Cisco MGX スイッチ Cisco Circuit Emulation Services (CESM/MPSM) コンフィギュレーション ガイドおよびコマンド リファレンス Release 5
概要
概要
発行日;2012/01/12 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf | フィードバック

目次

概要

CESM および MPSM カード タイプ

MPSM カードの機能

MPSM-8T1E1 カードの共通機能

MPSM-8T1-CES カードの機能

MPSM-8E1-CES カードの機能

MPSM-8T1E1 カードの特徴

8 ポート CESM および MPSM カードの機能

CESM および MPSM カードの共通機能

ピーク セル レートの計算

T1/E1 クロッキング メカニズム

非同期クロッキング

非同期クロッキング(SRTS)

非同期クロッキング(アダプティブ)

無音圧縮

構造化データ転送

非構造化データ転送

セル遅延処理

SRM カード サービス

SRM カードの概要

SRM カードの機能

概要

この章では、Cisco MGX リリース 5 および Cisco MGX リリース 1.3 でサポートする CESM および MPSM カードについて説明します。

また、CESM と MPSM の両方のカードにサービスを提供する Service Resource Module(SRM; サービス リソース モジュール)についても説明します。

CESM、MPSM、および SRM カードの機能について、この章の内容は次のとおりです。

CESM および MPSM カード タイプ

MPSM カードの機能

8 ポート CESM および MPSM カードの機能

SRM カード サービス

CESM カードおよび MPSM カードは、Cisco MGX 8230、Cisco MGX 8250、Cisco MGX 8850(PXM1)、Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)、および Cisco MGX 8830 スイッチの PXM1、PXM1E、および PXM45 プロセッサ カードでサポートされます。

CESM および MPSM カード タイプ

このマニュアルに記載する CESM カードおよび MPSM カードは、シングルハイトの CESM-8T1/B、CESM-8T1 、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES セル バス サービス モジュールです。


) このマニュアルでは、Cisco MGX PXM1 ベースのシステムでサポートする回線エミュレーション サービス モジュールのすべては扱いません。CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、MPSM-8E1-CES サービス モジュールだけを扱います。また、これらは、PXM1 プラットフォームで検証済みです。CESM-T3E3 サービス モジュールの PXM1 については、『Cisco MGX 8850 Edge Concentrator Installation and Configuration, Release 1.1.3』を参照してください。


PXM1、PXM1E、および PXM45 プロセッサ カードで動作する場合、Cisco MGX 8230、Cisco MGX 8250、Cisco MGX 8850(PXM1)、Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)、および Cisco MGX 8830 スイッチは、 表 1-1 に示す CESM カードおよび MPSM カードをサポートします。

 

表 1-1 MGX リリース 1.3 および 5.0 でサポートされる CESM および MPSM カード

フロント カード
バック カード
最大ポート数
最大接続数

CESM-8T1/B

RJ48-8T1

R-RJ48-8T1

192

192

CESM-8T1

RJ48-8T1RJ48-8T1

R-RJ48-8T1

192

192

CESM-8E1

RJ48-8E1

MGX-RJ48-8E1

SMB-8E1

R-RJ48-8E1

R-SMB-8E1

248

248

MPSM-8T1-CES

RJ48-8T1

R-RJ48-8T1

192

192

MPSM-8E1-CES

MGX-RJ48-8E1

RJ48-8E1

SMB-8E1

R-RJ48-8E1

R-SMB-8E1

248

248

CESM-T3E3

BNC-2T3

1

1

BNC-2E3

1

1

R-RJ48-8T1、R-RJ48-8E1、および R-SMB-8E1 バック カードは、オプションの MGX-SRM-3T3/C カード、SRME および SRME/B カードを使用して、1:N カード冗長性をサポートします。

表 1-2 に、PXM1、PXM1E、および PXM45 プロセッサ カードがどのタイプの CESM および MPSM カードをサポートするかを示します。

 

表 1-2 PXM1、PXM1E、および PXM45 コントローラがサポートする CESM および MPSM カード

MGX
8230、
8250
MGX
8850
MGX
8830
サービス
モジュール
PXM1
PXM1
PXM45
PXM45/B
PXM45/C
PXM1E
PXM1E

CESM-8T1/B

×

CESM-8T1

×

×

×

CESM-8E1

×

MPSM-8T1E1

×

CESM-T3E3

×

×

×

×

×

Circuit Emulation Service Module(CESM; 回線エミュレーション サービス モジュール)と Multi Protocol Service Module(MPSM; マルチ プロトコル サービス モジュール)の主な機能は、固定ビット レート(CBR)の回線エミュレーション サービスを行うことです。これは、データ ストリームを ATM ネットワークで搬送できるように CBR AAL1セルに変換することによって行います。CESM および MPSM カードは ATM フォーラムの CES-IS 仕様をサポートしています。

最も一般的な適用例は、PBX からのデジタル音声またはコーデックからの映像に対する従来型のサポートです。回線エミュレーションを使用すると、特定の音声カードまたはビデオ カードを使用しないで、音声またはテレビ会議のサービスを行えるようにデータ通信ネットワークを拡張できます。

サービス モジュールの設定、モニタリング、制御に最適なツールは、機器管理については CiscoView、接続管理については Cisco WAN Manager です。ただし、Command Line Interface(CLI; コマンド行インターフェイス)からもサービス モジュールにアクセスでき、初めての設置、トラブルシューティング、および低レベルの制御が便利な場合には非常に有効です。

MPSM カードの機能

ここでは、MPSM カードの機能について説明します。

MPSM-8T1E1 カードの共通機能

MPSM-8T1-CES カードの機能

MPSM-8E1-CES カードの機能

MPSM-8T1E1 カードの特徴

MPSM-8T1E1 カードの共通機能

MPSM-8T1E1 カードは、既存のセル バス サービス モジュール(AUSM-8T1/B、AUSM-8E1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、FRSM-8T1、FRSM-8T1-C、FRSM-8E1、および FRSM-8E1-C)に代わるものとして設計されており、Any Service Any Card(ASAC)サービス モジュールです。複数のインターフェイス タイプ(T1 および E1)と複数のサービス タイプ(ATM、フレームリレー、および回線エミュレーション)をサポートしています。

MPSM-8T1E1 カードは、カードにプロビジョニングされたサービスの有無に関係なく使用できます。サービスがない場合、MPSM-8T1E1 は冗長グループ内で使用し、MPSM-8T1E1 という物理カード タイプ名を維持します。

特定のインターフェイスとサービス タイプにプロビジョニングした場合、MPSM-8T1E1 カードは、設定したインターフェイスとサービス タイプによっては論理カード タイプ名をとることがあります。たとえば、スタンバイ状態の MPSM-8T1E1 を T1 インターフェイスを使用する回線エミュレーション サービスにプロビジョニングした場合(PXM cnfcdmode コマンドを使用して)、名前は論理カード タイプ名 MPSM-8T1-CES に変わります。

設定したインターフェイスとサービス タイプに関係ない MPSM-8T1E1 に共通の機能には、次のものがあります。

すべてのサービスとプラットフォームに共通の 1 つのファームウェア イメージ。

カード全体に対して設定するサービス タイプとインターフェイス タイプ。

フラッシュ メモリに格納されたランタイム ファームウェア。カードの始動時間を短縮します。

既存の 8 ポートのセル バス サービス モジュール(AUSM、CESM、および FRSM)の CLI と共通する CLI。

機能ライセンスによって有効になるオプションのソフトウェア機能(チャネル化、IMA、および レート制御)。

VSI プロキシと Portable Auto Route(PAR; ポータブル自動ルート)を使用する接続のプロビジョニングのサポート。PXM45、PXM1E、および PXM1 ベースのシステムでの使用が可能になります。

すべての既存の 8 ポート セル バス サービス モジュール(CBSM)バック カードのサポート。

既存の CBSM から MPSM への運用状態でのアップグレード。

オンボードの NxDS0、T1/E1 ビット誤り率試験(BERT)(V54/PN127 拡張ループバック パターン生成/検証を含む)。

オンライン診断

SRM と SRME からの T1/E1 バルク分散、1:N 冗長性、ループバック、および BERT のサポート。冗長性機能には次のものがあります。

既存の CBSM と MPSM 間の 1:N 冗長性(CBSM がプライマリ、MPSM がセカンダリとして機能)。

複数のサービス(ATM、フレームリレー、回線エミュレーション)間の 1:N 冗長性。たとえば、MPSM-8T1E1 がセカンダリとして動作している 1 つの冗長グループに AUSM-8T1/B や FRSM-8T1 を入れることができます。

MPSM 間の 1:N 冗長性。

MPSM-8T1-CES カードの機能

MPSM-8T1E1 カードが T1 インターフェイス タイプと回線エミュレーション サービスをサポートするように設定されている場合、このカードは、MPSM-8T1-CES カードとなります。そして、すべての CESM カードに共通の機能と CESM-8T1/B および CESM-8T1カードに固有の機能をサポートするようになります。

MPSM-8T1-CES は、最大 1.544 MBps(インターフェイスあたり)の全二重通信対応の 8 つの T1 インターフェイスを備えています。これは、カード全体の合計で 12.352 MBps のスループットとなります。各回線の物理コネクタは RJ48 コネクタです。

MPSM-8E1-CES カードの機能

MPSM-8T1E1 カードが E1 インターフェイス タイプと回線エミュレーション サービスをサポートするように設定されている場合、このカードは、MPSM-8E1-CES カードとなります。そして、すべての CESM カードに共通の機能と CESM-8E1 カードに固有の機能をサポートするようになります。

MPSM-8E1-CES は、最大 2.048 MBps(インターフェイスあたり)の全二重通信対応の 8 つの T1 インターフェイスを備えています。これは、カード全体の合計で 16.384 MBps のスループットとなります。各カードの物理コネクタは、RJ48 コネクタまたは SMB コネクタです。

MPSM-8T1E1 カードの特徴

MPSM-8T1E1 カードは、次の点で CESM-8T1/B、CESM-8T1、および CESM-8E1 カードと異なります。

MPSM-8T1E1 カードは、Service Resource Module(SRM)と オンボード BERT 機能を使用して Bit Error Rate Testing(BERT; ビット誤り率テスト)をサポートする。CESM-8T1/B、CESM-8T1、および CESM-8E1 カードは、SRM だけを使用して BERT をサポートする。

MPSM-8T1E1 カードは、アクティブおよびスタンバイ カードのオンライン診断をサポートするが、自己診断コマンド セット(clrslftst、cnfslftst、dspslftst、dspslftsttbl、および runslftstno)はサポートしない。CESM-8T1/B、CESM-8T1、および CESM-8E1 カードは、オンライン診断はサポートしない、自己診断のコマンド セットは引き続きサポートする。

CESM-8T1/B はT1 回線のマルチフレーム同期化をサポートし、 MPSM-8T1-CES は、T1 回線のマルチフレーム同期化をサポートしない。

MPSM-8T1-CES および MPSM-8E1-CES カードの非構造化アダプティブ クロッキング接続上の CDVT のデフォルト値は、1875 マイクロ秒である。一方、CESM-8T1/B、CESM-8T1、および CESM-8E1 カードの非構造化アダプティブ クロッキング接続上の CDVT のデフォルト値は、1000 マイクロ秒である。

MPSM-8T1-CES および MPSM-8E1-CES カードは、dspchancnt コマンドを使用すると表示される統計の、cesPointerReframes、cesBufUnderflows、cesBufOverflows、cesUflowInsCells、および cesOflowDropBytes をサポートする。一方、CESM-8T1/B、CESM-8T1、および CESM-8E1 カードでは、このような統計はサポートされない。

8 ポート CESM および MPSM カードの機能

表 1-3 は、CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES カードの主要な機能を一覧表示したものです。

 

表 1-3 8 ポート CESM および MPSM カードの機能

機能
CESM-8T1/B
CESM-8T1
CESM-8E1
MPSM-8T1-CES
MPSM-8E1-CES

サービス タイプ

構造化、非構造化

構造化、非構造化

構造化、非構造化

構造化、非構造化

クロッキング

同期/非同期
(SRTS/Adap)

同期/非同期
(SRTS/Adap)

同期/非同期
(SRTS/Adap)

同期/非同期
(SRTS/Adap)

無音圧縮

部分充填

SRM による BERT

オンボード BERT

×

×

オンライン診断

×

×

自己診断コマンド

×

×

カード冗長性

1:N

1:N

1:N

1:N

マルチフレーム同期化

×

×

×

ここでは、CESM および MPSM カードの機能について説明します。

CESM および MPSM カードの共通機能

ピーク セル レートの計算

T1/E1 クロッキング メカニズム

非同期クロッキング

非同期クロッキング(SRTS)

非同期クロッキング(アダプティブ)

無音圧縮

構造化データ転送

非構造化データ転送

セル遅延処理

CESM および MPSM カードの共通機能

CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES サービス モジュール:

最大 8 つの T1/E1 インタフェースをサポート

SRM から BERT とループバックが設定可能

T1 回線での、B8ZS または AMI ライン コーディングと、ANSI T1.408 拡張スーパーフレーム形式ライン フレーミングのサポート

E1 回線での、HDB3 または AMI ライン コーディングと、ITU G.704 の 16 フレーム マルチフレーム(MF)ライン フレーミングおよびクリア チャネルのサポート

LOS、LOF、AIS、RAI、FEBE、リモート LOS/LOF、オール 0 の受信、バイポーラ違反、CRC エラー検出と生成、およびしきい値超過アラームのサポート

F5 AIS/RDI とエンドツーエンド/セグメント ループバックを使用した OAM 障害管理のサポート

ユーザが設定できるアラームしきい値

ATM フォーラム CES-IS V2.0 に準拠

物理インターフェイスごとに Structured Data Transfer(SDT; 構造化データ転送)か Unstructured Data Transfer(UDT; 非構造化データ転送)を選択可能

N x 64 KBps、フラクショナル DS1/E1 サービスを提供(SDT の場合だけ)。チャネル化のライセンスがある場合、構造化データ転送モードの CESM または MPSM は、フラクショナル DS1/E1 サービスをサポートします(連続タイムスロットに限ります)。どの N x 64 チャネルも任意の仮想回線(VC)にマッピング可能です。したがって、固有の連続タイムスロットで構成されるポートを複数定義することができ、その論理ポートに対してはデータ エミュレーションのために 1 本の接続が使用されます。

T1 カードでは、各インターフェイスをシングル ポートとして同時に動作するように設定した場合 192 個(24 チャネル×8 回線)までの DS0 ポートをサポート(UDT の場合)。または、フル回線速度の N×64 KBps で動作するように設定した場合 24 ポートまでをサポート(SDT の場合)。

E1 カードでは、各インターフェイスをシングルポートとして同時に動作するように設定した場合 248 個(31 チャネル×8 回線)までの DS0 をサポート(UDT の場合)。または、フル回線速度の N×64 KBps で動作するように設定した場合 31 ポートまでをサポート(SDT の場合)。

構造化データ送信(SDT)モードと非構造化データ送信(UDT)モードの両方で同期クロッキングをサポート。同期タイミングはスイッチから取得されます。

Synchronous Residual Time Stamp(SRTS; 同期残余タイム スタンプ)とアダプティブ クロック リカバリ方式を使用した、非同期クロック モードのサポート(UDT だけ)

個別線信号方式(CAS)を使用したオンフック/オフフック検出と無音圧縮 を提供。SDT モードだけで使用できます。単一 DS0 タイムスロットの場合にのみサポートします。

マルチフレーム(MF)オプションを有効にした DS1 拡張スーパーフレーム(ESF)個別線信号方式のサポート(CESM-8T1/B だけでサポート)

セル遅延改善のために、部分充填 AAL1 セル ペイロードを VC ごとに選択可能

タイプ:充填範囲(バイト数)

構造化 T1:25~47

非構造化 T1:33~47

構造化 E1:20~47

非構造化 E1:33~47

最大接続数のサポート:192 個までの T1 および 248 個までの E1 接続を提供

両方向の VC ごとのキューイングと、出方向の VC ごとのトラフィック シェーピングのサポート

SPVC ごとの PNNI 優先ルーティングのサポート

CE 間 および CE/ATM 間 SPVC エンドポイントのサポート

フィーダ ノードでの XPVC(CWM)および PVC(PAR)のサポート

ピーク セル レートの計算

次の機能は、CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES サービス モジュールに共通です。

AAL1 説の部分充填の値(KB)

SDT タイムスロット(N チャネル)

非構造化 T1 セルレート

(1.544 x 106 Bps)/(K オクテット/セル×8 ビット/オクテット)

4,107 Cps(K = 47 バイトの場合)

非構造化 E1 セルレート

(2.048 x 106 Bps)/(K オクテット/セル×8 ビット/オクテット)

5,447 Cps(K = 47 バイトの場合)

構造化 N x 64 セルレート(基本モード)

(8,000 x N)/(K オクテット/セル)

170 Cps(K = 47 で N = 1 の場合)

T1/E1 クロッキング メカニズム

CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES カードでは、物理インタフェースの Tx クロックを図 1-1に示すソースから選択できます。

1. Rx 回線クロックから取得するループ クロッキング

2. PXM から取得する MGX ローカル スイッチ クロック(同期)

3. SRTS およびアダプティブ ベースのクロック(T1/E1 非構造化非同期モードの場合だけ)

図 1-1 T1/E1 クロッキング メカニズム

 

ネットワーク クロッキングのアーキテクチャを決定する際は、CESM および MPSM カードを使用して確実なクロッキング計画を立てる必要があります。そうしないと、ビット ドリブル エラーやその他のタイミングの問題が発生する可能性があります。

非同期クロッキング

同期クロッキングは、構造化および非構造化回線エミュレーション ポートで利用できます。ネットワークを出て行く回線データは、Cisco MGX スイッチと同じクロックを使用します。このクロック信号は、Cisco MGX バックプレーンのタイミング バスを通じて取得します。Cisco MGX ネットワークが同期化されていると仮定すると、入出両方向のデータも同期化されているはずです。

非同期クロッキング(SRTS)

同期残余タイムスタンプ(SRTS)クロッキングには、Primary Reference Source(PRS; プライマリ基準ソース)とネットワーク クロック同期サービスが必要です。このクロッキングモードを使用すると、ATM ネットワークのエッジにあるユーザの機器が、ATM ネットワークで使用されているクロッキング シグナルとは異なる(完全に独立している)クロッキング シグナルを使用できます。ただし、SRTS クロッキングは、非構造化(クリア チャネル)CES サービスでしか使用できません。

たとえば、図 1-2 に示すように、ネットワークのエッジにあるユーザ機器はクロック B で駆動され、ATM ネットワーク内の機器はクロック A で駆動されるように設定できます。ユーザ側の機器は、クロック B に従って ATM ネットワークにトラフィックを送り出します。CESM または MPSM は CBR ビット ストリームを ATM セルに分割します。これを駆動するユーザ クロック B とネットワーク クロック A の差分を測定します。この差分は 8 番目ごとのセルに挿入されます。宛先の CESM または MPSM は、セルを受信すると、ATM セルを元の CBR ビット ストリームに再組み立てし、同時に、差分値からユーザ クロック B のタイミング シグナルを計算します。このようにして、SRTS クロッキングでは、CBR トラフィックが CES 回線の入力側と出力側でユーザ クロック シグナル B を使用して同期化され、一方で、ATM ネットワークはクロック A に従って動作を継続します。

図 1-2 非同期クロッキング

 

非同期クロッキング(アダプティブ)

アダプティブ クロッキングは、ネットワーク クロッキング同期サービスとグローバル PRS を必要としないで、CBR トラフィックを効率的に処理します。アダプティブ クロッキングでは、クロッキング シグナルを使用して CBR トラフィックを ATM ネットワーク上で転送する代わりに、CBR トラフィックの平均データ レートを計算することにより、データ転送に適したタイミングを探し出します。ただし、SRTS クロッキングと同様に、アダプティブ クロッキングも、非構造化(クリアチャネル)CES サービスでしか使用できません。(図 1-3を参照)。

たとえば、CBR データが X ビット/秒の速度で CES モジュールに到達していると、その速度がネットワーク内の CBR データ フローの管理に使用されます。実際に CESモジュールはその平均データ転送速度を自動的に計算します。この計算はユーザ データがネットワーク内で転送されるたびに動的に行われます。

CES モジュールは、モジュールの分割/再組立て(SAR)バッファが満杯になったことを認識すると、出力ポートの TX クロックの速度を上げ、データ到着の速度に間に合うようにバッファを空けようとします。

同様に、CES モジュールは CBR データを受信するよりも早くバッファを空けていると認識した場合には、送信ポートの送信クロックの速度を下げます。アダプティブ クロッキングでは、SAR バッファの負荷の偏位を最小化しながら、ネットワーク内の CBR トラフィックの転送を効率的に行うようにします。

他のクロッキング モードに比べると、アダプティブ クロッキングの実装は単純です。ネットワーク クロック同期サービス、PRS、あるいは、論理ネットワーク タイミング マップを作成するときに通常必要になる高度なプランニングなどを必要としません。ただし、アダプティブ クロッキングは構造化 CES サービスはサポートしませんし、比較的不安定な特性を持ちます。

図 1-3 非同期クロッキング(アダプティブ)

 

無音圧縮

無音圧縮は、単一タイムスロットの接続だけでサポートされ、NxDS0 の接続ではサポートされていないため、構造化モードの CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES カードで、T1 の場合 CAS 損失ビット シグナリング(ESF では ABCD シグナリング、SF フレームでは AB シグナリング)、E1 の場合 CAS(タイム スロット 16)を処理できます。 ABCD コードは、OnHookCode と呼ばれ、ユーザは VC ごとに設定できます。オンフックの状態が検出されると、無音チャネルでのすべての AAL1 セル転送が抑止されます。これによって、消費されるバックボーンの帯域幅が減少します。オン/オフフック検出と強制無音圧縮は、NMS や CLI を使って xcnfchan コマンドの -onhkcd オプション( xcnfchan -onhkcd = 0-15; ABCD = 0000 = 0 ... ABCD = 1111 = 15)を使用することで、VC ごとに有効無効を切り替えできます。

CESM または MPSM カードは、入口(ATM ポートから ATM ネットワーク方向)で、TDM データ フレームのシグナリング ビットの監視を行います。特定の接続がオンフックまたはオフフック状態になるたびに、CESM または MPSM カードは、そのチャネル用に設定済みの OnHookCode と TDM フレーム内の ABCD ビットを比較することでこの状態を検出します。

近端の CESM または MPSM カードでオンフック状態が検出されると、遠端の CESM または MPSM に対して、キープアライブ ATM セルが 1 秒ごとに送信されます。遠端の CESM または MPSM カードもオンフック状態を検出し、さらに近端の CESM または MPSM カードからキープアライブ ATM セルを受信すると、遠端から近端方向のチャネルを抑止します(キープアライブ ATM セルを除いて ATM セルを ATM ネットワークに送信するのを止めます)。近端の CESM または MPSM カードがキープアライブ ATM セルを受信し、オンフック状態がなおも検出される場合、近端側は近端から遠端方向のチャネルも抑止します。両方の側がチャネルを抑止すると、チャネル上にはキープアライブ ATM セルだけが送信され、ユーザ データが送信されない状態になります。これにより、ATM ネットワーク帯域幅が節約されます。

近端または遠端いずれかの CESM または MPSM カードがオンフック コードやキープアライブ ATM セルの検出を停止すると、チャネルの抑止も行われなくなり、ユーザ データはまた ATM ネットワークに送信されるようになります。

構造化データ転送

個々のポートを構造化データ転送用に設定した場合、CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、
MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES では次のものがサポートされます。

同期クロッキング

T1 用のスーパーフレームまたは拡張スーパーフレーム

チャネル化ライセンスがある場合、フラクショナル( N x 64KBps)DS1/E1 サービス(連続タイムスロットに限る)。 N x 64 KBps チャネルを任意の VC にマッピングできます。

T1用 CAS 損失ビット(ESF と SF フレームでは ABCD)および E1 用 CAS(チャネル 16)

透過データ チャネルとしての CCS チャネル

選択可能な部分充填ペイロード サイズ

64 KBps CAS 接続の無音検出と圧縮

TR-NWT-000170 Issue-2 for T1 および ITU G.703 for E1 に準拠するトランク条件設定

addlnloop および xcnfln コマンドによる回線上のループバック

Tstcon および tstdelay コマンドでは、VC の接続性の検出と接続がルーティングされるパス上の遅延をサポートします。

ビット誤り率試験(BERT)、個別の回線または論理ポートでのループバック パターン生成と確認。CESM-8T1/B、CESM-8T1、および CESM-8E1 カードでは、SRM for BERT(SRM の BERT)機能を使用する必要があります。MPSM-8T1-CES および MPSM-8E1-CES1 カードでは、オンボードの BERT か SRM for BERT 機能のいずれかを使用することができます。

非構造化データ転送

各ポートを非構造化データ転送用に設定する場合、CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、
MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES では次のものがサポートされます。

T1(1.544 MBps)または E1(2.048 MBps)レートの同期または非同期クロッキング。非同期クロッキングの場合、SRTS またはアダプティブ クロック リカバリのいずれかを選択できます。

特殊ポート タイプ framingOnVcDisconnect 。このポート タイプは、接続セグメントの削除または中断あるいはセルの損失がネットワーク側の ATM インターフェイスで発生したとき、 CESM または MPSM が判断して、回線をリモート ループバック モードに配置し、リモート エンド CPE が LOF にならないようにします。

T1 回線の ESF フレーミング用黄色アラームの検出と表示機能

回線上のループバック( addlnloop および xcnfln コマンドを使用)

Tstcon および tstdelay コマンドは、VC の接続性の検出と、接続がルーティングされるパス上の遅延をサポートします。

ビット誤り率試験(BERT)。回線または論理ポートに対して個別にループバック パターン生成と確認を行います。CESM-8T1/B、CESM-8T1、および CESM-8E1 カードでは、SRM for BERT 機能を設定して使用する必要があります。MPSM-8T1-CES および MPSM-8E1-CES1 カードでは、オンボードの BERT か SRM for BERT 機能のいずれかを使用することができます。

セル遅延処理

CESM-8T1/B、CESM-8T1、CESM-8E1、MPSM-8T1-CES、および MPSM-8E1-CES のそれぞれの接続について、ルートの信頼度に応じてセル遅延変動許容値(CDVT)を設定できます。CDVT は受信バッファに適用されます。アンダーランの後、受信側では、到着した最初のセルの内容を受信バッファに置いてから、少なくとも、CDVT 値の1回分の後に出力します。各 VC の最大セル遅延と CDVT(またはジッター)は、次のとおりです。

T1 の場合

48 ミリ秒のセル遅延

0~24 ミリ秒の CDVT、増加単位は 125 マイクロ秒

E1 の場合

64 ミリ秒のセル遅延

0~26 ミリ秒の CDVT、増加単位は 125 マイクロ秒

SRM カード サービス

ここでは、SRM カードが CESM および MPSM カードに提供するサービスについて説明します。

SRM カードの概要

SRM カードの機能

SRM カードの概要

Cisco MGX スイッチは、サービス モジュールの 1:1 および 1:N カード冗長性をサポートします。1:N カード冗長性機能では、MGX スイッチに Service Resource Module(SRM; サービス リソース モジュール)カードが搭載されている必要があります。MGX スイッチに冗長 PXM が搭載されている場合、SRM も同じように冗長構成にする必要があります。Cisco MGX リリース 5 および 1.3 では、SRM の 3 つのモデル、SRM-3T3/C、SRME、および SRME/B がサポートされます。

SRM は、T1 または E1 サービス モジュール回線およびポート上で 1:N 冗長構成のバルク モード分散、1:N 冗長構成の非バルク モード、および BERT 機能を管理します。バック カードに T1 または E1 アクセス回線が物理的に接続されているカードは、非バルク モードです。T1 または E1 アクセス回線をスイッチのバックプレーンを経由して SRM から受信するカードは、バルク モードです。

回線冗長性は、サービス モジュールが SRME または SRME/B カードを使用してバルク分散に設定されている場合に利用できます。光バック カード オプションを使用すると、カード間の APS 回線冗長性が、SRM と PXM がリダンダント ペアに設定されている場合だけ利用できます。

非バルク モードのカード 1:N 冗長性では、バックプレーンの冗長バスを使用して、故障したプライマリ カードのバック カードからフロント カードのアクティブなセカンダリ カードにユーザ トラフィックを転送します。非バルク モードでは、複数の 1:N 冗長グループを構成できますが、特定の時期の特定のベイでは、このグループのいずれか 1 つだけしか、アクティブ バックアップ操作を行うことはできません。このモードでは、SRM にバック カードは不要です。

バルク モードのカードでは、分散バスを使用してセカンダリ カードにユーザ トラフィックを転送します。バルク分散モードでは、複数の 1:N 冗長グループが構成できます。分散バスでは複数のトラフィック フローを処理できるので、同時に複数のセカンダリ カードがアクティブになることができます。

SRM カードの機能

SRM-3T3/C カードは、Cisco MGX 8230、Cisco MGX 8250、Cisco MGX 8850(PXM1)、Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)、および Cisco MGX 8830 スイッチ上で、冗長サービス、BERT サービスを提供し、T3 から T1 への回線分散を行います。SRM-3T3/C は BNC-3T3-M バック カードを使用します。SRM-3T3/C T1 回線分散機能には、次の機能と制約があります。

Cisco MGX 8250、Cisco MGX 8850(PXM1)、および Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)の 3 本の T3 回線で、ベイあたり最大 80 個の T1 回線をサポート。回線分散では、Cisco MGX 8250 および Cisco MGX 8850(PXM1)の場合を除き、12 のすべてのサービス モジュール スロットをサポートします。Cisco MGX 8250 および Cisco MGX 8850(PXM1)では、スロット 9、10、25、および 26 が回線分散をサポートしません。

Cisco MGX 8230 と Cisco MGX 8830の 3 本の T3 回線で、ベイあたり最大 64 個の T1 回線をサポート。回線分散は、8 つのサービス モジュールのすべてのスロットでサポートされます。

サービス モジュールでは、すべての T1 回線が SRM-3T3/C、またはサービス モジュールのバック カードに接続されている必要があります。サービス モジュールの T1 チャネルを 1 本でも SRM-3T3/C にリンクすると、そのサービス モジュールのバック カードが運用できなくなります。

バルク T1 回線分散を使用する場合には、サービス モジュールのバック カードは不要です。

SRME は、Cisco MGX 8230、Cisco MGX 8250、Cisco MGX 8850(PXM1)、Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)、および Cisco MGX 8830 スイッチ上で、冗長性サービス、BERT サービス、および OC-3/STM-1 から T1/E1 への回線分散サービスをサポートします。SRME は、SMFIR-1-155 および STM1-EL-1 バックカードを使用します。SRME の T1 および E1 の回線分散機能には、次の機能と制限があります。

Cisco MGX 8250、Cisco MGX 8850(PXM1)、および Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)の 1 本の OC-3/STM-1 回線で、最大 84 の T1 回線または 63 の E1 回線をサポート。回線分散は 12 のサービス モジュール スロットのすべてでサポートされます。

Cisco MGX 8830 では 1 本の OC-3/STM-1 回線を 64 本の T1 回線または 63 本の E1 回線へ分散できます。回線分散は、8 個あるサービス モジュール スロットのすべてで可能です。

Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)のベイでは、T1 と E1 を混在させた回線分散はサポートされません。T1 と E1 の回線分散の両方を設定したい場合には、1 つのベイにすべての T1 サービス モジュールを実装し、別のベイにすべての E1 サービス モジュールを実装する必要があります。Cisco MGX 8830 では、T1 または E1 の回線分散のいずれかを選択する必要があります。

Sonet(OC-3/STS-3)インタフェースから T1 の VT1.5 抽出と分散(北米)。

SDH(STM-1)インタフェースから T1 の VC11 抽出と分散(日本)。

SDH(STM-1)インタフェースから T1 の VC12 抽出と分散(世界中のその他の地域)。

サービス モジュールでは、すべての T1 または E1 回線が SRME、またはサービス モジュールのバック カードに接続されている必要があります。サービス モジュールの T1 または E1 チャネルを 1 本でも SRME にリンクすると、そのサービス モジュールのバック カードが運用できなくなります。

バルク回線分散を使用する場合には、サービス モジュールのバック カードは不要です。

SRME/B カードは、Cisco MGX 8230、Cisco MGX 8250、Cisco MGX 8850(PXM1)、Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45)、および Cisco MGX 8830 スイッチ上で、冗長サービス、BERT サービスを提供し、OC-3/STM-1 から T1/E1 への回線分散と T3 から T1 への回線分散をサポートします。SRME/B は、SMFIR-1-155、STM1-EL-1、および BNC-3T3-M バック カードを使用します。SRME/B の T1 および E1 の回線分散機能には、SRM-3T3/C カードと SRME カードの機能と制限の両方が適用されます。

表 1-4 に、SRM カードが CESM および MPSM カードに提供する、カード冗長性サービス、バルク分散、および BERT サービスを一覧表示します。この表から分かるように、SRME および SRME/B は T1 回線と E1 回線の両方のバルク分散をサポートしており、SRM-3T3/C は T1 回線のみのバルク分散をサポートしています。

 

表 1-4 CESM および MPSM カードのカード冗長性、バルク分散、および BERT サービス

フロント カード
SRM を使用した 1:N カード冗長
構成
Y 字型ケーブルを使用した 1:N カード冗長構成
バルク分散の
サポート
BERT のサポート

CESM-8T1/B

×

○(SRM 使用の場合)

CESM-8T1CESM-8T1

×

○(SRM 使用の場合)

CESM-8E1

×

○(SRM 使用の場合)

MPSM-8T1E1

×

○(SRM およびオンボード BERT 使用の場合)

CESM-T3E3

×

×

○(オンボード BERT 使用の場合)

BERT についての詳細は、 第 5 章「CESM カードと MPSM カードの管理」 を参照してください。


) Cisco MGX スイッチをカード冗長性、回線冗長性、バルク分散、および SRM によってサポートされる BERT の設定手順については、『Cisco MGX 8850(PXM1E/PXM45), Cisco MGX 8950, and Cisco MGX 8830 Configuration Guide, Release 5』および『 Cisco MGX 8850 Edge Concentrator Installation and Configuration, Release 1.1.3』を参照してください。