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2015.11  第 1 号 特集記事-2

Cisco Start
特集記事 2
2015.11  第 1 号

シスコの中小企業向け新ブランド「Cisco Start」
これがもたらす具体的なメリットとは


シスコは 2015 年 9 月 16 日、新ブランド「Cisco Start」を発表しました。これは現在の中小企業が抱えているネットワークの課題を解決するためのものであり、「シンプル(簡単)」で「スマート(充実)」かつ「セキュア(安全)」な運用を可能にします。それでは導入企業は具体的に、どのようなメリットを享受できるのでしょうか。今回は中小企業が抱えている課題を明確にした上で、これらが Cisco Start によってどう解決されるのかを紹介します。

ITの進化が中小企業に突きつける新たな課題

 情報技術(IT)の進化は大企業や中堅企業だけではなく、中小企業にも大きな恩恵をもたらすようになっています。コンピュータの高性能化と低価格化、クラウド サービスの広がり、さらにはスマートフォンやタブレットといったスマート デバイスの普及によって、中小企業も大企業並の IT 活用が可能になっているのです。もちろんその恩恵を受けるには、その基盤となるネットワーク環境の整備が不可欠です。すでに多くの中小企業がオフィス内に LAN を敷設しており、無線 LAN を導入している企業も少なくありません。

 しかし IT の進歩は、新たな課題も中小企業に突き付けています。

中小企業のネットワークが直面する新たな課題

 第1はネットワークの品質に対する要求が、かつてなかった程に厳しくなっていることです。ほとんどの従業員は日常的な個人生活の中で、すでに公衆無線 LAN や LTE 等、高品質なネットワーク サービスを介して、様々なアプリケーションやクラウド サービスを利用しています。当然ながら企業ネットワークに対しても、同様の品質を求めるようになっています。また企業経営の観点でも、ネットワーク品質の確保は、従業員の生産性や創造性を高める上で必須の条件です。ネットワークは中小企業にとっても、もはや「つながればいい」というものではなく、十分な通信速度や安定性を実現したものである必要があります。

 第2は運用管理の課題です。高品質なネットワークを維持するには、常にネットワークの状況を監視し、問題が発生した場合には即座に対応する必要があります。機器の故障が発生すれば、運用管理者が設置現場まで足を運び、機器の交換や再設定などを行う必要も生じるでしょう。専任の運用管理者を雇用できる大企業であれば、このような対応も問題なく行えるかもしれません。しかし人的資源に限りがある中小企業の場合には、これは大きな負担です。  

 そして第 3 がセキュリティの課題です。近年はサイバー攻撃の手法が高度化しており、対象も拡大しています。また、セキュリティがビジネスとして確立してきている背景からも、ターゲットは大企業や著名サイトだけではなく、中小企業にも拡大しているのです。このような攻撃を回避し、被害を未然に防止するには、高度なセキュリティ機能を備えたネットワークを構築する必要があります。パソコンにウィルス対策ソフトを導入するだけでは、十分なセキュリティを確保できない時代になっているのです。

30 年蓄積した技術力とノウハウを中小企業にも

 中小企業が直面するこれらの課題を、根本から解決することはできないだろうか。このような発想から生まれたのが、Cisco Start シリーズです。

 シスコは 1984 年に創業してから 30 年余りの間、ネットワーク市場のリーダーであり続けてきました。シスコの製品は一般企業のネットワークはもちろんのこと、通信事業者はクラウド事業者のネットワークでも数多く採用されています。その技術力とノウハウを活かすことで、中小企業のネットワークの高品質化や管理性の向上、セキュリティ強化が可能になると考えたのです。 

 特に日本では、中小企業が重要な役割を果たしています。日本企業 386 万社のうち、実に 9 割が中小企業であり、地域の雇用や経済活動を支えています。またモノづくりや地方創生においても、中小企業は重要な役割を担っています。中小企業がより元気に活躍できるネットワーク基盤を提供したい。この想いをカタチにしたのが、 Cisco Start シリーズなのです。

Cisco Startシリーズ

 シスコはそのために、 100 名規模以下の日本企業向けに最適化された製品ラインアップを構成。その中核として Cisco 841M J シリーズ(以下、 Cisco 841M-J)というルータを新規に開発し、これに接続するスイッチや無線 LAN 、ファイアウォール等を取り揃えました。また中小企業でも手軽に導入できるよう、戦略的な価格を設定。高度な機能を装備した企業向けルータを、手軽にオンライン ストアで購入できるようにしています。

 Cisco Start シリーズによって、中小企業は「シンプル」で「スマート」かつ「セキュア」なネットワークを手に入れることができます。今回は Cisco 841M-J が提供する機能を中心に、これらの特徴がどのように実現されているのかを見ていきましょう。

Cisco 841M Jシリーズ

シンプル:日本語の設定ウィザードを用意、利用状況の把握も簡単

 まず注目したいのが、設定が非常に簡単だという点です。日本語で記述されたクイック セットアップ ウィザードが用意されており、設定したい機能を選択し、指示に従って作業を進めていくことで、短時間で設定が完了します。例えばフレッツ光ネクストに接続する場合であれば、わずか 5 ステップの操作だけで OK です。

日本語の設定ウィザード

 インターネットの利用状況も可視化できます。これを可能にしているのが、 Cisco Configuration Professional Express(CCP Express)という、これも無償提供されているツールです。このツールは、インターネット上のサービス毎、社内ネットワークのIPアドレス毎に、トラフィック量(回線使用量)をグラフ表示します。この情報を見ることで、例えば「A さんが YouTube の映像を見ているために負荷が高くなっている」「Facebook へのアクセスが異常に多い」といったことが把握できます。

日本語の設定ウィザード

 このような機能があれば、高度な専門知識やノウハウがなくても、ネットワークの設定や問題発生時の原因究明が可能になります。専任の運用管理担当者を用意できない中小企業でも、容易にネットワーク品質を維持できるようになるはずです。

スマート:企業に必要な幅広い機能を装備、運用の自動化も可能

 企業ネットワークが要求する幅広い機能を実装しているのも、このルータ製品の大きな特徴です。数多くのプロトコルに対応し、インターネット プロバイダーのアクセス回線に接続するためのブロードバンド ルータ機能やNAT機能はもちろんのこと、拠点間 VLAN やスマートフォン VPN 、仮想ルータ機能、冗長化機能、簡易サーバ機能、さらにはプログラミング機能も用意されています。これまで他社の中小企業向けルータを使った経験がある方なら、その機能の充実ぶりに驚くのではないでしょうか。

 例えば DMVPN 機能を活用すれば、インターネット アクセス回線に接続された複数の拠点間を、暗号化された「VPN トンネル」によって、まるで社内 LAN のように簡単かつ安全に接続できます。複数の店舗を展開している企業や、地方に駐在拠点を持つ企業等にとっては、とても便利な機能だと言えるでしょう。

 プログラミング機能を活用すれば、運用の自動化や効率化も可能になります。例えば VPN に接続されたルータの稼働状況をチェックし、障害が発生したら管理者のスマートフォンに自動通知する、といったことが行えるのです。また特定の時刻に特定ポートをシャットダウンしたり、応答が一定時間を超えたらアラートを送信するといったことも可能。 Cisco 841M-J の背面に装備された USB ポートに USB メモリを挿入した時に、ルータの設定情報を自動的にバックアップするといったことも行えます。

 ルータが故障して交換が必要になった際には、交換用ルータにこの USB メモリを挿すことで、短時間で設定情報を回復できます。遠隔地の店舗や拠点でルータ交換が必要になった場合でも、交換用ルータの設定が簡単に行えるため、管理者が現地に足を運ぶ必要はなくなります。ルータに接続されるスイッチや無線 LAN アクセスポイントを、自動設定することも可能です。

 このプログラミング機能は Embedded Event Manager(EEM) というもので、実は多くの企業や通信事業者でも利用されています。 Cisco Start シリーズのポータルサイトでは EEM スクリプトのテンプレートも提供しているので、初めての方でも自動化や効率化が実現可能です。

セキュリティ:世界最大規模の解析力を持つクラウド サービスとの連携も

 セキュリティ機能も充実しています。拠点間を安全に接続するには前述の VPN 機能が利用でき、インターネットからの攻撃を回避するためのファイアウォールや、社内から危険なサイトへアクセスすることを防止する URL フィルタ等も装備しています。

 またシスコは以前から、世界最大規模の解析力を持つセキュリティ機能をクラウドで提供する Cisco Cloud Web Security(CWS) というサービスを運用していますが、 Cisco Start シリーズはこのサービスとも連携可能です。

Cisco Cloud Web Security(CWS)

 Cisco 841M-J に CWS の設定を行うことで、社内からのインターネット アクセスはいったん CWS に送られるようになります。ここで接続先の安全性が確認された上で、許可・遮断が自動的に判断・実行されるのです。アクセス先のページだけではなく、ページに埋め込まれたリンクや、ダウンロード ファイルの安全性も同時にチェックされるため、フィッシング詐欺やウィルス感染を防止できます。端末に特別なソフトウェアをインストールする必要がなく、ネットワーク構成の変更も、専用のセキュリティアプライアンスを導入する必要もありません。

 クラウドサービスなので全ての端末にセキュリティ ソフトを導入・運用する場合に比べて、より手軽にセキュリティを強化できるのです。

ルータ以外の製品も企業向けの充実した機能を装備

 機能が充実しているのはルータだけではありません。

 例えば Cisco Start シリーズに含まれるスイッチは、 Cisco 300 スイッチ シリーズと Cisco 110 スイッチ シリーズから選択できますが、 300 シリーズにはルーティング機能や様々なセキュリティ機能、無線LANアクセスポイントに LAN ケーブル経由で給電を行える PoE/PoE+ 等が装備されています。これらの機能を活用するための各種ツール群も数多く用意されており、無償で提供されています。

 また 110 シリーズは低価格な“ダムスイッチ(通信機能のみを装備したスイッチ)”ですが、このクラスの製品としては珍しく、ループ検知機能を装備しています。ネットワークの知識を持たない利用者が勝手にネットワーク ケーブルの抜き挿しを行った場合、接続がループ状になってネットワーク全体が障害を起こすことがありますが、このスイッチはこれを検知できるため、ネットワーク障害を未然に防ぐことができます。

 無線LANも、多数のアクセスポイントの一括設定や、パフォーマンスの自動最適化、使用する周波数帯域の自動変更等による電波障害回避機能等を装備しています。また最新規格である IEEE 802.11ac に対応しているため、高速な通信を安定的に行えます。

 ※9月16日「本日の発表製品」p11「無線LANの課題を解決します」のチャート。

 このように Cisco Start シリーズを導入することで、中小企業のネットワークの品質と自由度は飛躍的に向上し、セキュリティも大幅に強化されます。そしてこれらの機能の設定や利用は簡単に行えるため、高度な技術力やノウハウを持つ専任スタッフを用意する必要もありません。さらにこのシリーズの導入を起点に、段階的に機能やパフォーマンスを拡張するといったことも、過去の投資を保護しながらスムーズに行なえます。長期的なIT戦略にも、大きな貢献を果たせるのです。

 なおシスコは Cisco Start シリーズのポータルサイトを用意しています。またシスコ サポート コミュニティでも、Cisco Start シリーズに関する情報を提供しています。これらもぜひご活用ください。