ローカル管理配置に関する Cisco ACNS ソフトウェア コンフィギュレーション ガイド Release 5.4
スタンドアロン Content Engine での TCP スタック パラメータの表示と変更
スタンドアロン Content Engine での TCP スタック パラメータの表示と変更
発行日;2012/01/14 | ドキュメントご利用ガイド | ダウンロード ; この章pdf , ドキュメント全体pdf (PDF - 9MB) | フィードバック

目次

スタンドアロン Content Engine での TCP スタック パラメータの表示と変更

TCP スタックの概要

スタンドアロン Content Engine での TCP パラメータの表示または変更

TCP メモリ制限値の設定

TCP 設定情報の表示

TCP-Over-Satellite 拡張機能

スタンドアロン Content Engine での TCP スタック パラメータの表示と変更

この章では、TCP スタック パラメータを説明し、スタンドアロン Content Engine 上で TCP スタック パラメータをキャッシング用に最適化する最善の方法を説明します。さらに、TCP スタック パラメータの表示または変更方法について説明します。この章の内容は、次のとおりです。

「TCP スタックの概要」

「スタンドアロン Content Engine での TCP パラメータの表示または変更」

「TCP 設定情報の表示」

「TCP-Over-Satellite 拡張機能」


) この章で使用する CLI(コマンドライン インターフェイス)コマンドの構文および使用方法については、『Cisco ACNS Software Command Reference』Release 5.4 を参照してください。


TCP スタックの概要

キャッシュは通常、次のいずれかの目的で配置します。

帯域幅を節約する

コンテンツの配信を高速化する

視聴されるコンテンツを決定するポリシーを適用する(コンテンツ フィルタリング)

TCP のエンドツーエンドで HTTP ストリームのスループットを向上させる

もう 1 つの目的は、TCP のエンドツーエンドでパフォーマンスを向上させるための TCP スタック パラメータ微調整です。サーバとクライアント間で送信される照会、および生成される応答は、トランザクションとして定義されます。クライアントとサーバ間でのデータ トランザクションでは、ウィンドウとバッファのサイズが重要です。

キャッシュのパフォーマンスとスループットを最大にするための TCP パラメータには、タイムアウト期間、クライアントとサーバの送受信バッファ サイズ、および TCP ウィンドウのスケーリング動作を調整する機能が含まれます。


) TCP パラメータは複雑なので、TCP パラメータの調整には注意してください。ほぼすべての環境では、デフォルトの TCP 設定が適切です。TCP 設定の微調整は、十分な経験があり、TCP の操作を十分に理解しているネットワーク管理者が行ってください。


スタンドアロン Content Engine での TCP パラメータの表示または変更

スタンドアロン Content Engine で TCP パラメータを表示または変更するには、Content Engine の GUI または CLI を使用できます。

Content Engine GUI から、 System > TCP の順に選択します。表示される TCP ウィンドウを使用して、この Content Engine 用の TCP パラメータを表示または変更します。既存の TCP パラメータが TCP ウィンドウに表示されます。TCP パラメータを変更するには、フィールドの値を変更し、 Update をクリックします。 表20-1 は、TCP ウィンドウのフィールドと、関連の CLI コマンドの説明です。TCP ウィンドウの詳細については、このウィンドウの HELP ボタンをクリックしてください。

Content Engine CLI から tcp グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、 表20-1 で説明しているように TCP パラメータを変更します。


) デフォルトでは、Content Engine は自動的にキープアライブを送信しません。HTTP 接続で TCP キープアライブを送信するようにスタンドアロン Content Engine を設定するには、http tcp-keepalive enable グローバル コンフィギュレーション コマンドを入力する必要があります。このトピックに関する詳細は、「スタンドアロン Content Engine での TCP キープアライブの送信設定」を参照してください。


 

表20-1 TCP CLI 設定パラメータ

ウィンドウのフィールド
TCP CLI コマンド
説明

Send Buffer(送信バッファ)

To Server

tcp server-send-buffer kbytes

キロバイト単位のサーバ送信バッファのサイズ(TCP 発信ウィンドウ サイズ [1 ~ 512 KB])。デフォルトは 8 KB です。

To Client

tcp client-send-buffer kbytes

キロバイト単位のクライアント送信バッファのサイズ(TCP 発信ウィンドウ サイズ [1 ~ 512 KB])。デフォルトは 32 KB です。

Receive Buffer(受信バッファ)

To Server

tcp server-receive-buffer kbytes

キロバイト単位のサーバ受信バッファのサイズ(TCP 着信ウィンドウ サイズ [1 ~ 512 KB])。デフォルトは 32 KB です。

To Client

tcp client-receive-buffer kbytes

キロバイト単位のクライアント受信バッファのサイズ(TCP 着信ウィンドウ サイズ [1 ~ 512 KB])。デフォルトは 8 KB です。

R/W Timeout(R/W タイムアウト)

To Server

tcp server-rw-timeout seconds

Content Engine がネットワークへの読み書きを試行したあとにタイムアウトになるまでの時間(1 ~ 3600)。デフォルトは 120 秒です。

To Client

tcp client-rw-timeout seconds

Content Engine がネットワークへの読み書きを試行したあとにタイムアウトになるまでの時間(1 ~ 3600)。デフォルトは 120 秒です。

Keepalive(キープアライブ)

Timeout

tcp keepalive-timeout seconds

Content Engine が接続を維持する時間。この時間が過ぎると接続が切れます。

Interval

tcp keepalive-probe-interval seconds

Content Engine がアイドル状態の接続を開いたままにしておく時間の長さ(1 ~ 3600 秒)。デフォルトは 300 秒です。

Count

tcp keepalive-probe-cnt count

Content Engine が接続を再試行する回数(1 ~ 10 回)。デフォルトは 4 回です。

Congestion Window base value

tcp cwnd-base segments

輻輳ウィンドウの初期値(1 ~ 10 セグメント)。デフォルトは 2 セグメントです。

Initial Slow Start Threshold value

tcp init-ss-threshold value

スロー スタート用のスレッシュホールド(2 ~ 10 セグメント)。デフォルトは 2 セグメントです。

Retransmit Timer Increment factor

tcp increase-xmit-timer-value value

再送信タイマーの長さを、TCP アルゴリズムによって決定された基本値の 1 ~ 3 倍に変更するのに使用する係数(1 ~ 3)。デフォルトは 1 で倍数は変わりません。


) この係数の変更には注意してください。信頼性の高い低速の接続上で TCP が使用される場合はスループットが向上しますが、信頼性の低いパケット配信環境では変更しないでください。


Maximum Segment Size(最大セグメント サイズ)

To Server

tcp server-mss maxsegsize

サーバに送信される最大パケット サイズ。デフォルトは 1460 バイトです。

To Client

tcp client-mss maxsegsize

クライアントに送信される最大パケット サイズ。デフォルトは 1432 バイトです。

Others(その他)

Satellite

tcp server-satellite
tcp client-satellite

RFC 1323 に準拠するサーバとクライアント TCP。「TCP-Over-Satellite 拡張機能」を参照してください。

Type of Service

type-of-service enable

TCP のサービスタイプ。デフォルトではディセーブルになります。

Ecn

ecn enable

TCP の明示的輻輳通知。

TCP memory limits

tcp memory-limit

TCP メモリ制限値を設定します。次の「 TCP メモリ制限値の設定 」を参照してください。

TCP メモリ制限値の設定

ACNS 5.3.3 ソフトウェアおよびそれ以降のリリースでは、CLI を使用して、スタンドアロン Content Engine の TCP メモリ制限値も設定できます。TCP メモリ制限の設定値によって、TCP サブシステムの送受信バッファで利用可能なメモリ量を制御できます。


注意 明確な理由がない場合、デフォルト値を変更しないでください。デフォルト値はデバイスに依存し、広範囲にわたるテストを実施して選択されています。通常の状態では、デフォルト値を変更しないことを推奨します。値を増やすことにより、TCP サブシステムのメモリ使用量が増加し、システムがより敏感に応答するようになる可能性があります。値を減らすことにより、応答が遅くなり、パフォーマンスが低下する可能性があります。

Content Distribution Manager に登録された Content Engine の場合、Content Distribution Manager GUI から TCP メモリ制限値を設定することもできます。Content Distribution Manager に登録されている Content Engine の TCP メモリ制限値の設定方法については、『 Cisco ACNS Software Configuration Guide for Centrally Managed Deployments 』Release 5.4を参照してください。

スタンドアロン Content Engine の TCP メモリ制限の設定値を設定するには、 tcp memory-limit グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。

表20-2 に、ACNS 5.3.3 ソフトウェア リリースに追加された CLI コマンド オプションを示します。

 

表20-2 tcp memory-limit CLI コマンド オプション

CLI コマンド オプション
機能

low-water-mark megabytes

TCP 制限の最低水準点を指定します。この値は、メモリ圧迫モードの下限(MB)を指定します。この値を下回ると TCP が通常のメモリ割り当てモードに入ります。範囲は、4 ~ 600 です。

high-water-mark-
pressure
megabytes

TCP メモリ制限の最高水準点圧迫値を指定します。この値は、通常のメモリ割り当てモードの上限(MB)を指定します。この値を上回ると TCP がメモリ圧迫モードに入ります。範囲は、5 ~ 610 です。

high-water-mark-
absolute
megabytes

TCP メモリ制限の最高水準点絶対値を指定します。この値は、TCP メモリ使用状況の絶対制限(MB)を指定します。範囲は、6 ~ 620 です。

次の例では、最低水準点が 4 MB、最高水準点圧迫値が 5 MB に設定されています。

ContentEngine(config# tcp memory-limit low-water-mark 4 high-water-mark-pressure 5
 

表20-3 に、各コマンド パラメータのデフォルト値を示します。これらの値は、デバイスの合計メモリ量に基づいています。

 

表20-3 デフォルトの TCP メモリ制限の設定値

システムの合計メモリ量
下限
圧迫値
絶対値

1 GB、2 GB、または 4 GB

360 MB

380 MB

400 MB

512 MB

180 MB

190 MB

200 MB

256 MB

25 MB

28 MB

30 MB

上記のデフォルト値を変更する場合は必ず、次の条件を満たす必要があります。

最低水準点は、最高水準点圧迫値の設定を下回る数値にする必要があります。

最高水準点圧迫値は、最高水準点絶対値の設定を下回る数値にする必要があります。

low-water-mark < high-water-mark-pressure < high-water-mark-absolute
 

TCP 設定情報の表示

現在の TCP 設定情報を表示するには、 show tcp EXEC コマンドを使用します。ここではクライアント バッファ用に、デフォルトの 8 KB 着信ウィンドウ サイズが使用されています。

ContentEngine# show tcp
==TCP Configuration==
TCP keepalive timeout 300 sec
TCP keepalive probe count 4
TCP keepalive probe interval 75 sec
TCP server R/W timeout 120 sec
TCP client R/W timeout 120 sec
TCP server send buffer 8 k
TCP server receive buffer 32 k
TCP client send buffer 32 k
TCP client receive buffer 8 k
TCP server max segment size 1460
TCP satellite (RFC1323) disabled
TCP client max segment size 1432
TCP explicit congestion notification disabled
TCP type of service disabled
TCP cwnd base value 2
TCP initial slowstart threshold value 2
TCP memory_limit - Low water mark: 25 MB, High water mark (pressure): 28 MB,
High water mark (absolute): 30 MB
TCP increase(multiply) retransmit timer by 1
 

次の例では、 tcp client-receive-buffer グローバル コンフィギュレーション コマンドを使用して、TCP 着信ウィンドウ サイズを 100 KB に変更します。

ContentEngine(config)# tcp client-receive-buffer 100
 

show tcp EXEC コマンドを使用して、設定の変更を確認できます。

ContentEngine# show tcp
==TCP Configuration==
TCP keepalive timeout 300 sec
TCP keepalive probe count 4
TCP keepalive probe interval 75 sec
TCP server R/W timeout 120 sec
TCP client R/W timeout 120 sec
TCP server send buffer 8 k
TCP server receive buffer 32 k
TCP client send buffer 32 k
TCP client receive buffer 100 k
TCP server max segment size 1460
TCP satellite (RFC1323) disabled
TCP client max segment size 1432
TCP explicit congestion notification disabled
TCP type of service disabled
TCP cwnd base value 2
TCP initial slowstart threshold value 2
TCP increase(multiply) retransmit timer by 1
TCP memory_limit - Low water mark: 25 MB, High water mark (pressure): 28 MB,
High water mark (absolute): 30 MB

TCP-Over-Satellite 拡張機能

Content Engine には、RFC 1323 に文書化されているように、衛星接続に対してパフォーマンスとエンドツーエンドのスループットを最大限にするように、TCP-Over-Satellite 拡張機能を有効にする機能が組み込まれています。

ネットワーク インフラストラクチャに利用可能な多数の衛星により、大気圏で使用可能な帯域幅量が増加しました。衛星接続による接続を利用することにより、TCP トランザクションと確認応答の使用において次のような新たな課題が生じました。

遅延 :地上 24,000 マイルの衛星軌道までの往復時間は、1 つの衛星ホップで 550 ミリ秒です。低スループット接続を防ぐためにウィンドウ サイズを設定する必要があります。

ビット エラー :通常のネットワーク輻輳による損失に加えて、地上ベースのデバイスと衛星間の接続でパケットの損失が起きる可能性があります。

非対称帯域幅 :衛星からの戻りの帯域幅が、受信帯域幅よりも狭くなり、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。

RFC 1323 に適合する TCP 接続を設定するには、 tcp server-satellite tcp client-satellite のグローバル コンフィギュレーション コマンドを使用します。