音声 : テレフォニー シグナリング

ボイスネットワークの信号方式と制御

2002 年 6 月 1 日 - ライター翻訳版
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目次


概要

この文書では、ボイス伝送の制御に必要な信号技術について説明します。これらの信号技術は、監視、アドレッシング、通知の 3 つのカテゴリに分けることができます。監視には、ループまたはトランクの状態変化の検出が含まれます。このような変化が検出されると、コール を接続するために回線(ループ)を閉じるなど、監視回線はあらかじめ決められた応答を行います。アドレッシングには、ダイヤルされたディジット(パルスまたはトーン)を private branch exchange(PBX; 構内交換機)または central office(CO; セントラル オフィス)へ渡す作業が含まれます。ダイヤルされたディジットによって、他の電話機や customer premises equipment(CPE; 顧客宅内機器)へ接続されます。通知は、電話の着信や話し中などの状態 時に、ユーザに対して音を発します。コールは、これらの信号技術がなくては実現できません。各カテゴリに特有の信号タイプについて説明する前に、基本的なコール プログレスについて、開始から終了まで詳しく説明します。

基本的なコール プログレス

ループスタート方式によって実行されるコール プログレスは、オンフック、オフフック、ダイヤル、交換、呼び出し、および会話の 5 つのフェーズに分けることができます。図 1 にオンフック フェーズを示します。

図 1

コールが始まる前、電話機は準備状態にあり、発信者が受話器を取るのを待機しています。この状態はオンフックと呼ばれます。この状態のとき、電話 機から CO 交換機に繋がる -48VDC 回線は開かれた状態です。CO 交換機には、この DC 回線のための電源装置が取り付けられています。CO 交換機に電源装置を設置すると、電話機のある場所が停電になったときに電話サービスが停止することを防止できます。図 2 にオフフック フェーズを示します。

図 2

電話の利用者が電話を掛けるために電話機のスイッチ フックから受話器を持ち上げると、オフフック フェーズになります。スイッチ フックによって CO 交換機と電話機との間のループが閉じられ、電流が流れます。この電流の流れが CO 交換機で検出され、ダイヤル トーン(連続して発信される 350 ヘルツおよび 440 ヘルツ [Hz] のトーン)が電話機側に送信されます。このダイヤル トーンにより、利用者はダイヤルを開始できることが分かります。利用者側にすぐにダイヤル トーンが聞こえる保証はありません。すべての回線が使用中の場合、利用者はダイヤル トーンが聞こえるまでしばらく待たなくてはならない場合があります。使用中の CO 交換機のアクセス容量によって、発信者の電話機へダイヤル トーンが送られるまでの時間の長さが決まります。CO 交換機は、これからダイヤルされる着信者側のアドレスを保存するレジスタを予約した場合にだけ、ダイヤル トーンを生成します。このため、利用者はダイヤル トーンを受信するまではダイヤルできません。ダイヤル トーンが聞こえない場合、レジスタが使用できないことを意味します。図 3 にダイヤル フェーズを示します。

図 3

ダイヤル フェーズでは、利用者が別の場所にある電話の電話番号(アドレス)を入力できます。利用者は、パルスを発生するダイヤル式電話機、またはトーンを発生する プッシュフォンを使って、この番号を入力します。これらのパルスまたはトーンは、2 線式のツイストペア ケーブル(チップおよびリング回線)を通って CO 交換機に送られます。図 4 に交換フェーズを示します。

図 4

交換フェーズでは、CO 交換機によって、パルスやトーンが、着信ユーザの電話機に接続するポート アドレスに変換されます。その後、要求された電話機に直接接続される(市内通話)か、あるいは別の 1 台以上の交換機を経由して(長距離通話)接続されます。図 5 に呼び出し フェーズを示します。

図 5

CO 交換機が着信側の回線に接続されると、20Hz 90V の信号がこの回線に送られます。この信号によって着信側の電話機が鳴ります。着信側の電話機を呼び出している間、CO 交換機からは発信側にリングバック トーンを送信します。このリングバックトーンによって、発信者は着信側の電話が鳴っていることが分かります。CO 交換機は、440 および 480Hz のトーンを発信者側の電話機に送出することでリングバック トーンを生成します。これらのトーンが一定間隔で繰り返し再生されます。着信側の電話が使用の場合、CO 交換機は発信者側にビジー信号を送ります。ビジー信号は、480Hz と 620Hz のトーンで構成されています。図 6 に会話フェーズを示します。

図 6

会話フェーズでは、着信側が電話の呼び出し音を聞いて、応答します。着信側の利用者が受話器を持ち上げると、ただちにオフフック フェーズが、着信側で開始されます。ローカル ループが着信側で閉じられるため、CO 交換機へ電流が流れ始めます。この交換機が電流を検出すると、発信側の電話へのボイス接続が完了します。以上により、ボイス通信が開始されます。

表 1 に CO 交換機によってコール中に生成される通知トーンを要約します。

表 1

表 1 のプログレス トーンは、北米の電話システム用です。国際電話システムでは、一連のプログレス トーンがまったく異なる場合があります。これらのプログレス トーン、特にダイヤル(Dial)、ビジー(Busy)、およびリングバック(Ringback)のトーンについて理解しておく必要があります。輻輳(Congestion)プログレス トーンは、交換機の間で使用されます。レシーバ オフ フック(Receiver Off-hook)は、オフ フックの状態で一定時間以上が経過すると生成される、大きな呼び出し音です。該当番号なし(No Such Number)は、ダイヤルされた番号が交換機のルーティング テーブルにない場合に生成されます。

アドレス信号とチップおよびリング

アドレス信号

North American Numbering Plan

North American Numbering Plan(NANP)では、電話番号の表現に 10 桁の数字を使用します。この 10 桁の数字は、エリア コード、局コード、端末コードの 3 つの部分に分けられます。

初期の NANP では、エリア コードは電話番号の最初の 3 桁で構成され、北米の各地域(カナダを含む)を表していました。1 桁目は 2 〜 9 のいずれかの番号、2 桁目は 1 か 0、そして 3 桁目は 0 〜 9 のいずれかの番号でした。局コードはエリア コードの次の 3 桁の数字で構成され、その地域の電話ネットワーク内の交換機を一意に識別していました。1 桁目は 2 〜 9 のいずれかの番号、2 桁目も 2 〜 9 のいずれかの番号、そして 3 桁目は 0 〜 9 のいずれかの番号でした。エリア コードと局コードの 2 桁目の番号は互いに重複しない数字を使用したため、以前はこの 2 つのコードが同一になることはありませんでした。この番号付けシステムでは、交換機はエリア コードの 2 桁目の数字を確認すると、市内通話か長距離通話かを判別できました。端末コードは、電話番号の最後の 4 桁で構成されていました。この番号は、着信する電話が接続されている交換機のポートを一意に識別していました。この 10 桁の番号付けシステムに基づいて、1 つの局コードには 10,000 件までの端末コードを保持できました。1 台の交換機で 10,000 件以上の接続を保持するには、さらに局コードを割り当てる必要がありました。

家庭、インターネット アクセス、ファックス機などに取り付けられる電話回線の数が増えるにつれて、使用可能な電話番号の数が極端に減少しました。このため、NANP の変更が求められました。現在の計画では、電話番号のエリア コードと局コードのセクション以外は、基本的に古い計画と同じです。現在は、エリア コード用と、局コード用の各 3 桁の数字が同じ方法で選択されます。1 桁目には 2 〜 9 のいずれかの数字を使用し、2 桁目と 3 桁目には 0 〜 9 のいずれかの数字を使用します。この方法により、使用可能なエリア コードは飛躍的に増加するため、割り当て可能な端末コードの数も増加しました。長距離通話の場合は、10 桁の番号をダイヤルする前に 1 をダイヤルする必要があります。

国際電話番号計画

国際電話番号計画は、ITU-T 仕様 E.164 に基づき、すべての国が従わなければならない国際標準です。この計画には、どの国の電話番号も 15 桁を超えてはならないと明確に記されています。最初の 3 桁は国番号を表しますが、すべての国が 3 桁すべてを使用しているとは限りません。残りの 12 桁は各国の固有の番号を表現します。たとえば、北米の国番号は 1 です。したがって、他の国から北米に電話をする際には、最初に 1 をダイヤルし、North American Numbering Plan(NANP)にアクセスする必要があります。次に、NANP が必要とする 10 桁の数字をダイヤルします。各国固有の 12 桁の番号は、その国で適切と思われる方法を自由に使って取り決めることができます。国によっては、国際電話の発信を意味する番号の組み合わせを使用している場合もあります。たとえば、アメリカ合衆国の国内から国際電話を発信するには、011 が使用されます。図 7 に、北米でのネットワーク アドレッシングを説明します。

図 7

この図では、発信者が発信者の施設内から電話を掛けています。この施設では、Public Switched Telephone Network(PSTN; 公衆電話交換網)へのアクセスに PBX を使用しています。発信者は、PBX を通過するために最初に 9 をダイヤルします(ほとんどの PBX はこのように設定されています)。次に、発信者は長距離通話であることを示す 1 と、電話を掛ける相手の 10 桁の電話番号をダイヤルします。このエリア コードに従って、発信者は 2 台の交換機を経由します。1 台目はローカル局の交換機で、2 台目は長距離通話を行う inter-exchange carrier(IXC; 中継キャリア)の交換機です。局コード(その次の 3 桁の数字)により、発信者は再びローカルの交換機を経由して相手の PBX に到達します。最後に端末コード(最後の 4 桁の数字)によって、相手の電話に到達します。

パルス式ダイヤル

パルス式ダイヤルは、インバンドの信号技術です。この方法は、ダイヤルを備えたアナログ電話機で使用されます。ダイヤルが回転するたびに、ダイヤルの底部によって CO 交換機または PBX 交換機に繋がる回線が開閉されます。このダイヤルは、電話がオフフックまたはオンフックになるときにスイッチ フックが行う方法と同じ方法でスイッチを開閉します。ダイヤルされた数字は、スイッチを開閉した数に対応します。したがって、3 という数字がダイヤルされた場合、スイッチは三度開閉されます。図 8 にパルス式ダイヤルを使用して 3 をダイヤルした場合に生じるパルスを示します。

図 8

この図では、Make と Break という 2 つの新しい用語が使用されています。Make は回線が閉じられた状態にあるとき、Break は回線が開かれた状態にあるときを意味します。電話がオフフック状態になると Make になるため、発信者は CO 交換機からダイヤル トーンを受信します。続いて発信者が数字をダイヤルすると、Make と Break のシーケンスが 100 ミリ秒(ms)ごとに発生します。通常は Break が 60 ms 続き、Make が 40 ms 続きます。その後、次の数字がダイヤルされるか、電話がオンフック状態(Break と同じ)に戻るまで Make 状態が続きます。ダイヤル パルスによるアドレッシングでは、ダイヤルされた数値の数だけパルスが発生するため、非常に低速です。つまり、9 をダイヤルすると、Make と Break のパルスが 9 回生成されます。0 をダイヤルすると、Make と Break のパルスが 10 回発生します。このダイヤルのスピードを向上するために、dual tone multifrequency(DTMF)と呼ばれる新しいダイヤル技術が開発されました。図 9 に DTMF ダイヤル(プッシュフォン ダイヤルとも呼ばれます)によって生成される周波数トーンを示します。

DTMF ダイヤル

図 9

DTMF ダイヤルは、パルス式ダイヤルと同様に、インバンドの信号方式です。この技術は、プッシュフォン ボタンが付いたアナログ電話機で使用されます。このダイヤル技術では、図 9 に示すとおり、各数字に対して周波数トーンを 2 つだけ使用します。したがって、0 をダイヤルすると、パルス式のダイヤルによって 10 回生成される Make と Break の代わりに、周波数トーンの 941 と 1336 が生成されます。これらの周波数は、一般的な周囲のノイズから影響の受けにくいものが DTMF 用として選択されました。

単一周波数信号と多重周波数信号

R1 および R2 の信号規格は、ボイスネットワークの交換機の間で監視信号やアドレス信号の情報の送信に使用されます。これらの規格では、どちらも監視情報の送信に単一周波数信号を、アドレス情報の送信に多重周波数信号を使用します。

R2 信号方式

R2 信号方式の仕様は、ITU-T 勧告の Q.400 から Q.490 に記述されています。R2 の物理接続層は、通常は ITU-T 標準 G.704 に準拠した E1(2.048 メガビット/秒[Mbps])インターフェイスです。このインターフェイスでは、タイムスロット 0 をフレーム同期に使用し(Primary Rate Interface [PRI; 一次群速度インターフェイス] と同じ)、タイムスロット 16 を ABCD 信号に使用します。これには 16 フレームのマルチフレーム構造があり、8 ビットのタイムスロット 1 つで 30 のデータ チャネルすべてに対する回線信号を処理できます。

R2 コール制御と信号方式

信号方式には、回線信号方式とレジスタ信号方式の 2 種類があります。回線信号方式には、監視情報(オンフック/オフフック)が含まれ、レジスタ信号方式にはアドレッシングが関係しています。これらについては、次により詳細に説明します。

R2 回線信号方式

R2 では、channel-associated signaling(CAS; チャネル連携信号)を使用しています。これは、E1 の場合、6 フレームごとにシグナリング情報を送るT1 用に使用される信号方式とは対照的に、タイムスロット(チャネル)の 1 つがシグナリング専用に割り当てられ ています。

この信号方式は、アウトバンドの信号方式で、T1 Robbed ビット シグナリングと同じ方法で ABCD ビットを使用し、オンフック/オフフック状態を表します。これらの ABCD ビットは、各 16 フレームのタイムスロット 16 にあり、マルチフレームを形成します。これらの 4 つのビットは、シグナリング チャネルとしても知られますが、R2 信号方式では実際には 2 つだけ(A と B)が使用され、他の 2 つは予備用です。

これらの 2 ビットはウィンク スタートなどの Robbed ビット シグナリングと異なり、順方向と逆方向で異なる意味を持っています。しかし、基本的な信号プロトコルに違いはありません。

R2 レジスタ信号方式

コール情報の転送(着番号や発信者番号など)は、コールで使用されているタイムスロットのトーンを使用して行われ 、インバンド信号方式と呼ばれています。

R2 では、6 つの信号周波数を順方向(発信側から)に、別の 6 つの信号周波数を逆方向(着信側から)に使用します。これらのレジスタ間の信号は、6 つの周波数のうちの 2 つのインバンド コードを使用する多重周波数タイプです。R2 信号方式のバリエーションで、6 つの周波数のうちの 5 つを使用するものは、decadic CAS システムとして知られています。

レジスタ間でのシグナリングは、決められた手順によって一般的にはエンドツーエンドで行われます。このことは、ある方向 へのトーンが他方向のトーンによって確認されることを意味します。この種類の信号方式は、multifrequency compelled(MFC)信号方式として知られています。

信号によって送られる主な項目は次のとおりです。

  • 着信側および発信側の電話番号
  • コール タイプ(中継、メンテナンスなど)
  • エコー抑制信号
  • 発信側のカテゴリ
  • ステータス

R1 信号方式

R1 信号方式の仕様は、ITU-T 勧告の Q.310 から Q.331 に記述されています。主要な点を要約すると次のようになります。R1 の物理接続層は、通常は ITU-T 標準 G.704 に準拠した T1(1.544Mbps)インターフェイスです。この規格では、フレーム同期のためにフレームの 193 番目のビットを使用します(T1 と同じ)。

R1 コール制御と信号方式

この場合も、信号方式には回線信号方式とレジスタ信号方式の 2 種類があります。回線信号方式には、監視情報(オンフック/オフフック)が含まれ、レジスタ信号方式にはアドレッシングが関係します。これらについては、以下でより詳細に説明します。

R1 回線信号方式

R1 では、6 フレームごとに各チャネルの 8 番目のビットを使用して、インスロットの CAS を使用します。この信号方式では、T1 Robbed ビット シグナリングとまったく同じ方法で ABCD ビットを使用し、オンフック/オフフック状態を表します。

R1 レジスタ信号方式

コール情報の転送(着番号や発信者番号など)は、コールに使用されているタイムスロットのトーンを使用して行われます。このタイプの信号方式は、インバンド信号方式とも呼ばれます。

R1 では、700Hz から 1700Hz まで、200Hz ごとの 6 つの周波数を使用します。これらのレジスタ間の信号は、6 つの周波数のうちの 2 つのインバンド コードを使用する多重周波数タイプです。レジスタ信号方式に含まれるアドレス情報は、KP トーン(パルス開始信号)の次から始まり、ST トーン(パルス終了信号)で終ります。

信号によって送られる主な項目は次のとおりです。

  • 着信側の電話番号
  • コール ステータス

チップ回線とリング回線

図 10 に plain old telephone service(POTS; 一般電話サービス)ネットワークにおけるチップ回線とリング回線を示します。

図 10

2 台の電話機の間での標準的なボイス伝送には、チップ回線とリング回線が使用されます。チップ回線とリング回線は、ツイストペアのワイヤーで、RJ-11 コネクタで電話線に接続されます。スリーブは RJ-11 コネクタ用の接地リード線です。

ループスタート方式

ループスタート方式は、ボイスネットワークでのオンフックとオフフックを示す監視信号技術です。ループスタート方式は、主に電話機から交換機へ接続が行われるときに使用されます。この信号技術は、次のどの接続にも使用できます。

  • 電話機から CO 交換機
  • 電話機から PBX 交換機
  • 電話機から外部交換ステーション(FXS)モジュール(インターフェイス)
  • PBX 交換機から CO 交換機
  • PBX 交換機から FXS モジュール(インターフェイス)
  • PBX 交換機から外部交換局(FXO)モジュール(インターフェイス)
  • FXS モジュールから FXO モジュール

アナログ ループスタート方式

図 11 から図 13 に、電話機、PBX 交換機、または FXO モジュールから、CO 交換機または FXS モジュールへ送られるループスタート方式を示します。図 11 はループスタート方式が発生する前のアイドル状態を示します。

図 11

このアイドル状態にある電話機、PBX、または FXO モジュールでは、2 線のループが開いた(チップ回線とリング回線が開いた)状態になります。このとき、電話機では受話器がオンフックの状態であるか、そうでなければ PBX または FXO モジュールでチップ回線とリング回線の間が開いた状態になります。CO または FXS は、ループが閉じて電流が発生するのを待機する状態になります。CO または FXS には、チップ回線と _-48VDC のリング回線に接続されたリング ジェネレータがあります。図 12 に電話機でのオフフック状態と PBX または FXO モジュールでの回線捕捉を示します。

図 12

この図では、電話機、PBX、または FXO モジュールで、チップ回線とリング回線の間のループが閉じられます。電話機で受話器が取り上げられたか、PBX または FXO モジュールで回線接続が閉じられました。CO または FXS モジュールでは電流を検出してダイヤル トーンを発生させます。このダイヤル トーンは電話機、PBX、または FXO モジュールへ送られ、ダイヤルを開始できることを示します。この CO 交換機からの着信コールがあった場合、何が起きるでしょうか。その状態を図 13 に示します。

図 13

この図では、電話、PBX、または FXO モジュールのリング回線が、CO または FXS モジュールによって捕捉されています。電話などの装置は、_-48VDC のリング回線上に 20Hz、90VAC の信号を乗せて呼び出されます。この手順により、着信側の電話機が鳴らされるか、あるいは着信コールがある PBX または FXS モジュールに信号が送られます。電話機、PBX、または FXO モジュールでチップ回線とリング回線の間の回路が閉じられると、CO または FXS モジュールではこの呼び出し音が止められます。着信側で受話器が取り上げられると、その電話機によってこの回線が閉じられます。PBX または FXS モジュールでは、着信側への接続に使用できる空きリソースがある場合に回路を閉じます。CO 交換機によって生成される 20Hz の呼び出し信号は、利用者側の回線の影響を受けません。また、これは着信コールがあることを利用者に知らせる唯一の方法です。利用者側の回線には、専用のリング ジェネレータはありません。したがって、CO 交換機は、鳴らす必要のある回線をすべて巡回する必要があります。この巡回には、約 4 秒ほどかかります。CO 交換機と、電話機、PBX、FXO モジュールが回線を同時に捕捉するとき、この呼び出しの遅延により、グレアと呼ばれる問題が生じます。グレアが発生すると、電話を掛けた人にリングバック トーンが聞こえる間もないほどほぼ即時に着信側に接続されます。電話機から CO 交換機への接続では、一時的にグレアが発生する程度であれば許容されるため、大きな問題にはなりません。しかし、PBX または FXO モジュールから CO 交換機または FXS モジュールへループスタートを使用する場合は、より多くのコール トラフィックが関係し、グレアの発生頻度が高くなるため、大きな問題になります。このため、電話機から交換機へ接続が行われるときに、最初にループスタート方式が使用されます。グレアの発生を防ぐ最もよい方法は、グラウンド スタート方式を使用することです。これについては後述します。

デジタル ループスタート方式

この動作モードは、通常は off-premise extension(OPX)アプリケーションで使用されます。この方法には 2 つの状態信号方式があり、信号方式として「B ビット」を使用します。

アイドル状態:

FXS へ:A ビット = 0、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 0、B ビット = 1

FXS 側発呼:

ステップ 1:FXS 側で A ビットが 1 に変更され、FXO 側にループ を閉じるように信号が送られます。

FXS へ:A ビット = 0、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 1、B ビット = 1

FXO 側発呼:

ステップ 1:FXO 側で B ビットが 0 に設定されます。B ビットは、呼び出し音とともに固定されます。

FXS へ:A ビット = 0、B ビット = 0

FXS から:A ビット = 0、B ビット = 1

ステップ 2:FXS 側より、A ビットを 1 に変更することで応答します。FXO によって B ビットが 1 に設定され、リング ジェネレータが作動します。

FXS へ:A ビット = 0、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 1、B ビット = 1

ループスタートのテスト

ループスタート トランクの状態を信号で送信するテストについて、分界点から見て CO 側と、分界点から見て PBX 側の 2 つの視点から説明します。

アイドル状態(オンフック、初期状態)

図 14 にアイドル状態を示します。ブリッジ用クリップがはずされ、CO が PBX から切り離されます。

PBX 側を見ると、分界点で T と R のリード線が開いた状態にあることが分かります。

分界点から CO 側を見ると、T リード線が接地され、R リード線は-48V になっていることが分かります。分界点で CO 側の T と R の間に接続された電圧計は、-48V 付近を示している必要があります。

図 14:アイドル状態

発信(オフフック)

CO 側の動作のテストは、ブリッジ用クリップを取りはずし、CO 側の T リード線と R リード線の間にテスト用の電話機を繋いで行います。このテスト 用電話機により、ループが閉じられます。CO 側で閉ループが検出され、電話番号受信機が回線に接続されます。ボイスパスが確立され、PBX へダイヤル トーンが送信されます(図 15 を参照してください)

図 15

テスト用電話機でダイヤル トーンが受信されたら、CO 側で受け付ける DTMF 信号あるいはダイヤルパルス信号を使用してダイヤルを行います。CO によっては、ダイヤルパルスによってダイヤルされた番号だけを受信するように実装されます。DTMF を受信できる CO では、ダイヤルパルスも受信できます。CO では、ダイヤルされた最初の番号を受信した時点でダイヤル トーンを停止します。

すべての数値がダイヤルされた後、CO では番号を受信するのを停止して、遠隔地の端末または交換機へコールをルートします。ボイスパスが発信装置を越えて延長され、コール プログレス トーンがテスト用電話機に返されます。コールが応答されると、ボイスがボイスパスを通じて聞こえるようになります。

着信(宛先での呼び出し)

分界点に設置したテスト用の電話機は、着信コールのループスタート トランクの動作のテストにも使用できます。テスト用の設定は、発信コールの場合と同様です。通常は、PBX 側の技術者が CO 側の技術者に他の回線を使って電話を掛け、テスト中のトランクを使って PBX 側に電話を掛けるように CO 側の技術者に依頼します。CO 側ではそのトランクに呼び出し用の電圧が加えられます。分界点で電話機が鳴ります。PBX 側の技術者はそのテスト用電話機を使って電話に応答します。テスト対象のトランクを使って双方の技術者が会話できれば、そのトランクは正常に動作していることになります。

PBX と分界点との間でブリッジ用クリップを取りはずして行うテストは困難です。ほとんどの PBX にあるループスタートのインターフェイス回線は、動作するために CO からのバッテリー電圧を必要とします。この電圧がないと、トランクを発信コール用として選択できなくなります。通常の手順としては、分界点から CO へのトランクのテストを、最初は上記で説明したようにブリッジ用クリップを取りはずして行い、次にブリッジ用クリップを取り付けた後に行います。PBX に接続するとトランクが正常に動作しない場合は、PBX 内部あるいは PBX と分界点との間の配線に問題があると推測できます。

グラウンド スタート方式

グラウンド スタート方式は、ループスタートと同様に、オンフックとオフフックの状態を調べるもう 1 つの監視信号技術です。グラウンド スタート方式は、主に交換機間の接続で使用されます。グラウンド スタート方式とループ スタート方式の大きな違いは、グラウンド スタート方式では、チップとリングのループが閉じられる前に接続の両端で接地の検出を行う必要があることです。

アナログ グラウンド スタート方式

図 16 から図 19 に、グラウンド スタート方式について、CO 交換機または FXS モジュールと、PBX または FXO モジュール との間の動作のみを示します。図 16 にグラウンド スタート方式のアイドル(オンフック)状態を示します。

図 16

この図では、チップ回線とリング回線の両方が接地から切り離されています。PBX と FXO では、チップ回線の接地を常に監視し、CO と FXS では、リング回線の接地を常に監視します。バッテリ(-48 VDC)は、ループスタート方式のときのようにリング回線に接続されます。図 17 に PBX または FXO から発せられたコールを示します。

図 17

この図では、PBX または FXO でリング回線が接地され、CO または FXS に対して着信コールがあることを示しています。CO または FXS では、リング回線の接地を検出し、チップ回線を接地して PBX または FXO に着信コールを受信する準備ができたことを通知します。PBX または FXO では、チップ回線が接地されたことを検出し、チップ回線とリング回線のループを閉じることで応答を返します。さらに、リング回線の接地を切り離します。このプロセスにより、CO または FXS への接続が完了し、ボイスによる通信が開始されます。図 18 に CO または FXS からのコールを示します。

図 18

図 18 では、CO または FXS でチップ回線が接地され、20Hz、90VAC の呼び出し用電圧がリング回線上に 乗せて、PBX または FXO へ着信コールが通知されます。図 19 にグラウンド スタート方式の最終フェーズを示します。

図 19

上の図では、PBX または FXO で、チップの接地と呼び出しの両方が検出されています。PBX または FXO に通信を確立するための空いたリソースがある場合、PBX または FXO ではチップ回線とリング回線間のループが閉じられ、リングの接地が取りはずされます。CO または FXS では、チップとリングのループからの電流を検出し、呼び出し用トーンが停止されます。PBX または FXO では、チップの接地と呼び出しを 100 ms 以内に検出する必要があります。検出できなかった場合はタイムアウトとなり、発信者は電話を掛け直さなければならなくなります。100 ms のタイムアウトにより、グレアの発生が抑えられます。

デジタル グラウンド スタート方式

この動作モードは、通常は foreign exchange(FX; 外部交換)トランクのアプリケーションで使用されます。

FXS 側発呼:

アイドル状態:

FXS へ:A ビット = 1、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 0、B ビット = 1

ステップ 1:FXS 側から発呼します。FXS からの B ビットが 0 になります。

FXS へ:A ビット = 1、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 0、B ビット = 0(FXS 側からの発呼)

ステップ 2:FXO からの A ビットが 0 になります。

FXS へ:A ビット = 0(FXO 側応答)、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 0、B ビット = 0

ステップ 3:FXS 側で A=1、B=1 として FXO 側へ応答します。

FXS へ:A ビット = 0、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 1、B ビット = 1

FXO 側発呼:

ステップ 1:FXO では、A ビットと B ビットを 1 から 0 に変更します(B ビットの状態はリンギングのサイクルに従います)。

FXS へ:A ビット = 0、B ビット = 0

FXS から:A ビット = 0、B ビット = 1

ステップ 2:FXS 側は、A ビットを 0 から 1 に変更することで応答します。FXO 側 は、リング ジェネレータが切り離されることで応答します。リング ジェネレータが切り離されると、FXO では B ビットを 1 に戻します。

FXS へ:A ビット = 0、B ビット = 1

FXS から:A ビット = 1、B ビット = 1

グラウンド スタートのテスト

グラウンド スタートのテストは、ループスタート トランクのテストと似ていますが、通常はブリッジ用クリップをはずした状態で PBX と分界点との間のテストが行われます。

アイドル状態(オンフック)

図 20 にアイドル状態を示します。ブリッジ用クリップがはずされて、BPX が CO から切り離されます。PBX 側を見ると、T リード線上に -48V がの電圧がかかり、R リード線は開いていることが分かります。CO 側を見ると、R リード線上に -48V の電圧がかかり、T リード線は開いていることが分かります。

図 20

分界点の CO 側で R リード線と接地との間に接続された電圧計、あるいは PBX 側で T リード線と接地の間に接続された電圧計は、-48V 付近を指す必要があります。CO 側で T リード線と接地との間に接続された抵抗計は、非常に高い抵抗値を示す必要があります。PBX の多くでは、アイドル状態で R リード線とグラウンドとの間にいくらかの電圧が認められます。もし抵抗値の測定方法が不完全だと、誤った計測値となったり、メーターにダメージを与える場合があります。分界点の PBX 側での R リード線と接地との間の抵抗を計測する際は、あらかじめ PBX の製造元の技術マニュアルを参照してください。

発信(オフフック)

発信コールに対するグラウンド スタート トランクをテストするには、ブリッジ用クリップを取りはずし、テスト用の電話機と電圧計を接続します。その後、以下の手順に進んでください。

1. 電圧計を観察します。テスト用電話機がオンフック状態のとき、メーターは 0.0V 付近を指しています。

2. オフフックにして、音を聞きます。ダイヤル トーンは聞こえません。

3. メーターを観察します。今度は -48V 付近を指しています。

4. ジャンパ線を使って瞬間的に R リード線を接地し、再度ダイヤル トーンを確認します。ダイヤル トーンは接地が解除された直後に聞こえるようになります。

5. 電圧計を観察します。値は以前よりかなり低くなっており、CO で T リード線の接地が行われていることを示しています。

6. 適当な電話機、もしくはテスト用の電話機へダイヤルします。コールが確立すると、ボイスが聞こえるようになります。

着信(相手からの呼び出し)

グラウンド スタート トランクは、テスト用の電話機を使用して、ループスタート トランクとまったく同じ方法で着信コール用のテストをすることができます。

ループ電流のテスト

ループスタート トランクとグラウンド スタート トランクでは、動作の信頼性を保つためにループが閉じられたときに最低でも 23 ミリアンペア(mA)の直流電流(ループ電流)が流れている必要があります。23mA 以下の場合、断続的なドロップアウトが発生したり、捕捉ができないなどの誤動作が発生します。ループ電流が23mAにぎりぎりの場合、テスト用の電話機ではテストがうまく行われても、PBX に接続したときに誤動作が起きる場合があります。トランクで誤動作が発生した場合は、必ずループ電流を回線テスト セットで計測してみてください。

図 22 にテスト用の設定を示します。ブリッジ用クリップを取りはずし、分界点の CO 側で緑色のテスト用リード線を T リード線に、赤色のテスト用リード線を R リード線に接続します。このテストでは、黄色のリード線は使用しません。

図 22

ループ電流を計測するために、テスト用電話機をオフフックにし、ダイヤル トーンを聞きます。グラウンド スタート トランクをテストする場合、瞬間的に R リード線を接地します。ダイヤル トーンが聞こえたら、テスト セットの計測ボタンを押し、mA の目盛で ループ電流を読み取ります。計測値は 23mA から 100mA の間である必要があります。

DID トランクのテスト

図 23 にアイドル状態を示します。PBX 側を見ると、T リード線が接地され、R リード線にはバッテリが繋がれていることが分かります。CO 側を見ると、T リード線と R リード線の間に高い抵抗値を持つループがあることが分かります。

図 23

コールに応答があったとき、PBX では T リード線にバッテリを繋ぎ、R リード線を接地します。この状態は、T-R 反転と呼ばれます。この電圧の反転は、電圧計で観察できます。T リード線と R リード線との間でバッテリと接地が反転するため、このタイプの信号はループ反転バッテリと呼ばれます。

コールの接続解除

CO が最初に接続を解除すると、わずかな電圧の上昇が観察され、同時に CO 交換機内のループが低い抵抗値から高い抵抗値に変化します。PBX がオンフックになったとき、このプロセスに続いて電圧の反転が発生します。

PBX が最初に接続を解除した場合は、電圧の反転が生じ、続いて CO がオンフックになったときに電圧が上昇し、CO のループが低い抵抗値から高い抵抗値に変化します。

テスト用のコールを何度か行う必要があります。テスト終了後は、ブリッジ用クリップを取りはずし、それぞれの回線がアイドル状態に戻っていることを確認してください。

Demarc から PBX

PBX の多くは、分界点からブリッジ用クリップをはずして direct inward dial(DID; ダイヤルイン方式)の動作をテストすることができます。このテストは、次のように行ってください。

1. テスト用の電話機をオフフックにします。

2. 1 桁から 4 桁の PBX 内線用の番号をダイヤルします。

3. 呼び出された内線番号が鳴ったら、ステップ 4 に進みます。

4. テスト用の電話機と、呼び出された内線との間で会話ができるかどうかを試します。ボイスが正常に伝送された場合、分界点までは PBX とトランクが正常に動作しています。

5. ステップ 3 または 4 で問題が発生した場合は、DID の動作に問題があり、修正する必要があります。

E&M 信号方式

PBX 間、あるいは他のネットワーク間での電話交換機(Lucent 5 Electronic Switching System [5ESS; 電気交換システム]、Nortel DMS-100 など)で主に使用されている信号技術には、E&M があります。一般的に E&M は、Ear and Mouth、あるいは rEceive and transMit と呼ばれます。E&M 信号には、5 つのタイプと、2 種類の配線方式があります(2 線式と 4 線式)。表 1 を見ると、E&M 信号方式のいくつかのタイプが似ていることが分かります。

表 1 E&M 信号方式

タイプ M リード線オフフック M リード線オンフック E リード線オフフック E リード線オンフック
I バッテリ 接地 接地 オープン
II バッテリ オープン 接地 オープン
III ループ電流 接地 接地 オープン
IV 接地 オープン 接地 オープン
V 接地 オープン 接地 オープン
SSDC5 アース オン アース オフ アース オン アース オフ

 

タイプ I とタイプ II は、米州で使用される E&M 信号として最も一般的なものです。タイプ V はヨーロッパでは非常に一般的です。SSDC5A は タイプ V と似ていますが、オンフックとオフフックの状態が逆であり、回線に障害が発生した場合はインターフェイスがデフォルトの 状態としてオフフック(ビジー)になるという、フェールセーフの動作が備えられている点が異なります。すべてのタイプの中で、タイプ II とタイプ V だけが対称です(クロスケーブルを使用してバックツーバックの接続が可能)。SSDC5 は、イギリスで最も一般的に使用されます。Cisco 2600/3600 シリーズでは、現在はタイプ I、II、III、および V を、2 線式と 4 線式の両方でサポートします。次の図に 2 線式および 4 線式の E&M 信号方式による接続を示します。ボイスは、チップ回線とリング回線を使って送信されます。信号は E 回線と M 回線を使って送られます。

次の図に 2 線式によるタイプ 1 の E&M 信号方式を示します。

次の図にウィンク スタート信号方式を使用した際に行われるプロセスを示します。

次の図にイミディエート スタート信号のプロセスを示します。

デジタル E&M 信号方式

デジタル E&M 信号方式は、2 つの状態を表す信号方式(オンフック/オフフック)で、通常はデジタルの 4 線式 CO とタイ トランクで使用されます。「A ビット」信号では、信号の状態を送信します。「B ビット」(extended superframe [ESF] の場合は B、C、D ビット)は、A ビットと同じ状態を示します。

アイドル状態

PBX B へ:A ビット = 0、B ビット = 0

PBX B から:A ビット = 0、B ビット = 0

PBX A がオフフックになる

PBX B へ:A ビット = 1、B ビット = 1

PBX B から:A ビット = 0、B ビット = 0

PBX B が応答

PBX B へ:A ビット = 1、B ビット = 1

PBX B から:A ビット = 1、B ビット = 1

注: 発信側の交換機は、アプリケーションによってはコールを開始した後に遠端からダイヤル トーンまたはウィンクを受信することがあります。

E&M タイ トランクのテスト

タイ トランクの両端にある PBX は同じプライベート ネットワークの一部であるため、伝送用経路に公衆ネットワークのリース設備が含まれている場合でも、トランクでエンドツーエンドのテストを実行することができます。トランクの両端の技術者が協力して作業し、互いの設備を介して会話します。次のテスト手順では、E&M 信号方式のタイプ I とタイプ II だけをテストします。

タイプ I:

タイプ I の E&M 信号方式をテストするために、両端で E リード線と M リード線からブリッジ用クリップをはずします。E リード線と接地との間に抵抗計を接続します。トランクの一端で M リード線と -48V の電圧との間にジャンパが取り付けられると、もう一方の端での抵抗計の値が、オープン状態から非常に低い抵抗値へ動きます。これは E リード線が接地されていることを示します(図 27 を参照)。

図 27

タイプ II:

図 28 にタイプ II 用のテスト設定を示します。ブリッジ用クリップは M リード線と signal battery(SB; 信号バッテリ)リード線だけから取りはずします。E リード線と signal ground(SG; 信号接地)との間に電圧計を接続します。アイドル状態では、電圧計は PBX からのバッテリ電圧を示し、約 -48V になっています。トランクの片方の側で M リード線と SB リード線の間がジャンパ線で接続されると、遠端側の電圧計は低い値に下がり、E リード線が接地されていることが示されます。

図 28

ITU-T Signaling System 7

共通チャネル信号システム

Common channel signaling(CCS; 共通チャネル信号)システムは、通常は High-level Data Link Control(HDLC; 高レベル データリンク制御)をベースとするメッセージ指向の信号システムです。米国の PSTN では、CCS の初期の実装は 1976 年に始まり、CCIS(共通チャネル局間信号)と呼ばれています。この信号方式は、ITU-T の Signaling System 6(SS6)に似ています。CCIS プロトコルは比較的低いビット レート(2.4K、4.8K、9.6K)で動作し、伝送されるメッセージはわずか 28 ビットの長さでした。CCIS では、ボイスとデータの統合環境を十分にサポートできませんでした。そのため、HDLC ベースの信号規格と ITU-T 勧告である Signaling System 7 が新たに策定されました。

最初の定義は ITU-T によって 1980 年に行われました。1983 年にスウェーデンの Post, Telephone, and Telegraph(PTT; 電気通信省庁)が SS7 の試行を開始し、今ではヨーロッパの数か国が完全な SS7 ベースの運用を行っています。

米国国内では、1988 年に Bell operating company(BOC)の中で Bell Atlantic が最初に SS7 の実装を開始しました。

現在では、ほとんどの長距離電話網や地域の電話会社の電話網で ITU-T の Signaling System 7(SS7)を実装するようになりました。1989 年までに、AT&T がデジタル ネットワーク全体の SS7 への移行を完了し、US Sprint も SS7 ベースとなりました。しかし、ほとんどの地域電話会社では、まだ SS7 への移行途中にあります。これは、SS7 をサポートするためにアップグレードが必要な交換機の数が、地域電話会社では IC に比べて非常に多いためです。地域電話会社での SS7 の展開の遅れは、米国内での ISDN の導入の遅れの一因ともなっています。

現時点で、SS7 プロトコルには次の 3 つのバージョンがあります。

  • ITU-T バージョン(1980、1984)、ITU-T Q.701 - Q.741 に記載
  • ATT および Telecom Canada(1985)
  • ANSI(1986)

Signaling System 7 U.S. PSTN 機能

現在、SS7 では、telephony user part(TUP)を使用して POTS をサポートします。TUP は、このサービスのサポートで使用されるメッセージを定義するものです。補足された ISDN user part(ISUP)は、ISDN 伝送をサポートするように定義されています。ISUP に POTS から ISDN への変換が組み込まれるため、徐々に ISUP が TUP に置き換わることが期待されます。図 29 に SS7 がボイスネットワークを制御している様子を示します。


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