Cisco Unified IP Phone 8961/9951/9971 アドミニストレーション ガイド for Cisco Unified Communications Manager 10.0
Cisco Unified IP Phone 9971 での VoIP ワイヤレス ネットワークの設定
Cisco Unified IP Phone 9971 での VoIP ワイヤレス ネットワークの設定

Cisco Unified IP Phone 9971 での VoIP ワイヤレス ネットワークの設定

VoIP ワイヤレス ネットワークの概要

この章では、ワイヤレス対応 Cisco Unified IP Phone 9971 と、ワイヤレス ローカル エリア ネットワーク(WLAN)環境における VoIP ネットワークのその他の主要コンポーネントとの相互対話の概要について説明します。 ワイヤレス LAN に Cisco Unified IP Phone を導入する場合、Cisco Unified Communications Manager Release 7.1(3) 以降および SIP プロトコルを使用する必要があります。

一部のネットワークには、ワイヤレス コンポーネントをサポートする有線コンポーネントが含まれます。 そのような有線コンポーネントには、ワイヤレス機能を有効にする特別なモジュールを装備したスイッチ、ルータ、ブリッジなどがあります。

Cisco Unified IP Phone 9971 は、集中化されたキー管理プロトコルである Cisco Centralized Key Management(CCKM)をサポートしていて、また 802.1x+WEP または WPA(TKIP)を使用した Wireless Domain Server(WDS)についてのみセッション クレデンシャルのキャッシュを提供します。 AP は、高速ローミングが機能するために WDS に登録する必要があります。 CCKM は、Cisco Unified Wireless LAN Controller 単独でもサポートされています。 CCKM は、WPA2 または WPA(AES)をサポートしません。 CCKM の詳細については、http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​hw/​wireless/​ps4570/​prod_​technical_​reference09186a00801c5223.html にある『Cisco Fast Secure Roaming Application Note』を参照してください。

ワイヤレス Cisco Unified IP Phone 9971 の配置と設定については、http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​ps10453/​products_​implementation_​design_​guides_​list.html にある『Cisco Unified IP Phone 9971 Wireless LAN Deployment Guide』を参照してください。

Cisco Unified Wireless Network の詳細については、http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​hw/​wireless/​index.htmlを参照してください。

VoIP ワイヤレス ネットワークのコンポーネント

Cisco Unified IP Phone 9971 では、ワイヤレス音声通信を提供するために、正しい QoS のあるワイヤレス アクセス ポイント(AP)や、Cisco Unified Communications Manager の管理ページなどの主要な Cisco IP テレフォニー コンポーネントに依存していて、これらを使用して相互に対話します。 Cisco アクセス ポイントは、スタンドアロン モードまたは統合モードのいずれでも動作します。 統合モードでは、Cisco Unified Wireless LAN Controller が必要です。

Cisco Unified IP Phone 9971 には Wi-Fi 機能があり、802.11a、802.11b、および 802.11g Wi-Fi を使用できます。

次の図に、ワイヤレス IP テレフォニーのワイヤレス音声伝送を可能にする典型的な WLAN トポロジを示します。

図 1. ワイヤレス IP Phone を使用した WLAN



Cisco Unified Wireless AP 要件

AP は、ネットワークにワイヤレス リンクまたは「ホット スポット」を提供するため、WLAN の重要なコンポーネントとなっています。 Cisco Unified IP Phone は、電源が投入されると、電話機のワイヤレス アクセスがオンに設定されている場合、AP を検索し、AP に関連付けされます。 Cisco Unified IP Phone は、起動時に、認識できる SSID と暗号タイプを持つ AP をスキャンします。 この電話機は、適格な AP のリストを構築および保守し、次の変数を使用して最適な AP を決定します。

  • 受信信号強度インジケータ(RSSI):RF カバレッジ区域内で使用可能な AP の信号強度。 電話機は、最大の RSSI 値と最少のチャネル利用率の値(QBSS)を持ち、SSID と暗号化タイプが一致する AP に関連付けを持とうとします。

  • トラフィック仕様(TSpec):コール制限および WLAN ロード バランシングの計算。 各音声ストリームの TSpec 値を使用して、ファーストカム、ファーストサーブド方式に基づいて、音声デバイスに帯域幅を割り当てることができます。

AP は、2.4 GHz または 5 GHz の周波数帯域のチャネルを使用して、RF 信号を送受信します。 安定したワイヤレス環境を提供し、チャネルの干渉を減少させるために、各 AP に重複しないチャネルを指定する必要があります。 北米の 802.11b および 802.11g 用に推奨されているチャネルは、1、6、11 です。


(注)  


コントローラベース以外のワイヤレス ネットワークでは、各 AP にチャネルを静的に設定することを推奨します。 ワイヤレス ネットワークでコントローラが使用されている場合、音声の途絶を最小限に抑える Auto-RF 機能を使用してください。


AP チャネル、および規制区域の関係の詳細については、次の Web サイトの『Cisco Unified IP Phone 9971 Wireless LAN Deployment Guide』を参照してください。

http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​ps10453/​products_​implementation_​design_​guides_​list.html

AP は、有線ネットワークへの接続を使用して、スイッチとルータとの間でデータ パケットおよび音声パケットを送受信します。 音声シグナリングは、Cisco Unified Communications Manager サーバに送信され、呼処理とルーティングが行われます。

音声通信をサポートする AP は Cisco IOS Release 12.3(8)JA 以降を使用する必要があります。 Cisco IOS ソフトウェアには、音声トラフィックを管理する機能があります。 一部の WLAN では、各 AP が、LAN 上に構成された Cisco Catalyst 3750 などのイーサネット スイッチに有線接続されています。 このスイッチにより、ワイヤレス IP テレフォニーをサポートするゲートウェイや Cisco Unified Communications Manager サーバにアクセスできます。

ワイヤレス Cisco Unified IP Phone 9971 は、次のアクセス ポイントにおいて、Cisco 自律ソリューションおよび統合ソリューションの両方でサポートされています。

最低バージョンと推奨バージョンは次のとおりです。

  • Cisco IOS アクセス ポイント(Autonomous)

    • 最低 = 12.3(8)JEA2 以降

    • 推奨 = 12.4(10b)JA3 以降(Cisco Aironet シリーズ 1100、1140、1200、または 1230 には適用されません)

  • Cisco Unified Wireless LAN Controller

    • 最小 = 5.1.163.0 以降

    • 推奨 = 5.2.193.0 以降

次の表では、各 Cisco アクセス ポイントでサポートされるモードを示します。

表 1 サポートされている AP およびモード

AP モデル

802.11b

802.11g

802.11a

自律モード

統合モード

Cisco Aironet 500 シリーズ

Yes

Yes

いいえ(No)

Yes

Yes

Cisco Aironet 1100 シリーズ

Yes

Yes

いいえ(No)

Yes

Yes

Cisco Aironet 1130 AG シリーズ

Yes

Yes

Yes

Yes

Yes

Cisco Aironet 1140 シリーズ

Yes

Yes

Yes

Yes

Yes

Cisco Aironet 1200 シリーズ

Yes

Yes

オプション

Yes

Yes

Cisco Aironet 1230 AG シリーズ

Yes

Yes

Yes

Yes

Yes

Cisco Aironet 1240 AG シリーズ

Yes

Yes

Yes

Yes

Yes

Cisco Aironet 1250 シリーズ

Yes

Yes

Yes

Yes

Yes

Cisco Aironet 1300 シリーズ

Yes

Yes

いいえ(No)

Yes

Yes

Cisco Unified IP Phone は、ワイヤレス データ デバイスとして同じ AP を使用します。 ただし、WLAN の音声トラフィックには、データ トラフィック専用の WLAN とは異なる機器の設定とレイアウトが必要です。 データ伝送では、音声伝送よりも高いレベルの RF ノイズ、パケット損失、およびチャネル コンテンションに耐えることができます。 音声伝送時のパケット損失では、不安定な音声や途切れた音声によって結果的に通話が聞き取れなくなる可能性があります。 パケット エラーにより、ビデオにブロック ノイズが発生したり、ビデオがフリーズしたりすることもあります。

Cisco Unified IP Phone 9971 はデスクトップ電話機なので(携帯電話ではない)、ローカル環境の変化により、電話機でアクセス ポイント間のローミングが発生して、音声およびビデオ パフォーマンスに影響が出る可能性があります。 これとは対照的に、データ ユーザは一箇所に留まって、ときどき別の場所に移動します。 コールを保持しながらローミングが可能であることは、ワイヤレス音声の 1 つの利点です。そのため、RF カバレッジには、吹き抜け、エレベータ、会議室の外にある人気のない場所、通路などを含める必要があります。

Cisco Unified IP Phone 9971 は、屋外 MESH テクノロジー(Cisco 1500 シリーズ)を介した Voice over the Wireless LAN(VoWLAN)をサポートしていません。

相互運用性のテストを行っていないため、サードパーティ ベンダー製のアクセス ポイントはサポートされていません。 ただし、そのアクセス ポイントが主要な機能をサポートしていて規格に準拠している場合、Cisco Unified Wireless IP Phone は対応します。

サードパーティ ベンダー製の Wi-Fi 準拠 AP は、Cisco Unified Wireless IP Phone 9971 で機能しても、Wi-Fi MultiMedia(WMM)、Unscheduled Auto Power Save Delivery(U-APSD)、トラフィック仕様(TSPEC)、QoS Basic Service Set(QBSS)、ダイナミック伝送パワー コントロール(DTPC)、またはプロキシ ARP などの主要な機能をサポートしない場合もあります。

AP 認証および暗号化のオプション

認証方式と暗号化方式は、ワイヤレス LAN 内で設定されます。 VLAN は、ネットワーク内および AP 上で設定され、認証と暗号化の異なる組み合わせを指定します。 SSID は、VLAN と VLAN の特定の認証および暗号化方式に関連付けられます。 ワイヤレス クライアント デバイスを正常に認証するには、認証および暗号化方式で使用する SSID と同じ SSID を AP と Cisco Unified IP Phone に設定する必要があります。

一部の認証方式では、特定のタイプの暗号化が必要です。 オープン認証では、セキュリティを高めるために、暗号化で静的 WEP を使用できます。 ただし、共有キー認証を使用している場合は、暗号化に静的 WEP を設定し、電話機で WEP キーを設定する必要があります。

Cisco Unified IP Phone に Authenticated Key Management(AKM)を使用する場合は、認証と暗号化の方式に対する複数の選択肢を、異なる SSID を持つ AP で設定できます。 電話機は、認証を試みるときに、電話機でサポートする認証および暗号化方式を通知する AP で設定できます。 Auto(AKM)モードでは、WPA、WPA2、WPA 事前共有キー、または CCKM を使用して認証できます。


(注)  


  • WPA 事前共有キーまたは WPA2 事前共有キーを使用する場合、その事前共有キーを電話機で静的に設定する必要があります。 これらのキーは、AP に存在するキーと一致している必要があります。
  • Auto(AKM)モードを使用している場合、WPA、WPA2、WPA 事前共有キー、WPA2 事前共有キー、または CCKM の暗号化オプションは自動的に設定されます。

  • AKM モードでは、WPA、WPA2、または CCKM キー管理を使用するように設定されている場合、または 802.1x が使用されている場合、電話機は LEAP を使用して認証されます。

  • Cisco Unified IP Phone は、自動 EAP ネゴシエーションをサポートしていません。EAP-FAST モードを使用するには、EAP-FAST モードを指定する必要があります。


次の表に、Cisco Unified IP Phone がサポートしている Cisco Aironet AP で設定される認証方式と暗号化方式のリストを示します。 表には、AP の設定に対応する電話機のネットワーク設定オプションを示します。

表 2 認証方式と暗号化方式

Cisco AP の設定

Cisco Unified IP Phone の設定

認証

キー管理

共通の暗号化

認証

オープン(Open)

なし

オープン(Open)

オープン(静的 WEP)(Open (Static WEP))

WEP

オープン+WEP(Open+WEP)

共有キー(静的 WEP)(Shared key (Static WEP))

WEP

共有+WEP(Shared+WEP)

LEAP

802.1x

オプションの CCKM

WEP

LEAP または自動(AKM)(Auto (AKM))

LEAP

WPA

WPA(オプションで CCKM を使用)

TKIP

LEAP または自動(AKM)(Auto (AKM))

LEAP

WPA2

WPA2

AES

LEAP または自動(AKM)(Auto (AKM))

EAP-FAST

802.1x

オプションの CCKM

WEP

EAP-FAST

WPA を使用した EAP-FAST

WPA

オプションの CCKM

TKIP

EAP-FAST

WPA2 を使用した EAP-FAST

WPA2

AES

EAP-FAST

WPA-PSK

WPA-PSK

TKIP

自動(AKM)(Auto (AKM))

WPA2-PSK

WAP2-PSK

AES

自動(AKM)(Auto (AKM))

シスコの WLAN セキュリティの詳細については、http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​hw/​wireless/​ps430/​prod_​brochure09186a00801f7d0b.html を参照してください。

認証方式と暗号化方式を AP に設定する方法の詳細については、次の URL で入手可能なご使用のモデルおよびリリースの『Cisco Aironet Configuration Guide』を参照してください。

http:/​/​www.cisco.com/​cisco/​web/​psa/​configure.html?mode=prod&level0=278875243

ワイヤレス音声品質に関する考慮事項

優れた音声品質と最適な RF 信号カバレッジを確保するために、サイトの調査を実行する必要があります。 サイトの調査により、ワイヤレス音声に適した設定が決定されます。またサイトの調査は、AP の位置、電力レベル、チャネル割り当てなど、WLAN の設計とレイアウトに役立ちます。

WLAN 通信では、次の無線周波数(RF)範囲が使用されます。

  • 2.4 GHz:2.4 GHz を使用する多くのデバイスは、潜在的に 802.11b/g 接続と干渉を起こすおそれがあります。 干渉によってサービス拒否(DoS)シナリオが発生する可能性があり、正常な 802.11 伝送を妨害するおそれがあります。

  • 5 GHz:この範囲は、Unlicensed National Information Infrastructure(UNII)周波数帯と呼ばれる複数の帯域に分割され、各帯域には 4 つのチャネルがあります。 重複しないチャネル、および 2.4 GHz よりも多くのチャネルを提供するため、各チャネルに 20 MHz ずつ割り当てられます。

北米の 802.11b および 802.11g 用に推奨されているチャネルは、1、6、11 です。


(注)  


コントローラベース以外のワイヤレス ネットワークでは、各 AP にチャネルを静的に設定することを推奨します。 ワイヤレス ネットワークでコントローラが使用されている場合、音声の途絶を最小限に抑える Auto-RF 機能を使用してください。


ワイヤレス音声を導入し、使用できるようにした後も、引き続き設置後のサイトの調査を実施する必要があります。 新規ユーザ グループの追加、機器の追加設置、または大量のインベントリのスタックを行うと、ワイヤレス環境が変化します。 設置後の調査で、AP のカバレッジがそれまでと同様に最適な音声通信にとって十分であるかを検証します。

ワイヤレス音声 QoS 要件

ワイヤレス LAN の音声トラフィックは、データ トラフィックの場合と同様に、遅延、ジッター、およびパケット損失の影響を受けます。 これらの問題は、データのエンド ユーザには影響しませんが、音声コールに重大な影響を及ぼすことがあります。 音声トラフィックが、遅延やジッターの少ない、適時の信頼できる処理を確実に受けられるようにするには、Quality of Service(QoS)を使用して、音声とデータを個別の仮想 LAN(VLAN)を使用する必要があります。 音声トラフィックを別の VLAN に分離することにより、QoS を使用して、音声パケットがネットワーク上を移動するときに優先度の高い処理を提供することができます。 また、データ トラフィックの場合は、通常すべてのネットワーク デバイスが使用するデフォルト ネイティブ VLAN ではなく、個別の VLAN を使用してください。

WLAN での音声接続をサポートするネットワーク スイッチと AP に、次の VLAN を構成する必要があります。

  • ボイス VLAN:ワイヤレス IP Phone との間で送受信される音声トラフィック

  • ネイティブ VLAN:その他のワイヤレス デバイスとの間で送受信されるデータ トラフィック

ボイス VLAN とデータ VLAN には個別の SSID を割り当てます。 WLAN で別の管理 VLAN を構成する場合は、SSID を管理 VLAN に関連付けしないでください。

電話機をボイス VLAN に分離し、より高い QoS を音声パケットに割り当てることで、音声トラフィックがデータ トラフィックよりもプライオリティの高い処理を確実に受けるようにできます。その結果、パケットの遅延や損失パケットを低下させることができます。

専用帯域幅を持つ有線ネットワークとは異なり、ワイヤレス LAN では、QoA の実装時にトラフィックの方向を考慮します。 次の図に示すように、トラフィックは AP からみて、アップストリームかダウンストリームに分類されます。

図 2. ワイヤレス ネットワークでの音声トラフィック



Cisco IOS release 12.2(11)JA 以降、Cisco Aironet AP は Enhanced Distributed Coordination Function(EDCF)と呼ばれるコンテンションベースのチャネル アクセス メカニズムをサポートしています。 EDCF タイプの QoS には、ダウンストリーム(802.11b/g クライアント方向)QoS 用に最大 8 つのキューがあります。 キューは次のオプションに基づいて割り当てることができます。

  • パケットの QoS または DiffServ コード ポイント(DSCP)設定

  • レイヤ 2 またはレイヤ 3 アクセス リスト

  • 特定のトラフィックの VLAN

  • デバイスの動的登録

AP で最大 8 つのキューを設定できますが、可能な限り高い音声 QoS を保障するため、音声トラフィックに使用するキューは 2 つだけに留める必要があります。 音声(RTP)トラフィックとシグナリング(SIP)トラフィックを最高プライオリティ キューに入れ、データ トラフィックをベストエフォート キューに入れます。 802.11b/g EDCF では音声トラフィックがデータ トラフィックから保護される保証はありませんが、このキューイング モデルを使用することで、統計的に最高の結果が得られます。


(注)  


Cisco Unified IP Phone は、シグナリング パケットに DSCP 値 24(CS3)をマークし、RTP パケットに DSCP 値 46(EF)をマークします。


非決定性環境での音声伝送の信頼性を改善するため、Cisco Unified IP Phone は IEEE 802.11e 業界規格をサポートし、Wi-Fi Multimedia(WMM)に対応しています。 WMM は、音声、ビデオ、ベストエフォート データ、およびその他のトラフィックの差別化サービスを可能にします。 ただし、これらの差別化サービスが音声パケットに十分な QoS を提供するために、一度に 1 つのチャネルで一定量の音声帯域幅だけが使用可能または許可されています。 ネットワークが予約済み帯域幅で処理可能なボイスコールが「N」個で、音声トラフィックの量がこの制限を超えた(N+1 個のコール)場合、すべてのコールの品質が低下します。

VoIP の安定性とローミングの問題に対処するには、初期コール アドミッション制御(CAC)方式が必要です。 CAC は、アクティブな音声コールが AP に設定された制限を超過しないように保証することで、ネットワークが過負荷の場合でも QoS を維持します。 Cisco Unified IP Phone は、レイヤ 2 TSpec アドミッション コントロールとレイヤ 3 Cisco Unified Communications Manager アドミッション コントロール(RSVP)を統合できます。 ネットワークが輻輳している間、発信側と着信側は、ファースト ビジー インジケータを受け取ります。 システムは、AP がフル キャパシティの場合でも、ワイヤレス電話クライアントが隣接 AP へローミングできる程度の帯域幅の予約を維持します。 音声帯域幅制限に達した後、次のコールは、チャネル上の既存のコールの品質に影響を与えずに、隣接 AP に負荷分散されます。

良好な音声品質を維持するために、接続されたイーサネット スイッチに QoS を実装することを推奨します。 Cisco Unified IP Phone が設定した COS および DSCP 値は、変更する必要はありません。


(注)  


ローミング中にはパケット損失が発生します。しかし、セキュリティ モードおよび高速ローミングの存在により、伝送中のパケット損失数が決まります。


ワイヤレス ネットワークにおける音声 QoS の詳細については、http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​ps10453/​products_​implementation_​design_​guides_​list.html にある『Cisco Unified IP Phone 9971 Wireless LAN Deployment Guide』を参照してください。


(注)  


Cisco Unified IP Phone 9971 はビデオ CAC をサポートしていませんが、WLAN の音声 CAC はサポートしています。


サポートされるアンテナ

一部の Cisco アクセス ポイントでは、外部アンテナが必要であるか、使用可能です。 サポートされているアンテナのリストと、外部アンテナの取り付け方法については、次の URL を参照してください。

http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​prod/​collateral/​wireless/​ps7183/​ps469/​product_​data_​sheet09186a008008883b.html


(注)  


全方位アンテナを搭載しているため、Cisco Aironet シリーズ 1130 および 1140 アクセス ポイントは天井に取り付ける必要があります。


WLAN 通信の 802.11 規格

ワイヤレス LAN は、すべてのイーサネットベースのワイヤレス トラフィックの基準となるプロトコルを定義する電気電子学会(IEEE)802.11 規格に従う必要があります。 Cisco Unified IP Phone は、次の規格をサポートしています。

  • 802.11a:5 GHz 周波数帯を使用して OFDM テクノロジーを使用することで、より多くのチャネルを提供し、データ レートを向上させます。 Dynamic Frequency Selection(DFS)および伝送パワー制御(TPC)は、この規格をサポートしています。

  • 802.11b:低データ レート(1、2、5.5、11 Mbps)でデータの送信と受信の両方で 2.4 GHz の無線周波数(RF)を指定します。

  • 802.11d:アクセス ポイントが、現在サポートされている無線チャネルおよび送信電力レベルを通知できるようにします。 802.11d が有効なクライアントは、その情報を使用して使用するチャネルと電力を決定します。 Cisco Unified IP Phone 9971 は、指定の国で法的に許可されたチャネルを判別するためにワールド モード(802.11d)が必要です。 サポートされているチャネルについては、次の表を参照してください。 Cisco IOS アクセス ポイントまたは Cisco Unified Wireless LAN Controller で 802.11d が適切に設定されていることを確認してください。

  • 802.11e:Quality of Service(QoS)。

  • 802.11g:802.11b と同じ免許不要の 2.4 GHz 周波数帯を使用します。ただし、直交周波数分割多重方式(OFDM)テクノロジーを使用することで、データ レートを高め、より高いパフォーマンスを提供します。 OFDM は、RF を使用して信号を伝送するための物理層の符号化テクノロジーです。

  • 802.11h:5 GHz スペクトラムと伝送電力管理。

  • 802.11i:セキュリティ。

部品番号

帯域範囲

使用可能なチャネル

5 GHz チャネル セット

CP-9971-K9

2.412 ~ 2.484 GHz

5.180 ~ 5.240 GHz

5.260 ~ 5.320 GHz

5. 500 ~ 5.700 GHz

5.745 ~ 5.805 GHz

13(日本では 14)

4

4

11

4

UNII-2

UNII-2

UNII-2 拡張

UNII-3


(注)  


802.11j(チャネル 34、38、42、46)およびチャネル 165 はサポートされていません。


ワールド モード(802.11d)

Cisco Unified IP Phone 9971 をワールド モードで使用している場合、ワールド モード(802.11d)を有効にする必要があります。 Cisco Unified IP Phone 9971 は、802.11d を使用して、使用するチャネルおよび伝送パワーを決定し、関連付けされたアクセス ポイントからクライアント設定を継承します。


(注)  


周波数が 2.4 GHz で現在のアクセス ポイントがチャネル 1 ~ 11 で送信中である場合必ずしもワールド モード(802.11d)を有効にする必要はありません。


すべての国でこれらの周波数はサポートされているため、ワールド モード(802.11d)をサポートしているかどうかに関係なくこれらのチャネルのスキャンを試行できます。 2.4GHz をサポートしている国については、http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​ps10453/​products_​implementation_​design_​guides_​list.html にある『Cisco Unified IP Phone 9971 Wireless LAN Deployment Guide』を参照してください。

アクセス ポイントが設置されている国に応じて、ワールド モード(802.11d)を有効にします。 ワールド モードは、Cisco Unified Wireless LAN Controller に対して自動的に有効になります。

Cisco Autonomous Access Point の場合は、次のコマンドを使用してワールド モードを有効にする必要があります。

  • Interface dot11radio X

  • world-mode dot11d country US both

Cisco Unified IP Phone 9971 は、次の国をサポートしています。

アルゼンチン(AR)

インド(IN)

ポーランド(PL)

オーストラリア(AU)

インドネシア(ID)

ポルトガル(PT)

オーストリア(AT)

アイルランド(IE)

プエルトリコ(PR)

ベルギー(BE)

イスラエル(IL)

ルーマニア(RO)

ブラジル(BR)

イタリア(IT)

ロシア連邦(RU)

ブルガリア(BG)

日本(JP)

サウジアラビア(SA)

カナダ(CA)

韓国(KR/KP)

シンガポール(SG)

チリ(CL)

ラトビア(LV)

スロバキア(SK)

コロンビア(CO)

リヒテンシュタイン(LI)

スロベニア(SI)

コスタリカ(CR)

リトアニア(LT)

南アフリカ(ZA)

キプロス(CY)

ルクセンブルク(LU)

スペイン(ES)

チェコ共和国(CZ)

マレーシア(MY)

スウェーデン(SE)

デンマーク(DK)

マルタ(MT)

スイス(CH)

エストニア(EE)

メキシコ(MX)

台湾(TW)

フィンランド(FI)

モナコ(MC)

タイ(TH)

フランス(FR)

オランダ(NL)

トルコ(TR)

ドイツ(DE)

ニュージーランド(NZ)

ウクライナ(UA)

ジブラルタル(GI)

ノルウェー(NO)

アラブ首長国連邦(AE)

ギリシャ(GR)

オマーン(OM)

イギリス(GB)

香港(HK)

パナマ(PA)

アメリカ合衆国(US)

ハンガリー(HU)

ペルー(PE)

ベネズエラ(VE)

アイスランド(IS)

フィリピン(PH)

ベトナム(VN)

802.11 のデータ レート、送信電力、範囲、およびデシベル許容値

次の表に、801.11 規格別の送信(Tx)電力キャパシティ、データ レート、範囲(フィート単位とメートル単位)、および受信機によって許容されるデシベル値を示します。

表 3 規格別の送信出力(Tx Power)、データ レート、範囲、およびデシベル値

標準(Standard)

最大 Tx Power(注 1 を参照)

データ レート(注 2 を参照)

範囲

受信感度

802.11a

16 dBm

6 Mbps

604 フィート(184 m)

-91 dBm

9 Mbps

604 フィート(184 m)

-90 dBm

12 Mbps

551 フィート(168 m)

-88 dBm

18 Mbps

545 フィート(166 m)

-86 dBm

24 Mbps

512 フィート(156 m)

-82 dBm

36 Mbps

420 フィート(128 m)

-80 dBm

48 Mbps

322 フィート(98 m)

-77 dBm

54 Mbps

289 フィート(88 m)

-75 dBm

802.11g

16 dBm

6 Mbps

709 フィート(216 m)

-91 dBm

9 Mbps

650 フィート(198 m)

-90 dBm

12 Mbps

623 フィート(190 m)

-87 dBm

18 Mbps

623 フィート(190 m)

-86 dBm

24 Mbps

623 フィート(190 m)

-82 dBm

36 Mbps

495 フィート(151 m)

-80 dBm

48 Mbps

413 フィート(126 m)

-77 dBm

54 Mbps

394 フィート(120 m)

-76 dBm

802.11b

17 dBm

1 Mbps

1,010 フィート(308 m)

-96 dBm

2 Mbps

951 フィート(290 m)

-85 dBm

5.5 Mbps

919 フィート(280 m)

-90 dBm

11 Mbps

902 フィート(275 m)

-87 dBm


(注)  


  1. AP クライアントの設定が有効である場合、AP との関連付けを行うときに動的に調整します。

  2. AP の通知するレートが使用されます。 データ レート制限機能が Cisco Unified Communications Manager の管理ページの電話機の設定で有効になっている場合は、Traffic Stream Rate Set IE(CCX V4)が使用されます。


WLAN でサポートされているデータ レート、Tx power、および受信機の感度の詳細については、次の Web サイトの『Cisco Unified IP Phone 9971 Wireless LAN Deployment Guide』を参照してください。

http:/​/​www.cisco.com/​en/​US/​products/​ps10453/​products_​implementation_​design_​guides_​list.html

ワイヤレス変調テクノロジー

ワイヤレス通信では、シグナリングに次の変調テクノロジーが使用されます。

ダイレクト シーケンス スペクトラム拡散方式(DSSS)

信号を周波数範囲または帯域幅に分散することで、干渉を防止しています。 DSSS テクノロジーは、データの塊を複数の周波数上に多重化し、複数のデバイスが干渉を受けずに通信できるようにします。 各デバイスは、そのデバイスのデータ パケットを識別する特殊なコードを持ち、その他のデータ パケットはすべて無視されます。 Cisco ワイヤレス 802.11b/g 製品は、WLAN 上の複数のデバイスをサポートするために DSSS テクノロジーを使用しています。

直交周波数分割多重方式(OFDM)

RF を使用して信号を伝送します。 OFDM は、物理層の符号化テクノロジーで、1 つの高速データ キャリアを複数のより低速なキャリアに分割し、RF スペクトラムを経由してそれらを並行して伝送します。 802.11g および 802.11a で使用した場合、OFDM は最大 54 Mbps のデータ レートをサポートします。

次の表に、データ レート、チャネル数、および変調テクノロジーを規格別に比較したものを示します。

表 4 IEEE 規格別のデータ レート、チャネル数、および変調テクノロジー

項目

802.11b

802.11g

802.11a

データ レート

1、2、5.5、11 Mbps

6、9、12、18、24、36、48、54 Mbps

6、9、12、18、24、36、48、54 Mbps

重複しないチャネル

3(日本では 4 チャネルを使用)

3

最大 23

ワイヤレス変調

DSSS

OFDM

OFDM