LAN スイッチング : スパニング ツリー プロトコル

トラブルシューティング:トランスペアレント ブリッジング環境

2014 年 1 月 31 日 - ライター翻訳版
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目的

トランスペアレント ブリッジは Digital Equipment Corporation(DEC)社が 1980 年代初頭に初めて開発したもので、現在では、イーサネット/IEEE 802.3 ネットワークで一般的に使用されています。

  • この章では最初に、トランスペアレント ブリッジを、スパニング ツリー プロトコルを実装するラーニング ブリッジとして定義します。また、スパニング ツリー プロトコルの詳細についても説明します。

  • トランスペアレント ブリッジを実装するシスコのデバイスは、もともと Cisco IOS® ソフトウェアが動作するルータと特定のソフトウェアが動作する Catalyst スイッチという 2 つのカテゴリに分類されていました。ただし、現在では、この分類は該当せず、 多数の Catalyst 製品が IOS ベースになっています。この章では、IOS デバイスで使用できるさまざまなブリッジング技術を紹介します。Catalyst ソフトウェア固有の設定とトラブルシューティングについては、LAN スイッチングの章を参照してください。

  • 最後に、トランスペアレント ブリッジング ネットワークで発生しやすい潜在的な問題の症状別に、トラブルシューティングの手順を紹介します。

トランスペアレント ブリッジング テクノロジーの基礎

トランスペアレント ブリッジという名称は、その存在と動作がネットワークに対してトランスペアレント(透過的)であることに由来しています。トランスペアレント ブリッジは起動時に、接続されているすべてのネットワークからの着信フレームの発信元アドレスを解析して、ネットワークのトポロジを学習します。たとえば、ホスト A からライン 1 に到着するフレームが検出されると、ブリッジはライン 1 に接続されたネットワーク経由でホスト A に到達可能であると判断します。このプロセスを介して、トランスペアレント ブリッジは、表 20-1 のような内部ブリッジング テーブルを構築します。

表 20-1:トランスペアレント ブリッジング テーブル

ホスト アドレス ネットワーク番号
0000.0000.0001 1
0000.b07e.ee0e 7
? -
0050.50e1.9b80 4
0060.b0d9.2e3d 2
0000.0c8c.7088 1
? -

ブリッジは、ブリッジング テーブルに基づいてトラフィック転送を行います。ブリッジ インターフェイスの一方でフレームが受信されると、ブリッジは内部テーブルでそのフレームの宛先アドレスを検索します。その内部テーブルで、宛先アドレスとブリッジ(フレーム受信先とは別のブリッジ)のいずれかのポートの間でマッピングされている場合、フレームはそこで指定されているポートに転送されます。マッピングが見つからない場合、そのフレームはすべての発信ポートにフラッディングされます。また、ブロードキャストとマルチキャストも同じようにフラッディングされます。

トランスペアレント ブリッジでは、セグメント内のトラフィックが適切に切り分けられるので、各セグメントで検出されるトラフィックは減少します。これにより、通常はネットワークの応答時間が改善されます。どの程度トラフィックが削減され、応答時間が改善されるかは、セグメント間トラフィック量(総トラフィック量に対する割合)および、ブロードキャスト トラフィックとマルチキャスト トラフィックの量によって異なります。

ブリッジング ループ

インターネットワークの 2 つの LAN 間にブリッジと LAN の複数のパスがある場合、ブリッジ間のプロトコルがないと、トランスペアレント ブリッジ アルゴリズムは失敗します。図 20-1 は、このようなブリッジング ループを示したものです。

Image13.gif

図 20-1:トランスペアレント ブリッジング環境での不正確な転送と学習

ホスト A からホスト B にフレームが送信されるとします。両方のブリッジがフレームを受信し、ホスト A がネットワーク 2 上にあることは適切に判断されます。しかし、ホスト B が ホスト A からのフレームのコピーを 2 つ受信すると、両方のブリッジが再度 ネットワーク 1 のインターフェイスでフレームを受信してしまいます。これは、すべてのホストがブロードキャスト LAN 上のすべてのメッセージを受信するためです。また、場合によって、ブリッジが内部テーブルを書き換え、ホスト A がネットワーク 1 に存在するものと示すことがあります。この場合、テーブルでは宛先(ホスト A)がフレームの発信元と同じネットワーク セグメント上に存在することになっているため、ホスト B が ホスト A のフレームに応答する際に、両方のブリッジが応答を受信した後で廃棄してしまいます。

上記のような接続に関する基本的な問題のほかに、ネットワーク上でのループを伴うブロードキャスト メッセージの増加が、重大なネットワークの問題として潜んでいます。たとえば、図 20-1 の例で、ホスト A の最初のフレームがブロードキャストだとします。この場合、両方のブリッジが無限にフレームを転送することになり、使用できるすべてのネットワーク帯域幅が消費されるため、両方のセグメントで他のパケットの伝送がブロックされてしまいます。

図 20-1 に示すようなループを伴うトポロジは、有用な場合もありますが、問題を引き起こす可能性もあります。ループがあるということは、インターネットワークを介した複数のパスが存在することを意味します。発信元から宛先への複数のパスがあるネットワークには、トポロジに柔軟性があり、これによってネットワーク全体の耐障害性が向上します

スパニング ツリー アルゴリズム

スパニング ツリー アルゴリズム(STA)は、ループの利点を維持しながら、その問題を取り除くために、イーサネットの主要ベンダーであった DEC 社で開発されました。DEC 社のアルゴリズムはその後、IEEE 802 委員会で改訂され、IEEE 802.1d 仕様として公開されました。この DEC 社のアルゴリズムと IEEE 802.1d のアルゴリズムは同一ではなく、互換性はありません。

STA とは、ループを形成するブリッジ ポートがある場合に、そのポートをスタンバイ(ブロッキング)状態にすることでループの発生を防ぐネットワーク トポロジのサブセットのことです。プライマリ リンクに障害が発生するとブリッジ ポートのブロッキングが有効になり、インターネットワークを介して新しいパスを提供します。

STA では、ループの発生を防ぐネットワーク トポロジのサブセットの構築のベースとして、グラフ理論を使用しています。グラフ理論では、「複数のノードとエッジがノードのペアを接続する連結グラフには、 ループを含まずグラフの接続性を維持するエッジの スパニング ツリーが存在する」とされています。

図 20-2 は、STA がどのようにループを解消するのかを示したものです。STA では、各ブリッジに一意の ID を割り当てる必要があります。一般的に、この ID は ブリッジの MAC アドレスの 1 つに優先度を付け加えたものです。また、すべてのブリッジの各ポートには、該当するブリッジ内で一意の ID も割り当てられます(通常はポート自身の MAC アドレス)。最後に、各ブリッジ ポートにはパス コストが関連付けられています。パス コストは、そのポートを介して LAN にフレームを送信するコストを表したものです。図 20-2 では、各ブリッジから出ている回線にパス コストが記入されています。パス コストは通常デフォルト値になっていますが、ネットワーク管理者が手動で割り当てることもできます。

Image14.gif

図 20-2:トランスペアレント ブリッジ ネットワーク(STA 実装前)

スパニング ツリーの計算で最初に行われるのは、ルート ブリッジの選択です。ルート ブリッジとは、ブリッジ ID の値が最も低いブリッジです。図 20-2 では、ブリッジ 1 がルート ブリッジとなります。次に、他のすべてのブリッジのルート ポートが決定されます。ブリッジのルート ポートは、ルート ブリッジが最小の集約パス コストで到着できるポートです。ルート ブリッジへの最小の集約パス コストの値はルート パス コストと呼ばれます。

最後に、代表ブリッジとその代表ポートが決定されます。代表ブリッジとは、各 LAN 上のブリッジの中で、最低ルート パス コストを提供するブリッジのことです。LAN の代表ブリッジだけが、その LAN へのフレーム転送および LAN からのフレーム転送を許可されています。LAN の代表ポートとは、代表ブリッジに接続するポートのことです。

場合によっては、複数のブリッジが同じルート パス コストを持つことがあります。たとえば、図 20-2 では、ブリッジ 4 と 5 のどちらもパス コスト 10 でブリッジ 1(ルート ブリッジ)に到達できます。この場合、ブリッジ ID を再び使用して、代表ブリッジが決定されます。ブリッジ 5 の LAN V ポートではなく、ブリッジ 4 の LAN V ポートが選択されます。

このプロセスを使用して、各 LAN に直接接続されたブリッジが 1 つを除いて排除されることで、複数の LAN にまたがるループがなくなります。STA でも、複数の LAN にまたがるループが排除されますが、接続性は保たれています。図 20-3 は、図 20-2 で示されたネットワークに STA を適用した結果を示したものです。図 20-2 ではツリー トポロジがより明確に示されています。この図を図 20-3 と比較すると、STA が LAN V へのブリッジ 3 とブリッジ 5 両方のポートをスタンバイ モードにしていることがわかります。

Image15.gif

図 20-3:トランスペアレント ブリッジ ネットワーク(STA 実装後)

スパニング ツリーの計算は、ブリッジに電源が投入されたとき、およびトポロジの変更が検出されたときに行われます。この計算にはスパニング ツリー ブリッジ間の通信が必要で、設定メッセージ(ブリッジ プロトコル データ ユニットとも呼ばれる)を介して行われます。設定メッセージには、ルートと想定されるブリッジを識別する情報(ルート ID)、および送信ブリッジからルート ブリッジへの距離(ルート パス コスト)が含まれています。設定メッセージには、送信ブリッジのブリッジとポート ID、およびその設定メッセージ内に含まれる情報の経過時間も含まれています。

ブリッジどうしは、設定メッセージを一定の間隔(通常は 1 〜 4 秒)で交換します。ブリッジに障害が発生した場合(トポロジ変更が発生した場合)、隣接したブリッジでは設定メッセージの欠落をすぐに検出し、スパニング ツリーの再計算を開始します。

トランスペアレント ブリッジ トポロジはすべてローカルに決定されます。設定メッセージは、隣接したブリッジ間で交換されます。ネットワーク トポロジや管理に関して、集中的な権限は存在しません。

フレーム形式

トランスペアレント ブリッジでは、設定メッセージとトポロジ変更メッセージを交換します。設定メッセージをブリッジ間で交換することで、ネットワーク トポロジが確立されます。トポロジの変更が検出されるとトポロジ変更メッセージが送信され、STA を再実行する必要があることが通知されます。

表 20-2 では IEEE 802.1d の設定メッセージの形式を示しています。

表 20-2:トランスペアレント ブリッジの設定

プロトコル ID バージョン メッセージ タイプ フラグ ルート ID ルート パス コスト ブリッジ ID ポート ID メッセージの経過時間 最大経過時間 Hello タイム 転送遅延
2 バイト 1 バイト 1 バイト 1 バイト 8 バイト 4 バイト 8 バイト 2 バイト 2 バイト 2 バイト 2 バイト 2 バイト

メッセージ フィールド

トランスペアレント ブリッジ設定メッセージは 35 バイトで構成されています。メッセージ フィールドは次のとおりです。

  • プロトコル ID:値は 0 です。

  • バージョン:値は 0 です。

  • メッセージ タイプ:値は 0 です。

  • フラグ:1 バイトのフィールドですが、使用されるのは最初の 2 ビットだけです。トポロジ変更(TC)ビットで、トポロジ変更が通知されます。トポロジ変更確認応答(TCA)ビットをセットして、TC ビットがセットされた設定メッセージの受信を通知します。

  • ルート ID:2 バイトの優先度の後に 6 バイトの ID を示してルート ブリッジを識別します。

  • ルート パス コスト:設定メッセージを送信するブリッジからルート ブリッジまでのパス コストです。

  • ブリッジ ID:メッセージを送信するブリッジの優先度と ID を識別します。

  • ポート ID:設定メッセージの送信元ポートを識別します。このフィールドにより、複数の接続ブリッジで形成されたループの検出と処理が可能になります。

  • メッセージの経過時間:現在の設定メッセージの基になっている設定メッセージをルートから送信してから経過した時間を示します。

  • 最大経過時間:現在の設定メッセージを消去するタイミングを示します。

  • Hello タイム:ルート ブリッジ設定メッセージの送信間隔です。

  • 転送遅延:トポロジの変更から、新しいステートに遷移するまでブリッジが待機する時間です。ブリッジのステート遷移が早すぎると、すべてのネットワーク リンクでステート変更の準備ができていないため、ループが発生する場合があります。

トポロジ変更メッセージの形式は、トランスペアレント ブリッジ設定メッセージの形式に類似していますが、最初の 4 バイトだけで構成されている点が異なっています。メッセージ フィールドは次のとおりです。

  • プロトコル ID:値は 0 です。

  • バージョン:値は 0 です。

  • メッセージ タイプ:値は 128 です。

さまざまな IOS ブリッジング技術

シスコのルータでは、デフォルト動作、同時ルーティングおよびブリッジング(CRB)、Integrated Routing and Bridging(IRB)という 3 種類のブリッジング実装方法が採用されています。

デフォルト動作

IRB および CRB が使用可能になる前は、プラットフォーム ベースだけでプロトコルのブリッジングまたルーティングが可能でした。つまり、たとえば ip route コマンドが使用された場合は、すべてのインターフェイスで IP ルーティングが行われていました。この場合、IP はルータのどのインターフェイスでもブリッジングを行うことができません。

同時ルーティングおよびブリッジング(CRB)

CRB では、プロトコルをブリッジングするかルーティングするかをインターフェイス ベースで決定できます。つまり、あるインターフェイスで特定のプロトコルのルーティングをし、同じルータ内のブリッジ グループ インターフェイスで同じプロトコルのブリッジングをすることが可能です。そのルータは特定のプロトコルに対してルータとブリッジを兼ねることができます。しかし、ルーティングが定義されたインターフェイスとブリッジ グループ インターフェイスとの間には、通信はありません。

次の例では、特定のプロトコルに関して、単一のルータが論理的には独立した複数のデバイスとして機能できることを示します。独立したデバイスとは、1 つのルータと 1 つ以上のブリッジです。

Image16.gif

図 20-4:同時ルーティングおよびブリッジング(CRB)

Integrated Routing and Bridging(IRB)

IRB は、ブリッジ グループ仮想インターフェイス(BVI)と呼ばれる概念を使用して、ブリッジ グループとルーテッド インターフェイス間でのルーティング機能を提供します。ブリッジングはデータ リンク層で実行され、ルーティングはネットワーク層で実行されるため、ブリッジングとルーティングはプロトコル設定モデルが異なります。たとえば IP では、ブリッジ グループ インターフェイスは同じネットワークに属していて、集合的な IP ネットワーク アドレスが付いていますが、個々のルーテッド インターフェイスは、独自の IP ネットワーク アドレスが付いた固有のネットワークを表しています。

BVI の概念は、これらのインターフェイスで任意のプロトコルでのパケット交換を可能にするために作成されたものです。概念的には、次の例に示されているように、シスコのルータは 1 つ以上のブリッジ グループに接続されたルータように動作します。

Image17.gif

図 20-5:Integrated Routing and Bridging(IRB)

BVI は、通常のルーテッド インターフェイスのように動作するルータ内の仮想インターフェイスです。BVI は、ルータ内のルーテッド インターフェイスに対応するブリッジ グループとなっています。BVI のインターフェイス番号は、この仮想インターフェイスで代表されたブリッジ グループの番号になります。この番号が BVI とブリッジ グループ間のリンクになります。

次の例は、Catalyst スイッチのルート スイッチ モジュール(RSM)に BVI が適用される仕組みを示したものです。

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図 20-6:Catalyst スイッチでのルート スイッチ モジュール(RSM)

トランスペアレント ブリッジングのトラブルシューティング

このセクションでは、トランスペアレント ブリッジング インターネットワークでの接続性の問題に関するトラブルシューティング情報を紹介します。トランスペアレント ブリッジングの特定の症状、それぞれの症状を引き起こす可能性が高い問題点、そのような問題の解決策について説明します。

注: ソースルート ブリッジング(SRB)、トランスレーショナル ブリッジング、ソースルート トランスペアレント ブリッジング(SRT)に関連する問題は、第 10 章「IBM 製品のトラブルシューティング」で取り上げています。

ブリッジ型ネットワークのトラブルシューティングを効率的に実施するためには、その設計(特にスパニング ツリーが使用される場合)についての基本的な知識が必要です。

次のものを用意しておいてください。

  • ブリッジ型ネットワークのトポロジ マップ

  • ルート ブリッジのロケーション

  • 冗長リンク(およびブロックされているポート)の位置

接続性の問題をトラブルシューティングする際には、ホスト数を最少にします。1 つのクライアントと 1 つのサーバだけにすることが理想です。

次のセクションでは、トランスペアレント ブリッジ型ネットワークで最も一般的に発生するネットワークの問題について説明します。

トランスペアレント ブリッジング:接続できない

症状: クライアントが、トランスペアレント ブリッジ型ネットワーク経由でホストに接続できない。

表 20-3 では、この症状を引き起こす可能性のある問題の概要を示して、解決策を提案します。

表 20-3:トランスペアレント ブリッジング:接続できない

考えられる原因 推奨される対策
ハードウェアまたはメディアの問題
  1. show bridge EXEC コマンドを使用して、接続性の問題があるかどうかを確認します。問題がある場合は、ブリッジング テーブルに MAC[1] アドレスが出力されません。
  2. show interfaces EXEC コマンドを使用して、インターフェイスとライン プロトコルがアップ状態であるかどうかを判別します。
  3. インターフェイスがダウンしている場合は、ハードウェアまたはメディアの問題をトラブルシューティングします。第 3 章「ハードウェアとブートの問題のトラブルシューティング」を参照してください。
  4. ライン プロトコルがダウンしている場合は、そのインターフェイスとネットワークの間の物理的な接続を確認します。確実に接続されていることと、ケーブルが損傷していないことを確認してください。
ライン プロトコルがアップ状態であるにもかかわらず、入出力パケット カウンタが増加していない場合は、メディアとホストの接続性を確認します。ご使用のネットワークで使用されているメディア タイプについて説明しているメディア トラブルシューティングの章を参照してください。
ホストがダウンしている
  1. ブリッジで show bridge EXEC コマンドを使用して、接続されたエンドノードの MAC アドレスがブリッジング テーブルに入っていることを確認します。ブリッジング テーブルはホストの発信元および宛先 MAC アドレスで構成されており、発信元あるいは宛先からのパケットがブリッジを通過すると、値が入ります。
  2. 予期されるエンドノードが見つからない場合は、そのノードのステータスをチェックして、接続されていることと適切な設定になっていることを確認します。
  3. 必要に応じてエンドノードの再初期化と再設定を行い、show bridge コマンドを使用して、ブリッジング テーブルを 再確認してください。
ブリッジング パスが壊れている
  1. エンドノード間でパケットが辿るパスを特定します。このパス上にルータがある場合、ノード 1 からルータ、およびルータからノード 2 という 2 つの部分に分けてトラブルシューティングを実施します。
  2. パス上の各ブリッジに接続して、エンドノード間のパスで使用されているポートのステータスを確認します(上記の「ハードウェアまたは メディアの問題」の項目で説明)。
  3. show bridge コマンドを使用して、ノードの MAC アドレスが適切なポートで学習されていることを確認します。学習されていない場合、スパニング ツリー トポロジが不安定になる可能性があります。表 20-2「トランスペアレント ブリッジング:不安定なスパニング ツリー」を参照してください。
  4. show span コマンドでポートの状態を確認します。エンドノード間でトラフィックを伝送するポートがフォワーディング ステートになっていない場合は、ツリーのトポロジが予期せず変更されている可能性があります。表 20-4「トランスペアレント ブリッジング:不安定なスパニング ツリー」を参照してください。
ブリッジ フィルタの設定が不適切
  1. show running-config 特権 EXEC コマンドを使用して、ブリッジ フィルタが設定されているかどうかを判別します。
  2. 問題が疑われるインターフェイスのブリッジ フィルタを無効にして、接続性が回復するかどうかを確認します。
  3. 接続性が回復しない場合、問題はフィルタではありません。フィルタを無効にすると接続性が回復する場合は、1 つまたは複数の不良フィルタが問題の原因です。
  4. フィルタが複数存在するか、複数のステートメントがあるアクセス リストを使用したフィルタが存在する場合は、問題のフィルタを特定するために、各フィルタを 1 つずつ適用し、 入出力用の LSAP[2] および TYPE フィルタの設定を確認します。これらは、異なるプロトコルのブロッキングを行うために、同時に使用できます。たとえば、LSAP (F0F0) を NetBIOS のブロッキングに使用し、TYPE (6004) を ローカル エリア トランスポートのブロッキングに使用できます。
  5. トラフィックをブロックする任意のフィルタまたはアクセス リストを修正します。すべてのフィルタを有効にしても接続状態を維持できるまで、フィルタのテストを続行してください。
入力キューと出力キューがいっぱいになっている 過剰なマルチキャストまたはブロードキャスト トラフィックが原因で、入力キューと出力キューがオーバーフローし、その結果パケットが廃棄される可能性があります。
  1. show interfaces コマンドを使用して、入出力の廃棄を探します。廃棄がある場合は、メディアに対して過剰なトラフィックがある可能性が示唆されています。入力キューの現在のパケットの数が現在の入力キュー サイズの 80 % を常に超えている場合、パケット レートに対応するために、入力キューのサイズを調整する必要があります。入力キューの現在のパケット数が入力キューのサイズに近づいているようには見えない場合でも、パケットのバーストによりキューがオーバーフローする可能性があります。
  2. ブリッジング フィルタを実装して、接続されているネットワークでのブロードキャストとマルチキャストのトラフィックを削減するか、さらに多くのインターネットワーキング デバイスを使用して、ネットワークをセグメント化します。
  3. 接続がシリアル リンクである場合は、帯域幅を増加させる、プライオリティ キューイングを適用する、ホールド キュー サイズを増加させる、システム バッファのサイズを変更するといった方法を試すことができます。詳細については、第 15 章「シリアル回線の問題」を 参照してください。

[1]MAC = Media Access Control

[2]LSAP = Link Services Access Point

トランスペアレント ブリッジング:不安定なスパニング ツリー

症状: ホスト間の接続が一時的に途切れる。同時に複数のホストが影響を受けます。

表 20-4 では、この症状を引き起こす可能性のある問題の概要を示して、解決策を提案します。

表 20-4:トランスペアレント ブリッジング:不安定なスパニング ツリー

考えられる原因 推奨される対策
リンク フラッピング
  1. show span コマンドを使用して、トポロジ変更の回数が増加し続けているかどうかを調べます。
  2. 増加している場合は、 show interface コマンドを使用して、ブリッジ間のリンクを確認します。このコマンドを使用しても、2 つのブリッジ間のリンク フラッピングを確認できない場合は、ブリッジで debug spantree event 特権 EXEC コマンドを使用します。
これにより、スパニング ツリーに関連するすべての変更が記録されます。安定したトポロジでは、何も記録されないはずです。追跡するリンクは、ブリッジ デバイスを接続しているリンクだけです。エンド ステーションへのリンクでの遷移はネットワークに影響しません。

注: デバッグの出力には、CPU プロセスで高い優先度が割り当てられるため、debug spantree event コマンドを使用すると、システムが使用できなくなる場合があります。このため、 debug コマンドは、特定の問題のトラブルシューティングか、シスコ のテクニカル サポート スタッフとのトラブルシューティング セッション中に限定して使用してください。さらに、ネットワークのトラフィック量が低い時間帯やユーザが少ない時間帯に debug コマンドを使用するのがベストです。このような期間にデバッグを行うことにより、 debug コマンド処理によるオーバーヘッドの増大がシステムの使用に影響を及ぼす可能性が低くなります。

ルート ブリッジが変化し続ける/複数のブリッジがルートであることを主張する
  1. 複数のブリッジで show span コマンドを使用し、ブリッジ型ネットワーク全体でルート ブリッジ情報に一貫性があることを確認します。
  2. ルートであることを主張するブリッジが複数ある場合は、それぞれのブリッジで同じスパニング ツリー プロトコルを実行していることを確認します(表 20-6 の「スパニング ツリー アルゴリズムのミスマッチ」を参照)。
  3. ルート ブリッジで bridge <group> priority <number> コマンドを使用して、目的のブリッジを強制的にルートにします。priority の値が低いほど、ブリッジがルートになる可能性が高くなります。
  4. ネットワークの直径を確認します。標準的なスパニング ツリーの設定では、2 つのホスト間のブリッジ ホップは 7 以上になりません。
Hello が交換されない
  1. ブリッジが相互に通信しているか確認します。ネットワーク アナライザまたは debug spantree tree 特権 EXEC コマンドを使用して、スパニング ツリー hello フレームが交換されているか確認します。

    注: デバッグの出力には、CPU プロセスで高い優先度が割り当てられるため、debug spantree event コマンドを使用すると、システムが使用できなくなる場合があります。このため、 debug コマンドは、特定の問題のトラブルシューティングか、シスコ のテクニカル サポート スタッフとのトラブルシューティング セッション中に限定して使用してください。さらに、ネットワークのトラフィック量が低い時間帯やユーザが少ない時間帯に debug コマンドを使用するのがベストです。このような期間にデバッグを行うことにより、 debug コマンド処理によるオーバーヘッドの増大がシステムの使用に影響を及ぼす可能性が低くなります。

  2. hello が交換されていない場合は、ブリッジの物理的な接続とソフトウェア設定を確認します。

トランスペアレント ブリッジング:セッションが突然終了する

症状: トランスペアレント ブリッジング環境で接続が確立しているのに、セッションが突然終了することがある。

表 20-5 では、この症状を引き起こす可能性のある問題の概要を示して、ソリューションを提案します。

表 20-5:トランスペアレント ブリッジング:セッションが突然終了する

考えられる原因 推奨される対策
過剰な再送信
  1. ネットワーク アナライザを使用して、ホストの再送信を探します。
  2. 低速のシリアル回線で再送信が検出された場合は、ホスト上の送信タイマーを増加させます。ホストの設定方法については、ベンダーのドキュメントを参照してください。シリアル回線のトラブルシューティングの情報については、第 15 章「トラブルシューティング: シリアル回線の問題」を参照してください。高速 LAN メディアで再送信が検出された場合は、送信されたパケットと受信されたパケットを順序どおりに確認するか、中継デバイス(ブリッジやスイッチなど)で廃棄されたパケットを確認します。LAN メディアのトラブルシューティングを適切に行います。詳細については、ご使用のネットワークで使用されているメディア タイプについて説明しているメディア トラブルシューティングの章を参照してください。
  3. ネットワーク アナライザを使用して、再送信数が減っているかどうかを判別します。
シリアル リンクでの過剰な遅延 帯域幅を増加させる、プライオリティ キューを適用する、ホールド キュー サイズを増加させる、システム バッファのサイズを変更するといった方法を試すことができます。詳細については、15 章の「トラブルシューティング:シリアル回線の問題」を参照してください。

トランスペアレント ブリッジング:ループとブロードキャスト ストームが発生する

症状: トランスペアレント ブリッジング環境で、パケットのループとブロードキャスト ストームが発生する。エンド ステーションでは強制的に過剰な再送信が行われ、セッションのタイム アウトや破棄が発生する。

注: パケット ループの原因は、通常、ネットワーク設計の問題か、ハードウェアの問題です。

表 20-6 では、この症状を引き起こす可能性のある問題の概要を示して、解決策を提案します。

ブリッジング ループは、すべてのユーザに影響が出る可能性があるため、ブリッジ型ネットワークにおける最悪のシナリオです。緊急の場合は、ネットワーク内で冗長パスを形成しているすべてのインターフェイスを手動で無効にし、早急に接続を回復させることが最善策になります。ただし、この方法では、その後のブリッジング ループの原因特定が非常に困難になります。可能であれば、事前に表 20-6 の対策を試してください。

表 20-6:トランスペアレント ブリッジング:ループとブロードキャスト ストームが発生する

考えられる原因 推奨される対策
スパニング ツリーが実装されていない
  1. インターネットワークのトポロジ マップを検証し、ループの可能性を確認します。
  2. 存在するループをすべて解消するか、適切なリンクがバックアップ モードになっていることを確認します。
  3. ブロードキャスト ストームとパケット ループが続く場合は、 show interfaces EXEC コマンドを使用して、入出力パケット カウントの統計情報を取得します。通常のトラフィック負荷と比較して、カウンタが異常に高いレートで増加している場合は、ネットワーク内にループが残っている可能性があります。
  4. スパニングツリー アルゴリズムを実装して、ループの発生を防止します。
スパニング ツリー アルゴリズムのミスマッチ
  1. 各ブリッジで show span EXEC コマンドを使用して、どのスパニング ツリー アルゴリズムが使用されているかを判別します。
  2. すべてのブリッジで同一のスパニング ツリー アルゴリズム(DEC または IEEE[1] のいずれか)が実装されていることを確認します。一部のきわめて特殊な構成(一般的には IRB を含む構成)では、ネットワーク内に DEC と IEEE の両方のスパニング ツリー アルゴリズムを使用することが必要となる場合があります。スパニング ツリー プロトコルのミスマッチを意図的に行っている場合を除き、適宜ブリッジを再設定し、すべてのブリッジで同じスパニング ツリー アルゴリズムを使用するようにします。

注: DEC と IEEE のスパニング ツリー アルゴリズム間には互換性はありません。

複数のブリッジング ドメインの設定が間違っている
  1. ブリッジで show span EXEC コマンドを使用して、すべてのドメイン グループ番号が任意のブリッジング ドメインに対応することを確認します。
  2. ブリッジに対して複数のドメイン グループが設定されている場合は、すべてのドメインの仕様が適切に割り当てられていることを確認します。必要な変更を加える場合は、 bridge <group> domain <domain-number> グローバル設定コマンドを使用します。
  3. ブリッジ ドメイン間にループが存在しないことを確認します。ドメイン間ブリッジング環境では、スパニング ツリーに基づくループの防止機能は提供されていません。各ドメインのスパニング ツリーは固有であり、他のドメインのスパニング ツリーには依存しません。
リンク エラー(単方向リンク)、デュプレックス ミスマッチ、ポートでの高レベル エラー ブロックすべきポートがフォワーディング ステートへ移行すると、ループが発生します。ポートがブロッキング ステートを維持するためには、隣接するブリッジから BPDU を受信する必要があります。BPDU の消失につながるエラーは、すべてブリッジング ループの原因となる可能性があります。
  1. ネットワーク図からブロッキング ポートを特定します。
  2. ブリッジ型ネットワークでブロックしているポートの状態を、show interface コマンドおよび show bridge EXEC コマンドを使用して確認します。
  3. ブロックされている可能性があるポートが、転送中か、転送を開始しようとしていた場合(つまりラーニングあるいはリスニング ステートの場合)、問題の真の原因が見つかったことになります。そのポートが BPDU を受信しているか確認してください。受信していない場合は、おそらく、このポートに接続しているリンクに問題があります。この場合は、リンク エラー、デュプレックスの設定などを調べてください。
LAN ポートが BPDU を受信している場合は、その LAN の代表ブリッジと考えられるブリッジを調べます。次に、ルートに向かうパス上のすべてのリンクを調べます。これらリンクの 1 つで問題が見つかります(最初のネットワーク図が正しいことになります)。

[1]IEEE = Institute of Electrical and Electronics Engineers

Cisco TAC チームへのお問い合わせの前に

お使いのネットワークが安定している場合は、そのトポロジに関する情報をできる限り収集してください。

最低でも、次のデータが必要です。

  • ネットワークの物理的なトポロジ

  • ルート ブリッジ(およびバックアップのルート ブリッジ)の予想位置

  • ブロックされているポートの位置

その他の情報源

書籍:

  • 『Interconnections, Bridges and Routers, 』、ラディア・パールマン著、Addison-Wesley

  • 『Cisco Lan Switching』、K.クラーク、K.ハミルトン共著、Cisco Press

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