ダイヤルとアクセス : 総合デジタル通信網(ISDN)、個別線信号方式(CAS)

BRI とダイヤラ ウォッチを使用した DDR バックアップの設定

2002 年 6 月 1 日 - ライター翻訳版
その他のバージョン: PDFpdf | 機械翻訳版 (2013 年 8 月 21 日) | 英語版 (2005 年 9 月 14 日) | フィードバック

目次


概要

この文書は、ダイヤラ ウォッチ機能を使用して専用回線、WAN、またはシリアル接続をバックアップするための ISDN Basic Rate Interface(BRI; 基本インターフェイス)の使用について説明しています。ダイヤラ ウォッチの機能の詳細については、「DDR バックアップ インターフェイス、フローティング スタティック ルート、およびダイヤラ ウォッチの比較」を参照してください。

この例ではレガシー Dial-on-Demand Routing(DDR; ダイヤルオンデマンド ルーティング)を使用しています。レガシー DDR では BRI 接続のために dialer map コマンドを使用します。レガシー DDR(ダイヤラ マップ)の代わりにダイヤラ プロファイルも使用できます。ダイヤラ プロファイルの詳細については、「ダイヤラ プロファイルを使用した ISDN DDR の設定」を参照してください。

DDR バックアップの設定には 2 つの個別の手順が伴います。

  1. レガシー DDR かダイヤラ プロファイルのどちらかを使用して DDR を設定します。バックアップ コンフィギュレーションを実装する前に、DDR 接続が正常に機能していることを確認します。これにより、使用するダイヤル方式、Point-to-Point Protocol(PPP)ネゴシエーション、および認証がそれぞれ正常に機能することを、バックアップの設定前に確認できます。

  2. プライマリ リンクに障害が起きたときにバックアップ DDR 接続を開始するように、ルータを設定します。この設定ではダイヤラ ウォッチ機能を使用してダイヤルアウトします。

バックアップの設定に必要な手順の詳細については、文書「DDR バックアップの設定とトラブルシューティング」を参照してください。

ダイヤラ ウォッチの動作

ダイヤラ ウォッチを使用すると、ルータは指定された経路の有無を監視し、その経路が存在しなければバックアップ リンクのダイヤリングを開始します。他のバックアップ方式(バックアップ インターフェイスやフローティング スタティック ルートなど)とは異なり、ダイヤラ ウォッチにはダイヤルするための対象トラフィックは必要ありません。ダイヤラ ウォッチにおける処理過程を次に示します。

  • 監視対象の経路が削除されると、ダイヤラ ウォッチは監視中の IP アドレスやネットワークについて、有効な経路が少なくとも 1 つ存在しているかどうかをチェックします。

    • 有効な経路がない場合、プライマリ リンクはダウンし、使用不能になったと見なされます。

      • 続いてダイヤラ ウォッチはコールを開始し、ルータ同士が接続してルーティング情報を交換します。これにより、リモート ネットワークのトラフィックはすべてバックアップ リンクを使用します。

    • 監視中の定義済み IP ネットワークの中で有効な経路が少なくとも 1 つ存在し、その経路がダイヤラ ウォッチ用に設定されたバックアップ インターフェイス以外のインターフェイスを示していれば、プライマリ リンクはアップと見なされ、ダイヤラ ウォッチはバックアップ リンクを起動しません。

  • バックアップ リンクのアップ後、アイドル タイムアウトになるたびにプライマリ リンクが再びチェックされます。プライマリ リンクが引き続きダウンのままであれば、アイドル タイマーがリセットされます。ルータはプライマリ リンクが再確立されたかどうかを定期的にチェックする必要があるため、ダイヤラのアイドル タイムアウトには小さい値を設定します。プライマリ リンクが再確立されると、ルーティング プロトコルによってルーティング テーブルが更新され、すべてのトラフィックが再びプライマリ リンク上を通過します。トラフィックはこの後、バックアップ リンクを通過しないため、アイドル タイムアウトになり、ルータはバックアップ リンクを非アクティブにします。

    注:対象トラフィックを定義するときは、定期的な hello によるアイドル タイムアウトのリセットを防ぐために、ルーティング プロトコル トラフィックを拒否してください。

  • プライマリ リンクが再びアクティブになると、セカンダリ バックアップ リンクが接続解除されます。ただし、プライマリ リンクが回復した後、バックアップ リンクが解除される前に遅延が生じるように、ディセーブル タイマーを実装できます。この遅延タイマーは、アイドル タイマーが時間切れになり、なおかつプライマリ ルートがアップになったことが判明したときにスタートします。この遅延タイマーにより、特にフラッピングが発生しているインターフェイスや経路変更が頻繁に起こるインターフェイスが安定します。

ダイヤラ ウォッチの機能の詳細については、「DDR バックアップ インターフェイス、フローティング スタティック ルート、およびダイヤラ ウォッチの比較」を参照してください。

ハードウェアとソフトウェアのバージョン

この設定は、次のバージョンのソフトウェアとハードウェアを使用して開発、テストされています。

  • BRI U インターフェイスを 1 つ搭載している Cisco 1604(Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.1(5)T を実行)
  • NM-4B-U(4 つの BRI U インターフェイス)を搭載した Cisco 3640(Cisco IOS 12.1(2) を実行)

ダイヤラ ウォッチに影響のある IOS バグが修正された、Cisco IOS バージョン 12.1(7) 以降の使用をお勧めします。

注:この文書の情報は、外部に接続されていないラボ環境で得られたものです。実際の使用環境では、ネットワーク上のコマンドの影響を受ける可能性があります。

ネットワークダイヤグラム

ネットワーク ダイアグラム


設定例

この設定では BRI 回線を使用してシリアル リンクをバックアップしています。また、この設定では 2 台のルータ間で Open Shortest Path First(OSPF)ルーティング プロトコルを使用しています。バックアップ接続がアクティブになったら、新しいバックアップ経路を使用するようにルーティング テーブルが更新されることを確かめる必要があります。

  コマンド表記の詳細については、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。

maui-soho-01(1600)
maui-soho-01#show running-config 

 Building configuration...

 

 Current configuration : 1546 bytes

 !

 version 12.1

 no service single-slot-reload-enable

 service timestamps debug uptime

 service timestamps log uptime

 no service password-encryption

 !

 hostname maui-soho-01

 !

 logging rate-limit console 10 except errors

 aaa new-model

 aaa authentication login default local

 aaa authentication login NO_AUTHEN none

 aaa authentication ppp default local

 !--- PPP コールのための基本的な AAA コンフィギュレーション

 enable secret 5 <deleted>

 !

 username maui-nas-05 password 0 cisco

 !--- リモート ルータ(maui-nas-05)用のユーザ名と共有秘密
!--- 共有秘密
(CHAP で使用)は両側で同じにする必要があります。 ip subnet-zero no ip finger ! isdn switch-type basic-ni ! interface Loopback0 ip address 172.17.1.1 255.255.255.0 ! interface Ethernet0 ip address 172.16.1.1 255.255.255.0 ! interface Serial0 !--- プライマリ リンク ip address 192.168.10.2 255.255.255.252 encapsulation ppp ppp authentication chap ! interface BRI0 ip address 172.20.10.2 255.255.255.0 !--- BRI インターフェイス(バックアップ リンク)の IP アドレス encapsulation ppp dialer idle-timeout 30 !--- このバックアップ リンクのアイドル タイムアウト(秒) !--- ダイヤラ ウォッチはアイドル タイムアウトになるたびにプライマリ リンクの
!--- ステータスをチェックします。
dialer watch-disable 15 !--- プライマリ インターフェイスがアップであると判明してから 15 秒間、バックアップ インターフェイスの
!--- 接続解除を遅らせます。
dialer load-threshold 1 outbound !--- これで、トラフィックの負荷レベルが、追加の接続がマルチリンク PPP バンドルに
!--- 追加されるレベルに設定されます。

!--- 負荷レベル値の範囲は 1(負荷なし)〜255(完全負荷)です。
dialer map ip 172.20.10.1 name maui-nas-05 broadcast 5551111 !--- リモート ルータの BRI インターフェイス用のダイヤラ マップ dialer map ip 172.22.53.0 name maui-nas-05 broadcast 5551111 !--- dialer watch-list コマンドによって監視中の経路/ネットワーク
!--- の map 文 !--- このアドレスは dialer watch-list コマンドで設定したネットワークと
!--- 正確に一致する必要があります。 !--- 監視中の経路が消滅すると、これによって指定の電話番号に
!--- ダイヤルされます。
dialer watch-group 8 !--- このバックアップ インターフェイスでダイヤラ ウォッチを有効にします。 !--- dialer watch-list 8 で指定された経路を監視します。 dialer-group 1 !--- dialer-list 1 で定義されている対象トラフィックを適用します。 isdn switch-type basic-ni isdn spid1 51255522220101 5552222 isdn spid2 51255522230101 5552223 ! -- SPID 情報。SPID のフォーマットについては電話会社に問い合せてください。 ! --- 世界の多くの地域では SPID は不要です。 ! --- その場合は上の 2 つのコマンドを省略してください。 ppp authentication chap !--- CHAP 認証を使用します。 ppp multilink ! -- マルチリンクを有効にします。 ! router ospf 5 log-adjacency-changes network 172.16.1.0 0.0.0.255 area 0 network 172.17.1.0 0.0.0.255 area 0 network 172.20.10.0 0.0.0.255 area 0 network 192.168.10.0 0.0.0.3 area 0 ! ip classless no ip http server ! dialer watch-list 8 ip 172.22.53.0 255.255.255.0 !--- 監視する 1 つまたは複数の経路を定義します。 !--- これと正確に一致する経路(サブネット マスクを含む)がルーティング テーブルに
!--- 存在している必要があります。
dialer watch-group 8 コマンドを使用して
!--- このリストをバックアップ インターフェイスに適用します。
access-list 101 remark Define Interesting Traffic access-list 101 deny ospf any any !--- OSPF を非対象としてマークします。 !--- これで、OSPF hello によってリンクがアップされません。 access-list 101 permit ip any any dialer-list 1 protocol ip list 101 !--- 対象トラフィックは access-list 101 によって定義されます。 !--- これは dialer-group 1 を使用する BRI0 に適用されます。 ! line con 0 login authentication NO_AUTHEN transport input none line vty 0 4 ! end
maui-nas-05(3640)
maui-nas-05#show running-config 

 Building configuration...

 

 Current configuration:

 !

 version 12.1

 service timestamps debug uptime

 service timestamps log uptime

 no service password-encryption

 !

 hostname maui-nas-05

 !

 aaa new-model

 aaa authentication login default local

 aaa authentication login NO_AUTHEN none

 aaa authentication ppp default local

 
!--- PPP コールのための基本的な AAA コンフィギュレーション
enable secret 5 <deleted> ! username maui-soho-01 password 0 cisco
!--- リモート ルータ(maui-soho-01)用のユーザ名と共有秘密

!--- 共有秘密
(CHAP 認証で使用)は両側で同じにする
!--- 必要があります。
! ip subnet-zero ! isdn switch-type basic-ni ! interface Loopback0 ip address 172.22.1.1 255.255.255.0 ! interface Ethernet0/0 ip address 172.22.53.105 255.255.255.0 ! interface Ethernet0/1 no ip address shutdown ! interface BRI1/0 !--- バックアップ リンクのインターフェイス ip address 172.20.10.1 255.255.255.0 encapsulation ppp dialer map ip 172.20.10.2 name maui-soho-01 broadcast !--- リモート宛先の IP アドレスと認証済みユーザ名を保持する
!--- ダイヤラ マップ。
.名前はリモート側から提示される認証ユーザ名と
!--- 同じにします。
dialer map 文は、このルータがダイヤルアウト
!--- しなくても(つまり、電話番号を指定しなくても)
!--- 使用されます。
dialer-group 1 !--- dialer-list 1 で定義されている対象トラフィックを適用します。 isdn switch-type basic-ni isdn spid1 51255511110101 5551111 isdn spid2 51255511120101 5551112 ! -- SPID 情報。SPID のフォーマットについては電話会社に問い合せてください。 ! -- 世界の多くの地域では SPID は不要です。 ! ・ その場合は上の 2 つのコマンドを省略してください。 ppp authentication chap ppp multilink ! ! <<-- 無関係な出力は削除されています。 ! interface Serial2/0 ! -- プライマリ リンク ip address 192.168.10.1 255.255.255.252 encapsulation ppp clockrate 64000 ppp authentication chap ! ! <<-- 無関係な出力は削除されています。 ! router ospf 5 network 172.20.10.0 0.0.0.255 area 0 network 172.22.1.0 0.0.0.255 area 0 network 172.22.53.0 0.0.0.255 area 0 network 192.168.10.0 0.0.0.3 area 0 default-information originate ! ip classless ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 Ethernet0/0 no ip http server ! dialer-list 1 protocol ip permit !--- すべての IP アドレスを対象として定義します。このリンクはダイヤルアウトしないため、OSPF を
!--- 非対象とマークする必要はありません。 !--- 必要に応じて対象トラフィックの定義を調整します。
! line con 0 login authentication NO_AUTHEN transport input none line 97 102 line aux 0 line vty 0 4 ! end

注:maui-nas-05 の設定にはバックアップ関連のコマンドはまったく含まれていません。maui-nas-05 の観点から見た場合、バックアップ リンクは単なる別のダイヤルイン クライアントにすぎません。これにより、多数のデバイスが同じ中央サイトへのバックアップ リンクを確立する、中央サイトの設定を簡略化できます。バックアップのシナリオでは、一方からのみダイヤルを開始し、他方ではコールの受信だけを行うのが理想です。

ダイヤラ ウォッチ コマンド

ダイヤラ ウォッチで使用できるコマンドの一覧を次に示します。これらのコマンドの一部は上の設定にすでに含まれており、その他は参考のために記載されています。

  • dialer watch-list group-number ip ip-address address-mask :監視する IP アドレスまたはネットワークを定義します。設定するアドレスまたはネットワーク(正しいマスク付き)はルーティング テーブルに存在する必要があります。dialer watch-list コマンドを使用して複数の経路を監視することもできます。次に例を示します。
    dialer watch-list 1 ip 10.1.1.0 255.255.255.0
    
     dialer watch-list 1 ip 10.1.2.0 255.255.255.0
    
     dialer watch-list 1 ip 10.1.3.0 255.255.255.0
    
     
  • dialer watch-group group-number :バックアップ インターフェイスでダイヤラ ウォッチを有効にします。ここで使用する group number は、監視対象の経路を定義している dialer watch-listgroup number と一致します。特定のグループ番号を指定した dialer watch-group コマンドは 1 つのインターフェイスでのみ設定できます。このため、ルータで複数のインターフェイスを使用して特定の経路のバックアップを提供することはできません。しかし、グループ番号の異なる複数の dialer watch-group コマンドを 1 つのインターフェイスに設定することは可能です。したがって、1 つのインターフェイスを使用して複数の経路のバックアップを提供できます。

  • dialer watch-disable seconds:ディセーブル遅延時間をインターフェイスに適用します。プライマリ インターフェイスの回復後、この遅延によってバックアップ インターフェイスの接続解除が指定の時間間隔だけ抑えられます。この遅延タイマーは、アイドル タイマーが時間切れになり、なおかつプライマリ ルートのステータスがチェックされ、アップになったことが判明したときにスタートします。この遅延により、特にフラッピングが発生しているインターフェイスや経路変更が頻繁に起こるインターフェイスが安定します。

  • dialer watch-list group-number delay route-check initial seconds:このコマンドを設定すると、ルータの初期始動が完了してタイマー(秒単位)が切れた後に、プライマリ ルートがアップしているかどうかがチェックされます。このコマンドがないと、ダイヤラ ウォッチはプライマリ ルートがルーティング テーブルから削除されたときにしか開始されません。ルータの初期始動中にプライマリ リンクのアップが失敗すると、経路がルーティング テーブルに追加されないため、経路を監視できません。したがって、このコマンドにより、ルータの初期始動中にプライマリ リンクに万一障害が起きてもダイヤラ ウォッチがバックアップ リンクにダイヤルするようにします。

debug および show コマンド

debug コマンドを発行する前に、「debug コマンドに関する重要な情報」を参照してください。

  • show dialer [interface type number] - DDR 用に設定されたインターフェイスの一般的な診断情報を表示し、タイマーの設定と接続がタイムアウトになるまでの時間を表示します。次のメッセージを確認してください。
    • "Dialer state is data link layer up" - ダイヤラが正常にアップしました。
      • "Physical layer up" - 回線プロトコルはアップしましたが、Network Control Protocol(NCP; ネットワーク制御プロトコル)はアップしませんでした。
    • "Dial reason" - ダイヤリングを開始したパケットの送信元アドレスと宛先アドレスを表示します。

  • show isdn status - ルータが ISDN スイッチと適切に通信していることを確認します。このコマンドではアクティブ コールの数も表示されます。次のメッセージを確認してください。
    • "Layer 1 Status is ACTIVE",
    • "Layer 2 Status state = MULTIPLE_FRAME_ESTABLISHED"

    詳細については、「show isdn status コマンドを使用した BRI のトラブルシューティング」を参照してください。

  • debug dialer - ダイヤラ インターフェイスで受信したパケットに関する DDR 情報を表示します。

  • debug isdn q931 - ルータと ISDN スイッチ間の ISDN ネットワーク接続(レイヤ 3)のコール設定とティアダウンを表示します。

  • debug ppp negotiation - Link Control Protocol(LCP; リンク制御プロトコル)、認証、NCP など、PPP コンポーネントのネゴシエート中における PPP トラフィックおよび交換に関する情報を表示します。PPP ネゴシエーションが成功すると、最初に LCP 状態がオープンし、次に認証が実行され、最後に NCP がネゴシエートされます。

  • debug ppp authentication - Challenge Handshake Authentication Protocol(CHAP)パケット交換や Password Authentication Protocol(PAP; パスワード認証プロトコル)交換などの PPP 認証プロトコル メッセージを表示します。障害が発生する場合は、CHAP のユーザ名とパスワードが正しく設定されていることを確認してください。

  • debug ppp error - PPP 接続のネゴシエーションと接続操作に関するプロトコル エラーとエラー統計情報を表示します。

ダイヤラ ウォッチのトラブルシューティング

ダイヤラ ウォッチを設定する前に、DDR 接続を設定して正常に動作していることを確認してください。これにより、DDR の問題を切り離してトラブルシューティングを行い、その後にバックアップ関連の問題に対処できます。ダイヤラ ウォッチを設定するときは、Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.1(7) 以降の使用をお勧めします。

ここでは、いくつかの問題と、考えられる解決方法について説明します。

問題:プライマリ リンクがダウンしたときにルータがバックアップ リンクにダイヤルしない。

考えられる解決方法 1show ip route コマンドを使用し、監視中の経路がルーティング テーブルに存在することを確認します。ダイヤラ ウォッチ用に設定した経路はルーティング テーブル内の経路と正確に一致する必要があります。この場合、ネットワークだけでなくマスクについてもまったく同一であることを確認します。たとえば、ルーティング テーブルが 10.0.0.0/8 を示している場合に dialer watch-list 1 ip 10.0.0.0 255.255.255.0(つまり 10.0.0.0/24)を使用していると、ダイヤラ ウォッチ機能は 10.0.0.0/8 がルーティング テーブルに存在しないことを検出できません。

考えられる解決方法 2:2 つの dialer map 文がバックアップ インターフェイスにあることを確認します。

  • 1 つは、dialer watch-list コマンドで指定された経路/ネットワークに対応する map 文です。
  • もう 1 つは、リモート ルータのインターフェイスの IP アドレスに対応する map 文です。

考えられる解決方法 3:コマンド dialer watch-list group-number delay route-check initial seconds を設定します。詳細については、「ダイヤラ ウォッチ コマンド」を参照してください。

問題:バックアップ リンクは確立されるが、ルーティング情報がバックアップ リンクを通じて送信されない。

考えられる解決方法 1:バックアップ インターフェイスの IP ネットワークがルーティング プロトコル コンフィギュレーション内に含まれていることを確認します。

問題:プライマリ リンクが回復したときにバックアップ リンクが非アクティブにならない。

:ダイヤラ ウォッチでは、対象トラフィックはアイドル タイムアウトの制御にのみ使用されます。また、アイドル タイムアウトはプライマリ ルートのステータスのポーリングに使用される間隔を制御します。

考えられる解決方法 1dialer idle-timeout を小さくします。デフォルトは 120 秒ですが、必要に応じてこの値を小さくできます。

考えられる解決方法 2:show dialer コマンドを使用し、アイドル タイムアウトがリセットされていないことを確認します。

dialer-list コマンドで設定される)対象トラフィックの定義を、より限定的なものに変更します。ルーティング プロトコルのトラフィックは非対象としてマークします。

最後の手段として、コマンド dialer-list 1 protocol ip deny を使用し、すべての IP トラフィックを非対象として設定できます。この対象トラフィック定義により、アイドル タイムアウトはリセットされなくなり、ルータはプライマリ リンクのステータスを指定された間隔でチェックします。

考えられる解決方法 3:使用するルーティング プロトコルの観点から見たときに、バックアップ リンクがプライマリ リンクよりも望ましくないことを確認します。これで、プライマリ リンクが回復したときにダイナミック ルーティング プロトコルがバックアップ リンクよりもプライマリを選択し、2 つのリンク間でロード バランスをとらなくなります。そうしなければ、バックアップ リンクが永続的にアップのままになるおそれがあります。show ip route を使用し、ルータがルータ間のトラフィックのルーティングにプライマリとバックアップの両方のリンクを使用しているかどうかを調べます。両方のリンクを使用している場合、ルータはプライマリ リンク用とバックアップ リンク用とでまったく同じ重複経路を保持することになります。

ルーティング プロトコルの観点から見たときにバックアップ リンクがプライマリ リンクよりも望ましくならないようにするには、帯域幅遅延、または距離のいずれかの方法を使用できます。詳細については、『Cisco IOS ソフトウェア コマンド リファレンス』を参照してください。

ISDN レイヤ 1、2、および 3 の一般的なトラブルシューティングについては、文書「show isdn status コマンドを使用した BRI のトラブルシューティング」を参照してください。

show の出力例

プライマリ リンクが機能しているクライアント maui-soho-01(1600)のルーティング テーブルを次に示します。

maui-soho-01#show ip route

 Codes: C - connected, S - static, I - IGRP, R - RIP, M - mobile, B - BGP

        D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area

        N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2

        E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP

        i - IS-IS, L1 - ISIS level-1, L2 - ISIS level-2, ia - ISIS inter area

        * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR

        P - periodic downloaded static route

 

 Gateway of last resort is 192.168.10.1 to network 0.0.0.0

 

      192.168.10.0/24 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks

 C       192.168.10.0/30 is directly connected, Serial0

 C       192.168.10.1/32 is directly connected, Serial0

      172.17.0.0/24 is subnetted, 1 subnets

 C       172.17.1.0 is directly connected, Loopback0

      172.16.0.0/24 is subnetted, 1 subnets

 C       172.16.1.0 is directly connected, Ethernet0

      172.20.0.0/24 is subnetted, 1 subnets

 C       172.20.10.0 is directly connected, BRI0

      172.22.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks

 O       172.22.53.0/24 [110/74] via 192.168.10.1, 02:48:10, Serial0

 O       172.22.1.1/32 [110/65] via 192.168.10.1, 02:48:10, Serial0

 O*E2 0.0.0.0/0 [110/1] via 192.168.10.1, 02:48:10, Serial0

 

上の show ip route の出力には、プライマリ リンク(シリアル 0)を使用しているピアから学習した OSPF 経路が表示されています。監視対象の経路(172.22.53.0、マスク 255.255.255.0)がルーティング テーブル内に存在することがわかります。このようにして、ダイヤラ ウォッチが正しく機能していることを確認する必要があります。

ここで、プライマリ リンクをダウンし、バックアップ リンクをアクティブにします。

バックアップ リンクがアクティブになった後、OSPF テーブルが交換され、バックアップ リンクを使用する新しい経路が格納されます。これにより、トラフィックはバックアップ リンクを通過します。この例を次に示します。

maui-soho-01#show ip route

 Codes: C - connected, S - static, I - IGRP, R - RIP, M - mobile, B - BGP

        D - EIGRP, EX - EIGRP external, O - OSPF, IA - OSPF inter area

        N1 - OSPF NSSA external type 1, N2 - OSPF NSSA external type 2

        E1 - OSPF external type 1, E2 - OSPF external type 2, E - EGP

        i - ISIS, L1 - ISIS level-1, L2 - ISIS level-2, IA - ISIS inter area

        * - candidate default, U - per-user static route, o - ODR

        P - periodic downloaded static route

 

 Gateway of last resort is 172.20.10.1 to network 0.0.0.0

 

      172.17.0.0/24 is subnetted, 1 subnets

 C       172.17.1.0 is directly connected, Loopback0

      172.16.0.0/24 is subnetted, 1 subnets

 C       172.16.1.0 is directly connected, Ethernet0

      172.20.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks

 C       172.20.10.0/24 is directly connected, BRI0

 C       172.20.10.1/32 is directly connected, BRI0

      172.22.0.0/16 is variably subnetted, 2 subnets, 2 masks

 O       172.22.53.0/24 [110/1572] via 172.20.10.1, 00:01:26, BRI0

 O       172.22.1.1/32 [110/1563] via 172.20.10.1, 00:01:27, BRI0

 O*E2 0.0.0.0/0 [110/1] via 172.20.10.1, 00:01:27, BRI0

 

上の出力は、ルーティング テーブルが更新されてすべてのトラフィックがバックアップ リンク(BRI0)を使用することを示しています。

show dialer コマンドを使用すると、DDR インターフェイスが正常にアップしたことを確認できます。ルータが監視中の経路の消失を検出したため、BRI インターフェイスがダイヤルされたことがわかります。

maui-soho-01#  show dialer

 

 BRI0 - dialer type = ISDN

 

 Dial String      Successes   Failures    Last DNIS   Last status

 5551111                 10          0    00:01:49       successful

 0 incoming call(s) have been screened.

 0 incoming call(s) rejected for callback.

 

 BRI0:1 - dialer type = ISDN

 Idle timer (30 secs), Fast idle timer (20 secs)

 Wait for carrier (30 secs), Re-enable (15 secs)

 Dialer state is data link layer up

 Dial reason: Dialing on watched route loss

 Time until disconnect 11 secs

 Connected to 5551111 (maui-nas-05)

 

 BRI0:2 - dialer type = ISDN

 Idle timer (30 secs), Fast idle timer (20 secs)

 

 Wait for carrier (30 secs), Re-enable (15 secs)

 Dialer state is idle

 
debug の出力例

次の debug dialer の出力は、プライマリ リンクが障害を起こし、ダイヤラ ウォッチが経路の消失を認識したことを示しています。この後、ルータはバックアップ リンクを開始します。ルータはアイドル タイムアウトになるたびに、プライマリ リンクがダウンかどうかをチェックします。プライマリ リンクがアップであることが判明すると、ダイヤラ ウォッチはディセーブル タイマーが切れた後にバックアップ リンクを接続解除します。デバッグの際は個々のメッセージのタイムスタンプに注意してください。これらは、アクティブな各種のタイマーやアイドル タイムアウトに関する情報を提供します。

maui-soho-01#debug dialer

 Dial on demand events debugging is on

 maui-soho-01#

 03:47:07: %LINK-3-UPDOWN: Interface Serial0, changed state to down

 !--- プライマリ リンクがダウンします。

 03:47:07: %OSPF-5-ADJCHG: Process 5, Nbr 192.168.10.1 on Serial0 from FULL to DOWN,

  Neighbor Down: Interface down or detached

 03:47:07: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8

 !--- dialer watch-group 8 を使用します。 

 03:47:07: DDR:    network 172.22.53.0/255.255.255.0 DOWN,

 03:47:07: DDR:    primary DOWN

 !--- プライマリ ネットワークはダウンです。

 03:47:07: DDR: Dialer Watch: Dial Reason: Primary of group 8 DOWN

 !--- Dialing Reason はプライマリ ルートのダウンです。

 03:47:07: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8,

 03:47:07: DDR:    dialing secondary by dialer map 172.22.53.0 on BR0

 !--- どの dialer map 文がダイヤルアウトに使用されるかを示します。

 03:47:07: BR0 DDR: Attempting to dial 5551111

 03:47:08: %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0:1, changed state to up

 03:47:08: BR0:1 DDR: Dialer Watch: resetting call in progress

 03:47:08: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface Serial0, changed state

  to down

 03:47:08: BR0:1 DDR: dialer protocol up

 03:47:09: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface BRI0:1, changed state

  to up

 03:47:14: %ISDN-6-CONNECT: Interface BRI0:1 is now connected to 5551111 maui-nas-05

 !--- BRI リンクが接続されます。

 03:47:17: %OSPF-5-ADJCHG: Process 5, Nbr 192.168.10.1 on BRI0 from LOADING to FULL,

  Loading Done

 03:47:38: BR0:1 DDR: idle timeout

 !--- アイドル タイムアウトになります(30 秒)。

 !--- ルータはプライマリ リンクがアップになったかどうかをチェックします。

 03:47:38: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8

 03:47:38: DDR:    network 172.22.53.0/255.255.255.0 UP,

 !--- 監視中のネットワークの経路は存在します(バックアップ リンクがアクティブなため)。

 03:47:38: DDR:    primary DOWN

 !--- プライマリ ネットワークは引き続きダウンのままです。

 03:48:08: BR0:1 DDR: idle timeout

 !--- 次のアイドル タイムアウトになります(30 秒)。

 !--- ルータはプライマリ リンクがアップになったかどうかをチェックします。

 03:48:08: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8

 03:48:08: DDR:    network 172.22.53.0/255.255.255.0 UP,

 03:48:08: DDR:    primary DOWN

 !--- プライマリ ネットワークは引き続きダウンのままです。

 ...

 ...

 ...

 03:50:38: BR0:1 DDR: idle timeout

 !--- 次のアイドル タイムアウトになります(30 秒)。

 !--- ルータはプライマリ リンクがアップになったかどうかをチェックします。

 03:50:38: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8

 03:50:38: DDR:    network 172.22.53.0/255.255.255.0 UP,

 !--- 監視中のネットワークの経路は存在します(バックアップ リンクがアクティブなため)。

 03:50:38: DDR:    primary DOWN

 !--- プライマリ ネットワークは引き続きダウンのままです。

 03:50:44: %LINK-3-UPDOWN: Interface Serial0, changed state to up

 !--- プライマリ リンクが再確立されます。

 03:50:45: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface Serial0, changed state

  to up

 03:50:54: %OSPF-5-ADJCHG: Process 5, Nbr 192.168.10.1 on Serial0 from LOADING

  to FULL, Loading Done

 03:51:08: BR0:1 DDR: idle timeout

 !--- 次のアイドル タイムアウトになります(30 秒)。

 !--- ルータはプライマリ リンクがアップになったかどうかをチェックします。

 03:51:08: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8

 03:51:08: DDR:    network 172.22.53.0/255.255.255.0 UP,

 !--- 監視中のネットワークの経路は存在します。 

 03:51:08: DDR:    primary UP

 !--- プライマリ ネットワークは「アップ」です。ダイヤラ ウォッチはバックアップ リンクの
!--- 接続解除を開始します。
03:51:08: BR0:1 DDR: starting watch disable timer !--- プライマリ リンクの回復後、バックアップ インターフェイスの接続解除を遅らせます。 !--- このタイマーは、dialer watch-disable 15 コマンドで設定されている 15 秒です。 03:51:23: BR0:1 DDR: watch disable timeout !--- 15 秒の接続解除遅延が経過します。リンクがダウンします。 03:51:23: BR0:1 DDR: disconnecting call !--- バックアップ リンクが接続解除されます。 03:51:23: BR0:1 DDR: Dialer Watch: resetting call in progress 03:51:23: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8 03:51:23: DDR: network 172.22.53.0/255.255.255.0 UP, 03:51:23: DDR: primary UP !--- プライマリ ネットワークは「アップ」です。 03:51:23: %ISDN-6-DISCONNECT: Interface BRI0:1 disconnected from 5551111 maui-nas-05, call lasted 255 seconds 03:51:23: %LINK-3-UPDOWN: Interface BRI0:1, changed state to down 03:51:23: BR0:1 DDR: disconnecting call 03:51:23: DDR: Dialer Watch: watch-group = 8 03:51:23: DDR: network 172.22.53.0/255.255.255.0 UP, 03:51:23: DDR: primary UP 03:51:24: %LINEPROTO-5-UPDOWN: Line protocol on Interface BRI0:1, changed state to down maui-soho-01#


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