MGX/SES 製品 PNNI ネットワーク プランニング ガイド
PNNI の概要
PNNI の概要
発行日;2012/01/12 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf | フィードバック

目次

PNNI の概要

シングル ピア グループ

階層 PNNI ネットワーク

ピア グループ リーダー

境界ノード

階層 PNNI ネットワークの利点

AINI による PNNI インターネットワーキング

IISP による PNNI インターネットワーキング

PNNI の概要

Private Network-to-Network Interface(PNNI; プライベート ネットワーク間インターフェイス)は、ATM ネットワーク トポロジの検出、トポロジ情報データベースの作成、検出したトポロジ上の呼ルーティングに使用するネットワーク プロトコル群です。PNNI ネットワークは、プランニングが適切であれば、ATM ネットワークへの接続を手作業で設定するよりも、はるかに簡単かつ迅速に設定できます。トポロジの検出と呼ルーティングに Portable Auto Routing(PAR)を使うこともできますが、PAR は独自仕様のプロトコルです。PNNI は標準に基づくプロトコルであり、他ベンダー製のスイッチとの相互運用が可能で、PAR よりはるかに多くのネットワーク スイッチをサポートしています。

PNNI ネットワーク プランニングの際は、まず次の一般的なネットワークトポロジのどれかを選択します。

シングル ピア グループ

階層 PNNI ネットワーク

AINI による PNNI インターネットワーキング

IISP による PNNI インターネットワーキング

ここでは、このトポロジの概要を説明し、次のスイッチを使用してこのようなトポロジを構成する方法を説明します。

リリース 2.0 以降のソフトウェアが稼働する Cisco MGX 8850

リリース 2.1.60 以降のソフトウェアが稼働する Cisco MGX 8950

SES リリース 1.0 以降のソフトウェアが稼働する Cisco BPX 8600 および Cisco Service Expansion Shelf(SES; サービス拡張シェルフ)

シングル ピア グループ

シングル ピア グループ トポロジは PNNI ネットワークのひとつで、すべてのノードが他のノードと PNNI ネットワーク情報を共有します。各ノードは、シングル ピア グループ ネットワーク内にあるので、残り全部のノードの情報を取得し、それ以外のノードが新規ノードについて情報を取得します。どのノードも、シングル ピア グループ内の残りの全ノードへのルートを決定できます。 図 1-1 に、シングル ピア グループ トポロジの例を示します。

図 1-1 シングル ピア グループ トポロジの例

 

 

シングル ピア グループ トポロジは最も設定が簡単です。通信はすべて同じピア グループ内のノード間で行われるので、他のピア グループや他の種類のネットワークとの接続を設定する必要はありません。ネットワークを公衆ネットワークに接続しない場合は、ほとんどの PNNI の設定をデフォルトのまま使用できます。

このマニュアルで説明しているシスコのスイッチは、シングル ピア グループ内の 160 から 255 のノードをサポートします。シスコのスイッチの仕様は 第 2章「相互運用性とパフォーマンスのプランニング」 表 2-1 を参照してください。

シングル ピア グループの大きさは、PNNI データベースとそれを維持するのに必要な処理リソースによって部分的に制限されます。ピア グループが大きくなるにしたがって、ノード内の PNNI データベースが大きくなり、PNNI 処理に必要なリソースも増えます。ネットワークの大きさが各ネットワーク ノードの能力を超える場合には、シングル ピア グループのネットワークを他のネットワークに接続して、次の種類のトポロジを構築できます。

階層 PNNI ネットワーク

AINI による PNNI インターネットワーキング

IISP による PNNI インターネットワーキング

階層 PNNI トポロジでは、複数の PNNI ピアグループが相互に通信できるので、ネットワーク全体の規模が大きくなります。ATM Inter-Network Interface(AINI; ATM インターネットワーク インターフェイス)プロトコルおよび Interim Inter-Switch Protocol(IISP)プロトコルを使用すると、私設の PNNI ネットワークを他の私設または公衆の PNNI ネットワークに接続できます。AINI プロトコルおよび IISP プロトコルによりネットワーク間の通信ができますが、プライバシーは保護され、各ネットワーク内のネットワーク データベースはそのネットワーク専用になります。

階層 PNNI ネットワーク

階層 PNNI ネットワークは、複数の PNNI ピア グループを相互接続して、大規模なネットワークを形成するトポロジです。1 つのネットワークでのピア グループ数の理論的な限度は、2 104 (13 バイト × 8 ビット + 104)です。このマニュアルに記載のシスコ製スイッチは、1 つのネットワーク内で最大 32 のピア グループをサポートしています(シスコ製スイッチの仕様は、 第 2章「相互運用性とパフォーマンスのプランニング」 表 2-1 を参照してください)。サポートされるピア グループの数に、ピア グループごとのノード数の推奨限度数である 160 を掛ければ、PNNI では PAR の制限を超えて拡張できることがわかります(32 × 160 = 5120)。 図 1-2 に、複数のピア グループを相互接続した階層 PNNI ネットワーク トポロジの例を示します。


) 階層 PNNI ネットワークは、リリース 2.1.60 より前の Cisco MGX 8850 スイッチと、リリース 1.1.60 より前の SES PNNI コントローラではサポートされません。


図 1-2 複数のピア グループで構成される階層 PNNI ネットワークトポロジの例

 

 

 

図 1-1 のシングル ピア グループと 図 1-2 の階層 PNNI ネットワークの唯一の違いは、ノードのグループ化です。グループ化することで、各ピア グループ内のノードの PNNI データベースが小さくなり、各ノード上の PNNI 処理要件も軽減されます。グループ化を行うことで、グループにノードを追加できるようになります。

図 1-3 に、複数ピア グループの PNNI ネットワークが階層 PNNI ネットワークと呼ばれる理由を示します。

図 1-3 2 階層の階層 PNNI ネットワーク トポロジの例

 

階層 PNNI ネットワークでは、論理的なレベルを使用して PNNI データベースの各部を管理します。このデータベースには、各ピア グループ間の通信パスが格納されています。ピア グループ内部では、すべてのノードが、そのピア グループ内の残りすべてのノードへの通信パスが格納された PNNI データベースを維持しています。ただし、ピア グループの各ノードは、残りすべてのピア グループと通信するための PNNI データは保持していません。代わりに、PNNI はネットワーク データベース全体を管理可能な単位に分割し、ピア グループ間の通信を記述する部分は、最下位のピア グループの上のレベルで動作する論理ノードが管理します。

たとえば、図 1-3 中のピア グループ 1~5 はシングル ピア グループとして動作し、それぞれのピアグループ用の PNNI データを格納しています。この例では、ピア グループ 1~5 はレベル 56 で、別のピア グループがレベル 40 で動作しています。レベル 56 のピア グループのノードには、他のピア グループの PNNI データは格納されません。代わりに、レベル 40 にある論理ノードの 1 つが各ピア グループを代表し、レベル 40 にある他の論理ノードとやり取りして、他のピア グループと通信する方法を学習します。ピア グループ 1 のノードがピア グループ 5 のノードと通信する必要がある場合、レベル 40 にあるピア グループ 1 の代表ノードを参照します。代表ノードは、ノードが呼を確立するのに必要な情報を提供します。

以降、PNNI 階層の上位レベルで動作するピア グループ リーダーと、ピア グループ同士をつなぐ境界ノードについて説明します。

ピア グループ リーダー

Peer Group Leader(PGL; ピア グループ リーダー)とは、自身のピア グループと他のピア グループとの間の通信を管理するノードです。各 PGL はピア グループ データを収集し、上位レベルの Logical Group Node(LGN; 論理グループ ノード)に渡します。LGN はピア グループの代表で、階層の中で親のレベルにあります。また PGL は、親レベルにある他のピア グループの情報を LGN から収集します。あるノードが自身のピア グループの外部と通信する必要がある場合、リモート ピア グループへの通信パスをピア グループ リーダーに照会します。

ネットワーク管理者は、設定コマンドを使用して PGL にするノードを制御できます。設定では、ピア グループ内の各ノードに PGL 選出優先度を割り当てます。PNNI ノードが起動すると、選出が行われ、どのノードの PGL 選出優先度が最も高いかが調べられ、そのノードが PGL になります。PGL ノードに障害が発生すると、運用ノードの間で再度選出が行われ、新しい PGL が決まります。各ピア グループには、ピア グループ リーダーは 1 つしか存在しません。

上位レベルのピア グループは、そのすぐ下のレベルのピア グループを代表する LGN で構成されます。LGN は、代表しているピア グループと通信するのに必要な情報を収集して管理しています。最下位のレベルと同様に、これら LGN も 1 台の PGL を選出します。この PGL には、そのピア グループの中に代表がいない PNNI グループへの通信パスを決める役割があります。


) ネットワークワーク管理者は、addpnni-node コマンドを使用して LGN を追加することで、上位レベルを追加します。PGL 選定優先度を設定するには、コマンド cnfpnni-election を使用します。


PNNI ノードの作業負荷に PGL タスクが追加されます。PGL はピア グループの外部と通信するためのデータだけでなく、ピア グループ内の通信のためのデータも収集して管理する必要があります。PGL タスクが PNNI ノードの作業負荷に追加されるので、設計の際ピア グループ リーダー(および バックアップ ピア グループ リーダー)は慎重に選出する必要があります。ピア グループ リーダーとなるスイッチのトラフィックの負荷を減らすようにし、境界ノードはピア グループ リーダーにしないようにします。

境界ノード

境界ノードとは、PNNI ピア グループに参加し、他のピア グループとのリンクを持っているノードのことです。境界ノードは、1 つのピアグループにしか属することができません。ピア グループ内の他のノードへのリンクは 内部リンク と呼ばれ、他のピア グループのノードへのリンクは 外部リンク と呼ばれます。境界ノードは、内部リンクと外部リンクの両方を持つように設定されたノードです。

PNNIは、PNNI リンクの両端の PNNI ピア グループ ID を調べて、あるノードが境界ノードかどうかを自動的に判断します(PNNI ピアグループ ID については、 第 3章「アドレスと非公開ユーザ グループのプランニング」 の「 PNNI ピア グループ IDの選択 」を参照してください)。ピア グループ ID が違っている場合、各ノードはそれぞれのピア グループの境界ノードです。

ピア グループ リーダーと同様に、境界ノードは最下位のノード上で動作する独立したソフトウェア プロセスで、システムリソースを消費します。境界ノードをプランニングする場合は、ピア グループ内部のトラフィックを境界ノード経由でルーティングしないようにして、ピア グループに出入りするトラフィックをサポートするための処理リソースをより多く境界ノードに残しておくようにします。

階層 PNNI ネットワークの利点

階層 PNNI ネットワークの主な利点はスケーラビリティです。単一 ピア グループ ネットワークのノード数は 255 に制限されますが、階層ネットワークではいくらでもサポートできます。

100 ノードに満たないネットワークでは、通常はシングル ピア グループのほうが階層ネットワークよりもパフォーマンスが良くなります。送信元のノードがすべてのルートを知っており、その中から最適なルートを決定できるからです。階層ネットワークでは、ピア グループ間で呼をルーティングする上位レベルのプロセスは、ピア グループの構造を知っていますが、ピア グループ内部で利用できるルートについては知りません。階層ネットワークは常に呼の要件に従いますが、必ずしも最適なルートに呼をルーティングするとは限りません。

AINI による PNNI インターネットワーキング

ATM Inter-Network Interface(AINI; ATM インターネットワーク インターフェイス)は業界標準のプロトコルで、異なる PNNI ネットワーク間のスタティック ルーティングを可能にします。AINI では、アドバタイズされるのは、AINI リンク上に手動で設定された ATM アドレスとアドレス グループだけです。したがって、PNNI リンクと比較して手動で設定するためのコストが高くなります。AINI では、AINI リンク上のすべての PNNI アドバタイズメントがブロックされ、ネットワーク セキュリティと独立性が確保されます。通常 AINI は、2 つの独立したネットワーク間での通信の選択を可能にするために使用します。たとえば、2 つの企業を結んだり、企業とサービス プロバイダー間を結んだりするのに使用します。 図 1-4 に、AINI を使用した PNNI ネットワーキングの例を示します。


) リリース 2.1.60 より前の Cisco MGX 8850 スイッチと、リリース 1.1.60 より前の SES PNNI コントローラでは AINI ネットワーキングはサポートされません。


図 1-4 AINI トポロジによる PNNI インターネットワーキングの例

 

IISP による PNNI インターネットワーキング

Interim Inter-Switch Protocol(IISP)は AINI の先行モデルで、目的は AINI と同じく 2 つの独立した PNNI ネットワークをつなぐというものです。AINI と違い、IISP は UNI 4.0 接続をサポートしません。


) 標準に基づく IISP は、SVC と SVP 接続をサポートします。IISP の機能は拡張され、SPVC と SPVP 接続もサポートするようになっています。


2 つの独立した PNNI ネットワークの境界ノードが AINI をサポートしている場合は、その間のリンクには AINI を使用します。IISP を使用するのは、使境界ノードのどちらかまたは両方が AINI をサポートしていない場合だけです。