非同期転送モード(ATM) : 相手先固定接続(PVC)と相手先選択接続(SVC)

IP over ATM での PVC 接続のトラブルシューティング

2002 年 5 月 28 日 - ライター翻訳版
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目次


概要

この文書は、ATM ネットワークで使用されるアドレス解決およびパケット カプセル化方法の概要を示しています。また、新しい Permanent Virtual Circuit(PVC; 相手先固定接続)を有効にしたときに ATM クラウドを経由する ping が通らなくなった場合のトラブルシューティング ステップを示します。

背景説明

ルーテッド RFC 1483 cisco.com 以外のサイトへ移動 を使用する場合は、ATM を、IP およびその他のレイヤ 3 パケットを物理ワイヤー経由で伝送するためのレイヤ 2 プロトコルと見なすことができます。事実、ATM はイーサネット テクノロジーとよく似ています。イーサネット ネットワークで正常に通信するには、次の 2 つの規則が必要です。

  • アドレス解決 - 宛先 IP アドレスを宛先 MAC アドレスに解決する必要があります。IP では Address Resolution Protocol(ARP)を使用してこのマッピングを動的に検出します。ルータまたはホスト上にスタティックな ARP エントリを設定することも可能です。
  • パケット カプセリング - 次に上位層のプロトコルまたはヘッダーを受信装置に伝え るために、ヘッダーを付加する必要があります。イーサネットでは通常、Logical Link Control(LLC; 論理リンク制御副層)ヘッダーを使用します。たとえば、LLC ヘッダーの中の Destination Service Access Point(DSAP; 宛先アクセスポイント)または Source Service Access Point(SSAP; 送信元サービス アクセスポイント)に値「AA」が設定されていれば、SNAP ヘッダーが後に続くことを示します。SNAP ヘッダーには、Organizational Unique Identifier(OUI)、つまり OUI フィールドと、プロトコル ID フィールドが含まれます。プロトコル ID「0800」は、イーサネット フレームのデータ部分に IP パケットが含まれることを示します。

ポイントツーポイント インターフェイスとマルチポイント インターフェイス

フレームリレーと同様、ATM もポイントツーポイントとマルチポイントの 2 種類のインターフェイスをサポートします。どちらのインターフェイスを選択するかにより、IP から ATM へのマッピングする設定コマンドを使用する必要があるかどうかが決まります。PVC それ自体を設定した後、特定の宛先に到達するためにどの PVC を使用するかをルータに通知する必要があります。次にこれら 2 つのインターフェイスについて説明します。


  • ポイントツーポイント サブインターフェイス - ポイントツーポイント サブインターフェイスでは、ペアを成す両ルータはポイント ツーポイント サブインターフェイスにそれ専用のサブネットを使用します。 PVC をポイントツーポイント サブインターフェイスに配置した場合、ルータはサブインターフェイス上に 1 つのポイントツーポイント PVC だけが設定されていると見なします。したがって、宛先 IP アドレスが同じサブネットに属する IP パケットは、すべてこの VC に転送 されます。これがマッピングの最も簡単な設定方法であり、推奨される方法です。
  • マルチポイント ネットワーク - マルチポイント ネットワークでは、3 台以上のルータが同じサブネットに存在します。PVC をポイントツーマルチポイント サブインターフェイスまたはメイン インターフェイス(これはデフォルトでマルチポイントです)に配置した場合は、スタティック マッピングを設定するか、またはダイナミック マッピング用に Inverse Address Resolution Protocol(Inverse ARP)によるダイナミックマッピングを有効にする必要があります。

ATM 接続における Inverse ARP

イーサネット ネットワークでは、IP ベースのネットワーク デバイスは、宛先のレイヤ 3 アドレスに対応する宛先の MAC アドレスを検出する必要がある場合に ARP を使用します。レイヤ 2 ネットワーク デバイスは、宛先の MAC アドレスに対応する宛先のレイヤ 3 アドレスを検出する必要がある場合に Inverse ARP を使用します。

ATM ネットワークでは、RFC 1577(Classical IP and ARP over ATM) exit でアドレス解決のメカニズムが規定され、Inverse ATM Address Resolution Protocol(InATMARP)が定義されています。

InATMARP により、ATM インターフェイスはレイヤ 2 アドレスを検知します。これは PVC の Virtual Path Identifier(VPI; 仮想パス識別子)または Virtual Channel Identifier(VCI; 仮想チャネル識別子)です。VC のリモートエンドの IP アドレスを検出するために、ルータは VC に InATMARP 要求を送出します。

注:InATMARP はイーサネットにおける InARP と同様のプロトコルです。このプロトコルの定義、および ATM ネットワークで ARP をサポートするためのその他の拡張が、RFC 1293 exit に規定されています。

ポイントツーポイント サブインターフェイスでは、トラフィックが送受信される VC およびパスが 1 つなので、スタティック マッピングも Inverse ARP も必要ありません。ルータは、ルーティング テーブルを参照してフォワーディングに関する決定を下すだけです。

Cisco IOS(R) リリース 12.2(4) および 12.1(11) では、ポイントツーポイント サブインターフェイスは InATMARP 要求に応答するだけで、InATMARP 要求を生成しません(CSCdu53060)。以前は、Cisco IOS のバージョンによってはポイントツーポイント サブインターフェイスが ARP 要求を開始しており、また一部のバージョンでは ARP 要求への応答に失敗していました(CSCdt47188)。ポイントツーポイント サブインターフェイスでは、マルチポイント ハブとポイントツーポイント スタブを使用したハブアンドスポーク トポロジをサポートするため、デフォルトでは Inverse ARP が有効なままです。ハブにスタティック マップが設定されていない場合は、ハブの Inverse ARP 要求にスタブが応答する必要があります。

Inverse ARP は、マルチポイント リンクではデフォルトで有効です。次の例では、マルチポイント サブインターフェイスを作成しています。debug atm arp コマンドを使用することにより、レイヤ 3 IP アドレスとレイヤ 2 VPI/VCI の間のダイナミック マッピングが InATMARP によって作成されることがわかります。

   7500-1#show running-config 

    <snip>   

    interface ATM1/1/0.200 multipoint 

     ip address 2.2.2.1 255.255.255.0 

     no ip directed-broadcast 

     pvc 2/200

     <snip> 
   5d10h: ATMARP:Sending first PVC INARP 

    5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)O: INARP_REQ to VCD#20 2/200 for link 7(IP)    

    5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)I: INARP Reply VCD#20 2/200 from 2.2.2.2
   7500-1#show atm map 

    Map list ATM1/1/0.100_ATM_INARP : DYNAMIC 

    ip 1.1.1.2 maps to VC 19, VPI 2, VCI 100, ATM1/1/0.100
   Map list ATM1/1/0.200_ATM_INARP : DYNAMIC 

    ip 2.2.2.2 maps to VC 20, VPI 2, VCI 200, ATM1/1/0.200
マッピングの再確認のために新しい InATMARP パケットが送信される頻度を変更するには、inarp コマンドを使用します。
   7500-1(config-subif)#pvc 2/200 

    7500-1(config-if-atm-vc)#inarp ? 

      <1-60>  InARP Frequency in minutes 

      <cr>
   7500-1(config-if-atm-vc)#inarp 5 

    7500-1(config-if-atm-vc)#end 

    7500-1#show atm vc 

    5d10h: ATMARP:Sending first PVC INARP 

    5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)O: INARP_REQ to VCD#20 2/200 for link 7(IP)    

    5d10h: ATMARP(ATM1/1/0.200)I: INARP Reply VCD#20 2/200 from 2.2.2.2    

    ATM1/1/0.200: VCD: 20, VPI: 2, VCI: 200 

    UBR, PeakRate: 44209 

    AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0xC20, VCmode: 0x0 

    OAM frequency: 0 second(s) 

    InARP frequency: 5 minutes(s) 

    Transmit priority 4 

    InPkts: 10, OutPkts: 11, InBytes: 680, OutBytes: 708 

    InPRoc: 10, OutPRoc: 5, Broadcasts: 0 

    InFast: 0, OutFast: 0, InAS: 0, OutAS: 6 

    InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0 

    CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0 

    OAM cells received: 0 

    OAM cells sent: 0 

    Status: UP
show atm map コマンドを使用すると ATM での Inverse ARP によるダイナミック マッピングが表示されますが、これは show arp および show atm arp コマンドでは表示されません。次の出力を見ると、これがわかります。
   7500-1#show arp 

    Protocol  Address             Age (min)  Hardware Addr   Type   Interface 

    Internet  172.16.81.82               2   0010.7be8.674b  ARPA   FastEthernet1/0/0 

    Internet  172.16.81.15               -   0030.71d3.1020  ARPA   FastEthernet1/0/0 

    Internet  172.16.81.10               2   0000.0c45.419a  ARPA   FastEthernet1/0/0 

    7500-1#show atm arp

RFC 1483 を使用した LLC または SNAP カプセル化

RFC 1483 exit(Multiprotocol Encapsulation over ATM)では、ATM 経由で伝送するためにカプセル化される、さまざまなタイプの Protocol Data Unit(PDU; プロトコル データ ユニット)について定義されています。RFC 1483 では、このカプセル化を実行するために 2 通りの方法を規定しています。

最も一般的な方法は、同じ仮想接続で複数のプロトコルを伝送できる LLC または SNAP カプセル化です。標準の LLC または SNAP ヘッダーは、カプセル化されたパケットのタイプを識別します。LLC カプセル化では、ルーテッド プロトコルとブリッジ プロトコルの両方をサポートします。パケットの SNAP ヘッダーは、プロトコルのタイプを識別します。

LLC ヘッダーは、次の 3 つの 1 オクテット フィールドから成ります。

text

LLC ヘッダーの値 0xAA-AA-03 は、SNAP ヘッダーを示します。このヘッダーのフォーマットは次のとおりです。

text

3 オクテットの OUI は、2 オクテットの Protocol Identifier(PID)の意味を管理する組織を識別します。これらを組み合せることで、個々のルーテッド プロトコルまたはブリッジ プロトコルが厳密に識別されます。次に、ルーティングされる PDU の AAL5 Common Part Convergence Sublayer(CPCS)PDU ペイロード フィールドのフォーマットを示します。

text

次の出力例は、debug atm packet コマンドを使用して、生成したものです。

注意:debug コマンドを発行する前に、「debug コマンドに関する重要な情報」を参照してください。

router#debug atm packet

 Dec  7 10:21:16 CST: ATM2/IMA0.294(O): 

  VCD:0x5 VPI:0x7 VCI:0xC0 DM:0x100 SAP:AAAA CTL:03 OUI:000000 TYPE:0800 Length:0x70  

  Dec  7 10:21:16 CST: 4500 0064 0032 0000 FF01 7643 0A90 9801 0A90 9802  0800 BAA2 0031 0EB1 0000 

  Dec  7 10:21:16 CST: 0000 5A75 5A50 ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD  ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD 

  Dec  7 10:21:16 CST: ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD  ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD 

  Dec  7 10:21:16 CST: ABCD ABCD ABCD ABCD ABCD 

  Dec  7 10:21:16 CST: ..

この出力の意味を次に示します。

  • ATM2/IMA0.294(O) - このパケットは出力パケットです。
     
  • VCD:0x5 VPI:0x7 VCI:0xC0 - このパケットは VPI 7 および VCI 192(0xC0)上で伝送されています。これらの値は 16 進数形式で与えられます。ルータが 5 バイトの ATM ヘッダーで正しい PVC 値を使用しているかどうかを確認するためには、これらの値を 10 進数に変換します。この例では、VCI の 16 進数値 0xC0 を 10 進数値に変換すると 192 になります。
  • DM:0100 - このパケットは AAL5 カプセル化を使用しています。この値は、特定の ATM ハードウェアのドライバが特別なケースのパケットを扱えるように、上位のソフトウェア層で設定されます。たとえばこの値によって、OAM パケットを特別な OAM Virtual Circuit Descriptor(VCD; 仮想回線ディスクリプタ)(PA-A3 の VCD 0、PA-A2 の VCD 4096 など)に割り当てるようにドライバに指示できます。その他には次の値があります。
    • AAL5 パケット:0x4000
    • AAL1 セル :0x2000
    • AAL1 パケット:0x8000
    • アプリケーションに独自の CRC がある場合:0x0400
    • AAL3/4 パケット:0x0000
    • OAM パケット:0x0300
  • SAP:AAAA - 後に SNAP ヘッダーが続きます。
     
  • OUI:000000 - 次の PID は EtherType です。
     
  • TYPE: 0800 - これは IP 用の「周知の」Ethertype 値です。
     
  • ABCD ABCD ABCD - これは ping パケットのデフォルトのペイロード パターンです。

IP から ATM VC へのスタティック マッピング

スタティック マップ リストは、ATMARP および InATMARP メカニズムに対する代替手段を提供する、Cisco IOS ソフトウェアの機能です。スタティック マップを使用すると、プロトコル アドレスに SVC の ATM アドレス、または PVC の VPI/VCI を関連付けることができます。

注:スタティック マップ リストは、RFC 1483exit にも RFC 1577 exit にも含まれていません。

スタティック マッピングはノードが少数の場合は簡単ですが、設定する必要があるデバイスの数が増すにつれ、設定が複雑になり、エラーの可能性が増大します。

Cisco IOS ソフトウェア リリース 11.3T からは、ATM VC コマンド モード が導入されました。このモードではいくつかの新しい ATM コマンドが導入され、ATM パラメータの設定がさらに容易になりました。新しい VC 設定モードでは、protocol ip およびその他の文(ipipxdecnet などで置き換えます)を使用してスタティック マッピングを設定します。この protocol コマンドは、11.3T 以前の IOS バージョンで使用されていた map-list コマンドおよび map-group コマンドに代わるものです。

次の例は、ATM インターフェイス 1/1/0.200 で PVC 2/200 を作成する方法を示しています。この例では、AAL5 上でデフォルト LLC カプセル化または SNAP カプセル化を使用します。インターフェイスの IP アドレスは 2.2.2.1 で、VC の対向側 IP アドレスは 2.2.2.2 です。

interface ATM1/1/0.200 multipoint

 

  ip address 2.2.2.1 255.255.255.0

  no ip directed-broadcast

  pvc 2/200

   inarp 5

   protocol ip 2.2.2.2 broadcast 

マッピングをチェックするには、show atm map コマンドを使用します。次の出力からわかるように、レイヤ 3 アドレスからレイヤ 2 アドレスへのマッピングは、Inverse ARP を使用した場合のようなダイナミックなものではなく固定的です。

7500-1#show atm map 

 Map list ATM1/1/0.100_ATM_INARP : DYNAMIC

 ip 1.1.1.2 maps to VC 19, VPI 2, VCI 100, ATM1/1/0.100 
Map list ATM1/1/0.200pvc20 : PERMANENT

 ip 2.2.2.2 maps to VC 20, VPI 2, VCI 200, ATM1/1/0.200

         , broadcast 

注:ポイントツーポイント サブインターフェイスでスタティック マップを使用することは避けてください。ポイントツーポイント サブインターフェイスでの InATMARP 要求の開始は無効になっています(CSCdt47188)。以前は、2 つの protocol ip コマンドを設定した後に一方の文を削除すると、まれにルータがリロードすることがありました(CSCdk58757、CSCdr43838)。

IOS リリース 11.3(T トレインを除く)以前のリリースを使用している場合は、ATM VC コンフィグレーションコマンド モードを使用できないため、代わりに古いコマンド構文を使用する必要があります。下の例からわかるように、全 PVC 設定を 1 行で設定するため、可能な設定は非常に限定されます。使用可能な ATM PVC コマンドの詳細については、ここをクリックしてください。

   interface ATM3/0.1 multipoint

      no ip directed-broadcast

      map-group MyMap

      atm pvc 4 0 36 aal5snap 2000 1000 32

    !

    map-list MyMap

      ip 10.2.1.1 atm-vc 4 broadcast

      ip 10.2.1.2 atm-vc 4 broadcast 
Medina#show atm map 

   Map list ATM3/0.1pvc4 : PERMANENT

   ip 10.2.1.1 maps to VC 4, VPI 0, VCI 36, ATM3/0.1, broadcast

   ip 10.2.1.2 maps to VC 4, VPI 0, VCI 36, ATM3/0.1, broadcast 

スタティック マップは Switched Virtual Circuit(SVC; 相手先選択接続)にも適用されます。宛先プロトコル アドレスへの接続をセットアップする際は、ATM インターフェイスがマップ リストのプロトコル アドレスに対応する ATM NSAP アドレスを特定し、次にその ATM アドレスへの SVC をセットアップします。

interface atm 4/0

 

  ip address 131.108.168.1 255.255.255.0

   atm nsap-address AB.CDEF.01.234567.890A.BCDE.F012.3456.7890.1234.12

   atm maxvc 1024

   pvc 0/5 qsaal

 !

  svc svc-1 nsap BC.CDEF.01.234567.890A.BCDE.F012.3456.7890.1334.13

   protocol ip 131.108.168.2

トラブルシューティング ステップ

IP over ATM 接続に問題が生じた場合は、次のトラブルシューティング ステップを実行します。さらに詳細な指針については、シスコの ATM 用の Troubleshooting Assistant を使用してください。

ステップ 1

リモートの宛先に到達するために使用する VC をルータが検知していることを確認します。インターフェイスで debug atm errors コマンドを使用します。この debug コマンドはハードウェアの動作に影響を与えません。多数の ATM エラーが存在する場合に出力を生成するだけです。

注:InATMARP を使用している場合は、代わりに debug atm arp コマンドを使用します。

注意:debug コマンドを発行する前に、「debug コマンドに関する重要な情報」を参照してください。

出力の中に次のような行があるかどうかを確認します。

Jul 12 05:01:26.161: ATM(ATM6/0): Encapsulation error1, link=7, host=B010117

このような行がある場合は、ATM マッピングの設定が誤っている可能性があります。この問題のトラブルシューティング方法については、「debug atm errors コマンドによるカプセル化障害のトラブルシューティング」を参照してください。

ステップ 2

debug atm errors コマンドを使用しても出力が生成されない場合は、debug atm packet interface atm コマンドを使用します。

注意:debug atm packet コマンドを使用すると、VC を通過するパケットごとに 1 つのログ メッセージが表示されます。デバッグ出力の量を適正にするため、このデバッグを有効にする前に、ping またはキープアライブだけが VC を通過できるように、一般のトラフィックを除外します。

次の例では、10.144.152.2 への ping を試みています。ここでは 1 つの PVC を持つポイントツーポイント サブインターフェイスを使用しているため、ルータは同じ IP サブネット宛てのすべての ping を自動的にこの PVC から送出します。

  1. show running-config コマンドを使用して、設定と ping を試みている IP アドレスを確認します。
        interface ATM2/IMA0.294 point-to-point 
    
           ip address 10.144.152.1 255.255.255.252
    
           no ip directed-broadcast 
    
           pvc test 7/192 
    
            vbr-nrt 500 500 10
  2. debug atm packet interface atm コマンドを使用します。ルータへの影響を最小限に抑えるため、デバッグ コマンドはできるだけ詳細に指定します。
        cisco#debug atm packet interface atm2/im0.294 vc ? 
    
         <0-255>    VPI/VCI value(slash required) 
    
         <0-65535>  VCI 
    
         WORD       Connection Name
        cisco#debug atm packet interface atm2/im0.294 vc 7/192 
    
         ATM packets debugging is on 
    
         Displaying packets on interface ATM2/IMA0.294 VPI 7, VCI 192 only
  3. terminal monitor コマンドを使用して、ルータに Telnet した場合にデバッグ出力が表示されることを確認します。現在のターミナルおよびセッションに関する debug コマンド出力およびシステム エラー メッセージを表示するには、terminal monitor EXEC コマンドを使用します。また、すべてのデバッグ出力をコンソールではなくバッファに直接記録することも検討します。これを行うためには、グローバルコンフィグレーションモードで logging buffered および no logging console コマンドを実行します。show logging コマンドを使用して変更を確認します。

    端末パラメータ設定コマンドはすべてローカルに設定され、セッション終了後は無効になる点に注意してください。
        cisco#terminal monitor 
    
         % Console already monitors
  4. PVC の発信パケット(OutPkts)および着信パケット(InPkts)に関する現在の値を記録します。
       cisco#show atm pvc test 
    
        ATM2/IMA0.294: VCD: 5, VPI: 7, VCI: 192, Connection Name: test 
    
        VBR-NRT, PeakRate: 500, Average Rate: 500, Burst Cells: 100 
    
        AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0x20, VCmode: 0x0 
    
        OAM frequency: 0 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s) 
    
        OAM up retry count: 2, OAM down retry count: 2 
    
        OAM Loopback status: OAM Disabled 
    
        OAM VC state: Not Managed 
    
        ILMI VC state: Not Managed 
    
        InARP frequency: 15 minutes(s) 
    
        Transmit priority 2 
    
        InPkts: 0, OutPkts: 2920, InBytes: 0, OutBytes: 163784 
    
        InPRoc: 0, OutPRoc: 6 
    
        InFast: 0, OutFast: 4, InAS: 0, OutAS: 0 
    
        InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0 
    
        CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0 
    
        OAM cells received: 0 
    
        F5 InEndloop: 0, F5 InSegloop: 0, F5 InAIS: 0, F5 InRDI: 0 
    
        F4 InEndloop: 0, F4 InSegloop: 0, F4 InAIS: 0, F4 InRDI: 0 
    
        OAM cells sent: 2901 
    
        F5 OutEndloop: 2901, F5 OutSegloop: 0, F5 OutRDI: 0 
    
        F4 OutEndloop: 0, F4 OutSegloop: 0, F4 OutRDI: 0 
    
        OAM cell drops: 0 
    
        Status: UP
  5. リモート エンドに対して ping を発行し、InPkts と OutPkts がどちらも 5 パケット増加することを確認します。ABCD のペイロード パターンを探して、パケットが ping であり、他のパケットの Operation, Administration, and Maintenance(OAM)セルではないことを確認します。次の文書も参照してください。

  6. もう一度 show atm pvc <vcd number> コマンドを実行し、OutPkts カウンタが 5 パケット以上増加することを確認します。

    注:Cisco IOS ソフトウェア リリース 11.3(2)T 以降を使用している必要があります。それよりも前のリリースを使用している場合は、代わりに show atm vc コマンドを使用します。

    OutPkts の値を、ping を実行する前に記録した値と比較します。下記の出力例では 5 回の ping を 2 セット送信したため、OutPkts カウンタが 10 増加しています。このインターフェイスではまだ InPkts が記録されていない点に注意してください。この出力は、ルータはパケットを送信していますが、リモート デバイスがパケットを受信していないことを示唆しています。InPkts の値が 0 であることは、ATM スイッチ クラウド内のエンドツーエンド パスが適切にプロビジョニングされていないことを示唆しています。

       cisco#show atm pvc test 
    
        ATM2/IMA0.294: VCD: 5, VPI: 7, VCI: 192, Connection Name: test 
    
        VBR-NRT, PeakRate: 500, Average Rate: 500, Burst Cells: 100 
    
        AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0x20, VCmode: 0x0 
    
        OAM frequency: 0 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s), OAM retry frequency: 10 second(s) 
    
        OAM up retry count: 2, OAM down retry count: 2 
    
        OAM Loopback status: OAM Disabled 
    
        OAM VC state: Not Managed 
    
        ILMI VC state: Not Managed 
    
        InARP frequency: 15 minutes(s) 
    
        Transmit priority 2 
    
        InPkts: 0, OutPkts: 2930, InBytes: 0, OutBytes: 164904 
    
        InPRoc: 0, OutPRoc: 16 
    
        InFast: 0, OutFast: 4, InAS: 0, OutAS: 0 
    
        InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0 
    
        CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0 
    
        OAM cells received: 0 
    
        F5 InEndloop: 0, F5 InSegloop: 0, F5 InAIS: 0, F5 InRDI: 0 
    
        F4 InEndloop: 0, F4 InSegloop: 0, F4 InAIS: 0, F4 InRDI: 0 
    
        OAM cells sent: 2901 
    
        F5 OutEndloop: 2901, F5 OutSegloop: 0, F5 OutRDI: 0 
    
        F4 OutEndloop: 0, F4 OutSegloop: 0, F4 OutRDI: 0 
    
        OAM cell drops: 0 
    
        Status: UP

注:ここで表示される出力は、使用しているカードによって異なります。

ステップ 3

ping を送信したときに、リモート エンドが ping を受信するかどうかを確認します。これを確認するには、リモート エンドで debug ip icmp コマンドを使用します。

ステップ 4

両側がパケットを送信していることが確認されたら、エンドツーエンドで接続できない理由を特定する必要があります。これを行うには、次のチェックを実行します。

  1. show interface コマンドの出力で、Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長チェック)エラーや入力キューのドロップなど、0 以外の入力または出力エラー カウンタをチェックします。ping を発行したときにこれらのカウンタが増加するかどうかを確認します。詳細については、「ATM インターフェイスに関する CRC トラブルシューティング ガイド」を参照してください。
     
  2. 両端でループバックを使用します。詳細については、ここをクリックしてください。

  3. プロバイダーのクラウド内でループバック テストを実行します。プロバイダーがリンクのエンドツーエンド パス経由でパケットを送信できるかどうかを確認します。
     
  4. 両方の終端でペイロード スクランブリングが有効または無効のどちらであるかを調べます。1 つのインターフェイスで CRC エラーの値が大きい場合は、スクランブリングが一方で有効、もう一方で無効になっている可能性があります。
     
  5. Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット)を上限とするさまざまなサイズの ping テストを実行します。特定のサイズでだけ ping が失敗するかどうかを確認します。ポリシングの問題が発生していないかどうかをチェックします。詳細については、ここをクリックしてください。

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