ネットワーク管理コンフィギュレーション ガイド、 Cisco IOS XE Release 3S
Embedded Event Manager 概要
Embedded Event Manager 概要
発行日;2012/02/05 | 英語版ドキュメント(2011/04/25 版) | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 3MB) | フィードバック

目次

Embedded Event Manager 概要

機能情報の検索

目次

Embedded Event Manager について

Embedded Event Manager(EEM)

Embedded Event Manager 2.0

Embedded Event Manager 2.1

Embedded Event Manager 2.1(ソフトウェア モジュール方式)

Embedded Event Manager 2.2

Embedded Event Manager 2.3

Cisco IOS XE ソフトウェア リリースごとに利用可能な EEM イベント ディテクタ

イベント ディテクタ

Embedded Event Manager アクション

EEM の環境変数

Embedded Event Manager ポリシー作成

関連情報

参考資料

関連資料

規格

MIB

RFC

シスコのテクニカル サポート

Embedded Event Manager 機能情報の概要

Embedded Event Manager 概要

Embedded Event Manager(EEM)は、イベント検出と回復を Cisco IOS XE デバイス内部で直接行うための分散型でカスタマイズされた手法です。EEM はイベントをモニタし、モニタ対象イベントが発生したり、しきい値に達したりすると、情報提供や訂正などの必要な EEM 処理を実行します。EEM ポリシーは、イベントとそのイベント発生時に実行するアクションを定義するエンティティです。

この章では、EEM の技術的概要を説明します。EEM は単体でも使用できますが、ネットワークのモニタとメンテナンスのための他のネットワーク管理テクノロジーと合わせて使用することもできます。EEM の実装を開始する前に、このモジュールに示す情報を理解することが重要です。

機能情報の検索

最新の機能情報と注意事項については、ご使用のプラットフォームとソフトウェア リリースに対応したリリース ノートを参照してください。このモジュールに記載されている機能の詳細、および各機能がサポートされているリリースのリストについては、「Embedded Event Manager 機能情報の概要」を参照してください。

プラットフォームのサポートおよび Cisco IOS XE ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。

Embedded Event Manager について

ネットワークで EEM を使用するためには、次の概念を理解しておく必要があります。

「Embedded Event Manager(EEM)」

「Embedded Event Manager 2.0」

「Embedded Event Manager 2.1」

「Embedded Event Manager 2.1(ソフトウェア モジュール方式)」

「Embedded Event Manager 2.2」

「Embedded Event Manager 2.3」

「Cisco IOS XE ソフトウェア リリースごとに利用可能な EEM イベント ディテクタ」

「イベント ディテクタ」

「Embedded Event Manager アクション」

「EEM の環境変数」

「Embedded Event Manager ポリシー作成」

Embedded Event Manager(EEM)

従来、イベント トラッキングおよびイベント管理はネットワーキング デバイスの外部のデバイスによって実施されてきました。Embedded Event Manager(EEM)は、イベント管理を Cisco IOS XE デバイス内で直接実施できるように設計されました。障害によってルータと外部ネットワーク管理デバイスとの通信が損なわれることがあるため、ルータ外ですべてのイベント管理ができるわけではないことから、EEM のデバイス上での予防的なイベント管理機能は有用です。このような状況でルータの状態をキャプチャすることは、迅速な回復アクションの実行、および根本原因分析の実施のための情報収集に非常に役立ちます。ルーティング デバイスを完全にリブートすることなしに自動回復アクションが実施されれば、ネットワーク可用性も向上します。

EEM は、イベント ディテクタと呼ばれるソフトウェア エージェントを使用してシステム内の異なるコンポーネントのモニタリングをサポートする、柔軟で、ポリシードリブンのフレームワークです。図 1 に、EEM サーバ、コア イベント パブリッシャ(イベント ディテクタ)、および、イベント サブスクライバ(ポリシー)の関係を示します。基本的に、イベント パブリッシャはイベントをスクリーニングしてイベント サブスクライバから提供されたイベント仕様に一致したときにイベントをパブリッシュします。イベント ディテクタは、注目するイベントが発生したときに EEM サーバに通知します。Cisco IOS XE Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)を使用して設定された EEM ポリシーは、現在のシステムの状態と、該当するイベントのポリシーで指定されたアクションに基づいて回復を実施します。

EEM では、イベントをモニタし、イベント発生が検出されたとき、およびしきい値を超えたときに情報通知や是正アクションを実施できます。EEM ポリシーは、イベントとそのイベント発生時に実行するアクションを定義するエンティティです。EEM ポリシーには、アプレットとスクリプトの 2 つのタイプがあります。アプレットは、CLI 設定に定義された、ポリシーの単純な形式です。スクリプトは、Tool Command Language(Tcl)で記述されたポリシーの形式です。

図 1 Embedded Event Manager コア イベント ディテクタ

Embedded Event Manager 2.0

EEM 2.0 が Cisco IOS XE リリースでサポートされ、新しい機能が追加されました。EEM 2.0 では次のイベント ディテクタが追加されました。

Application-Specific:Application-Specific イベント ディテクタによって、Embedded Event Manager ポリシーはイベントをパブリッシュできます。

Counter:Counter イベント ディテクタは、名前付きカウンタが指定されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。

Interface Counter:Interface Counter イベント ディテクタは、指定されたインターフェイスの汎用 Cisco IOS インターフェイス カウンタが定義されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。

Timer:Timer イベント ディテクタは、absolute-time-of-day、countdown、watchdog、および CRON の 4 種類のタイマーのイベントをパブリッシュします。

Watchdog System Monitor(IOSWDSysMon):Cisco IOS XE Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、Cisco IOS XE プロセスの CPU またはメモリの使用率がしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。

EEM 2.0 では次のアクションが追加されました。

名前付きカウンタの設定または変更。

アプリケーション特有のイベントのパブリッシュ

SNMP トラップの生成。

Tool Command Language(Tcl)を使用して記述された、Cisco 定義のサンプル ポリシー実行機能が追加されました。システム ポリシー ディレクトリに格納可能なサンプル ポリシーが提供されました。

Embedded Event Manager 2.1

EEM 2.1 が Cisco IOS XE リリースでサポートされ、新しい機能が追加されました。EEM 2.1 は次の新しいイベント ディテクタを追加しました。

CLI:CLI イベント ディテクタは、正規表現と一致する Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)コマンドをスクリーニングします。

None:None イベント ディテクタは、Cisco IOS XE event manager run CLI コマンドが EEM ポリシーを実行したときにイベントをパブリッシュします。

OIR:Online Insertion and Removal(OIR)イベント ディテクタは、特定のハードウェアの挿入または削除のイベント発生時にイベントをパブリッシュします。

EEM 2.1 は次のアクションを追加しました。

Cisco IOS XE CLI コマンドの実行。

イベント発生時のシステム情報要求。

ショート メールの送信。

手動による EEM ポリシーの実行。

EEM 2.1 は、新しい event manager scheduler script コマンドを使用して、複数の共存ポリシーを実行できます。SNMP イベント ディテクタ比率ベース イベントのサポートは、Tool Command Language(Tcl)を使用してポリシーを作成する機能として提供されます。

Embedded Event Manager 2.1(ソフトウェア モジュール方式)

EEM 2.1(ソフトウェア モジュール方式)は、Cisco IOS XE リリースの Cisco IOS XE ソフトウェア モジュール方式イメージでサポートされます。EEM 2.1(ソフトウェア モジュール方式)は、次のイベント ディテクタを追加しました。

GOLD:Generic Online Diagnostics(GOLD)イベント ディテクタは、GOLD 障害イベントが指定されたカードおよびサブカードで検出されたときにイベントをパブリッシュします。


) Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、GOLD はサポートされていません。


System Manager:System Manager イベント ディテクタは、Cisco IOS XE ソフトウェア モジュール方式プロセスの開始、通常停止、異常停止、および再起動のイベントに対してイベントを生成します。System Manager によって生成されたイベントによって、ポリシーはプロセス再起動のデフォルトの動作を変更できます。

Watchdog System Monitor(WDSysMon):Cisco IOS XE Software Modularity Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、Cisco IOS XE ソフトウェア モジュール方式プロセスにおける無限ループ、デッドロック、メモリ リークを検出します。

EEM 2.1 ソフトウェア モジュール方式では、プロセスに対する EEM 信頼性メトリック データの表示機能が追加されました。


) EEM 2.1 ソフトウェア モジュール方式イメージは、Resource イベント ディテクタおよび RF イベント ディテクタを EEM 2.2 に追加しましたが、EOT イベント ディテクタ、またはトラッキング対象オブジェクトの読み込みおよび設定のアクションをサポートしません。


Embedded Event Manager 2.2

EEM 2.2 が Cisco IOS XE リリースでサポートされ、新しい機能が追加されました。EEM 2.2 では次のイベント ディテクタが追加されました。

Enhanced Object Tracking:Enhanced Object Tracking イベント ディテクタは、トラッキング対象オブジェクトが変更されたときにイベントをパブリッシュします。拡張オブジェクト トラッキングは、トラッキング対象オブジェクトと、トラッキング対象オブジェクトが変更されたときにクライアントが実施するアクションとを全面的に分離します。

Resource:Resource イベント ディテクタは、Embedded Resource Manager(ERM)が、指定されたポリシーのイベントをレポートしたときにイベントをパブリッシュします。

RF:Redundancy Framework(RF)イベント ディテクタは、デュアル Route Processor(RP; ルートプロセッサ)システムにおける同期の間に、1 つ以上の RF イベントが発生したときにイベントをパブリッシュします。RF イベント ディテクタは、デュアル RP システムが一方の RP からもう一方の RP に継続的にスイッチしている(ピンポン状態と呼ばれる)ときもイベントを検出できます。

EEM 2.2 では次のアクションが追加されました。

トラッキング対象オブジェクトの状態の読み取り。

トラッキング対象オブジェクトの状態の設定。

Embedded Event Manager 2.3

EEM 2.3 では、その製品での Generic Online Diagnostics(GOLD)イベント ディテクタへの拡張が追加されました。


) Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、GOLD はサポートされていません。


GOLD テスト障害および条件への反応を改善するために、 event gold コマンドが拡張され、 action-notify testing-type test-name test-id consecutive-failure platform-action 、および maxrun キーワードが追加されました。

次のプラットフォーム全体の GOLD イベント ディテクタ情報には、新しい読み込み専用 EEM 組み込み環境変数を通じてアクセスできます。

起動診断レベル

カード インデックス、名前、シリアル番号

ポート数

テスト数

次のテスト固有 GOLD イベント ディテクタ情報は、新しい読み込み専用 EEM 組み込み環境変数(EEM アプレットだけが利用可能)を通じてアクセスできます。

テスト名、アトリビュート、総実行回数

テストごと、ポートごと、またはデバイスごとのテスト結果

合計障害カウント、最終障害時間

エラー コード

連続的障害の発生

これらの拡張の結果、オートメーションと障害検出が改善され、Mean Time To Recovery(MTTR; 平均修復時間)が削減され、可用性が向上しました。

Cisco IOS XE ソフトウェア リリースごとに利用可能な EEM イベント ディテクタ

EEM は、イベント ディテクタと呼ばれるソフトウェア プログラムを使用して、EEM イベントの発生したときを判断します。一部のイベント ディテクタは、すべての Cisco IOS XE ソフトウェア リリースで利用できますが、イベント ディテクタの多くは、特定のリリースに導入されています。 表 1 を使用して、特定の Cisco IOS リリースでどのイベント ディテクタが利用可能かを確認してください。ブランク エントリ(--)は、そのイベント ディテクタが利用できないことを示します。「Yes」の文字はイベント ディテクタが利用できることを示します。 表 1 に示されるイベント ディテクタは、同じ Cisco IOS XE ソフトウェア リリース トレインの最新のリリースでサポートされています。各イベント ディテクタの詳細については、「イベント ディテクタ」を参照してください。

 

表 1 Cisco IOS XE ソフトウェア リリースごとのイベント ディテクタの可用性

イベント ディテクタ
Cisco IOS XE Release 2.1

Application-Specific

あり

CLI

あり

Counter

あり

拡張オブジェクト トラッキング

--

GOLD

--

Interface Counter

あり

なし

あり

OIR

あり

Resource

あり

RF

あり

SNMP

あり

syslog

あり

System Manager

あり

Timer

あり

IOSWDSysMon(Cisco IOS XE software watchdog)

あり

WDSysMon(Cisco IOS XE Software Modularity watchdog)

あり

イベント ディテクタ

Embedded Event Manager(EEM)は、 イベント ディテクタ と呼ばれるソフトウェア プログラムを使用して、EEM イベントの発生したときを判断します。イベント ディテクタは、モニタされるエージェント(たとえば、Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル))と、アクションが実施される EEM ポリシーの間のインターフェイスを提供する、独立したシステムです。EEM には次のイベント ディテクタがあります。

Application-Specific イベント ディテクタ

Application-Specific イベント ディテクタによって、任意の Embedded Event Manager ポリシーがイベントをパブリッシュできます。EEM ポリシーがイベントをパブリッシュするとき、任意のイベント タイプで、EEM サブシステム番号 798 を使用する必要があります。既存のポリシーがサブシステム 798 と指定されたイベント タイプに対して登録されている場合、同じイベント タイプの別のポリシーは、指定されたイベントがパブリッシュされたときに第 1 のポリシーをトリガーして実行します。

CLI イベント ディテクタ

CLI イベント ディテクタは、Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)コマンドを正規表現に一致するかスクリーニングします。一致が見つかったとき、イベントがパブリッシュされます。コマンドが正常に解析されたあと、コマンドが実施される前に、完全に展開された CLI コマンドで一致ロジックが実施されます。CLI イベント ディテクタは次の 3 種類のパブリッシュ モードをサポートします。

CLI イベントの同期パブリッシング:CLI コマンドは、EEM ポリシーが終了するまで実行されません。EEM ポリシーは、コマンドが実行されるかどうかをコントロールできます。読み取り/書き込み変数 _exit_status では、ポリシー 終了時に同期イベントからトリガーされたポリシーの終了ステータスを設定できます。_exit_status が 0 の場合、コマンドはスキップされ、_exit_status が 1 の場合はコマンドが実行されます。

CLI イベントの非同期パブリッシング:CLI イベントは、パブリッシュされ、続いて CLI コマンドが実行されます。

CLI イベントの非同期パブリッシングかつコマンド スキップ:CLI イベントがパブリッシュされますが、CLI コマンドは実行されません。

Counter イベント ディテクタ

Counter イベント ディテクタは、名前付きカウンタが指定されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。カウンタ処理に影響を与える関係タスクが 2 つ以上あります。Counter イベントディテクタは、カウンタを変更でき、1 つ以上のサブスクライバは、イベントをパブリッシュする条件を定義します。カウンタ イベントがパブリッシュされた後、カウンタ モニタリング ロジックをリセットして、すぐにカウンタのモニタリングを開始できます。また、別のしきい値(exit 値と呼ばれる)を超えたときにリセットすることもできます。

GOLD イベント ディテクタ

GOLD イベント ディテクタは、GOLD 障害イベントが指定されたカードおよびサブカードで検出されたときにイベントをパブリッシュします。

Interface Counter イベント ディテクタ

Interface Counter イベント ディテクタは、指定されたインターフェイスの汎用 Cisco IOS XE インターフェイス カウンタが、定義されたしきい値を超えたときにイベントをパブリッシュします。しきい値を絶対値または増分値で指定できます。たとえば、増分値を 50 に設定した場合、インターフェイス カウンタが 50 増えると、イベントがパブリッシュされます。

インターフェイス カウンタ イベントがパブリッシュされた後、インターフェイス カウンタ モニタリング ロジックは 2 つの方法でリセットされます。インターフェイス カウンタは、別のしきい値(exit 値と呼ばれる)を超えたとき、または、期間の経過が発生したときにリセットされます。

None イベント ディテクタ

None イベント ディテクタは、Cisco IOS XE event manager run CLI コマンドが EEM ポリシーを実行したときにイベントをパブリッシュします。EEM は、ポリシーそのものに含まれるイベント仕様に基づいてポリシーをスケジューリングし、実行します。EEM ポリシーは識別される必要があり、手動での実行が許可されるように、 event manager run コマンドが実行される前に登録される必要があります。

OIR イベント ディテクタ

Online Insertion and Removal(OIR)イベント ディテクタは、次のハードウェアの挿入または削除のいずれかのイベント発生時にイベントをパブリッシュします。

カードが削除されました。

カードが挿入されました。

Route Processor(RP; ルートプロセッサ)、ラインカード、またはフィーチャ カードは、OIR イベントでモニタできます。

System Manager イベント ディテクタ

System Manager イベント ディテクタは、Cisco IOS XE ソフトウェア モジュール方式プロセスの開始、通常停止、異常停止、および再起動のイベントに対してイベントを生成します。System Manager によって生成されたイベントによって、ポリシーはプロセス再起動のデフォルトの動作を変更できます。

Timer イベント ディテクタ

timer イベント ディテクタは、次の 4 種類のタイマーのイベントをパブリッシュします。

absolute-time-of-day タイマーは、指定された絶対日時になったときにイベントをパブリッシュします。

countdown タイマーは、タイマーがカウント ダウンしてゼロ(0)になったときにイベントをパブリッシュします。

watchdog タイマーは、タイマーがカウント ダウンしてゼロ(0)になったときにイベントをパブリッシュし、自動的にタイマーを初期値にリセットして、再びカウント ダウンを開始します。

CRON タイマーは、UNIX 標準 CRON 仕様を使用してイベントをパブリッシュするときを指定して、イベントをパブリッシュします。CRON タイマーは、1 分あたり 1 回を超えてイベントをパブリッシュしません。

Cisco IOS XE の Watchdog System Monitor(IOSWDSysMon)イベント ディテクタ

Cisco IOS XE Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、次のいずれかが発生したときにイベントをパブリッシュします。

Cisco IOS XE タスクの CPU 使用率がしきい値を超えたとき。

Cisco IOS XE タスクのメモリ使用率がしきい値を超えたとき。


) Cisco IOS XE プロセスは、現在、Cisco IOS XE ソフトウェア モジュール方式プロセスから区別するために、タスクと呼ばれています。


同時に 2 つのイベントがモニタリングされることがあります。指定されたしきい値を超えるために 1 つのイベントを必要とするか、両方のイベントを必要とするかを、イベント パブリッシング基準で指定できます。

Cisco IOS XE Software Modularity の Watchdog System Monitor(WDSysMon)イベント ディテクタ

Cisco IOS XE Software Modularity Watchdog System Monitor イベント ディテクタは、Cisco IOS XE ソフトウェア モジュール方式プロセスにおける無限ループ、デッドロック、メモリ リークを検出します。

Embedded Event Manager アクション

イベント ディテクタがイベントを報告したときに実行される是正アクションは CLI ベースで、強力なオンデバイスのイベント管理メカニズムを実現します。一部の EEM アクションは、すべての Cisco IOS XE リリースで利用できますが、EEM アクションの多くは、特定のリリースに導入されています。各 Cisco IOS XE リリースでサポートされる EEM アクションの詳細については、「 Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS XE CLI 」または「 Writing Embedded Event Manager Policies Using Tcl 」の章にある、Cisco IOS XE リリースごとに利用可能な EEM アクションについての記述を参照してください。EEM がサポートするアクションは、次のとおりです。

Cisco IOS XE Command-Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)コマンドの実行。

名前付きカウンタの設定または変更。

イベント発生時のシステム情報要求。

ショート メールの送信。

手動による EEM ポリシーの実行。

アプリケーション特有のイベントのパブリッシュ。

SNMP トラップの生成。

EEM アクション CLI コマンドには、任意の文字列値が可能で一意の ID である EEM アクション ラベルが含まれます。アクションは、ラベルをソート キーとして使用して、英数字のキーの昇順(辞書順)にソートされ、実行されます。ラベルとして数字を使用している場合は、英数字ソートは、10.0 は 1.0 よりも後ですが、2.0 よりも前になることに注意してください。このような場合、01.0、02.0 のような数字を使用する、または頭文字の後に同様の数字を続けることを推奨します。

EEM の環境変数

EEM では、EEM ポリシーに環境変数を使用できます。Tool Command Language(Tcl)では、Tcl スクリプト内のすべてのプロシージャで既知のグローバル変数を定義できます。EEM では、EEM ポリシー内で使用するために CLI コマンド、 event manager environment コマンドを使用して環境変数を定義できます。EEM 環境変数は、Tcl スクリプトの実行前に、Tcl グローバル変数に自動的に割り当てられます。Embedded Event Manager に関連する環境変数には次の 3 種類があります。

ユーザ定義:ユーザが記述したポリシー内の環境変数を作成する場合にユーザが定義できます。

シスコ定義:特定のサンプル ポリシーのためにシスコが定義しました。

シスコ組み込み(EEM アプレット内で利用可能):シスコが定義し、読み取り専用、または読み取り/書き込み可能です。読み取り専用変数は、アプレットの実行開始前にシステムによって設定されます。単一の読み取りと書き込みの変数 _exit_status では、同期イベントからトリガーされたポリシーの終了ステータスを設定できます。

シスコ定義環境変数( 表 2 を参照)およびシスコ システム定義環境変数は、1 つの特定イベント ディテクタまたはすべてのイベント ディテクタに適用できます。ユーザ定義またはサンプル ポリシーでシスコが定義した環境変数は、 event manager environment コマンドを使用して設定します。EEM ポリシーで使用される変数は、ポリシーを登録する前に定義する必要があります。Tcl ポリシーには、ポリシーの実行前に必要な環境変数がすべて定義されているかどうかを確認するために定義される「Environment Must Define」と呼ばれるセクションがあります。

シスコ組み込み環境変数は、シスコ定義の環境変数のサブセットです。組み込み変数は、EEM アプレットでだけ利用できます。組み込み変数は、読み込み専用であるか、または読み込みおよび書き込み用のいずれかです。これらの変数は、1 個の特定のイベント ディテクタまたはすべてのイベント ディテクタに適用されます。シスコ システム定義変数の詳細と、一覧表については、「 Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS XE CLI 」の章を参照してください。


) シスコ定義環境変数は、アンダースコア(_)で始まります。名前付けの競合を防止するために、ユーザが同じ名前付け規則を避けることを強く推奨します。


表 2 に、サンプル EEM ポリシーで使用されるシスコ定義変数の説明を示します。一部の環境変数は、対応サンプル ポリシーで実行のために指定される必要はありません。これらは任意として示されています。

 

表 2 シスコ定義環境変数と例

環境変数
説明

_config_cmd1

実行される 1 番めのコンフィギュレーション コマンド。

interface fastEthernet1/0

_config_cmd2

(任意)実行される 2 番めのコンフィギュレーション コマンド。

no shutdown

_crash_reporter_debug

(任意)tm_crash_reporter.tcl のデバッグ情報がイネーブルであるかどうかを決定する値。

1

_crash_reporter_url

クラッシュ レポートが送信される URL 位置。

http://www.yourdomain.com/
fm/interface_tm.cgi

_cron_entry

ポリシーが実行されるときを決定する CRON 仕様。cron エントリを指定する方法の詳細については、「 Writing Embedded Event Manager Policies Using Tcl 」モジュールを参照してください。

0-59/1 0-23/1 * * 0-7

_email_server

E メール送信に使用される Simple Mail Transfer Protocol(SMTP; シンプル メール転送プロトコル)メール サーバ。

mailserver.yourdomain.com

_email_to

E メールの送信先アドレス。

engineer@yourdomain.com

_email_from

E メールの送信元アドレス。

devtest@yourdomain.com

_email_cc

E メールのコピーの送信先アドレス。

manager@yourdomain.com

_show_cmd

ポリシーの実行時に実行される CLI show コマンド。

show version

_syslog_pattern

ポリシー実行時を決定するために syslog メッセージを比較するために使用する正規表現パターン マッチ文字列。

.*UPDOWN.*FastEthernet
0/0.*

_tm_fsys_usage_cron

(任意) event_register キーワード拡張で使用される CRON 仕様。指定されない場合、_tm_fsys_usage.tcl ポリシーが 1 分に 1 回、トリガーされます。

0-59/1 0-23/1 * * 0-7

_tm_fsys_usage_debug

(任意)この変数が値 1 に設定された場合、システムのすべてのエントリのディスク使用率情報が表示されます。

1

_tm_fsys_usage_
freebytes

(任意)システムまたは特定のプレフィクスの空きバイト数しきい値。空きスペースが所定の値を下回ると、警告が表示されます。

disk2:98000000

_tm_fsys_usage_percent

(任意)システムまたは特定のプレフィクスのディスク使用割合しきい値。ディスク使用割合が所定の割合を超えると、警告が表示されます。指定されない場合、すべてのシステムのデフォルトのディスク使用割合は、80% です。

nvram:25 disk2:5

Embedded Event Manager ポリシー作成

EEM は、Cisco IOS XE ソフトウェア システムで障害またはその他のイベントが発生したときに EEM ポリシー エンジンが通知を受け取るポリシー ドリブン プロセスです。Embedded Event Manager ポリシーは、システムの現在の状態に基づいて回復を実行し、該当するイベントのポリシーに指定されたアクションを実行します。回復アクションはポリシーが実行されたときにトリガーされます。

同一の EEM CLI 設定と show コマンドがありますが、ポリシーの作成によって EEM が実行されます。EEM ポリシーは、イベントとそのイベント発生時に実行するアクションを定義するエンティティです。EEM ポリシーには、アプレットとスクリプトの 2 つのタイプがあります。アプレットは、CLI 設定に定義された、ポリシーの単純な形式です。スクリプトは、Tcl で記述された、ポリシーの形式です。

EEM ポリシーの作成には次の項目が含まれます。

ポリシーが実行されるイベントの選択。

イベントの記録およびイベントへの対応に関連付けられたイベント ディテクタ オプションの定義。

必要に応じて、環境変数の定義。

イベント発生時に実行されるアクションの選択。

EEM ポリシーの作成には 2 つの方法があります。第 1 の方法は、CLI コマンドを使用してアプレットを記述する方法で、第 2 の方法は、Tcl スクリプトを記述する方法です。シスコは、Tcl に EEM ポリシー開発を促進する Tcl コマンド拡張機能を加えました。スクリプトは、ネットワーキング デバイスの外部で ASCII エディタを使用して定義します。続いてスクリプトはネットワーキング デバイスにコピーされ EEM に登録されます。Embedded Event Manager にポリシーが登録されると、ソフトウェアはポリシーを調べ、指定されたイベントの発生時に起動するために登録します。ポリシーは、未登録または中断にできます。両方のタイプのポリシーとも、ネットワークの EEM 実装に使用できます。

Cisco IOS XE CLI を使用して EEM ポリシーを記述する方法の詳細については、「 Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS XE CLI 」モジュールを参照してください。

Tcl を使用して EEM ポリシーを記述する方法の詳細については、「 Writing Embedded Event Manager Policies Using Tcl 」の章を参照してください。

関連情報

Cisco IOS XE CLI を使用して EEM ポリシーを記述する方法については、「 Writing Embedded Event Manager Policies Using the Cisco IOS XE CLI 」の章を参照してください。

Tcl を使用して EEM ポリシーを記述する方法については、「 Writing Embedded Event Manager Policies Using Tcl 」の章を参照してください。

参考資料

EEM に関連する参考資料については、次の各項を参照してください。

関連資料

関連項目
参照先

ネットワーク管理コマンド(EEM コマンドを含む):コマンド構文の詳細、デフォルト設定、コマンド モード、コマンド履歴、使用上のガイドライン、および例

『Cisco IOS Network Management Command Reference』

規格

規格
タイトル

新しい規格または変更された規格はサポートされていません。また、既存の規格に対するサポートに変更はありません。

--

MIB

MIB
MIB リンク

CISCO-EMBEDDED-EVENT-MGR-MIB

選択したプラットフォーム、Cisco IOS XE リリース、および機能セットの MIB を検索してダウンロードするには、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。

http://www.cisco.com/go/mibs

RFC

RFC
タイトル

新しい RFC または変更された RFC はサポートされていません。また、既存の RFC に対するサポートに変更はありません。

--

シスコのテクニカル サポート

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この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。

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Embedded Event Manager 機能情報の概要

表 3 に、このモジュールに記載されている機能および具体的な設定情報へのリンクを示します。

ご使用の Cisco IOS XE ソフトウェア リリースによっては、コマンドの中に一部使用できないものがあります。特定のコマンドに関するリリース情報については、コマンド リファレンス マニュアルを参照してください。

Cisco Feature Navigator を使用すると、プラットフォームおよびソフトウェア イメージのサポート情報を検索できます。Cisco Feature Navigator を使用すると、特定のソフトウェア リリース、フィーチャ セット、またはプラットフォームをサポートする Cisco IOS XE のソフトウェア イメージを判別できます。Cisco Feature Navigator には、 http://www.cisco.com/go/cfn からアクセスします。Cisco.com のアカウントは必要ありません。


表 3 には、一連の Cisco IOS XE ソフトウェア リリースのうち、特定の機能が初めて導入された Cisco IOS XE ソフトウェア リリースだけが記載されています。特に明記していないかぎり、その機能は、一連の Cisco IOS XE ソフトウェア リリースの以降のリリースでもサポートされます。


 

表 3 Embedded Event Manager 機能情報の概要

機能名
リリース
機能設定情報

Embedded Event Manager 2.0

Cisco IOS XE Release 2.1

EEM 2.0 は、Application-Specific イベント ディテクタ、Counter イベント ディテクタ、Interface Counter イベント ディテクタ、Timer イベント ディテクタ、および IOSWDSysMon イベント ディテクタを追加しました。新しいアクションには、名前付きカウンタの設定または変更、アプリケーション固有イベントのパブリッシュ、SNMP トラップの生成が含まれます。環境変数定義機能、および、Tcl を使用して記述されたサンプル EEM ポリシー(ソフトウェアに含まれる)の実行機能が追加されました。

この機能に関する詳細については、次の各項を参照してください。

「Embedded Event Manager 2.0」

「イベント ディテクタ」

「Embedded Event Manager アクション」

「EEM の環境変数」

「Embedded Event Manager ポリシー作成」

この機能によって、 action counter action publish-event action snmp-trap event application event counter event interface event ioswdsysmon event manager environment event manager history size event manager policy event manager scheduler suspend event timer show event manager environment show event manager history events show event manager history traps show event manager policy available show event manager policy pending の各コマンドが追加されました。

Embedded Event Manager 2.1

Cisco IOS XE Release 2.1

EEM 2.1 は複数の新しいイベント ディテクタおよびアクション、EEM ポリシーを手動で起動する新しい機能と複数の共存ポリシーを起動する機能を追加しました。Simple Network Management Protocol(SNMP; 簡易ネットワーク管理プロトコル)イベント ディテクタ比率ベース イベントのサポートが、Tool Command Language(Tcl)を使用してポリシーを作成する機能として導入されました。

この機能に関する詳細については、次の各項を参照してください。

「Embedded Event Manager 2.1」

「イベント ディテクタ」

「Embedded Event Manager アクション」

「EEM の環境変数」

「Embedded Event Manager ポリシー作成」

この機能によって、 action cli action counter action info action mail action policy debug event manager event cli event manager directory user event manager policy event manager run event manager scheduler script event manager session cli username event none event oir event snmp event syslog set (EEM)、 show event manager directory user show event manager policy registered show event manager session cli username の各コマンドが追加されました。

Embedded Event Manager 2.1(ソフトウェア モジュール方式)

Cisco IOS XE Release 2.1

EEM 2.1 ソフトウェア モジュール方式イメージは、GOLD、System Manager、および WDSysMon(Cisco IOS XE Software Modularity watchdog)イベント ディテクタ、および Cisco IOS XE ソフトウェア モジュール方式プロセスとプロセス メトリックを表示する機能を導入しました。

(注) Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、GOLD はサポートされていません。

この機能に関する詳細については、次の各項を参照してください。

「Embedded Event Manager 2.1(ソフトウェア モジュール方式)」

「イベント ディテクタ」

「Embedded Event Manager アクション」

「EEM の環境変数」

「Embedded Event Manager ポリシー作成」

この機能により、 event gold event process show event manager metric process の各コマンドが導入されました。

(注) EEM 2.1 ソフトウェア モジュール方式イメージは、Resource イベント ディテクタおよび RF イベント ディテクタを EEM 2.2 に追加しましたが、EOT イベント ディテクタ、またはトラッキング対象オブジェクトの読み込みおよび設定のアクションをサポートしません。

Embedded Event Manager 2.2

Cisco IOS XE Release 2.1

EEM 2.2 は、Enhanced Object Tracking、Resource、および RF イベント ディテクタを追加しました。トラッキング対象オブジェクトの状態の読み取りおよび設定のアクションも追加されました。

この機能に関する詳細については、次の各項を参照してください。

「Embedded Event Manager 2.3」

「イベント ディテクタ」

「Embedded Event Manager アクション」

「EEM の環境変数」

「Embedded Event Manager ポリシー作成」

この機能により、 action track read action track set default-state event resource event rf event track show track track stub-object の各コマンドが追加されました。

Embedded Event Manager 2.3

Cisco IOS XE Release 2.1

EEM 2.3 では、Cisco Catalyst 6500 シリーズ スイッチ上の Generic Online Diagnostics (GOLD) イベント ディテクタに関連する新しい機能が追加されました。

(注) Cisco ASR 1000 シリーズ ルータでは、GOLD はサポートされていません。

この機能に関する詳細については、次の各項を参照してください。

「Embedded Event Manager 2.3」

「イベント ディテクタ」

「Embedded Event Manager アクション」

「EEM の環境変数」

「Embedded Event Manager ポリシー作成」

GOLD テスト障害および条件の反応を改善するため、 event gold コマンドが拡張され、 action-notify testing-type test-name test-id consecutive-failure platform-action 、および maxrun の各 Tcl キーワードが追加されました。