Cisco MDS 9000 ファミリー SMI-S プログラミング リファレンス
概要
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発行日;2012/01/08 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 799KB) | フィードバック

目次

概要

CIM について

SMI-S について

WBEM イニシアティブについて

CIM および UML 表記の概要

CIM クラスの概要

UML の概要

Cisco MDS 9000 ファミリにおける SMI-S および CIM について

概要

マルチレイヤ ディレクタおよびファブリック スイッチで構成される Cisco MDS 9000 ファミリは、Storage Management Initiative Specification(SMI-S)を使用した、業界標準の Application Programming Interface(API; アプリケーション プログラミング インターフェイス)を提供します。SMI-S を使用することで、マルチベンダー環境におけるストレージ エリア ネットワーク(SAN)の管理が容易になります。

この章の内容は、次のとおりです。

「CIM について」

「CIM および UML 表記の概要」

「Cisco MDS 9000 ファミリにおける SMI-S および CIM について」

CIM について

Common Information Model(CIM) とは、ネットワークまたはエンタープライズ環境の管理情報を記述するオブジェクト指向の情報モデルです。CIM はオブジェクト指向であるため、モデル内で抽象化や継承を行い、オブジェクト間に依存関係や関連関係を定義することができます。CIM は XML に基づいており、プラットフォームや特定の技術に依存しません。管理アプリケーションの開発者は、CIM がベンダー製品上でどのように実装されているかについて知る必要はありません。API を使用するだけで、ベンダー製品とのやりとりが実行できます。

CIM は、クライアント/サーバ モデルを使用します。CIM サーバはベンダー製品に埋め込むことができます。または、プロキシ サーバを使用して、レガシーのベンダー製品に CIM サーバ機能を提供する方法で実装することもできます。CIM クライアントは管理アプリケーションであり、複数の CIM サーバと通信して SAN を管理します。CIM クライアントは、RFC 2608 に定義されている Service Location Protocol version 2(SLPv2)を使用して CIM を検出します。SLPv2 は、通信に UDP ポート 427 を使用する、CIM のクライアント/サーバの通信パスとは別の検出プロトコルです。

CIM は、Web-Based Enterprise Management(WBEM)イニシアティブで定義されたテクノロジーを利用して、クライアントとサーバ間の通信を定義します。図1-1 に、CIM のクライアント/サーバの完全な通信パスを示します。

図1-1 CIM のクライアント/サーバ通信

 

CIM の詳細については、 http://www.dmtf.org にある DMTF の Web サイトから入手可能な仕様を参照してください。

SMI-S について

SMI-S は、CIM に基づいたオブジェクト指向モデルを使用し、SAN の要素を管理するオブジェクトとサービスのセットを定義します。SMI-S は標準化されたアーキテクチャを使用しているため、管理アプリケーションの開発者が複数の SAN ベンダー製品で稼働する共通の拡張可能なアプリケーションを作成するのに役立ちます。図1-2 にマルチベンダー SAN 環境で SMI-S を使用する例を示します。

図1-2 マルチベンダー SAN 環境での SMI-S

 

SMI-S は、プロファイルにまとめられた標準管理オブジェクトのセットを提供します。SMI-S にはいくつかのプロファイルが定義されており、スイッチ、ファブリック、ゾーニングなどの共通の SAN 要素を対象としています。これらの標準化されたプロファイルによって、SAN 内の製品間での相互運用性が確保されます。また、SMI-S は SLPv2 を使用した自動検出プロセスを定義します。SMI-S は、WBEM の一部である DMTF によって定義された CIM を使用します。

SMI-S の詳細については、 http://www.snia.org にある Storage Networking Industry Association(SNIA)の Web サイトを参照してください。


) Cisco SAN-OS Release 3.0(1) は、SMI-S 1.1.0 に準拠しています。


WBEM イニシアティブについて

WBEM イニシアティブとは、エンタープライズ コンピューティング環境を統一的に管理するために開発された管理およびインターネット標準のセットです。

WBEM イニシアティブには次のものが含まれています。

CIM ― 管理データを収集し記述するための共通のフォーマット、言語、方法論を提供します。

CIM-XML Encoding Specification ― 標準を基本にした CIM 情報を交換するための方式です。CIM-XML は xmlCIM 符号化ペイロードと、トランスポート メカニズムとしての HTTP を使用しています。CIM-XML は次の仕様で構成されています。

xmlCIM エンコーディング ― CIM 情報を XML 形式で表す一般的な方法です。

CIM Operations over HTTP ― HTTP を通じて xmlCIM 符号化メッセージを伝える方法を記述したトランスポート方式です。

WBEM イニシアティブの詳細については、 http://www.dmtf.org にある DMTF の Web サイトを参照してください。

CIM および UML 表記の概要

SMI-S は CIM で定義されたオブジェクト指向クラスを前提としています。これらのクラスの定義には、Unified Modeling Language(UML)が使用されることがよくあります。SMI-S やこのマニュアルに記載されているシスコの拡張機能を理解するには、CIM クラスおよび UML に関する基本的な知識が必要です。

CIM クラスの概要

クラスは、あるタイプのオブジェクトを定義するプロパティとメソッドの集合です。たとえば、総称としてのネットワーク デバイスはオブジェクトのタイプになります。このオブジェクトを表現する NetworkDevice クラスを定義することができます。NetworkDevice クラスには、ネットワーク デバイスのプロパティまたは属性が含まれます。ここで取り上げる NetworkDevice クラスに含まれるプロパティには、IpAddress や DeviceType があります。さらに、NetworkDevice クラスを使用してネットワーク デバイスを制御する必要があります。よって、メソッドやルーチンを追加してネットワーク デバイス上のアクションを起動します。メソッドの例としては、enablePort() や
rebootDevice() があります。

ここまでで、NetworkDevice クラスを作成したので、次にスイッチのみのクラスを定義します。スイッチは特殊なタイプの NetworkDevice であるため、オブジェクト指向のコンセプトである継承を使用して Switch クラスを定義します。NetworkDevice クラスの子クラスとして、Switch クラスを定義します。これによって、Switch クラスには自動的に親クラスのプロパティとメソッドが含まれます。ここに、スイッチ固有のプロパティおよびメソッドを追加します。

CIM には、関連クラスと呼ばれる特別なクラスが定義されています。関連クラスは、2つ以上のクラス間の関係を表現します。たとえば、関連クラスを定義して NetworkDevice クラスと
OperatingSystem クラス間の関係を示すことができます。多対 1 または多対多の関係がある場合、その関連クラスは集約であるとみなされます。

CIM の詳細については、 http://www.dmtf.org を参照してください。

UML の概要

UML は、製品またはテクノロジーを表現するクラスを視覚的に表したものです。UML には多くの視覚的要素が含まれますが、ここでは一部のみが記載されています。UML の詳細については、
http://www.uml.org を参照してください。

図1-3 に、CIM クラス用の UML ダイアグラムの例を示します。ダイアグラム内の線の色は、以下を表します。

青線:クラス間の継承

緑線:クラス間の集約

赤線:クラス間の関連

図1-3 UML ダイアグラムの例

 

Cisco MDS 9000 ファミリにおける SMI-S および CIM について

Cisco MDS 9000 ファミリの各スイッチまたはディレクタには、埋め込み CIM サーバが含まれます。CIM サーバは、SMI-S と互換性のある SAN 管理を提供するために、すべての CIM クライアントと通信します。CIM サーバには、SMI-S で定義されている以下の標準プロファイル、サブプロファイル、および機能が含まれます。

Service Location Protocol version 2(SLPv2)

サーバ プロファイル

CIM 通知

ファブリック プロファイル

ゾーニング コントロール サブプロファイル

拡張ゾーニングおよび拡張ゾーニング コントロール サブプロファイル

FDMI サブプロファイル

ブレード サブプロファイルとアクセス ポイント サブプロファイルを含むスイッチ プロファイル

WBEM イニシアティブが規定する xmlCIM エンコーディングおよび CIM Operations over HTTP

HTTPS は、Secure Socket Layer(SSL)を使用します。HTTPS の使用は任意ですが、これを使用すると、CIM サーバと CIM クライアント間の通信が暗号化されセキュリティが強化されます。

表1-1 に、Cisco SAN-OS のリリースとサポートする SMI-S のバージョンを示します。

 

表1-1 Cisco SAN-OS による SMI-S のサポート

Cisco SAN-OS のリリース
SMI-S のサポート
説明

3.3(1a)

SMI-S 1.2.0 準拠
(警告付き)

必要な通知がすべてサポートされているわけではない

WQL/CQL のサポート(制限付き)

3.0(1)

SMI-S 1.1.0 準拠

サーバ プロファイルおよびアクセス ポイント サブプロファイルの追加サポート

2.0(1b)

SMI-S 1.0.2 の
サポート

SLPv2、CIM 通知、サーバ プロファイルのサポート