Cisco MDS 9000 ファミリー コンフィギュレーション ガイド Release 2.x
SETの設定
SETの設定
発行日;2012/02/01 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 9MB) | フィードバック

目次

SETの設定

SETの概要

ライセンス要件

チューナに関する注意事項

チューナの起動

チューナの設定

nWWNの設定

仮想Nポートの設定

SCSIの読み取り/書き込みの割り当て

データ パターン

チューニング設定の確認

デフォルト設定値

SETの設定

SAN Extension Tuner(SET;SAN拡張チューナ)機能は、Cisco MDS 9000ファミリー スイッチ固有の機能です。この機能を使用すると、SCSI入出力コマンドを生成し、これらのトラフィックを特定の仮想ターゲットに向けることによって、FCIPのパフォーマンスを最適化できます。テスト入出力伝送のサイズおよびテスト時に生成する同時入出力数を指定できます。SETは1秒あたりの入出力数(IOPS)と入出力待ち時間を通知します。これらの情報は、FCIPのスループットを最適化するのに必要な同時入出力数を判断するのに役立ちます。

この章の具体的な内容は、次のとおりです。

「SETの概要」

「ライセンス要件」

「チューナに関する注意事項」

「チューナの起動」

「チューナの設定」

「nWWNの設定」

「仮想Nポートの設定」

「SCSIの読み取り/書き込みの割り当て」

「データ パターン」

「チューニング設定の確認」

「デフォルト設定値」

SETの概要

リモート コピーやデータ バックアップなどのアプリケーションは、IPネットワーク上でFCIPを使用して、地理的に分散しているSANを接続します。ファブリック全体のスループットを最大化するために、次の設定パラメータを調整することができます。

FCIPプロファイルのTCPパラメータ。これには、 max-bandwidth パラメータ、 min-available-bandwidth パラメータ、および round-trip-time などがあります( ウィンドウ管理を参照)。

アプリケーションによって生成される同時SCSI入出力数。

アプリケーションがFCIPリンク上で使用する伝送サイズ。

Cisco SAN-OS Release 2.0(1b)以降では、SETはIPSポートで実装されています。この機能がイネーブルの場合、設定されたオプションに基づいて仮想ターゲットに対してSCSI入出力コマンド(読み取りおよび書き込み)が生成されます(図 34-1を参照)。

図 34-1 仮想ターゲットに対するSCSIコマンドの生成

 

SET機能を使用すると、さまざまなSCSIトラフィック負荷を生成して調整できます。また、FCIPリンクを経由した入出力ごとのスループットと応答時間も測定されます。

ライセンス要件

SETを使用するには、SAN_EXTN_OVER_IPライセンスが必要です(「ライセンスの入手とインストール」を参照)。

チューナに関する注意事項

SANファブリックを調整する場合、次の点に注意してください。

次の実装上の詳細を確認します。

調整されるコンフィギュレーションが永続的でないこと。

作成された仮想Nポートが、ネーム サーバでサポートされるFC4機能を登録しないこと。これは、SAN内のホストがこれらのNポートを通常のイニシエータやターゲットとして検出するのを避けるためです。

SAN内の他のイニシエータからのログイン要求が拒否されること。

仮想NポートがSCSIスイート全体を実行せず、SCSI読み取り/書き込みコマンドだけを実行すること。

チューナのイニシエータはチューナのターゲットとのみ通信できること。

ギガビット イーサネット インターフェイスが物理レイヤ(GBICおよび接続ケーブル、IPアドレスは不要)でアクティブになっていることを確認します。

iSCSIインターフェイスをイネーブルにします(その他のiSCSI設定は不要)。

ネットワークでの必要性に応じて、個別のVSANまたはゾーンで仮想Nポートを設定します。

仮想Nポートのみを持つ個別のVSANは必須ではありませんが、ターゲットへのログインが拒否された場合に従来の一部のHBAがログインできない可能性がある場合に推奨されます。

同じギガビット イーサネット インターフェイスを使用して仮想NポートとFCIPリンクを設定しないでください。これは必須ではありませんが、仮想Nポートによって生成されるトラフィックがFCIPリンクのパフォーマンスを妨げる可能性がある場合に推奨されます。

チューナの起動

デフォルトで、チューニング機能はすべてのCisco MDS 9000ファミリー スイッチでディセーブルです。この機能をイネーブルにすると、チューニング機能はスイッチ全体でグローバルにイネーブルになります。

チューニング機能をイネーブルにする手順は、次のとおりです。

 

 
コマンド
目的

ステップ 1

switch# config t

コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

switch(config)# san-ext-tuner enable

チューニング機能をイネーブルにします。

switch(config)# no san-ext-tuner enable

現在適用されているチューニング設定を削除し、チューニング機能をディセーブルにします(デフォルト)。

チューナの設定

図 34-2は、スループットと待ち時間が測定されるFCIPリンクに属さないポート上で作成された仮想Nポートの物理構成例です。

図 34-2 Nポート チューニングの物理構成例

 

図 34-3は、スループットと待ち時間が測定されるFCIPリンクに属さないポート上で作成された仮想Nポートの論理構成例です。

図 34-3 FCIPリンクのNポート チューニングの論理構成例

 

FCIPリンクをチューニングする手順は、次のとおりです。


ステップ 1 スイッチ上で仮想NポートのnWWNを設定します。

ステップ 2 FCIPリンクの各端で仮想Nポートを設定します。

ステップ 3 仮想NポートがSAN内の実際のイニシエータから参照できないようにします。実際のイニシエータを分離するには、ゾーニング(「ゾーンの設定と管理」を参照)またはVSAN(「VSANの設定と管理」を参照)を使用します。

ステップ 4 SCSIの読み取りおよび書き込み入出力を開始します。

ステップ 5 スイッチ内の他のギガビット イーサネット ポートにNポートを(必要に応じて)追加し、スループットを最大化します。たとえば、FCIPポート チャネルを使用する場合に追加Nポートが必要になる可能性があります。


 

nWWNの設定

スイッチにチューナのnWWNを設定する手順は、次のとおりです。

 

 
コマンド
目的

ステップ 1

switch# san-ext-tuner

switch(san-ext)#

SETコンフィギュレーション サブモードを開始します。

ステップ 2

switch(san-ext)# nWWN 10:00:00:00:00:00:00:00

SETのnWWNを設定します。

仮想Nポートの設定

チューニング用の仮想Nポートを設定する手順は、次のとおりです。

 

 
コマンド
目的

ステップ 1

switch# san-ext-tuner

switch(san-ext)#

SETコンフィギュレーション サブモードを開始します。

ステップ 2

switch(san-ext)# nWWN 10:00:00:00:00:00:00:00

SETのnWWNを設定します。

ステップ 3

switch(san-ext)# nport pWWN 12:00:00:00:00:00:00:56 vsan 200 interface gigabitethernet 3/4

switch(san-ext-nport)#

指定されたギガビット イーサネット ポートおよびVSAN上に仮想Nポートを作成します。このNポートはイニシエータまたはターゲットとして動作できます。

switch(san-ext)# no nport pWWN 22:34:56:78:90:12:34:56 vsan 200 interface gigabitethernet 3/4

指定されたギガビット イーサネット ポートおよびVSAN上の仮想Nポートを削除します。

SCSIの読み取り/書き込みの割り当て

SCSIの読み取りコマンドおよび書き込みコマンドを1回ごと、または継続的に割り当てることができます。

SCSIの読み取りコマンドおよび(または)書き込みコマンドを1回ごとに割り当てる手順は、次のとおりです。

 

 
コマンド
目的

ステップ 1

switch# san-ext-tuner

switch(san-ext)#

SETコンフィギュレーション サブモードを開始します。

ステップ 2

switch(san-ext)# nWWN 10:00:00:00:00:00:00:00

SETのnWWNを設定します。

ステップ 3

switch(san-ext)# nport pWWN 12:00:00:00:00:00:00:56 vsan 200 interface gigabitethernet 3/4

switch(san-ext-nport)#

指定されたギガビット イーサネット ポートおよびVSAN上に仮想Nポートを作成します。このNポートはイニシエータまたはターゲットとして動作できます。

ステップ 4

switch(san-ext-nport)# read command-id 100 target 22:22:22:22:22:22:22:22 transfer-size 512000 outstanding-ios 2 num-transactions 5000000

read コマンドで、2つの保留入出力(Outstanding I/O)に512,000バイトの伝送サイズを指定します。入出力総数は5,000,000バイトです。

ステップ 5

switch(san-ext-nport)# write command-id 100 target 22:22:22:22:22:22:22:22 transfer-size 512000 outstanding-ios 2 num-transactions 5000000

ターゲットが受け取る write コマンドで、2つの保留入出力(Outstanding I/O)に512,000バイトの伝送サイズを指定します。入出力総数は5,000,000バイトです。

ステップ 6

switch(san-ext-nport)# stop command-id 100

指定されたIDを持つコマンドを停止します。

switch(san-ext-nport)# stop all

すべての保留コマンドを停止します。

ステップ 7

switch(san-ext-nport)# clear counters

現在のNポートに対応付けられたカウンタをクリアします。

ステップ 8

switch(san-ext-nport)# end

switch#

SETサブモードを終了します。

SCSI読み取り/書き込みコマンドを継続的に生成する手順は、次のとおりです。

 

 
コマンド
目的

ステップ 1

switch# san-ext-tuner

switch(san-ext)#

SETコンフィギュレーション サブモードを開始します。

ステップ 2

switch(san-ext)# nWWN 10:00:00:00:00:00:00:00

SETのnWWNを設定します。

ステップ 3

switch(san-ext)# nport pWWN 12:00:00:00:00:00:00:56 vsan 200 interface gigabitethernet 3/4

switch(san-ext-nport)#

指定されたギガビット イーサネット ポートおよびVSAN上に仮想Nポートを作成します。このNポートはイニシエータまたはターゲットとして動作できます。

ステップ 4

switch(san-ext-nport)# read command-id 100 target 22:22:22:22:22:22:22:22 transfer-size 512000 outstanding-ios 2 continuous

継続的に読み取るようにSCSIコマンドを設定します。


ヒント この保留設定を停止する場合は、stop command-idコマンドを使用します。

ステップ 5

switch(san-ext-nport)# write command-id 100 target 22:22:22:22:22:22:22:22 transfer-size 512000 outstanding-ios 2 continuous

継続的に書き込むようにSCSIコマンドを設定します。

ステップ 6

switch(san-ext-nport)# stop command-id 100

指定されたIDを持つコマンドを停止します。

switch(san-ext-nport)# stop command-id all

すべての保留コマンドを停止します。

ステップ 7

switch(san-ext-nport)# clear counters

現在のNポートに対応付けられたカウンタをクリアします。

ステップ 8

switch(san-ext-nport)# end

switch#

SETサブモードを終了します。

SCSI書き込みコマンドのTransfer Readyサイズを指定する手順は、次のとおりです。

 

 
コマンド
目的

ステップ 1

switch# san-ext-tuner

switch(san-ext)#

SETコンフィギュレーション サブモードを開始します。

ステップ 2

switch(san-ext)# nWWN 10:00:00:00:00:00:00:00

SETのnWWNを設定します。

ステップ 3

switch(san-ext)# nport pWWN 12:00:00:00:00:00:00:56 vsan 200 interface gigabitethernet 3/4

switch(san-ext-nport)#

指定されたギガビット イーサネット ポートおよびVSAN上に仮想Nポートを作成します。このNポートはイニシエータまたはターゲットとして動作できます。

ステップ 4

switch(san-ext-nport)# write command-id 100 target 22:22:22:22:22:22:22:22 transfer-size 512000 outstanding-ios 2 num-transactions 5000000

ターゲットが受け取る write コマンドで、2つの保留入出力(Outstanding I/O)に512,000バイトの伝送サイズを指定します。入出力総数は5,000,000バイトです。

ステップ 5

switch(san-ext-nport)# transfer-ready-size 512000

SCSI書き込みコマンドのターゲットとして、512,000バイトの最大Transfer Readyサイズを指定します。 write コマンドでさらに大きなサイズを指定すると、ターゲットは指定された伝送サイズに基づいて複数の伝送を実行します。

switch(san-ext-nport)# no transfer-ready-size 512000

SCSI書き込みコマンドに対して指定されたTransfer Readyサイズの設定を削除します。

ステップ 6

switch(san-ext-nport)# stop command-id 100

指定されたIDを持つコマンドを停止します。

ステップ 7

switch(san-ext-nport)# end

switch#

SETサブモードを終了します。

データ パターン

デフォルトでは、すべてゼロのパターンが仮想Nポートによって生成されるデータのパターンとして使用されます。3つの場所(bootflash:ディレクトリ、volatile:ディレクトリ、またはslot0:ディレクトリ)のいずれかからデータ パターン ファイルを選択すると、生成されるデータ パターンのファイルをオプションで指定できます。このオプションは、特にFCIPリンク上で圧縮をテストする場合に便利です。また、ベンチマーク用にCanterbury CorpusやArtificial Corpusファイルを利用することもできます。

オプションでSCSIコマンドのデータ パターンを設定する手順は、次のとおりです。

 

 
コマンド
目的

ステップ 1

switch# san-ext-tuner

switch(san-ext)#

SETコンフィギュレーション サブモードを開始します。

ステップ 2

switch(san-ext)# nport pWWN 12:00:00:00:00:00:00:56 vsan 200 interface gigabitethernet 3/4

switch(san-ext-nport)#

指定されたギガビット イーサネット ポートおよびVSAN上に仮想Nポートを作成します。このNポートはイニシエータまたはターゲットとして動作できます。

ステップ 3

switch(san-ext-nport)# data-pattern-file bootflash://DataPatternFile

read コマンドの場合はターゲットとして、 write コマンドの場合はイニシエータとしてデータを生成するように、Nポートが使用するデータ パターンを指定します。

switch(san-ext-nport)# no data-pattern-file

SCSI書き込みコマンドに対して指定されたTransfer Readyサイズの設定を削除して、すべてがゼロのパターンを使用するデフォルト設定に戻します。

ステップ 4

switch(san-ext-nport)# write command-id 100 target 22:22:22:22:22:22:22:22 transfer-size 512000 outstanding-ios 2 num-transactions 5000000

2つの保留入出力(Outstanding I/O)に512,000バイトの伝送サイズを指定します。入出力総数は5,000,000バイトです。

ステップ 5

switch(san-ext-nport)# stop command-id 100

指定されたIDを持つコマンドを停止します。

ステップ 6

switch(san-ext-nport)# clear counters

現在のNポートに対応付けられたカウンタをクリアします。

ステップ 7

switch(san-ext-nport)# end

switch#

SETサブモードを終了します。

チューニング設定の確認

Cisco MDSスイッチの現在のチューニング設定を表示するには、 show コマンドを使用します(例 34-1 34-6 を参照)。

例34-1 FLOGIデータベースのエントリの表示

switch# show flogi database ------------------------------------------------------------------------------
INTERFACE VSAN FCID PORT NAME NODE NAME ------------------------------------------------------------------------------
iscsi3/4 200 0x050000 12:00:00:00:00:00:00:56 10:00:00:00:00:00:00:00
 

例34-2 FLOGIデータベースのVSANエントリに関する詳細の表示

switch# show fcns database vsan 200
VSAN 200
--------------------------------------------------------------------------
FCID TYPE PWWN (VENDOR) FC4-TYPE:FEATURE
--------------------------------------------------------------------------
0x020000 N 22:22:22:22:22:22:22:22 scsi-fcp
0x050000 N 12:00:00:00:00:00:00:56 scsi-fcp
 

例34-3 指定されたインターフェイス上で設定されたすべての仮想Nポートの表示

switch# show san-ext-tuner interface gigabitethernet 3/4 nport pWWN 12:00:00:00:00:00:00:56 vsan 200 counters
Statistics for nport
Node name 10:00:00:00:00:00:00:00 Port name 12:00:00:00:00:00:00:56
I/Os per second : 148
Read : 0%
Write : 100%
Ingress MB per second : 0.02 MBs/sec (Max -0.02 MBs/sec)
Egress MB per second : 73.97 MBs/sec (Max -75.47 MBs/sec))
Average Response time per I/O : Read - 0 us, Write - 13432 us
Maximum Response time per I/O : Read - 0 us, Write - 6953 us
Minimum Response time per I/O : Read - 0 us, Write - 19752 us
Errors : 0
 

例34-4 指定されたギガビット イーサネット インターフェイス上で設定されたNポートの表示

switch# show san-ext-tuner interface gigabitethernet 3/1
----------------------------------------------------------------------------
Interface NODE NAME PORT NAME VSAN
----------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet3/1 10:00:00:00:00:00:00:00 10:00:00:00:00:00:00:01 91
 

例34-5 指定されたNポートに対して設定されたTransfer Readyサイズの表示

switch# show san-ext-tuner interface gigabitethernet 3/1 nport pWWN 10:0:0:0:0:0:0:1 vsan 91
Node name : 10:00:00:00:00:00:00:00
Port name : 10:00:00:00:00:00:00:01
Transfer ready size : all
 

例34-6 スイッチに設定されたすべての仮想Nポートの表示

switch# show san-ext-tuner nports
----------------------------------------------------------------------------
Interface NODE NAME PORT NAME VSAN
----------------------------------------------------------------------------
GigabitEthernet3/1 10:00:00:00:00:00:00:00 10:00:00:00:00:00:00:01 91
 

デフォルト設定値

表 34-1 に、チューニング パラメータのデフォルト設定値を示します。

 

表 34-1 チューニングのデフォルト パラメータ

パラメータ
デフォルト

チューニング

ディセーブル

Transfer Readyサイズ

SCSI write コマンドの伝送サイズと同じ

保留入出力数(Outstanding I/O)

1

トランザクション数

1

データ生成形式

すべてゼロの形式