Catalyst 2975 スイッチ ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド,12.2(52)SE
Flex Link および MAC アドレス テーブル移 動更新機能の設定
Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定
発行日;2012/02/05 | 英語版ドキュメント(2009/10/12 版) | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 15MB) | フィードバック

目次

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要

Flex Link

VLAN Flex Link のロード バランシングとサポート

Flex Link マルチキャスト高速コンバージェンス

他の Flex Link ポートの mrouter ポートとしての学習

IGMP レポートの生成

IGMP レポートの送信

構成例

MAC アドレス テーブル移動更新

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新の設定

デフォルト設定

設定時の注意事項

Flex Link の設定

Flex Link での VLAN ロード バランシングの設定

MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能のモニタ

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定

ここでは、Catalyst 2975 スイッチ上の Flex Link を設定する方法について説明します。これは、相互にバックアップするのに使用するケーブル インターフェイス ペアです。また、MAC(メディア アクセス制御)アドレス テーブル移動更新機能の設定方法についても説明します(Flex Link の双方向高速コンバージェンス機能でも参照できます)。特に明記しないかぎり、 スイッチ という用語はスタンドアロン スイッチおよびスイッチ スタックを意味します。


) この章で使用するコマンドの構文および使用方法の詳細については、このリリースに対応するコマンド リファレンスを参照してください。


この章で説明する内容は、次のとおりです。

「Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要」

「Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新の設定」

「Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能のモニタ」

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能の概要

ここでは、次の情報について説明します。

「Flex Link」

「VLAN Flex Link のロード バランシングとサポート」

「Flex Link マルチキャスト高速コンバージェンス」

「MAC アドレス テーブル移動更新」

Flex Link

Flex Link は、レイヤ 2 インターフェイス(スイッチ ポートまたはポート チャネル)のペアで、一方のインターフェイスが他方のインターフェイスのバックアップとして動作するように設定されています。この機能は、Spanning Tree Protocol(STP; スパニング ツリー プロトコル)の代替ソリューションとして役立ちます。Flex Link があれば、STP をディセーブルにしても基本的なリンクの冗長性は失われません。Flex Link は一般的に、カスタマーがスイッチで STP を稼動したくない場合に、サービス プロバイダーまたは企業ネットワークで設定されます。スイッチで STP が稼動している場合、すでに STP がリンクレベルの冗長性またはバックアップ機能を提供しているので、Flex Link を設定する必要はありません。

一方のレイヤ 2 インターフェイスを Flex Link またはバックアップ リンクとして割り当てることで、他方のレイヤ 2 インターフェイス(アクティブ リンク)に Flex Link を設定できます。Flex Link をスタック内の同じスイッチ、または別のスイッチで設定できます。一方のリンクがアップ状態でトラフィックを転送する場合、他方のリンクはスタンバイ モードになって、シャット ダウンした場合にトラフィックを転送する準備をします。指定された時間に、インターフェイス 1 つだけが linkup ステートになってトラフィックを転送します。プライマリ リンクがシャット ダウンした場合、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始します。アクティブ リンクがバックアップ状態になった場合、リンクはスタンバイ モードになって、トラフィックは転送されません。Flex Link インターフェイスでは、STP はディセーブルです。

図 20-1 では、スイッチ A のポート 1 および 2 はアップリンク スイッチ B および C と接続されています。ポートは Flex Link として設定されているので、インターフェイスのうち 1 つだけがトラフィックを転送し、残りのインターフェイスがスタンバイ モードになります。ポート 1 がアクティブ リンクの場合、ポート 1 とスイッチ B の間でトラフィックの転送を開始します。ポート 2(バックアップ リンク)とスイッチ C の間のリンクは、トラフィックを転送しません。ポート 1 がダウンした場合、ポート 2 がアップ状態になってスイッチ C へのトラフィックの転送を開始します。ポート 1 が再びバックアップ状態になった場合、ポート 1 はスタンバイ モードになってトラフィックは転送しません。ポート 2 はトラフィックを転送し続けます。

また、トラフィックの転送に優先ポートを指定して、プリエンプト メカニズムを設定するように選択できます。たとえば図 20-1 では、Flex Link ペアをプリエンプト モードに設定できます。このシナリオでは、ポート 1 がバックアップ状態になりポート 2 よりも帯域幅が大きい場合、ポート 1 が 60 秒後にトラフィックの転送を開始します。ポート 2 はスタンバイ状態になります。これは、 switchport backup interface preemption mode bandwidth および switchport backup interface preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを入力することで実行できます。

図 20-1 Flex Link の設定例

 

プライマリ(転送)リンクがダウンした場合、トラップはネットワーク管理ステーションに通知します。スタンバイ リンクがダウンした場合、トラップはユーザに通知します。

Flex Link はレイヤ 2 ポートおよびポート チャネルでだけサポートされ、VLAN ではサポートされません。

VLAN Flex Link のロード バランシングとサポート

VLAN Flex Link のロード バランシングを使用すると、両方のポートが相互に排他的な一部の VLAN のトラフィックを同時に転送するように、Flex Link ペアを設定できます。たとえば、Flex Link ポートが 1 ~ 100 個の VLAN に設定されている場合、最初の 50 個の VLAN のトラフィックを 1 つのポートに転送し、残りのトラフィックを他のポートに転送することができます。1 つのポートに障害が発生した場合、もう 1 つのアクティブなポートがすべてのトラフィックを転送します。障害が発生したポートが稼動状態に戻ると、優先 VLAN のトラフィックの転送が再開されます。このように、冗長性の提供とは別に、この Flex Link ペアは、ロード バランシングに使用できます。また、Flex Link VLAN のロード バランシングでは、アップリンク スイッチが制限されません。

図 20-2 VLAN Flex Link ロード バランシングの設定例

 

Flex Link マルチキャスト高速コンバージェンス

Flex Link マルチキャスト高速コンバージェンスでは、Flex Link に障害が発生したあとのマルチキャスト高速コンバージェンス時間を短縮します。これは、次のソリューションの組み合わせによって実装されます。

「他の Flex Link ポートの mrouter ポートとしての学習」

「IGMP レポートの生成」

「IGMP レポートの送信」

「構成例」

他の Flex Link ポートの mrouter ポートとしての学習

一般的なマルチキャスト ネットワークでは、VLAN ごとにクエリアがあります。ネットワークのエッジに配置されたスイッチには、クエリーを受信する Flex Link ポートの 1 つがあります。また、Flex Link ポートは常に指定された時間に転送を行います。

クエリーを受信するポートは、mrouter ポートとしてスイッチに追加されます。mrouter ポートは、スイッチが学習したすべてのマルチキャスト グループの一部です。切り替え後のクエリーは他の Flex Link ポートによって受信されます。そしてその Flex Link ポートが mrouter ポートとして学習されます。切り替え後のマルチキャスト トラフィックは他の Flex Link ポートを通過します。トラフィックのコンバージェンスをより速く行うには、片方の Flex Link ポートが mrouter ポートとして学習されたときに、両方の Flex Link ポートを mrouter ポートとして学習させます。どちらの Flex Link ポートも、常にマルチキャスト グループの一部です。

どちらの Flex Link ポートも通常の動作モードではマルチキャスト グループの一部ですが、バックアップ ポートのトラフィックはすべてブロックされます。そのため、バックアップ ポートを mrouter ポートとして追加しても、通常のマルチキャスト データ フローには影響しません。切り替えが発生すると、バックアップ ポートのブロックは解除され、トラフィックが通過できるようになります。この場合、アップストリームのマルチキャスト データは、バックアップ ポートのブロックが解除されるとすぐに通過します。

IGMP レポートの生成

切り替え後にバックアップ リンクが起動すると、アップストリームの新しいディストリビューション スイッチはマルチキャスト データの転送を開始しません。これは、ブロックされている Flex Link ポートに接続されている上流のルータのポートがマルチキャスト グループの一部ではないためです。バックアップ リンクはブロックされるため、ダウンストリームのスイッチはマルチキャスト グループのレポートを転送しません。マルチキャスト グループを学習するまで、データはこのポートを通過しません。レポートを受信した後にだけ、学習されます。

レポートは、一般クエリーを受信したときにホストによって送信されます。また、一般クエリーは通常 60 秒以内に送信されます。バックアップ リンクが転送を開始する場合、マルチキャスト データのコンバージェンスを速く実行するには、一般クエリーを待たずに、ダウンストリームのスイッチがこのポートで学習したすべてのグループのプロキシ レポートをすぐに送信します。

IGMP レポートの送信

損失を最小限にしたままマルチキャスト トラフィック コンバージェンスを行うには、Flex Link のアクティブ リンクがダウンする前に、冗長データ パスを設定する必要があります。これは、Flex Link のバックアップ リンクに IGMP レポートのパケットだけを送信することによって実行できます。送信された IGMP レポート メッセージはアップストリームの分散ルータによって処理されます。そのため、マルチキャスト データ トラフィックはバックアップ インターフェイスに転送されます。バックアップ インターフェイスのすべての着信トラフィックはアクセス スイッチの入力時に廃棄されるため、重複したマルチキャスト トラフィックをホストが受信することはありません。Flex Link のアクティブ リンクに障害が発生した場合、アクセス スイッチはすぐにバックアップ リンクからのトラフィックの受信を開始します。この方式の唯一の欠点は、ディストリビューション スイッチ間のリンクの帯域幅と、ディストリビューション スイッチとアクセス スイッチ間のバックアップ リンクの帯域幅を消費することです。デフォルトではこの機能はディセーブルで、switchport backup interface interface-id multicast fast-convergence コマンドを使用して設定できます。

切り替え時にこの機能がイネーブルになると、スイッチは転送ポートになったバックアップ ポートでプロキシ レポートを生成しません。

構成例

次に、Flex Link がギガビット イーサネット1/0/11 およびギガビット イーサネット1/0/12 に構成された場合に、他の Flex Link ポートを mrouter ルータとして学習する場合の構成例と、show interfaces switchport backup コマンドの出力を示します。

Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitehernet1/0/11
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitehernet1/0/12
Switch(config-if)# exit
Switch(config)# interface gigabitehernet1/0/12
Switch(config-if)# switchport trunk encapsulation dot1q
Switch(config-if)# switchport mode trunk
Switch(config-if)# end
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
GigabitEthernet1/0/11 GigabitEthernet1/0/12 Active Up/Backup Standby
Preemption Mode : off
Multicast Fast Convergence : Off
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/11), 100000 Kbit (Gi1/0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
 

この出力は VLAN 1 と 401 のクエリアを示しており、そのクエリーはギガビット イーサネット1/0/11 を介してスイッチに到達します。

Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
1 1.1.1.1 v2 Gi1/0/11
401 41.41.41.1 v2 Gi1/0/11
 

VLAN 1 および 401 の show ip igmp snooping mrouter コマンドの出力を次に示します。

Switch# show ip igmp snooping mrouter
Vlan ports
---- -----
1 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
401 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
 

同様に、どちらの Flex Link ポートも学習済みグループの一部です。この例では、ギガビット イーサネット2/0/11 は VLAN 1 のレシーバーまたはホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関心を持っています。

Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
 

ホストが一般クエリーに応答するとき、スイッチはすべての mrouter ポートにこのレポートを転送します。この例では、ホストがグループ 228.1.5.1 のレポートを送信する場合、ギガビット イーサネット1/0/11 だけに転送されます。これは、バックアップ ポートのギガビット イーサネット1/0/12 がブロックされているためです。アクティブ リンクであるギガビット イーサネット1/0/11 がダウンした場合、バックアップ ポートであるギガビット イーサネット1/0/12 が転送を開始します。

このポートが転送を開始すると、スイッチはすぐにそのホストに代わってグループ 228.1.5.1 と 228.1.5.2 のプロキシ レポートを送信します。上流のルータはグループを学習し、マルチキャスト データの転送を開始します。これが Flex Link のデフォルトの動作です。この動作は、ユーザが switchport backup interface gigabitEthernet 1/0/12 multicast fast-convergence コマンドを使用して高速コンバージェンスを設定すると変更されます。次の例では、この機能をオンにします。

Switch# configure terminal
Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z.
Switch(config)# interface gigabitethernet 1/0/11
Switch(config-if)# switchport backup interface gigabitethernet 1/0/12 multicast fast-convergence
Switch(config-if)# exit
Switch# show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/11 GigabitEthernet1/0/12 Active Up/Backup Standby
Preemption Mode : off
Multicast Fast Convergence : On
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/11), 100000 Kbit (Gi1/0/12)
Mac Address Move Update Vlan : auto
 

この出力は VLAN 1 と 401 のクエリアを示しており、そのクエリーはギガビット イーサネット1/0/11 を介してスイッチに到達します。

Switch# show ip igmp snooping querier
Vlan IP Address IGMP Version Port
-------------------------------------------------------------
1 1.1.1.1 v2 Gi1/0/11
401 41.41.41.1 v2 Gi1/0/11
 

VLAN 1 および 401 の show ip igmp snooping mrouter コマンドの出力を次に示します。

Switch# show ip igmp snooping mrouter
Vlan ports
---- -----
1 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
401 Gi1/0/11(dynamic), Gi1/0/12(dynamic)
 

同様に、どちらの Flex Link ポートも学習済みグループの一部です。この例では、ギガビット イーサネット2/0/11 は VLAN 1 のレシーバーまたはホストであり、2 つのマルチキャスト グループに関心を持っています。

Switch# show ip igmp snooping groups
Vlan Group Type Version Port List
-----------------------------------------------------------------------
1 228.1.5.1 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
1 228.1.5.2 igmp v2 Gi1/0/11, Gi1/0/12, Gi2/0/11
 

ホストが一般クエリーに応答するとき、スイッチは常にすべての mrouter ポートにこのレポートを転送します。コマンドライン ポートからこの機能をオンにして、ギガビット イーサネット1/0/11 のスイッチがレポートを転送すると、バックアップ ポートのギガビット イーサネット1/0/12 にも送信されます。上流のルータはグループを学習し、マルチキャスト データの転送を開始します。このデータは、ギガビット イーサネット1/0/12 がブロックされているため、入力時に廃棄されます。アクティブ リンクであるギガビット イーサネット1/0/11 がダウンした場合、バックアップ ポートであるギガビット イーサネット1/0/12 が転送を開始します。上流のルータによってマルチキャスト データはすでに転送されているため、プロキシ レポートを送信する必要はありません。バックアップ ポートにレポートを送信することにより、マルチキャストの冗長パスが設定され、マルチキャスト トラフィックのコンバージェンスにかかる時間が最小限で済みます。

MAC アドレス テーブル移動更新

MAC アドレス テーブル移動更新機能を使用すると、プライマリ(フォワーディング)リンクがダウンし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始するときに、スイッチで双方向の高速コンバージェンスを提供できます。

図 20-3 のスイッチ A はアクセス スイッチで、スイッチ A のポート 1 およびポート 2 は、Flex Link のペアを介してアップリンク スイッチ B および D に接続されています。ポート 1 はトラフィックを転送し、ポート 2 はバックアップ ステート状態です。PC からサーバへのトラフィック転送は、ポート 1 から ポート 3 へ流れます。PC の MAC アドレスはスイッチ C のポート 3 で学習されます。サーバから PC へのトラフィック転送は、ポート 3 からポート 1 へ流れます。

MAC アドレス テーブル移動更新機能が設定されていない状態でポート 1 がダウンすると、ポート 2 がトラフィック転送を開始します。短時間、スイッチ C はポート 3 を使用してサーバから PC へのトラフィックを転送しますが、PC はポート 1 がダウンしているため、そのトラフィックを受信しません。スイッチ C がポート 3 の PC の MAC アドレスを削除してポート 4 で再度学習すると、サーバから PC へのトラフィックを転送できます(ポート 2 を使用します)。

図 20-3 で、MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定してスイッチ上でイネーブルにしている場合、ポート 1 がダウンしても、ポート 2 がPC からサーバへトラフィック転送を開始します。スイッチは MAC アドレス テーブル移動更新パケットをポート 2 から送信します。スイッチ C はこのパケットをポート 4 で受信すると、すぐに PC のポート 4 の MAC アドレスを学習するため、コンバージェンスを繰り返す時間を短縮できます。

アクセス スイッチ(スイッチ A)を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 できます。また、アップリンク スイッチ B、C、D を設定して MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 し、処理することもできます。スイッチ C は MAC アドレス テーブル移動更新メッセージをスイッチ A から受信すると、PC のポート 4 の MAC アドレスを学習します。次に、スイッチ C は PC の転送テーブルのエントリを含む MAC アドレス テーブルを更新します。

スイッチ A は、MAC アドレス テーブルの更新を待つ必要はありません。スイッチは、ポート 1 の障害を検出すると、すぐに新しい転送ポートであるポート 2 からのサーバ トラフィックの転送を開始します。この変更は 100 ミリ秒(ms)で行われます。PC はスイッチ A に直接接続されます。接続のステータスは変わりません。スイッチ A は、MAC アドレス テーブルの PC エントリを更新する必要はありません。

図 20-3 MAC アドレス テーブル移動更新の設定例

 

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新の設定

ここでは、次の情報について説明します。

「デフォルト設定」

「設定時の注意事項」

「Flex Link の設定」

「Flex Link での VLAN ロード バランシングの設定」

「MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定」

デフォルト設定

Flex Link は設定されていません。また、バックアップ インターフェイスも定義されていません。

プリエンプト モードはオフです。

プリエンプト遅延は 35 秒です。

MAC アドレス テーブル移動更新機能はスイッチに設定されていません。

設定時の注意事項

Flex Link を設定するときには、次の注意事項に従ってください。

最大 16 個のバックアップ リンクを設定できます。

アクティブ リンクに対し、Flex Link のバックアップ リンクを 1 つだけ設定できます。このリンクはアクティブ インターフェイスとは異なるインターフェイスである必要があります。

インターフェイスは Flex Link ペアの 1 つにだけ、所属できます。インターフェイスは 1 つのアクティブ リンクに対してだけ、バックアップ リンクになれます。アクティブ リンクは別の Flex Link ペアに所属できません。

どちらのリンクも EtherChannel のポートにはなれません。ただし、ポート チャネルまたは物理インターフェイスのいずれかがアクティブ リンクである場合、ポート チャネル 2 つ(EtherChannel 論理インターフェイス)を Flex Link として、またポート チャネルと物理インターフェイスを Flex Link として設定できます。

バックアップ リンクはアクティブ リンクと同じタイプ(ファスト イーサネット、ギガビット イーサネット、またはポート チャネル)にする必要はありません。ただし、スタンバイ リンクがトラフィックの転送を開始した場合に、ループや動作変更が起きないように、両方の Flex Link を類似の特性で設定する必要があります。

Flex Link ポートでは、STP はディセーブルです。ポートの VLAN に STP が設定されていても、Flex Link ポートは STP に参加しません。STP がイネーブルでない場合、設定したトポロジーでループが発生しないようにしてください。Flex Link の設定が削除されると、そのポートで STP が再びイネーブルになります。

Flex Link の機能で VLAN のロード バランシングを設定するときには、次の注意事項に従ってください。

Flex Link VLAN ロード バランシングでは、バックアップ インターフェイスで優先 VLAN を選択する必要があります。

同じ Flex Link ペアに、プリエンプト メカニズムと VLAN ロード バランシングを設定できません。

MAC アドレス テーブル移動更新機能を設定するときには、次の注意事項に従ってください。

MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 送信 する場合、この機能をアクセス スイッチに設定してイネーブルにします。

MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを 受信 する場合、この機能をアップリンク スイッチに設定してイネーブルにします。

Flex Link の設定

Flex Link のペアを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

 

コマンド
目的

ステップ 1

configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

interface interface-id

インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 6 です。

ステップ 3

switchport backup interface interface-id

物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。

ステップ 4

end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 5

show interfaces [ interface-id ] switchport backup

設定を確認します。

ステップ 6

copy running-config startup config

(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

Flex Link バックアップ インターフェイスをディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。

次に、バックアップ インターフェイスを装備し、設定を確認するようにインターフェイスを設定する例を示します。

Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet1/0/2
Switch(conf-if)# end
 
Switch# show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
 
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/1 GigabitEthernet1/0/3 Active Standby/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-3,5-4094
Vlans Preferred on Backup Interface: 4
 

Flex Link のペアのプリエンプト方式を設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

 

コマンド
目的

ステップ 1

configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

interface interface-id

インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 6 です。

ステップ 3

switchport backup interface interface-id

物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。

ステップ 4

switchport backup interface interface-id preemption mode [ forced | bandwidth | off ]

Flex Link インターフェイス ペアのプリエンプト メカニズムおよび遅延を設定します。次のようにプリエンプトを設定できます。

forced:アクティブ インターフェイスが常にバックアップをプリエンプトに設定します。

bandwidth:広帯域幅を持つインターフェイスが常にアクティブ インターフェイスとして動作します。

off:アクティブからバックアップへのプリエンプトは発生しません。

ステップ 5

switchport backup interface interface-id preemption delay delay-time

ポートが別のポートのプリエンプトを実行するまでの遅延時間を設定します。

(注) 遅延時間の設定は、forced および bandwidth モードでだけ機能します。

ステップ 6

end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 7

show interfaces [ interface-id ] switchport backup

設定を確認します。

ステップ 8

copy running-config startup config

(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

プリエンプト方式を削除するには、 no switchport backup interface interface-id preemption mode インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。遅延時間をデフォルトにリセットするには、 no switchport backup interface interface-id preemption delay インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。

次に、バックアップ インターフェイス ペアに対して forced としてプリエンプト モードを設定して設定を確認する例を示します。

Switch# configure terminal
Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet1/0/2 preemption mode forced
Switch(conf-if)#switchport backup interface gigabitethernet1/0/2 preemption delay 50
Switch(conf-if)# end
 
Switch# show interfaces switchport backup detail
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/21 GigabitEthernet1/0/2 Active Up/Backup Standby
Interface Pair : Gi1/0/1, Gi1/0/2
Preemption Mode : forced
Preemption Delay : 50 seconds
Bandwidth : 100000 Kbit (Gi1/0/1), 100000 Kbit (Gi1/0/2)
Mac Address Move Update Vlan : auto

Flex Link での VLAN ロード バランシングの設定

Flex Link で VLAN のロード バランシングを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

 

コマンド
目的

ステップ 1

configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

interface interface-id

インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 6 です。

ステップ 3

switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-range

物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定し、そのインターフェイスで伝送される VLAN を指定します。VLAN ID の範囲は 1 ~ 4094 です。

ステップ 4

end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 5

show interfaces [ interface-id ] switchport backup

設定を確認します。

ステップ 6

copy running-config startup config

(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

VLAN ロード バランシング機能をディセーブルにするには、 no switchport backup interface interface-id prefer vlan vlan-range インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。

次の例では、VLAN 1 ~ 50、60、および 100 ~ 120 がスイッチに設定されています。

Switch(config)#interface gigabitethernet 2/0/6
Switch(config-if)#switchport backup interface gigabitethernet 2/0/8 prefer vlan 60,100-120
 

両方のインターフェイスが起動している場合、Gi2/0/8 が VLAN 60 および 100 から 120 のトラフィックを転送し、Gi2/0/6 が VLAN 1 ~ 50 のトラフィックを転送します。

Switch#show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
 
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Up/Backup Up
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
 

Flex Link インターフェイスがダウンした場合(LINK_DOWN)、このインターフェイスで優先される VLAN が Flex Link ペアのピア インターフェイスに移動されます。この例では、Gi2/0/6 がダウンした場合、Gi2/0/8 が Flex Link ペアのすべての VLAN を移動します。

Switch#show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
 
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Down/Backup Up
 
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
 

Flex Link インターフェイスが起動すると、このインターフェイスで優先される VLAN がピア インターフェイスでブロックされ、起動したインターフェイスでフォワーディング ステートに移行します。この例では、インターフェイス Gi2/0/6 が起動すると、このインターフェイスで優先される VLAN がピア インターフェイス Gi2/0/8 でブロックされ、Gi2/0/6 で転送されます。

Switch#show interfaces switchport backup
Switch Backup Interface Pairs:
 
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet2/0/6 GigabitEthernet2/0/8 Active Up/Backup Up
 
Vlans Preferred on Active Interface: 1-50
Vlans Preferred on Backup Interface: 60, 100-120
 
Switch#show interfaces switchport backup detail
Switch Backup Interface Pairs:
 
Active Interface Backup Interface State
------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet1/0/3 GigabitEthernet1/0/4 Active Down/Backup Up
 
Vlans Preferred on Active Interface: 1-2,5-4094
Vlans Preferred on Backup Interface: 3-4
Preemption Mode : off
Bandwidth : 10000 Kbit (Gi1/0/3), 100000 Kbit (Gi1/0/4)
Mac Address Move Update Vlan : auto

MAC アドレス テーブル移動更新機能の設定

ここでは、次の情報について説明します。

スイッチを設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信する。

スイッチを設定して、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信する。

MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するようにアクセス スイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

 

コマンド
目的

ステップ 1

configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

interface interface-id

インターフェイスを指定し、インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。インターフェイスは、物理レイヤ 2 インターフェイスにすることも、ポート チャネル(論理インターフェイス)にすることもできます。指定できるポートチャネルの範囲は 1 ~ 6 です。

ステップ 3

switchport backup interface interface-id

または

switchport backup interface interface-id mmu primary vlan vlan-id

物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を、インターフェイスを装備した Flex Link ペアの一部として設定します。MAC アドレス テーブル移動更新の VLAN がインターフェイスで一番小さい VLAN ID です。

物理レイヤ 2 インターフェイス(またはポート チャネル)を設定し、MAC アドレステーブル移動更新の送信に使用される、インターフェイス上の VLAN ID を指定します。

1 つのリンクがトラフィックを転送している場合、残りのインターフェイスはスタンバイ モードです。

ステップ 4

end

グローバル コンフィギュレーション モードに戻ります。

ステップ 5

mac address-table move update transmit

アクセス スイッチをイネーブルにして、ネットワーク内の他のスイッチに MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信します(プライマリ リンクがダウンし、スイッチがスタンバイ リンクを使用してトラフィックの転送を開始する場合)。

ステップ 6

end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 7

show mac address-table move update

設定を確認します。

ステップ 8

copy running-config startup config

(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update transmit インターフェイス コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。

次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを送信するように、アクセス スイッチを設定する例を示します。

Switch(conf)# interface gigabitethernet1/0/1
Switch(conf-if)# switchport backup interface gigabitethernet1/0/2 mmu primary vlan 2
Switch(conf-if)# exit
Switch(conf)# mac address-table move update transmit
Switch(conf)# end
 

次に、設定を確認する例を示します。

Switch# show mac-address-table move update
Switch-ID : 010b.4630.1780
Dst mac-address : 0180.c200.0010
Vlans/Macs supported : 1023/8320
Default/Current settings: Rcv Off/On, Xmt Off/On
Max packets per min : Rcv 40, Xmt 60
Rcv packet count : 5
Rcv conforming packet count : 5
Rcv invalid packet count : 0
Rcv packet count this min : 0
Rcv threshold exceed count : 0
Rcv last sequence# this min : 0
Rcv last interface : Po2
Rcv last src-mac-address : 000b.462d.c502
Rcv last switch-ID : 0403.fd6a.8700
Xmt packet count : 0
Xmt packet count this min : 0
Xmt threshold exceed count : 0
Xmt pak buf unavail cnt : 0
Xmt last interface : None
 

MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信して、その処理を実行するようにスイッチを設定するには、特権 EXEC モードで次の手順を実行します。

 

コマンド
目的

ステップ 1

configure terminal

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

mac address-table move update receive

スイッチをイネーブルにして MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信し、その処理を実行します。

ステップ 3

end

特権 EXEC モードに戻ります。

ステップ 4

show mac address-table move update

設定を確認します。

ステップ 5

copy running-config startup config

(任意)スイッチのスタートアップ コンフィギュレーション ファイルに設定を保存します。

MAC アドレス テーブル移動更新機能をディセーブルにするには、 no mac address-table move update receive コンフィギュレーション コマンドを使用します。MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示するには、 show mac address-table move update 特権 EXEC コマンドを使用します。

次に、MAC アドレス テーブル移動更新メッセージを受信して、その処理を実行できるようにスイッチを設定する例を示します。

Switch# configure terminal
Switch(conf)# mac address-table move update receive
Switch(conf)# end

Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新機能のモニタ

表 20-1 に、Flex Link 設定および MAC アドレス テーブル移動更新情報をモニタする特権 EXEC コマンドを示します。

 

表 20-1 Flex Link および MAC アドレス テーブル移動更新情報のモニタ コマンド

コマンド
目的

show interfaces [ interface-id ] switchport backup

1 つのインターフェイスに設定された Flex Link バックアップ インターフェイス、または設定した Flex Link すべてと、アクティブおよびバックアップ インターフェイスそれぞれのステート(アップまたはスタンバイ モード)を表示します。VLAN ロード バランシングがイネーブルの場合、出力にはアクティブおよびバックアップ インターフェイスの優先 VLAN が表示されます。

show mac address-table move update

スイッチの MAC アドレス テーブル移動更新情報を表示します。