Cisco MediaSense 設計ガイド リリース 11.0(1)
製品概要
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Cisco MediaSense は、他のネットワーク デバイスに音声メディアとビデオ メディアの録音機能を提供する SIP ベースのネットワークレベルのサービスです。 シスコの Unified Communications アーキテクチャに完全に統合された MediaSense は、適切に設定された Unified Communications Manager IP フォンまたは Cisco Unified Border Element デバイスを介して伝送するすべての Voice over IP(VoIP)会話を自動的にキャプチャして保存します。 さらに、IP フォン ユーザまたは SIP エンドポイント デバイスは、そのユーザによってのみ生成されるメディアで構成された録音を残すために MediaSense システムを直接呼び出すことができます。 これらの録音には音声に加えビデオを含めることができ、ビデオ ブログやポッドキャストの録音のために簡単で使いやすい手段が提供されます。

Media Forking

録音はメディア分岐によって実施されます。基本的には、電話機または Unified Border Element が入力および出力メディア ストリームのコピーを MediaSense 録音サーバに送信します。 コールが録音対応電話機で発生または終了すると、Unified Communications Manager は SIP 招待のペアを電話機と録音サーバの両方に送信します。 録音サーバは、電話機から Real-time Transport Protocol(RTP)ストリームのペアを受信する準備をします。 同様に、コールが録音対応の Unified Border Element を通過すると、Unified Border Element デバイスは SIP 招待を録音サーバに送信し、録音サーバは Unified Border Element からの RTP ストリームのペアを受信する準備をします。 最後に、NBR で、Communication Manager は SIP 招待のペアを録音サーバに、特別なメッセージを Unified Border Element に、Unified Border Element からの RTP ストリームのペアを録音サーバに送信します。

この手順により、次のような結果となります。

  • 各録音セッションは、2 つのメディア ストリーム(各方向に流れるメディアの場合は 1 つ)で構成されます。 両方のストリーム(またはトラック)は同じ MediaSense 録音サーバに到達しますが、これら 2 つのストリームはレコーダで別々にキャプチャされます。
  • ほとんどの Cisco IP Phone がメディア分岐をサポートしています。 メディア分岐をサポートしていない IP Phone は、電話機ベースの録音に使用できません。
  • 電話機はメディアのコピーを分岐できますが、変換はできません。 これは、最初のコール セットアップ中に電話機によってネゴシエートされるコーデックが録音で使用されるコーデックであることを意味します。 MediaSense は限定されたコーデックのセットをサポートしています。電話機が MediaSense によってサポートされていないコーデックをネゴシエートすると、コールは録音されません。 Unified Border Element の録音についても同様です。
  • 録音ストリームは、電話機の最初の会話が完全に確立された後にのみセットアップされます。完了するまで時間がかかる場合があります。 したがって、各コールの最初にクリッピングの可能性があります。 クリッピングは通常 2 秒未満に限定されますが、Unified Border Element、Unified Communications Manager、および MediaSense の全体的な負荷によって影響を受けることがあります。また、Unified Border Element または Unified Communications Manager と MediaSense 間のシグナリング リンクに沿ったネットワーク パフォーマンス特性によっても影響を受けることがあります。 MediaSense は、一定のしきい値を超えると、この遅延を注意深くモニタしてアラームを発生させます。

このプライマリ メディア録音機能に加えて、MediaSense では 2 つの他の機能が提供されます。

  • 特定のビデオ メディア ファイルをビデオ電話またはサポートされるプレーヤーでオンデマンドで再生できます。

    この機能は、前に選択された録音を再生するために単独のコール コントローラが既存のビデオ コールに MediaSense を招待する Video in Queue(ViQ)、Video on Demand(VoD)または Video on Hold(VoH)の使用例をサポートしています。 管理者は、スタジオ録画されたビデオを MP4 形式でアップロードし、アップロードされたビデオを自動的に再生するように個々の着信番号を設定できます。 コール コントローラは、SIP 招待を着信番号で MediaSense に送信することでビデオを再生します。

  • Cisco Unity Connection と統合して、ビデオ ボイスメール メッセージを提供することができます。

    ビデオは Unity Connection サブスクライバによって MediaSense に直接録画され、メッセージを残す前にビデオ対応の発信者に再生されます。

分岐されたメディアは Cisco IP Phone または Unified Border Element デバイスから録音できるので、MediaSense を使用して異なる視点から会話を録音することができます。 IP フォンによって分岐された録音は、その電話自体の視点から扱われ、その電話機を経由するメディアが録音されます。 しかし、コールが別の電話機に転送された場合は、残りの会話は(転送先の電話機でも録音がイネーブルになっていない限り)録音されません。 この観点は、特定のエージェントに焦点を当てているコンタクト センターのスーパーバイザに役立ちます。

Unified Border Element によって分岐された録音は、発信者の視点から扱われます。 コールが何度組織内で転送されても、発信者を経由するすべてのメディアが録音されます。 実際の電話機が関与しない発信者と自動音声応答(IVR)システムとの間のインタラクションでさえも録音されます。 録音されないコールの唯一の部分は、たとえば打診転送の一部としての、ある IP フォンから別の IP フォンへのコンサルト コールです (Unified Communications Manager が IP フォン同士のコールを Unified Border Element を経由してルート指定するように設定されている場合は録音することができます)。 この観点は、発信者に焦点を置いた、紛争解決または法規制の遵守の目的で役立ちます。

Cisco Unified Communications Manager 10.0 以降を使用して、3 つ目のオプションである Unified Communications Manager のネットワークベースの録音(NBR)を利用できます。 このオプションを使用すると、メディアは Unified Border Element から分岐され、Unified Communications Manager によって管理されます。 Unified Communications Manager ではフォールバック機能も提供されます。それによって、Unified Border Element 分岐が使用できない場合に、Unified Communications Manager は IP フォン分岐にフォールバックします。 これらの機能を組み合わせることで、Unified Communications Manager 電話機への配信に先行するコールの一部を除き、発信者とエージェントの視点両方をキャプチャできます。

録音へのアクセス方法

キャプチャされる方法にかかわらず、録音には複数の方法でアクセスできます。 録音をしている間に、VLC または RealPlayer などのメディア プレーヤーを搭載したコンピュータ、またはパートナーやサードパーティが提供するコンピュータを介して、ライブでその録音をストリーミング(モニタ)できます。 完了したら、録音を同じように再生したり、HTTP を使用して raw 形式でダウンロードできます。 また、.mp4 または .wav ファイルに変換してその形式でダウンロードできます。 進行中または完了後の録音へのアクセスはすべて URI を介して行われます。 MediaSense では、組み込みメディア プレーヤーを搭載した Web ベースの検索と再生アプリケーションも提供されます。 このアプリケーションより、認可されたユーザは個々のコールを選択してサポートされている Web ブラウザからモニタ、再生、またはダウンロードを直接行うことができます。

ストレージの管理

メディアの録音は、多くのディスク領域を占有するため、領域管理は重要です。 MediaSense では、領域管理について、保存プライオリティと録音プライオリティの 2 種類のオペレーション モードが提供されます。 これらのモードは、対抗する相いれない 2 つの使用例に対応します。すべての録音セッションを明示的に削除されるまで保持する必要がある場合(新しい録音セッションがキャプチャできない場合も含みます)と、古い録音セッションを新しいセッション用の領域を作るために必要に応じて削除できる場合です。 イベントおよび API の精緻なセットがクライアント ソフトウェアに提供され、ディスク領域が自動的に制御および管理されます。

メタデータの記録

MediaSense は、すべての録音に関する情報が保持されているメタデータ データベースも維持します。 包括的な Web 2.0 API が提供されることで、クライアント装置はさまざまな方法でメタデータにクエリと検索を行って、進行中の録音の管理、録音のストリーミングおよびダウンロード、特定の基準を満たす録音の一括削除、および個々の録音セッションへのカスタム タグの適用を行うことができます。 Symmetric Web Services(SWS)イベント機能を使用することで、サーバベースのクライアントは録音が開始および停止されたとき、ディスク領域の使用量がしきい値を超えたとき、個々の録音セッションに関するメタ情報が更新されたときに通知を受けることができます。 クライアントは、これらのイベントを使用してシステム アクティビティを記録し、自身のアクションをトリガーできます。

基本的な使用例

上記で説明した MediaSense 機能は、次の 4 つの基本的な使用例を対象にしています。

  • 法規制の遵守を目的とした会話の録音。(コンプライアンス レコーディング)

  • 音声テキスト変換と音声分析を目的としたメディアのキャプチャと転送。

  • ポッドキャスティングとブログを目的とした個々の録音のキャプチャ(ブログ ビデオ)。

  • ViQ、VoD、VoH、またはビデオ ボイスメール グリーティングを目的とした以前にアップロードされたビデオの再生。

コンプライアンス レコーディングはあらゆる企業で必要となる場合がありますが、指定したエージェントの電話機で行われたすべての会話またはお客様からのすべての電話を録音して保存する必要があったり、スーパーバイザが監査、トレーニングまたは紛争解決の目的で会話を検索、モニタ、および再生する簡単な方法を必要としているコンタクト センターにおいて特に有用です。 音声分析エンジンは、MediaSense が別個のトラックとして会話の両面を維持し、各トラックへのアクセスを個別に提供するという点で役立ち、誰が何を言っているかを識別するための分析エンジンの必要性が単純化されます。