LAN スイッチング : バーチャル LAN/VLAN トランキング プロトコル(VLAN/VTP)

スイッチ間リンクと IEEE 802.1Q のフレーム形式

2006 年 8 月 25 日 - ライター翻訳版
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目次

概要
前提条件
      要件
      使用するコンポーネント
      表記法
      背景理論
ISL フレーム
      フィールドの説明
      フレーム サイズ
IEEE 802.1Q フレーム
      フィールドの説明
      フレーム サイズ
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関連情報

概要

このドキュメントでは、Inter-Switch Link(ISL; スイッチ間リンク)および IEEE 802.1Q カプセル化のフレーム フィールドの基本情報と概要を説明します。

前提条件

要件

VLAN およびトランキングに関する知識があることが推奨されます。

使用するコンポーネント

このドキュメントは、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。 トランキング機能は、使用されるハードウェアに依存します。 Cisco Catalyst シリーズ スイッチでトランキングを実装するためのシステム要件の詳細については、『トランキングを実装するためのシステム要件』を参照してください。

表記法

ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。

背景理論

トランクは、複数の VLAN に属するトラフィックを同じリンク上のデバイス間で搬送するために使用されます。 デバイスでは、VLAN 識別子により、トラフィックがどの VLAN に属するかを判別できます。 VLAN 識別子は、データとともにカプセル化されるタグです。 ISL と 802.1Q は、トランク リンクを介した複数の VLAN からのデータ搬送に使用される 2 つのタイプのカプセル化です。

ISL は、複数のスイッチを相互接続し、スイッチ間をトラフィックが流れる際に VLAN 情報を維持するための、Cisco 独自のプロトコルです。 ISL では、全二重または半二重モードのイーサネット リンクでフル ワイヤ スピードのパフォーマンスを維持しながら、VLAN トランキング機能を提供します。 ISL はポイントツーポイント環境で動作し、最大 1000 の VLAN をサポートできます。 ISL では、フレームがトランク リンクを介して伝送される前に元のフレームがカプセル化され、追加のヘッダーが付加されます。 受信側では、このヘッダーが除去され、割り当てられた VLAN にフレームが転送されます。 ISL では、Per VLAN Spanning Tree(PVST; VLAN 単位スパンニングツリー)が使用されますが、ここでは VLAN ごとに Spanning Tree Protocol(STP; スパンニング ツリー プロトコル)の 1 つのインスタンスが実行されます。 PVST により、各 VLAN のルート スイッチの配置を最適化することができ、また複数のトランク リンクでの VLAN のロード バランシングがサポートされます。

802.1Q はトランク上でフレームをタグ付けするための IEEE 標準で、最大 4096 の VLAN がサポートされます。 802.1Q では、トランク リンクを介してフレームを送信する前に、トランキング デバイスによって元のフレームに 4 バイトのタグが挿入され、Frame Check Sequence(FCS)が再計算されます。 受信側では、このタグが除去され、割り当てられた VLAN にフレームが転送されます。 802.1Q では、ネイティブ VLAN 上のフレームへのタグ付けは行われません。 トランク上で送受信されるその他すべてのフレームには、タグ付けが行われます。 802.1Q トランクを設定する際には、トランクの両側で同じネイティブ VLAN を設定するようにしてください。 IEEE 802.1Q では、ネットワーク内のすべての VLAN に対して、ネイティブ VLAN 上で動作するスパニング ツリーの単一インスタンスが定義されます。 これは Mono Spanning Tree(MST; モノ スパニングツリー)と呼ばれます。 MST には、ISL で使用できる PVST の柔軟性とロード バランシング機能がありません。 ただし、PVST+ では、802.1Q トランキングを使用した複数のスパニングツリー トポロジを保持する機能が提供されます。

802.1Q カプセル化の詳細については、『Cisco CatOS システム ソフトウェアと 802.1Q カプセル化を使用した Catalyst 4500/4000、5500/5000、および 6500/6000 シリーズ スイッチ間でのトランキング』の「802.1Q トランキングの基本的な特性」のセクションを参照してください。

Cisco スイッチでの ISL/802.1Q カプセル化の設定については、『VLAN トランキング プロトコルの設定例とテクニカル ノーツ』を参照してください。

ISL フレーム

ISL フレームは 3 つの主要なフィールドから構成されます。カプセル化フレーム(元のフレーム)、これをカプセル化する ISL ヘッダー、および末尾の FCS です。

ISL フレームのフィールド

ISL ヘッダー

カプセル化フレーム

FCS


次の例では、ISL ヘッダーの詳細な展開を示しています。 この展開には、フィールドの略称と各フィールドのビット数が記されています。

ISL ヘッダーの詳細

ビット数

40

4

4

48

16

24

24

フレーム フィールド

DA

TYPE

USER

SA

LEN

AAAA03(SNAP)

HSA

ISL ヘッダーの詳細

ビット数

15

1

16

16

8〜196,600 ビット(1〜24,575 バイト)

32

フレーム フィールド

VLAN

BPDU

INDEX

RES

ENCAP FRAME

FCS


フィールドの説明

このセクションでは、ISL フレームのフィールドの詳細を説明します。

DA — 宛先アドレス

ISL パケットの DA フィールドは 40 ビットの宛先アドレスです。 このアドレスはマルチキャスト アドレスで、「0x01-00-0C-00-00」または「0x03-00-0c-00-00」に設定されています。 DA フィールドの最初の 40 ビットにより、パケットが ISL フォーマットであることが受信側に伝わります。

TYPE — フレームのタイプ

TYPE フィールドは 4 ビット コードで構成されます。 TYPE フィールドは、カプセル化されたフレームのタイプを示します。将来は代替のカプセル化を示すためにも使用される可能性があります。 次の表に、各種の TYPE コードの定義を示します。

TYPE コード 意味

0000

イーサネット

0001

トークン リング

0010

FDDI

0011

ATM

USER — ユーザ定義のビット(TYPE の拡張)

USER フィールドは 4 ビット コードで構成されます。 USER ビットは TYPE フィールドの意味を拡張するために使用されます。 USER フィールドのデフォルトの値は「0000」です。 イーサネット フレームの場合、USER フィールドのビット「0」および「1」はパケットがスイッチを通過する際の優先順位を示します。 トラフィックをより迅速に転送できる方法がある場合、このビットが設定されたパケットは必ずその迅速なパスを利用します。 必ずしもそのようなパスが提供される必要はありません。

USER コード 意味

XX00

通常の優先順位

XX01

優先順位 1

XX10

優先順位 2

XX11

最高の優先順位

SA — 送信元アドレス

SA フィールドは ISL パケットの送信元アドレス フィールドです。 このフィールドは、フレームを送信するスイッチ ポートの「802.3」MAC アドレスに設定されます。 これは 48 ビット値です。 受信側デバイスでは、フレームの SA フィールドが無視される場合があります。

LEN — 長さ

LEN フィールドには、元のパケットの実際のパケット サイズが 16 ビット値で格納されます。 LEN フィールドでは、DA、TYPE、USER、SA、LEN、および FCS フィールドを除いたパケットの長さがバイトで表されます。 除外されるフィールドの長さの合計は 18 バイトです。したがって、LEN フィールドは全体の長さから 18 バイトを引いた値を示します。

AAAA03(SNAP)— Subnetwork Access Protocol(SNAP; サブネットワーク アクセス プロトコル)および Logical Link Control(LLC; 論理リンク制御)

AAAA03 SNAP フィールドは 24 ビットの定数値「0xAAAA03」です。

HSA — 送信元アドレスの上位ビット

HSA フィールドは 24 ビット値です。 このフィールドは、SA フィールドの上位 3 バイト(製造者 ID 部分)を表します。 このフィールドには値「0x00-00-0C」が含まれている必要があります。

VLAN — 宛先 Virtual LAN(VLAN; 仮想 LAN)ID

VLAN フィールドはパケットの VLAN ID です。 このフィールドは 15 ビット値で、異なる VLAN でフレームを識別するために使用されます。 通常、このフィールドはフレームの「カラー」と呼ばれます。

BPDU — Bridge Protocol Data Unit(BPDU; ブリッジ プロトコル データ ユニット)および Cisco Discovery Protocol(CDP)インジケータ

BPDU フィールドのビットは、ISL フレームによってカプセル化されるすべての BPDU パケットに対して設定されます。 これらの BPDU は、スパニングツリー アルゴリズムでネットワークのトポロジに関する情報を判別するために使用されます。 このビットは、カプセル化される CDP フレームおよび VLAN Trunk Protocol(VTP)フレームに対しても設定されます。

INDX — インデックス

INDX フィールドは、パケットがスイッチから出るときの送信元のポート インデックスを示します。 このフィールドは診断目的でのみ使用されます。また、他のデバイスによって任意の値に設定される可能性があります。 このフィールドは 16 ビット値で、受信されたパケット内で無視されます。

RES — トークン リングおよび FDDI 用に予約済み

RES フィールドは 16 ビット値です。 このフィールドは、ISL フレームによってトークン リングまたは FDDI パケットがカプセル化されるときに使用されます。 トークン リング フレームの場合は、ここに Access Control(AC)および Frame Control(FC)フィールドが配置されます。 FDDI の場合は、このフィールドの Least Significant Byte(LSB; 最下位バイト)に FC フィールドが配置されます。 たとえば、FC が「0x12」の場合、RES フィールドは「0x0012」になります。 イーサネット パケットの場合、RES フィールドはすべて 0 に設定されます。

ENCAP FRAME — カプセル化フレーム

ENCAP FRAME フィールドは、まったく変更されていない状態の、カプセル化されたデータ パケットです。このフィールドには、データ パケット自体の Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長チェック)値も含まれます。 ISL カプセル化のフィールドが除去された後、内部フレームの CRC 値は有効である必要があります。 このフィールドの長さは、イーサネット、トークン リング、および FDDI のフレームを収容するために、1〜24,575 バイトになります。 受信側スイッチは、フレームを受信した際に、(スイッチングの目的で、受信したフレームに適切な VLAN およびその他の値を指示どおり関連付けるために)ISL カプセル化フィールドを除去してこの ENCAP FRAME フィールドを使用できます。

FCS — フレーム チェック シーケンス

FCS フィールドは 4 バイトで構成されます。 このシーケンスには、32 ビットの CRC 値が含まれます。CRC 値は、送信側 MAC によって作成され、フレームの破損をチェックするために受信側 MAC によって再計算されます。 FCS は、DA、SA、Length/Type、および Data フィールドを元に生成されます。 ISL ヘッダーが付加されると、ISL パケット全体に対して新しい FCS が計算され、フレームの末尾に追加されます。

注:新しい FCS フィールドが追加されても、カプセル化されたフレーム内に含まれる元の FCS は変更されません。

フレーム サイズ

ISL フレーム カプセル化は 30 バイトで、FDDI パケットの最小サイズは 17 バイトです。 したがって、FDDI の ISL カプセル化パケットの最小サイズは 47 バイトになります。 トークン リング パケットの最大サイズは 18,000 バイトです。 したがって、ISL パケットの最大サイズは、この 18,000 バイトに ISL ヘッダーの 30 バイトを足し、18,030 バイトになります。 イーサネット パケットのみがカプセル化される場合、ISL フレームのサイズは 94〜1548 バイトになります。

ISL カプセル化を使用するシステムに関して最も考慮すべき点は、カプセル化に合計 30 バイトが必要で、さらにフラグメンテーションが必要とされない点です。 したがって、カプセル化されるパケットが 1518 バイトであれば、ISL パケットはイーサネットの場合 1548 バイトになります。 また、イーサネット パケット以外のパケットがカプセル化される場合は、最大長が大幅に増加する可能性があります。 トポロジが ISL パケットのサイズをサポートできるかどうかを検討する際は、この長さの変化を考慮する必要があります。

システムに関してもう 1 つ考慮すべき点は、ISL パケットに 2 つの FCS が含まれる点です。 第一の FCS は元のデータに対して計算されます。 第二の FCS はパケットが ISL 内でカプセル化された後に計算されます。 元のデータに有効な CRC が含まれない場合、ISL ヘッダーが除去されるまで無効な CRC は検出されず、また元のデータの FCS はエンド デバイスによりチェックされます。 これはスイッチング ハードウェアでは通常問題になりませんが、ルータおよび Network Interface Card(NIC; ネットワーク インターフェイス カード)では問題になる可能性があります。

IEEE 802.1Q フレーム

IEEE 802.1Q では内部タギング メカニズムが使用されます。このメカニズムにより、元のイーサネット フレームそれ自体に対して、発信元アドレス フィールドとタイプ/長さフィールドの間に 4 バイトのタグ フィールドが挿入されます。 フレームが変更されているため、トランキング デバイスでは変更されたフレームに対して FCS が再計算されます。

741_4-1.gif

タグ フィールドの挿入

タグ フィールド

DA

SA

TAG

TYPE/LEN

DATA

FCS


次の例では、Tag フィールドの詳細な展開を示しています。 この展開には、フィールドの略称と各フィールドのビット数が記されています。

Tag フィールドの詳細

ビット数

16

3

1

12

フレーム フィールド

TPID

PRIORITY

CFI

VID


フィールドの説明

このセクションでは、802.1Q フレームのフィールドの詳細を説明します。

TPID — Tag Protocol Identifier(タグ プロトコル識別子)

Tag Protocol Identifier は 16 ビット フィールドです。 フレームを IEEE 802.1Q タグ付けフレームとして識別するために、値「0x8100」に設定されています。

Priority(優先順位)

ユーザ優先順位とも呼ばれ、この 3 ビットのフィールドは IEEE 802.1p の優先順位を指します。 このフィールドは、トラフィックの優先順位設定に使用可能な、フレームの優先順位レベルを示します。 このフィールドは 8 つのレベル(0 〜 7)を表すことができます。

CFI — Canonical Format Indicator(フォーマット形式表示)

Canonical Format Indicator は 1 ビット フィールドです。 このフィールドの値が 1 である場合、MAC アドレスは非標準形式です。 値が 0 である場合、MAC アドレスは標準形式です。

VID — VLAN Identifier(VLAN 識別子)

VLAN Identifier は 12 ビット フィールドです。 これにより、フレームが所属する VLAN が一意に識別されます。 このフィールドは、0 〜 4095 の値を取ることができます。

フレーム サイズ

802.1Q タグは 4 バイトです。 したがって、結果として生ずるイーサネット フレームは 1522 バイトのサイズまで可能です。 802.1Q タギングが付いたイーサネット フレームの最小サイズは 68 バイトになります。


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