非同期転送モード(ATM) : IP-ATM 間サービス クラス

tx-ring-limit 値の理解と調整

2003 年 6 月 24 日 - ライター翻訳版
その他のバージョン: PDFpdf | 機械翻訳版 (2013 年 9 月 13 日) | 英語版 (2007 年 12 月 14 日) | フィードバック

目次

概要
はじめに
     表記法
     前提条件
     使用するコンポーネント
パーティクルの理解
バッファ リングの理解
PA-A3 アーキテクチャの概要
PA-A3 での送信リング割り当て方式
現在の送信リング値の表示
送信リングを調整する時期
     tx-ring-limit 値を非常に小さくした場合の影響
既知の問題
3600 および 2600 ルータでの tx-ring-limit の調整
関連するシスコ サポート コミュニティ ディスカッション
関連情報

概要

このドキュメントは、ハードウェア送信リングの機能と、Virtual Circuit(VC; 仮想回線)単位キューイングをサポートする ATM ルータ インターフェイス ハードウェアでの tx-ring-limit コマンドの目的について説明しています。

サービス ポリシーが設定された Cisco ルータ インターフェイスは、VC の輻輳レベルに応じて、次の 2 種類のキューのいずれか一方に ATM VC のパケットを格納します。

キュー

場所

キューイング方式

サービス ポリシーの適用

調整用コマンド

ハードウェア キューまたは送信リング

ポート アダプタまたはネットワーク モジュール

FIFO のみ

適用不可

tx-ring-limit

レイヤ 3 キュー

レイヤ 3 プロセッサ システムまたはインターフェイス バッファ

N/A

可能

キューイング方式によって異なる。

- vc-hold-queue

- queue-limit

はじめに

表記法

文書の表記法の詳細は、「シスコ テクニカル ティップスの表記法」を参照してください。

前提条件

この文書に関する特別な前提条件はありません。

使用するコンポーネント

この文書は特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。

パーティクルの理解

送信リングについて説明する前に、パーティクルの概念について理解する必要があります。パーティクルとは、Cisco 7200 ルータ シリーズや、Cisco 7500 ルータ シリーズの Versatile Interface Processor(VIP)などの各種プラットフォームにおけるパケット バッファリングの基本構成要素です。

Cisco IOS(R) ソフトウェアでは、パケットを格納するために、パケット長に応じて 1 つ以上のパーティクルを使用します。具体例を挙げてみましょう。 1200 バイトのパケットを受信すると、IOS は次の空きパーティクルを取得して、そのパーティクルにパケット データをコピーします。 最初のパーティクルがいっぱいになると、IOS は次の空きパーティクルに移動し、それを最初のパーティクルにリンクして、2 番目のパーティクルにデータのコピーを続けます。結果的に、1200 バイトのパケットは連続しない 3 つのメモリの断片に格納されます。IOS はこれらの断片から論理的に単一のパケット バッファを構成します。

IOS パーティクル サイズはプラットフォームによって異なります。ある特定のプールに含まれるパーティクルはすべて同じサイズです。 この均一性のためにパーティクル管理アルゴリズムは簡単なものとなり、メモリの効率的な使用が可能になります。

バッファ リングの理解

Cisco IOS では、パブリックおよびプライベート インターフェイス プールに加えて、リングと呼ばれる特別なバッファ制御構造が作成されます。 Cisco IOS およびインターフェイス コントローラはこれらのリングを使用して、パケットの受信とメディアへの送信にどのバッファを使用するかを制御します。リング自体は、I/O メモリ内のどこかにある個々のパケット バッファを指し示すメディアコントローラ固有要素から構成されます。

各インターフェイスには、パケット受信用の受信リングとパケット送信用の送信リングという一対のリングがあります。 リングのサイズはインターフェイス コントローラによって異なる場合があります。一般には、送信リングのサイズはインターフェイスまたは VC の帯域幅をベースとしており、2 の累乗になります(Cisco Bug ID CSCdk17210)。

インターフェイス

リング

回線レート(Mb/s)<

2

10

20

30

40

...

txcount

2

4

8

16

32

64

注: 7200 シリーズ プラットフォームでは、送信リングのパケット バッファは、交換パケットの発信インターフェイスの受信リングまたはパケットが IOS によって発信された場合は、パブリック プールに由来します。 これらのパケット バッファは、ペイロード データが送信された後、送信リングから割り当て解除され、元のプールに戻ります。

PA-A3 アーキテクチャの概要

PA-A3 ポート アダプタは、より高い転送パフォーマンスを確保するため、受信用と送信用に異なる Segmentation And Reassembly(SAR)チップを使用します。 それぞれの SAR はオンボード メモリの固有のサブシステムによってサポートされ、パケットだけでなく、VC テーブルなどの重要なデータ構造も格納します。このメモリには特に 4 MB の SDRAM が含まれており、これが多数のパーティクルに分割されます。

次の表は、PA-A3 の受信および送信パス上にあるパーティクルの数とサイズを示しています。

リング

パーティクル サイズ

パーティクルの数

受信リング

288 バイト

N/A

送信リング

576* バイト

6000(144 のパーティクルが予約されている)

* 送信リングのパーティクル サイズは 580 バイトと記述されることもあります。 この値には、パケットとともにルータ内部を移動する 4 バイトの ATM コア ヘッダーが含まれています。

上の表のサイズが選ばれたのは、48(セルのペイロード フィールドのサイズ)と、最大のパフォーマンスが得られるキャッシュ ライン サイズ(32 バイト)の両方で割り切れるためです。このような設計には、1 つのパケットが複数のバッファを必要としたときに SAR によってバッファ間遅延が引き起こされないようにする目的があります。また、送信パーティクル サイズの 576 バイトには、インターネット パケットの約 90 % をカバーするという目的もあります。

PA-A3 での送信リング割り当て方式

PA-A3 ドライバは各 VC にデフォルトの送信リング値を割り当てます。 この値は、VC に割り当てられた ATM サービス カテゴリによって異なります。 次の表にデフォルト値を示します。

VC サービス カテゴリ

PA-A3-OC3、T3、E3 デフォルトの送信リング値

PA-A3-IMA デフォルトの送信リング値

PA-A3-OC12 デフォルトの送信リング値

施行期間

VBR-nrt

次の公式に基づく**。

(48 x SCR) / (Particle_size x 5) 最小値は 40。SCR が非常に低くて計算結果が 40 より小さい場合は 40 で上書きされる。

注:SCR は ATM オーバーヘッドを含むセル レートです。

次の公式に基づく。

(48 x SCR) / (Particle_size x 5) 最小値は 40。SCR が非常に低くて計算結果が 40 より小さい場合は 40 で上書きされる。

注:SCR は ATM オーバーヘッドを含むセル レートです。

次の公式に基づく。

平均レート(SCR)* 2 * TOTAL_CREDITS / VISIBLE_BANDWIDTH

TOTAL_CREDITS = 8192

VISIBLE_BANDWIDTH = 599040 注: この公式の計算結果がデフォルトの 128 より小さい場合、VC の送信リング制限は 128 に設定されます。

常時

ABR

128

128

N/A

常時*

UBR

40

128

128

クレジット利用率の合計が 75 % または tx_threshold 値(show controller atm で表示される)を超えた場合のみ

* PA-A3-OC12 は当初、現在の送信リング値に対して常にアクティブな VBR-nrt PVC の制限を実装していませんでした。 この問題は Bug ID CSCdx11084 によって解決されています。 .

** SCR はセル/秒で表されます。

現在の送信リング値の表示

当初は、送信リングの値を表示するために隠しコマンドを使用する必要がありました。 現在では、show atm vc {vcd} コマンドで現在の送信リング値が表示されます。

また、debug atm events コマンドを使用して、PA-A3 ドライバとホスト CPU 間の VC 設定メッセージを表示することもできます。次の一連の出力は 7200 シリーズ ルータの PA-A3 で取得したものです。送信リング値は tx_limit 値として表示されており、これは特定の VC の送信方向に割り当てられたパーティクル バッファの割り当て量を示します。

PVC 1/100 は VBR-nrt として設定されています。3500 kbps の SCR に基づいて、PA-A3 は 137 の tx_limit を割り当てます。 この計算を確かめるには、3500 kbps の SCR をセル/秒に変換する必要があります。 (3,500,000 ビット/秒) * (1 バイト/ 8 ビット) * (1 セル/ 53 バイト) = (3, 500, 000 セル) / (8 * 53 秒) = 8254 セル/秒になります。 セル/秒単位での SCR 値を上の公式に当てはめると、tx_limit = 137 が得られます。

7200-17(config)#interface atm 4/0 
     7200-17(config-if)#pvc 1/100 
  7200-17(config-if-atm-vc)#vbr-nrt 4000 3500 94 
  7200-17(config-if-atm-vc)# 
  *Oct 14 17:56:06.886:  Reserved bw for 1/100 Available bw = 141500 
  7200-17(config-if-atm-vc)#exit 
  7200-17(config-if)#logging 
  *Oct 14 17:56:16.370: atmdx_setup_vc(ATM4/0): vc:6 vpi:1 vci:100 state:2 config_status:0 
  *Oct 14 17:56:16.370: atmdx_setup_cos(ATM4/0): vc:6 wred_name:- max_q:0 
  *Oct 14 17:56:16.370: atmdx_pas_vc_setup(ATM4/0): vcd 6, atm hdr 0x00100640, mtu 4482 
  *Oct 14 17:56:16.370: VBR: pcr 9433, scr 8254, mbs 94 
  *Oct 14 17:56:16.370:  vc tx_limit=137, rx_limit=47 
  *Oct 14 17:56:16.374:  Created 64-bit VC count

PVC 1/101 は ABR として設定されています。PA-A3 はデフォルトの ABR tx_limit 値である 128 を割り当てます(の表を参照)。

7200-17(config-if)#pvc 1/102 
  7200-17(config-if-atm-vc)#abr ? 
    <1-155000>    Peak Cell Rate(PCR) in Kbps 
    rate-factors  Specify rate increase and rate decrease factors (inverse) 
  7200-17(config-if-atm-vc)#abr 4000 1000 
  7200-17(config-if-atm-vc)# 
  *Oct 14 17:57:45.066:  Reserved bw for 1/102 Available bw = 140500 
  *Oct 14 18:00:11.662: atmdx_setup_vc(ATM4/0): vc:8 vpi:1 vci:102 state:2 config_status:0 
  *Oct 14 18:00:11.662: atmdx_setup_cos(ATM4/0): vc:8 wred_name:- max_q:0 
  *Oct 14 18:00:11.662: atmdx_pas_vc_setup(ATM4/0): vcd 8, atm hdr 0x00100660, mtu 4482 
  *Oct 14 18:00:11.662: ABR: pcr 9433, mcr 2358, icr 9433 
  *Oct 14 18:00:11.662:  vc tx_limit=128, rx_limit=47 
  *Oct 14 18:00:11.666:  Created 64-bit VC counters

PVC 1/102 は UBR として設定されています。PA-A3 はデフォルトの UBR tx_limit 値である 40 を割り当てます(上のを参照)。

7200-17(config-if)#pvc 1/101 
  7200-17(config-if-atm-vc)#ubr 10000 
  7200-17(config-if-atm-vc)# 
  *Oct 14 17:56:49.466:  Reserved bw for 1/101 Available bw = 141500 
  *Oct 14 17:57:03.734: atmdx_setup_vc(ATM4/0): vc:7 vpi:1 vci:101 state:2 config_status:0 
  *Oct 14 17:57:03.734: atmdx_setup_cos(ATM4/0): vc:7 wred_name:- max_q:0 
  *Oct 14 17:57:03.734: atmdx_pas_vc_setup(ATM4/0): vcd 7, atm hdr 0x00100650, mtu 4482 
  *Oct 14 17:57:03.734: UBR: pcr 23584 
  *Oct 14 17:57:03.734:  vc tx_limit=40, rx_limit=117 
  *Oct 14 17:57:03.738:  Created 64-bit VC counters

tx_limit の目的は、絶えず輻輳が発生する VC によってパケット バッファ リソースが枯渇し、他の VC がトラフィック コントラクト内の正常なトラフィックを送信できなくなる事態を回避するために、VC 単位の送信クレジットまたはメモリ割り当て方式を実装することです。

PA-A3 は、次の 2 つの条件のもとでメモリ クレジットのチェックを実行します。

  • 各 VBR-nrt および ABR VC に対する個々の割り当て量 - 各 VC の tx_count と tx_limit の値を比較します。いずれか 1 つの VC で tx_count が tx_limit を超えている場合は、後続のパケットが廃棄されます。パケットのバーストによって tx_count が瞬時に VBR-nrt VC の送信リングを超過し、出力廃棄が発生する可能性がある点に注意が必要です。

  • 割り当て量全体 - tx_threshold 値を考慮します。UBR-VC では、大規模バーストを可能にするために、PA-A3 での全パケット バッファの使用状況が、このプリセットされたしきい値に到達している場合のみ、トラフィック ポリシングが施行されます。

注:1 つのパケットに複数のパーティクルが必要で、なおかつ送信リングがいっぱいの場合、PA-A3 は、パーティクルが使用可能であれば VC が割り当て量を超えることを許可します。 この方式は、出力廃棄のない小規模なパケットのバーストに対応するために設計されています。

show controller atm コマンドは、送信クレジットに関連するいくつかのカウンタを表示します。

7200-17#show controller atm 4/0 
     Interface ATM4/0 is up 
  Hardware is ENHANCED ATM PA - OC3 (155000Kbps) 
  Framer is PMC PM5346 S/UNI-155-LITE, SAR is LSI ATMIZER II 
  Firmware rev: G125, Framer rev: 0, ATMIZER II rev: 3 
    idb=0x622105EC, ds=0x62217DE0, vc=0x62246A00 
    slot 4, unit 9, subunit 0, fci_type 0x0059, ticks 190386 
    1200 rx buffers: size=512, encap=64, trailer=28, magic=4 
  Curr Stats: 
    VCC count: current=7, peak=7 
    SAR crashes: Rx SAR=0, Tx SAR=0 
    rx_cell_lost=0, rx_no_buffer=0, rx_crc_10=0 
    rx_cell_len=0, rx_no_vcd=0, rx_cell_throttle=0, tx_aci_err=0 
  Rx Free Ring status: 
    base=0x3E26E040, size=2048, write=176 
  Rx Compl Ring status: 
    base=0x7B162E60, size=2048, read=1200 
  Tx Ring status: 
    base=0x3E713540, size=8192, write=2157 
  Tx Compl Ring status: 
    base=0x4B166EA0, size=4096, read=1078 
  BFD Cache status: 
    base=0x62240980, size=6144, read=6142 
  Rx Cache status: 
    base=0x62237E80, size=16, write=0 
  Tx Shadow status: 
    base=0x62238900, size=8192, read=2143, write=2157 
  Control data: 
    rx_max_spins=3, max_tx_count=17, tx_count=14 
    rx_threshold=800, rx_count=0, tx_threshold=4608 
    tx bfd write indx=0x4, rx_pool_info=0x62237F20
  

次の表は、送信クレジット方式を全体的に施行するために PA-A3 で使用される値の説明を示しています。

説明

max_tx_count

PA-A3 マイクロコードによって保持されている、その時点で最大の送信パーティクル数のヒストグラム。

tx_count

PA-A3 マイクロコードによって保持されている、その時点での送信パーティクル数の合計。

注: PA-A3 マイクロコードは VC ごとの tx_count も追跡します。PA-A3 ドライバから PA-A3 マイクロコードにパーティクルが 1 つ送信されると、tx_count が 1 増えます。

tx_threshold

空きパケット バッファの総量がこのしきい値を下回ると、UBR VC に対して送信クレジットが施行されます。VBR および ABR VC では、送信クレジットは常に施行されている点に注意してください。

送信リングを調整する時期

送信リングは、送信準備が整ったパケットのためのステージング領域として機能します。 ルータは送信リング上に十分な数のパケットをキューイングし、インターフェイス ドライバが有効なセル タイムスロットを満たすためのパケットを確保できるようにする必要があります。

当初は、Low Latency Queueing(LLQ; 低遅延キューイング)を使用したサービス ポリシーが適用されている場合、PA-A3 ドライバは送信リングのサイズを調整できませんでした。 現在のイメージでは、前述のデフォルトから値を下方に調整し(Cisco Bug ID CSCds63407)、キューイング関連の遅延を最小限に抑えることができます。

送信リングを調整する最大の理由は、キューイングが原因で生じる遅延を減らすことです。送信リングを調整するときは、次の点に注意してください。

  • どのネットワーク インターフェイスでも、キューイングは遅延とインターフェイスで持続できるバースト量の二者択一を迫ります。 キュー サイズを大きくすると長時間のバーストが可能になりますが、遅延が増加します。VC のトラフィックで不必要な遅延が生じているように感じる場合は、キューのサイズを調整してください。

  • パケット サイズを考慮します。 tx-ring-limit には、4 つのパケットを収容できる値を設定します。 たとえば、パケットが 1500 バイトの場合は、tx-ring-limit 値を 16 = (4 パケット) * (4 パーティクル) に設定します。

  • 送信クレジットが、1 個の MTU サイズのパケット、または VBR-nrt PVC の Maximum Burst Size(MBS; 最大バースト サイズ)に等しいセルの数(あるいはその両方)をサポートできるほど十分大きいことを確認します。

  • SCR が 128 kbps などのように帯域幅が小さい VC では、小さい値を設定します。たとえば、SCR が 160 kbps の低速 VC では、tx-ring-limit = 10 はかなり大きい値であり、ドライバレベルのキューで数百ミリ秒程度の大きな遅延が発生するおそれがあります。この場合は、tx-ring-limit を最小値にまで下げます。

  • 高速 VC では大きい値を設定します。4 よりも小さい値にすると、PA-A3 がバック プレッシャを積極的に実行していて、送信リングに送信待ちパケットが迅速に供給されない場合に、VC が設定レートで送信できない可能性があります。また、小さい値を設定するときは、VC のスループットが影響を受けないことを確認します(Cisco Bug ID CSCdk17210 を参照)。

つまり、送信リングのサイズは、キューイングによる遅延を避けられる程度に小さくし、なおかつ廃棄とそれによる TCP ベースのフローへの影響を避けられる程度に大きくする必要があります。

インターフェイスでは、最初にレイヤ 3 キューイング システムからパケットが取り出され、次にそのパケットが送信リングにキューイングされます。 サービス ポリシーはレイヤ 3 キュー内のパケットだけに適用され、送信リングには透過的です。

送信リングでのキューイングは、リングの深さに正比例するシリアル化遅延を引き起こします。 過度のシリアル化遅延は、音声などの遅延に影響されやすいアプリケーションの遅延バジェットに影響を与えるおそれがあります。 そのため、音声を伝送する VC では送信リングのサイズを小さくすることをお勧めします。 値は送信リングによって引き起こされるシリアル化遅延の量(秒)に基づいて選択してください。 これには次の公式を使用します。

((P*8)*D)/S
  P = Packet size in bytes. Multiply by eight to convert to bits.
  D = Transmit-ring depth.
  S = Speed of the VC in bps.
  

注:インターネット上の IP パケットのサイズは通常、64 バイト(例:制御メッセージ)、1500 バイト(例:ファイル転送)、または 256 バイト(他のすべてのトラフィック)のいずれかです。 これらの値から、インターネット全体を通して見た場合の標準的なパケット サイズは 250 バイトになります。

注: 送信リングのサイズが大きい場合と小さい場合の長所と短所をまとめると、次の表のようになります。

送信リングのサイズ

長所

短所

大きい値

データ VC でバーストに対応する場合に推奨される。

音声 VC では推奨されない。遅延とジッタが増加するおそれがある。

小さい値

音声 VC でキューイングによる遅延とジッタを減らす場合に推奨される。

比較的高速な VC では推奨されない。 回線が空いているときに送信準備が整っているパケットがないほど小さい値に調整すると、スループットが下がるおそれがある。

送信リングのサイズを調整するには、VC 設定モードで tx-ring-limit コマンドを使用します。

7200-1(config-subif)#pvc 2/2 
     7200-1(config-if-atm-vc)#? 
     ATM virtual circuit configuration commands: 
    abr                Enter Available Bit Rate (pcr)(mcr) 
    broadcast          Pseudo-broadcast 
    class-vc           Configure default vc-class name 
    default            Set a command to its defaults 
    encapsulation      Select ATM Encapsulation for VC 
    exit-vc            Exit from ATM VC configuration mode 
    ilmi               Configure ILMI management 
    inarp              Change the inverse arp timer on the PVC 
    no                 Negate a command or set its defaults 
    oam                Configure oam parameters 
    oam-pvc            Send oam cells on this pvc 
    protocol           Map an upper layer protocol to this connection. 
    random-detect      Configure WRED 
    service-policy     Attach a policy-map to a VC 
    transmit-priority  set the transmit priority for this VC 
    tx-ring-limit      Configure PA level transmit ring limit 
    ubr                Enter Unspecified Peak Cell Rate (pcr) in Kbps. 
    vbr-nrt            Enter Variable Bit Rate (pcr)(scr)(bcs)
  7200-1(config-if-atm-vc)#tx-ring-limit ? 
    <3-6000>  Number (ring limit) 
    <cr>
  

現在設定されている値を表示するには、show atm vc コマンドを使用します。

7200-1#show atm vc 
  VC 3 doesn't exist on interface ATM3/0 
  ATM5/0.2: VCD: 3, VPI: 2, VCI: 2 
  VBR-NRT, PeakRate: 30000, Average Rate: 20000, Burst Cells: 94 
  AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0x20, VCmode: 0x0 
  OAM frequency: 0 second(s) 
  PA TxRingLimit: 10 
  InARP frequency: 15 minutes(s) 
  Transmit priority 2 
  InPkts: 0, OutPkts: 0, InBytes: 0, OutBytes: 0 
  InPRoc: 0, OutPRoc: 0 
  InFast: 0, OutFast: 0, InAS: 0, OutAS: 0 
  InPktDrops: 0, OutPktDrops: 0 
  CrcErrors: 0, SarTimeOuts: 0, OverSizedSDUs: 0 
  OAM cells received: 0 
  OAM cells sent: 0 
  Status: UP

また、現在の送信および受信リング制限を表示するには、show atm pvc vpi/vci コマンドを使用します。次の出力は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(10) が動作している 7200 シリーズ ルータで取得したものです。

viking#show    atm pvc 1/101 
     ATM6/0: VCD: 2, VPI: 1, VCI: 101 
  UBR, PeakRate: 149760 
  AAL5-LLC/SNAP, etype:0x0, Flags: 0xC20, VCmode: 0x0 
  OAM frequency: 0 second(s), OAM retry frequency: 1 second(s), OAM retry 
  frequency: 1 second(s) 
  OAM up retry count: 3, OAM down retry count: 5 
  OAM Loopback status: OAM Disabled 
  OAM VC state: Not Managed 
  ILMI VC state: Not Managed 
  VC TxRingLimit: 40 particles 
  VC Rx Limit: 800 particles
  

tx-ring-limit 値を非常に小さくした場合の影響

送信パスでは、ホストの CPU によってホスト バッファから PA-A3 上のローカル パーティクル バッファにペイロード情報が転送されます。 PA-A3 で動作しているファームウェアは、いくつかのバッファ記述子をキャッシュし、それらをまとめて解放します。 キャッシング期間中、PA-A3 は、ローカル メモリの内容が物理回線上に送信された後でも、新しいパケットを受け入れません。 この方式の目的は、全体的なパフォーマンスを最適化することにあります。 そのため、デフォルト以外の tx-ring-limit 値を設定するときは、バッファ記述子の戻り遅延を考慮する必要があります。

また、576 バイトのパーティクル サイズに対して 1 の tx-ring-limit 値を設定した場合、1500 バイトのパケットはキューから次のように取り出されます。

  1. PA-A3 ドライバは最初のパーティクルを送信リングにキューイングし、このパケットが他の 2 つのメモリ パーティクルに格納されていることを記憶します。

  2. 送信リングが次に空になったときに、同じパケットの 2 番目のパーティクルが送信リングに配置されます。

  3. 送信リングが次に再び空になったときに、3 番目のパーティクルが送信リングに配置されます。

送信リングがただ 1 つの 576 バイト パーティクルから構成されている場合でも、MTU/ポート速度が、送信リングを通過するときの最悪の遅延となります。

既知の問題

tx-ring-limit コマンドが vc-class 文によって VC に適用された場合、PA-A3 はその設定値を適用しません。 この結果を確認するには、show atm vc detail コマンドで現在の値を表示します。 vc-class を使用した送信リングの調整機能は、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.1 で実装されました(Cisco Bug ID CSCdm93064)。 CSCdv59010 では、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2 のある一定のバージョンでの tx-ring-limit に関する問題が解決しています。 vc-class 文によって tx-ring-limit コマンドを ATM PVC に適用しても、送信リングのサイズは変更されません。 この結果を確認するには、vc-class および class-vc コマンドのペアによってコマンドを適用した後、show atm vc detail コマンドを使用します。

Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(1)が動作している Cisco 7200 シリーズ ルータで PA-A3 上の PVC に tx-ring-limit コマンドを追加すると、コマンドが次のように複製されます(Cisco Bug ID CSCdu19350)。

 interface ATM1/0.1 point-to-point 
    description dlci-101, cr3640 
    ip unnumbered Loopback0 
    pvc 0/101 
     tx-ring-limit 3 
     tx-ring-limit 3

この状態は無害であり、ルータの動作に影響を与えることはありません。

Cisco Bug ID CSCdv71623 では、トラフィック レートが回線レートをかなり下回っているときにマルチリンク PPP バンドル インターフェイスで出力廃棄が起こる問題が解決しています。 この問題は、tx-ring-limit 値が 5 よりも大きい ATM インターフェイスにおいて、CSCdv89201 で見られました。 この問題は、断片化が無効の場合、またはリンク ウェイト(断片化サイズの制限)が大きく(T1 や E1 などの高速リンクでは一般的)、なおかつデータ トラフィックに大小のパケットが混在している場合に特に顕著です。 断片化を有効にして小さい断片化サイズを使用すれば(インターフェイス設定コマンド ppp multilink fragment delay で設定)、動作は大幅に改善されます。 ただし、回避策としてこの方法を使用する前に、このような高レベルの断片化を実行してもシステムの CPU が過負荷状態に陥らないだけの十分な処理能力がルータにあることを確認する必要があります。

Cisco Bug ID CSCdw29890 では、ATM PVC バンドルに対する tx-ring-limit コマンドが CLI では受け入れられるものの、実際には有効にならない問題が解決しています。 ただし、通常は ATM PVC バンドルで tx-ring-limit を変更する必要はありません。 その理由は、リング サイズを小さくすると実質上すべての送信バッファが QOS 制御キューに移動するためです。これにより、到達した優先パケットが即座に送信されるようになり、低速インターフェイスでの遅延は最小限に抑えられます。 ATM PVC バンドルでは、すべてのメンバ VC のパケットからのセルが常に同時に送信(およびインターリーブ)されるため、自動的に遅延が最小になります。

3600 および 2600 ルータでの tx-ring-limit の調整

現在の Cisco IOS ソフトウェア イメージは、Cisco 2600 および 3600 シリーズ ルータ用の ATM ネットワーク モジュールで送信リングの調整をサポートします(Cisco Bug ID CSCdt73385)。現在の値は show atm vc の出力に表示されます。


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