保持できます。

フラッシュ カットオーバーの 1 つの欠点は、システムの運用開始前にシステム全体を準備しておく必要があるため、最初から IP テレフォニー ソリューションに対する完全な資金供給が必要であるということです。これに対して、段階的な移行では、必要に応じてシステムの個々のコンポーネントを購入でき、完全な配置に移行する前に、小規模な試行システムから始めることができます。

マルチサイト企業における QSIG の必要性

1 つのロケーションだけで構成されている企業もありますが、多数のサイトで構成され、その一部のサイトが遠方に散在している企業もあります。マルチサイト企業の PBX ネットワークは、通常、Avaya DCS、Nortel MCDN、Siemens CorNet、NEC CCIS、Fujitsu FIPN、Alcatel ABC などの専用プロトコルを実行している T1 トランクまたは E1 PRI トランク(ロケーションに応じて異なる)を使用して接続されています。これらの専用ネットワーキング プロトコルによって、PBX は加入者間の高レベルの機能透過性を提供できます。

QSIG は異なるベンダーの PBX の相互接続を可能にするために開発されたため、同様のレベルの機能透過性を実現できます。シスコは、まず、Cisco CallManager Release 3.3 に QSIG を追加して、Cisco CallManager を大規模企業ネットワークに導入できるようにしました(図15-2 を参照してください)。

図15-2 Cisco CallManager と PBX の間で使用される QSIG

 

Cisco CallManager Release 4.0(1) で実装された QSIG に適用される特記事項は、次のとおりです。

Cisco CallManager は、現在、エンドポイント Private Integrated Network eXchange(PINX)としてだけサポートされている。つまり、中継機能およびタンデム機能を持ちません。

Cisco CallManager Release 4.0(1) は、宛先変更、転送、および Message Waiting Indicator(MWI; メッセージ待機インジケータ)機能のサポートを追加して、以前のリリースに基づいて作成されているため、集中ボイスメール配置が可能である。

Cisco CallManager Release 4.0(1) の QSIG は、次の機能をサポートしている。

基本的なコール

Direct Inward Dialing(DID; ダイヤルイン方式)

発信番号

着信番号

接続名

転送(参加による)

メッセージ待機表示(MWI)

宛先変更(転送切り替えによる)

発信者名の制限

発信番号の制限

Cisco CallManager によって QSIG がサポートされるため、加入者間の機能透過性を保持しながら、Cisco CallManager を大規模な企業ネットワークに導入できます。いつでも都合のよいときに、PBX ロケーションを IP テレフォニーに変換できます。

ただし、PBX でまだ QSIG を有効にしていない場合、または QSIG の追加機能が特に必要でない場合は、短期間で PBX を撤廃すると、PBX のアップグレードのコストが正当化されにくくなることがあります。たとえば、2、3 か月で PBX を撤廃することを計画している場合に、PBX で QSIG を有効にするために 30,000 ドルを費やす理由はありません。

要約

どちらの移行方法も正常に機能するので、どちらの方法が正しいということはありませんが、ほとんどの場合はフラッシュ カットオーバー方法の方がうまくいきます。さらに、大規模な企業では、QSIG を使用して Cisco CallManager を企業ネットワークに導入することにより、どちらの移行方法も改良できます。