IP マルチキャスト:PIM コンフィギュレーション ガイド、Cisco IOS XE Release 3S(Cisco ASR 1000)
HSRP Aware PIM
HSRP Aware PIM
発行日;2013/07/26   |   ドキュメントご利用ガイド   |   ダウンロード ;   この章 pdf   ,   ドキュメント全体 pdf    |   フィードバック

HSRP Aware PIM

このモジュールでは、ホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)アクティブ ルータ(AR)経由でマルチキャスト トラフィックを転送するための HSRP Aware PIM を設定し、Protocol Independent Multicast(PIM)で HSRP 冗長性を活用して潜在的な重複トラフィックを回避し、フェールオーバーをイネーブルにする方法を説明します。

機能情報の確認

ご使用のソフトウェア リリースでは、このモジュールで説明されるすべての機能がサポートされているとは限りません。 最新の機能情報および警告については、Bug Search Tool およびプラットフォームとソフトウェア リリースのリリース ノートを参照してください。 このモジュールに記載されている機能の詳細を検索し、各機能がサポートされているリリースのリストを確認する場合は、このモジュールの最後にある機能情報の表を参照してください。

プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。 Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/​go/​cfn に移動します。 Cisco.com のアカウントは必要ありません。

HSRP Aware PIM の制約事項

  • HSRP IPv6 はサポートされていません。
  • ステートフル フェールオーバーはサポートされていません。 PIM ステートレス フェールオーバー中は、HSRP グループの仮想 IP アドレスがスタンバイ ルータへ転送されますが、mrouting ステート情報は転送されません。 PIM は、状態変更イベントをリッスンして応答し、フェールオーバーの際に mroute ステートを作成します。
  • 各インターフェイスの PIM によって追跡できる HSRP グループの最大数は 16 です。
  • PIM DR の冗長性のプライオリティは、同じ HSRP グループがイネーブルになっているデバイス上の PIM DR プライオリティの設定済みまたはデフォルトの値(1)より大きくする必要があります。そうしないと、HSRP アクティブは DR 選択に失敗します。

HSRP Aware PIM について

HSRP

ホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)は、フォールトトレラント デフォルト ゲートウェイを確立するためのシスコ独自の冗長プロトコルです。

プロトコルは、プライマリ ゲートウェイがアクセス不能になると、デフォルト ゲートウェイのフェールオーバーを実施するためにネットワーク デバイス間のフレームワークを確立します。 IP アドレスと MAC(レイヤ 2)アドレスを共有することによって、2 台以上のルータが 1 つの仮想ルータとして動作できます。 仮想ルータ グループのメンバは、継続的にステータス メッセージを交換し、1 台のデバイスは、別のデバイスが計画的または計画外の理由から動作しなくなった場合、ルーティング引き継ぐことができます。 ホストは同じ IP および MAC アドレスに IP パケットを転送し続け、ルーティングを行うデバイスの切り替えは透過的です。

HSRP は、ホストがルータ ディスカバリ プロトコルをサポートしておらず、選択されたデバイスのリロードや電源故障時に新しいデバイスに切り替えることができない場合に有効です。 また、既存の TCP セッションはフェールオーバーが発生しても存続するため、このプロトコルでは IP トラフィックをルーティングするためにネクスト ホップを動的に選択するホストの回復をさらに透過的に実行できます。

HSRP をネットワーク セグメントに設定すると、HSRP が動作するデバイスのグループで仮想 MAC アドレスと IP アドレスを共有できるようになります。 この HSRP ルータ グループのアドレスが仮想 IP アドレスと呼ばれます。 このようなデバイスの 1 つが、アクティブ ルータ(AR)としてプロトコルによって選択されます。 AR は、グループの MAC アドレス宛てのパケットを受信してルーティングします。

HSRP では、プライオリティ メカニズムを使用して、デフォルトの AR にする HSRP 設定済みデバイスを決定します。 デバイスを AR として設定するには、他のすべての HSRP 設定済みデバイスのプライオリティよりも高いプライオリティをそのルータに割り当てます。 デフォルトのプライオリティは 100 です。したがって、100 よりも高いプライオリティを持つデバイスを 1 つだけ設定した場合、そのデバイスがデフォルトの AR になります。

HSRP を実行しているデバイスは、ユーザ データグラム プロトコル(UDP)ベースのマルチキャスト hello メッセージを送信および受信して、デバイスの障害を検出したり、アクティブおよびスタンバイ デバイスを割り当てたりします。 AR が設定された時間内に hello メッセージを送信できなかった場合は、最高のプライオリティのスタンバイ デバイスが AR になります。 このようにパケット転送機能が別のデバイスに移行しても、ネットワークのいずれのホストにもまったく影響はありません。

複数のホット スタンバイ グループをインターフェイスに設定できるので、冗長デバイスおよびロード シェアリングを余すところなく活用できるようになっています。

HSRP は、IP ルートをアドバタイズせず、ルーティング テーブルに影響を与えないため、ルーティング プロトコルではありません。

HSRP は、デバイス上の 1 つ以上のインターフェイスに障害が発生した場合にフェールオーバーをトリガーすることができます。 これは、それぞれがヘッド エンドへの単一のシリアル リンクを備えたデュアル ブランチ デバイスに役立つことがあります。 プライマリ デバイスのシリアル リンクがダウンすると、バックアップ デバイスはプライマリ機能を引き継ぎ、ヘッド エンドへの接続を維持します。

HSRP Aware PIM

Protocol Independent Multicast(PIM)には固有の冗長性機能がなく、その動作は、ホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)グループの状態から完全に独立しています。 その結果、IP マルチキャスト トラフィックは、必ずしも HSRP によって選択されたデバイスと同じデバイスによって転送されるわけではありません。 HSRP Aware PIM 機能は、仮想ルーティング グループがイネーブルの冗長ネットワークで一貫した IP マルチキャスト転送を提供します。

HSRP Aware PIM により、HSRP アクティブ ルータ(AR)を通じてマルチキャスト トラフィックを転送し、PIM で HSRP 冗長性を活用し、潜在的な重複トラフィックを回避し、デバイスの HSRP ステートに応じてフェールオーバーをイネーブルにすることができます。 PIM 指定ルータ(DR)は、HSRP AR と同じゲートウェイ上で実行され、mroute ステートを維持します。

マルチアクセス セグメント(LAN など)では、PIM DR 選択で冗長構成が認識されず、選択された DR と HSRP AR が同じルータでない場合があります。 PIM DR が RP または FHR へ PIM Join/Prune メッセージを常に転送できるようにするため、HSRP AR が PIM DR になります(HSRP グループが 1 つだけの場合)。 PIM により、グループの状態に基づいて DR プライオリティが調整されます。 フェールオーバーが発生すると、HSRP グループで選択された新しい AR にマルチキャスト ステートが作成され、AR は HSRP 仮想 IP アドレス宛てのすべてのトラフィックのルーティングと転送を行います。

HSRP Aware PIM がイネーブルの場合、デバイスが HSRP アクティブになると、PIM は各アクティブ HSRP グループのソース アドレスとして HSRP 仮想 IP アドレスを使用して、追加の PIM Hello メッセージを送信します。 PIM Hello は、他のルータによるフェールオーバーへの応答をトリガーするために新しい GenID を送信します。 ダウンストリーム デバイスは、この PIM Hello を受信すると、PIM ネイバー リストに仮想アドレスを追加します。 PIM Hello で送信される新しい GenID は、ダウンストリーム ルータによる仮想アドレスへの PIM Join メッセージの再送信をトリガーします。 アップストリーム ルータは、HSRP グループの状態に基づいて PIM Join/Prune を処理します(J/P)。

J/P 宛先が HSRP グループの仮想アドレスに一致し、宛先デバイスが HSRP アクティブ状態の場合、新しい AR が動作中の PIM DR であるため、PIM Join を処理します。 これにより、すべての PIM Join/Prune が HSRP グループの仮想アドレスに到達することができ、ダウンストリーム ルータ側での変更および設定が最小限に抑えられます。

IP ルーティング サービスは既存の仮想ルーティング プロトコルを使用して、PIM などのクライアント アプリケーションに基本的なステートレス フェールオーバー サービスを提供します。 ローカル HSRP グループの状態およびスタンバイ ルータ役割の変更は、関与するクライアント アプリケーションに伝達されます。 クライアント アプリケーションは、ステートフルまたはステートレス フェールオーバーを提供するために IRS 上に構築されることがあります。 PIM は HSRP クライアントとして HSRP から状態変更通知をリッスンし、HSRP ステートに基づいて PIM DR のプライオリティを自動的に調整します。 PIM クライアントは、新しい AR に mroute ステートを作成するために、フェールオーバーの際にアップストリーム デバイスとダウンストリーム デバイス間の通信もトリガーします。

HSRP Aware PIM の設定方法

インターフェイスでの HSRP グループの設定

はじめる前に
  • IP マルチキャストがすでにデバイスで設定されている必要があります。
  • PIM がすでにインターフェイスで設定されている必要があります。
手順の概要

    1.    enable

    2.    configure terminal

    3.    interface type number [name-tag]

    4.    ip address ip-address mask

    5.    standby [group-number] ip [ip-address [secondary]]

    6.    standby [group-number] timers [msec] hellotime [msec] holdtime

    7.    standby [group-number] priority priority

    8.    standby [group-number] name group-name

    9.    end

    10.    show standby [type number [group]] [all | brief]


手順の詳細
     コマンドまたはアクション目的
    ステップ 1 enable


    例:
    Device> enable
     

    特権 EXEC モードをイネーブルにします。

    • パスワードを入力します(要求された場合)。
     
    ステップ 2 configure terminal


    例:
    Device# configure terminal
     

    グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

     
    ステップ 3 interface type number [name-tag]


    例:
    Device(config)# interface ethernet 0/0
     

    設定するインターフェイスを指定します。インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

     
    ステップ 4ip address ip-address mask


    例:
    Device(config-if)# ip address 10.0.0.2 255.255.255.0
     

    インターフェイスに対するプライマリ IP アドレスまたはセカンダリ IP アドレスを設定します。

     
    ステップ 5standby [group-number] ip [ip-address [secondary]]


    例:
    Device(config-if)# standby 1 ip 192.0.2.99
     

    HSRP をアクティブにし、HSRP グループを定義します。

     
    ステップ 6standby [group-number] timers [msec] hellotime [msec] holdtime


    例:
    Device(config-if)# standby 1 timers 5 15
     

    (任意)hello パケット間の時間と、他のデバイスによって HSRP アクティブ ルータまたはスタンバイ ルータの停止が宣言されるまでの時間を設定します。

     
    ステップ 7standby [group-number] priority priority


    例:
    Device(config-if)# standby 1 priority 120
     

    (任意)HSRP アクティブ ルータとスタンバイ ルータを選択するために使用される HSRP プライオリティを割り当てます。

     
    ステップ 8standby [group-number] name group-name


    例:
    Device(config-if)# standby 1 name HSRP1
     
    (任意)HSRP グループの名前を定義します。
    (注)     

    HSRP Aware PIM で使用するように HSRP グループを設定する場合は、常に standby ip name コマンドを設定することを推奨します。

     
    ステップ 9end


    例:
    Device(config-if)# end
     

    特権 EXEC モードに戻ります。

     
    ステップ 10show standby [type number [group]] [all | brief]


    例:
    Device# show standby 
     

    設定を確認するために HSRP グループ情報を表示します。

     

    PIM の冗長性の設定

    はじめる前に

    HSRP グループがすでにインターフェイスで設定されている必要があります。 「インターフェイスでの HSRP グループの設定」を参照してください。

    手順の概要

      1.    enable

      2.    configure terminal

      3.    interface type number [name-tag]

      4.    ip address ip-address mask

      5.    ip pim redundancy group dr-priority priority

      6.    end


    手順の詳細
       コマンドまたはアクション目的
      ステップ 1 enable


      例:
      Device> enable
       

      特権 EXEC モードをイネーブルにします。

      • パスワードを入力します(要求された場合)。
       
      ステップ 2 configure terminal


      例:
      Device# configure terminal
       

      グローバル コンフィギュレーション モードを開始します。

       
      ステップ 3 interface type number [name-tag]


      例:
      Device(config)# interface ethernet 0/0
       

      設定するインターフェイスを指定します。インターフェイス コンフィギュレーション モードを開始します。

       
      ステップ 4ip address ip-address mask


      例:
      Device(config-if)# ip address 10.0.0.2 255.255.255.0
       

      インターフェイスに対するプライマリ IP アドレスまたはセカンダリ IP アドレスを設定します。

       
      ステップ 5ip pim redundancy group dr-priority priority


      例:
      Device(config-if)# ip pim redundancy HSRP1 dr-priority 60
       
      PIM 冗長性をイネーブルにし、アクティブな PIM 指定ルータ(DR)に冗長性のプライオリティ値を割り当てます。
      • HSRP グループ名では大文字と小文字が区別されるため、group 引数の値は standby ip name コマンドを使用して設定されたグループ名と一致している必要があります。
      • PIM DR の冗長性のプライオリティは、同じ HSRP グループがイネーブルになっているデバイス上の PIM DR プライオリティの設定済みの値またはデフォルト値(1)より大きくする必要があります。
       
      ステップ 6end


      例:
      Device(config-if)# end
       

      特権 EXEC モードに戻ります。

       

      HSRP Aware PIM の設定例

      例:HSRP Aware PIM

              
            

      HSRP Aware PIM の追加情報

      関連資料

      関連項目

      マニュアル タイトル

      Cisco IOS コマンド

      『Cisco IOS Master Commands List, All Releases』

      IP マルチキャスト コマンド

      『Cisco IOS IP Multicast Command Reference』

      HSRP コマンド

      『First Hop Redundancy Protocol Command Reference』

      標準および RFC

      標準/RFC

      タイトル

      RFC 2281

      『Cisco Hot Standby Router Protocol (HSRP)』

      MIB

      MIB

      MIB のリンク

      この機能によってサポートされる新しい MIB または変更された MIB はありません。またこの機能による既存 MIB のサポートに変更はありません。

      選択したプラットフォーム、Cisco ソフトウェア リリース、およびフィーチャ セットの MIB を検索してダウンロードする場合は、次の URL にある Cisco MIB Locator を使用します。

      http:/​/​www.cisco.com/​go/​mibs

      シスコのテクニカル サポート

      説明

      リンク

      シスコのサポートおよびドキュメンテーション Web サイトでは、ダウンロード可能なマニュアル、ソフトウェア、ツールなどのオンライン リソースを提供しています。 これらのリソースは、ソフトウェアをインストールして設定したり、シスコの製品やテクノロジーに関する技術的問題を解決したりするために使用してください。 この Web サイト上のツールにアクセスする際は、Cisco.com のログイン ID およびパスワードが必要です。

      http:/​/​www.cisco.com/​cisco/​web/​support/​index.html

      HSRP Aware PIM に関する機能情報

      次の表に、このモジュールで説明した機能に関するリリース情報を示します。 この表は、ソフトウェア リリース トレインで各機能のサポートが導入されたときのソフトウェア リリースだけを示しています。 その機能は、特に断りがない限り、それ以降の一連のソフトウェア リリースでもサポートされます。

      プラットフォームのサポートおよびシスコ ソフトウェア イメージのサポートに関する情報を検索するには、Cisco Feature Navigator を使用します。 Cisco Feature Navigator にアクセスするには、www.cisco.com/​go/​cfn に移動します。 Cisco.com のアカウントは必要ありません。

      表 1 HSRP Aware PIM に関する機能情報

      機能名

      リリース

      機能情報

      HSRP Aware PIM

      15.2(4)S

      Cisco IOS XE Release 3.7S

      15.3(1)T

      15.3(1)SY1

      HSRP Aware PIM 機能は、マルチキャスト トラフィックをホットスタンバイ ルータ プロトコル(HSRP)アクティブ ルータ経由で転送できるようにすることによって、仮想ルーティング グループを含む冗長ネットワークで一貫した IP マルチキャスト転送を提供します。これにより、PIM では、HSRP 冗長性を活用し、潜在的な重複トラフィックを回避し、デバイスの HSRP ステートに応じてフェールオーバーをイネーブルにすることができます。

      ip pim redundancy コマンドが導入または変更されました。