Cisco Nexus 7000 シリーズ NX-OS マルチキャスト ルーティング コンフィギュレーション ガイド リリー ス 5.x
概要
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発行日;2012/01/31 | 英語版ドキュメント(2011/12/16 版) | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 2MB) | フィードバック

目次

概要

マルチキャストに関する情報

マルチキャスト配信ツリー

送信元ツリー

共有ツリー

双方向共有ツリー

マルチキャスト転送

Cisco NX-OS PIM および PIM6

ASM

Bidir

SSM

マルチキャスト用 RPF ルート

IGMP および MLD

IGMP スヌーピング

ドメイン内マルチキャスト

SSM

MSDP

MBGP

MRIB および M6RIB

仮想ポート チャネルおよびマルチキャスト

シャーシに F シリーズと M シリーズの両方のモジュールが搭載されている場合のマルチキャスト

マルチキャスト機能のライセンス要件

マルチキャスト機能のハイ アベイラビリティ要件

その他の関連資料

関連資料

シスコのテクニカル サポート

概要

この章では、Cisco NX-OS のマルチキャスト機能について説明します。

この章は、次の内容で構成されています。

「マルチキャストに関する情報」

「マルチキャスト機能のライセンス要件」

「マルチキャスト機能のハイ アベイラビリティ要件」

「その他の関連資料」

マルチキャストに関する情報

IP マルチキャストは、ネットワーク内の複数のホストに同じ IP パケット セットを転送する機能です。IPv4 と IPv6 の両方のネットワークで、マルチキャストを使用して、複数の受信者に効率的にデータを送信できます。


) トンネル インターフェイスでは、Protocol-Independent Multicast(PIM)はサポートされていません。


マルチキャストは、マルチキャスト データの配信機能と、送信元および受信者の検出機能からなり、マルチキャスト データは、グループと呼ばれる IP マルチキャスト アドレス宛に送信されます。多くの場合、グループおよび送信元 IP アドレスを含むマルチキャスト アドレスは、チャネルと呼ばれます。Internet Assigned Number Authority(IANA)では、IPv4 マルチキャスト アドレスとして、224.0.0.0 ~ 239.255.255.255 を割り当てています。詳細については、次の URL を参照してください。 http://www.iana.org/assignments/multicast-addresses

IPv6 マルチキャスト アドレスは 0xFF から始まります。IPv6 のアドレッシング アーキテクチャは、 RFC 4291 で規定されています。IANA で予約されているアドレスの詳細については、次の URL を参照してください。 http://www.iana.org/assignments/ipv6-multicast-addresses


) マルチキャスト関連の RFC の一覧については、付録 A「IP マルチキャストに関する IETF RFC」を参照してください。


ネットワーク上のルータは、受信者からのアドバタイズメントを検出して、マルチキャスト データの要求対象となるグループを特定します。その後、ルータは送信元からのデータを複製して、対象の受信者へと転送します。グループ宛のマルチキャスト データが送信されるのは、そのデータを要求する受信者を含んだ LAN セグメントだけです。

図 1-1 に、1 つの送信元から 2 つの受信者へと、マルチキャスト データを送信する場合の例を示します。この図で、中央のホストが属する LAN セグメントにはマルチキャスト データを要求する受信者が存在しないため、このホストは受信者にデータを転送しません。

図 1-1 1 つの送信元から 2 つの受信者へのマルチキャスト トラフィック

 

ここでは、次の内容について説明します。

「マルチキャスト配信ツリー」

「マルチキャスト転送」

「Cisco NX-OS PIM および PIM6」

「IGMP および MLD」

「IGMP スヌーピング」

「ドメイン内マルチキャスト」

「MRIB および M6RIB」

「仮想ポート チャネルおよびマルチキャスト」

「シャーシに F シリーズと M シリーズの両方のモジュールが搭載されている場合のマルチキャスト」

マルチキャスト配信ツリー

マルチキャスト配信ツリーとは、送信元と受信者を中継するルータ間の、マルチキャスト データの伝送パスを表します。マルチキャスト ソフトウェアはサポートするマルチキャスト方式に応じて、タイプの異なるツリーを構築します。

ここでは、次の内容について説明します。

「送信元ツリー」

「共有ツリー」

「双方向共有ツリー」

送信元ツリー

送信元ツリーは、ネットワーク経由でマルチキャスト トラフィックを伝送する場合の最短パスです。送信元から特定のマルチキャスト グループへと送信されたマルチキャスト トラフィックが、同じグループにトラフィックを要求する受信者へと転送されます。送信元ツリーは、最短パスとしての特性から、Shortest Path Tree(SPT; 最短パス ツリー)と呼ばれることがあります。図 1-2 に、ホスト A を起点とし、ホスト B および C に接続されているグループ 224.1.1.1 の送信元ツリーを示します。

図 1-2 送信元ツリー

 

(S, G) は、グループ G の送信元 S から送信されるマルチキャスト トラフィックを表します。図 1-2 の SPT は、(192.1.1.1, 224.1.1.1) と書き表されます。同じグループの複数の送信元からトラフィックを送信できます。

共有ツリー

共有ツリーとは、共有ルート、つまり Rendezvous Point(RP; ランデブー ポイント)から各受信者に、ネットワーク経由でマルチキャスト トラフィックを伝送する共有配信パスを表します(RP は各送信元への SPT を作成します)。共有ツリーは、RP Tree(RPT; RP ツリー)とも呼ばれます。図 1-3 に、ルータ D を RP とする場合の、グループ 224.1.1.1 の共有ツリーを示します。データはホスト A およびホスト D からルータ D(RP)に送信され、そこから受信者ホスト B およびホスト C にトラフィックが転送されます。

図 1-3 共有ツリー

 

(*, G) は、グループ G の任意の送信元から送信されるマルチキャスト トラフィックを表します。図 1-3 の共有ツリーは、(*, 224.2.2.2) と書き表されます。

双方向共有ツリー

双方向共有ツリーとは、共有ルート、つまり Rendezvous Point(RP; ランデブー ポイント)から各受信者に、ネットワーク経由でマルチキャスト トラフィックを伝送する共有配信パスを表します。マルチキャスト データは、RP への経路上にある受信者に転送されます。図 1-4 に、双方向共有ツリーの利点を示します。マルチキャスト トラフィックはルータ B および C を経由して、ホスト A からホスト B に直接送信されます。共有ツリーの場合、送信元ホスト A から送信されたデータは、まず RP(ルータ D)に送信され、ルータ B に転送されてからホスト B に伝送されます。

図 1-4 双方向共有ツリー

 

(*, G) は、グループ G の任意の送信元から送信されるマルチキャスト トラフィックを表します。図 1-4 の双方向ツリーは、(*, 224.2.2.2) と書き表されます。

マルチキャスト転送

マルチキャスト トラフィックは任意のホストを含むグループ宛に送信されるため、ルータは Reverse Path Forwarding(RPF)を使用して、グループのアクティブな受信者にデータをルーティングします。受信者がグループに加入すると、送信元方向へ向かうパス(Source-Specific Multicast(SSM)モードの場合)、または RP 方向へ向かうパス(Any Source Multicast(ASM)または Bidirectional Shared Trees(Bidir; 双方向共有ツリー)モードの場合)が形成されます。送信元から受信者へのパスは、受信者がグループに加入したときに作成されたパスと逆方向になります。

マルチキャスト パケットが着信するたびに、ルータは RPF チェックを実行します。送信元に接続されたインターフェイスにパケットが着信した場合は、グループの Outgoing Interface(OIF; 発信インターフェイス)リスト内の各インターフェイスからパケットが転送されます。それ以外の場合、パケットはドロップされます。


Bidir モードでは、パケットが非 RPF インターフェイスに着信した際に、インターフェイスが Designated Forwarder(DF)として選択されていれば、パケットは RP に向かうアップストリーム方向にも転送されます。DF の詳細については、「Designated Forwarder」を参照してください。


図 1-5 に、異なるインターフェイスから着信したパケットについて、RPF チェックを行う場合の例を示します。E0 に着信したパケットは、RPF チェックに失敗します。これは、ユニキャスト テーブルで、対象の送信元ネットワークがインターフェイス E1 に関連付けられているためです。E1 に着信したパケットは、RPF チェックに合格します。これは、ユニキャスト ルート テーブルで、対象の送信元ネットワークがインターフェイス E1 に関連付けられているためです。

図 1-5 RPF チェックの例

 

Cisco NX-OS PIM および PIM6

Cisco NX-OS は Protocol Independent Multicast(PIM)スパース モードを使用したマルチキャストをサポートしています。PIM は IP ルーティング プロトコルに依存せず、使用されているすべてのユニキャスト ルーティング プロトコルが提供するユニキャスト ルーティング テーブルを利用できます。PIM スパース モードでは、ネットワーク上の要求元だけにマルチキャスト トラフィックが伝送されます。PIM デンス モードは Cisco NX-OS ではサポートされていません。


) このマニュアルで、「PIM」という用語は PIM スパース モード バージョン 2 を表します。


マルチキャスト コマンドにアクセスするには、PIM または PIM6 機能をイネーブルにする必要があります。ドメイン内の各ルータのインターフェイス上で、PIM または PIM6 をイネーブルにしないかぎり、マルチキャスト機能はイネーブルになりません。IPv4 ネットワークの場合は PIM を、IPv6 ネットワークの場合は PIM6 を設定します。システムでは、Internet Group Management Protocol(IGMP; インターネット グループ管理プロトコル)および Multicast Listener Discovery(MLD)がデフォルトで稼動しています。

マルチキャスト対応ルータ間で使用される PIM は、マルチキャスト配信ツリーを構築して、ルーティング ドメイン内にグループ メンバシップをアドバタイズします。PIM は、複数の送信元からのパケットが転送される共有配信ツリーと、単一の送信元からのパケットが転送される送信元配信ツリーを構築します。

配信ツリーは、リンク障害またはルータ障害のためにトポロジが変更されると、トポロジを反映して自動的に変更されます。PIM はマルチキャスト対応の送信元および受信者を動的に追跡します。ただし、Bidir モードの場合、送信元ステートは生成されません。

ルータはユニキャスト ルーティング テーブルおよび RPF ルートを使用して、マルチキャストを実行するためのマルチキャスト ルーティング情報を生成します。Bidir モードの場合は、追加ルーティング情報が生成されます。


) このマニュアルで、「IPv4 の PIM」および「IPv6 の PIM6」は、Cisco NX-OS に実装されている PIM スパース モードを表します。PIM ドメインには、IPv4 と IPv6 の両方のネットワークを含めることができます。


図 1-6 に、IPv4 ネットワーク内の 2 つの PIM ドメインを示します。

図 1-6 IPv4 ネットワーク内の PIM ドメイン

 

次に、図 1-6 で示した PIM の要素について説明します。

矢印の付いた直線は、ネットワークで伝送されるマルチキャスト データのパスを表します。マルチキャスト データは送信元ホストの A および D から発信されます。

点線でつながれているルータ B および Fは、Multicast Source Discovery Protocol(MSDP)ピアです。MSDP を使用すると、他の PIM ドメイン内にあるマルチキャスト送信元を検出できます。

ホスト B およびホスト C ではマルチキャスト データを受信するため、Internet Group Management Protocol(IGMP; インターネット グループ管理プロトコル)を使用して、マルチキャスト グループへの加入要求をアドバタイズします。

ルータ A、C、および D は Designated Router(DR; 代表ルータ)です。LAN セグメントに複数のルータが接続されている場合は(C や E など)、PIM ソフトウェアによって DR となるルータが 1 つ選択されます。これにより、マルチキャスト データの窓口として、1 つのルータだけが使用されます。

ルータ B とルータ F は、それぞれ異なる PIM ドメインの Rendezvous Point(RP; ランデブー ポイント)です。RP は、複数の送信元と受信者を接続するため、PIM ドメイン内の共通ポイントとして機能します。

図 1-7 に、IPv6 ネットワーク内の 2 つの PIM6 ドメインを示します。IPv6 ネットワークの場合、マルチキャスト データを受信する受信者は、Multicast Listener Discovery(MLD)プロトコルを使用してマルチキャスト グループへの加入要求をアドバタイズします。IPv6 では MSDP がサポートされないため、他の PIM ドメインに属するマルチキャスト送信元は検出できません。IPv6 ピアを設定し、Source-Specific Multicast(SSM)および Multiprotocol Border Gateway Protocol(MBGP)を使用すると、PIM6 ドメイン間でマルチキャスト データを転送することができます。詳細については、「ドメイン内マルチキャスト」を参照してください。

図 1-7 IPv6 ネットワーク内の PIM6 ドメイン

 

PIM は送信元と受信者間の接続に関して、3 つのマルチキャスト モードをサポートしています。

Any Source Multicast(ASM)

Source Specific Multicast(SSM)

双方向共有ツリー(Bidir)

Cisco NX-OS では上記モードを組み合わせて、さまざまな範囲のマルチキャスト グループに対応することができます。マルチキャスト用の RPF ルートを定義することもできます。

ここでは、次の内容について説明します。

「ASM」

「SSM」

「Bidir」

「マルチキャスト用 RPF ルート」

ASM

Any Source Multicast(ASM)は PIM ツリー構築モードの 1 つです。新しい送信元および受信者を検出する場合には共有ツリーを、受信者から送信元への最短パスを形成する場合は送信元ツリーを使用します。共有ツリーでは、Rendezvous Point(RP; ランデブー ポイント)と呼ばれるネットワーク ノードをルートとして使用します。送信元ツリーは第 1 ホップ ルータをルートとし、アクティブな発信元である各送信元に直接接続されています。ASM モードでは、グループ範囲に対応する RP が必要です。RP は静的に設定することもできれば、Auto-RP プロトコルまたは Bootstrap Router(BSR; ブートストラップ ルータ)プロトコルを使用して、グループと RP 間の関連付けを動的に検出することもできます。学習された RP が Bidir-RP であるかどうかが不明な場合、グループは ASM モードで動作します。

RP を設定する場合、デフォルト モードは ASM モードです。

ASM の設定方法については、「ASM および Bidir の設定」を参照してください。

Bidir

Bidirectional shared tree(Bidir; 双方向共有ツリー)は ASM モードと同様、受信者と RP の間の共有ツリーを構築する PIM モードです。ただし、グループに新しい受信者が追加された場合、送信元ツリーに切り替えることはできません。Bidir モードの場合、受信者に接続されたルータは、RP を経由することなく Designated Router(DR; 代表ルータ)から受信者に直接マルチキャスト データを転送できることから、Designated Forwarder(DF; 代表フォワーダ)と呼ばれます。Bidir モードを利用するには、RP を設定する必要があります。

Bidir モードを使用すると、マルチキャスト送信元が多数存在する場合に、ルータに必要なリソース量を削減するとともに、RP の動作ステータスや接続ステータスに関係なく、運用を継続できます。

Bidir の設定方法については、「ASM および Bidir の設定」を参照してください。

SSM

Source-Specific Multicast(SSM)は、マルチキャスト送信元への加入要求を受信する LAN セグメント上の代表ルータを起点として、送信元ツリーを構築する PIM モードです。送信元ツリーは、PIM 加入メッセージを送信元方向に送信することで構築されます。SSM モードでは、RP を設定する必要がありません。

SSM モードの場合、PIM ドメインの外部にある送信元と受信者を接続できます。

SSM の設定方法については、「SSM の設定」を参照してください。

マルチキャスト用 RPF ルート

スタティック マルチキャスト RPF ルートを設定すると、ユニキャスト ルーティング テーブルの定義内容を無効にすることができます。この機能は、マルチキャスト トポロジとユニキャスト トポロジが異なる場合に使用されます。

マルチキャスト用 RPF ルートの設定方法については、「マルチキャスト用 RPF ルートの設定」を参照してください。

IGMP および MLD

システムは、PIM の場合は Internet Group Management Protocol(IGMP; インターネット グループ管理プロトコル)を、PIM6 の場合は Multicast Listener Discovery(MLD)をデフォルトで実行しています。

IGMP および MLD プロトコルは、マルチキャスト グループのメンバシップを要求するため、マルチキャスト データを受信する必要があるホストで使用されます。グループ メンバシップが確立されると、対象のグループのマルチキャスト データが要求元ホストの LAN セグメントに転送されます。

インターフェイスには IGMPv2 または IGMPv3 を設定できます。SSM モードをサポートする場合は、IGMPv3 を使用するのが一般的です。デフォルトでは IGMPv2 がイネーブルになっています。

インターフェイスには MLDv1 または MLDv2 を設定できます。SSM モードをサポートする場合は、MLDv2 を使用するのが一般的です。デフォルトでは MLDv2 がイネーブルになっています。

IGMP および MLD の設定方法については、 第 2 章「IGMP の設定」 および 第 3 章「MLD の設定」 を参照してください。

IGMP スヌーピング

IGMP スヌーピングは、VLAN で既知の受信者に接続された一部のポートだけにマルチキャスト トラフィックを転送する機能です。対象ホストからの IGMP メンバシップ レポート メッセージを調べる(スヌーピングする)ことにより、マルチキャスト トラフィックは対象ホストが接続された VLAN ポートだけに送信されます。システムでは、IGMP スヌーピングがデフォルトで稼動しています。

IGMP スヌーピングの設定方法については、 第 5 章「IGMP スヌーピングの設定」 を参照してください。

ドメイン内マルチキャスト

Cisco NX-OS では、PIM ドメイン間でマルチキャスト トラフィック送信を実行するための方法が提供されます。

ここでは、次の内容について説明します。

「SSM」

「MSDP」

「MBGP」

SSM

PIM ソフトウェアは SSM を使用して、受信者の代表ルータから既知の送信元 IP アドレスへの最短パス ツリーを構築します。この場合、送信元は別の PIM ドメイン内にあってもかまいません。ASM および Bidir モードの場合、別の PIM ドメインから送信元にアクセスするには、別のプロトコルを使用する必要があります。

ネットワークで PIM または PIM6 をイネーブルにすると、SSM を使用し、受信者の代表ルータが IP アドレスを把握している任意のマルチキャスト送信元への接続パスを確立できます。

SSM の設定方法については、「SSM の設定」を参照してください。

MSDP

Multicast Source Discovery Protocol(MSDP)は、PIM と組み合わせて使用することで、異なる PIM ドメイン内にあるマルチキャスト送信元を検出できるようにするマルチキャスト ルーティング プロトコルです。


) Cisco NX-OS では、MSDP 設定が不要な PIM Anycast-RP をサポートしています。PIM Anycast-RP の詳細については、「PIM Anycast-RP セットの設定」を参照してください。


MSDP の詳細については、 第 6 章「MSDP の設定」 を参照してください。

MBGP

Multiprotocol BGP(MBGP)は BGP4 の拡張機能であり、ルータによるマルチキャスト ルーティング情報の伝送を可能にします。このマルチキャスト情報を使用すると、PIM および PIM6 を介して、外部の BGP Autonomous System(AS; 自律システム)内の送信元と通信できます。

MBGP の詳細については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Unicast Routing Command Reference, Release 5.x 』を参照してください。

MRIB および M6RIB

Cisco NX-OS IPv4 Multicast Routing Information Base(MRIB)は、PIM や IGMP などのマルチキャスト プロトコルで生成されるルート情報を格納するためのリポジトリです。MRIB はルート情報自体には影響を及ぼしません。MRIB は Virtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)の Virtual Routing and Forwarding(VRF; 仮想ルーティングおよびフォワーディング)インスタンスごとに、独立したルート情報を保持します。VDC の詳細については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide, Release 4.2 』を参照してください。

MRIB が IPv4 ルーティング情報を保持するのと同じように、M6RIB は、PIM6 や MLD などのプロトコルによって生成される IPv6 ルーティング情報を保持します。

図 1-8 に、Cisco NX-OS マルチキャスト ソフトウェア アーキテクチャの主要コンポーネントを示します。

Multicast Forwarding Information Base(MFIB および M6FIB)Distribution(MFDM)API:MRIB や M6RIB を含むマルチキャスト レイヤ 2 およびレイヤ 3 コントロール プレーン モジュールと、プラットフォーム転送プレーン間のインターフェイスを定義します。コントロール プレーン モジュールは、MFDM API を使用してレイヤ 3 ルート アップデートおよびレイヤ 2 ルックアップ情報を送信します。

マルチキャスト FIB 配信プロセス:すべての関連モジュールおよびスタンバイ スーパーバイザに、マルチキャスト アップデート メッセージを配布します。このプロセスはスーパーバイザだけで実行されます。

レイヤ 2 マルチキャスト クライアント プロセス:レイヤ 2 マルチキャスト ハードウェア転送パスを構築します。このプロセスは、スーパーバイザとモジュールの両方で実行されます。

ユニキャストおよびマルチキャスト FIB プロセス:レイヤ 3 ハードウェア転送パスを管理します。このプロセスは、スーパーバイザとモジュールの両方で実行されます。

図 1-8 Cisco NX-OS マルチキャスト ソフトウェアのアーキテクチャ

 

仮想ポート チャネルおよびマルチキャスト

virtual Port Channel(vPC; 仮想ポート チャネル):1 台のデバイスで 2 台のアップストリーム スイッチのポート チャネルを使用できるようにします。vPC を設定すると、次のマルチキャスト機能に影響が及ぶ可能性があります。

PIM および PIM6:Nexus 7000 シリーズ デバイス対応の Cisco NX-OS ソフトウェアは、vPC 上の PIM SSM または BIDR をサポートしません。Cisco NX-OS ソフトウェアは、vPC 上の PIM ASM を完全にサポートします。

IGMP スヌーピング:vPC ピアの設定を同一にする必要があります。設定の注意事項については、 第 5 章「IGMP スヌーピングの設定」 を参照してください。

vPC の詳細については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Interfaces Configuration Guide, Release 5.x 』を参照してください。

シャーシに F シリーズと M シリーズの両方のモジュールが搭載されている場合のマルチキャスト

Cisco NX-OS Release 5.1 以降では、Cisco Nexus 7000 シリーズのシャーシに、レイヤ 2 専用モジュールである F シリーズ モジュールを追加できます。すでに M シリーズ モジュールが搭載されているシャーシにこのモジュールを追加する場合、マルチキャストをプロビジョニングできます。

この機能の詳細については、 第 7 章「F シリーズ モジュールでのマルチキャスト相互動作の設定」 を参照してください。

マルチキャスト機能のライセンス要件

次に、ライセンスを必要とするマルチキャスト機能を示します。

PIM および PIM6

MSDP

マルチキャスト ライセンスの詳細については、「PIM および PIM6 のライセンス要件」および「MSDP のライセンス要件」を参照してください。

次に、ライセンスが不要なマルチキャスト機能を示します。

IGMP

MLD

IGMP スヌーピング

Cisco NX-OS のライセンス方式の詳細については、『 Cisco NX-OS Licensing Guide 』を参照してください。

マルチキャスト機能のハイ アベイラビリティ要件

マルチキャスト ルーティング プロトコルを再起動すると、MRIB プロセスによってステートが回復されます。スーパーバイザのスイッチオーバーが発生した場合、MRIB はハードウェアからステートを回復し、マルチキャスト プロトコルは定期的なメッセージ アクティビティからステートを回復します。ハイ アベイラビリティの詳細については、『 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS High Availability and Redundancy Guide, Release 5.x 』を参照してください。

その他の関連資料

マルチキャストの実装に関する詳細情報については、次の項目を参照してください。

「関連資料」

付録 A「IP マルチキャストに関する IETF RFC」

「シスコのテクニカル サポート」

関連資料

関連項目
マニュアル名

VDC

『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Virtual Device Context Command Reference, Release 5.x

CLI コマンド

『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Multicast Routing Command Reference, Release 5.x

シスコのテクニカル サポート

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