音声 : IP テレフォニー/Voice over IP(VoIP)

アナログ音声ポートに最適なインピーダンス設定の選択

2006 年 7 月 31 日 - ライター翻訳版
その他のバージョン: PDFpdf | 機械翻訳版 (2013 年 8 月 21 日) | 英語版 (2006 年 10 月 11 日) | フィードバック

目次

概要
前提条件
      要件
      使用するコンポーネント
      表記法
問題の説明
最適なインピーダンス設定を判別する手法
      Original Tone Sweep 方式
      THL Tone Sweep 方式
追加の注記
シスコのテクニカルサポートへの連絡
関連するシスコ サポート コミュニティ ディスカッション
関連情報

概要

このドキュメントでは、アナログ Foreign Exchange Office(FXO)、Foreign Exchange Station(FXS)、Direct Inward Dialing(DID)の音声ポートに最適なインピーダンス設定を判別するためのテスト方法を紹介しています。 音声ポートは、構内交換機(PBX)、電話会社(telco)、あるいは、セントラル オフィス(CO)などの音声交換機に接続されます。 音声ポートへの適切なインピーダンス設定により、エコー キャンセレーション(ECAN)のパフォーマンスを改善できます。 さらに、トランクでの音声品質の問題を緩和できます。

前提条件

要件

このドキュメントの読者は、音声シグナリングに関する基礎知識が必要です。 音声シグナリング技法に関する詳細情報については、『ボイスネットワークの信号方式と制御』を参照してください。

音声インターフェイス カード(VIC)について、さらに調べるには、次のドキュメントを参照してください。

このドキュメントでは、動作可能な音声ルータ設定が備わっていて、発着信のコール シナリオが期待どおりに機能していることを想定しています。 このドキュメントは、すでに動作しているアナログ音声ルータの設定を前提としています。 このドキュメントの手順により、アナログ音声ポートを調整して、電話会社の回線に適合する最適なインピーダンスに設定します。

使用するコンポーネント

このドキュメントで説明されているテスト機能は、Cisco IOS(R) ソフトウェア リリース 12.3(11)T 以降でサポートされています。 このドキュメントでは、相互に関連する 2 つの異なったテスト機能を説明しています。 このため、必要な場合に限り、特定の Cisco IOS ソフトウェア リリースに言及しています。

次の音声ルータ ハードウェアがサポートされています。

  • Cisco 1751、1760、2600XM、2691、2800、3640、3660、3700、3800、IAD2430、および、VG224 プラットフォーム ファミリ

  • これらのプラットフォームでサポートされるアナログ FXO、FXS、DID カード

このドキュメントで特定のハードウェア部品を指定している箇所では、使用可能なソフトウェア バージョンは、指定のハードウェアをサポートしているものになります。 アナログ FXO、FXS、および DID の音声製品に関するハードウェアとソフトウェアの互換性マトリクスに関しては、次のドキュメントを参照してください。

このドキュメントの情報は、次の FXO、FXS、DID のハードウェアのバージョンに基づくものです。

このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスを使用して作成されたものです。このドキュメント内で使用されているデバイスはすべて、クリアな設定(デフォルト)から作業を始めています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、すべてのコマンドによる潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。

表記法

ドキュメントの表記法の詳細については、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。

問題の説明

技術的な説明用としてこのセクションで示された VoIP のネットワーク トポロジを想定してください。 このダイアグラムは、公衆電話交換網(PSTN; Public Switched Telephone Network)への FXO インターフェイスを示しています。 通常、音声品質の問題は、ゲートウェイでアナログ FXO インターフェイスに関して発生します。 この問題は、ハイブリッドと組み合わせた場合の、ケーブル設備の差異に起因することがよくあります。 ハイブリッドでは、2 線から 4 線への変換が実行されます。 ポートは長距離トランク インターフェイスでもあるので、音声ポートは PSTN に対する DID のインターフェイスにもなります。 ところが、長距離アナログ音声のフィールド インストレーションでは、FXO インターフェイスには、より大きな影響があります。 一方、FXS のインターフェイスでは、通常、受容できる QoS が維持されています。 FXS のインターフェイスは、FXO のインターフェイスで一般的な数マイルにおよぶ電話会社の配線ではなく、通常は、近距離の構内配線に接続されています。

impedance_choice1.gif

音声ルータのインストールと設定が済むと、ユーザは、従来型の時分割多重(TDM)音声ネットワークで経験するのとは異なる、音声品質上の挙動に気が付く場合があります。 オーディオ問題のレポートには、クリック ノイズ、ヒス、音量レベルの問題、音声の途切れ、片方向音声や両方向ともの無音声、あるいは、エコーが含まれる場合があります。 音声交換機へのデジタル音声ポート接続やアナログ音声ポート接続が採用されている音声ルータで、これらの問題が発生する可能性があります。 ところが、実際には、ユーザからの苦情がより多く寄せられるのは、アナログ音声ポート接続に関してです。 ほとんどの状況では、これらの問題の発生源と、それに続くパケット音声ネットワークの調整を適切に理解すると、オーディオ音声品質の問題を解消できます。 データ トラフィックに対して、音声パケットを優先させることが可能です。 クロッキングの不一致の解消や軽減が可能です。 シグナル レベルの調整が可能です。 さらに、アナログ音声ポートの場合は、電話会社の回線条件にインピーダンスを正しく適合させると、エコーがかなり軽減され、その他の問題も緩和できます。

次の図では、ユーザが経験する全体的な音声品質に影響する、いくつかの Cisco FXO 音声ポートの動作に焦点を当てています。 このシナリオのコールは、シスコの音声ルータと PSTN 通話者間の VoIP コールです。 次の要素が音声品質に影響します。

  • VIC のアナログ フロント エンドのパフォーマンス

    Trans Hybrid Loss(THL)と受信パス損失が重要なパラメータです。 パフォーマンスは、VIC テクノロジー、ポートのインピーダンス設定、ケーブル設備、さらに場合によっては CO 回線によって異なります。

  • 入力ゲイン出力減衰、および、ポートのインピーダンス設定

  • キャンセレーション パフォーマンス、ダブルトーク検出パフォーマンス、および、ノンリニア プロセッサ(NLP)アルゴリズムを含むエコー キャンセラ

  • CO で提供される送信レベル

対象となる各分野の詳細な説明については、このドキュメントでは扱いません。 しかしながら、シスコの FXO 音声ポートと PSTN の間のインタフェースにおいて、ケーブル設備が(PSTN が示すようにチャンネル整合が行われる)インピーダンスであることに注意してください

impedance_choice2.gif

シスコの FXO のインターフェイスに接続されたケーブル設備は、一次的にはケーブル長とケーブル ゲージの関数であるインピーダンスを示しています。 インピーダンスに影響するケーブル設備の二次的な複数の要素がありますが、これらの要素は、このドキュメントでは対象としていません。 これらの要素には、ケーブルの絶縁素材、温度、捩りピッチ、混合ゲージ線、ブリッジ タップ、CO 終端インピーダンス、音声周波数リピータ、ローディング コイルがあります。

RJ-11 チップアンドリング コンダクタ ペアは、CO とシスコの音声ルータ上の音声ポート間の、非常に簡単な伝送ラインです。 伝送ラインの全長に合わせて、分散抵抗、分散キャパシタンス、および分散インダクタンスのモデルがあります。 最後に、シスコの音声ルータ上の音声ポートの観点からは、実際の抵抗 R に、周波数に依存する複雑な値のリアクタンス X を合算したものからなるインピーダンス Z としてモデル化できるインターフェイスに合わせることになります。

Z(f) = R+j X(f) = √( R 2+X 2(f) ) e j arctan( X ( f ) / R )

注:  f はヘルツでの周波数を表します。

X(f) は、回線のキャパシタンスとインダクタンスに依存しており、周波数 f の関数です。他の周波数は、音声帯域コールの各スペクトル コンポーネントに異なった作用があります。 Z(f) が多様であるために、シグナル強度の変化やフェーズに、この差異が発生します。

音声ポートのインピーダンス設定 Z' を集約伝送回線のインピーダンス Z に一致させられます。一致の良好度を示すリフレクション パラメータ Rf は、次の式で計算します。

Rf = ( ZZ' ) / (Z + Z' )

一致の度合いが高まるほど、|Rf| の大きさはゼロに向かって小さくなる傾向があります。 一致が良好になると、どのシグナル方向でも、シグナルの反射が少なくなります。 完全に一致した場合、反射シグナルは皆無になります。すべての周波数 f でこれを達成するのはほとんど不可能で、常にいくらかの不一致は存在します。 このため、スピーチ エネルギーのいくらかの反射は、常に存在し、これによりエコーが発生する可能性があります。シスコのアナログ FXO 実装では、インピーダンス設定の選択肢は有限です。 電話会社の回線のインピーダンスに完全に一致する設定は期待できません。 しかしながら、最適なインピーダンス一致を提供する設定がある可能性はあります。 この設定では最適なハイブリッドのパフォーマンスが提供されます。最適一致とは、次のパラメータの両方を提供する設定です。

  • 最高値の THL により、ハイブリッドのエコーが最小になります。

  • 最小の受信損失により、最高の受信レベルが得られます。

また、ハイブリッドのパフォーマンス結果が、混じり合っているか、ほとんど同じ場合は、最適一致判別できません。 この状況では、リスニング テストと音声品質の比較を使用して、シスコの FXO インターフェイスのインピーダンス設定を選択できます。

伝送ライン理論の詳細は、『Understanding the Transmission Line Theoryleavingcisco.comを参照してください。

ほとんどの場合、経験主義によるテストでは、シスコの音声ポートの最適一致のインピーダンス設定は判別できません。 次のように、シスコのアナログ FXO、FXS、および DID の音声ポートでは、多様な『インピーダンス』設定が利用できます。

FXO/DID アナログ音声ポート impedance オプション(Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.4(1)) FXS アナログ音声ポート impedance オプション(Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.4(1))
  Router(config)# voice-port 0/1/0
  Router(config-voiceport)# impedance ?
  600c      600 Ohms complex
  600r      600 Ohms real
  900c      900 Ohms complex
  900r      900 ohms real
  complex1  220 ohms + (820 ohms || 115nF)
  complex2  270 ohms + (750 ohms || 150nF)
  complex3  370 ohms + (620 ohms || 310nF)
  complex4  600r, line = 270 ohms + (750 ohms || 150nF)
  complex5  320 + (1050 || 230 nF), line = 12Kft
  complex6  600r, line = 350 + (1000 || 210nF)
  
  Router(config-voiceport)# impedance
  
  Router(config)# voice-port 1/0/0
  Router(config-voiceport)# impedance ?
  600c      600 Ohms complex
  600r      600 Ohms real
  900c      900 Ohms complex
  900r      900 ohms real
  complex1  220 ohms + (820 ohms || 115nF)
  complex2  270 ohms + (750 ohms || 150nF)
  complex3  370 ohms + (620 ohms || 310nF)
  complex4  600r, line = 270 ohms + (750 ohms || 150nF))
  complex5  320 + (1050 || 230 nF), line = 12Kft
  complex6  600r, line = 350 + (1000 || 210nF)
  
  Router(config-voiceport)# impedance
  

シスコのアナログ FXO、FXS、および DID の音声ポートで利用可能な impedance 値には、600r600c900ccomplex1complex2complex3complex4complex5、および、complex6 があります。 これらの値の 1 つを設定する際には、電話会社の回線にできるだけ近いものに合わせるようにしてください。 次のいずれかを選択します。

  • 完全にレジスティブな設定

  • 主としてレジスティブなインピーダンス

  • 主としてリアクティブなインピーダンス

回線上の反射を削減するために、最も効果があると思われるものを選択します。

impedance オプションの complex4complex6 は、EIA RS-464 標準で提案される折衷ネットワークです。 これらのネットワークでは、600 Ωの出力インピーダンスの広範囲な電話会社のループ長に対して、十分に安定したパフォーマンス特性があります。 impedance オプションの complex5 は、3.66 km(12,000 フィート)の 26 American Wire Gauge(AWG)配線に最適化された設定です。 complex5 オプションでは、より回線に近い出力インピーダンスに変更されます。

一般的なガイドラインとして、次の推奨値を使用してください。

  • 0 〜 1.5 km(0 〜 5,000 フィート) — 600r、あるいは、音声ポートのインピーダンス設定を、ピア機器のインピーダンス仕様に一致させます。

    たとえば、北米地域では、CO や PBX のアナログ トランク ポートの通常のインピーダンス値は 600r です。 ところが、世界の他の地域では、インピーダンス値が 900c である場合があります。

  • 1.5 〜 3 km(5,000 〜 10,000 フィート)— complex4 を使用します。

  • 3 〜 4.6 km(10,000 〜 15,000 フィート)— complex5 または complex6 のいずれかを使用します。

complex4complex6 設定では、complex5 よりも、パワー伝送損失がわずかに少なくなります。考慮すべきシグナルレベルの問題がある場合は、complex5 よりも complex6 設定を選択してください。

最適なインピーダンス設定を判別する手法

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(11)T では、アナログ音声ポートへの最適一致のインピーダンス設定の確定に役立てるために、系統的に適用できるツールが導入されています。 Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(11)T よりも前のリリースでは、通常、インピーダンス設定の選択値は、経験主義によるテストで決定されていました。 このような経験主義によるテストでは、試行錯誤手法が取られており、効果的ではなく、不安定なものでした。 エンド ユーザとシスコのテクニカルサポートのエンジニアは、通常、コンファレンス ブリッジでテストを実施していました。 作業は、メンテナンスの時間帯に行われ、数時間に及ぶこともありました。 Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(11)T 以降でサポートされた新しいテスト ツールを使用すると、エンド ユーザでは、この音声ポートのインピーダンス調整を、短時間で、他に依存せずに行えます。 エンド ユーザで、シスコのテクニカルサポートの介入が必要となるのは、問題が発生した場合だけです。 このドキュメントで説明する 2 つのテスト ツールは、次のものです。

テスト機能 プラットフォーム 使用可能な Cisco IOS ソフトウェア

Original Tone Sweep — 手動インピーダンス変更

  test voice port X/Y/Z inject-tone
 
   local sweep 200 0 0

注:このコマンドは、1 行にする必要があります。

1751、1760、2600XM、2691、2800、3640、3660、3700、3800、IAD2430、VG224

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(11)T、12.3(14)T、12.4(1)

THL Tone Sweep — 自動インピーダンス変更

  test voice port X/Y/Z thl-sweep verbose
  

1751, 1760 (*)

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(14)T6、12.4(3b)、12.4(5a)、12.4(7)、12.4(2)T3、12.4(4)T1、12.4(6)T

2600XM、2691、2800、3640、3660、3700、3800

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(11)T6、12.3(14)T3、12.4(1)

IAD2430、VG224

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.4(7)、12.4(6)T


(*)Cisco 1751 および 1760 音声プラットフォームの THL Tone Sweep 機能のサポートに関する重要な注意は、このドキュメントの「追加の注記」セクションを参照してください。

どちらのテスト方式にも、IP ネットワークの通話者と他の通話者間での、アナログ FXO、FXS、または DID の音声ポート経由でのテスト コールの発信が含まれています。 このテストでは、アナログ ポートを介して、既知のシグナル強度と周波数のテスト トーンが注入されます。 次に、このテストでは、エコー リターン ロス(ERL)と周波数のチャネル プロファイルを提供するために、リターン シグナルが検査され、ERL が一覧されます。 どの周波数においても、ERL 値が高いほど良好です。 チャネル プロファイルには、低周波数で、音声帯域全体に渡って、良好な ERL レベルが示されるはずです。 ERL レベルは、周波数が高くなるに従って、漸減し始めます。 このテストを、利用可能な各インピーダンス設定について実行します。 このテストでは、音声ポートと電話会社の回線に対する最適一致のインピーダンスのように、最適なチャネル プロファイルを提供する設定が選択されます。  どちらのテスト機能でも、チャネル プロファイルの適性を示す値は、1 つのインピーダンス設定について、テストされた全周波数に渡る ERL の相加平均です。この式は、次のようになります。

ERLavg = (ERL1 + ERL2 + … + ERLN ) / N

注:ERLi は、i 番目の周波数で計測された ERL を示しています。 N はテストされた周波数の総数です。

音声ポートでの最適一致インピーダンスとは、ERLavg の最高値をもたらすインピーダンス設定です。

Original Tone Sweep 方式

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(11)T には、最適一致インピーダンスを判別する Original Tone Sweep 方式が導入されています。 この方式は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(14)T、12.4(1)、およびそれ以降でも利用可能です。 この方式では、一連のトーン テストの実施に、一部でテスト担当者による手作業が必要です。 具体的には、トーン テストの新しい組み合わせごとに、音声ポートでインピーダンス設定を手作業で変更する必要があります。 音声ポートで、shutdown コマンドと no shutdown コマンドを管理目的で発行することにより、変更が有効になります。 次に、FXO/FXS/DID の音声ポートから新規のテスト コールを発信して、再度、一連のトーン テストを実行します。 音声ポートで許可されている各インピーダンス設定について、このプロセスを繰り返し実行します。

実行するステップは次のとおりです。

  1. 重要:対象の音声ポートで、ECAN をディセーブルにします。

    no echo-cancel enable コマンドを発行します。

    注:変更が有効にするためには、必ず、音声ポートで、shutdown コマンドと no shutdown コマンドを管理目的で発行してください。

  2. 対象の FXS/FXO の音声ポートでコールを発信します。

    show voice call summary コマンドを発行して、コールの接続を確認します。

    注:PSTN で発着信する通話者や音声ポートの PBX 側の通話者は、「無音の終端装置」である必要があります。 必要に応じて、この電話機をミュートして、オーディオ発生源にならないようにしてください。

  3. この音声ポートで、Tone Sweep テストを実行します。

  4. このインピーダンス設定について、ERLavg の値を計算します。

  5. 対象の音声ポートで、インピーダンス設定を変更します。

    注:変更が有効にするためには、必ず、音声ポートで、shutdown コマンドと no shutdown コマンドを管理目的で発行してください。

  6. 対象の音声ポートで、可能なすべてのインピーダンス設定について、手順 2 から 5 を繰り返してください。

  7. 採集された ERLavg を調べて、最高値を見つけます。

    この値に対応するインピーダンス設定が、対象の音声ポートでの最適一致インピーダンスになります。

次に、2 つのインピーダンス設定 complex1 および complex2 で、スイープが実施されている例を示します。

  CME1#configure terminal
  Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
  CME1(config)#voice-port 1/0/3
  CME1(config-voiceport)#no echo-cancel enable
  CME1(config-voiceport)#impedance complex1
  CME1(config-voiceport)#shutdown
  CME1(config-voiceport)#no shutdown
  CME1(config-voiceport)#end
   
  <PLACE LIVE CALL OUT PORT 1/0/3> 
  
  CME1#test voice port 1/0/3 inject-tone local sweep 200 0 0 
  
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  104        26        -7              -33
  304        19        -7              -26
  504        17        -8              -25
  704        19        -8              -27
  904        19        -8              -27
  1104       20        -8              -28
  1304       21        -8              -29
  1504       21        -8              -29
  1704       22        -8              -30
  1904       21        -8              -29
  2104       22        -8              -30
  2304       22        -8              -30
  2504       22        -8              -30
  2704       22        -8              -30
  2904       22        -8              -30
  3104       22        -8              -30
  3304       22        -8              -30
  3404       22        -8              -30 
  
  CME1#configure terminal
  Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
  CME1(config)#voice-port 1/0/3
  CME1(config-voiceport)#impedance complex2
  CME1(config-voiceport)#shutdown
  CME1(config-voiceport)#no shutdown
  CME1(config-voiceport)#end
  
  <PLACE LIVE CALL OUT PORT 1/0/3>
  
  CME1#test voice port 1/0/3 inject-tone local sweep 200 0 0 
  
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  104        26        -7              -33
  304        19        -7              -26
  504        17        -8              -25
  704        19        -8              -27
  904        19        -8              -27
  1104       19        -8              -27
  1304       20        -8              -28
  1504       20        -8              -28
  1704       20        -8              -28
  1904       20        -8              -28
  2104       20        -8              -28
  2304       20        -8              -28
  2504       20        -8              -28
  2704       20        -8              -28
  2904       20        -8              -28
  3104       19        -8              -27
  3304       19        -8              -27
  3404       19        -8              -27
  

この例では、ERL の平均は、次のようになります。

  • complex1 の場合 — (26 + 19 + 17 + ... + 22) / 18 = 21.16

  • complex2 の場合 — (26 + 19 + 17 + ... + 19) / 18 = 19.77

complex1 の平均 ERL 21.16 の方が高いので、complex1 を最適一致インピーダンスとして選択します。

最適一致インピーダンス設定を判別する、この Original Tone Sweep 方式は、手間がかかる場合があります。 テスト用のリファレンス ポートとして使用するのと同じ音声ポートを、別の通話者と競合使用しているような実稼働環境では、特に、手間がかかります。 この方式では、同じ音声ポートで、PSTN で発着信する「無音の終端装置」ポイントに対して複数のコールを発信する必要があります。 テストのそれぞれのセット間で、インピーダンス設定を手作業で変更する必要があります。 次のテストを開始できるより先に、実稼働のコールが発生して、ターゲットの音声ポートが占有された場合は、ユーザにはエコーが聞こえがちです。 エコーが聞こえるのは、その音声ポートで ECAN をディセーブルにしているためです。 このような不便はありますが、このテスト方式は、以前の試行錯誤方式よりは優れています。

THL Tone Sweep 方式

Original Tone Sweep テスト方式の管理上のわずらわしさを軽減するために、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(11)T6、12.3(14)T3、および、12.4(1) では、Cisco 2600XM、2691、2800、3640、3660、3700、および、3800 音声ルータ プラットフォーム用に THL Tone Sweep テスト方式が導入されています。 この機能は、その後、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.3(14)T6、12.4(3b)、12.4(5a)、12.4(7)、12.4(2)T3、12.4(4)T1、および、12.4(6)T で、Cisco 1751 および 1760 プラットフォームに拡張され、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.4(7) および 12.4(6)T では、Cisco IAD2430 および VG224 プラットフォームに拡張されています。このテスト機能では、PSTN で発着信する「無音の終端装置」ポイントに対する単一のテスト コールで、利用可能なすべてのインピーダンスの評価が可能になります。 テスト中の音声ポートで、ECAN を手作業でディセーブルにする必要はありません。 このテスト機能では、テスト担当者のために、インピーダンスが自動で切り替えられます。 このテスト機能では、相加平均 ERL が計算され、各インピーダンス設定でのそれぞれのチャネル プロファイルの平均がレポートされます。 次に、テストの最後で、この機能が最適一致インピーダンス設定を指定します。 このテスト機能は簡単に使用でき、監視の必要性が最小限で済みます。

実行するステップは次のとおりです。

  1. 対象の FXS/FXO/DID の音声ポートで、コールを発信します。

    show voice call summary を発行して、コールの接続を確認します。

    注:PSTN で発着信する通話者や音声ポートの PBX 側の通話者は、「無音の終端装置」である必要があります。 必要に応じて、この電話機をミュートして、オーディオ発生源にならないようにしてください。

  2. この音声ポートで、Tone Sweep テストを実行します。

    THL Sweep テスト機能では、各インピーダンス設定での ERLavg 値が、自動的に計算されます。 この機能では、テストの結果、ERLavg の最高値をもたらす設定がレポートされます。 この設定が、対象の音声ポートに使用する最適一致インピーダンスです。

THL Sweep の動作例を、次に示します。

  SL-C2851-MA#< NOW RUNNING THL-SWEEP >
              ^
  % Invalid input detected at '^' marker. 
  
  SL-C2851-MA#
  SL-C2851-MA#test voice port 2/0/13 thl-sweep verbose
  Original impedance complex5. Input signal level=-48dBm 
  
  testing 600r...... Input Signal level=-50dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        9         -3              -12
  554        10        -3              -13
  754        11        -3              -14
  954        11        -3              -14
  1154       11        -3              -14
  1354       11        -3              -14
  1554       11        -3              -14
  1754       11        -3              -14
  1954       10        -3              -13
  2154       9         -3              -12
  2354       8         -3              -11
  2554       8         -3              -11
  2754       8         -3              -11
  2954       9         -3              -12
  3154       8         -3              -11
  3354       6         -3              -9
  testing complete for 600r. ERL=9 
  
  testing 900r...... Input Signal level=-50dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        11        -3              -14
  554        12        -3              -15
  754        12        -3              -15
  954        12        -3              -15
  1154       12        -3              -15
  1354       12        -3              -15
  1554       12        -3              -15
  1754       11        -3              -14
  1954       11        -3              -14
  2154       9         -3              -12
  2354       8         -3              -11
  2554       7         -3              -10
  2754       7         -3              -10
  2954       8         -3              -11
  3154       7         -3              -10
  3354       5         -3              -8
  testing complete for 900r. ERL=10 
  
  testing 900c...... Input Signal level=-50dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        13        -3              -16
  554        14        -3              -17
  754        14        -3              -17
  954        14        -3              -17
  1154       14        -3              -17
  1354       13        -3              -16
  1554       13        -3              -16
  1754       12        -3              -15
  1954       11        -3              -14
  2154       10        -3              -13
  2354       9         -3              -12
  2554       8         -3              -11
  2754       8         -3              -11
  2954       8         -3              -11
  3154       8         -3              -11
  3354       6         -3              -9
  testing complete for 900c. ERL=11 
  
  testing complex1...... Input Signal level=-49dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        14        -3              -17
  554        17        -3              -20
  754        19        -3              -22
  954        21        -3              -24
  1154       22        -3              -25
  1354       22        -3              -25
  1554       22        -3              -25
  1754       20        -3              -23
  1954       19        -3              -22
  2154       17        -3              -20
  2354       16        -3              -19
  2554       16        -3              -19
  2754       17        -3              -20
  2954       18        -3              -21
  3154       15        -3              -18
  3354       13        -3              -16
  testing complete for complex1. ERL=18 
  
  testing complex2...... Input Signal level=-51dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        14        -3              -17
  554        17        -3              -20
  754        19        -3              -22
  954        20        -3              -23
  1154       21        -3              -24
  1354       20        -3              -23
  1554       20        -3              -23
  1754       18        -3              -21
  1954       17        -3              -20
  2154       15        -3              -18
  2354       14        -3              -17
  2554       14        -3              -17
  2754       15        -3              -18
  2954       16        -3              -19
  3154       13        -3              -16
  3354       11        -3              -14
  testing complete for complex2. ERL=17 
  
  testing 600c...... Input Signal level=-50dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        10        -3              -13
  554        10        -3              -13
  754        11        -3              -14
  954        11        -3              -14
  1154       11        -3              -14
  1354       11        -3              -14
  1554       11        -3              -14
  1754       11        -3              -14
  1954       10        -3              -13
  2154       9         -3              -12
  2354       8         -3              -11
  2554       8         -3              -11
  2754       8         -3              -11
  2954       9         -3              -12
  3154       8         -3              -11
  3354       6         -3              -9
  testing complete for 600c. ERL=10 
  
  testing complex4...... Input Signal level=-52dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        15        -3              -18
  554        17        -3              -20
  754        18        -3              -21
  954        19        -3              -22
  1154       19        -3              -22
  1354       19        -3              -22
  1554       18        -3              -21
  1754       17        -3              -20
  1954       15        -3              -18
  2154       14        -3              -17
  2354       12        -3              -15
  2554       12        -3              -15
  2754       12        -3              -15
  2954       12        -3              -15
  3154       10        -3              -13
  3354       8         -3              -11
  testing complete for complex4. ERL=15 
  
  testing complex5...... Input Signal level=-51dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        32        -3              -35
  554        31        -3              -34
  754        28        -3              -31
  954        26        -3              -29
  1154       24        -3              -27
  1354       23        -3              -26
  1554       21        -3              -24
  1754       19        -3              -22
  1954       18        -3              -21
  2154       16        -3              -19
  2354       16        -3              -19
  2554       15        -3              -18
  2754       16        -3              -19
  2954       16        -3              -19
  3154       14        -3              -17
  3354       11        -3              -14
  testing complete for complex5. ERL=20 
  
  testing complex3...... Input Signal level=-50dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        14        -3              -17
  554        15        -3              -18
  754        16        -3              -19
  954        16        -3              -19
  1154       16        -3              -19
  1354       15        -3              -18
  1554       14        -3              -17
  1754       14        -3              -17
  1954       13        -3              -16
  2154       12        -3              -15
  2354       11        -3              -14
  2554       11        -3              -14
  2754       11        -3              -14
  2954       11        -3              -14
  3154       10        -3              -13
  3354       8         -3              -11
  testing complete for complex3. ERL=13 
  
  testing complex6...... Input Signal level=-52dBm
  Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
  354        19        -3              -22
  554        22        -3              -25
  754        24        -3              -27
  954        24        -3              -27
  1154       21        -3              -24
  1354       20        -3              -23
  1554       18        -3              -21
  1754       16        -3              -19
  1954       14        -3              -17
  2154       12        -3              -15
  2354       11        -3              -14
  2554       11        -3              -14
  2754       11        -3              -14
  2954       11        -3              -14
  3154       10        -3              -13
  3354       7         -3              -10
  testing complete for complex6. ERL=16
  
  Recommended impedance(s) complex5
  SL-C2851-MA#
  

THL Tone Sweep 機能は、実際の適用がはるかに容易なテスト メカニズムです。

追加の注記

試行錯誤方式に対して、Original Tone Sweep および THL Tone Sweep テスト方式では、電話会社のチャネルで使用される際の特定のインピーダンス設定を評価する一貫した手段が提供されます。 テストを実施する際には、次の点に注意してください。

  • テストの方式は、できるだけ一貫させるようにしてください。

    Original Tone Sweep 方式を使用する場合は、それぞれのインピーダンス設定でのトーン スイープの各セットに、PSTN での「無音の終端装置」として、同一の通話者を使用します。 このように選択すると、音声ポートと終端ポイント間のパスが、同一に維持されます。

  • 多数のアナログ FXO/FXS 音声ポートを装備する音声ルータでは、必ずしも、各音声ポートに Tone Sweep テストを適用する必要はありません。

    時間がない場合は、1 つの音声ポートをテストして、その結果を、同一の電話会社でのすべての音声ポートの動作の代表値として使用できます。 ほとんどの場合、すべてのポートでの配線パスは、ほとんど同一であるため、この仮定は適切です。 しかしながら、最高の結果を求める場合は、各音声ポートをテストして、個別に調整する必要があります。

  • 最適一致インピーダンス設定の選択が終了したら、残りの音声問題を解消するために、必要に応じて、さらに音声ポートの調整を実施してください。

    ほとんどの場合、ここでは、入力ゲイン出力減衰の設定を調整する必要があります。

  • 最適一致の音声ポート インピーダンス設定は、シスコの音声ルータから PSTN への方向に適用されます。

    この最適一致の音声ポート インピーダンスの設定が完了しても、PSTN から見たシスコの音声ルータに向かうチャネルの ERL パフォーマンスがこれと対称で、この方向に関しても可能な最高の ERL プロファイルが提供されるという保証はありません。 両方向での全体としての音声品質を計測し、音声ポートのパラメータをさらに調整するかどうかを判断します。 必要な場合は、シスコのテクニカルサポートにサポートを要請してください。 ほとんどの場合、音声ポートのインピーダンスを最適一致値に設定すると、音声品質の知覚される品質の向上は、はっきりと判別されます。 フィールドのユーザからは、この改善がレポートされています。

  • Cisco 1751 および 1760 音声ルータ プラットフォームでは、音声シグナリングとメディア用に、PVDM-256K-4、PVDM-256K-8、PVDM-256K-12、PVDM-256K-16、および PVDM-256K-20 DSP カード製品が使用されています。 これらの PVDM-256K-* カードでは、Texas Instruments leavingcisco.com 社製の C549 DSP を使用しています。 Medium-Complexity(MC)コーデック モードで動作する場合の Codec DSP のファームウェアと処理能力の制限のために、1751/1760 音声ルータ プラットフォームでの THL Sweep 機能は、DSP が High-Complexity(HC)モードに設定されている場合のみ、確実に機能します。 デフォルトでは、VIC-2FXS、VIC2-2FXS、VIC-2FXO、VIC2-2FXO、VIC-2E/M、VIC2-2E/M、および、VIC-2DID などの 2 ポート音声インターフェイス カード(VIC)は、シグナリングとメディア リソースに関して、HC モードでのシングル C549 DSP 動作に割り当てられています。 一方、VIC2-4FXO および VIC-4FXS/DID などの 4 ポート VIC は、MC モードでのシングル C549 DSP 動作に割り当てられており、利用可能な DSP リソースの使用が最適化されています。 結果的に、1751/1760 での THL Sweep 機能は、4 ポートの VIC で適用された場合に失敗することが多く、潜在的に次のエラーが発生する可能性があります。

      1751GW#test voice port 2/0 thl-sweep verbose 
      Original impedance 600r. Input signal level=-44dBm
       
      Please Note: Impedance for voice port 2/0 changed to 600Real.
       
      testing 600r...... Input Signal level=-44dBm
      Freq (hz), ERL (dB), TX Power (dBm), RX Power (dBm)
       
      ERL very low. set_impedance to 600r failed !!!.
      Please Note: Impedance for voice port 2/0 changed to 600Real.
      

    1751/1760 上に十分な DSP リソースがある場合は、THL Sweep 機能が信頼に足る動作を示し、さらに必要な結果を得るためには、4 ポートの VIC を HC モードで動作するように設定する必要があります。 Cisco 1700 シリーズの音声プラットフォームでの、DSP のコーデック複雑度設定に関する詳細情報は、『Cisco 1750、1751、および 1760 ルータで音声インターフェイス カードが認識されない場合のトラブルシューティング』を参照してください。

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