Cisco CRS-1 シリーズ キャリア ルーティング システム 8 スロット ライン カード シャーシのシステム概要
概要
概要
発行日;2012/02/06 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 3MB) | フィードバック

目次

概要

冷却概要

安全予防措置

Cisco IOS XR ソフトウェアの概要

コマンドライン インターフェイス(CLI)

CWI(Craft Works Interface)

XML API

アーキテクチャ

主要な機能

ラインカード シャーシの概要

コンポーネント

スロット番号

ケーブル マネジメント

外装コンポーネント

コントロール プレーンとデータ プレーンの概要

システムのディスカバリとインベントリ

ハイ アベイラビリティ

OIR の検出

PLIM インベントリ

RP のアクティブ/スタンバイの調停

ノードのリセット

コントロール プレーン コンポーネント

サービス プロセッサ(SP)

システム コントローラ(SC)の機能

MSC

PLIM

ルート プロセッサ

HS123 スイッチ ファブリック カード

英数字ディスプレイ

ファン トレイ

ラインカード シャーシのミッドプレーン

概要

この章では、Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシの概要および基本的なシステム構成について説明します。内容は次のとおりです。

冷却概要

アーキテクチャ

主要な機能

ラインカード シャーシの概要

コントロール プレーンとデータ プレーンの概要

冷却概要

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシは、IP ネットワークがマルチサービス ネットワークに発展したときにサービス プロバイダーのアクセス ポイントを効率的に進化させることのできる、非常にスケーラブルなルーティング プラットフォームです。初期リリースでは、Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシは、Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシと呼ばれるラインカード シャーシ 1 つで構成されています。

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシは、Modular Service Card(MSC; モジュラ サービス カード)と、それに対応する Physical Layer Interface Module(PLIM; 物理レイヤ インターフェイス モジュール)、Switch Fablic Card(SFC; スイッチ ファブリック カード)、Route Processor(RP; ルート プロセッサ)カードを組み込むラックです。このシャーシは、建物の床にボルトで固定した外部ラックに搭載します。シャーシには、独自の電源システムと冷却システムも組み込まれます。


) ラックの搭載要件に関する重要な情報については、「ラックの仕様」を参照してください。


図1-1 に、4 ポスト ラックに搭載したシングルシャーシの Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシを示します。

図1-1 Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシ(シングルシャーシの設置)

 

 

1

装置ラック

3

シャーシ垂直取り付けブラケット

2

8 スロット シャーシ

安全予防措置

安全性と準拠規格の情報、およびCisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシのハードウェア マニュアルに使用されている警告の解釈については『 Regulatory Compliance and Safety Information for the Cisco CRS-1 Carrier Routing System 』を参照してください。

光コネクタ付きのカードを取り付けるときは注意してください。


警告 光ファイバケーブルが接続されていない場合、ポートの開口部から目に見えない放射線が出ている可能性があります。放射線にあたらないように、開口部をのぞきこまないでください。ステートメント 125


Cisco IOS XR ソフトウェアの概要

Cisco CRS-1 キャリア ルーティング システムの OS(オペレーティング システム)ソフトウェアは、Cisco IOS XR です。Cisco IOS XR ソフトウェアは柔軟性とスケーラビリティを最大限に引き出すことができるように設計されています。このソフトウェアは、モジュラ パッケージとしてインストールと起動を行うことにより、関係のない他のプロセスに影響を与えることなく、特定の機能のインストール、アップグレード、またはダウンロードを行うことができます。また、このソフトウェアは、サポートされているすべてのカード タイプ、特定のカード タイプ、または特定のカードに適用できます。

Cisco IOS XR ソフトウェアは、CLI(コマンド ライン インターフェイス)または Craft Works Interface(CWI)を使用して設定できます。CLI ではCisco IOS ソフトウェアのユーザのほとんどが使い慣れているコマンド ライン環境が提供されますが、CWI は Web ベースのデスクトップ アプリケーションにおいて Graphical User Interface(GUI; グラフィカル ユーザ インターフェイス)が提供されます。

コマンドライン インターフェイス(CLI)

Cisco IOS XR の CLI(コマンド ライン インターフェイス)は Cisco CRS-1 の設定、監視、および保守に使用できます。このユーザ インターフェイスを使用すると、RP コンソール ポートに直接接続されている端末、またはモデムによってネットワーク接続された端末から、Cisco IOS XR コマンドを実行することができます(図6-2 参照)。

CWI(Craft Works Interface)

Cisco CRS-1 の Craft Works Interface(CWI)は GUI を使用した Web ベースのクライアントサイド プログラムで、Cisco CRS-1 の設定と管理に使用します。CWI は、Web ベースのデスクトップ アプリケーションであり、管理アプリケーションと設定アプリケーションを起動するのに使用します。管理および設定に関する機能には、障害、設定、パフォーマンス、セキュリティ、インベントリ、ソフトウェアのインストールなどがあり、すばやく、効率的に行うことができます。Cisco CRS-1 は、シェルフ、カード、ポートを階層化して大規模なシステムにすることができます。CWI では、ルーティング システムに含まれる物理オブジェクトをグラフィカルに表示できるため、ルーティング システムの設定や管理を簡単に行うことができます。

XML API

Cisco Extensible Markup Language Applications Programming Interface(XML API; 拡張マークアップ言語アプリケーション プログラミング インターフェイス)は、Cisco CRS-1 を管理および監視するクライアント アプリケーションや Perl スクリプトを短期間で開発できるインターフェイスです。このクライアント アプリケーションによってルータを設定したり、ルータのステータス情報をリクエストしたりすることができます。リクエストは XML API タグに符号化されてルータに送信されます。ルータはリクエストを処理し、応答を再度 XML API タグに符号化してクライアントに返信します。XML API は、Telnet、SSH、CORBA などのすぐ利用できるトランスポート層をサポートしており、Secure Socket Later(SSL)トランスポートもサポートしています。

これまではプログラミングに利用できる代替メカニズムが用意されていなかったので、ルータを管理するためにベンダー固有のさまざまな CLI ベースのスクリプトが使用されていました。また、CLI ベースのスクリプトの開発に利用できる共通のフレームワークもありませんでした。プログラム可能な Cisco XML API は、この要望に応えて、Cisco CRS-1 の管理を短期間で開発、展開、および保守するための共通のフレームワークを提供します。

Cisco CRS-1 上で XML インフラストラクチャを利用するクライアント アプリケーションを作成する場合は XML API を使用し、設定および情報の検索と表示を行うカスタム エンドユーザ インターフェイスを構築する場合は CRS-1 Management XML API を使用します。

アーキテクチャ

各 Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシには MSC スロットが 8 つあり、そのそれぞれが 40 Gbps(ギガビット/秒)の容量で、シャーシあたりのルーティング総容量は 640 Gbps、すなわち 64 Tbps(テラビット/秒)です(テラビットは 1 × 1012 ビット、すなわち 1000 ギガビット)。ルーティング システムは、スケーラブルな分散型 3 ステージ Benes スイッチ ファブリックと各種データ インターフェイスを中心に構築されています。

データ インターフェイスは PLIM に組み込まれており、シャーシのミッドプレーンを介して、対応する MSC とペアになります。MSC はスイッチ ファブリックでお互いに相互接続されています。図1-2 に、基本的な Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシ アーキテクチャの概略図を示します。

図1-2 Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシ アーキテクチャの概略図

 

図1-2 には、すべての Cisco CRS-1 に共通する次の概念が示されています。

パケット データは、PLIM にある 物理データ インターフェイスを介して、対応する MSC に入ります。この物理インターフェイスは 4 つの OC-192 インターフェイスに相当します。

データは、レイヤ 3 のフォワーディング エンジンである MSC を経由して、3 ステージ Benes スイッチ ファブリックにルーティングされます。各 MSC とそれに対応する PLIM にはレイヤ 1 からレイヤ 3 までの機能が備わっており、MSC のそれぞれでの回線速度のパフォーマンス(総帯域幅 40 Gbps)を実現します。

ルーティング システム内の MSC は、3 ステージ Benes スイッチ ファブリックによって相互に接続されています。スイッチ ファブリックは 8 つのプレーンに分かれています(カード 0 ~ 3 にそれぞれ 2 つのプレーンがあります)。

主要な機能

すべての Cisco CRS-1 ルーティング システムに共通する主要な機能は、次のとおりです。

帯域幅容量 640 Gbps のスケーラビリティの高いサービス プロバイダ用ルータ。

広範なインターフェイス速度と種類(OC-48 packet-over-SONET [POS]、OC-192 POS など)、および、回線速度と同じスピードですべての転送機能が可能なプログラマブル フォワーディング エンジン MSC。

冗長性と信頼性の機能により、装置のサービス アップグレード中でも動作は停止せず継続できる。ハードウェアまたはソフトウェアでのシングル ポイント障害がない。

将来的にシングルシャーシからマルチシャーシ(またはマルチシェルフ)システムに拡張可能。

論理ルータへのパーティショニングLogical Router(LR; 論理ルータ)とは、MSC と RP の集まりで、これらが一緒になって 1 つの完全なルータの機能を果たします。具体的に言えば、LR のそれぞれが、ダイナミック ルーティング、IP スタック、SysDB(システム データベース)、インターフェイス マネージャ、イベント通知システムなどの機能を持ちます。

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシでは Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシと同じラインカード、同じソフトウェア、および同じタイプのミッドプレーンとスイッチ メカニズムを使用できます。そのため、Cisco CRS-1 16 スロット ラインカード シャーシに見られるような非常に高速なインターフェイスを提供するとともに、小規模なプラットフォームの場合のように電力や空調などのファシリティのプロビジョニングが困難な場所でも容易に導入できます。

ラインカード シャーシの概要

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシは、システム コンポーネントを組み込むラックです。シャーシは、建物の床にボルトで固定した外部ラックに設置します。前面ドアにはロック機能があります(背面ドアはオプション)。シャーシという用語は、ルーティング システムのコンポーネントを収容するためのラックまたは、ルーティング システムとして動作しているフル装備のシャーシを指します。

ここでは、次の内容について説明します。

コンポーネント

スロット番号

ケーブル マネジメント

ケーブル マネジメント

外装コンポーネント

コンポーネント

ここでは、ラインカード シャーシの主要なコンポーネントについて説明します。ここでは、ラインカード シャーシの主要なコンポーネントについて説明します。主に Field-Replaceable Unit(FRU)扱いになっているコンポーネントを取り上げますが、詳細情報が役立つと思われる場合は、FRU ではないサブアセンブリについても説明します。

シャーシの PLIM 側がシャーシの前面になっており、ここでユーザ データ ケーブルを PLIM に接続したり、冷気をシャーシに取り込んだりします。図1-3 に、ラインカード シャーシの前面(PLIM 側)を示します。

図1-3 Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシの前面図(PLIM 側)

 

1

ケーブル マネジメント ブラケット

4

エアー フィルタ

2

シャーシ垂直取り付けブラケット

5

電源モジュール

3

PLIM および RP スロット(中央の 2 スロット内の RP カード)

シャーシの MSC 側がシャーシの背面になっており、ここから暖められた空気を排出します。図1-4 に、ラインカード シャーシの背面(MSC 側)を示します。

図1-4 Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシの背面図(MSC 側)

 

1

上部ファン トレイ(カバーの下)

4

MSC スロット

2

シャーシ垂直取り付けブラケット

5

下部ファン トレイ

3

スイッチ ファブリック カード スロット(ハーフハイト)

6

Power distribution unit(PDU; 配電ユニット)

ラインカード シャーシには、MSC(ラインカードとも呼びます)と PLIM をそれぞれ 8 つまで搭載できます。MSC カードと PLIM カードは、シャーシのミッドプレーンを介してペアを組みます。MSC は、ユーザ データをレイヤ 3 でルーティングするためのフォワーディング エンジンとして機能し、PLIM はユーザ データの物理インターフェイスとコネクタとして機能します。

MSC はインターフェイス速度やテクノロジーの異なる数種類の PLIM と組み合わせることができます。使用できる PLIM は、次のとおりです。

1 ポート OC-768/STM-256 packet-over-SONET(POS):Short-Reach(SR; 短距離)光通信に使用します。

4 ポート OC-192c/STM-64c POS/DPT:Long-Reach(LR; 長距離)、Intermediate-Reach(IR; 中距離)、SR、VSR のオプションがあります。

OC-48c/STM-16c POS/DPT:1 ~ 16 ポートの範囲で構成可能です。LR と SR オプションに使用できます。この PLIM ではプラグ可能光ファイバをサポートしています。

10-Gigabit Ethernet(GE):LR 光通信に使用します。PLIM ではプラグ可能光ファイバをサポートしており、1 ~ 8 ポートの範囲で構成可能です。

さらに、Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシには次のコンポーネントが含まれています。

MSC を対応する PLIM に接続するシャーシ ミッドプレーン:このミッドプレーンは、対応する PLIM に接続されているケーブルを取り外さなくても、シャーシから MSC を取り外せる設計になっています。ミッドプレーンは、配電、MSC とスイッチ ファブリックとの接続、およびコントロール プレーンの相互接続を行います。ミッドプレーンは、お客様によって現場交換を行うことはできません。

RP カード× 2:RP カードは、システム コントローラとして機能し、ルート プロセスを行うことによって、システムのインテリジェンス機能を提供します。アクティブ RP カードに障害が発生した場合に備えて、一方の RP カードだけがアクティブになり、もう一方はスタンバイとなります。RP カードはシステム アラームを監視し、ファン システムも制御します。前面パネルの LED はアクティブ状態とアラーム状態を示します。

上下のファン トレイ:ファンは冷気をシャーシに取り入れます。シャーシ前面の PLIM カードケージの下には着脱式のエアー フィルタがあります。

ハーフハイトのスイッチ ファブリック カード× 4:各カードの部品番号は CRS-8-FC/S です。このマニュアルでは、このカードを HS123 と呼びます。このカードによりルーティングシステムの 3 ステージ Benes スイッチ ファブリック(S1/S2/S3)を構成します。スイッチ ファブリックはルーティング システムのクロスコネクト機能を果たし、MSC(および対応する PLIM)とシステム内の他の MSC(および対応する PLIM)を接続します。スイッチ ファブリックは MSC-PLIM ペアからユーザ データを受け取り、そのデータをスイッチングして出力側の適切な MSC-PLIM ペアにルーティングします。スイッチ ファブリックは 8 プレーンに分かれており、トラフィックはスイッチ ファブリック全体に均等に振り分けられます。1 つのスイッチ ファブリック カードでスイッチ ファブリックを 2 プレーン担当します。

シャーシに冗長電力を供給する電源システム:電源システムは、AC または DC PDU × 2 と、AC 整流器モジュールまたは DC PEM(パワー エントリ モジュール)× 2(PDU あたり 1)から構成されています。PDU は、シャーシに電力を供給する整流器または PEM へ入力電力を供給します。

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシとそのコンポーネントの仕様については、 付録 A「CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシの仕様」 を参照してください。

スロット番号

ここでは、カードとモジュール(FRU に該当)をシャーシに挿入する位置とスロット番号について説明します。

図1-5 に、ラインカード シャーシ前面(PLIM 側)のスロット番号を示します。

図1-5 ラインカード シャーシ前面(PLIM 側)のスロット番号

 

シャーシの PLIM 側にあるスロットの番号は、次のようになっています。

最大 8 つの PLIM スロット(左から右へ 0、1、2、3...4、5、6、7)

RP カード スロット× 2(RP0 と RP1)

図1-6 に、ラインカード シャーシ背面(MSC 側)のスロット番号を示します。

図1-6 ラインカード シャーシ背面(MSC 側)のスロット番号

 

シャーシの MSC 側にあるスロットの番号は、次のようになっています。

MSC ラインカード スロット× 8(右から左へ 0、1、2、3...4、5、6、7)

HS123 スイッチ ファブリック カード スロット× 4(SM 0、SM 1、SM 2、SM 3)

MSC 側(背面)のスロット番号は、PLIM 側(前面)のスロット番号とは方向が逆になっています。そのため、ミッドプレーン経由で 0 番の MSC スロットと 0 番の PLIM スロットがペアとなります。他のすべての MSC スロットと PLIM スロット(0 ~ 7)についても同様です。

ケーブル マネジメント

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシは、シャーシの前面にケーブル マネジメント ブラケットを水平に取り付けた状態で出荷されます。シングルシャーシ システムでは、ケーブルを使用して外部と接続するポートとして次のものがあります。

RP カードにある CONSOLE または AUX の RJ-45 RS-232 シリアル ポート。端末の接続に使用します。

RP カードにあるイーサネット ポート。ネットワーク管理装置の接続に使用します。

MSC と PLIM。データ接続に使用します。

RJ-45 外部クロック(EXT CLK 1 および EXT CLK 2)コネクタ。ビル内統合タイミング ソース(BITS)の信号に使用します。

ケーブル マネジメント ブラケットを使用すると、インターフェイス ケーブルを整理してシャーシの前側を片付けることができます。また、ケーブルの曲げすぎを防ぐことができます。


注意 必要以上にインターフェイス ケーブルを曲げると損傷します。

ケーブル マネジメント ブラケットは特殊なはめ込み式になっていて、シャーシをより高密度のカードにアップグレードした場合に拡張することができます。この拡張機能は、ケーブルをシャーシに取り付ける際にも便利です。

図1-7 に、シャーシのケーブル マネジメント ブラケットを示します。

図1-7 ケーブル マネジメント ブラケット(シャーシの前面のみ)

 


) シャーシのケーブルおよびケーブル マネジメントの詳細については、『Installing a Cisco CSR-1 Series Carrier Routing System 16-Slot Line』を参照してください。


外装コンポーネント

ラインカード シャーシにはオプションの前面および背面ロック ドア、ベゼル、側面パネルもあります。スタンドアロン システムの背面ドアはオプションです。外装コンポーネントは別パーッケージで出荷されるので、システム設置時に Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシ に取り付ける必要があります。

コントロール プレーンとデータ プレーンの概要

コントロール プレーン は、シャーシ内のカード、モジュール、コンポーネント間を結ぶ論理的な通信路で、物理コンポーネントとソフトウェアの機能を結びつけて一体化します。コントロール プレーンは、システムのディスカバリ、インベントリ、設定、起動、管理、アップグレード、障害の検出と回復、およびパフォーマンスの監視に使用されます。

データ プレーン は、パケットがルーティング システム内で PLIM から MSC とスイッチ ファブリックを通り、他の MSC を抜けて、PLIM の外部へと搬送されるパスです。コントロール プレーンとデータ プレーンは、同じ物理コンポーネントを部分的に共有する場合があります。たとえば、コントロール プレーンがシステム内通信の一部に使用するスイッチ ファブリックをデータ プレーンがパケットの交換に使用する、といった具合です。

システムのディスカバリとインベントリ

コントロール プレーンのハードウェアには、システムのディスカバリおよびインベントリ機能があります。この処理機能には、コントロール プレーンおよびスイッチ ファブリックのシステム トポロジを識別するメカニズムが含まれており、システムはそのあとに設定されます。

コントロール プレーンのハードウェアは、トポロジのディスカバリの他に、カードやモジュールの検出メカニズム、および、カードのタイプ、リビジョン、シリアル番号などの情報を追跡するメカニズムも提供します。システム管理ソフトウェアは、これらのメカニズムを使用して各ボードの識別情報と場所の情報を収集し、CRS-1 ルーティング システムの構成を記述したデータベースを構築します。稼働中のルーティング システムは、いつでもアップグレードまたは保守することが可能です。コントロール プレーンのハードウェアには、活性挿抜(OIR; Online Insertion and Removal)操作を検出する機能があります。

ハイ アベイラビリティ

CRS-1 ルーティング システム ハードウェアは、広い範囲の障害を検出、隔離、回復するとともに、冗長なハードウェア構成でフェールオーバーのメカニズムを提供します。コントロール プレーンは、ハイ アベイラビリティを実現するための中核要素であり、データ プレーンとコントロール プレーンの両方で障害を隔離し、フェールオーバー イベントを開始させます。

また、保守作業を容易にするために、シャーシ ID のディスプレイと、クリティカル、メジャー、およびマイナーの各アラーム インジケータが、明示的に表示されます。MSC、RP、およびスイッチ ファブリック カードには、それぞれ、現在のボードの状態を示す英数字ディスプレイとグリーンの「OK」LEDがあります温度や電圧レベルといった環境の状況が内部の複数の測定ポイントで監視され、ルーティング システムのオペレータに報告されます。

Cisco CRS-1 8 スロット ラインカード シャーシ内では、RP カードがシステム コントローラの役割を果たします。PLIM は対応する MSC を介してコントロール プレーンに接続されることに注意してください。

コントロール プレーンはファースト イーサネット(FE)の接続を切り替えることで、ルーティング システムのさまざまなコンポーネント上にある制御プロセッサ同士を、ポイントツーポイントで接続します。この機能により、コントロール プレーン上でネットワーク メッセージを交換することが可能となるとともに、システム通信用のパスもいくつか確保できます。デュアル RP カードおよびミッドプレーン FE トレースによって、ラインカード シャーシ内のすべてのカード間の接続を冗長化することが可能です。大部分のカードまたはモジュールにはサービス プロセッサ(SP)モジュールがあり、コントロール プレーン内でそのデバイスと通信することができます。

コントロール プレーンの重要な機能と実装のいくつかを次に説明します。

OIR の検出

すべての MSC、RP、スイッチ ファブリック カード、電源モジュールなどは、RP カード上のシステム コントローラ機能に自身の存在を示す信号(存在検出用信号)を送ります。この専用のハードウェア信号は、すべてのスロットでカードが物理的に存在するかしないかを示します。Cisco IOS XR 設定ソフトウェアはこの存在検出用信号で OIR イベントを検出し、挿入されていてもまだコントロール プレーン上で通信していないカードをすばやく識別することができます。

PLIM インベントリ

マスター RP は、ボードの ID や種類などのインベントリ情報を取得するために、すべての PLIM スロットをプローブします。RP は、PLIM の電源が投入されていなくても、その PLIM の識別チップを読み取ることができます。このとき RP は、PLIM に関連付けられている MSC スロットにMSC が差し込まれているかどうかにかかわらず、PLIM のインベントリ チップにアクセスできます。

RP のアクティブ/スタンバイの調停

2 つの RP は、どちらも専用のミッドプレーン信号で特別なハードウェア調停ロジックに直接接続されています。この回路は、起動処理中にこれらの RP カードの一方をマスター デバイス(アクティブ)にし、他方をスタンバイ モードで機能するようにします。詳細は、「アクティブおよびスタンバイの調停」を参照してください。

コントロール プレーンは、調停ロジックによってアクティブになった RP が 1 つだけであるかどうかを検証します(異常な状況下では、誤って RP カードが 2 つともアクティブになることがあるかもしれません)。

ハードウェアによる調停のあと、ソフトウェアはコントロール プレーン上で FE のメッセージ機能を使用し、マスターシップが 1 つだけであることを確認します。しかし特殊なハードウェア障害が原因で、調停ハードウェアが 2 つの RP をマスターとして選択してしまう可能性も考えられます。そのため、コントロール プレーンの FE では、マスターシップを確実に確認できるようにするために冗長パスを提供しています。

ノードのリセット

各 RP には、シャーシ内のすべてのノードに対する専用のリセット ラインがあります。ノードには MSC、RP カード、およびファブリック カードが含まれています。リセット ラインは各 RP から出て、ノード カードの SP に接続しています。これらのリセット ラインは、マスター RP だけがアクティブにできます。スタンバイ RP のリセット ラインは、RP の調停ロジックによって隔離されています。リセット ラインにより、RP はハードウェアからボードを強制リセットすることができます。ただしこのリセット ラインは、ボードが制御ネットワーク メッセージに応答しない場合にだけ使用されます。SP のリセットにこのメカニズムが使用されると、リセットされた SP がリブートして、ローカル ボードへ電力を供給できるようになるまで、そのノードのその他すべてのチップの電源がオフになります。また、リセット ラインの誤動作が原因で RP の OIR イベント中に予期しないリセットが発生することを防ぐために、信号レベルのハイからローへの遷移を符号化したストリングが到着したときにだけ、この信号からリセットが実行されるようになっています。

コントロール プレーン コンポーネント

ここでは、ルーティング システム内のいろいろなコンポーネントについて、そのコントロール プレーン機能を説明します。

サービス プロセッサ(SP)

サービス プロセッサ モジュールは MSC、RP、スイッチ ファブリック モジュール、電源制御、およびブロワー コントロール システムに搭載されています。電源の入っているシャーシにカードまたはモジュールを挿入すると、そのカードの SP モジュールにも常に電源が入ります。SP モジュールの電源をシャーシの電源とは別に切ることはできません。それぞれのサービス プロセッサ モジュールと RP 上の各 SC との間はファスト イーサネット(FE)で接続されます。

システム コントローラ(SC)の機能

RP 上にある SC は、ラインカード シャーシ内で制御の中心的な役割を担っています。シャーシがルーティング システムの一部として機能するためには、少なくとも 1 つの SC が常に動作している必要があります。1 つの SC の取り外しによってシャーシがダウンすることがないよう、各シャーシには冗長な SC が装備されています。SC は個々の SP にノードの電源を投入するよう指示するとともに、ダウンロードするコード イメージを各カードまたはモジュールに供給します。また、応答していないと判断したノードをリセットします。シャーシ内の制御と調停を行うのはマスター SC であり、必要に応じてマスター RP およびスタンバイ RP の状態を判断します。

MSC

MSC はプライマリ データ フォワーディング エンジンです。MSC は、レイヤ 2 とレイヤ 3 のパケット処理およびキューイングを担います。MSC の CPU では、Forwarding Information Base(FIB; 転送情報ベース)のダウンロードと受信、ローカル PLU/TLU の管理、統計情報の収集とパフォーマンスの監視、ASICの管理と障害処理など、コントロール プレーンの多数の機能を実行します。

PLIM

PLIM には外部データ回線との物理インターフェイスがあります。PLIM に独自の SP モジュールはありません。PLIM の基本的なコントロール プレーン機能の大部分は、MSC の SP モジュールが代わって制御します。この機能の中には、PLIM の NVRAM(ボード タイプ、リビジョン、シリアル番号、および製造元からのその他の情報を保持)を読み取る/書き込む機能もあります。

PLIM には、RP から直接発信される専用のリセット信号はなく、MSC 自身がリセットします。MSC の SP は、リセットを受信すると、MSC と PLIM の電源コンポーネントへ供給されていた電力を停止します。対応する MSC が装着されていないと、その PLIM に電源が投入されることはありません。

ルート プロセッサ

ラインカード シャーシにはそれぞれ 2 つの RP スロットがあります。2 枚の RP カードはシャーシのミッドプレーンを介して調停ロジックに接続されており、一方の RP がマスター(アクティブ)に、また他方の RP がスタンバイになるように調停されます。アクティブ RP は SP および MSC にソフトウェア イメージを配布し、スタンバイ RP は、フェールオーバー イベントが発生してアクティブになる必要が生じた場合に備えて、アクティブ RP を監視します。

RP は、ルーティング システムがコントロール プレーンで行う処理やデータベース ソリューションの基本要素です。RIB および FIB データベースは、1 つまたは複数の RP カードに置かれます。RP カードでは BGP や OSPF などのルーティング プロトコルが実行され、ルート データベースがアップデートされます。これらのデータベースが MSC にダウンロードされ、MSC フォワーディング エンジンが適切に設定されます。

HS123 スイッチ ファブリック カード

どのスイッチ ファブリック カードにもスイッチ エレメント チップと、場合によっては光デバイスが並列にあり、また、コントロール プレーンとのインターフェイスを提供する SP があります。ハードウェア コントロール プレーン インターフェイスは FE リンクを介して通信を行い、ファブリックの設定および維持のためのチャネルを提供します。ファブリックには複数のプレーンがあってパフォーマンスのレベルを下げて少ないプレーンで運用できるので、ファブリック カードはいつでもホットスワップが可能です。CRS-1 ルーティング システムのスイッチ ファブリックのアップグレードは、1 回に 1 つずつプレーンを停止しながら行っていきます。ファブリックのアップグレード中は、一部のファブリック プレーンと他のファブリック プレーンが、それぞれ異なる設定で動作することがあります。

コントロール プレーン ハードウェアは、ファブリック チップの設定の他に、ファブリックの障害監視も行います。障害によっては、障害の発生したチップやリンクをソフトウェアで隔離する必要があります。SP ソフトウェアはリンクの状態を監視して、この隔離処理を実行します。

英数字ディスプレイ

MSC、スイッチ ファブリック カード、および RP カードには、動作状態を表示する英数字ディスプレイがあります。ディスプレイは各 4 文字の 2 行で構成されるため、一部のメッセージは折り返しまたは切り捨てて表示されます。

一般に、RP がアクティブ状態かスタンバイ状態かによって、RP の英数字ディスプレイには次のいずれかが表示されます。

ACTV
RP

または

STBY
RP

一般に、他のノードにはすべて以下が表示されます。

IOS-
XR

英数字ディスプレイに表示されるその他のノードの状態を 表1-1 に示します。

 

表1-1 英数字ディスプレイ

ディスプレイ
ノードの状態

PRESENT

カードは挿入されていますが、起動されていません。カードの設定に問題があるか、他の問題が発生している可能性があります。

IN-RESET

カードでクリティカル アラームが生成されシャットダウンされたか、起動プロセスに失敗してシャットダウンされました。カードを復旧するには、手動操作が必要です。

ROMMON

カードを起動する前の状態。

MBI-BOOT

初回 minimum boot image(MBI)がカードにロードされています。

MBI-RUN

MBI が実行され、アクティブな RP カードからリモート ノードに適切なソフトウェアが取り出されています。

IOS-XR

ノードが起動し、実行中です。

BRINGDOWN

ユーザの設定エラーまたは他のエラーにより、ノードはダウンしています。

IOS-XR FAIL

カードにエラーが発生しています。カードをシャットダウンすべきでしたが、カードはユーザの設定によって上書きされました。

ファン トレイ

ファン トレイは、RPおよび、エアフローを測定し RPM を制御する SP によって監視されます。温度が上昇すると SP はブロワーの回転速度を上げて空冷能力を上げます。

ラインカード シャーシのミッドプレーン

シャーシのミッドプレーンはルーティング システムのカードやモジュールをシャーシ内で接続できるようにします。ミッドプレーンは大部分がパッシブですが、NVRAM コンポーネントはアクティブで、トラッキング番号、製造元情報、および MAC アドレスが格納されています。シャーシ ID の値は、ソフトウェアによって NVRAM に格納されます。