Cisco MDS 9000 ファミリー コンフィギュレーション ガイド Release 2.x
トラフィックのトラッキングとリダイ レクト
トラフィックのトラッキングとリダイレクト
発行日;2012/02/01 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 9MB) | フィードバック

目次

トラフィックのトラッキングとリダイレクト

ポート トラッキングの概要

ポート トラッキングの用語

ポート トラッキングに関する注意事項

ポート トラッキング機能

ポート トラッキングのイネーブル化

リンク対象ポートの設定

動作バインディング

複数ポートのトラッキング

特定のVSAN内のポートのモニタ

強制シャットダウン

ポート トラッキング情報の表示

デフォルト設定値

トラフィックのトラッキングとリダイレクト

ポート トラッキングは、Cisco MDS 9000ファミリー スイッチ特有の機能です。この機能はリンクの動作ステートに関する情報を利用して、エッジ デバイスを接続するリンクの障害を引き起こします。この処理では、間接障害が直接障害に変換されるため、冗長リンクへの復旧処理が迅速化されます。ポート トラッキング機能がイネーブルになっている場合、この機能はリンク障害時に設定されたリンクをダウンにし、トラフィックを別の冗長リンクに強制的にリダイレクトします。

この章の具体的な内容は、次のとおりです。

「ポート トラッキングの概要」

「ポート トラッキングの用語」

「ポート トラッキングに関する注意事項」

「ポート トラッキング機能」

「ポート トラッキングのイネーブル化」

「リンク対象ポートの設定」

「ポート トラッキング情報の表示」

「デフォルト設定値」

ポート トラッキングの概要

一般的に、ホストはスイッチに直接接続されているリンク(直接リンク)上でのリンク障害からはすぐに復旧できます。しかし、キープアライブ メカニズムを備えたWANやMANファブリック内のスイッチ間で発生する間接的なリンク障害からの復旧は、Time Out Value(TOV;タイムアウト値)やRegistered State Change Notification(RSCN)情報などの複数の要因に左右されます( ファイバ チャネルのタイムアウト値および RSCN情報についてを参照)。

図 33-1で、ホストに対する直接リンク1に障害が発生した場合、直ちに復旧可能です。しかし、2つのスイッチ間のISL 2に障害が発生した場合、復旧はTOVやRSCNなどに左右されます。

図 33-1 ポート トラッキングによるトラフィックの復旧

 

Cisco SAN-OS Release 2.0(1b)以降では、ポート トラッキング機能によって、トポロジー変更を引き起こす障害がモニタおよび検出され、デバイスと接続されているリンクをダウンします。この機能をイネーブルにして、リンク対象ポートとトラッキング対象ポートを明示的に設定すると、Cisco SAN-OSソフトウェアはトラッキング対象ポートをモニタして、リンク ステートの変化を検出すると、リンク対象ポートの動作ステートを変更します。

ポート トラッキングの用語

この章では、次の用語を使用します。

トラッキング対象ポート ― 動作ステートが継続的にモニタされるポート。トラッキング対象ポートの動作ステートを使用して、1つまたは複数のポートの動作ステートを変更します。トラッキング対象ポートは、ファイバ チャネル、VSAN、ポート チャネル、FCIP、またはギガビット イーサネットのポートです。一般的に、EおよびTEポート モードのポートはFxポートにもなります。

リンク対象ポート ― トラッキング対象ポートの動作ステートに基づいて動作ステートが変更されるポート。リンク対象ポートは、ファイバ チャネル ポートだけです。

ポート トラッキングに関する注意事項

ポート トラッキングを設定する際、次の点に注意してください。

トラッキング対象ポートとリンク対象ポートが同じCisco MDSスイッチ上に存在することを確認します。

トラッキング対象ポートがダウンしたときに、リンク対象ポートが自動的にダウンすることを確認します。

再帰依存を回避するためにリンク対象ポートに再度トラッキング(たとえば、ポートfc1/2からポートfc2/5にトラッキングし、さらにポートfc1/2に戻す)しないでください。

ポート トラッキング機能

ポート トラッキングには次の機能があります。

トラッキング対象ポートがダウンすると、アプリケーションはリンク対象ポートをダウンさせます。トラッキング対象ポートが障害から回復し、再度アップすると、リンク対象ポートも自動的にアップします(設定が異なる場合を除く)。

トラッキング対象ポートがアップしても、リンク対象ポートを強制的にダウンしたままにすることができます。この場合、必要に応じてポートを明示的にアップする必要があります。

ポート トラッキングのイネーブル化

デフォルトで、ポート トラッキング機能はすべてのCisco MDS 9000ファミリー スイッチでディセーブルです。この機能をイネーブルにすると、ポート トラッキングはスイッチ全体でグローバルにイネーブルになります。

ポート トラッキングを設定するには、ポート トラッキング機能をイネーブルにして、トラッキング対象ポートに対応するリンク対象ポートを設定します。

ポート トラッキングをイネーブルにする手順は、次のとおりです。

 

コマンド
目的

ステップ 1

switch# config t

コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

switch(config)# port-track enable

ポート トラッキングをイネーブルにします。

switch(config)# no port-track enable

現在適用されているポート トラッキング設定を削除し、ポート トラッキングをディセーブルにします。

リンク対象ポートの設定

ポートをリンクするには、次の2通りの方法があります。

リンク対象ポートからトラッキング対象ポートへの動作バインディングを設定します(デフォルト)。

リンク対象ポートを強制的にダウンしたままにします(トラッキング対象ポートがリンク障害から回復した場合も同様)。

動作バインディング

最初のトラッキング対象ポートを設定すると、動作バインディングは自動的に有効になります。この方法を使用すると、複数のポートをモニタしたり、1つのVSAN内のポートをモニタしたりできます。

トラッキング対象ポートの動作バインディングを設定する手順は、次のとおりです。

 

コマンド
目的

ステップ 1

switch# config t

コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

switch(config)# interface fc8/6

switch(config-if)#

指定されたインターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション サブモードを開始します。これで、トラッキング対象ポートを設定できるようになります。


図 33-1で、このリンクは直接リンク1で示されます。


ステップ 3

switch(config-if)# port-track interface port-channel 1

インターフェイスfc8/6とインターフェイスport-channel 1のトラッキングを行います。port-channel 1がダウンすると、インターフェイスfc8/6もダウンします。


図 33-1で、このリンクはISL 2で示されます。


switch(config-if)# no port-track interface port-channel 1

インターフェイスfc8/6に現在適用されているポート トラッキング設定を削除します。

複数ポートのトラッキング

複数のトラッキング対象ポートの動作ステートに基づいて、リンク対象ポートの動作ステートを制御できます。複数のトラッキング対象ポートが1つのリンク対象ポートに対応付けられている場合、対応付けられたトラッキング対象ポートがすべてダウンすると、リンク対象ポートの動作ステートはダウンに設定されます。トラッキング対象ポートが1つでもアップしている場合、リンク対象ポートはアップしたままになります。

図 33-2で、直接リンク1がダウンするのは、ISL 2と3の両方に障害が発生した場合だけです。ISL 2または3が動作しているかぎり、直接リンク1はダウンしません。

図 33-2 ポート トラッキングによるトラフィックの復旧

 

複数のポートをトラッキングする手順は、次のとおりです。

 

コマンド
目的

ステップ 1

switch# config t

コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

switch(config)# interface fc8/6

指定されたインターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション サブモードを開始します。これで、トラッキング対象ポートを設定できるようになります。


図 33-2で、このリンクは直接リンク1で示されます。


ステップ 3

switch(config-if)# port-track interface port-channel 1

インターフェイスfc8/6とインターフェイスport-channel 1のトラッキングを行います。port-channel 1がダウンすると、インターフェイスfc8/6もダウンします。


図 33-2で、このリンクはISL 2で示されます。


ステップ 4

switch(config-if)# port-track interface fcip 5

インターフェイスfc8/6とインターフェイスfcip 5のトラッキングを行います。FCIP 5がダウンすると、インターフェイスfc8/6もダウンします。


図 33-2で、このリンクはISL 3で示されます。


特定のVSAN内のポートのモニタ

トラッキング対象ポート上のすべての動作VSANから特定のVSANをリンク対象ポートに対応付けるには、必要なVSANを指定します。このため、トラッキング対象ポートの詳細な設定が可能になります。トラッキング対象ポートがTEポートの場合、ポートの動作ステートがダウンにならずに、ポート上の動作VSANがダイナミックに変わる場合があります。この場合、リンク対象ポートのポートVSANは、トラッキング対象ポート上の動作VSAN上でモニタできます。

この機能を設定すると、トラッキング対象ポート上でVSANがアップしている場合にのみリンク対象ポートがアップします。


ヒント 指定するVSANは、リンク対象ポートのポートVSANと同じである必要はありません。


特定のVSANでトラッキング対象ポートをモニタする手順は、次のとおりです。

 

コマンド
目的

ステップ 1

switch# config t

コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

switch(config)# interface fc8/6

指定されたインターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション サブモードを開始します。これで、トラッキング対象ポートを設定できるようになります。

ステップ 3

switch(config-if)# port-track interface port-channel 1 vsan 2

VSAN 2でポート チャネルのトラッキングをイネーブルにします。

switch(config-if)# no port-track interface port-channel 1 vsan 2

リンク対象ポートに対するVSANの対応付けを削除します。ポート チャネル リンクは有効なままです。

強制シャットダウン

トラッキング対象ポートで頻繁にフラップが発生する場合、動作バインディング機能を使用するトラッキング ポートは頻繁にトポロジーを変える場合があります。この場合、頻繁なフラップの原因が解決されるまで、ポートをダウンしたままにすることができます。フラップが発生するポートをダウン状態のままにしておくと、プライマリのトラッキング対象ポートの問題が解決されるまで、トラフィックは強制的に冗長パスを流れます。問題が解決されて、トラッキング対象ポートが再びアップした場合には、インターフェイスを明示的にイネーブルにできます。


ヒント この機能を設定すると、トラッキング対象ポートが再びアップになっても、リンク対象ポートはシャットダウン状態のままになります。トラッキング対象ポートがアップして安定したら、リンク対象ポートの強制シャットダウン状態を明示的に解除する(このインターフェイスを管理上アップする)必要があります。


トラッキング対象ポートを強制的にシャットダウンする手順は、次のとおりです。

 

コマンド
目的

ステップ 1

switch# config t

コンフィギュレーション モードを開始します。

ステップ 2

switch(config)# interface fc1/5

指定されたインターフェイスを設定し、インターフェイス コンフィギュレーション サブモードを開始します。これで、トラッキング対象ポートを設定できるようになります。

ステップ 3

switch(config-if)# port-track force-shut

トラッキング対象ポートを強制的にシャットダウンします。

switch(config-if)# no port-track force-shut

トラッキング対象ポートのポート シャットダウン設定を解除します。

ポート トラッキング情報の表示

Cisco MDSスイッチの現在のポート トラッキング設定を表示するには、 show コマンドを使用します(例 33-1 33-4 を参照)。

例33-1 リンク対象ポートとトラッキング対象ポートの設定の表示

switch# show interface
...
fc8/6 is down (All tracked ports down) <-------------------------------------リンク対象ポート
Hardware is Fibre Channel, FCOT is short wave laser
Port WWN is 21:c6:00:05:30:00:37:1e
Admin port mode is auto, trunk mode is on
Port vsan is 1
Receive data field Size is 2112
Beacon is turned off
Port tracked with interface port-channel 1 vsan 2 (trunking) <-トラッキング対象ポート
Port tracked with interface fcip 5 <------------------------------------トラッキング対象ポート
5 minutes input rate 0 bits/sec, 0 bytes/sec, 0 frames/sec
5 minutes output rate 0 bits/sec, 0 bytes/sec, 0 frames/sec
269946 frames input, 22335204 bytes
0 discards, 0 errors
0 CRC, 0 unknown class
0 too long, 0 too short
205007 frames output, 10250904 bytes
0 discards, 0 errors
0 input OLS, 0 LRR, 0 NOS, 0 loop inits
2 output OLS, 2 LRR, 0 NOS, 1 loop inits
0 receive B2B credit remaining
0 transmit B2B credit remaining
...
 

例33-2 ファイバ チャネル インターフェイスのトラッキング対象ポート設定の表示

switch# show interface fc1/1
fc1/1 is down (Administratively down)
Hardware is Fibre Channel, FCOT is short wave laser w/o OFC (SN)
Port WWN is 20:01:00:05:30:00:0d:de
Admin port mode is FX
Port vsan is 1
Receive data field Size is 2112
Beacon is turned off
Port tracked with interface fc1/2 (down)
Port tracked with interface port-channel 1 vsan 2 (down)
Port tracked with interface fcip1 (down)
5 minutes input rate 0 bits/sec, 0 bytes/sec, 0 frames/sec
5 minutes output rate 0 bits/sec, 0 bytes/sec, 0 frames/sec
1 frames input, 128 bytes
0 discards, 0 errors
0 CRC, 0 unknown class
0 too long, 0 too short
1 frames output, 128 bytes
0 discards, 0 errors
0 input OLS, 0 LRR, 0 NOS, 0 loop inits
0 output OLS, 0 LRR, 0 NOS, 0 loop inits
0 receive B2B credit remaining
0 transmit B2B credit remaining
 

例33-3 ポート チャネル インターフェイスのトラッキング対象ポート設定の表示

switch# show interface port-channel 1
port-channel 1 is down (No operational members)
Hardware is Fibre Channel
Port WWN is 24:01:00:05:30:00:0d:de
Admin port mode is auto, trunk mode is on
Port vsan is 2
Linked to 1 port(s)
Port linked to interface fc1/1
5 minutes input rate 0 bits/sec, 0 bytes/sec, 0 frames/sec
5 minutes output rate 0 bits/sec, 0 bytes/sec, 0 frames/sec
0 frames input, 0 bytes
0 discards, 0 errors
0 CRC, 0 unknown class
0 too long, 0 too short
0 frames output, 0 bytes
0 discards, 0 errors
0 input OLS, 0 LRR, 0 NOS, 0 loop inits
0 output OLS, 0 LRR, 0 NOS, 0 loop inits
No members
 

例33-4 強制シャットダウン設定の表示

switch# show interface fc 1/5
 
fc1/5 is up
Hardware is Fibre Channel, FCOT is short wave laser
Port WWN is 20:05:00:05:30:00:47:9e
Admin port mode is F
Port mode is F, FCID is 0x710005
Port vsan is 1
Speed is 1 Gbps
Transmit B2B Credit is 64
Receive B2B Credit is 16
Receive data field Size is 2112
Beacon is turned off
Port track mode is force_shut <-トラッキング対象ポートがアップになってもこのポートはダウンのまま

デフォルト設定値

表 33-1 に、ポート トラッキング パラメータのデフォルト設定値を示します。

 

表 33-1 ポート トラッキング パラメータのデフォルト設定値

パラメータ
デフォルト

ポート トラッキング

ディセーブル

動作バインディング

イネーブル(ポート トラッキングの設定時)