内容

概要

このドキュメントでは、Cisco Catalyst 6500 Virtual Switching System(VSS)1440 の導入シナリオにおけるベスト プラクティスを説明します。

このドキュメントはモジュラ式の設定ガイドになっています。したがって、各セクションを個別に参照して段階的に変更を加えることができます。このドキュメントでは、Cisco IOS® ソフトウェアのユーザ インターフェイスの基本知識があることを前提とします。全体的なネットワーク設計については、このドキュメントでは取り上げません。

前提条件

要件

このドキュメントに特有の要件はありません。

使用するコンポーネント

このドキュメントの内容は、特定のソフトウェアやハードウェアのバージョンに限定されるものではありません。

このドキュメントの情報は、特定のラボ環境にあるデバイスに基づいて作成されました。このドキュメントで使用するすべてのデバイスは、初期(デフォルト)設定の状態から起動しています。対象のネットワークが実稼働中である場合には、どのようなコマンドについても、その潜在的な影響について確実に理解しておく必要があります。

表記法

ドキュメント表記の詳細は、『シスコ テクニカル ティップスの表記法』を参照してください。

VSS 配備のベスト プラクティス

このドキュメントで説明するソリューションは、複雑なネットワークに取り組み、多くの企業顧客に協力してきたシスコ エンジニアの長年にわたる実地経験を反映しています。したがって、このドキュメントで推奨する設定に従うことで、ネットワークを成功に導くことができます。このドキュメントでは、次のソリューションを説明します。

VSS のハイ アベイラビリティ

ノンストップ フォワーディング

Catalyst 6500 シリーズ スイッチは障害に対する耐性をサポートします。それは、プライマリのスーパバイザ エンジンに障害が発生した場合、冗長スーパバイザ エンジンに切り替えることができるためです。スイッチオーバー後に IP パケットが転送されている間、ユーザがネットワークを使用できない時間を最小限にするために、シスコ ノンストップ フォワーディング(NSF)がステートフル スイッチオーバー(SSO)と連動します。

推奨事項

EIGRP

Switch(config)# router eigrp 100
Switch(config-router)# nsf
Switch# show ip protocols
*** IP Routing is NSF aware ***

Routing Protocol is "eigrp 100"

!--- part of the output truncated

EIGRP NSF-aware route hold timer is 240s

!--- indicates that EIGRP is configured to be NSF aware


!--- part of the output truncated

EIGRP NSF enabled

!--- indicates that EIGRP is configured to be NSF capable


!--- rest of the output truncated

OSPF

Switch(config)# router ospf 100
Switch(config-router)# nsf
Switch# show ip ospf
Routing Process "ospf 100" with ID 10.120.250.4
Start time: 00:01:37:484, Time elapsed: 3w2d

!--- part of the output truncated

Supports Link-local Signalling (LLS)

!--- indicates that OSPF is configured to be NSF aware


!--- part of the output truncated

Non-Stop Forwarding enabled, last NSF restart 3w2d ago (took 31 secs)

!--- indicates that OSPF is configured to be NSF capable


!--- rest of the output truncated

NSF についての詳細は、『SSO スーパーバイザ エンジンの冗長性を使用した NSF の設定』を参照してください。

OOB MAC 同期

分散型スイッチングでは、分散フィーチャ カード(DFC)のそれぞれが独自の CAM テーブルを維持します。つまり、各 DFC が MAC アドレスを学習し、その特定の MAC アドレス エントリの CAM エージングとトラフィック マッチングに応じて MAC アドレス エントリの有効期間を決定します。分散型スイッチングの場合、スーパバイザ エンジンが特定の MAC アドレスのトラフィックをしばらく観測しないことは珍しくないため、MAC アドレス エントリが期限切れになることがあります。回線モジュール内にある DFC とスーパバイザ モジュール内にあるポリシー フィーチャ カード(PFC)などといった異なるエンジンの間で CAM テーブルの一貫性を維持するには、現在のところ、以下の 2 つのメカニズムを使用できるようになっています。

PFC 上で MAC アドレス エントリの期限が切れている場合、show mac-address address <MAC_Address> all コマンドを使用すると、その MAC アドレスを保有する DFC または PFC が表示されます。MAC アドレスに対するトラフィックがない場合でも、DFC または PFC 上でそのエントリが期限切れにならないようにするには、MAC アドレス同期を有効にします。グローバル コンフィギュレーション コマンド mac-address-table synchronize および特権 EXEC コマンド clear mac-address-table dynamic を発行すると、同期が有効になります。この mac-address-table synchronize コマンドは、Cisco IOS ソフトウェア リリース 12.2(18)SXE4 以降で使用できます。同期を有効にした後も、PFC または DFC に存在しないエントリが表示される場合があります。ただし、モジュールにはエントリの非同期をイーサネット アウトオブバンド チャネル(EOBC)を使用する他のモジュールから学ぶための手段があります。

推奨事項

アウトオブバンド MAC 同期を有効にしてください。これにより、フォワーディング エンジンの間で MAC アドレス テーブルが同期されます。VSS システム内に WS-6708-10G が含まれている場合、MAC 同期は自動的に有効になります。そうでない場合は、手動で有効にする必要があります。

Dist-VSS(config)# mac-address-table synchronize
% Current activity time is [160] seconds
% Recommended aging time for all vlans is atleast three times the activity interval
Dist-VSS# clear mac-address-table dynamic
% MAC entries cleared.
Dist-VSS# show mac-address-table synchronize statistics

MAC Entry Out-of-band Synchronization Feature Statistics:
---------------------------------------------------------
Switch [1] Module [4]
---------------------
Module Status:
Statistics collected from Switch/Module   : 1/4
Number of L2 asics in this module         : 1

Global Status:
Status of feature enabled on the switch   : on
Default activity time                     : 160
Configured current activity time          : 480

VSS の用語

VSL のキャパシティ プランニング

観念的には、デュアルホーム接続の VSS 設定ではデータ トラフィックは VSL リンクでは送信されません。各スイッチは、トラフィックを転送する際に自身のローカル インターフェイスを選択するようにプログラムされます。

以下のトラフィックには、追加 VSL リンクのキャパシティ プランニングが必要になります。

vss-vsl-01.gif

詳細は、『VSL 上のトラフィック』を参照してください。

推奨事項

vss-vsl-02.gif

アップストリーム リンクの回復

アップストリーム リンク(コアへのリンク)のリカバリは、MultiChassis EtherChannel(MEC)または Equal Cost MultiPath(ECMP)機能のいずれかによって達成できます。

MEC コンバージェンスは、ルートの数に依存しておらず、一貫しています。一方、ECMP コンバージェンスは、ルートの数に依存しています。以下の図に、音声セッション損失の大きさを示します。

vss-mec-01.gif

以下の図は、MEC と ECMP のリンク障害のシナリオを示しています。

vss-mec-02.gif vss-mec-03.gif

MultiChassis EtherChannel

MultiChassis EtherChannel は、VSS の両方のシャーシで終端するポートが搭載された EtherChannel です。VSS MEC は、EtherChannel をサポートしているネットワーク要素(ホスト、サーバ、ルータ、スイッチなど)に接続できます。VSS での MEC は、追加機能を備えた EtherChannel です。VSS はシャーシごとに独立して、シャーシ内のポートでロード バランシングを行います。たとえば、アクティブ シャーシにトラフィックが到着すると、VSS はアクティブ シャーシの中から MEC リンクを選択します。MEC 機能により、データ トラフィックが不必要に VSL を通過しないよう制御できます。

MEC についての詳細は、『MultiChassis EtherChannel』を参照してください。

推奨事項

vss-mec-04.gif

VSL リンク損失と回復

VSL が障害となると、スタンバイ シャーシでは、アクティブ シャーシの状態を検出できません。スイッチオーバーが遅延なく行われるように、スタンバイ シャーシはアクティブ シャーシが障害になったと判断し、スイッチオーバーを開始してアクティブ ロールを代行します。

元のアクティブ シャーシも正常に動作している場合、両方のシャーシがアクティブ状態になります。この状況をデュアル アクティブ シナリオと呼びます。デュアル アクティブ シナリオでは、両方のシャーシで同じ IP アドレス、SSH キー、および STP ブリッジ ID が使用されるため、ネットワークの安定性に悪影響を及ぼすことがあります。仮想スイッチング システム(VSS)はデュアル アクティブ シナリオを検出して、リカバリ アクションを実行する必要があります。

仮想スイッチング システムはデュアル アクティブ シナリオを検出するために、以下の 3 つの方法をサポートしています。

3 つの検出方式を、すべて同時にアクティブに設定できます。

以下のグラフは、VSS デュアル アクティブ コンバージェンスに関する一部の IP ルーティング プロトコルのコンバージェンス情報を示しています。

デフォルト タイマーを使用した EIGRP コンバージェンス

vss-vsl-llr-04.gif

デフォルト タイマーを使用した OSPF コンバージェンス

vss-vsl-llr-05.gif

推奨事項

vss-vsl-llr-06.gif

詳細は、『デュアル アクティブ検出』を参照してください。

サービス モジュールでの冗長性

サービス モジュールのサポートは、VSS を企業キャンパスおよび企業データセンターの市場に位置付けるための重要な要件です。仮想スイッチ システムでサポートされるサービス モジュールの一覧は次のとおりです。

サービス モジュール 最小 Cisco IOS リリース 最低限のモジュール リリース
Network Analysis Module(NAM)(NAM-1 および NAM-2)(WS-SVC-NAM-1 および WS-SVC-NAM-2) 12.2(33)SXH1 3.6(1a)
アプリケーション コントロール エンジン(ACE10 および ACE20)(ACE10-6500-K9 および ACE20-MOD-K9) 12.2(33)SXI A2(1.3)
侵入検知システム(IDS)サービス モジュール(IDSM-2)(WS-SVC-IDSM2-K9) 12.2(33)SXI 6.0(2)E1
ワイヤレス サービス モジュール(WiSM)(WS-SVC-WISM-1-K9) 12.2(33)SXI 3.2.171.6
ファイアウォール サービス モジュール(FWSM)(WS-SVC-FWM-1-K9) 12.2(33)SXI 4.0.4

サービス モジュールは、VSS を設定している物理シャーシのいずれかに取り付けることができます。

vss-svc-01.gif

推奨事項

サービス モジュール統合についての詳細は、『Cisco サービス モジュールの Cisco Catalyst 6500 Virtual Switching System 1440 への統合』を参照してください。

マルチキャスト

IPv4 マルチキャスト プロトコルは、アクティブ スーパーバイザ エンジン上で実行されます。スタンバイ スーパーバイザ エンジンで受信したインターネット グループ管理プロトコル(IGMP)および Protocol Independent Multicast(PIM)プロトコル パケットは、VSL を通してアクティブ シャーシに送信されます。アクティブ スーパーバイザ エンジンは、ステートフル スイッチオーバー(SSO)のためのレイヤ 2 情報を維持するために、スタンバイ スーパーバイザ エンジンに IGMP および PIM プロトコル パケットを送信します。

詳細は、『IPv4 マルチキャスト』を参照してください。

推奨事項

vss-mcast-01.gif

Qualtiy of Service(QoS)

VSL の QoS 設定

vss-qos-01.gif

推奨事項

VSL 対応ハードウェアのオプションの間で異なるのは、キュー設定のみです。現在のソフトウェア リリースでは、デフォルト キューの設定を変更することはできません。どの VSL 対応ポートの組み合わせでも、QoS は同じ結果になります。

ハードウェア キューイング モード トラスト モード 送信キュー 受信キュー
アップリンク上の VSL:非 10G のみ(デフォルト) CoS CoS 1p3q4t(DWRR/SRR) 8q4t
アップリンク上の VSL:10G のみ CoS CoS 1p7q4t(DWRR/SRR) 2q4t
アップリンクおよびライン カード間の VSL CoS CoS 1p3q4t [非 10G](DWRR/SRR)1p7q4t [10G のみ](DWRR/SRR) 2q4t
ラインカード上の VSL CoS CoS 1p7q4t(DWRR/SRR) 8q4t

詳細は、『VSL QoS の設定』を参照してください。

SPAN

仮想スイッチ ドメインでは、SPAN セッションの数が仮想スイッチのアクティブ スーパバイザの機能によって制限されます。

vss-span-01.gif

仮想スイッチ システムは、仮想スイッチ ドメインごとに以下の SPAN 機能をサポートします。

属性
Tx SPAN セッション数 14
Rx または両 SPAN セッション数 0
SPAN セッションの合計数 16

推奨事項

その他

推奨事項

よく寄せられる質問(FAQ)

VSS ではシャーシごとにデュアル スーパバイザを使用できますか

はい。VSS モード用に設定された各 VSS シャーシ内のデュアル スーパバイザは、SXI4 以降でサポートされます。

VSS モードの Catalyst 6500 シリーズ スイッチから preempt コマンドを削除すると、スイッチがリロードされますか

スイッチ プリエンプションは推奨されません。したがって、このコマンドを削除することが得策です。このコマンドを削除してもリロードは行われません。VSS でのプリエンプション機能の詳細については、スイッチ プリエンプションを参照してください。

関連情報