サービス品質(QoS) : QoS パケット マーキング

H.323 Video Conferencing Over IP 用の QoS ソリューションの実装

2010 年 4 月 6 日 - ライター翻訳版
その他のバージョン: PDFpdf | 機械翻訳版 (2013 年 8 月 21 日) | 英語版 (2008 年 2 月 15 日) | フィードバック

目次

概要
前提条件
      要件
      使用するコンポーネント
      表記法
背景説明
H.323
ビデオ会議のトラフィックの特性
キャパシティ計画
     サンプル シナリオ
コール単位の帯域幅使用量の決定      
H.323 音声
H.323 ビデオ
分類
高度なキューイング メカニズムの選択
      モデル/プライオリティ設定のスキーム
音声とビデオで LLC を共有するかどうか
CAC
トラフィック シェーピング
H.323 端末とのインターワーキング
設定例
関連するシスコ サポート コミュニティ ディスカッション
関連情報

概要

H.323 は、世界的に承認されている IP ネットワークのマルチメディア会議の標準です。このドキュメントでは、比較的リンクが低速な企業 WAN において、H.323 テレビ会議の Quality of Service(QoS)を実現するツールについて説明します。



前提条件

要件

このドキュメントの読者は次の項目に関する知識が必要です。

  • H.323 に準拠したシステムのコンポーネントに関する知識。端末やゲートウェイ、ゲートキーパー、Multipoint Controller(MC; マルチポイント コントローラ)、Multipoint Pprocessor(MP; マルチポイント プロセッサ)、Multipoint Control Unit(MCU; マルチポイント コントロール ユニット)などがありますが、これらに限定されるわけではありません。詳細については、『ホワイト ペーパー:Cisco ネットワークにおける H.323 アプリケーションの導入』を参照してください。

  • シスコの H.323 テレビ会議のソリューションに関する知識。MCU やゲートウェイのほか、Multimedia Conference Manager(MCM)のゲートキーパーやプロキシなどがあります。シスコのテレビ会議のソリューションに関する情報へのリンクは、このドキュメントの「関連情報」のセクションを参照してください。

  • H.323 のゾーン設計に関する知識。H.323 エンドポイントのグループは、ゾーン内に形成されます。これは、Domain Name System(DNS; ドメイン ネーム システム)と同様に、優れた管理体系をもたらします。各ゾーンにはゲートキーパーが 1 台存在し、すべてのエンドポイントを管理します。

  • ダイヤル プランに関する知識。詳細については、『Cisco AVVID ソリューションの IP テレフォニー:Cisco CallManager リリース 3.0(5)』の「第 5 章:ダイヤル プランのアーキテクチャと設定」を参照してください。

  • Call Admission Control(CAC; コール アドミッション制御)の技術に関する知識。Resource Reservation Protocol(RSVP; リソース予約プロトコル)を使用したリソース要求の信号の送信などがあります。



使用するコンポーネント

このドキュメントは、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。



表記法

ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。



背景説明

今日のほとんどのネットワークでは、次のビデオ トラフィック タイプが 1 つまたは複数サポートされています。

ビデオ タイプ

トラフィックの特性

ビデオ会議

ライブ、双方向、小グループに適した帯域幅:1 ユーザにつき、1 つまたは複数のストリーム

ビデオ オン デマンド

単方向、ポイントツーポイント(プル モデル)に適した帯域幅:1 ユーザにつき、1 つのストリーム

ブロードキャスト ビデオ(スケジュール)

単方向、1 対多(プッシュ モデル)に適した帯域幅:無制限のユーザにつき、1 つのストリーム(IP マルチキャスト)

その一方で、多くの企業は、データや音声、ビデオのネットワークを IP インフラストラクチャ、およびそれらを最も効率的に組み合せる方法を見つけるために、既存のネットワークを検証したり、あるいはこれらを個別のネットワーク インフラストラクチャに分割することも少なくありません。これらの統合ネットワークでは、ネットワークのどの部分に輻輳が発生しても不思議ではないため、QoS が必須になります。QoS により、データの廃棄による影響を受けにくいアプリケーションと比較すれば、遅延や廃棄による影響を受けやすいトラフィック、リアルタイム ビデオ、音声などが、妨げられずに通過できるようになります。WAN エッジ ルータにおいては、QoS は特に 重要です。WAN エッジ ルータでは、キロビット単位や低いメガビット/秒の低速リンクに、数百メガビットのトラフィックが集約される可能性があるからです。



H.323

多くの IP テレビ会議アプリケーションでは、H.323 の一連のプロトコルが使用されています。International Telecommunications Union(ITU; 国際電気通信連合)の H.323 では、IP 経由のマルチメディアの国際標準が定義されています。ITU では、1996 年に最初のバージョンである H.323 標準を承認しました。現在のバージョンは 4 です。現在では、多くのアプリケーションが LAN ベースの H.323 のビデオ システムを導入しています。アプリケーションの例としては、Microsoft NetMeeting があります。このアプリケーションでは、テレビ会議や共有コラボレーションに H.323 を利用しています。

それ以前は、H.320 ベースのテレビ会議システムが一般的でした。H.320 ベースのシステムでは、各システムが 専用の Public Switched Telephone Network(PSTN; 公衆電話交換網)を使用して接続していました。このセクションの左の図のように、現在は、ビデオ ゲートウェイを使用して、H.323 の統合ネットワークと従来のビデオ ネットワーク間の通信を確立できます。右の図では、ビデオ ターミナル アダプタを使用して、H.320 の個々のエンドポイントから H.323 ネットワークにシームレスなリンク接続を確立する方法を示しています。

video-qos-1.gif



ビデオ会議のトラフィックの特性

音声とは異なり、ビデオの場合、レートが非常に高く、変動幅も極端に高くなります。また、他のトラフィックと比較して、かなり大きな Maximum Transmission Unit(MTU; 最大伝送ユニット)が使用されます。次の図は、テレビ会議のトラフィックの一般的なパケット サイズの内訳を示しています。

video-qos-2.gif

テレビ会議のトラフィックのストリームは、次の図に示す 2 種類のフレームから構成されます。

video-qos-3.gif

「I」フレームは、ビデオの完全サンプリングです。「P」および「B」フレームでは、動きベクトルと予測アルゴリズムによる量子化が使用されています。



キャパシティ計画

ネットワークでビデオ トラフィックを扱う前に、必要なすべてのアプリケーションに適切な帯域幅があることを確認します。最初に、主要な各アプリケーション(音声、ビデオ、データなど)に最低限必要な帯域幅を計算します。その合計が、いずれか特定のリンクで最低限必要となる帯域幅を示しています。このキャパシティは、リンクで使用可能な合計帯域幅の 75 % 以下である必要があります。この 75 % のルールでは、オーバーヘッド トラフィックのために、ある程度の帯域幅が必要になることが想定されています。オーバーヘッド トラフィックの例としては、ルーティング プロトコルの更新情報、レイヤ 2 キープアライブのほか、E メールや HTTP など、その他のアプリケーションのトラフィックなどがあります。音声やビデオによるトラフィックの占有率は、リンク容量の 33 % 以下に抑えます。次の「サンプル シナリオ」では、統合ネットワークのキャパシティ計画について説明します。



サンプル シナリオ

リンク キャパシティが 1.544 Mbps で、2 台のビデオ端末が設置されており、各端末ではそれぞれ 256 kbps の最大データ レートがサポートされているサイトがあります。2 つのビデオ コールのレートは 512 kbps になりますが、オーバーヘッドを考慮して、コールのデータ レートを 20 % 増加させます。20 % というのは、ほとんどの環境で適切な容量計画を実現できる安全性の高いパーセンテージです。まず、オーバーヘッドを考慮した 20 % を基準にして、次に監視結果に基づいて、この値を増加または減少しながら調整することもできます。

プライオリティ キューには十分な帯域幅をプロビジョニングしておくことにより、プライオリティ キューでオーバーランが発生することなく、両方のビデオ端末が同時に WAN でアクティブ コールを実行できるようにします。このサンプル シナリオでは、3 台めのビデオ端末を追加する場合は、いずれかの形式の CAC を実装する必要があります。



コール単位の帯域幅使用量の決定

キャパシティ計画を実施する際に、理解しておくべき重要な概念の一つは、各コールで使用する帯域幅キャパシティです。このセクションでは、それぞれのコーダ/デコーダ(コーデック)が使用する帯域幅を説明しています。詳細については、『VoIP - コール単位の帯域幅の使用量』を参照してください。



H.323 音声

音声信号には、デジタル化された圧縮音声(通常は通話)が含まれます。H.323 では、実績のある ITU 標準の音声コーデック アルゴリズムをサポートしています。サポートされているアルゴリズムは次のとおりです。

  • G.711:48、56、および 64 kbps(通常のテレフォニー)での 3.1 kHz(キロヘルツ)

  • G.722:48、56、および 64 kbps での 7 kHz

  • G.728:16 kbps での 3.1 kHz

  • G.723:5.3 および 6.3 kbps のモード

適切なコーデックを選択するかどうかによって、通話品質、ビット レート、コンピュータの処理能力、信号の遅延のトレードオフに影響が現れます。



H.323 ビデオ

H.323 標準では、H.323 端末のビデオ機能はオプションです。ただし、H.323 端末を導入する場合には、端末で H.261 コーデックがサポートされており、オプションで H.263 標準がサポートされている必要があります。

  • H.261:64 kbps の整数倍の通信速度をサポートする音声映像サービスのビデオ コーデック。 H.261 準拠のデバイスでは、先頭フレームはすべて符号化されます。その後は、パケットの送信が最小限になるように、先頭フレームと後続フレームの差分だけが符号化されます。オプションの動き補償を使用することによって、イメージの品質が向上します。

  • H.263:ビデオ用 Plain Old Telephone Service(POTS; 一般電話サービス)のためのビデオ コーデック。H.263 標準は、H.261 標準を更新したものであり、下位互換性があります。H.263 では、1/2 ピクセル単位での動きベクトル探索技法(必須要件)により、画質が大幅に向上しています。また、予測フレームや Huffman コード テーブルや、低ビット レート送信での最適化により、さらに機能が強化されています。H.263 標準では、『ホワイト ペーパー:Cisco ネットワークにおける H.323 アプリケーションの導入』のドキュメントの表 1 に示されているように、標準的な 5 つの画像形式を定義しています。



分類

ビデオ トラフィックで適切な QoS の保証を実現するには、ネットワーク デバイスでトラフィックを識別できる必要があります。

QoS の Differentiated Services(DiffServ; ディファレンシエーテッド サービス)モデルでは、DiffServ Code Point(DSCP; DiffServ コード ポイント)値を使用して、トラフィックを複数のクラスに分けます。DiffServ では、次の 2 つの DSCP 値が定義されています。

  • Expedited Forwarding(EF; 緊急転送):単一の DSCP 値(101110)を設定します。この値が設定されていると、マーキングされているパケットに、ネットワークから最高レベルのサービスが与えられます。シスコでは、Low Latency Queueing(LLQ; 低遅延キューイング)を使用して、EF サービスを実現しています。通常は、EF では、高優先度キューのキャパシティきわめて小さく抑えることによって、遅延を制御し、優先順位の低いトラフィックでキャパシティ不足が起きないようにします。そのため、キューがいっぱいになると、パケットが廃棄される可能性があります。通常、EF は VoIP に最適です。

  • Assured Forwarding(AF; 確認転送):4 つのクラスを提供します。各クラスには 3 つの廃棄優先レベルがあります。

DSCP の詳細については、『DSCP による QOS ポリシーの実装』を参照してください。

通常、シスコのデザイン ガイドでは、ビデオには AF41(DSCP 値 100010)を推奨しています。IP テレビ会議のアプリケーションにおいて、ビデオ ストリームの音声部分が、ビデオ パケットより優先的に処理されている場合にはメリットがありません。そのため、ビデオ会議の音声とビデオの両方のメディアについて、DSCP の値に AF41 を使用します。

レイヤ 2 では、3 つの Class of Service(CoS; サービス クラス)ビットを使用できます。これらのフィールドは IEEE 802.1Q タグの一部です。

現在のところ、IP テレビ会議に最適な値を定義している標準はありません。ただし、シスコでは、マルチサービス ネットワークについては、通常は次のマーキング スキームを推奨しています。

トラフィック タイプ

レイヤ 2 CoS

レイヤ 3 IP Precedence

レイヤ 3 DSCP

音声 RTP1

5

5

EF

音声制御

3

3

AF31

ビデオ会議

4

4

AF41

ストリーミング ビデオ(IP/TV)

1

1

AF13

データ

0-2

0-2

0-AF23

1 RTP = Real-Time Transport Protocol

この表では、ストリーミング ビデオとテレビ会議を別のタイプに分類し、異なるマーキングの値を割り当てています。ストリーミング ビデオは、ストリームのバッファリングや、遅延およびジッタの処理に優れています。そのため、ストリーミング ビデオには、異なる QoS レベルが必要です。

また、テレビ会議のストリームについても、制御部とデータ部に分割できます。ストリームのこの 2 つの部分を分割するには、制御部を AF31、データ部を AF41 でマーキングします。ただし、この設計は最良な設計ではありません。すべてのエンドポイントで、ベアラをマーキングして、トラフィックを別々に制御できるわけではありません。また、シスコのプロキシでは、すべてのテレビ会議のトラフィックは同じ値でマーキングされます。また、制御トラフィックのビット レートは、ビデオ コールのビット レートほどには重要ではありません。

分類は、できるだけ送信元に近い場所で実行します。サードパーティのビデオ パートナーである VCON、PictureTel、Polycom では、IP precedence ビットを設定できます。使用している H.323 端末でヘッダーの値を設定しない場合には、ネットワークの次のポイントでパケットをマークできます。

  • レイヤ 3 のスイッチ ポート

    詳細は、『QoS の設定』を参照してください。

  • クラスベース マーキングを使用している Cisco IOS(R) ルータ

    詳細は、『パケットのクラスベース マーキングの設定』を参照してください。

  • Cisco MCM 機能を使用している Cisco IOS ルータ

  • リモート WAN ルータで稼動している H.323 のゲートキーパー/プロキシ



高度なキューイング メカニズムの選択

現在の Cisco IOS ソフトウェアでは、いくつかのキューイング メカニズムが用意されています。これらのメカニズムによって、ネットワークに送信されるトラフィックや、トラフィックが通過する広域メディアの種類に対応したさまざまなニーズに対応します。キャンパスと WAN のどちらの場合でも、ネットワークのどの部分でも輻輳が発生する可能性があるため、適切なキューイング技術のアプリケーションが必要になります。このキューにより、データの廃棄による影響を受けにくいアプリケーションと比較すれば、遅延や廃棄による影響を受けやすいトラフィック、リアルタイム ビデオ、音声などが、妨げられずに通過できるようになります。一般的には、中断は WAN エッジ ルータで発生します。WAN エッジ ルータでは、キロビット単位や低いメガビット/秒の低速リンクに、数百メガビットのトラフィックが集約される可能性があるからです。

新しいキュー方式の設定には、Modular QoS Command-Line Interface(MQC; モジュラ QoS コマンドライン インターフェイス)のコマンドを使用します。MQC で最低保証帯域幅を指定するには、bandwidth コマンドを使用します。インターフェイス レベルのキューに対して絶対優先デキューを指定するには、priority コマンドを使用します。bandwidth コマンドにより Class-Based Weighted Fair Queueing(CBWFQ; クラスベース WFQ)が実装され、priority コマンドにより LLQ が実装されます。詳細は、『QoS サービス ポリシーの bandwidth コマンドと priority コマンドの比較』を参照してください。



モデル/プライオリティ設定のスキーム

シスコでは、マルチサービス ネットワークについては、次に示すプライオリティ設定のスキームを推奨します。

データ リンクのタイプ

最低限必要な Cisco IOS ソフトウェアのリリース

分類

プライオリティ設定

LFI1

トラフィック シェーピング

シリアル回線

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(7)T

DSCP = EF(音声の場合)、DSCP = AF41(テレビ会議のすべてのトラフィックの場合)、DSCP = AF31(音声の制御トラフィックの場合)、トラフィックのその他のクラスは、個別に分類する。

CBWFQ による LLQ

MLP2

フレーム リレー

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(2)T

DSCP = EF(音声の場合)、DSCP = AF41(ビデオの場合)、DSCP = AF31(テレビ会議のトラフィックの場合)、トラフィックのその他のクラスは、個別に分類する。

CBWFQ による LLQ

FRF.12

トラフィックを CIR3 にシェーピングする。

ATM

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(5)T

DSCP = EF(音声の場合)、DSCP = AF41(ビデオの場合)、DSCP = AF31(テレビ会議のトラフィックの場合)、トラフィックのその他のクラスは、個別に分類する。

CBWFQ による LLQ

MLP over ATM

帯域幅の保証された部分にトラフィックをシェーピングする。

ATM およびフレーム リレー

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1(5)T

DSCP = EF(音声の場合)、DSCP = AF41(ビデオの場合)、DSCP = AF31(テレビ会議のトラフィックの場合)、トラフィックのその他のクラスは、個別に分類する。

CBWFQ による LLQ

MLP over ATM および フレーム リレー

最も低速なリンクの帯域幅の保証された部分にトラフィックをシェーピングする。

1 LFI = Link Fragmentation and Interleaving

2 MLP = マルチリンク PPP

3 CIR = committed information rate

モデル/プライオリティ設定のスキームの主なポイントをいくつか説明します。

  • 音声は、Priority Queuing(PQ; プライオリティ キューイング)機能によってキューに入れられ、48 kbps の帯域幅が割り当てられます。このキューに投入される条件は、DSCP 値が EF であるか、IP precedence 値が 5 であることです。インターフェイスの輻輳が発生している場合には、48 kbps を超えるトラフィックは廃棄されます。そのため、アドミッション制御メカニズムを使用して、トラフィックがこの値を超えないようにします。

  • テレビ会議のトラフィックは、PQ 機能によってキューに入れられ、コールのデータ レートを 20 % 増加した帯域幅が割り当てられます。このキューに投入される条件は、DSCP 値が AF41 であるか、IP precedence 値が 4 であることです。インターフェイスの輻輳が発生している場合には、コールのデータ レートを超えるトラフィックは廃棄されます。そのため、音声の場合には、アドミッション制御メカニズムを使用して、トラフィックがこの値を超えないようにしなければなりません。特に、各スイッチ ポートに信頼の設定をしていない場合には、キューへのアクセスにはプロキシを使用します。数台しかビデオ端末が設置されていない小規模なサイトでのキュー アクセスには、ビデオ端末の IP アドレスに基づく Access Control List(ACL; アクセス コントロール リスト)を使用します。ACL を使用すると、トラフィックで IP precedence = 4 をマーキングしている違反ユーザから保護できます。このマークを使用すると、ゲートキーパー(CAC)をバイパスして、PQ のすべてのビデオに影響を与えてしまいます。

    注: 単方向のビデオ トラフィック(IP/TV など)では、bandwidth コマンドで CBWFQ を使用します。その結果、遅延に対する耐性が高くなります。

  • WAN リンクで輻輳が発生すると、音声制御シグナリング プロトコルの処理が滞る可能性があります。その場合には、IP WAN 全体の IP 電話による通話を完了できません。H.323、Skinny Client Control Protocol などの音声制御プロトコルのトラフィックでは、DSCP 値が AF31 に相当する設定可能な最小帯域幅が使用される、専用のクラスに基づいた Weighted Fair Queuing(WFQ; 重み付け均等化キューイング)が必要になります。この DSCP 値は、IP precedence 値の 3 に関連付けられています。

  • Systems Network Architecture(SNA; システム ネットワーク アーキテクチャ)のトラフィックは、指定された帯域幅 56 kbps のキューに入れられます。このクラスでのキューイング動作は FIFO で、最小帯域幅には 56 kbps が割り当てられます。このクラスの 56 kbps を超えるトラフィックは、デフォルト キューに入れられます。TCP ポート番号、レイヤ 3 のアドレス、IP precedence、DSCP のいずれの条件によって、このキューに投入されるかどうかが決まります。

残りのトラフィックはすべて、デフォルト キューに入れられます。帯域幅を指定している場合には、キューイング動作は FIFO になります。または、キーワードの fair を指定している場合には、動作は Weighted Fair Queuing(WFQ; 重み付け均等化キューイング)になります。

また、768 kbps 未満のリンク速度では、テレビ会議を行わないでください。低速ビット レートのリンクの場合、Compressed RTP(cRTP; 圧縮 RTP)および LFI を使用すると、シリアル化およびキューイングへの遅延の影響を緩和できます。

IP テレビ会議では、cRTP は使用しないでください次に、cRTP におけるベスト プラクティスを示します。

  • cRTP は、G.729 などの低速ビット レートの音声のコーデックでだけ使用します。G.711 を音声またはテレビ会議のコール用の音声コーデックとして使用した場合、統計によれば、cRTP によって達成できるスループットは、cRTP を使用するだけの大きなメリットはありません。

  • 低速ビット レートの音声が与えられた負荷の大きなパーセンテージを占めている場合にだけ、cRTP を使用します。一般的に、この機能は、低速ビット レートの音声が回線に与えられた負荷の 30 % を超えている場合にだけメリットがあります。

  • cRTP を使用すると、転送パフォーマンスが向上する場合があります。機能をイネーブルにした後に、CPU の使用率を監視します。



音声とビデオで LLQ を共有するかどうか

音声とテレビ会議のトラフィックをプライオリティ クラスに設定するかどうかについては、マルチサービスの QoS サービス ポリシーでは頻繁に検討の対象になります。プライオリティに複数のクラスを設定した場合であっても、LLQ で現在サポートされているのは単一の完全優先キューだけなので、この検討が必要になります。VoIP とビデオのクラスにプライオリティを設定している場合は、単一のキューにこれら両方のクラスからのトラフィックが入ります。そのため、次のようなことが原因で、ビデオをプライオリティ キューに入れないようにしなければならない場合があります。

  • ビデオ パケットが音声パケットに比べてきわめて大きい場合。ビデオ パケットは、通常は、リンクの最大 MTU サイズと同じ大きさです。EF がマークされていると、ビデオ パケットは音声と同じプライオリティ キューに入れることができます。大きいビデオ パケットの後に、小さい VoIP パケットがキューに入れられると、VoIP パケットで遅延が増加します。この遅延が顕著になると、VoIP アプリケーションのパフォーマンスに悪影響を及ぼす場合があります。

  • ほとんどの EF キューは非常に小さいため、ビデオ トラフィックに使用されると、パケットが廃棄されてしまう可能性があります。

シスコでは、プライオリティ キューにビデオを投入するテストを実施しました。テストでは、768 kbps より高いリンク速度が使用されており、また加入過多が発生しないように適切な CAC が使用されました。その結果、プライオリティ キューにビデオを投入しても、音声パケットの遅延が著しく増加することはありませんでした。

一般的には、次のモデルのどちらかを選択できます。シスコでは、両方のモデルについてテストを実施しました。

  • プライオリティ キューに音声、ビデオ、オーディオ + 適切なプロビジョニングの使用

  • プライオリティ キューに音声 + 帯域幅キューにビデオ、オーディオ

3 つめのアプローチは、テレビ会議の音声部分を分割することです。つまり、音声部分をプライオリティ キューに入れ、ビデオ部分を帯域幅キューに入れます。ただし、ビデオ コーダは、音声コーダに比べて、符号化によって遅延が長くなる傾向があります。そのため、テレビ会議のオーディオ ストリームに絶対的なプライオリティを与えた場合には、先に到着したオーディオ ストリームは、ビデオの同期と取るために保留されます。そのため、テレビ会議に関連づけられた音声パケットを、ビデオ パケットが受けるサービスより高いサービスを受けるキューに入れるメリットはありません。

ビデオと音声をプライオリティ キューに入れる場合は、トラフィック タイプを異なる DSCP 値でマーキングします。トラフィック タイプを異なる DSCP 値でマーキングした場合は、ビデオを制御する QoS サービス ポリシーに異なるプライオリティを使用できます。特に、ビデオでは、ラージ バースト パラメータが必要になる場合があります。



CAC

トラフィックのプライオリティ設定で解決されるのは、Video over IP の QoS プロビジョニングに関する問題だけです。完全に解決するには、CAC が必要になります。

ネットワーク リソースの予約過多を防止するには、Call Admission Contro(CAC; コール アドミッション制御)による帯域幅の制御が必要です。テレビ会議で、新しい端末の追加によって、使用可能な帯域幅を超えてしまう場合は、既存のビデオ ストリームの品質を維持するために、このビデオ端末からのネットワーク リソースの要求を拒否する必要があります。つまり、CAC では他のビデオからビデオを保護します。

一般に、ビデオ コール用の CAC プロビジョニングには、次の 3 つの方式があります。

  • ビデオ端末数を制限します。特に、H.323 ゲートキーパーが存在しないリモート サイトでは、WAN など、特定のリンク全体でビデオに使用する帯域幅を制御するための手段は一つしかありません。この場合、リモート サイトのビデオ端末の数を物理的に制限する必要があります。プライオリティ キューには、特定のサイトのすべてのビデオのエンドポイントの最大データ レートをサポートするのに十分な帯域幅をプロビジョニングします。

    注: プライオリティ キューのプロビジョニングでは、ビデオ端末の最大データ レートを 20 % 増加させます。追加分の 20 % は、IP や送信のオーバーヘッドに使用されます。

  • ゲートキーパーの CAC を使用して、イントラネットおよびインターネットのゾーンのコールの帯域幅に、セッション単位で制限を設定します。ゲートキーパーの CAC とプロキシを組み合せることによって、プライオリティ キューへの単一のアクセス ポイントを提供できます。この単一のアクセス ポイントによって、不正なビデオ ストリームによるプライオリティ キューの過剰予約が発生しなくなります。プロキシにアクセスできるようにするするには、ゲートキーパーにビデオ端末を登録する必要があります。ゲートキーパーの設定により、ローカル ゾーンの外で、ビデオの最大帯域幅が使用できるようになります。キューイング機能が正しく実行されるためには、この最大帯域幅がプライオリティ キューの帯域幅のプロビジョニングと一致している必要があります。これらのガイドラインは、ハブ & スポーク環境だけに当てはまります。 ゲートキーパーはダイレクト モードを使用しており、中継ゲートキーパーによってリンクの帯域幅が消費されないようにしています。

  • RSVP をイネーブルにしたエンドポイントを実装します。エンドポイントでは、RSVP メッセージを使用して、トラフィック プロファイルを記述し、必要なサービスを要求します。エンドツーエンド パス上の RSVP 対応ネットワーク デバイスでは、これらの RSVP メッセージを読み込んで、予約の要求を許可するか、または拒否するかを判断します。デバイスは、判断の結果を別の RSVP メッセージを介してエンドポイントに通知します。エンドポイントとそのアプリケーションは、使用可能なネットワークの状態に合わせて会議を中断するか、または要求を縮小するかを判断します。

H.323 バージョン 4 の標準の付録 II では、RSVP を使用するためのアプローチを概説しています。次にその要点を示します。

  • コールを発信すると、エンドポイントでは、リソースを予約するためにエンドポイントの処理能力をゲートキーパーに送信します。次に、ゲートキーパーは、エンドポイントのリソース予約の要求が妥当であるかどうかを示します。

  • H.245 のフェーズの間、エンドポイントは、リソース予約の信号を送信できるかどうかを示します。 この情報を使用して、エンドポイントは、コールを続行するかどうかを決定します。

  • RSVP の予約メッセージが送信されるのは、論理チャネルがオープンされてから、論理チャネルがデータ パケットに使用されるまでの間です。



トラフィック シェーピング

WAN 接続でのフレーム リレーの使用では、さらに別の QoS の要件が必要になります。特に、高速の中央サイトから、1 つまたは複数の低速のリモート サイトにデータを送信するときに、中央サイトでは、リモート サイトの物理的な帯域幅と CIR 帯域幅の両方をオーバーランさせてしまう可能性があります。リモート サイトに限界以上の帯域幅が送信されないように、中央サイトのルータには、トラフィック シェーピングを実装します。フレームリレーのトラフィック シェーピングについては、次のドキュメントを参照してください。



H.323 端末とのインターワーキング

H.323 のテレビ会議ネットワークは、一般に、次の 5 つの機能コンポーネントから構成されています。

  • ビデオ端末

  • ゲートキーパー

  • ゲートウェイ

  • MCU

  • プロキシ

シスコでは、ビデオ端末以外のすべてのコンポーネントについて、製品ソリューションを提供しています。シスコの H.323 製品は、サードパーティの H.323 端末との相互運用が可能であることが実証されています。

場合によっては、これらの端末には、予測不能なデータ フローに直面した場合に、ビデオ トラフィックの遅延および損失のパラメータを満たすために、QoS ツールが用意されています。たとえば、Polycom Viewstation では、コールが確立した後のすべてのビデオ パケットがトラッキングされます。Polycom Viewstation では、平均遅延時間や、ビデオ パケットまたは音声パケットを損失した数が報告されます。このツールでは、読みやすい形式で出力されるデバッグ機能もサポートされています。これらのデバッグは、ビデオの出力結果の分析では検出できない問題の原因を特定するのに役立ちます。詳細については、『Polycom ビデオ ユニットのための Video over IP の設定方法』を参照してください。



設定例

この設定例では、WAN リンクを通過するテレビ会議のトラフィックに LLQ を適用する方法を紹介します。

設定例

Sample Configuration 
class-map Video-Conf 
  match access-group 102 
class-map Streaming-Video 
  match access-group 103 
! 
policy-map QoS-Policy 
  class Video-Conf 
    priority 450 30000 
  class Streaming-Video 
    bandwidth 150 
class class-default 
    fair-queue 
! 
! -- Video-Conf のトラフィック 
access-list 102 permit ip any any dscp cs4 
access-list 102 permit ip any any dscp af41 
! 
! -- Streaming のトラフィック 
access-list 103 permit ip any any dscp cs1 
access-list 103 permit ip any any dscp af13

QoS ポリシー マップを作成した後で、service-policy コマンドでポリシーを適用します。ポリシーを適用したインターフェイスのタイプによって、コマンドが適用される場所が決まります。次にいくつかの例を示します。

インターフェイスのタイプ

設定例

専用回線

line interface multilink1 
  service-policy output QoS-Policy 

ATM PVC1

interface atm 1/0.1 point 
pvc 1/50 
  service-policy output QoS-Policy 

フレーム リレー VC2

map-class frame-relay vcofr 
  frame cir 128000 
  frame mincir 64000 
  frame bc 1000 
  frame frag 160 
  service-policy output QoS-policy 

注: Cisco 7500 シリーズで分散 QoS を使用している場合は、DTS3 コマンドを使用してください。『Cisco 7500 シリーズでの分散型 QoS を使用したフレームリレーのトラフィック シェーピング』を参照してください。

1 PVC = Permanent Virtual Circuit(相手先固定回線接続)

2 VC = Virtual Circuit(仮想回線)

3 DTS = Distributed Traffic Shaping(分散トラフィック シェーピング)




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Document ID: 21662