Cisco IPICS ソリューション リファレンス ネットワーク デザイン(SRND) Release 2.1(1)
ダイヤル ピアの概要
ダイヤル ピアの概要
発行日;2012/02/01 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 3MB) | フィードバック

目次

ダイヤル ピアの概要

ダイヤル ピアのコール レッグ

着信ダイヤル ピアと発信ダイヤル ピア

宛先パターン

セッション ターゲット

コール レッグのダイヤル ピアの設定

着信ダイヤル ピアと発信ダイヤル ピアの検索

ダイヤル ピアの概要

Cisco IPICS の管理者またはディスパッチャが操作を実行すると、多くの場合、Cisco IPICS サーバが音声ポートとダイヤル ピアの設定を動的に更新し、RMS に適用します。サーバによって実行される設定変更だけでなく、場合によっては RMS の設定を手動で変更する必要があります。たとえば、パケット ネットワークでユニキャスト接続トランクなどの機能を有効にする場合です。

ダイヤル ピアは、コールの発信元と宛先のエンドポイントを指定し、コール接続の各コール レッグに適用される特性を定義します。ダイヤル ピアの背景となる原理を理解すると、Cisco IPICS の動作をさらに深く理解できます。

この章では、次のトピックについて取り上げます。

「ダイヤル ピアのコール レッグ」

「着信ダイヤル ピアと発信ダイヤル ピア」

「宛先パターン」

「セッション ターゲット」

「コール レッグのダイヤル ピアの設定」

「着信ダイヤル ピアと発信ダイヤル ピアの検索」

ダイヤル ピアのコール レッグ

PSTN 上の従来の音声コールは、エンドツーエンドの専用 64 KB 回線を使用します。一方、パケット ネットワーク上の音声コールは、個々のセグメント(コール レッグ) で構成されます。コール レッグは、2 台のルータ間、またはルータとテレフォニー デバイス間をつなぐ論理接続です。音声コールは 4 つのコール レッグで構成されます。図5-1 に示すように、2 つは起点ルータからの観点によるもので、2 つは終端ルータからの観点によるものです。

図5-1 ダイヤル ピアのコール レッグ

 

ダイヤル ピアは各コール レッグに関連付けられます。ダイヤル ピアに定義され、コール レッグに適用されるアトリビュートには、コーデック、Qualify of Service(QoS)、および音声アクティビティ検出(VAD)があります。音声コールを確立するには、コール接続の 4 つのコール レッグそれぞれにダイヤル ピアを設定する必要があります。

コールは、コール レッグに応じて、次のいずれかのダイヤル ピア タイプを使用してルーティングされます。

Plain Old Telephone Service(POTS; 一般電話サービス):従来のテレフォニー ネットワーク接続の特性を定義したダイヤル ピア。POTS ダイヤル ピアは、ダイヤル ストリングをローカル ルータ上の特定の音声ポートにマッピングします。通常、これはルータをローカル PSTN、構内交換機(PBX)、または電話機に接続するポートです。

音声ネットワーク:パケット ネットワーク接続の特性を定義したダイヤル ピア。音声ネットワーク ダイヤル ピアは、ダイヤル ストリングをリモート ネットワーク デバイス(リモート テレフォニー デバイスに接続された宛先ルータなど)にマッピングします。

特定のタイプの音声ネットワーク ダイヤル ピアは、次のようにパケット ネットワーク テクノロジーに依存します。

Voice over IP(VoIP):コールの終端になる宛先ルータの IP アドレスをポイントします。

Voice over Frame Relay(VoFR):ルータのコール出力インターフェイスのデータリンク接続識別子(DLCI)をポイントします。

Voice over ATM(VoATM):ルータのコール出力インターフェイスの ATM 仮想回線をポイントします。

POTS および音声ネットワークのダイヤル ピアが必要になるのは、パケット ネットワーク上の音声接続、またはユニキャスト接続トランクを確立するためです。

着信ダイヤル ピアと発信ダイヤル ピア

ダイヤル ピアは、着信コール レッグと発信コール レッグで使用されます。重要なのは、発信と着信という用語はルータからの観点で定義されていることです。着信コール レッグは、着信コールがルータに到達したときに開始されます。発信コール レッグは、発信コールがルータから送出されるときに開始されます。図5-2 は、起点ルータから見たコール レッグを示しています。図5-3 は、終端ルータから見たコール レッグを示しています。

図5-2 起点ルータのコール レッグ

 

図5-3 終端ルータのコール レッグ

 

POTS インターフェイスから着信し、パケット ネットワークを宛先とするコールの場合、ルータは着信コール レッグ用の POTS ダイヤル ピア、および発信コール レッグ用の音声ネットワーク ダイヤル ピア(VoIP や VoFR など)を検索します。パケット ネットワークからの着信コールの場合、ルータはコールを終端するための POTS ダイヤル ピア、およびコーデックや QoS などの機能を適用するための音声ネットワーク ダイヤル ピアを検索します。

次の例に、POTS ダイヤル ピアおよび VoIP ダイヤル ピアの基本的な設定を示します。

dial-peer voice 1 pots
destination-pattern 555....
port 1/0:1
 
dial-peer voice 2 voip
destination-pattern 555....
session target ipv4:192.168.1.1
 

ルータは、ダイヤル ピア設定で answer-address destination-pattern 、または incoming called-number コマンドを使用して定義されている文字列と一致するかどうかを調べて、コール レッグのダイヤル ピアを選択します。Cisco IPICS の場合は、ダイヤル ピア設定に含まれている destination-pattern が使用されます。

宛先パターン

Cisco IPICS の設定では、宛先パターンを使用します。宛先パターンは、文字列を特定のデバイスに関連付けるものです。ダイヤル ピアに宛先パターンを設定するには、 destination-pattern コマンドを使用します。文字列が宛先パターンに一致すると、POTS ダイヤル ピアの音声ポートまたは音声ネットワーク ダイヤル ピアのセッション ターゲットに従ってコールがルーティングされます。発信音声ネットワーク ダイヤル ピアの場合は、ルータが収集してリモートのテレフォニー デバイスに転送するダイヤル番号も、宛先パターンによって決まります。宛先パターンは、ルータ上に定義する POTS ダイヤル ピアおよび音声ネットワーク ダイヤル ピアごとに設定する必要があります。

セッション ターゲット

セッション ターゲットは、一致するローカル音声ネットワーク ダイヤル ピアがあったときに、コールの送信先になるリモート ルータのネットワーク アドレスです。セッション ターゲットを設定するには、音声ネットワーク ダイヤル ピア内で session target コマンドを使用します。発信ダイヤル ピアの場合、宛先パターンは、到達先となるリモート音声デバイスの電話番号です。セッション ターゲットは、当該の音声デバイスに接続されているリモート ルータへのパスを表しています。

パケット ネットワーク上で音声通信を確立することは、スタティック ルートを設定することに似ています。定義済みの 2 つのエンドポイント間に、固有の音声接続を確立します。コール レッグによって、コール接続の 2 地点の間に存在する固有セグメントを定義します。パケット ネットワーク上の音声コールは、4 つのコール レッグで構成されます。2 つは起点ルータ上、もう 2 つは終端ルータ上にあります。これらの 4 つのコール レッグに、それぞれダイヤル ピアが関連付けられます。

コール レッグのダイヤル ピアの設定

音声コールがルータに到達した場合、ルータは一致するダイヤル ピアを検索してコールをルーティングする必要があります。POTS インターフェイスから着信し、パケット ネットワーク上に送信されるコールの場合、ルータは着信コール レッグ用の POTS ダイヤル ピア、および発信コール レッグ用の音声ネットワーク ダイヤル ピアを検索します。パケット ネットワークからルータに着信するコールの場合、ルータはコールを終端するための発信 POTS ダイヤル ピア、およびコーデック、VAD、QoS などの機能を適用するための着信音声ネットワーク ダイヤル ピアを検索します。

着信ダイヤル ピアと発信ダイヤル ピアの検索

着信コール レッグに一致するダイヤル ピアを検索するために、ルータはコール セットアップ メッセージ内の 3 つの情報要素、および 4 つの設定可能なダイヤル ピア アトリビュートを使用します。コール セットアップ要素は、次のとおりです。

着信番号またはダイヤル番号識別サービス(DNIS):宛先を表す一連の番号

発信番号または自動番号識別(ANI):発信元を表す一連の番号

音声ポート:コールを伝送する音声ポート

設定可能なダイヤル ピア アトリビュートは、次のとおりです。

着信番号:着信番号を表す文字列または DNIS。POTS ダイヤル ピアおよび VoIP ダイヤル ピア内に、 incoming called-number dial-peer configuration コマンドを使用して設定します。

応答アドレス:発信番号を表す文字列または ANI。POTS ダイヤル ピアまたは VoIP ダイヤル ピア内に、 answer-address dial-peer configuration コマンドを使用して設定します。IP ネットワークからの着信コールにだけ使用されます。

宛先パターン:発信番号を表す文字列または ANI。POTS ダイヤル ピアまたは音声ネットワーク ダイヤル ピア内に、 destination-pattern dial-peer configuration コマンドを使用して設定します。

ポート:このダイヤル ピア宛てのコールを発信するときに使用される音声ポート。

ルータは、セットアップ メッセージ内の情報要素がダイヤル ピア アトリビュートと一致するかどうかを調べて、着信ダイヤル ピアを選択します。ルータは、これらの項目が一致するかどうかを次の順序で調べます。

1. 着信番号と incoming called-number

2. 発信番号と answer-address

3. 発信番号と destination-pattern

4. 着信音声ポートと設定済み音声ポート

ダイヤル ピアを選択するためにルータで必要となるのは、これらの条件のいずれか 1 つだけが一致することです。ダイヤル ピア内にすべてのアトリビュートが設定されている必要はなく、すべてのアトリビュートがコール セットアップ情報と一致する必要もありません。ルータは、1 つのダイヤル ピアが一致すると検索を停止し、コールは設定済みのダイヤル ピア アトリビュートに従ってルーティングされます。一致するダイヤル ピアが他にある場合でも、最初に一致したピアだけが使用されます。

ルータは、ダイヤル ストリングに基づいて発信ダイヤル ピアを選択します。ダイヤル ストリングが設定済みのダイヤル ピアと一致した場合、ルータは一致したダイヤル ピアの設定済みアトリビュートを使用してコールを発信します。