非同期転送モード(ATM) : 相手先固定接続(PVC)と相手先選択接続(SVC)

ATM ポートアダプタでのインターフェイスおよび VC カウンタ問題のトラブルシューティング

2003 年 2 月 14 日 - ライター翻訳版
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目次


概要

この文書では、ATM ポート アダプタがトラフィックの統計情報を報告し、show interface atm または show atm vc コマンドの出力結果に表示される、不正なパケットまたはバイト カウンタの問題を解決する方法について説明します。

前提条件

この文書では、よく知られる 5 バイト セル ヘッダーを含む、ATM インターフェイスの変数および固定オーバーヘッド フィールドについて理解していることを前提としています。オーバーヘッドの詳細は、次のテクニカル ティップスを参照してください。

統計情報の報告メカニズムの理解

Virtual Circuit(VC; 仮想回線)および ATM インターフェイスまたはサブインターフェイスの統計情報の更新方法は、プラットフォームによって異なります。一般的に、Cisco 7x00 シリーズ ルータのポート アダプタでは、次のような共通のメカニズムを使用して統計情報が報告されます。
  1. フレーマーによって、レイヤ 1 のフレーミング ビットがはずされます。
  2. Segmentation And Reassembly(SAR)メカニズムは、パケットを再構成し、必要に応じて適切なエラー ビットを適用し、パケットをホスト ドライバに渡します。
  3. パケットがホストへの Direct Memory Access(DMA; ダイレクト メモリ アクセス)によってメモリに入れられると、受信割り込みが発生します。
  4. ドライバはパケットを処理し、課金を行います。

ドライバは、正常、不良に関係なくすべてのパケットのカウンタを更新します。プラットフォーム固有のソフトウェア ブロックは、入力および出力ビット レートや受信負荷などを計算します。

Cisco 7500 シリーズでは、分散アーキテクチャが採用されています。このアーキテクチャでは、PA-A3 インターフェイス ドライバと Versatile Interface Processor(VIP)CPU の間、および、VIP CPU と RSP CPU の間での通信が必要となります。PA-A3 の Peripheral Component Interconnect(PCI)ホスト ドライバでは、VC ごとに各パケットの統計情報が収集され、VIP ドライバに送信されます。Route/Switch Processor(RSP)では、VIP にコマンドが送信され、定期的な Cisco IOS(R) プロセスを介して統計情報が取得されます。システムが初期化されると、特別なバックグラウンド処理が作成されます。この処理では、システム割り込みを最少化するために、割り込みレベルではなくスケジュールされたプロセスとして、VIP からの統計情報が自動的に処理されます。

debug atm events コマンドが有効化されているときに、VIP CPU が RSP にメッセージを送信して VC 統計情報を報告すると、次のような出力が表示されます。

received CCB_CMD_ATM_GET_VC_STATS command vcd #
VIP は更新された統計情報を 12 秒間隔で RSP に 送信します。このため、show コマンドの出力結果に表示される値は、瞬間的な値でない場合があります。

障害を切り離すために VIP コンソールで debug atm event コマンドを使用してください。VIP が RSP に誤った VC 統計情報を送信しているのか、それとも正しい情報が VIP CPU と RSP CPU の通信中に破壊されたのかは、デバッグ出力に表示することが可能です。詳細は、「ATM ルータ インターフェイスでの debug atm event の出力結果の理解」を参照してください。

注意:debug コマンドを発行する前に、「debug コマンドに関する重要な情報」を参照してください。debug atm events コマンドを使用すると、実稼動ルータで大量のデバッグが出力される場合があります。出力の量は、統計情報を報告する VC の数や、VC 関連のイベントの量によって異なります。

注: Cisco 12000 シリーズでは、エンジン 0 およびエンジン 1 のラインカードが 10 秒ごとに更新を送信するのに対し、エンジン 2 などのその他のエンジン モデルは、より頻繁に更新を送信します。4xOC3 ATM ラインカードは、エンジン 0 アーキテクチャを使用しています。

レイヤ 2 カウンタとレイヤ 3 カウンタの比較

メイン インターフェイスの show interface コマンドの出力結果にある「input packets」フィールドには、受信後出力インターフェイスに正常にスイッチされたパケットの数がカウントされます。

Virtual Circuit(VC; 仮想回線)の show atm vc {vcd#} コマンドの出力結果にある「InPkts」フィールドには、正常に受信された後 IOS スイッチング エンジンに渡されたパケットの数がカウントされます。パケットが IOS スイッチング エンジンで処理できずにインターフェイスのホールド キューにドロップされる場合、これらのパケットはドロップとしてカウントされるだけで、入力パケットのカウンタは増えません。このため、VC の「InPkts」カウントの値は、メイン インターフェイスの「input packets」カウンタと入力キュー ドロップ カウンタの合計と等しくなります。show atm vc {vcd#} コマンドの出力結果には、VC レベルでドロップされるパケットをカウントする「InPktDrops」フィールドも表示されます。入力ドロップを別々にカウントすることで、ドロップが VC レベルとインターフェイス レベルのどちらで発生したのかを判別できます。

サブインターフェイスの show interface atm コマンドの出力結果には、サブインターフェイス上にある VC ごとのカウンタの合計が表示されます。次に、PA-A3 上のサブインターフェイスでの show interface atm コマンドの出力例を示します。この例では、ATM Adaptation Layer 5(AAL5)カウンタ、Operations, Administration and Maintenance(OAM)セル カウントなど、レイヤ 2 の情報だけが表示されます。

7206#show int atm 4/0.1
ATM4/0.1 is administratively down, line protocol is down
Hardware is ENHANCED ATM PA
MTU 4470 bytes, BW 149760 Kbit, DLY 80 usec,
     reliability 0/255, txload 1/255, rxload 1/255
  Encapsulation ATM
  0 packets input, 0 bytes
  0 packets input, 0 bytes
  0 OAM cells input, 0 OAM cells output
 
AAL5 CRC errors : 0
  AAL5 SAR Timeouts : 0
  AAL5 Oversized SDUs : 0

サブインターフェイスのカウンタにはレイヤ 2 の情報だけが反映されるため、メインインターフェイスのカウンタとサブインターフェイスのカウンタは異なります。この違いによって、パケットがどこでドロップされたかを判断する機能が拡張されることに注意してください。たとえば、到着したパケットが、AAL5 Cyclic Redundancy Check(CRC; 巡回冗長検査)などのレイヤ 2 のチェックを通過して、着信 IP ACL が送信元または宛先 IP アドレスにドロップ アクションを指定する メインインターフェイスに転送されるとします。このパケットによって、VC およびサブインターフェイスのドロップ カウンタは増加しますが、メイン インターフェイスのカウンタは増加しません。

ATM ポート アダプタでインターフェイスおよび VC カウンタの統計情報をレポートする場合によくある問題

このセクションでは、ATM ポート アダプタでインターフェイスおよび VC カウンタの統計情報を報告する際によく発生する問題の一部を紹介します。いくつかの症状について説明し、それぞれのソリューションを提供します。最も一般的な問題には、次のものがあります。

  • 計算されたインターフェイス レートが物理回線レートより高くなる
  • 入力キューのカウンタが負の数になる
  • 重課金、またはカウンタの値が予測の倍になる
  • QoS サービス ポリシーが適用された PVC の「InBytes」の値が正しくない
  • ATM サブインターフェイスの統計情報が正しくない、または表示されない

これらの問題の大部分はソフトウェアの問題であり、これまでに Cisco IOS ソフトウェアのさまざまなバージョンで解決されてきました。

症状:計算されたインターフェイス レートが物理回線レートより高くなる

この症状は、次の Cisco Bug ID で報告および解決されています。
 
Cisco Bug ID 説明
CSCdt49209 Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.0(15)S で 64 ビット SNMP カウンタが導入されたときに、ATM インターフェイスで計算された出力インターフェイス レートが物理回線レートより高くレポートされました。この問題は、トラフィック フローには影響しません。
CSCdv13285 PPP over ATM(PPPoA)セッションを終了するために aal5mux ppp カプセル化を使用すると、Cisco Express Forwarding(CEF)が有効化された Cisco 7200 シリーズ ルータでは、入力データ レートが極端に高くレポートされます。この問題の根本的原因は、誤った PPP echo-request または echo-reply のパケットを 65000 バイトでカウントすることです。

症状:入力キューのカウンタが負の数になる

シスコ ルータのすべてのインターフェイスでは、ファースト スイッチングでルート キャッシュのエントリとのマッチングに失敗したパケットや CEF テーブルのエントリとのマッチングに失敗したパケットを保存するために、入力キューを使用します。このようなパケットは、着信インターフェイスの入力キューにキューイングされて処理されます。一部のパケットは常に処理されますが、適切な設定の場合、安定したネットワークでは、処理されたパケットの割合によって入力キューが輻輳することは絶対にありません。入力キューがいっぱいになると、パケットはドロップされます。

まれに、show interface atm の出力結果に表示される入力キュー カウンタが、次に示すように負の数になることがあります。

7206_B#show int atm 1/0
 ATM1/0 is up, line protocol is up
   Hardware is ENHANCED ATM PA
   Description: DNEC.678475.ATI 1/40
   MTU 4470 bytes, sub MTU 4470, BW 44209 Kbit, DLY 190 usec,
      reliability 255/255, txload 6/255, rxload 1/255
   Encapsulation ATM, loopback not set
   Keepalive not supported
   Encapsulation(s): AAL5
   4096 maximum active VCs, 170 current VCCs
   VC idle disconnect time: 300 seconds
   0 carrier transitions
   Last input 00:00:00, output 00:00:00, output hang never
   Last clearing of "show interface" counters 01:31:25
   Input queue: -6/75/0/0 (size/max/drops/flushes); Total output drops: 0
この問題は、次の Cisco Bug ID で報告および解決されています。

Cisco Bug ID 症状と回避策
CSCdj73443 プロセス交換されたパケット(600 〜 1524 バイトのサイズ)のスイッチ速度を高速化するために、(隣接する)大容量バッファのプールが SRAM に追加されました。この特別なプールからバッファが割り当てられると、入力キュー カウントは増加しません。入力キュー カウントは結局大きな正の数になり、600 〜 1524 バイトの範囲外のパケットは、入力キューがいっぱいになるために拒否されます。この問題は、大容量の SRAM 隣接バッファ プールを削除することで解決します。
CSCdm44539 負の入力キュー カウントは、2 つの ATM およびシリアルなどのその他のインターフェイス タイプによって入力キュー カウンタが減少する結果生じます。

症状:2 重課金、またはカウンタの値が予想の倍になる

場合によっては、Cisco IOS 機能の有効化や IOS スイッチング パスの変更によって、パケット カウントまたは計算ビット率が倍になることがあります。このような「2 重課金」の問題は、さまざまなインターフェイス タイプとさまざまな機能で報告および解決されています。

この問題は、次の Cisco Bug ID で報告および解決されています。

Cisco Bug ID 症状と回避策
CSCds23924

QoS サービス ポリシーの一環である入力 police 機能が、2 回呼び出されます。この結果、入力パケットの 2 重課金が発生し、準拠パケットの値が極端に大きくなり、超過ドロップが発生します。

ただし、この修正で最も重要な点は、QoS 機能の再配列です。再配列の結果、次のものが得られます。

  • 入力レートを制限する Committed Access Rate(CAR; 専用アクセス レート)が、ルータに予定されたパケットに適用されます。CEF によってスイッチされたパケットだけに使用されます。
  • 入力 CAR または QPPB(BGP による QoS ポリシー伝搬)によって設定される IP 優先順位を、VC バンドリングにおける VC の選択の際に使用できます。
  • 入力 CAR または QPPB によって設定される IP 優先順位/DSCP および QoS グループを、モジュラ QoS CLI(MQC)「出力」パケットの分類に使用できます。

たとえば、Cisco Bug ID CSCds23924 では、パケットが CEF スイッチング パスに従うときに発生する入力 CAR の 2 重課金、またはこの機能を 2 回実行することによって起こるクラスベースのポリシングが解決されます(CEF では、パケットを入力から出力のルート インターフェイスに転送する、IOS スイッチング メカニズムが定義されます)。この結果、入力パケットの 2 重課金が発生し、準拠パケットの値が極端に大きくなり、超過ドロップが発生します。

PA-A3 で IP アカウンティングを有効化すると、show interface atm コマンドで表示される、計算された出力ビット レートが倍になります。この問題は IP アカウンティングが distributed Cisco Express Forwarding(dCEF)でサポートされないために発生します。したがって、IP アカウンティングを有効化すると、ルータ内のパケットのパスが変更され、出力ビット レートが極端に高くなります。この問題については、Cisco Bug ID CSCdv59172 に文書化されています。

症状:QoS サービス ポリシーが適用された PVC の「InBytes」の値が正しくない

Cisco 7500 シリーズでは、ATM VC に QoS サービス ポリシーを適用すると、show atm vc {vcd#} コマンドの出力結果で「InBytes」の値が正しく表示されないことがあります。この問題が発生するのは、dCEF が有効化されている同じ物理インターフェイス上にある PVC 間で、パケットが分散スイッチされたときだけです。

この問題は、Cisco Bug ID CSCdu17025 で解決されています。

症状:ATM サブインターフェイスの統計情報が正しくない、または表示されない

PA-A3 インターフェイス ドライバは、VC カウンタを更新し、これらを共通またはプラットフォームから独立したブロックの ATM コードに送信します。show atm pvc x/y または show interface atm.subint コマンドで表示されるカウンタは、共通 ATM コードによって報告されたものとして表示されており、そのサブインターフェイスにあるすべての VC カウンタの合計です。

サブインターフェイス カウンタに、正しい VC カウンタと増分しない(すなわちゼロ)値が表示されている場合は、ATM 共通コードがすべての VC カウンタを合計していない可能性があります。この問題を解決するには、以下をキャプチャしてください。

  • show interface atm x/y/z.a - 問題が発生しているサブインターフェイス
  • show atm pvc {vpi/vci} - このサブインターフェイス下に設定された VC
この問題は、次の Cisco Bug ID で報告および解決されています。
Cisco Bug ID 説明
CSCdu41673 サブインターフェイスのカウンタは 64 ビット カウンタです。VC 統計情報の更新時には、VIP は 32 ビット カウンタのみを送信します。この問題は、VIP が RSP に統計情報を送信するときに 64 ビット カウンタも更新するようにすると解決できます。
CSCdt60738 Network Services Engine(NSE-1)を搭載したルータのメイン インターフェイスでは、サブインターフェイスと異なる出力パケットの値が表示されます。

注:計算されたビット レートは、メイン インターフェイスでのみ使用できます。

トラブルシューティングの手順

PA-A3 または他の ATM インターフェイスでカウンタが正しく表示されない場合、Cisco TAC に問い合せる前に、次の手順でトラブルシューティングを行うことを推奨します。
  • カウンタからいくつかの出力をキャプチャします。カウンタがトラッキングしているのは、出力データと入力データのどちらですか。
  • 次のうち、どの物理インターフェイスまたは論理インターフェイスで問題が発生していますか。
    • 入力キューまたは出力キュー
    • サブインターフェイス
    • VC
  • ATM ドライバは、入力および出力バイト カウントだけを報告します。問題が PA-A3 が原因のものか、それともプラットフォーム固有の問題であるかを判別してください。まず「packets input」と「packets output」のカウンタ、ならびに入力および出力バイト カウンタが正しいか確認します。
    • 正しい場合は、プラットフォーム固有の問題と考えられます。
    • 正しくない場合は、PA 固有の問題を調査してください。

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