insight

Cisco のデジタルビジネス支援サイト

Cisco Insight は、ネットワークを通じて働き方、生活、教育、娯楽、ビジネスを革新する
最新ソリューション情報をお届けするニュースマガジンです。

2016.06  第 3 号 特集記事-3

富士通&シスコ、女性シニアマネージャー対談向かって左側から、富士通株式会社 執行役員 インフラサービス事業本部 本部長 島津 めぐみ 氏、シスコシステムズ テクニカルサービス アジア太平洋・日本・中華圏地域 ヴァイスプレジデント ジャネット レイミー

技術系女性が組織でチカラを発揮するには?
~富士通とシスコ、女性役員ダイバーシティ対談~

企業の中で技術職の女性が活躍できる場を、いかに増やしていくべきなのか。女性が職場における活躍支援、特に技術職の女性を増やすことは、イノベーションを生み出す上で重要なテーマだと言えます。これに関して、富士通 執行役員 インフラサービス事業本部で本部長を務め、ダイバーシティへの取り組みにも積極的に関与している島津 めぐみ氏と、アジア地域でシスコ テクニカルサービスのヴァイスプレジデントを務めるジャネット レイミーが対談を実施。両社における女性活躍支援の取り組みの紹介や、成果を上げるために必要な環境整備等について意見交換が行われました。

女性の活躍のためシスコでは 2 種類のプログラムを提供

ジャネット  まずは私から、シスコにおけるインクルージョンとコラボレーション(受容と協業、以下 I&C)の取り組みについて紹介します。このような取り組みは、一般にはダイバーシティとインクルージョン(多様性と受容、以下D&I)と言われることが多いのですが、シスコではあえてI&Cと呼んでいます。その理由は、ダイバーシティは性別や民族等の垣根を取り払う活動の基本的な考えに過ぎないのに対し、シスコではより積極的に相手を受容し、共に活躍していくことで、ビジネスに価値を生み出すことが重要だと考えているからです。それではよろしくお願いします。

島津  こちらこそよろしくお願いします。

ジャネット  私はアジア太平洋、日本、中華圏地域のテクニカルサービス部門を統括しています。全ての製品の保守サービスをお客様とパートナーの皆さまに提供しています。また、製品の日本語化も私の部門の担当です。
シスコの全世界の従業員のうち、23%が女性です。またエグゼクティブリーダーシップチームでは38%、役員会では27%が女性となっています。
私の部門における I&C のフォーカスは、Y 世代(1980 年から 2000 年までに生まれた世代)の女性が、アジア地域でリーダーシップを発揮できるよう支援することです。その取り組みとしては、大きく 2 つのことを行っています。1つは女性社員全員を対象にしたプログラムであり、もう1つはハイポテンシャルな女性社員を対象にしたプログラムです。
この他に技術職に対しては、TLMP(Technical Leaders Mentoring Program)というプログラムも用意されています。これは、高度なコミュニケーション能力と強い影響力を持ち、ビジネス面での意思決定や戦略、さらにはシスコの未来の成功にも貢献できる、次世代のテクニカルリーダーを育成することを目的としています。キャリアの早い段階で優れたテクニカルスキルを獲得した社員を対象に、コラボレーションやコミュニケーションの能力、影響力の行使、戦略の立案等、より高いレベルのソフトスキルの教育を行っています。これは男女を問わずに提供されています。

富士通では 2008 年にダイバーシティ方針を明確化

島津  これらのプログラムは全世界共通なのですか。

ジャネット  その通りです。地域ごとのグルーピングは行われていますが、全てグローバルなプログラムです。例えば女性を対象にしたプログラムでは、1週間程度の集合研修の後、ビデオ等を活用したリモート研修を行っています。アジア地域での集合研修は、シンガポールやインドネシアで行っています。

島津  ハイポテンシャルな女性社員を対象にしたプログラムには、日本からは何名くらいが参加していますか。

ジャネット  年間 15 ~ 16 名が参加しています。では今度は、富士通における取り組みをお教えいただけますか。

島津  わかりました。富士通グループは全世界で 約16 万人、富士通単独では 約26,000 人の社員が働いています。これからお話するのは、日本における取り組みです。
富士通では 2008 年 2 月に社長メッセージを発信し、ダイバーシティの方針を明確化しました。2008 年 2 ~ 3 月にはダイバーシティに関する社内調査を実施、5 月にはグループ インタビューを行っています。さらに 2008 年 6 月には、ダイバーシティ推進室を新設しています。富士通におけるダイバーシティへの取り組みは、女性の活躍といった性別に関するものだけではなく、民族や国籍、宗教、障がい、年代や年齢、LGBT、家庭事情、企業文化も含め、9 つの属性を視野に入れて推進されています。またこれまでの活動は、3 つのフェーズに分けて実施されています。

3 つのフェーズで取り組みを推進する富士通

富士通株式会社 執行役員 インフラサービス事業本部 本部長 島津 めぐみ 氏

島津  第 1 期は「認知、理解」のフェーズで、2008 ~ 2010 年度にかけて行われました。ここでの重点施策は、組織の風土改革、個人の活動支援、働き方改革です。まずは経営層や幹部社員のダイバーシティに対する意識を醸成し、ネットワークやキャリアの形成によって多様なマイノリティの活躍を支援、さらに多様な働き方と生産性向上によって、個人のやりがいや働きがいを高めてまいりました。
第 2 期は「理解、実践」のフェーズで、2011 ~ 2013 年度に行われました。ここでの重点施策は、職場でのダイバーシティ推進活動の支援、女性社員のさらなる活躍支援、国内グループ会社への展開です。2014 年度には第 3 期がスタートしており、ダイバーシティによるイノベーション創出、女性を中心としたパイプライン拡充による多様なリーダーの輩出、国内外グループ会社への展開が目指されています。

ジャネット  女性社員の割合はどの程度ですか。

島津  現時点では、国内の女性社員の比率は 15 %程度、女性幹部社員の比率は 4.6 %です。その一方で、新任幹部社員における女性社員の比率は、この 10 年間は5 ~ 10 %の間を推移しています。私の知る限り、日本における女性社員と女性幹部社員の比率は、海外に比べて小さいものになっています。2020 年度には、女性社員比率と新任幹部社員の女性比率を、20 %にまで引き上げることを目指しています。

ジャネット  女性が活躍するためには、具体的にどのような取り組みが行われていますか。

島津  まずマネージャーになる前の女性社員に対しては「キャリア形成支援セミナー」と「女性リーダー育成プログラム」を行っています。キャリア形成支援セミナーは、社内外からロールモデルとなる講師をお呼びし、その話を聞くことでマインドを醸成することを狙っています。これによって中長期的なキャリアの視点を得て、中長期的な成長につなげてもらえればと考えています。女性リーダー育成プログラムは、女性社員の長期的なキャリア継続を支援するため、各部門の選抜メンバーを対象に、「従来の自分の枠を超えた成長モデル」を集中的、意図的に経験する場を提供します。集合研修、経営への提言を行うチーム活動、役員と車座になって話し合う機会、ダイバーシティメンターによる指導や支援、さらに上司同行プログラム等による職場実践を通じて、リーダーを担える人材や将来の幹部社員を育成します。この他にも、育児社員向けのネットワーキング イベントの開催や、働き改革に関するセミナー等も行っています。マネージャーを対象にしたプログラムは、現在検討中です。

言葉の浸透で変わり始めた社員の意識

シスコシステムズ テクニカルサービス アジア太平洋・日本・中華圏地域 ヴァイスプレジデント ジャネット レイミー

ジャネット  かなり包括的な取り組みですね。キャリア形成支援セミナーは若い女性社員向け、女性リーダー育成プログラムは幹部候補の女性社員向けですね。

島津  そうです。女性リーダー育成プログラムは、1 年間で約 50 名の女性社員を集めて、まず座学からスタートします。その後はチームを組んで富士通の経営層に対し、これからの富士通をどのように変えていくかについて、プレゼンテーションを行います。さらに経営層とコミュニケーションを行い、幹部社員になることを目指します。始めてから今年でもう 5 年目になり、このプログラムから幹部社員になる女性も増えています。

ジャネット  素晴らしいですね。育児休暇のようなオプションや、フレックスワークの制度もあるのですか。

島津  用意されています。

ジャネット  その制度はどれだけの社員が活用していますか。

島津  かなり多くの人が活用しています。育児期間が終わった後の時短勤務制度もあり、これも活用が進んでいます。また女性だけではなく、介護等を目的に男性社員が取得するケースもあります。

ジャネット  これらのプログラムに対する男性社員からのフィードバックはありますか。

島津  私の周りでは、それほど見かけません。しかしダイバーシティという言葉が浸透してからは、男性の意識も変わり始めているようです。

女性社員が活躍するには男性の理解と家族による支援が重要

富士通株式会社 執行役員 インフラサービス事業本部 本部長 島津 めぐみ 氏、シスコシステムズ テクニカルサービス アジア太平洋・日本・中華圏地域 ヴァイスプレジデント ジャネット レイミー

ジャネット  私の経験上、女性が活躍できるパイプラインを作るには、男性エグゼクティブがスポンサーシップを持って社員に接することが、とても重要だと感じています。

島津  私も強くそう思います。

ジャネット  男性の理解と態度が変わらなければ、女性の活躍は本当に困難です。

島津  女性自身のマインドも重要ですが、それが潰されないように、周りの状況が変わることが必要ですね。そこには社内の上司だけではなく、同僚や配偶者も含まれると思います。

ジャネット  まったくその通りですね。男性のリーダーはもちろんのこと、子供を持つ女性の場合には家族へのコーチングも重要です。特にアジア地域では、女性は家の中にいるのが当然という考えが根強く、家族のサポートを得ることが簡単ではありません。この話に私は感銘を受けて、同じことができないかと考えています。

島津  そもそも日本では、女性が幹部社員になることが少ないという問題もあります。海外ではもっと女性が活躍しているのではないかと思いますが、シスコではいかがですか。

ジャネット  確かに女性のリーダーは欧米に集中しています。しかしシスコでは、アジア地域でも女性のヴァイスプレジデントが数名いますし、日本法人の代表取締役である鈴木みゆきも女性です。ただ、これはシスコに限らないのですが、アジアでは中間管理職になる前に、女性が退職してしまうケースが少なくありません。私が最も恐れているのは、実はこのことなのです。ある重要なリサーチでもこの 10 年間の傾向として、ジュニア マネージャーからシニア マネージャーになる段階での女性の退職が多いと報告されています。

島津  確かに富士通でも、マネージャーになる前の年齢、具体的には 30 歳前後の女性が退職する割合が高いですね。

ジャネット  おそらくこの世代では、キャリアに対する意識に変化が起きやすいのではないでしょうか。20 歳代と 30 歳代では、キャリアに対する期待値が、明らかに違います。

島津  将来の自分の姿が見えづらいのかもしれませんね。

ジャネット  シスコではこのような女性に対して、リクルーティング チームと一緒になってインタビューを行い、職場復帰について聞くようにしています

島津  富士通でもできるだけ参考になるロールモデルを増やして、安心してもらうように心がけています。

エンジニアとしての能力に男女差は存在しない

ジャネット  技術者教育に関しては、何か取り組んでいることはありますか。

島津  富士通ではダイバーシティへの取り組み以前から、技術者の育成は積極的に行っています。これは男女に関わらず実施されています。

ジャネット  女性エンジニアの数はシスコでも少なく、大学でエンジニアをリクルーティングする時も、女性は少数派になってしまいます。目標は男女比を半々にすることなのですが、なかなかそのゴールに到達できません。エンジニアという職種に関して、男女の能力差等があると感じていますか。

島津  技術的な知識やスキルに関しては、男女差は生じないと思います。力仕事の領域では女性にはハンディがありますが、技術職では男女の違いはないはずです。

ジャネット  私もそう思います。ただし全体として女性が少ない職場になっているので、女性メンターが少ないという問題はあると感じています。この状況を克服するには、シニアレベルの女性社員に関与してもらい、ジュニアレベルの社員へのガイダンスやメンタリングを行うことが必要ではないかと考えています。

島津  職場の中だけではなく、組織の枠を超えたコミュニティを作ることも重要だと思います。技術職と言っても、職種や専門分野が数多く存在するからです。

ジャネット  その通りですね。

島津  技特定の属性を持つ人々だけの集団では、いずれは硬直してしまいます。多様な人々が集まり、交流を行うことで、イノベーションが生まれます。企業の価値向上に貢献するためにも、ダイバーシティの取り組みは重要だと感じています。

ジャネット  私も同意見です。今回は貴重なお話を伺い、有意義な時間を持つことができました。ありがとうございます。

島津  私も大変参考になりました。ありがとうございます。

シスコのテクニカル サポート サービスは、ビジネスの基盤であるITインフラを 守るための総合的なサポートであり、全世界で実績を積み重ねてきた技術力のあるシスコのエンジニアが、お客様のネットワークにまつわる課題に迅速に対処します。
お客様のビジネスにおけるシステムの重要性、利用の仕方、構成に応じてサービスプログラムとサポートレベルと、さらに付加価値として、シスコの知的資産を活用したプロアクティブな保守サービスをお選びすることができます。

■シスコのテクニカル サポート サービスはこちらから
http://www.cisco.com/web/JP/services/portfolio/product-technical-support/index.html