Cisco Nexus 7000 シリーズ NX-OS MPLS コンフィギュレーション ガイド
概要
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発行日;2012/05/09 | 英語版ドキュメント(2011/10/28 版) | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 6MB) | フィードバック

目次

概要

MPLS の概要

MPLS の用語

MPLS の利点

ラベル スイッチング機能

MPLS ラベル

ラベル インポジション

ラベル スワッピング

ラベル ディスポジション

ラベル バインディングの配布

MPLS およびルーティング

6PE と 6VPE

6VPE による MPLS 転送

MPLS ラベル スイッチングと HA

MPLS の仮想化サポート

注意事項と制限事項

概要

この章では、Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)配布プロトコルについて説明します。

この章では、次の内容について説明します。

「MPLS の概要」

「MPLS の用語」

「MPLS の利点」

「ラベル スイッチング機能」

「MPLS ラベル」

「ラベル バインディングの配布」

「MPLS およびルーティング」

「6PE と 6VPE」

「MPLS ラベル スイッチングと HA」

「MPLS の仮想化サポート」

「注意事項と制限事項」

MPLS の概要

MPLS は、高性能のパケット転送テクノロジーであり、データリンク層(レイヤ 2)スイッチングのパフォーマンスおよびトラフィック管理機能と、ネットワーク層(レイヤ 3)ルーティングの拡張性、柔軟性、およびパフォーマンスが統合されています。MPLS により、サービス プロバイダーは既存のインフラストラクチャを犠牲にすることなく差別化サービスを提供できます。

MPLS の用語

このマニュアルでは、次の MPLS 用語を使用しています。

Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング) :イーサネット、ATM、フレーム リレー、SONET などのデータリンク層プロトコルから独立した、拡張性の高いデータ伝送メカニズム。

Label Distribution Protocol(MPLS; ラベル配布プロトコル) :2 つの Label Switch Router(LSR; ラベル スイッチ ルータ)がラベル マッピング情報を交換するメカニズム。このプロトコルは IETF( RFC 5036 )によって定義されます。

Label Edge Router(LDP; ラベル エッジ ルータ) :MPLS ネットワークのエッジで動作するルータ。LER は、適切なラベルを特定して適用し、ラベル付けされたパケットを MPLS ドメイン内に転送します。

Provider Edge(PE; プロバイダー エッジ) :MPLS ドメインへの入力ルータまたは出力ルータ(あるいはその両方)として動作する LER。

Label Forwarding Information Base(LFIB; ラベル転送情報ベース) :ネットワーク内のホップバイホップ パスを決定するために使用されるルーティング情報。

Label Switch Router(LSR; ラベル スイッチ ルータ) :MPLS ネットワーク内でのパケットのルーティングに使用されるラベルをスイッチングするルータ。

Label Switched Path(LSP; ラベル スイッチド パス) :LDP や Border Gateway Protocol(BGP; ボーダー ゲートウェイ プロトコル)などのシグナリング プロトコルによって定義される、MPLS ネットワーク内のルート。このパスは Forward Equivalence Class(FEC; 転送同等クラス)の基準に基づいて設定されます。

Forwarding Equivalence Class(FEC; 転送同等クラス) :類似の特性を持ち、同じ MPLS ラベルにバインドされる可能性のあるパケットのセット。FEC は Label Switched Path(LSP; ラベル スイッチド パス)に対応する傾向があります。ただし、1 つの LSP が複数の FEC で使用される場合もあります。

MPLS の利点

MPLS は、サービス プロバイダー ネットワークに対して、次のような利点をもたらします。

サービス プロバイダー ネットワーク内の Virtual Private Network(VPN; バーチャル プライベート ネットワーク)サービスに対するスケーラブルなサポート。

MPLS VPN は高い拡張性を備えており、サイトやカスタマーの増加に対応できます。MPLS VPN は、サービス プロバイダー ネットワーク内の VPN サイト間の「any-to-any」通信もサポートしています 個々の MPLS VPN ユーザにとって、サービス プロバイダーのネットワークは、ユーザがその VPN 組織内の他のサイトには到達できても他の VPN 組織のサイトには到達できないプライベート IP バックボーンとして機能しているように見えます。

ユーザの視点に立つと、MPLS VPN によってネットワーク ルーティングが大幅に簡略化されます。たとえば、MPLS VPN ユーザは、サービス プロバイダーのバックボーンをデフォルト ルートとして使用して他のすべての VPN サイトと通信できます。

明示的ルーティング機能(制約ベースのルーティングまたはトラフィック エンジニアリングとも呼ばれる)では、トラフィック フローのパスがトラフィック フローのリソース要件(制約)を満たす最短パスとなる制約ベースのルーティングが使用されます。

MPLS トラフィック エンジニアリングでは、サービス プロバイダー ネットワークの管理者が、帯域幅要件、メディア要件、トラフィック フロー間のプライオリティなどの条件を使用して、次の作業を行うことができます。

ネットワーク内のトラフィック フローの制御

ネットワーク内の輻輳の削減

ネットワーク リソースの最適利用

ネットワーク管理者は、ネットワーク内のさまざまなポイント間を流れると予測されるトラフィックの量を指定でき(それによってトラフィック マトリクスを確立)、さらにルーティング システムを利用して次の作業を行うことができます。

ネットワーク トラフィックの最良パスの計算

トラフィックを伝送する明示パスの設定

ラベル スイッチング機能

従来のレイヤ 3 転送メカニズムでは、パケットがネットワークを通過するときに、各ルータがレイヤ 3 ヘッダーからパケットの転送に関連するすべての情報を抽出します。ルータは、この情報をパケットのネクスト ホップを判別するためのルーティング テーブル検索のインデックスとして使用します。

最も一般的な状況では、ヘッダー内の関連フィールドは宛先アドレス フィールドだけですが、場合によっては他のヘッダー フィールドが関連することもあります。そのため、ヘッダー分析は、パケットが通過する各ルータで個別に行う必要があります。また、各ルータで複雑なテーブル検索も行う必要があります。

ラベル スイッチングでは、レイヤ 3 ヘッダーの分析は 1 回だけ行われます。そのあと、レイヤ 3 ヘッダーは、 ラベル と呼ばれる固定長の構造化されていない値にマッピングされます。

複数の異なるヘッダーで常に同じネクスト ホップが選択される場合は、これらのヘッダーを同じラベルにマッピングできます。ラベルは、 転送同等クラス 、つまり実際には異なっていたとしても転送機能には区別できない一連のパケットを表します。

最初のラベル選択は、レイヤ 3 パケット ヘッダーの内容だけに基づいている必要はありません。たとえば、後続ホップでの転送判断はルーティング ポリシーに基づくこともあります。

図 1-1 に、カスタマーに属する IP ネットワークの 2 つのサイトを接続する MPLS ネットワークを示します。

図 1-1 カスタマーに属する IP ネットワークの 2 つのサイトを接続する MPLS ネットワーク


図 1-1 に示すネットワークは双方向ですが、以下の説明ではパケットが左から右へ移動すると仮定しています。


表 1-1 図 1-1 で使用されている記号の意味を示します。

 

表 1-1 デバイスの記号

記号
意味

CE1

カスタマー装置 1

PE1

サービス プロバイダー エッジ ルータ(入力 LSR)

P1

サービス プロバイダーのネットワークのコア内のサービス プロバイダー ルータ

P2

サービス プロバイダーのネットワークのコア内のサービス プロバイダー ルータ

PE2

サービス プロバイダー エッジ ルータ(出力 LSR)

CE2

カスタマー装置 2


) PE1 および PE2 は、MPLS ネットワークと IP ネットワークの境界にあります。


図 1-1 では、次の動作が発生します。

1. CE1 から送信されたパケットが Provider Edge(PE; プロバイダー エッジ)ルータである PE1 に IP パケットとして送信されます。

2. PE1 は、このパケットにラベルをプッシュし(ラベル インポジション)、MPLS パケットとしてネクスト ホップに送信します。

3. ルータ P1 と P2 は、パケットを次のマシンへ転送するときにパケット上のラベルを交換します。これをラベル スワッピングと呼びます。

4. PE2 は、ラベルをパケットからポップし(ラベル ディスポジション)、パケットを IP パケットとして CE2 に転送します。

MPLS ラベル

MPLS ラベルは、次の要素で構成されます。

20 ビットのラベル値。

Quality of Service(QoS)プライオリティと Explicit Congestion Notification(ECN; 明示的輻輳通知)を示す 3 ビットのトラフィック クラス フィールド。

スタックの最下部を示す 1 ビットのフラグ。このフラグが設定されている場合は、現在のラベルがスタック内の最後のラベルであることを意味します。

8 ビットの Time-to-Live(TTL; 存続可能時間)フィールド。

1 つのパケットに複数のラベルをプッシュできます。これをラベル スタックと呼びます。ラベル スタックは、パケットのフレーム ヘッダーとレイヤ 3 ヘッダーの間に挿入されます。

ここでは、次の内容について説明します。

「ラベル インポジション」

「ラベル スワッピング」

「ラベル ディスポジション」

ラベル インポジション

Provider Edge(PE; プロバイダー エッジ)の入力 LSR では、着信パケットのヘッダーが検査され、パケットを特定の FEC にマッピングするラベル スタックが割り当てられます。パケットにラベルがプッシュされた後、パケットが最初のホップに転送されます。

ラベル インポジションには、設定、ラベル配布方法、および着信パケットのタイプにより、次のようにさまざまなケースがあります。

LDP に送信される着信 IPv4 パケットでは、LDP ラベルがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネルに送信される着信 IPv4 パケットでは、TE ラベルがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネルに送信される着信 IPv4 パケットでは、TE バックアップ内部ラベルと TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネル経由で LDP に送信される着信 IPv4 パケットでは、LDP ラベルと TE ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネル経由で LDP に送信される着信 IPv4 パケットでは、LDP ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

LDP 内のレイヤ 3 VPN に送信される着信 IPv4 パケットでは、VPN ラベルと LDP ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネル内のレイヤ 3 VPN に送信される着信 IPv4 パケットでは、VPN ラベルと TE ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネル内のレイヤ 3 VPN に送信される着信 IPv4 パケットでは、VPN ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネル経由で LDP 内のレイヤ 3 VPN に送信される着信 IPv4 パケットでは、VPN ラベル、LDP ラベル、および TE ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネル経由で LDP 内のレイヤ 3 VPN に送信される着信 IPv4 パケットでは、VPN ラベル、LDP ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

IPv6 パケットを MPLS バックボーン経由で送信することを 6PE/6VPE といいます。この場合、パケットに IPv4 ヘッダーは付加されません。

LDP に送信される着信 6PE パケットでは、BGP ラベルと LDP ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネルに送信される着信 6PE パケットでは、BGP ラベルと TE ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネルに送信される着信 6PE パケットでは、BGP ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネル経由で LDP に送信される着信 6PE パケットでは、BGP ラベル、LDP ラベル、および TE ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネル経由で LDP に送信される着信 6PE パケットでは、BGP ラベル、LDP ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

LDP に送信される着信 6VPE パケットでは、VPN ラベルと LDP ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネルに送信される着信 6VPE パケットでは、VPN ラベルと TE ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネルに送信される着信 6VPE パケットでは、VPN ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネル経由で LDP に送信される着信 6VPE パケットでは、VPN ラベル、LDP ラベル、および TE ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネル経由で LDP に送信される着信 6VPE パケットでは、VPN ラベル、LDP ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

ラベル スワッピング

ラベル付きパケットが MPLS ドメイン内を通過するときに、各ホップでラベル スタックの最も外側のラベルが調べられます。ラベルの内容により、スワップ、プッシュ(インポーズ)、ポップ(ディスポーズ)のいずれかの操作がラベル スタックに対して実行されます。転送の決定は、パケット ヘッダー内のラベルの MPLS テーブル検索によって行われます。パケットがネットワークを通過する間にパケット ヘッダーを再評価する必要はありません。ラベルは固定長で構造化されていないため、MPLS 転送テーブル検索プロセスは単純かつ高速です。

スワップ操作では、ラベルが新しいラベルと交換され、パケットが新しいラベルによって決定されるネクスト ホップに転送されます。

プッシュ操作では、新しいラベルが既存のラベルの上にプッシュされ、パケットが別のレイヤにカプセル化されます。このプロセスにより、MPLS パケットの階層型ルーティングが可能になります。カプセル化は MPLS VPN で使用されるプロセスです。

次のように、ラベルが交換された後、さらに別のラベルがパケット ヘッダーにプッシュされる場合もあります。

バックアップ ルートがある TE トンネルを通過するパケットでは、TE ラベルが削除され、TE バックアップ内部ラベルと TE バックアップ外部ラベルを含むラベル スタックがパケット ヘッダーにプッシュされます。

TE トンネル経由で LDP を通過するパケットでは、元の LDP ラベルが削除され、ラベル スタック、新しい LDP ラベル、および TE ラベルがパケット ヘッダーにプッシュされます。

バックアップ ルートがある TE トンネル経由で LDP を通過するパケットでは、元の LDP ラベルが削除され、ラベル スタック、新しい LDP ラベル、TE バックアップ内部ラベル、および TE バックアップ外部ラベルがパケット ヘッダーにプッシュされます。

ポップ操作では、パケットからラベルが削除され、その下の内部ラベルが現れる場合があります。ポップされたラベルがラベル スタックの最後のラベルである場合、パケットは MPLS ドメインの外部へ転送されます。通常、このプロセスは出力 LSR で行われます。

ラベル ディスポジション

Provider Edge(PE; プロバイダー エッジ)の出力 LSR では、パケット ヘッダーから MPLS ラベル スタックが削除され、IPv4 パケットまたは IPv6 パケットは前方に転送されます。このプロセスをディスポジションと呼びます。

出力 LSR よりも前のホップで MPLS ラベル スタックがパケット ヘッダーから削除される場合もあります。このプロセスを Penultimate Hop Popping(PHP)と呼びます。PHP を使用すると、出力 LSR に直接接続された中継ルータは、最後のラベルをポップし、パケットを転送することにより、LSR の CPU 負荷を確実に軽減できます。

ラベル バインディングの配布

ネットワーク内の各 LSR は、転送同等クラスを表すためにどのラベル値を使用するかについて独立したローカルな決定を行います。この対応関係は、 ラベル バインディング といいます。各 LSR は、自身が行ったラベル バインディングをネイバーに通知します。このようにネイバー ルータにラベル バインディングを認識させる処理は、次のプロトコルによって促進されます。

LDP:通常ルーティングされるパスでの MPLS 転送をサポート

Resource Reservation Protocol(RSVP; リソース予約プロトコル):MPLS トラフィック エンジニアリングをサポート

Border Gateway Protocol(BGP; ボーダー ゲートウェイ プロトコル):MPLS VPN および 6PE/6VPE カプセル化をサポート

ラベル付きパケットが LSR A から隣接する LSR B に送信されるときに、IP パケットによって伝送されるラベル値は、LSR B がパケットの転送同等クラスを表すために割り当てたラベル値です。このラベル値は、IP パケットがネットワークを通過するときに変更されます。

MPLS およびルーティング

ラベルは転送同等クラスを表し、ネットワーク内の特定のパスを表すわけではありません。ネットワーク内のパスは、従来どおり、Open Shortest Path First(OSPF)、Enhanced Interior Gateway Routing Protocol(IGP; 拡張内部ゲートウェイ ルーティング プロトコル)、BGP など、既存のレイヤ 3 ルーティング アルゴリズムによって選択されます。つまり、ラベルが検索される各ホップで、ダイナミック ルーティング アルゴリズムによってネクスト ホップが選択されます。

6PE と 6VPE

MPLS を介した Provider Edge(PE; プロバイダー エッジ)ルータ上に IPv6 を実装でき、これを 6PE と呼びます。また、MPLS を介した IPv6 VPN を 6VPE と呼びます。

IPv6 over MPLS バックボーンを使用すると、孤立した複数の IPv6 ドメインが、MPLS IPv4 コア ネットワークを介して互いに通信できます。6PE は、既存の MPLS IPv4 コア ネットワークを介した IPv6 トラフィックの伝送をサポートします。この実装では、転送が IP ヘッダーそれ自体ではなくラベルに基づいて行われるため、コア ルータを再設定する必要はなく、コスト効率に優れた IPv6 展開方法となります。

6PE は、PE ルータ上の IPv4 ネットワーク コンフィギュレーションに含まれるマルチプロトコル BGP 拡張を利用して、アドバタイズする各 IPv6 アドレス プレフィクスについて MPLS ラベルに加えて IPv6 到着可能性情報も交換します。PE ルータは、IPv4 と IPv6 の両方を実行するデュアル スタックとして設定され、IPv4 射影 IPv6 アドレスを使用して IPv6 プレフィクスの到達可能性情報を交換します。PE ルータが 6PE/6VPE プレフィクスに対してアドバタイズするネクスト ホップは、IP v4 L3 VPN ルートで使用される IPv4 アドレスのままです。IPv4 射影 IPv6 アドレスである IPv4 ネクスト ホップの先頭に値 ::FFFF: が付加されます。

IPv4 と IPv6 の両方を実行するデュアル スタック PE ルータを使用し、IPv6 プレフィクスの到着可能性情報を交換するときにはネクスト ホップに IPv4 射影 IPv6 アドレスを使用します。システムは、ラベル付きのマルチプロトコル BGP(MP-BGP)を使用して IPv6 ルートを交換し、IPv4 ルーティングおよびシグナリングを使用する 2 つの PE ルータ間に MPLS LSP を設定します。入力 PE ルータは、BGP ラベルをインポーズし、IP 射影 IPv6 ネクスト ホップに基づいて IPv6 トラフィックを LSP に誘導します。この場合も、コア ルータはスイッチ ラベルを使用し、IPv6 転送は使用しません。出力 PE ルータは、内部ラベルを使用するか、ルート検索を実行して、IPv6 パケットを転送します。

IPv6 トラフィックのトランスペアレントをすべてのコア ルータに対して維持するために、ラベルの階層が 6PE 入力ルータでインポーズされています。宛先の IPv6 プレフィクスに自動的に割り当てられる一番下のラベルは、マルチプロトコル BGP によって配布され、各 6PE 出力ルータで IPv6 転送のために使用されます。

IPv6 の内部および外部 BGP マルチパスにより、IPv6 ルータは、同一の隣接する Autonomous System(AS; 自律システム)や同じメトリックであるサブ AS など、宛先に到達するさまざまなパスの間でロード バランシングを実行できます。6PE マルチパス機能では、Multiprotocol internal BGP(MP-iBGP; マルチプロトコル内部 BGP)を使用して、MPLS IPv4 コア ネットワークを介して IPv6 ルートを配布し、MPLS ラベルを各ルートに付加します。 maximum-paths コマンドを入力して 6PE ルータでマルチパスをイネーブルにすると、MPLS 情報が使用できる場合は、MPLS 情報(ラベル スタック)とともに、ラベル付きのパスがすべて転送テーブルにインストールされます。この機能によって、6PE と 6VPE はロード バランシングを実行できます。


) 参加するすべての iBGP ピアを address-family ipv6 labeled-unicast コマンドで設定する必要があります。


図 1-2 では、6PE ルータを IPv4 と IPv6 の両方のトラフィックをルーティングできるデュアルスタック ルータとして設定しています。各 6PE ルータについて、IPv4 ラベルをバインドするプロトコルを実行するように設定します。6PE ルータでは、MP-iBGP を使用して、MPLS ドメイン内の他の 6PE デバイスとの間で到着可能性情報を交換し、IPv6 集約ラベルを配布します。MPLS ドメイン内のすべての 6PE ルータおよびコア ルータ(図 1-2 で P とマークされたルータ)は、OSPF や Intermediate System-to-Intermediate System(IS-IS)などの共通の IPv4 Interior Gateway Protocol(IGP)を使用します。

図 1-2 6PE ルータ トポロジ

トラブルシューティング用の通常の MPLS コマンドに加え、 show bgp ipv6 コマンドと show ipv6 route コマンドを入力します。

6VPE による MPLS 転送

6VPE は、MPLS IPv4 プロバイダー コア ネットワークを介した VPN 接続をサポートします。この機能は 6PE とよく似ていますが、PE でのフォワーディング ルックアップに VRF テーブルを使用し、BGP の VPN アドレスファミリを使用する点が最も大きな違いです。

1 つのカスタマー サイトから IPv6 トラフィックを受信すると、入力 PE ルータは MPLS を使用して、BGP ネクストホップとして識別された出力 PE ルータに向けて、バックボーンを介して IPv6 VPN パケットをトンネリングします。入力 PE ルータは、一般的に IPv6 パケットの先頭に外部ラベルおよび内部ラベルを付加してから、出力インターフェイスにパケットを配置します。MPLS での最後から 2 番めのホップでのラベル ポップにおいて、残りの BGP ラベルはカスタマー サイトへの出力インターフェイスを表します。また、このラベルは、プロトコル バージョン(IPv6)を最後の P ルータから隠します。このようにしなかった場合、最後の P ルータで IPv6 パケットを転送する必要があります。P ルータは IPv6 VPN ルートを認識しません。IPv6 ヘッダーは 1 つ以上の MPLS ラベルの下に隠されたままになります。

ping6 コマンドと traceroute6 コマンドを使用して、データプレーン接続を検証し、ブラックホール化したトラフィックを検出できます。さらに、 show forwarding ipv6 route コマンドやトラブルシューティング用の通常の MPLS コマンドも使用できます。

6VPE では External and Internal Border Gateway Protocol(EIBGP)がサポートされており、同等の IPv4 L3 VPN 機能と同じように動作します。

レイヤ 3 VPN および 6VPE の詳細については、このガイドのパート 5 を参照してください。

MPLS ラベル スイッチングと HA

Cisco NX-OS アーキテクチャとハイ アベイラビリティ(HA)インフラストラクチャは、再起動する機能コンポーネントのサポートを提供し、デバイスおよび隣接するデバイス上の他のサービスに対してトランスペアレントに稼動を再開します。この機能により、計画的なソフトウェア変更や予期しないソフトウェア障害が発生しても稼動を継続でき、データが失われることがありません。

MPLS ラベル スイッチングは、次の Cisco NX-OS HA 機能をサポートします。

ノンストップ フォワーディング(NSF)

ステートフル HA

MPLS ラベル スイッチングは、NSF とステートフル HA を可能にする次の Cisco NX-OS HA テクノロジーをサポートします。

ステートフル プロセス再起動

Stateful Switchover(SSO; ステートフル スイッチオーバー)

In-Service Software Upgrade(ISSU; インサービス ソフトウェア アップグレード)

MPLS の仮想化サポート

このソフトウェアは、Virtual Device Context(VDC; 仮想デバイス コンテキスト)をサポートしています。MPLS の設定および動作は、VDC に対してローカルです。


) VDC およびリソースの割り当ての詳細については、『Cisco Nexus 7000 Series NX-OS Virtual Device Context Configuration Guide, Release 5.xを参照してください。


注意事項と制限事項

MPLS には、次の注意事項と制限事項があります。

パケットにプッシュされる MPLS ラベルに対応するために、コアに面した LDP インターフェイスの Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット)をデフォルトより大きな値に設定する必要があります。

M1 I/O モジュール ファミリ(N7K-M132XP-12、N7K-M148GT-11、N7K-M148GS-11、N7K-M148GS-11L、および N7K-M108X2-12L)は、すべての Cisco NX-OS MPLS 機能をサポートします。

6PE または 6VPE 機能を実装するためには、MPLS がコア IPv4 ネットワーク上で動作している必要があります。

デュアルスタック PE ルータはサポートされていますが、6PE では必須の設定ではありません。