Cisco CRS-1 シリーズ キャリア ルーティング システム 8 スロット ライン カード シャーシのシステム概要
スイッチ ファブリック
スイッチ ファブリック
発行日;2012/02/06 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 3MB) | フィードバック

目次

スイッチ ファブリック

スイッチ ファブリックの概要

スイッチ ファブリックのアーキテクチャ

スイッチ ファブリックの動作

加速機能

障害時の動作

HS123 スイッチ ファブリック カード

スイッチ ファブリック

この章では、Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システムのスイッチ ファブリックについて説明します。この章の内容は、次のとおりです。

スイッチ ファブリックの概要

スイッチ ファブリックの動作

HS123 スイッチ ファブリック カード

スイッチ ファブリックの概要

スイッチ ファブリックは、Cisco CRS-1 の中核部分です。スイッチ ファブリックはルーティング システム内の MSC(および関連する PLIM)と他の MSC(および関連する PLIM)を相互接続し、MSC 間の通信を可能にします。スイッチ ファブリックは MSC に加えて RP カードも接続することで、コントロール プレーンとデータ プレーン間にメカニズムを提供します。Cisco CRS-1 の基本機能は、他のすべてのルータと同様、インターフェイス上で受け取ったデータを別の発信インターフェイスに転送することであるため、これは重要な機能であるといえます。

3 ステージ Benes スイッチ ファブリックは、MSC/PLIM ペアからユーザ データを受け取って必要なスイッチングを行い、データを適切な出力側 MSC/PLIM ペアへルーティングします。スイッチ ファブリックは 8 プレーンに分かれており、これらのプレーンによりトラフィックはスイッチ ファブリック全体に均等に振り分けられます。Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシの 4 つの HS123 スイッチ ファブリック カードにはぞれぞれ、スイッチ ファブリックのプレーンが 2 つ実装されています(このため、このシステムには 8 つのプレーンがあります)。

図4-1 に、Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システムのスイッチ ファブリックで処理される IP データ パケットの基本的な流れを示します。

図4-1 Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システムのスイッチ ファブリックにおける基本的な流れ

 


) Cisco CRS-1のスイッチ ファブリックで使用されているセル構造はシスコが設計したもので、Asynchronous Transfer Mode(ATM; 非同期転送モード)のセルとは関係ありません。


スイッチ ファブリックのアーキテクチャ

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシのスイッチ ファブリックには、3 ステージ Benes スイッチ ファブリック アーキテクチャが使用されています。

ステージ 1(S1)では、トラフィックを振り分けます。

HS123 ファブリック カードに実装されているスイッチ ファブリックのステージ 2(S2)では、セルをステージ 3 に転送します。

ステージ 3(S3)ではスイッチングを行い、セルの速度を 2 倍に上げて(出力リンクの数を倍の 72 にします)、出力リンクのコンテンションを少なくし、データ セルが輻輳時に遅延する可能性を減らします。

HS123 ファブリック カードには 2 つのファブリック プレーンがあり、各プレーンには 3 つの ASIC があります(各ステージに 1 つずつ)。

スイッチ ファブリックは論理的に 8 つのファブリック プレーンに分かれています。シャーシには 4 つの HS123 スイッチ ファブリック カード(0、1、2、3 と番号が付けられています)があり、各カードにスイッチ ファブリックのプレーンが 2 つずつ実装されています。システムの帯域幅はスイッチ ファブリックの 8 つのプレーンのすべてに均等に配分されます。

スイッチ ファブリックの各プレーンは独立しており、互いに同期していません。各セルは、1 つのスイッチ ファブリック プレーンを使用してスイッチ ファブリックを通過します(セルがスイッチ ファブリック全体にビット単位で分散されることはありません)。

スイッチ ファブリックの動作

Cisco CRS-1では、3 ステージ Benes スイッチ ファブリックは、入力側 MSC/PLIM ペアからユーザ データを受け取って必要なスイッチングを行い、データを適切な出力側の MSC/PLIM ペアへルーティングします。

入力データ パケットは PLIM の物理インターフェイスで受信され、ペアを組んでいる MSC に転送されます。MSC ではパケットをセルに分割してスイッチ ファブリックのハードウェアが効率良くスイッチングできるようにします。各 MSC はこのデータ セルをスイッチ ファブリック プレーンに分配します。そのため、スイッチ ファブリック プレーンごとに複数の接続が処理されます。

出力側では、MSC がセルをデータ パケットに再構成して送信します。図4-1 に、Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システムのスイッチ ファブリックで処理される IP データ パケットの基本的な流れを示します。

各 HS123 ファブリック カードには 2 つの異なるファブリック プレーンがあります。各ファブリック プレーンは S1、S2、S3 SEA ASIC(それぞれ 2 つ)で構成されています。

ステージ 1(S1) -- MSC(または RP カード)からセルを受け取り、同じファブリック プレーン内のステージ 2(S2)のエレメントに分配します。セルはラウンドロビン方式で S2 のエレメントに分配されます。

ステージ 2(S2) -- S1 ステージからセルを受け取り、必要なスイッチング機能を実行して出力側の適切なラインカード シャーシ(マルチシャーシ システムまたはマルチシェルフ システム)にセルを送り、マルチキャスト機能の最初のステージを実行します。

ステージ 3(S3) -- S2 ステージからセルを受け取り、必要なスイッチングを実行してセルを出力側の適切な MSC に送るとともに、速度を倍に上げ、マルチキャスト機能の第 2 レベルの処理を実行します。

加速機能

シングル シャーシの Cisco CRS-1 には、帯域幅が 40 Gbps の MSC を 8 つまで搭載できます。スイッチング容量は MSC ごとに 40 Gbps ありますが、スイッチ ファブリックではセル オーバーヘッドや、バッファリング、および輻輳回避のメカニズムも処理しなくてはならないので、より大きな帯域幅処理能力が必要です。

複数の入力データ セルが出力側の同じ MSC にスイッチングされると、スイッチ ファブリックで輻輳が発生することがあります。一般的には、スイッチ コンポーネント間の個々のリンクにはコンテンションがないか、あっても稀なので、S1-S2 間では輻輳がほとんど発生しません。しかし、S2 ステージからS3 ステージを経由して出力側の同じ MSC へ至る過程では複数のセルが送られるので、複数のセルが同じ出力リンクを取りあうことになります。この出力リンクのコンテンションを軽減する手立てとして、S3 ステージでは入力リンクの倍の出力リンク( 2 倍加速 )が使用されます(S2 ステージでは入力リンク 1 つに対し出力リンクも 1 つ、つまり加速なしです)。

障害時の動作

ルーティング システムは、1 つのプレーンが使用できなくなった場合でもシステムに影響を与えることなく動作し続けることができます。複数のスイッチ ファブリックのプレーンが使用できなくなった場合はそれに伴ってパフォーマンスも低下しますが、ルーティング システムが機能しなくなることはありません。

システムの一部に障害が発生しても動作し続けることができるため、システムの拡張に合わせてシームレスにスイッチ ファブリックをアップグレードしたり、スイッチ ファブリックを新しいバージョンにアップグレードしたりすることもできます。

HS123 スイッチ ファブリック カード

HS123 スイッチ ファブリック カード(製品 ID:CRS-8-FC/S)には、Cisco CRS-1 のスイッチ ファブリックを構成する 8 プレーンのうちの 2 プレーンが実装されています。図4-2 に、HS123 スイッチ ファブリック カードを示します。

図4-2 HS123 スイッチ ファブリック カード

 

 

図4-3 に、HS123 スイッチ ファブリック カードのブロック図を示します。

図4-3 Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシ スイッチ ファブリック カードのブロック図

 

HS123 スイッチ ファブリック カードの主な機能ブロックには次のものがあります。

S1 スイッチ エレメント:MSC(または RP)からデータ セルを受信し、S2 ステージに分配します。S1 スイッチ エレメントは、同じファブリック プレーン内の対応する S2 スイッチ エレメントに接続されています。

S2 スイッチ エレメント:S1 ステージからデータ セルを受信します。S2 スイッチ エレメントは、同じファブリック プレーン内の対応する S1 および S3 スイッチ エレメントに接続されています。S2 で使用する入力の数と出力の数はともに 36 です。

S3 スイッチ エレメント:S2 ステージからデータ セルを受信し、スイッチングとファブリック加速処理を実行します。S3 で使用する入力の数は 36、出力の数は 72 です。

サービス プロセッサ:Cisco CRS-1 のコントロール プレーンとの間のインターフェイスを提供します。サービス プロセッサは次の機能を実行します。

スイッチ ファブリック カードの電源のオン、オフの制御

各スイッチ エレメントのコンポーネントの設定

マルチキャスト トラフィック用の Fabric Group ID(FGID)のアップデート

セルの設定維持

リンクの起動/停止処理とステータスの制御

HS123 スイッチ ファブリック カードに関する統計情報の収集と処理

電源モジュール:ミッドプレーンから供給される -48 VDC 入力電源を、スイッチ ファブリックカードのコンポーネントに必要な電圧に変換します。

英数字ディスプレイ:HS123 スイッチ ファブリック カードのメッセージを表示します。メッセージは「英数字ディスプレイ」に説明されています。

ステータス LED:HS123 スイッチ ファブリック カードのステータスを示します。

図4-4 に、HS123 スイッチ ファブリック カードの前面パネルを示します。

図4-4 HS123 スイッチ ファブリック カードの前面パネル

 

HS123 スイッチ ファブリック カードの前面パネルには次のものがあります。

ボードが正常であることを示す LED

英数字ディスプレイ

HS123 スイッチ ファブリック カードのその他の仕様については、 付録 A「CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシの仕様」 を参照してください。