ブロードバンド ケーブル : データオーバーケーブル サービス インターフェイス仕様(DOCSIS)

DOCSIS におけるデータのスループットについて

2008 年 12 月 4 日 - ライター翻訳版
その他のバージョン: PDFpdf | 機械翻訳版 (2013 年 8 月 21 日) | 英語版 (2008 年 8 月 25 日) | フィードバック

目次

概要
前提条件
      要件
      使用するコンポーネント
      表記法
背景説明
      ビット、バイトおよびボー
      スループットとは
      スループットの計算
制約要因
      ダウンストリームのパフォーマンス:MAP
      アップストリームのパフォーマンス:DOCSIS 遅延
      TCP なのか UDP なのか
      Windows の TCP/IP スタック
パフォーマンス改善要因
      スループットの決定
      アクセス速度の増加
      チャネル幅と変調方式
      インターリービング効果
      Dynamic MAP Advance
      連結とフラグメンテーション効果
      1 台のモデム速度
      DOCSIS 2.0 の利点
      その他の要因
スループットの確認
要約
結論
関連するシスコ サポート コミュニティ ディスカッション
関連情報

概要

ケーブル ネットワークのパフォーマンス測定を試みる前に、考慮する必要がある若干の制約要因があります。アベイラビリティや信頼性の高いネットワークを設計して展開するには、ケーブル ネットワーク パフォーマンスの基本的な原理と計測パラメータについて理解する必要があります。このドキュメントでは、いくつかの制約要因を紹介し、展開したシステムのスループットとアベイラビリティを実際に最適化して要件を満たす方法について説明しています。

前提条件

要件

このドキュメントの読者は次の項目に関する知識が必要です。

  • Data-over-Cable Service Interface Specification(DOCSIS; データオーバーケーブル サービス インターフェイス仕様)

  • Radio Frequency(RF; 無線周波数)テクノロジー

  • Cisco IOS(R) ソフトウェア Command Line Interface(CLI; コマンドライン インターフェイス)

使用するコンポーネント

このドキュメントは、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。

このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されたものです。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、クリアな(デフォルト)設定から作業を開始しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのような作業についても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。

表記法

ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。

背景説明

ビット、バイトおよびボー

このセクションでは、ビット、バイトおよびボーの違いについて説明しています。bit(ビット)は、BInary digiT(バイナリ ディジット)の短縮形で、通常は小文字の b で表します。バイナリ ディジットは 2 つの電子状態である、「オン」状態または「オフ」状態を示し、「1」または「0」で表される場合もあります。

byte(バイト)は大文字の B で表し、通常は 8 ビット長です。バイトは 8 ビットを超える場合もあるため、8 ビット ワードは正確にはオクテットと呼びます。また、バイトは 2 つのニブルから構成されます。ニブルは 4 ビット ワードとして定義され、バイトの半分です。

ビット レートまたはスループットは、ビット/秒(bps)で測定され、特定のメディアを介した信号の速度に関連付けられています。たとえば、この信号は、ベースバンド デジタル信号またはデジタル信号を表すように調整された変調アナログ信号の場合もあります。

変調アナログ信号の 1 つに Quadrature Phase Shift Keying(QPSK; 4 位相偏移変調)があります。これは、図 1 に示すように、信号の位相を 90 °ずつずらせて 4 つの異なるシグニチャを生成する変調技術です。これらのシグニチャはシンボルと呼ばれ、そのレートがボーと呼ばれます。ボーは、シンボル/秒と一致します。

図 1:QPSK ダイアグラム

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QPSK 信号には 4 つの異なるシンボルがあります。4 は 22 に一致します。この指数はビット/サイクル(シンボル)の理論的な番号を表し、この場合は 2 になります。4 つのシンボルは、00、01、10、11 の 2 進数を表します。したがって、シンボル レート 2.56 Msymbols/s で QPSK キャリアを転送した場合、2.56 Mbaud と表され、理論的なビット レートは 2.56 Msymbols/s × 2 bits/symbol = 5.12 Mbps となります。この詳細については、このドキュメントで後述します。

また、このドキュメントの読者は Packets Per Second(PPS; パケット/秒)という用語について理解している場合があります。PPS は、パケットに含まれるイーサネット フレームが 64 バイトか 1518 バイトかに関係なく、パケット ベースでデバイスのスループットを表す方法です。ネットワークの「ボトルネック」は、特定の PPS の量を処理する CPU の能力である場合があり、必ずしも bps の合計ではありません。

スループットとは

データのスループットは、まず理論的な最大スループットを計算し、次に実効スループットを算出します。サービスの加入者が利用できる実効スループットは理論的な最大値よりも常に小さいので、この計算は必須です。

スループットは、次のような多数の要因に基づきます。

  • 合計ユーザ数

  • ボトルネックの速度

  • アクセスするサービス タイプ

  • キャッシュおよびプロキシ サーバの使用状況

  • MAC レイヤの効率性

  • ケーブル プラント上のノイズとエラー

  • その他の要因

このドキュメントは、DOCSIS 環境におけるスループットとアベイラビリティを最適化する方法についての説明と、パフォーマンスに影響を与えるプロトコル固有の制約についての説明を目的としています。パフォーマンスの問題をテストし、トラブルシューティングを行うには、『低速のケーブル モデム ネットワークのトラブルシューティング』を参照してください。UpStream(US; アップストリーム)ポートまたは DownStream(DS; ダウンストリーム)ポートで推奨される最大ユーザ数については、『CMTS ごとの最大ユーザ数』を参照してください。

レガシー ケーブル ネットワークは、MAC プロトコルとして、ポーリングまたは Carrier Sense Multiple Access Collision Detect(CSMA/CD; キャリア検知多重アクセス/衝突検出)に依存しています。現在の DOCSIS モデムは予約方式に依存しており、モデムは送信時間を要求し、CMTS がアベイラビリティに基づいてタイムスロットを付与します。ケーブル モデムには、Class of Service(CoS; サービス クラス)パラメータか Quality Of Service(QoS)パラメータにマッピングされた Service ID(SID; サービス ID)が割り当てられます。

バースト性がある Time Division Multiplex Access(TDMA; 時分割多重アクセス)ネットワークにおいて、要求元のすべてのユーザに対して一定速度のアクセスを保証するには、同時に送信できる Cable Modem(CM; ケーブル モデム)の合計数を制限する必要があります。同時ユーザの合計は、統計学上の確率アルゴリズムであるポアソン分布に基づきます。

トラフィック エンジニアリングでは、テレフォニー ベースのネットワークで使用する統計として、ピーク時の使用状況の約 10 % が示されています。この計算は、このドキュメントの範囲外です。一方、データ トラフィックは音声トラフィックと異なります。ユーザがよりコンピュータに精通した場合や、Voice over IP(VoIP)および Video on Demand(VoD; ビデオ オン デマンド)サービスがより以上に使用可能になると、データ トラフィックは変化します。分かりやすくするために、ピーク時のユーザ数の 50 % に、実際に同時にダウンロードしているユーザ数の 20 % をかけた場合について考えてみます。これは、ピーク時の使用状況の 10 % の場合も同様です。

同時に使用しているユーザはすべて、US と DS のアクセスで競合します。多くのモデムが、初期ポーリングでアクティブになる可能性がありますが、US では任意の時間内にアクティブになるモデムは 1 台だけです。全体的な効果としてノイズに加担するのは、一時点では 1 台のモデムだけなので、これはノイズの発生源という見地では好都合です。

現在の規格に継承されている制約の 1 つは、単一の Cable Modem Termination System(CMTS; ケーブル モデム ターミネーション システム)に複数のモデムが接続されている場合、メンテナンスとプロビジョニングのために多少のスループットが必要とされることです。この分は、アクティブ カスタマーの実際のペイロードから取られます。これはキープアライブ ポーリングと呼ばれ、DOCSIS では通常 20 秒に 1 回発生しますが、より頻繁に発生する場合もあります。また、モデムごとの US 速度は、このドキュメントで後述するように、要求と認可のメカニズムによって制約を受ける可能性があります。

注:ファイル サイズの参照は 8 ビットから成るバイトであることに注意してください。つまり、128 kbps は 16 KBps に相当します。同様に、2 進数は常に 2 の累乗の数になるため、1 MB は 1,000,000 バイトではなく、実際には 1,048,576 バイトと等しくなります。5 MB のファイルは、実際には 5 × 8 × 1,048,576 = 41.94 Mb であり、予想よりもダウンロードに時間がかかる可能性があります。

スループットの計算

DS ポートを 1 つ、US ポートを 6 つ搭載した CMTS カードを使用していると仮定します。1 つの DS ポートは分割されて、12 のノードを供給しています。このネットワークの半分を図 2 に示します。

図 2:ネットワーク レイアウト

data_thruput_docsis_world_19220_2.gif

  • 500 ホーム/ノード × 80 % ケーブル使用率 × 20 % モデム使用率 = 80 モデム/ノード

  • 12 ノード × 80 モデム/ノード = 960 モデム/DS ポート

注:Multiple Service Operator(MSO; マルチプル サービス オペレータ)の多くでは、ノードごとの HouseHolds Passed(HHP)として、システムが数量化されます。Direct Broadcast Satellite(DBS)の加入者が High Speed Data(HSD; 高速データ)サービスまたはビデオ サービスのないテレフォニーだけを購入している現在のアーキテクチャでは、これが唯一の定数となります。

注:2 つのノードで 1 つの US ポートが賄われるため、これらの各ノードからの US 信号は、おそらく 2:1 の比率で統合されます。

  • 6 US ポート × 2 ノード/US = 12 ノード

  • 80 モデム/ノード × 2 ノード/US = 160 モデム/US ポート

ダウンストリーム

DS シンボル レート = 5.057 Msymbols/s または Mbaud です。図 3 のように、フィルタ ロールオフ(アルファ)の約 18 % で、5.057 × (1 + 0.18) = ~6 MHz 幅の「丘状域」が発生します。

図 3:デジタル「丘状域」

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64-QAM が使用される場合、64 = 2 の 6 乗(26)。64-QAM で、指数 6 は 6 ビット/シンボルを意味し、これにより 5.057 × 6 = 30.3 Mbps となります。全体の Forward Error Correction(FEC; 前方誤り訂正)と Motion Picture Experts Group(MPEG)オーバーヘッドを計算すると、ペイロードに対しては約 28 Mbps が残されます。DOCSIS シグナリングと共有されているため、このペイロードはさらに少なくなります。

注:ITU-J.83 Annex B では、Reed-Solomon FEC が 128/122 コードで示されています。これは、128 シンボルごとのオーバーヘッドが 6 シンボルであることを意味し、6 / 128 = 4.7 % となります。トレリス コーディングでは、64-QAM の場合 15 バイトごとに 1 バイト、256-QAM の場合 20 バイトごとに 1 バイトのオーバーヘッドがあります。それぞれ、6.7 % と 5 % になります。MPEG-2 は、4 バイト(場合によっては 5 バイト)のオーバーヘッドを伴う 188 バイト パケットから構成されるため、4.5 / 188 = 2.4 % となります。64-QAM での速度が 27 Mbps、256-QAM での速度が 38 Mbps になるのは、このためです。イーサネット パケットでは、1500 バイト パケットまたは 46 バイト パケットでも、18 バイトのオーバーヘッドが発生することに注意してください。また、6 バイトの DOCSIS オーバーヘッドと IP オーバーヘッドもあります。これにより、合計で約 1.1 〜 2.8 % のオーバーヘッドが追加され、DOCSIS MAP トラフィックのために、さらに 2 % のオーバーヘッドが追加される可能性があります。64-QAM での実際のテスト速度は、26 Mbps にさらに近くなっています。

可能性は低いことですが、960 のモデムすべてがまったく同時にデータをダウンロードしている場合、各モデムには約 28 kbps しか割り当てられません。より現実的なシナリオとして、ピーク時の使用状況が 10 % の場合を想定してみます。この場合は、最も混雑した状況でのワーストケース シナリオとして、理論的には 280 kbps のスループットが得られます。オンラインに存在するカスタマーが 1 人だけの場合、このカスタマーは理論的には 26 Mbps を取得します。しかし、TCP に送信される必要がある US 確認応答によって DS スループットが制約され、さらに(PC や Network Interface Card(NIC; ネットワーク インターフェイス カード)などの)別のボトルネックが顕著になります。実際には、ケーブル配信会社では、サインアップする加入者が増えた場合に、利用可能なスループットが達成できないと認識されないように、これを 1 Mbps または 2 Mbps にまでレート制限します。

アップストリーム

2 ビット/シンボルでの QPSK の DOCSIS US 変調では、約 2.56 Mbps になります。これは、1.28 Msymbols/s × 2 ビット/シンボルのシンボル レートから算出されます。フィルタ アルファは 25 % で、1.28 × (1 + 0.25) = 1.6 MHz の帯域幅(BW)が提供されます。FEC を使用している場合は、約 8 % 少なくなります。また、メンテナンス、コンテンション用の予約済みタイムスロット、確認応答(「acks」)のために、約 5 〜 10 % のオーバーヘッドが発生します。そのため、全体としては約 2.2 Mbps になり、これが US ポートごとに 160 の潜在的な顧客で共有されます。

注:64 〜 1518 バイトのイーサネット フレーム(VLAN タギングが使用された場合は 1522 バイト)に対して、DOCSIS レイヤ オーバーヘッド = 6 バイトです。これは、最大バースト サイズおよび、連結またはフラグメンテーションが使用されるかどうかによっても異なります。

  • US FEC は可変です。~128 / 1518 または ~12 / 64 = ~8 % または ~18 %。メンテナンス、コンテンション用の予約済みタイムスロット、および確認応答(「acks」)に、約 10 % が使用されます。

  • BPI セキュリティまたは拡張ヘッダー = 0 〜 240 バイト(通常は 3 〜 7)。

  • プリアンブル = 9 〜 20 バイト。

  • ガードタイム >= 5 シンボル = ~2 バイト。

ピーク時の使用状況を 10 % と仮定すると、ワーストケース ペイロードは、加入者あたり 2.2 Mbps / (160 × 0.1) = 137.5 kbps になります。(たとえば、Web ブラウジングなどの)一般的な住宅でのデータの使用状況に関しては、DS ほど多くの US スループットを必要としない場合がほとんどです。この速度は、住宅での使用には十分である可能性がありますが、商用サービスでの展開には不十分です。

制約要因

「実際の」データ スループットに影響を及ぼす制約要因は数多くあります。これらは、要求と認可のサイクルから DS インターリービングまで広範囲に渡ります。制約を理解することは、予測と最適化に役立ちます。

ダウンストリームのパフォーマンス:MAP

モデムに送信される MAP メッセージの伝送によって、DS スループットは低下します。時間に関する MAP が DS に送信されると、モデムは US 送信時間の要求を許可されます。MAP が 2 ミリ秒ごとに送信された場合、全部で 1 / 0.002s = 500 MAPs/s になります。MAP が 64 バイトを占める場合、64 バイト × 8 ビット/バイト × 500 MAPs/s = 256 kbps となります。CMTS シャーシ内の単一のブレード上に US ポートが 6 つと DS ポートが 1 つ搭載されている場合、すべてのモデムの MAP メッセージのサポートに使用される DS スループットは 6 × 256000 bps = ~1.5 Mbps になります。この場合、MAP は 64 バイトで、実際には 2 ミリ秒ごとに送信されるものと仮定されています。実際には、変調方式と使用されている US 帯域幅の量によって、MAP サイズが若干大きくなる場合があります。これは、3 〜 10 % のオーバーヘッドとなるものと簡単に算出できます。さらに、DS チャネルで送信される他のシステム メンテナンス メッセージもあります。オーバーヘッドは、これらでも増加しますが、通常は無視できるほどの影響しかありません。Central Processing Unit(CPU; 中央処理装置)はすべての MAP をトラッキングする必要があるため、DS スループットのパフォーマンスだけでなく CPU にも、MAP メッセージによる負荷がかかる可能性があります。

同じ US に TDMA および Standard Code Division Multiple Access(S-CDMA; 標準符号分割多重接続)チャネルを配置する場合、CMTS は各物理ポートに対して「重複 MAP」を送信する必要があります。そのため、DS MAP 帯域幅の使用量は倍になります。これは DOCSIS 2.0 仕様の一部であり、相互運用性のために必要です。さらに、US チャネル ディスクリプタと他の US コントロール メッセージも倍増します。

アップストリームのパフォーマンス:DOCSIS 遅延

US パスでは、CMTS と CM 間の要求と認可のサイクルだけが、他のすべての MAP を活用できます。これは、Round Trip Time(RTT; ラウンドトリップ時間)、MAP の長さ、および MAP アドバンス時間によって変わります。これは、DS インターリービングの影響を受ける RTT、および、DOCSIS ではモデムが任意の時点で単一の要求を処理待ちにできるという事実、さらには、関連する「要求と認可の遅延」に起因します。この遅延は、プロトコルに依存する CMTS と CM 間のコミュニケーションが原因と考えられます。簡単にいうと、CM では、データを送信するために、まず CMTS に許可を要求する必要があります。CMTS ではこれらの要求に対応して、MAP スケジューラのアベイラビリティをチェックし、次のユニキャスト送信に備えてキューに入れる必要があります。DOCSIS プロトコルによって指定された相互の通信によって遅延が発生します。モデムは最後の要求からの認可が DS に戻るのを待機しているため、その他の MAP がすべて失われる可能性があります。

MAP インターバルが 2 ミリ秒の場合は、500 MAP/秒の結果となります。これを 2 で割ると 1 秒あたり ~250 MAP の機会になるため、250 PPS となります。「実際の」プラントでは、要求と認可間の RTT が 2 ミリ秒よりもずっと長いため、500 MAP は 2 つに分けられます。これは 4 ミリ秒以上である可能性があり、その他すべての MAP 機会になります。1518 バイトのイーサネット フレームから構成されている一般的なパケットを 250 PPS で送信した場合、1 バイトは 8 ビットであるため、約 3 Mbps に相当します。したがって、これが、単一のモデムの US スループットに対する実質的な制約となります。250 PPS 前後の制約がある場合、小さな(64 バイト)パケットはどうなるでしょうか。128 kbps になります。連結が役に立つのはこの場合です。このドキュメントの「連結およびフラグメンテーション効果」セクションを参照してください。

US チャネルで使用されるシンボル レートおよび変調方式によっては、1518 バイトのパケットの送信に 5 ミリ秒以上かかる場合もあります。US から CMTS へのパケットの送信が 5 ミリ秒を超える場合、CM では DS 上の MAP 機会が約 3 つ失われるだけです。PPS が 165 くらいだとします。MAP 時間を減らすと、DS のオーバーヘッドが増加して、MAP メッセージが増加する可能性があります。MAP メッセージが増加すると US 送信の機会も増えますが、実際の Hybrid Fiber-Coaxial(HFC; 光ファイバ/同軸ハイブリッド)プラントでは、いずれにしてもそれ以上の機会を失います。

幸い、DOCSIS 1.1 は Unsolicited Grant Service(UGS)を追加します。これにより、音声トラフィックではこの要求と認可のサイクルが避けられます。代りに、音声パケットはコールが終了するまで、10 ミリ秒または 20 ミリ秒ごとにスケジューリングされます。

注:CM は(たとえば、20 MB ファイルなどの)大きいブロックのデータ US を送信している際に、個別の要求を使用しないでデータ パケットで帯域幅要求をピギーパックします。その場合でも、モデムでは要求と認可のサイクルを実行する必要があります。ピギーパック方式では、コンテンション スロットの代りに、専用のタイムスロット内のデータで要求を送信できます。これにより、衝突および要求の破損が排除されます。

TCP なのか UDP なのか

スループットのパフォーマンス テストを行う場合にしばしば見落とされる点は、使用中の実際のプロトコルです。TCP のようなコネクション型プロトコルなのか User Datagram Protocol(UDP; ユーザ データグラム プロトコル)のようなコネクションレス型プロトコルなのかということを考慮する必要があります。UDP では、受信品質とは無関係に情報が送信されます。これは、よく「ベストエフォート」配信と呼ばれます。受信したいくつかのビットにエラーがあった場合、それで賄って次のビットに移ります。TFTP は、このベストエフォート型プロトコルのもう 1 つの例です。TFTP は、リアルタイム オーディオやストリーミング ビデオでは一般的なプロトコルです。一方で、TCP では、確認応答を要求して、送信したパケットが正しく受信されたことが検証されます。FTP は、これの一例です。ネットワークがよく管理されている場合、プロトコルが十分にダイナミックになり、確認応答が要求される前に多くのパケットを連続して送信できる可能性があります。これは、「ウィンドウ サイズの拡大」と呼ばれ、Transmission Control Protocol(TCP)の標準的な部分です。

注:TFTP についての 1 つの注意点は、UDP を使用するためにオーバーヘッドが少なくなるとは言え、スループットには不利なステップごとの確認応答アプローチが通常使用される点です。これは、確認応答待ちのデータ パケットを複数は置けないことを意味します。そのため、実際のスループットをテストするのに適しているとはいえません。

ここでのポイントは、DS トラフィックでは、より多くの確認応答の形態で US トラフィックが生成されるという点です。また、US で短時間の中断が発生した結果として TCP 確認応答がドロップされると、TCP のフローが遅くなります。UDP ではこのようなことは起こりません。US パスの状態が悪化すると、最終的には、約 30 秒後に CM がキープアライブ ポーリングに失敗し、再び DS のスキャンを開始します。TCP パケットはキューイングされるか喪失されても、DS UDP トラフィックは維持されるため、TCP と UDP はどちらも短時間の中断では存続します。

同様に、US スループットにより、DS スループットが制約を受ける場合もあります。たとえば、DS トラフィックが同軸ケーブルか衛星経由で送信され、US トラフィックが電話回線経由で送信される場合、最大で 10 Mbps としてアドバタイズされていても、28.8 kbps の US スループットでは DS スループットは 1.5 Mbps 未満に制約されます。これは、低速のリンクでは確認応答の US フローに遅延が加わり、TCP で DS フローの速度が低下するためです。 このボトルネックの問題を軽減するために、Telco Return では Point-to-Point Protocol(PPP; ポイントツーポイント プロトコル)を利用して、確認応答をより小さくしています。

DS 上での MAP 生成により、US 上の要求と認可のサイクルが影響を受けます。TCP トラフィックが処理される際に、確認応答は要求と認可のサイクルも通過する必要があります。US で確認応答が連結されていないと、DS に深刻な悪影響が及ぶ可能性があります。たとえば、「ゲーマー」が DS 上のトラフィックに 512 バイトのパケットを送信するとします。US は 234 PPS に制限されていて、DS が 2 パケット/確認応答だとすると、512 × 8 × 2 × 234 = 1.9 Mbps に相当します。

Windows の TCP/IP スタック

一般に、Windows でのダウンロード レートは 2.1 〜 3 Mbps です。UNIX または Linux デバイスの場合は、TCP/IP スタックが改良されており、DS パケットの受信ごとに確認応答を送信する必要がないため、パフォーマンスが向上しています。パフォーマンス上の制約が Windows の TCP/IP ドライバ内にあるのかどうかを確認できます。確認応答のパフォーマンスに制約がある場合、このドライバ機能が低下することがよくあります。インターネット上のプロトコル アナライザを使用できます。これは、サーバに送信した TCP パケットから直接抽出されたインターネット接続パラメータを表示する設計になっているプログラムです。プロトコル アナライザは、特化された Web サーバとして機能します。それは、別の Web ページを提供するものではなく、同じページ内でのすべての要求に応答します。要求側クライアントの TCP 設定により、値が修正されます。次に、実際に分析および結果の表示を行う CGI スクリプトに制御が渡されます。プロトコル アナライザを使用すると、ダウンロードしたパケットが 1518 バイト長(DOCSIS Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット))かどうか、US 確認応答が約 160 〜 175 PPS で実行されているかどうかを確認できます。パケットがこれらのレートより低い場合は、Windows ドライバをアップデートし、UNIX や Windows NT のホストを調整してください。

レジストリの設定を変更して、Windows のホストを調整できます。最初に、MTU の値を増加できます。MTU と呼ばれるパケット サイズは、ネットワーク上の 1 つの物理フレーム内で転送可能な最大データ量を表します。イーサネットの場合は MTU は 1518 バイトで、PPPoE の場合は 1492 バイト、ダイヤルアップ接続の場合はよく 576 バイトとなります。この違いは、大きなパケットを使用している場合は、オーバーヘッドが小さく、ルーティングの決定回数が減少し、クライアントのプロトコル処理およびデバイス割り込みが減少するという事実から来ています。

各送信単位は、ヘッダーと実際のデータから構成されます。実際のデータは、送信可能な TCP データの最大セグメントを定義する、Maximum Segment Size(MSS; 最大セグメント サイズ)と呼ばれています。基本的には、MTU = MSS + TCP/IP ヘッダーとなります。したがって、各パケット内の最大有効データを反映するために、MSS を 1380 に調整する可能性があります。また、現在の MTU および MSS 設定を調整した後に、Default Receive Window(RWIN)を最適化できます。プロトコル アナライザは、この設定での最適な値を提示します。また、プロトコル アナライザを使用して、次の設定を確認できます。

  • MTU Discovery(RFC1191leavingcisco.com)= ON

  • Selective Acknowledgement(RFC2018leavingcisco.com)= ON

  • Timestamps(RFC1323leavingcisco.com)= OFF

  • TTL(Time to Live)= OK

さまざまなネットワーク プロトコルの利点は、Windows レジストリ内の異なるネットワークの設定から得られます。ケーブル モデムで最適な TCP の設定は、Windows のデフォルト設定とは異なるようです。したがって、各オペレーティング システムには、レジストリを最適化するための固有の情報があります。たとえば、Windows 98 以降のバージョンでは、TCP/IP スタックにいくつかの改善がされています。これには次が含まれます。

  • Large Window のサポート、RFC1323 leavingcisco.comで説明

  • Selective Acknowledgments(SACK)サポート

  • 高速再送信および高速リカバリのサポート

Windows 95 の WinSock 2 アップデートは、TCP Large Window およびタイム スタンプをサポートしています。つまり、オリジナルの Windows Socket をバージョン 2 にアップデートした場合、Windows 98 の推奨事項を使用できます。Windows NT での TCP/IP の処理方法は、Windows 9x とは若干異なります。Windows NT を微調整した場合、Windows 9x ほどパフォーマンスの向上が見られません。これは単に、NT がネットワークに対してより最適化が行われているためです。

しかし、Windows レジストリを変更するには、Windows のカスタマイゼーションに習熟している必要があります。レジストリの編集に自信がない場合は、レジストリに最適な値を自動的に設定できる、「使用可能な」パッチをインターネットからダウンロードする必要があります。レジストリを編集するには、Regedit(START > Run を選択し、Open フィールドで Regedit と入力)のようなエディタを使用する必要があります。

パフォーマンス改善要因

スループットの決定

データのスループットに影響する可能性がある多くの要因があります。

  • 合計ユーザ数

  • ボトルネックの速度

  • アクセスするサービス タイプ

  • キャッシュ サーバの使用状況

  • MAC レイヤの効率性

  • ケーブル プラント上のノイズとエラー

  • Windows TCP/IP ドライバ内部の制約などの、その他多くの要因

より多くのユーザが「パイプ」を共有するほど、サービスの速度はより低下します。さらに、使用中のネットワークではなく、アクセスしている Web サイトがボトルネックになっている可能性もあります。使用中のサービスについて考慮すると、時間の経過に関しては、通常の E メールと Web サーフィンは非常に非効率です。ビデオ ストリーミングが使用される場合、このサービス タイプにはより多くのタイムスロットが必要です。

プロキシ サーバを使用して、頻繁にダウンロードされるサイトをローカル エリア ネットワーク内のコンピュータにキャッシュできます。これはインターネット全体のトラフィックを軽減するのに役立ちます。

「予約と認可」は DOCSIS モデムで推奨される方式ですが、モデムごとの速度に制約があります。この方式は、ポーリングや純粋な CSMA/CD よりも、住宅での使用に対して非常に効率的です。

アクセス速度の増加

多くのシステムでは、Passive Optical Network(PON)や Fiber-To-The-Home(FTTH)に対するノードごとのホームの比率を、1000 から 500、250 へと減らしています。PON は正しく設計された場合、アクティブ状態の接続がない場合、ノードごとに 60 人まで送信できます。FTTH はいくつかの領域でテストされていますが、それは現在でもほとんどのユーザに対して非常にコスト高です。ノードごとのホームを減らしても、まだヘッドエンドのレシーバーを組み込む場合は、実際には以前より悪い状態になる可能性があります。2 台のファイバ レシーバーは 1 台の場合より悪い状態ですが、ファイバごとのホームが少ないほど、入力からのレーザー クリッピングに遭遇する可能性は低くなります。

最も明確なセグメンテーション技術として、より多くの光伝送機器を追加することが挙げられます。一部の新しい設計では、ノードごとのホームの数が 50 〜 150 HHP に減少されます。HeadEnd(HE; ヘッドエンド)に再び組み込む場合は、ノードごとのホームを減らしても効果はありません。ノードごとに 500 ホームの 2 つの光リンクが HE で組み合わされ、同じ CMTS US ポートを共有する場合、現実的には、ノードごとに 1000 ホームの光リンクが 1 つ使用された場合よりもさらに悪い可能性があります。

多くの場合、アクティブ状態が多数集中しても、光リンクはノイズの制限に効果的です。ノードごとのホームの数だけでなく、サービスのセグメント化も必要です。CMTS ポートまたはサービスごとのホームの数を減らすには、より多くのコストがかかりますが、これは特にボトルネックを軽減します。ノードごとのホームを少くする利点は、レーザークリッピングを引き起こす原因となるノイズと入力が少なくなり、後での少数の US ポートへのセグメント化が容易になることです。

DOCSIS では、DS と US 用に 2 つの変調方式、および、US パスで使用する 5 つの異なる帯域幅が指定されています。それぞれのシンボル レートは、QPSK または 16-QAM のような異なる変調方式で 0.16、0.32、0.64、1.28、および 2.56 Msymbols/s となります。これにより、使用中のリターン システムに必要とされるロバストネスに対して、必要なスループットを選択する上での柔軟性が提供されます。DOCSIS 2.0 では、柔軟性がさらに増強されています。それについては、このドキュメントの後の方で詳しく取り上げます。

周波数ホッピングの可能性もあり、これにより「非コミュニケータ」が異なる周波数に切り替える(ホップする)ことができます。ここの妥協案としては、より多くの帯域幅冗長性を割り当てる必要があり、できれば、ホップが行われる前に「他の」周波数がクリーンな状態であることが望ましいところです。一部の製造業者では、モデムに「look before you leap」機能が設定されています。

テクノロジーが発展するにつれ、より効率的に圧縮する方法やより高度なプロトコルを使用して情報を送信する方法が発見され、いずれによっても、ロバストネスは強化されるか、または帯域幅の負荷が低減されます。これには、DOCSIS 1.1 QoS プロビジョニング、Payload Header Suppression(PHS)、または DOCSIS 2.0 機能の使用が必要となる可能性があります。

ロバストネスとスループットの間には、常にトレードオフの関係があります。ネットワークから送出される速度は、通常使用する帯域幅、割り当てられるリソース、干渉に対するロバストネス、またはコストと関連しています。

チャネル幅と変調方式

前述の DOCSIS 遅延により、US スループットが 3 Mbps 前後に制約されているようにみえることになります。また、US 帯域幅を 3.2 MHz に増加したり、変調方式を 16-QAM に強化したりすると、理論的には 10.24 Mbps のスループットとなりますが、これは問題ないように見えます。チャネル帯域幅(BW)と変調方式を増強しても、1 台のモデムあたりの転送レートは顕著には増加しませんが、チャネル上でより多くのモデムが送信できるようになります。US は TDMA ベースのスロット コンテンション メディアであり、タイムスロットは CMTS によって付与される点に注意してください。チャネル帯域幅(BW)が増加すると、US bps が増加することになり、サポートできるモデム数が増加します。したがって、US チャネル帯域幅を増加させることには意味があります。また、1518 バイトのパケットでは US 上のワイヤ時間のうち 1.2 ミリ秒しかかからないため、RTT 遅延には有効であることを想起してください。

また、DS 変調を 256-QAM に変更できます。これを行うと、DS 上のスループットの合計が 40 % 増加し、US パフォーマンスのインターリーブ遅延が減少します。この変更を行う際には、システム上のすべてのモデムが一時的に接続解除されることに注意してください。

caution 注意:DS 変調方式を変更する前には、十分に注意を払ってください。システムで 256-QAM 信号をサポートできるかどうかを確認するために、DS スペクトルに対する徹底した分析を行う必要があります。そうしないと、ケーブル ネットワークのパフォーマンスが著しく低下する場合があります。

caution 注意:DS 変調方式を 256-QAM に変更するには、次のように、cable downstream modulation {64qam | 256qam} コマンドを発行します。

VXR(config)# interface cable 3/0

VXR(config-if)# cable downstream modulation 256qam

US 変調プロファイルおよびリターン パスの最適化についての詳細は、『リターン パスのアベイラビリティおよびスループットを増加させる方法』を参照してください。また、『Cisco CMTS のケーブル変調プロファイルの設定』を参照してください。Interval Usage Codes(IUC)が短いか長い場合は、デフォルトの mix プロファイルで、uw8uw16 へ変更してください。

caution 注意:チャネル幅を増加する、または US 変調方式を変更する前には、十分に注意を払ってください。16-QAM をサポートするのに適切な Carrier-to-Noise Ratio(CNR; 搬送波対雑音比)が確保される十分な帯域幅を見つけるには、スペクトル アナライザを使用して、US スペクトルに対する徹底した分析を行う必要があります。そうしないと、ケーブル ネットワーク パフォーマンスが著しく低下するか、US 全体が停止する場合があります。

caution 注意:US チャネル幅を増加するには、次のように、cable upstream channel-width コマンドを発行します。

VXR(config-if)# cable upstream 0 channel-width 3200000

拡張スペクトル管理』を参照してください。

インターリービング効果

アンプの電源と DS パス上のユーティリティ電源に由来する電気的なバースト性ノイズは、ブロック内でエラーが発生する原因となります。これは、サーマル ノイズにより発生するエラーよりも、スループットの品質に対してよくない問題を引き起こす可能性があります。バースト性エラーの影響を最小限に抑えるには、継続的にデータを展開する、インターリービングとして知られている技術が使用されます。送信側でシンボルが混合され、受信側でそれらが再構成されるため、エラーが分散するように見えます。FEC は、分散されたエラーに対しては非常に有効です。インターリービングを使用している場合、干渉の比較的長いバーストによるエラーは、FEC によって修正できる可能性があります。多くのエラーはバースト的に発生するため、エラー レートを改善するためには有効な方法です。

注:FEC インターリーブの値を増やすと、ネットワークに遅延を付加することになります。

DOCSIS では、5 段階のインターリービング(EuroDOCSIS は 1 つのみ)が指定されます。128:1 がインターリービングの最高値で、8:16 が最低値です。128:1 は、それぞれが 128 のシンボルで構成される 128 のコードワードが 1 対 1 の比率で混合されることを示しています。8:16 は、コードワードごとの列に 16 のシンボルがあり、他の 7 つのコードワードからの 16 シンボルと混合されることを示しています。

次の表は、Downstream Interleaver Delay(ダウンストリーム インターリーブ遅延)に設定できる値をマイクロ秒(μs または usecs)で示しています。

I(タップの数) J(増分) 64-QAM 256-QAM
8 16 220 150
16 8 480 330
32 4 980 680
64 2 2000 1400
128 1 4000 2800

インターリービングでは、FEC のようにオーバーヘッド ビットは付加されませんが、遅延は付加され、これにより音声とリアルタイム ビデオが影響を受ける可能性があります。また、要求と認可の RTT も増加します。RTT が増加すると、1 回おきの MAP 機会が 3 回ごとか 4 回ごとになる場合があります。これは二次的な影響で、ピーク時に US データ スループットが減少する問題の原因となります。したがって、一般的なデフォルトの 32 より低い値に設定されている場合には、US スループットを(PPS/モデムの方法で)若干向上できます。

インパルス ノイズ問題の回避策として、インターリービング値を 64 または 128 に増加できます。しかし、この値を増加すると、パフォーマンス(スループット)が低下する可能性がありますが、DS でのノイズ安定性は強化されます。つまり、いずれもプラントを適切に維持する必要があります。そうしない場合は、DS 内で修復不可能なエラー(喪失パケット)が増えて、モデムが切断されはじめたり、再送信が増えることになります。

ノイズの多い DS パスを補正するためにインターリーブ深度を増加すると、ピーク時の CM US スループットが減少することになります。通常の住宅でのケースでは、これは問題になりませんが、このトレードオフについて理解しておくことが必要です。4 ミリ秒で 128:1 の最大インターリーブ深度にした場合、US スループットに重大な悪影響を及ぼします。

注:64-QAM と 256-QAM では、遅延は異なります。

cable downstream interleave-depth {8 | 16 | 32 | 64 | 128} コマンドを発行できます。次の例では、インターリーブ深度を 8 に減らしています。

VXR(config-if)# cable downstream interleave-depth 8

caution 注意:このコマンドが実装されると、システム上のすべてのモデムの接続が解除されます。

US のノイズに対するロバストネスに関して、DOCSIS モデムでは可変または FEC なしが可能です。US FEC をオフにした場合、オーバーヘッドがいくらか取り除かれ、さらに多くのパケットを転送できますが、ノイズに対するロバストネスは損なわれます。バーストのタイプに関連付けて、さまざまな規模の FEC を置くことも有効です。実際のデータによるバーストなのか、あるいはステーション メンテナンスによるバーストなのか。データ パケットが 64 バイト構成なのか、あるいは 1518 バイト構成なのか、などによるタイプ分けがこれに該当します。大きなパケットに対しては、より厳密な保護が必要になる場合があります。また、収穫逓減のポイントがあります。たとえば、7 % から 14 % の FEC への変更では、ロバストネスが 0.5 dB しか増えない可能性があります。

現在、US にはインターリービングがありません。これは、送信がバースト性であり、バースト内にインターリービングをサポートする十分な遅延がないためです。一部の半導体メーカーでは、この機能を DOCSIS 2.0 のサポートに付加しており、家庭電化製品から発生するすべてのインパルス ノイズを考慮する場合、これが大きく影響する可能性があります。US インターリービングにより、FEC がより効率的に動作するようになります。

Dynamic MAP Advance

Dynamic MAP Advance では、MAP 内でダイナミック ルックアヘッド時間を使用することにより、モデムあたりの US スループットが著しく向上されています。Dynamic Map Advance は、特定の US ポートに関連付けられている CM のうち最も遠いものを基準にして、MAP 内のルックアヘッド時間を自動的に調整するアルゴリズムです。

MAP Advance の詳細な説明は、『ケーブル マップ アドバンス(ダイナミックまたはスタティック)』を参照してください。

Map Advance がダイナミックかどうか調べるには、show controllers cable slot/port upstream port コマンドを発行します。

Ninetail# show controllers cable 3/0 upstream 1

Cable3/0 Upstream 1 is up
 Frequency 25.008 MHz, Channel Width 1.600 MHz, QPSK Symbol Rate 1.280 Msps
 Spectrum Group is overridden
 BroadCom SNR_estimate for good packets - 28.6280 dB
 Nominal Input Power Level 0 dBmV, Tx Timing Offset 2809
 Ranging Backoff automatic (Start 0, End 3)
 Ranging Insertion Interval automatic (60 ms)
 Tx Backoff Start 0, Tx Backoff End 4
 Modulation Profile Group 1
 Concatenation is enabled
 Fragmentation is enabled
 part_id=0x3137, rev_id=0x03, rev2_id=0xFF
 nb_agc_thr=0x0000, nb_agc_nom=0x0000
 Range Load Reg Size=0x58
 Request Load Reg Size=0x0E
 Minislot Size in number of Timebase Ticks is = 8
 Minislot Size in Symbols = 64
 Bandwidth Requests = 0xE224
 Piggyback Requests = 0x2A65
 Invalid BW Requests= 0x6D
 Minislots Requested= 0x15735B
 Minislots Granted = 0x15735F
 Minislot Size in Bytes = 16
 Map Advance (Dynamic) : 2454 usecs
 UCD Count = 568189
 DES Ctrl Reg#0 = C000C043, Reg#1 = 17

前述のように、インターリーブ深度を 8 にすると、DS 遅延が少くなるため、Map-Advance をさらに減少できます。

連結とフラグメンテーション効果

DOCSIS 1.1 および現在の一部の 1.0 機器では、連結と呼ばれる新機能がサポートされています。また、DOCSIS 1.1 ではフラグメンテーションもサポートされています。連結によって、いくつかの小さな DOCSIS フレームを 1 つの大きな DOCSIS フレームに統合でき、1 つの要求としてまとめて送信できます。

要求されるバイト数は最大で 255 ミニスロットで、通常は 1 つのミニスロットあたり 8 または 16 バイトであるため、1 つの US 送信インターバルで転送できる最大バイト数は約 2040 または 4080 バイトになります。この量には、FEC と物理レイヤのオーバーヘッドがすべて含まれています。つまり、実際のイーサネット フレーミングの最大バーストはその 90 % 近くあり、フラグメント化された認可には関連しません。2 ティックのミニスロットにおいて 3.2 MHz で 16-QAM を使用する場合、ミニスロットは 16 バイトになります。このため、16 × 255 = 4080 バイト - 10 % 物理レイヤ オーバーヘッド = ~3672 バイトの制約が発生します。さらに連結するには、ミニスロットを 4 または 8 ティックに変更し、最大連結バースト設定を 8160 または 16,320 にします。

1 つの警告は、これまでに送信された最小バーストが 32 または 64 バイトであることです。そして、パケットがミニスロットに分けられる場合、この精度の粗さによってさらに丸めエラーが起こります。

フラグメンテーションが使用されない場合、最大 US バーストは、VXR シャーシ内の MC28C または MC16x カードでは 4000 バイト未満に設定する必要があります。また、VoIP を実行している場合は、DOCSIS 1.0 モデムの最大バーストを 2000 バイト未満に設定します。この理由は、1.0 モデムではフラグメンテーションが行えないためです。そして、2000 バイトは UGS フローが正しく送信するには長すぎるので、音声ジッタが発生する可能性があります。

したがって、連結は大きなパケットにはあまり役に立たない可能性もありますが、すべての短い TCP 確認応答に対しては優れたツールです。送信チャンスごとに複数のパケットを許可する場合、連結により基本的な PPS 値がその倍数で増加されます。

パケットが連結される際には、パケットが大きいほどシリアライゼーションに時間がかかり、RTT と PPS に影響します。そのため、1518 バイト パケットに対して通常は 250 PPS が得られる場合、連結時には低下を避けることはできません。ところが、結果的には、連結パケットごとの合計バイト数はより多くなっています。1518 バイト パケットを 4 つ連結できるとすると、3.2 MHz で 16-QAM を使用して送信するには、少なくとも 3.9 ミリ秒かかることになります。DS のインターリービングと処理による遅延が追加され、DS MAP は約 8 ミリ秒程度ごとだけになる可能性があります。PPS は 114 に低下しますが、現在、連結が 4 であるため、PPS は 456 と表示されます。これにより、456 × 8 × 1518 = 5.5 Mbps のスループットが得られます。「ゲーム」の例を考えてみます。この場合、連結により、1 つの要求に対して多くの US の確認応答(ack)が送られるのが許可され、DS TCP フローがより高速になります。この CM の DOCSIS コンフィギュレーション ファイルでは、最大 US バースト設定が 2000 バイトであると仮定します。そして、モデムで連結がサポートされていると仮定すると、CM は理論的には 64 バイトの確認応答(ack)を 31 連結できます。この大きなパケット全体を CM から CMTS へ送信するにはある程度時間がかかるため、PPS はそれに応じて減少します。小さなパケットで使用する 234 PPS の代わりに、より大きいパケット用の 92 PPS に近いものになります。92 PPS × 31 ack = 2852 PPS となる可能性があります。これは、512 バイト DS パケット × 8 ビット/バイト × 2 パケット/ack × 2852 ack/秒 = 23.3 Mbps に相当します。しかし、ほとんどの CM では、これよりはるかに低くレート制限されています。

US では、CM は理論的に、512 バイト × 8 ビット/バイト × 110 PPS × 3 連結パケット = 1.35 Mbps となります。これらの数は、連結なしで得られた元の数値よりもはるか向上しています。ミニスロットの丸めは、各フラグメントで丸めが発生するため、フラグメント化するとさらに悪くなります。

注:2 つのパケットの連結は行わず、3 つのパケットを連結する場合のある古い Broadcom の問題が存在していました。

連結を利用するためには、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(1)T、または 12.1(1)EC 以降が稼働している必要があります。可能であれば、Broadcom 3300 ベースの設計によるモデムを使用してみてください。CM で連結がサポートされていることを確認するには、CMTS で show cable modem detailshow cable modem mac、または show cable modem verbose コマンドを発行します。

VXR# show cable modem detail

Interface   SID  MAC address    Max CPE  Concatenation  Rx SNR
Cable6/1/U0 2    0002.fdfa.0a63    1         yes         33.26

連結をオンまたはオフにするには、[no] cable upstream n concatenation コマンドを発行します。ここで、n は US のポート番号を指定します。ケーブル インターフェイス ラインカード上の最初の US ポートに対する有効な値は 0 から始まります。

注:最大バースト サイズの設定に関する DOCSIS 1.0 および 1.1 と連結の問題についての詳細は、『最大アップストリーム バースト パラメータの履歴』を参照してください。また、変更を有効にするために、モデムをリブートする必要があることに留意してください。

1 台のモデム速度

大きいフレームを連結し、モデムごとの最高の速度を実現することが目的である場合は、8160 の最大バーストを許可するためにミニスロットを 32 バイトに変更できます。この変更の落とし穴は、それがこれまでに送られた最小パケットが 32 バイトであることを意味するということです。これは、たとえば 16 バイト長しかない要求などの小さな US パケットに対してあまり効率的でありません。要求はコンテンション領域にあるため、大きいパケットほどコリジョンの可能性が高くなります。また、パケットがミニスロットに区切られている場合、さらにミニスロットの丸めエラーも加わります。

このモデムの DOCSIS コンフィギュレーション ファイルには、最大トラフィック バーストと最大連結バースト設定が 6100 前後に指定されている必要があります。これにより、1518 バイト フレームが 4 つ連結されるようになります。また、より管理しやすい部分に分けるために、モデムではフラグメンテーションもサポートされている必要があります。次の要求は通常、ピギーバックされて最初のフラグメント内にあるため、モデムでは期待値よりもよい PPS レートが得られる可能性があります。各フラグメントに対して、CM が 1 つの長い連結パケットを送信しようとするよりも、シリアライズの方が少ない時間ですみます。

モデムごとの速度に影響を与える可能性があるいくつかの設定について、説明する必要があります。最大トラフィック バーストは 1.0 の CM で使用され、1522 に設定する必要があります。いくつかの CM では、この値を 1600 より大きくする必要があります。これは、この値に含まれるはずではない他のオーバーヘッドが含まれているためです。最大連結バーストは、フラグメント化にも対応した 1.1 のモデムも対象になるので、1 つの要求で多くのフレームを連結できますが、VoIP 上の考慮事項により、2000 バイトのパケットへのフラグメント化も可能です。最大トラフィック バーストと最大連結バーストを互いに等しく設定する必要がある場合があります。このようにしないと、一部の CM はオンラインになりません。

効果のある CMTS のコマンドの 1 つは、cable upstream n rate-limit token-bucket shaping コマンドです。このコマンドは、コンフィギュレーション ファイル設定の指示に従って、自身のポリシングを行なわない CM をポリシングするのに役立ちます。ポリシングによりパケットで遅延が発生する可能性があるため、スループットのスロットリングが疑われる場合はこれをオフにしてください。これにより、最大トラフィック バーストを最大連結バーストと同じ設定にすることに関して作業が必要になる可能性があります。そのため、さらに多くのテストでの保証が行われる場合があります。

東芝では、CM で Broadcom チップセットを使用しなかったため、連結やフラグメンテーションなしでの対応に成功しています。東芝では PCX2200 以上の CM で Libit を使用していましたが、現在は TI を使用しています。東芝ではまた、より高い PPS を実現するために、次の要求を認可の前に送信します。これは、要求がピギーバックされず、コンテンション スロットに存在するいう事実を除けば、正しく動作します。多くの CM が同じ US 上にある場合には、パフォーマンスが低下する可能性があります。

cable default-phy-burst コマンドでは、CM 登録の障害を起こさず、DOCSIS 1.0 の IOS ソフトウェアから 1.1 コードへ、CMTS がアップグレードされるようになります。通常、DOCSIS コンフィギュレーション ファイルは、最大トラフィック バーストのデフォルトが 0 またはブランクになっているため、モデムが登録時に reject(c) で失敗することになります。0 は、1.1 コード(VoIP サービス、および最大遅延、遅延、ジッタのため)では許可されない、無制限の最大バーストを意味するため、これは拒否 CoS です。cable default-phy-burst コマンドにより、0 の DOCSIS コンフィギュレーション ファイル設定が無効にされ、2 つの番号の低い方が優先されます。デフォルト設定は 2000 で、最大値は現在 8000 です。これにより、1518 バイトのフレームが 5 つ連結されるのが許可されます。オフにするには、0 に設定します。

cable default-phy-burst 0

モデムごとの速度テストに関するいくつかの推奨事項

  1. 6.4 MHz チャネルでの 64-QAM で、US 上で Advanced Time-Division Multiple Access(A-TDMA)を使用します。

  2. ミニスロット サイズ 2 を使用します。DOCSIS の制限は、バーストごとに 255 のミニスロットです。したがって、255 × 48 バイト/ミニスロット = 12240 最大バースト× 90 % = ~11,000 バイトになります。

  3. フラグメント化および連結が可能であり、全二重方式でファスト イーサネット接続を持つ CM を使用します。

  4. DOCSIS コンフィギュレーション ファイルに最小値なしで、上りと下りで最大値 20 MB を設定します。

  5. US レート制限のトークン バケット シェーピングをオフにします。

  6. cable upstream n data-backoff 3 5 コマンドを発行します。

  7. 最大トラフィック バーストと最大連結バーストを 11000 バイトに設定します。

  8. DS 上で 256-QAM と 16 インターリーブを使用します(インターリーブ 8 も試してください)。これにより、MAP に対してより少ない遅延が提供されます。

  9. cable map-advance dynamic 300 1000 コマンドを発行します。

  10. フラグメント化を正しく処理する IOS ソフトウェアリリース 15(BC2) イメージを使用し、cable upstream n fragment-force 2000 5 コマンドを発行します。

  11. UDP トラフィックを CM にプッシュして、最大値を見つけるまで増分します。

  12. TCP トラフィックをプッシュする場合、1 台の CM で複数の PC を使用します。

結果

  • Terayon TJ735 では 15.7 Mbps が提供されています。これは、優れた CPU と連結フレームごとのバイト数が少ないため、おそらく速度は良好です。それは、16 バイトのフラグメント ヘッダーおよび内部の 8200 バイトの最大バーストで、最初のフレーム対して 13 バイトの連結ヘッダーを持ち、以降は 6 バイトのヘッダーを持つようです。

  • Motorola SB5100 では、18 Mbps が提供されています。さらに、DS 上の 8 インターリーブおよび 1418 バイト パケットで 19.7 Mbps が提供されています。

  • Toshiba PCX2500 では、4000 バイトの内部最大バースト限界があるようで、8 Mbps が提供されています。

  • Ambit では Motorola と同じ結果である、18 Mbps が提供されています。

  • 他の CM トラフィックとコンテンションが発生している場合には、これらのレートの一部を低下させることができます。

  • 1.0 の CM(フラグメント化不可)の最大バーストが 2000 未満であることを確認してください。

  • US の使用率 98 % での 27.2 Mbps は、Motorola と Ambit の CM で実現されたものです。

新しいフラグメント コマンド

cable upstream n fragment-force fragment-threshold number-of-fragments

パラメータ 説明
n アップストリームのポート番号を指定。ケーブル インターフェイス ラインカード上の最初のアップストリーム ポートに対する有効な値は 0 から始まります。
fragment-threshold フラグメンテーションが開始されるバイト数。有効な範囲は 0 〜 4000 で、デフォルトは 2000 バイトです。
number-of-fragments フラグメント化された各フレームが分けられる、同じサイズのフラグメントの数。有効な範囲は 1 から 10 で、デフォルトは 3 フラグメントです。

DOCSIS 2.0 の利点

DOCSIS 2.0 では、DS への変更はありませんが、US には多数の変更が加えられています。DOCSIS 2.0 の高度な物理レイヤの仕様には、次が追加されています。

  • 8-QAM、32-QAM、および 64-QAM 変調方式

  • 6.4 MHz チャネル幅

  • 16 までの T バイトの FEC

また、モデムと US インターリービングで、プレイコライゼーションの 24 のタップが許可されます。これにより、反射、チャネル内部の傾き、グループ遅延および US のバースト性ノイズに対しするロバストネスが追加されます。また、CMTS の 24 タップのイコライゼーションは、より古い DOCSIS 1.0 のモデムに役立ちます。DOCSIS 2.0 では、A-TDMA に加えて S-CDMA の使用も追加されています。

64-QAM での大きいスペクトル効率により、既存のチャネルとさらに多くのキャパシティがより良く活用されます。これにより、より優れた PPS で US 方向により高いスループットが提供され、モデムの速度が若干速くなります。6.4 MHz で 64-QAM を使用すると、通常よりもはるかに速く CMTS に大きいパケットが送られるので、シリアル化の時間は短くなり、PPS が向上します。広いチャネルほど、優れた統計多重化が作成されます。

A-TDMA を使用して得られる理論的な US レートのピークは、およそ 27 Mbps 程度(集約)です。これは、オーバーヘッド、パケットサイズなどによって異なります。より大きい集約されたスループットへの変更によって、より多くの人に共有が許可されることに注意してください。しかし、必ずしもモデムごとの速度が追加されるわけではありません。

US の A-TDMA を実行する場合、それらのパケットは非常に速くなります。US 上での 6.4 MHz の 64-QAM では、連結されたパケットが US 上でより速くシリアル化され、PPS が向上します。A-TDMA で 2 ティックのミニスロットを使用する場合、ミニスロットごとに 48 バイトが獲得されます。これは要求ごとの最大バーストとしては、48 × 255 =12240 になります。64-QAM、6.4MHz、2 ティック ミニスロット、10,000 の最大連結バースト、および 300 の Dynamic MAP Advance の安全性では、~15 Mbps が提供されます。

現在の DOCSIS 2.0 でのシリコン実装ではすべて、入力取り消しが採用されていますが、これは DOCSIS 2.0 の一部ではありません。これは最悪のプラント障害に対してサービスをロバストにして、スペクトルの未使用部分を開き、ライフライン サービスの保険の尺度を追加します。

その他の要因

ケーブル ネットワークのパフォーマンスに直接影響を与える可能性があるその他の要因として、QoS プロファイル、ノイズ、レート制限、ノード結合、過剰使用などがあげられます。これらについての詳細は、『低速のケーブル モデム ネットワークのトラブルシューティング』で説明されています。

また、見た目には現れていない可能性がある、ケーブル モデムの制約があります。ケーブル モデムには、CPU の制約や PC への半二重イーサネット接続がある場合があります。パケット サイズおよび双方向トラフィック フローによっては、これは考慮されていないボトルネックである可能性があります。

スループットの確認

モデムが存在するインターフェイスで、show cable modem コマンドを発行します。

ubr7246-2# show cable modem cable 6/0

MAC  Address     IP Address       I/F      MAC     Prim RxPwr  Timing   Num BPI
                                          State    Sid  (db)   Offset   CPE Enb
00e0.6f1e.3246  10.200.100.132   C6/0/U0  online    8   -0.50    267     0    N
0002.8a8c.6462  10.200.100.96    C6/0/U0  online    9    0.00   2064     0    N
000b.06a0.7116 10.200.100.158 C6/0/U0 online 10  0.00   2065    0   N

モデムの機能を確認するには、show cable modem mac コマンドを発行します。これは、モデムに何ができるかを示しており、必ずしも何をしているかを表示しているわけではありません。

ubr7246-2# show cable modem mac | inc 7116

MAC Address    MAC      Prim  Ver    QoS     Frag Concat PHS Priv  DS    US
               State    Sid          Prov                          Saids Sids
000b.06a0.7116 online   10    DOC2.0 DOC1.1  yes  yes    yes BPI+  0     4

モデムの物理レイヤのアトリビュートを表示するには、show cable modem phy コマンドを発行します。この情報の一部は、CMTS で remote-query が設定されている場合のみ表示されます。

ubr7246-2# show cable modem phy

MAC Address    I/F     Sid USPwr USSNR  Timing MicroReflec DSPwr DSSNR  Mode
                           (dBmV)(dBmV) Offset (dBc)       (dBmV)(dBmV)
000b.06a0.7116 C6/0/U0 10  49.07  36.12 2065   46          0.08  41.01  atdma

モデムの現在の US 設定を確認するには、show controllers cable slot/port upstream port コマンドを発行します。

ubr7246-2# show controllers cable 6/0 upstream 0

Cable6/0 Upstream 0 is up
 Frequency 33.000 MHz, Channel Width 6.400 MHz, 64-QAM Sym Rate 5.120 Msps
 This upstream is mapped to physical port 0
 Spectrum Group is overridden
 US phy SNR_estimate for good packets - 36.1280 dB
 Nominal Input Power Level 0 dBmV, Tx Timing Offset 2066
 Ranging Backoff Start 2, Ranging Backoff End 6
 Ranging Insertion Interval automatic (312 ms)
 Tx Backoff Start 3, Tx Backoff End 5
 Modulation Profile Group 243
 Concatenation is enabled
 Fragmentation is enabled
 part_id=0x3138, rev_id=0x02, rev2_id=0x00
 nb_agc_thr=0x0000, nb_agc_nom=0x0000
 Range Load Reg Size=0x58
 Request Load Reg Size=0x0E
 Minislot Size in number of Timebase Ticks is = 2
 Minislot Size in Symbols = 64
 Bandwidth Requests = 0x7D52A
 Piggyback Requests = 0x11B568AF
 Invalid BW Requests= 0xB5D
 Minislots Requested= 0xAD46CE03
 Minislots Granted  = 0x30DE2BAA
 Minislot Size in Bytes = 48
 Map Advance (Dynamic) : 1031 usecs
 UCD Count = 729621
 ATDMA mode enabled

モデムのサービス フローを確認するには、show interface cable slot/port service-flow コマンドを発行します。

ubr7246-2# show interface cable 6/0 service-flow

Sfid  Sid   Mac Address     QoS Param Index   Type    Dir    Curr   Active
                            Prov  Adm  Act                   State  Time
18    N/A   00e0.6f1e.3246   4     4    4     prim    DS     act    12d20h
17    8     00e0.6f1e.3246   3     3    3     prim    US     act    12d20h
20    N/A   0002.8a8c.6462   4     4    4     prim    DS     act    12d20h
19    9     0002.8a8c.6462   3     3    3     prim    US     act    12d20h
22   N/A  000b.06a0.7116  4    4   4    prim   DS     act   12d20h
21   10   000b.06a0.7116  3    3   3    prim   US     act   12d20h

特定のモデムで固有のサービス フローを確認するには、show interface cable slot/port service-flow sfid verbose コマンドを発行します。これは US または DS フローの現在のスループットおよびモデムのコンフィギュレーション ファイル設定を表示します。

ubr7246-2# show interface cable 6/0 service-flow 21 verbose

Sfid                                : 21
Mac Address                             : 000b.06a0.7116
Type                                    : Primary
Direction                               : Upstream
Current State                           : Active
Current QoS Indexes [Prov, Adm, Act]    : [3, 3, 3]
Active Time                             : 12d20h
Sid                                     : 10
Traffic Priority                        : 0
Maximum Sustained rate                  : 21000000 bits/sec 
Maximum Burst                           : 11000 bytes
Minimum Reserved Rate                   : 0 bits/sec
Admitted QoS Timeout                    : 200 seconds
Active QoS Timeout                      : 0 seconds
Packets                                 : 1212466072
Bytes                                   : 1262539004
Rate Limit Delayed Grants           : 0
Rate Limit Dropped Grants           : 0
Current Throughput                  : 12296000 bits/sec, 1084 packets/sec
Classifiers                             : NONE

遅延またはドロップされたパケットが存在しないことを確認してください。

修正不可能な FEC エラーがないことを確認するには、show cable hop コマンドを発行します。

ubr7246-2# show cable hop cable 6/0

Upstream    Port       Poll Missed Min    Missed Hop   Hop    Corr   Uncorr
Port        Status     Rate Poll   Poll   Poll   Thres Period FEC    FEC
                       (ms) Count  Sample Pcnt   Pcnt  (sec)  Errors  Errors
Cable6/0/U0 33.000 Mhz 1000 * * *set to fixed frequency * * *  0      0
Cable6/0/U1 admindown  1000 * * *   frequency not set   * * *  0       0
Cable6/0/U2 10.000 Mhz 1000 * * *set to fixed frequency * * *  0       0
Cable6/0/U3 admindown  1000 * * *   frequency not set   * * *  0       0

モデムがパケットをドロップしている場合は、物理プラントはスループットに影響を及ぼしているため修正を行う必要があります。

要約

このドキュメントの前のセクションでは、他の機能の影響について理解していない状態で、コンテキストからパフォーマンス番号を取り出す場合の欠点に焦点を当てています。特定のパフォーマンス メトリックを実現するか、またはネットワーク上の問題を解決するためにシステムを最適化できる一方で、別の変数が犠牲になります。MAPs/s およびインターリーブ値を変更すると、US レートが向上する可能性がありますが、DS レートまたはロバストネスが犠牲になります。MAP インターバルの減少させると、実際のネットワークに大きな違いは生じませんが、CMTS と CM 両方での CPU と帯域幅のオーバーヘッドが増加します。より多くの US FEC を組み込むと、US のオーバーヘッドが増加します。スループット、複雑度、ロバストネスおよびコスト間には、トレードオフと妥協の関係が常にあります。

アドミッション コントロールが US で使用される場合、割り当ての合計が使い果されると一部のモデムが登録されません。たとえば、使用する US の合計が 2.56 Mbps で最小保証が 128 k に設定されている場合、アドミッション コントロールが 100 % に設定されていると、モデムを 20 台だけその US に登録できます。

結論

期待されるスループットの値を把握し、加入者のデータ速度とパフォーマンスを判別する必要があります。理論的に可能な値を決定したら、急速に変化するケーブル システムの要件を満たすために、ネットワークを設計して管理できます。それから、実際のトラフィック負荷を監視して、転送されているトラフィックを判断し、ボトルネックを軽減するために必要なキャパシティを追加する時期を判断する必要があります。

サービスおよびアベイラビリティの認識は、ネットワークが正しく展開されて、管理されている場合は、ケーブル事業の機会を差別化するキーになる可能性があります。ケーブル配信会社が複数のサービスへ移行するにつれて、サービスの完全性に対する加入者の期待は、レガシー音声サービスによって確立されたモデルに近づきます。この変更によって、ネットワークが確実にこの新しいパラダイムに合うように、ケーブル配信会社は新しいアプローチと戦略を導入する必要があります。我々が単にエンターテイメント プロバイダーではなく、テレコミュニケーション業界である今、さらに大きな期待や要件が存在します。

DOCSIS 1.1 には、VoIP など高度なサービスの品質レベルを保証するための仕様が含まれますが、この仕様に準拠するサービスを展開するのは容易なことではありません。このためには、CATV 事業者は問題の全体を把握している必要があります。システム コンポーネントとネットワーク戦略の選択に対する包括的なアプローチの案出は、真のサービス統合性の展開を実現するためには必要不可欠です。

最終的な目標は、現在の加入者に対するサービスを低下させることなく、加入者の数を増やすことにあります。加入者ごとに最小のスループットを保証する Service Level Agreements(SLA; サービス レベル契約)がある場合、この保証をサポートするインフラストラクチャを構築する必要があります。また業界では、商用カスタマーに対するサービスと音声サービスの追加も注目されています。このような新しいマーケットに対応し、ネットワークが構築されるにつれて、ポート数のより多い密集した CMTS や、遠距離での分散された CMTS、またはその中間(たとえば、家庭への 10baseF の導入)など、新しいアプローチが必要になります。

将来の展開にかかわらず、ネットワークがより複雑になり、技術的に困難な問題が発生してくることは確実です。また、ケーブル業界では、状況にあった方法で最高レベルのサービス統合性を実現するアーキテクチャやサポート プログラムを採用した企業だけが、この難問を解決できます。


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