Cisco Nexus 7000 シリーズ NX-OS MPLS コンフィギュレーション ガイド
MPLS LDP グレースフル リスタートの設定
MPLS LDP グレースフル リスタートの設定
発行日;2012/05/08 | 英語版ドキュメント(2011/10/28 版) | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 6MB) | フィードバック

目次

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定

MPLS LDP グレースフル リスタートについて

MPLS LDP グレースフル リスタートの概要

ルータで MPLS LDP グレースフル リスタートがイネーブルになっていない場合

ルータが MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートしていることをアドバタイズする方法

MPLS LDP グレースフル リスタートのライセンス要件

MPLS LDP グレースフル リスタートの前提条件

MPLS LDP グレースフル リスタートに関する注意事項と制限事項

MPLS LDP グレースフル リスタートのデフォルト設定

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定の確認

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定例

MPLS LDP グレースフル リスタートの追加情報

関連資料

RFC

MIB

MPLS LDP グレースフル リスタートの機能履歴

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定

この章では、Cisco NX-OS デバイスで Multiprotocol Label Switching(MPLS; マルチプロトコル ラベル スイッチング)Label Distribution Protocol(LDP; ラベル配布プロトコル)のグレースフル リスタートを設定する方法について説明します。

この章では、次の内容について説明します。

「MPLS LDP グレースフル リスタートについて」

「MPLS LDP グレースフル リスタートのライセンス要件」

「MPLS LDP グレースフル リスタートの前提条件」

「MPLS LDP グレースフル リスタートに関する注意事項と制限事項」

「MPLS LDP グレースフル リスタートのデフォルト設定」

「MPLS LDP グレースフル リスタートの設定」

「MPLS LDP グレースフル リスタートの設定の確認」

「MPLS LDP グレースフル リスタートの設定例」

「MPLS LDP グレースフル リスタートの追加情報」

「MPLS LDP グレースフル リスタートの機能履歴」

MPLS LDP グレースフル リスタートについて

MPLS LDP グレースフル リスタートは、一時的な LDP コントロール プレーンの中断時に、Label Switched Path(LSP; ラベル スイッチド パス)で伝送されているデータ プレーン トラフィックの Nonstop Forwarding(NSF; ノンストップ フォワーディング)のサポートを保持します。

LDP コントロール プレーンの中断は、ルータ上の LDP コントロール プレーンの再起動時などに発生します。MPLS LDP グレースフル リスタートでは、トラフィックが LDP LSP 上を転送され続けるように、そのルータとすべてのネイバーがそれぞれのフォワーディング ステートを保持します。LDP コントロール プレーンが再起動すると、そのルータとネイバーはグレースフル リスタート プロシージャを使用して、通常のコントロール プレーン操作に戻します。その結果、コントロール プレーンの再起動による中断が大幅に減少します。

ここでは、次の内容について説明します。

「MPLS LDP グレースフル リスタートの概要」

「ルータで MPLS LDP グレースフル リスタートがイネーブルになっていない場合」

「ルータが MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートしていることをアドバタイズする方法」

MPLS LDP グレースフル リスタートの概要

MPLS LDP グレースフル リスタートは、一時的な LDP コントロール プレーンの中断時に LDP LSP 上のデータ プレーン フォワーディングを保持します。中断は、スーパーバイザ スイッチオーバーによる LDP コントロール プレーンの再起動、プロセスの再起動、または 2 つの LDP コントロール プレーン間のコントロール プレーン通信を中断する TCP または UDP イベント(両方が再起動しない場合でも)によって発生することがあります。

次の例では、LDP コントロール プレーンの再起動時の MPLS LDP グレースフル リスタートの動作を説明します。この相互作用には 2 つの異なる役割があります。再起動 LDP コントロール プレーンを持つルータと再起動ルータとの LDP セッションが失われたことを検出し、回復するネイバー ルータです。それぞれが、役割に応じた MPLS LDP グレースフル リスタート プロシージャを実行します。

図 10-1 に示すトポロジには次の要素が含まれます。

3 台のルータはすべて MPLS LDP を実行し、グレースフル リスタートがイネーブルになっています。

1 つの LDP セッションは R2 と R1 間で存在し、もう 1 つの LDP セッションは R2 と R3 間で存在します。

LDP LSP は、R1 と R3 を接続し、データ トラフィックを伝送する LSP を含めて確立されています。さらに多くのルータを含むネットワークでは、複数の LSP が両方向で R1-R2-R3 を通過することがあります。

図 10-1 LDP グレースフル リスタートを使用したネットワークの例

 

次のシーケンスは、3 台のルータがどのように協調して NSF を提供し、データ トラフィックの中断を回避しているかを示しています。

1. セッションの確立時、各ルータはネイバーに対してグレースフル リスタートをサポートしていることを報告します。各セッションのエンドポイントは、セッションの両方の終端がグレースフル リスタートをサポートしているいことを認識しています。

2. R2 がスーパーバイザ スイッチオーバーを開始します。R2 の LDP コントロール プレーンとそのすべての LDP TCP 接続、および LDP UDP hello 隣接が動作を停止します。R2 のデータ プレーンが、すべてのラベル エントリを失効とマーキングしますが、MPLS データ トラフィックの転送にはこれらのエントリを引き続き使用します。

3. R1 が R2 との通信が切断されたことを認識します。(このシーケンスでは、R3 が R1 と同じアクションを実行します)。R1 は R2 からのすべてのラベル バインディングを失効とマーキングしますが、データ トラフィックの転送にはこれらのエントリを引き続き使用します。

4. R1 と R2 が LDP セッションを再確立します。R1 で show mpls ldp neighbor graceful-restart コマンドを入力すると、回復するセッションに関する情報が表示されます。

5. R2 は、ローカル ラベル バインディング情報を再取得します。R2 のデータ プレーンは、通常 R2 のコントロール プレーンに、各プレフィクス用に再起動前に使用されていたものと同じローカル ラベルを提供します。

6. 両方のルータは、それぞれのラベル バインディング情報を再アドバタイズします。R1 が R2 からラベルを再学習すると、R1 はバインディングを失効していないもとのしてマーキングします。R2 が R1 からラベルを学習し、そのラベルをデータ プレーンに発行すると、データ プレーンはエントリを失効していないものとしてマーキングします。

7. 一定の時間が経過すると、R1 の LDP コントロール プレーンは、まだ失効とマーキングされているすべてのエントリをクリーンアップします。同様に、R2 のデータ プレーンも、まだ失効とマーキングされているすべてのエントリを削除します。

一般に、このグレースフル リスタート操作中に他のネットワーク中断が発生しない場合、すべてのバインディングは、セッションの再起動前と同じラベル値でネイバーから再学習されます。このシナリオでは、回復中すべての保存済みバインディングは失効していないものとしてマーキングされ、クリーンアップが必要なエントリはありません。

LDP コントロール プレーンが再起動されない TCP または UDP 通信障害というシナリオも考えられます。このケースでは、セッションの両端にある 2 つの LDP コントロール プレーンが通信障害を検出します。各 LDP コントロール プレーンは、上述の R1 が使用した手順を適用し、NSF が実現されます。R1 は、R2 との通信障害が R2 のコントロール プレーンの再起動で発生したか、R2 のコントロール プレーンが再起動されないネットワークの問題で発生したかにかかわらず、同じ MPLS LDP グレースフル リスタート プロシージャを実行します。

ルータを再起動する前に、ルータが LDP セッションの再確立を待機する時間を制限するさまざまなタイマーを設定できます。

ルータで MPLS LDP グレースフル リスタートがイネーブルになっていない場合

MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートしないルータでコントロール プレーンの再起動が発生した場合、データ プレーンの MPLS フォワーディング エントリは解放されます。

そのようなルータのネイバーは、通信の切断を検出すると、再起動ルータからのすべてのバインディングを解放します。この動作は、ネイバーが MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートしているかどうかに関係なく発生します。MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートするネイバーは、セッションの確立時に、再起動ルータが MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートしていないことを学習します。再起動ルータとの通信が切断されたことを検出しても、ネイバーはグレースフル リスタート プロシージャを実行しません。

再起動ルータとネイバーの両方のクリーンアップ アクションによって、古い LSP でのデータ トラフィックは、リカバリ アクティビティで状況が解決されるまでドロップされます。リカバリ アクティビティには、トラフィックの再ルーティングまたは MPLS LDP LSP の再確立、またはその両方が含まれます。

ルータが MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートしていることをアドバタイズする方法

MPLS LDP グレースフル リスタートをサポートするルータはネイバーに対して、LDP 初期化メッセージの Fault Tolerant(FT; フォールト トレラント)Type-Length-Value(TLV)でその機能を通知します。ルータは、LDP セッション確立のプロセスで LDP 初期化メッセージをネイバーに送信します。

FT セッション TLV には、次の情報が含まれます。

Learn from Network(L)フラグが 1 に設定されます。これは、ルータが MPLS LDP グレースフル リスタートを実行するように設定されていることを示します。

Reconnect Timeout フィールドは、LDP セッションが失われた場合にネイバーが再接続を待機する時間(ミリ秒単位)を示します。タイマーが 0 に設定され、ローカル ルータで障害が発生している場合、ピアは回復を待ちません。

Recovery Time フィールドは、現在行われている回復中にネイバーが MPLS フォワーディング ステートを保持する必要のある時間(ミリ秒単位)を示します。たとえば、ネイバーが再起動し、再起動中に MPLS フォワーディング ステートを保持しない場合、ネイバーはリカバリ時間を 0 に設定する必要があります。


) 再接続時間は次の通信切断時に適用されますが、回復時間は、前の通信切断からの回復に適用されます。


MPLS LDP グレースフル リスタートのライセンス要件

 

製品
ライセンス要件

Cisco NX-OS

MPLS LDP グレースフル リスタートには MPLS Services ライセンスが必要です。Cisco NX-OS ライセンス方式の詳細と、ライセンスの取得および適用の方法については、『 Cisco NX-OS Licensing Guide 』を参照してください。

MPLS LDP グレースフル リスタートの前提条件

MPLS LDP グレースフル リスタートには次の前提条件があります。

デバイスで MPLS LDP をイネーブルにする必要があります。

MPLS LDP グレースフル リスタートがデバイスでディセーブルになっていないことを確認します。

Nonstop Forwarding(NFS; ノンストップ フォワーディング)を発生させるには、再起動ルータとピアに MPLS LDP グレースフル リスタートが存在する必要があります。

MPLS LDP グレースフル リスタートに関する注意事項と制限事項

MPLS LDP グレースフル リスタート設定時の注意事項と制限事項は次のとおりです。

Cisco NX-OS TCP は、自身またはクライアントのステートフル プロセス リスタートをサポートしていません。

MPLS LDP グレースフル リスタートのデフォルト設定

表 10-1 に、MPLS LDP グレースフル リスタート パラメータのデフォルト設定を示します。

 

表 10-1 デフォルトの MPLS LDP グレースフル リスタート パラメータ

パラメータ
デフォルト

MPLS LDP グレースフル リスタート

イネーブル

フォワーディング ステート保持時間

600 秒

最大リカバリ時間

120 秒

ネイバー活性タイマー

120 秒

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定

MPLS LDP グレースフル リスタート機能は、グローバルにディセーブルまたはイネーブルになります。

サービスの中断時にフォワーディングを保持するには、ルータで MPLS LDP グレースフル リスタートをディセーブルにしないでください。

LDP グレースフル リスタートをディセーブルまたはイネーブルにしても、既存の LDP セッションには影響ありません。この設定変更は、変更後に確立される新しいセッションに適用されます。

前提条件

適切な VDC であることを確認します(または、 switchto vdc コマンドを使用します)。

デバイスで MPLS LDP がイネーブルになっていることを確認します。

手順の概要

1. configure terminal

2. mpls ldp configuration

3. [ no ] graceful-restart [ timers { forwarding-holding seconds | max-recovery seconds | neighbor-liveness seconds } ]

4. (任意) show mpls ldp graceful-restart

5. (任意)show mpls ldp neighbor graceful restart

6. (任意) copy running-config startup-config

手順の詳細

 

コマンド
目的

ステップ 1

configure terminal

 

例:

switch# configure terminal

switch(config)#

グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

mpls ldp configuration

 

例:

switch(config)# mpls ldp configuration
switch(config-ldp)#

LDP コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 3

[no] graceful-restart [ timers { forwarding-holding seconds | max-recovery seconds | neighbor-liveness seconds }]

 

例:
switch(config-ldp)# graceful-restart timers max-recovery 100

サービス中断時に LDP バインディングおよび MPLS フォワーディング ステートを保護するように、ルータをディセーブルまたはイネーブルにします。MPLS LDP グレースフル リスタートはデフォルトでイネーブルになります。

(任意)デフォルト値を変更する必要がある場合、次の graceful-restart タイマーを設定できます。

forwarding-holding :コントロール プレーンの再起動後に MPLS フォワーディング ステートを保持する時間を指定します。指定できる範囲は 30 ~ 600 秒です。

max-recovery :LDP セッションが再確立されたあとに、ルータがステート ラベル FEC バインディングを保持する時間を指定します。指定できる範囲は 15 ~ 600 秒です。

neighbor-liveness :ルータが LDP セッションの再確立を待機する時間を指定します。指定できる範囲は 5 ~ 300 秒です。

ステップ 4

show mpls ldp graceful-restart

 

例:

switch(config-ldp)# show mpls ldp graceful-restart

(任意)このルータの LDP graceful-restart 設定を表示します。

ステップ 5

show mpls ldp neighbor graceful-restart

 

例:

switch(config-ldp)# show mpls ldp neighbor graceful-restart

(任意)このルータと LDP ネイバーとのセッションの graceful-restart パラメータを表示します。

ステップ 6

copy running-config startup-config

 

例:

switch(config-ldp)# copy running-config startup-config

(任意)実行コンフィギュレーションをスタートアップ コンフィギュレーションにコピーします。

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定の確認

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定を表示するには、次のいずれかの作業を行います。

 

コマンド
目的

show mpls ldp graceful-restart

LDP graceful-restart 設定を表示します。

show mpls ldp neighbor graceful-restart

ルータと LDP ネイバーとのセッションの graceful-restart パラメータを表示します。

これらのコマンド出力のフィールドの詳細については、 Cisco Nexus 7000 Series NX-OS MPLS Command Reference を参照してください。

MPLS LDP グレースフル リスタートの設定例

次に、ディセーブルになっている場合は MPLS LDP グレースフル リスタートをイネーブルにして、サービス中断時の LDP セッションを保持する例を示します。

switch# configure terminal
switch(config)# mpls ldp configuration
switch(config-ldp)# graceful-restart
switch(config-ldp)# show mpls ldp graceful-restart neighbor-liveness 200
LDP Graceful Restart is enabled
Neighbor Liveness Timer: 200 seconds
Max Recovery Time: 120 seconds
Forwarding State Holding Time: 600 seconds
Down Neighbor Database (0 records):
Graceful Restart-enabled Sessions:

MPLS LDP グレースフル リスタートの追加情報

MPLS LDP グレースフル リスタートの実装に関連する詳細情報については、次の項を参照してください。

「関連資料」

「RFC」

「MIB」

関連資料

関連項目
参照先

CLI コマンド

Cisco Nexus 7000 Series NX-OS MPLS Command Reference

RFC

RFC
タイトル

RFC 3036

『LDP Specification』

RFC 3037

LDP Applicability

RFC 3478

LDP Graceful Restart

RFC 5036

『LDP Specification』

MIB

MIB
MIB のリンク

MPLS-LDP-STD-MIB

MIB を検索およびダウンロードするには、次の URL にアクセスしてください。

http://www.cisco.com/public/sw-center/netmgmt/cmtk/mibs.shtml

MPLS LDP グレースフル リスタートの機能履歴

表 10-2 は、この機能のリリースの履歴です。

 

表 10-2 MPLS LDP グレースフル リスタートの機能履歴

機能名
リリース
機能情報

MPLS LDP グレースフル リスタート

5.2(1)

この機能が導入されました。