音声 : テレフォニー シグナリング

IOS ゲートウェイでのデジタル T1 CAS(損失ビット シグナリング)の動作の理解

2002 年 12 月 2 日 - ライター翻訳版
その他のバージョン: PDFpdf | 機械翻訳版 (2013 年 8 月 21 日) | 英語版 (2007 年 1 月 17 日) | フィードバック

目次


概要

Channel Associated Signaling(CAS; チャネル連携信号)は、損失ビット シグナリングとも呼ばれ、ISDN のように専用のシグナリング チャネルを持たずに各トラフィック チャネルでシグナリングを行う方式です。言い換えれば、あるトラフィック回線に対するシグナリングが常にその回線と連携するということです。CAS シグナリングの最も一般的な形態としては、ループスタート、グラウンドスタート、Equal Access North American(EANA)、および E&M があります。CAS シグナリングの最大の短所は、シグナリング機能の実行にユーザの帯域幅を使用してしまうことです。CAS シグナリングでは、コールの発着信の他に、受信した Dialed Number Identification Service(DNIS; 着信番号情報サービス)や automatic number identification(ANI; 自動番号識別)情報の処理も行います。これは、認証などの機能をサポートするために使用されます。

各 T1 チャネルは、フレームのシーケンスを搬送します。これらのフレームには、192 ビットの他にフレーミング ビットとして指定された 1 ビットが含まれ、1 フレーム当たり合計 193 ビットで構成されています。Super Frame(SF; スーパー フレーム)は、これらの 193 ビットのフレームを 12 個のグループとして、偶数番号のフレームのフレーミング ビットをシグナリング ビットとして指定します。CAS では、6 フレームごとにタイムスロットまたはチャネルに関連したシグナリング情報を参照します。これらのビットは、通常は A ビットおよび B ビットと呼ばれます。Extended super frame(ESF)はフレームを 24 の単位でグループ化するため、チャネルごとあるいはタイムスロットごとに 4 つのシグナリング ビットを持ちます。これらは、フレーム 6、12、18、24 にあり、それぞれ A ビット、B ビット、C ビット、D ビットと呼ばれます。

ハードウェアとソフトウェアのバージョン

この文書の情報は、次のソフトウェアとハードウェアのバージョンに基づいています。

  • AS5xxx、2600/3600 プラットフォームの場合、Cisco IOS のすべてのバージョンを使用できます。

ソフトウェアのバージョン情報に関する詳細については、次の文書を参照してください。

CAS シグナリングのタイプ

ループスタート シグナリング

ループスタート シグナリングは、CAS シグナリングの最も単純な形式の 1 つです。ループスタート シグナリングの欠点は、リモート エンド側の接続解除または応答を感知できないことです。たとえば、FXS ループスタートとして設定されたシスコ ルータからコールが発呼されたとします。そのコールにリモート エンド側が応答したとき、シスコ ルータには情報をリレーするための監視情報が何も送られません。リモート エンド側がそのコールの接続を解除した際も同様です。

注:ネットワーク機器が回線側の応答監視を制御できる場合は、ループスタート接続の時に応答監視を行うことができます。また、ループスタートは、着信コール チャネルの捕捉は行いません。したがって、コールの両側(FX0 と FXS)が同時にコールを発呼しようとした状況で、グレア(同じインターフェイス上の着信および発信コールのコリジョン)が発生する場合があります。

ループスタート シグナリングでは、FXS 側は A ビットだけを使用し、FXO 側は B ビットだけを使用して、コール情報を交換します。A、B のビットは双方向であることに注意してください。CPE の観点(FXS)から、このシグナリング情報を定義した状態に関する表を次に示します。

注:下の表で、0/1 は、連続するスーパーフレームでシグナリング ビットが 1 と 0 に交互に変化することを示しています。

方向 状態 A B C D
送信 オンフック 0 1 0 1
送信 オフフック/閉ループ 1 1 1 1
受信 オンフック 0 1 0 1
受信 オフフック 0 1 0 1
受信 呼び出し 0 0 0 0
受信 オフフック 応答監視有り - SF フレーミングのみ 0 0/1    
受信 オフフック 応答監視有り - ESF フレーミングのみ 0 1 0 0
受信 ネットワーク接続解除(600 ミリ秒+) 1 1 1 1

次の図は、FXS ループスタートのタイミングを表しています。

着信コール(ネットワーク -> CPE)では、次のように動作します。

  1. 呼び出しを表すために、ネットワークでは B ビットがオンとオフの間で切り替えられます。これは標準的な呼び出しパターンです。たとえば、オンが 2 秒間、オフが 4 秒間となります。
  2. CPE によって呼び出しが検出され、オフフック状態になります。A ビットが 0 から 1 に変わります。

発信コール(CPE -> ネットワーク)では、次のように動作します。

  1. CPE がオフフック状態になり、A ビットが 0 から 1 に変わります。
  2. ネットワークからダイヤル トーンが送られます。シグナリングの変更はありません。
  3. CPE からディジットが送信されます(シスコの場合、dual tone multifrequency(DTMF))。

ネットワークからの切断時には、次のように動作します。

  1. CPE によって、コールをドロップ(廃棄)した(電話が切られたか、モデムがキャリアをドロップした)インバンドが検出されます。
  2. CPE がオンフック状態になり、A ビットが 1 から 0 に変わります。

CPE からの切断の場合、上記のステップ 2 だけが発生します。

応答監視および切断監視の状態は、ネットワーク側からシグナリングが提供された場合のみ生じます。

グラウンドスタート シグナリング

グラウンドスタート シグナリングは、多くの点でループスタート シグナリングによく似ています。グラウンドスタート シグナリングがループスタート シグナリングと比べて秀でている点は、着信コール(ネットワーク -> CPE)が発信チャネルを捕捉できる機能があることであり、これによってグレアの発生が抑えられます。これは、ネットワーク側で B ビットだけでなく A ビットと B ビットの両方を使用することで実現しています。A ビットは CPE 側でも使用されますが、スイッチの実装によっては、B ビットも使用されます。通常、B ビットは電話会社では無視されます。CPE の観点(FXS)から、このシグナリング情報を定義した状態の表を次に示します。

注:下の表で、0/1 は、連続するスーパーフレームでシグナリング ビットが 1 と 0 に交互に変化することを示しています。

方向 状態 A B C D
送信 オンフック/開ループ 0 1 0 1
送信 リングのグラウンド 0 0 0 0
送信 オフフック/閉ループ 1 1 1 1
受信 オンフック/Tip グラウンドなし 1 1 1 1
受信 オフフック/Tip グラウンド 0 1 0 1
受信 呼び出し 0 0 0 0
受信 応答監視 - SF フレーミングのみ 0 0/1    
受信 応答監視 - ESF フレーミングのみ 0 1 0 0

次の図は、FXS グラウンドスタートのタイミングを表しています。

着信コール(ネットワーク -> CPE)では、次のように動作します。

  1. ネットワークがオフフックになり、A ビットが 1 から 0 に変わり、B ビットが 0 と 1 の間で切り替わることで回線を呼び出します。
  2. CPE が、呼び出しを検出して捕捉すると、オフフックに移行し、A ビットが 1 に設定されます。
  3. ネットワークがオフフックの状態になり、B ビットの切り替えが停止します。B ビットが 1 になります。

発信コール(CPE -> ネットワーク)では、次のように動作します。

  1. CPE がリングのグラウンド状態になり、A ビットと B ビットが 0 になります。
  2. ネットワークがオフフックになり、A ビットが 1 から 0 に変わります。B ビットは 1 に設定されます。
  3. CPE がオフフックに移行します。A ビットと B ビットは 1 になります。
  4. CPE がダイヤルトーンを検出し、ディジットを送信します。

ネットワークからの切断時には、次のように動作します。

  1. ネットワークがオンフック状態になり、A ビットが 0 から 1 に変わります。
  2. CPE がオンフック状態になり、A ビットが 1 から 0 に変わります。

CPE からの切断時には、上記のステップが逆になります。

E&M シグナリング

E&M シグナリングは、通常はトランク回線に使用されます。このシグナリング方式は、前述の CAS シグナリング方式に比べて、多くの利点があります。この方式には、グレアの回避の他、切断監視と応答監視の両方の機能があります。E&M シグナリングは分かりやすく、CAS の使用時にはより優れた選択肢となります。

次の表は、標準(E&M)トランク型の A ビットと B ビットを示しています。

方向 状態 A B C D
送信 オンフック 0 0 0 0
送信 オフフック 1 1 1 1
受信 オンフック 0 0 0 0
受信 オフフック 1 1 1 1

次の図は、E&M シグナリングのようすを示しています。

シスコのルータでは、次の 3 つの E&M シグナリングがサポートされています。

  • ウィンク スタート(FGB)- DNIS 情報を送出できることをリモート側に通知するために使用します。
  • ウィンク スタートとウィンク確認応答またはダブルウィンク(FGD)- DNIS 情報の受信の確認応答を送るための 2 番目のウィンク。
  • イミディエイト スタート - ウィンクをまったく送信しません。

注:FGD は、ANI をサポートする T1 CAS の唯一のバリアントで、シスコでは、FGD-EANA バリアントと一緒にサポートしています。FGD-EANA は、FGD の機能の他に、緊急コール(米国では 911)などのコール サービスをサポートしています。FGD では、ゲートウェイは インバウンドでの ANI 情報の収集のみサポートします。FGD-EANA を使用すると、Cisco 5300 では、ANI 情報をインバウンドで収集するだけでなく、これをアウトバンドに発信できるようになります。後者の機能を使用するには、ds0-group コマンドで fgd-eana シグナリングタイプを使用しているユーザが、POTS ダイヤルピアで ani-dnis オプションを指定し calling-number outbound コマンドを実行する必要があります。calling-number outbound コマンドは、Cisco 5300 と Cisco IOS Release 12.1(3)T の組み合わせでのみサポートされています。

したがって、着信コール(ネットワーク -> CPE)では、次のように動作します。

  1. ネットワークがオフフックに移行します。A ビットと B ビットは 1 になります。
  2. CPE がウィンクを送信します。A ビットと B ビットが 200 ミリ秒の間だけ 1 になります。これは、ウィンク スタートまたはウィンク スタートとウィンク確認応答を使用している場合にのみ発生します。イミディエイト スタートの場合は、このステップは無視されます。
  3. ネットワークから DNIS 情報が送られます。これは、モデムによってデコードされた着信トーンを送ることで実現されています。
  4. CPE からウィンク確認応答が送られます。A ビットと B ビットが 200 ミリ秒の間だけ 1 になります。これは、ウィンク スタートとウィンク確認応答を使用している場合にのみ発生します。イミディエイト スタートまたはウィンク スタートのみの場合は、このステップは無視されます。
  5. コールに応答があると、CPE がオフフックに移行します。A ビットと B ビットは 1 になります。

発信コール(CPE -> ネットワーク)では、上記と同じ動作が行われます。ただし、上記の説明で、ネットワークの部分が CPE に、CPE の部分がネットワークになります。これは、シグナリングが対称型であるためです。

ネットワークからの切断時には、次のように動作します。

  1. ネットワークがオンフックに移行します。A ビットと B ビットは 0 になります。
  2. CPE がオンフックに移行します。A ビットと B ビットは 0 になります。

CPE からの切断時には、上記のステップが逆になります。


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