Cisco 3200 シリーズ ワイヤレス MIC ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド
無線環境での QoS の設定
無線環境での QoS の設定
発行日;2012/02/06 | 英語版ドキュメント(2009/02/14 版) | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 7MB) | フィードバック

目次

無線環境での QoS の設定

無線 LAN における QoS の概要

無線 LAN の QoS および有線 LAN の QoS

無線 LAN における QoS の効果

QoS の設定値の優先順位

Wi-Fi Multimedia モードの使用

QoS の設定

QoS の設定例

VLAN QoS の設定例

IP DSCP および IP Precedence に関する QoS の例

無線環境での QoS の設定

この章では、Cisco Wireless Mobile Interface Card(WMIC)上で Quality of Service(QoS; サービス品質)を設定する方法について説明します。この機能を使用すると、特定のトラフィックを他のトラフィックよりも優先的に扱うことができます。QoS を設定しなかった場合、WMIC はパケットの内容やサイズに関係なく、各パケットにベストエフォート型のサービスを提供します。この場合、WMIC が送信するパケットは、信頼性、遅延限界、スループットのいずれも保証されません。

この章の構成は次のとおりです。

「無線 LAN における QoS の概要」

「QoS の設定」

「QoS の設定例」

無線 LAN における QoS の概要

ネットワークは通常、ベストエフォート型の配信を元に動作します。したがって、すべてのトラフィックは同じプライオリティを持ち、適時同等に配信されます。輻輳が発生すると、すべてのトラフィックが等しく廃棄されます。

WMIC 上で QoS を設定すると、特定のネットワーク トラフィックを選択してプライオリティを設定し、輻輳管理および輻輳回避方法を使用して優先的に処理できます。無線 LAN に QoS を実装すると、ネットワーク パフォーマンスの予測可能性が高くなり、帯域をより効率的に活用できます。

QoS を設定するときは、QoS ポリシーを作成し、WMIC 上で設定された VLAN にそのポリシーを適用します。ネットワーク上で VLAN を使用しない場合は、WMIC のイーサネット ポートおよび無線ポートに QoS ポリシーを適用できます。


) QoS をイネーブルにすると、アクセス ポイントでは Wi-Fi Multimedia(WMM)モードがデフォルトで使用されます。


無線 LAN の QoS および有線 LAN の QoS

無線 LAN における QoS の実装は、他のシスコ製装置で実装される QoS とは異なります。QoS がイネーブルの場合、ブリッジの動作は次のようになります。

パケットの分類は行いません。802.1q または 802.1p タグの DSCP 値、クライアント タイプ(携帯電話など)、またはプライオリティ値に基づいて、パケットにプライオリティを設定します。

ACL によるパケットの照合は行いません。モジュラ Quality of Service(MQC)クラス マップだけを使用して条件を突き合わせます。

内部 DSCP 値を作成しません。レイヤ 2 CoS 値に IP Differentiated Services Code Point(DSCP)値、優先順位値、またはプロトコル値を割り当てることによるマッピングだけをサポートします。

無線出力ポートに限り、Enhanced Distributed Coordination Function(EDCF)と同様のキューイングを実行します。

イーサネット出力ポートで実行するのは、First-in first-out(FIFO; 先入れ先出し)キューイングだけです。

802.1Q/P タグ付きパケットだけをサポートします。ブリッジは InterSwitch Link(ISL; スイッチ間リンク)プロトコルをサポートしません。

MQC policy-map set cos アクションだけをサポートします。

無線 LAN の QoS と他のシスコ製ネットワーク装置の QOS との実装比較については、次の URL にアクセスし、『Cisco IOS Quality of Service Solutions Configuration Guide』を参照してください。

http://www.cisco.com/univercd/cc/td/doc/product/software/ios122/122cgcr/fqos_c/index.htm

無線 LAN における QoS の効果

無線 LAN の QoS 機能は、提案されている 802.11e のドラフトのサブセットです。無線 LAN の QoS は、トラフィック分類に基づいた WLAN 経由の WMIC トラフィックにプライオリティを設定します。

他のメディアと同様、無線 LAN の負荷が小さい場合は、QoS の効果が意識されないことがあります。無線 LAN の負荷が増え、特定のトラフィック タイプの遅延、ジッタ、および損失が許容範囲内で維持されるようになると、QoS の利点はより顕著になります。

無線 LAN の QoS は、WMIC からダウンストリームでのプライオリティ処理が中心になります。ネットワーク トラフィックに対する QoS の働きは、次のとおりです。

無線のダウンストリーム フローとは、WMIC 無線から別のブリッジに送り出されるトラフィックです。このトラフィックは、無線 LAN における QoS の主要な処理対象です。

無線のアップストリーム フローとは、別のブリッジから WMIC 無線に送られるトラフィックです。無線 LAN の QoS は、このトラフィックには影響しません。

イーサネットのダウンストリーム フローとは、スイッチまたはルータから WMIC のイーサネット ポートに送られるトラフィックです。スイッチまたはルータ上で QoS がイネーブルになっている場合、スイッチまたはルータは WMIC へのトラフィックにプライオリティを設定し、レートを制限することがあります。

イーサネットのアップストリーム フローとは、WMIC のイーサネット ポートから有線 LAN 上のスイッチまたはルータに送られるトラフィックです。WMIC はトラフィックにプライオリティを設定せず、トラフィックの分類に基づいて有線 LAN に送信します。

QoS の設定値の優先順位

QoS をイネーブルにすると、WMIC は各パケットのレイヤ 2 Class of Service(CoS; サービス クラス)値に基づいて、パケットをキューに格納します。WMIC は次の順序で、QoS ポリシーを適用します。

1. 分類済みのパケット:ゼロ以外の 802.1Q/P user_priority 値を持つパケットを分類した QoS 対応スイッチまたはルータからパケットを受信した WMIC は、その分類を採用し、他の QoS ポリシー ルールをパケットに適用しません。既存の分類が WMIC 上の他のあらゆるポリシーより優先されます。


) WMIC は QoS ポリシーが設定されていなくても、無線インターフェイスを介して受信したタグ付き 802.1P パケットを必ず処理します。


2. WMIC 上で作成したポリシー:VLAN または WMIC のインターフェイスに対して作成、適用した QoS ポリシーは、分類済みパケットに次いで、2 番めの優先順位になります。

3. VLAN 上のすべてのパケットに共通するデフォルトの分類:VLAN 上の全パケットに対してデフォルトの分類を設定した場合、そのポリシーは優先リストの 3 番めになります。

Wi-Fi Multimedia モードの使用

QoS をイネーブルにすると、アクセス ポイントでは Wi-Fi Multimedia(WMM)モードがデフォルトで使用されます。

WMM 仕様の次の機能がサポートされています。

アソシエーション要求フレームに対する WMM 情報要素の追加

ビーコン フレーム、プローブ応答フレーム、およびアソシエーション応答フレームに対する WMM パラメータ要素の追加

データ フレームに対する QoS 制御フィールドの追加

WMM パラメータ要素で送信される次のフィールドを設定する機能のサポート(アクセス クラスごと)

contention window(CW)min

CW max

aifs

admission control required

transmit opportunity(TXOP)size

アクセス クラス別および QoS 制御フィールドを持たないフレーム別の送信シーケンス番号

アクセス クラス別および QoS 制御フィールドを持たないフレーム別の、受信時の重複シーケンス番号確認リスト

ACK を必要としない QoS 制御フィールドに対する ACK 不要フレーム

再アソシエーション時にクライアントとの間で WMM 機能をネゴシエートする機能

1 つの送信権で複数のフレームをバースト送信する機能のサポート

WMM で規定されたバックオフ手順のサポート

WMM の再送信手順のサポート

WMM 対応クライアント用の 802.1d プライオリティの追加

各アクセス クラスと QoS 制御フィールドを持たないフレームに対する受信時の別個の Temporal Key Integrity Protocol(TKIP)リプレイ検出カウンタのサポート

WMM 仕様の次の機能はサポートされていません。

QoS 制御フィールドに no ACK required ビットをセットしたパケットの送信

QoS 制御フィールドの End of service period(EOSP)ビット

管理アクション フレーム

TSPEC 要素

アドミッション制御手順

admission control required フィールドの適用

トリガーされた省電力配信

QoS の設定

QoS はデフォルトではディセーブルになっています。ここでは、WMIC 上で QoS を設定する方法について説明します。

WMIC 上で QoS を設定する前に、次の注意事項を確認してください。

QoS を実装する際に最も重要なことは、無線 LAN 上のトラフィックをよく理解することです。無線クライアント装置によって使用されるアプリケーション、遅延に対するアプリケーションの感応度、アプリケーションに関連するトラフィック量を把握すれば、パフォーマンスが向上するように QoS を設定できます。

QoS は無線 LAN の帯域割り当て制御に有効ですが、QoS によって帯域が増えるわけではありません。無線 LAN の帯域が潤沢な場合は、QoS を設定しなくて済むこともあります。

QoS の設定例

VLAN QoS の設定例

次の例では、すべてのトラフィックを VLAN100 から音声キューに格納します。

interface fastEthernet 0.1
encapsulation dot1Q 1 native
bridge-group 1
 
interface fastEthernet 0.100
encapsulation dot1Q 100
bridge-group 100
 
interface fastEthernet 0.101
encapsulation dot1Q 101
bridge-group 101
 
interface dot11Radio 0.1
encapsulation dot1Q 1 native
bridge-group 1
 
interface dot11Radio 0.100
encapsulation dot1Q 100
bridge-group 100
 
interface dot11Radio 0.101
encapsulation dot1Q 101
bridge-group 101
 
interface dot11Radio 0
ssid qosWMIC-1
vlan 1
authentication open
ssid qosWMIC-100
vlan 100
authentication open
ssid qosWMIC-101
vlan 101
authentication open
 
class-map match-all alldata
match any
 
policy-map v100traffic
class alldata
set cos 6
 
interface dot11Radio 0.100
service-policy output v100traffic

IP DSCP および IP Precedence に関する QoS の例

次の例では、IP Precedence 値が 2 のトラフィック データをキュー 0 に、IP DSCP 値が 12 のトラフィック データをキュー 1 に、IP Precedence 値が 5 のトラフィック データをキュー 2 に、IP DSCP 値が 46 のトラフィック データをキュー 3 に格納します。

class-map match-all dscp12
match ip dscp af12
 
class-map match-all dscp46
match ip dscp ef
 
class-map match-all prec2
match ip precedence immediate
 
class-map match-all prec5
match ip precedence critical
 
policy-map L3Map
class prec2
set cos 2
class dscp12
set cos 0
class prec5
set cos 5
class dscp46
set cos 6
 
interface dot11Radio 0
service-policy output L3Map